JP2914133B2 - 耐ヒートチェック性および耐塑性流動性に優れた鍛造用金型 - Google Patents

耐ヒートチェック性および耐塑性流動性に優れた鍛造用金型

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JP2914133B2 JP30415493A JP30415493A JP2914133B2 JP 2914133 B2 JP2914133 B2 JP 2914133B2 JP 30415493 A JP30415493 A JP 30415493A JP 30415493 A JP30415493 A JP 30415493A JP 2914133 B2 JP2914133 B2 JP 2914133B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐ヒートチェック性な
らびに耐塑性流動性に優れていることが要求される熱間
あるいは温間鍛造用の金型に利用するのに好適な耐ヒー
トチェック性および耐塑性流動性に優れた鍛造用金型に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、鍛造用金型は、表層部において
耐ヒートチェック性ならびに高温強度に優れていること
が特に要求され、金型全体を硬化させたり、各種炭・窒
化物を形成させることによって表層部のみを更に硬化さ
せたりすることが、諸特性の改善に有効であることがよ
く知られている。そして、そのための手法として、従来
から、焼入れ・焼戻しを行ったり、その後更にガス窒
化,イオン窒化,プラズマ窒化,塩浴窒化あるいは浸硫
窒化などの各種窒化処理を施すことが広く行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金型全
体の焼入れ・焼戻しのみでは、表層部の硬さおよび高温
強度が十分でないため、塑性流動およびそれに起因する
表面割れが発生しやすく、また、摩耗の進行が比較的早
いことなどから、廃却に至る寿命が長くは望めないとい
う問題点があった。
【0004】一方、金型に焼入れ・焼戻しを施した後更
に各種窒化処理を行った場合においては、表面にHv9
50〜1100もの硬い窒化物層が形成されるので、耐
焼付き性,耐摩耗性には優れるものの、鍛造による高温
下での繰り返し衝撃荷重および大きなせん断荷重によっ
て、窒化物層へのクラックの発生ないし窒化物層の剥
離、あるいはこれらに起因する内部へのクラック進展お
よび塑性流動などの現象によって、廃却に至る寿命が十
分とは言えないなどの問題点があった。したがって、こ
れらの問題点を解決することが課題であった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、鍛造用金型における被加工物
との接触部において、上記問題点、すなわち表層部のク
ラックの発生・進展ならびに塑性流動を起こしにくい表
面硬化層を有する鍛造用金型を提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、鍛造用金型に
おける被加工物との接触部断面において、最表面の窒化
物層厚さを0.005mm以下とし、表面から少なくと
も0.2mmまではHv750以上の硬さを有しかつ
0.1重量%以上の窒素を含有し、さらに表面から少な
くとも0.7mmまでは母材芯部硬さに比し10%以上
高い硬さを示す表面硬化層を有する鍛造用金型の構成と
したことを特徴としており、このような鍛造用金型の構
成を前述した従来の課題を解決するための手段としてい
る。
【0007】このような鍛造用金型の構成を前述した従
来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
【発明の作用】本発明は、鍛造用金型における被加工物
との接触部の断面において、最表面の窒化物層厚さが
0.005mm以下であり、最表面から少なくとも0.
2mmまではHv750以上の硬さを有しかつ0.1重
量%以上の窒素を含有し、更に最表面から少なくとも
0.7mmまでは母材芯部硬さに比し10%以上高い硬
さを示す表面硬化層を有するものとしている。
【0009】ところで、寿命に至った熱・温間鍛造用金
型について、そのヒートクラック,割れおよび摩耗の外
観形状、断面組織、硬さ変化について詳細に調査・検討
した結果、以下のことを見いだした。すなわち、金型の
寿命を向上させるためには、まず、最表面の靭性を向上
させてヒートクラックの発生・進展を軽減する必要があ
り、そのためには、最表面の窒素化合物層厚さを0.0
05mm以下にまで減少しあるいは消失させること、さ
らに、最も塑性流動現象の発生しやすい表層部から0.
