JP3339795B2 - 直動軸受け部材の製造方法 - Google Patents

直動軸受け部材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異形ダイスによる
引抜きと高周波焼入れにより製造される直動軸受け部材
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、異形ダイスによる引抜き後、高周
波焼入れにより製造される直動軸受け部材は中炭素鋼を
使用し、圧延後、球状化焼鈍を施し、3回以上の引抜き
と2回以上の焼鈍を経て、高周波焼入れを行うことによ
り製造されていた。しかしながら、従来の直動軸受け部
材に使用される鋼部材を球状化焼鈍して使用すると引抜
き時の変形抵抗が大きいため少なくとも3回以上の引抜
きと焼鈍の繰り返しを行わなければならず、工程数と工
程費用がかかるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来3回以
上の引抜きと2回以上の焼鈍を行っていた異形ダイスに
よる引抜きと高周波焼入れにて製造されていた直動軸受
け部材の製造工程数を減らして、高周波焼入性を低下さ
せることなく仕上げ引抜きも入れて2回の引抜きと1回
の中間焼鈍後、高周波焼入れ工程を経て直動軸受け部材
を製造する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の高周波
焼入鋼の成分を変更し、焼入性を満足させると共に、冷
間加工性を向上させて加工時の変形抵抗を低減したもの
である。そして、その手段は、高周波焼入材を使用し、
異形ダイスによる1回の引抜きを行い、中間焼鈍を経
て、仕上げ引抜きを行い、その後高周波焼入れ工程を経
て製造する直動軸受け部材の製造方法において、前記高
周波焼入材の成分が、重量%で、C:0.36〜0.7
0%、Si:0.05〜0.15%、Mn:0.60〜
2.00%、Ti:0.01〜0.20%、N:<0.
01%、B:0.0005〜0.0050%、残部Fe
および不可避不純物からなる組成の鋼とし、引抜き前の
処理として熱間圧延後、AC1点〜800℃を最高点温度
とし、その後徐冷する球状化焼鈍を行い、硬さを85H
RB以下とし、冷間引抜き時の変形抵抗を低減したの
で、従来3回引抜きにて製造していた直動軸受け部材を
1回の引抜きと中間焼鈍後の仕上げ引抜きの2回の引抜
きにて製造することを可能とする。
【0005】上記高周波焼入鋼の化学成分の限定理由を
以下に述べる。Cは、直動軸受け部材には表面の硬度が
必要であるが、0.36%未満では高周波焼入後の硬度
を確保できず、0.70%を超えると冷間加工性が低下
する。そこで、Cは、0.36〜0.70%とする。
【0006】Mnは、高周波焼入性を向上させる元素で
あるが、0.60%未満では高周波焼入性は十分ではな
く、2.00%を超えると冷間加工性が低下する。そこ
で、Mnは、0.60〜2.00%とする。
【0007】Siは、0.05%未満では脱酸効果が十
分ではなく、0.15%を超えるとフェライト硬さが上
昇し、冷間加工性を低下させる。そこで、Siは、0.
05〜0.15%とする。
【0008】Tiは、鋼中にフリーNがあるとBNを形
成して固溶Bが無くなるため、TiによってNを固定す
る。すなわち、Nと窒化物を形成してフェライト中の固
溶Nを低減して冷間加工時の変形抵抗を低下させ、Bの
焼入性への効果を向上させる。0.01%未満ではNを
固定するのに不足であり、0.20%を超えると冷間加
工性を低下させる。そこでTiは、0.01〜0.20
%とする。
【0009】Nは、0.01%以上含有するとTiNが
増加し、転動疲労寿命に悪影響を及ぼす。そこで、Nは
0.01%未満とする。
【0010】Bは、極微量の添加によって鋼の焼入性を
著しく向上させる元素であるが、0.0005%未満で
はその効果は十分でなく、0.0050%を超えると逆
に焼入性を低下させる。そこで、Bは、0.0005%
〜0.0050%とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の鋼組成を表
1の実施例に示す。実施例は炭素含有量がS55Cを基
本とする鋼に相当するものであり、実施例1はS55C
からSi、Mnを低減し、Bを添加したものである。ま
た、比較例1は代表的な従来鋼であり比較例2は実施例
の鋼からMnをさらに低下させたものである。これらの
鋼を用いて、焼鈍後の硬さ、冷間引抜きの変形抵抗、高
周波焼入性を評価し、異形ダイスによる中間焼鈍をはさ
んだ2回の引抜きにより直動軸受けを製造した。以下、
実施例よりさらに本発明の実施形態を説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】表1に示す化学成分組成の供試鋼
(比較例1、2、及び実施例)を100kg真空溶解炉
にて溶製し、熱処理試験、冷間加工性試験、高周波焼入
性試験を行った。
【0013】熱処理試験片は熱間鍛造で20mmφに鍛
造し、切削により15mmφ×100mmLの試験片を
作成し、大気炉により最高点温度をAC1点〜800℃を
最高点温度とし、その後徐冷する球状化焼鈍を行い、熱
処理後の硬さを調べた。その結果を表2に示す。表2か
ら従来鋼はどの最高点温度で球状化焼鈍を行っても硬さ
は85HRB以下にはならないが、実施例、および比較
例2はどの条件においても85HRB以下となる。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】次に冷間加工性試験片は熱間鍛造で20m