2mmまでの深さにおいて塑性変形抵抗性を高めるため
にHv750以上の硬さを確保した上で高濃度の窒素を
固溶させる必要があり、その窒素量は0.1重量%以上
とすることが必要であることなどが明らかになった。そ
して、上記硬化層を支える下地としては少なくとも表面
から0.7mmまでは確保し、その硬度は母材芯部硬さ
の10%以上高い硬さを有するものとする必要のあるこ
とが明らかになった。
【0010】このような表面層を得る処理法としては、
窒化処理を行った後、金型の表面層のみを加熱して、窒
素化合物を熱的に分解させさらに窒素を内部に拡散させ
ることが必要であり、より具体的には、ガス(軟)窒
化,イオン窒化,プラズマ窒化あるいは浸硫窒化などの
各種窒化処理を行った後、高周波による表層部の加熱を
行って焼入れ処理を施すことが代表的であるが、この他
にも、窒化処理を行った後塩浴にて加熱処理する方法も
ある。
【0011】なお、本発明においては、前記の寿命向上
に有効な硬化層を得ることが主眼であり、その方法につ
いては特に限定しない、そして、本発明による硬化層を
構成することによって、表層部のクラックの発生・進展
ならびに塑性流動を起こしにくい耐ヒートチェック性お
よび耐塑性流動性に優れた鍛造用金型となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0013】<実施例1>試料として、組成が、重量%
で、C;0.5%、Si;0.1%、Mn;0.5%、
Cr;4.5%、W;1.5%、V;1.0%、Co;
1.0%、残部Feおよび不純物からなる工具鋼を大気
溶解により溶製し、直径50mmの丸棒に鍛伸した後、
870℃にて4時間の焼鈍を行った。引き続き、直径3
7mm×長さ50mmに機械加工し、真空炉にて114
0℃で30分間加熱後焼入れを行い、560℃で1.5
時間焼戻した後、塩浴にて565℃×10時間浸硫窒化
処理を行った。その後、200kHzの高周波による加
熱を行って焼入れした。その際、加熱時間を変えた試験
片を4種と、浸硫窒化処理のみの試験片2種の合計6種
を作製した。
【0014】以上のようにして作製した各試験片の断面
組織、硬さ、窒素量を測定した結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】表1において、試験片A〜Dは、浸硫窒化
後に高周波焼入れしたあと、560℃×1Hrの焼戻し
をしたものであり、試験片E,Fは、浸硫窒化処理のみ
のものである。
【0017】表1より明らかなように、試験片A,B,
Cは、いずれも最表面の窒化物層厚さが0.005mm
以下、0.2mm深さ位置での硬さが750以上、窒素
濃度0.1重量%以上であり、また、0.7mm深さ位
置での硬さは芯部硬さに比し10%以上高いものとなっ
ていて、本発明で限定する表面硬化層を有するものとな
っていた。
【0018】一方、試験片D,Eは、最表面の窒化物層
厚さが0.005mmよりも大きく、0.2mm深さ位
置での窒素濃度が0.1重量%よりも低いものとなって
いる。また、試験片Fは、最表面での窒化物層厚さが大
きいが、窒素濃度は0.1重量%以上である。
【0019】また、これらの試験片の軟化抵抗を調査す
るため、650℃×1Hrで焼戻しを行い、表面から
0.2mm深さ位置での硬さと焼戻し前の窒素濃度との
関係を調査した。その結果、図1に示すように、650
℃での焼戻し前の0.2mm深さ位置での窒素濃度の増
加とともに焼戻し後の硬さが上昇し、試験片A,B,
C,Fは、試験片D,Eに比べてかなり高い値を示すこ
とが分かった。
【0020】次に、以上の試験片A〜Fについて、ヒー
トチェック性を評価するためにヒートサイクル試験を行
った。このヒートサイクル試験では、ヒーターにて50
0〜600℃に加熱したブロックによって試験片を一定
時間加熱し、水噴射によって冷却するサイクルを繰り返
すことによって、試験片の接触面に発生したクラックの
単位面積当たりの総長さを測定した。その結果を図2に
示す。
【0021】図2より明らかなように、本発明で限定す
る表面硬化層を有する試験片A,B,Cは、最表面の窒
化物層厚さが0.005mmより大きい試験片D,E,
Fの場合に比べてクラック総長さが著しく小さいことが
分かった。
【0022】以上により、本発明で限定する表面硬化層
を有する試験片A,B,Cは、高温焼戻し硬さ、すなわ
ち耐塑性流動性および耐ヒートチェック性にきわめて優
れるものであることが確認できた。
【0023】<実施例2>等速ジョイントのアウターレ
ース温間鍛造用工法押出しパンチ(実施例1の試験片と
同一組成を有するもの)について、焼入れ・焼戻しを行
った後、実施例1での試験片Cと全く同一の条件にて浸
硫窒化処理ならびに高周波焼入れ処理を行った。このよ
うにして作製した金型と、比較のため浸硫窒化処理のみ
として作製した金型の2種類を用いて、その廃却に至る
までの寿命の比較テストを行った。
【0024】鍛造条件 鍛造温度:約700℃ 被鍛造材:S55C鋼 パンチ形状:直径84mm×長さ250mm このテスト結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2に示した結果より明らかなように、本
発明で限定する表面硬化層を有する本発明処理品は、型
寿命においても従来の浸硫窒化処理品に比べ20%程度
向上することが確認できた。
【0027】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明では、
鍛造用金型における被加工物との接触部断面において、
最表面の窒化物層厚さを0.005mm以下とし、表面
から少なくとも0.2mmまではHv750以上の硬さ
を有しかつ0.1重量%以上の窒素を含有し、さらに表
面から少なくとも0.7mmまでは母材芯部硬さに比し
10%以上高い硬さを示す表面硬化層を有するものとし
たから、従来の各種窒化処理のみを施したものに比べ
て、耐ヒートクラック性ならびに耐塑性流動性を著しく
向上させることが可能であって、特に耐ヒートチェック
性ならびに耐塑性流動性に優れていることが要求される
熱間あるいは温間鍛造用の金型に適したものであり、こ
の種の金型の寿命向上に多大な貢献をきたすことができ
るものであるという顕著な効果が得られる
【図面の簡単な説明】
【図1】650℃での焼戻し後の表面から0.2mm深
さでの硬さにおよぼす焼戻し前の窒素濃度の影響を示す
グラフである。
【図2】各実施例のヒートチェック試験結果においてヒ
ートサイクル数と単位面積当たりのクラック総長さとの
関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物との接触部断面において、最表
    面の窒化物層厚さを0.005mm以下とし、表面から
    少なくとも0.2mmまではHv750以上の硬さを有
    しかつ0.1重量%以上の窒素を含有し、さらに表面か
    ら少なくとも0.7mmまでは母材芯部硬さに比し10
    %以上高い硬さを示す表面硬化層を有することを特徴と
    する鍛造用金型。
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