mφに鍛造後、最高点温度を770℃とする球状化焼鈍
を行い、14mmφ×21mmHの端面拘束型圧縮試験
用円柱型試験片に加工し、冷間加工時の変形抵抗を測定
した。その結果を表3に示す。この結果から、実施例、
および比較例2に示す鋼は比較例1の従来鋼に比べ冷間
加工時の変形抵抗が大幅に減少している。従来の3回引
きの場合は1回目、2回目の加工率は約20%である
が、2回引きにした場合、その加工率は約40%とな
る。しかし、球状化焼鈍を施した実施例に示す鋼の40
%加工時の変形抵抗は、従来鋼の20%加工時の変形抵
抗よりも小さくなっている。このため、実施例に示す鋼
を使用することにより、従来3回以上の引抜きを行わな
いと成形できなかったものが2回の引抜きにより製造で
きるようになった。
【0017】
【表3】
【0018】高周波焼入性試験片は熱間鍛造で30φに
鍛造し、そのD/4位置より削り出すことにより、3m
mφ×10mmLの試験片を作成し、一定時間一定温度
で加熱後急冷することによりTTA(Time-Temperature
-Austenizing)線図を求める試験を行った。その結果を
図1〜3に示す。図1は実施例に示す鋼のTTA線図を
示すものであり、硬さ720HV以上をオーステナイト
化の基準とする。このとき、図中の温度条件では非常に
短時間の加熱でも完全にオーステナイト化していること
が図中に示した硬さからわかる。図2は比較例1に示す
鋼のTTA線図を示すものであるが、これについても図
中の温度条件では図1と同様に非常に短時間の加熱でも
完全にオーステナイト化していることがわかる。
【0019】さらに、図3は本発明の請求範囲よりMn
量が低い比較例2の鋼のTTA線図を示すものである
が、850℃以下の加熱温度では保持時間が短い場合、
正常な硬さが得られず、完全にオーステナイト化せず、
フェライトが残留してしまう。また、残留フェライトが
残らないような条件でも不完全焼入相が出てしまうとい
う問題がある。この様な組織となった場合、直動軸受け
の寿命を著しく低下させてしまう。
【0020】また、以上のような特性を有する鋼を用い
て異形ダイスによる2回の引抜きを行った結果を表4に
示す。引抜きの変形抵抗の低い実施例および比較例2に
示す鋼においては2回引抜きで成形可能である。しか
し、比較例1に示す従来鋼では引抜き後、正常な形状が
得られず、時には引抜き時に破断してしまうという問題
がある。
【0021】
【表4】
【0022】以上の結果から、実施例、比較例2に示す
鋼を使用すると、異形ダイスによる1回の引抜きと中間
焼鈍後の仕上げ引抜きの計2回の引抜きにより直動軸受
け部材を製造可能であるが、比較例2の鋼を使用した場
合、高周波焼入時に均一な焼入組織が得られず、直動軸
受けの寿命を著しく低下させる可能性がある。
【0023】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明による化学成
分組成の鋼を熱間圧延後、AC1点〜800℃の温度を最
高点温度とし、その後徐冷する球状化焼鈍を行い、その
硬さを85HRB以下にすることにより、従来異形ダイ
スによる3回の引抜きと2回の中間焼鈍を経て高周波焼
入れにて製造されていた直動軸受け部材が、高周波焼入
性を低下させることなく、2回の引抜きと1回の中間焼
鈍を経るだけで高周波焼入れにて製造できるようにな
り、工程数と工程コストを削減できるという優れた効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例に示す化学成分組成のTTA線図
を示しており、各温度における保持時間ごとに硬さを測
定し、光学顕微鏡による組織観察を行うことによって、
オーステナイト化の容易さを示したものである。図中の
○印は測定点を示し、その横の数値は硬さ(HV)を示
している。
【図2】図2は比較例1に示す化学成分組成のTTA線
図を示しており、各温度における保持時間ごとに硬さを
測定し、光学顕微鏡による組織観察を行うことによっ
て、オーステナイト化の容易さを示したものである。図
中の○印は測定点を示し、その横の数値は硬さ(HV)
を示している。
【図3】図3は比較例2に示す化学成分組成のTTA線
図を示しており、各温度における保持時間ごとに硬さを
測定し、光学顕微鏡による組織観察を行うことによっ
て、オーステナイト化の容易さを示したものである。図
中の○印は測定点を示し、その横の数値は硬さ(HV)
を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60 F16C 33/12 - 33/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.36〜0.70%、
    Si:0.05〜0.15%、Mn:0.60〜2.0
    0%、Ti:0.01〜0.20%、N:<0.01
    %、B:0.0005〜0.0050%、残部Feおよ
    び不可避不純物からなる組成の鋼を熱間圧延した後、A
    C1点〜800℃を最高点温度とし、その後徐冷する球状
    化焼鈍を行い、硬さを85HRB以下とし、異形ダイス
    にて1回の引抜きを行い、中間焼鈍をした後、仕上げ引
    抜きを行い、その後高周波焼入れを行なうことを特徴と
    する直動軸受け部材の製造方法。
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