JP2007046088A - 浸窒焼入品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉄又は鉄合金を化合物層を発生させないで、より短時間で窒素の浸透処理を行い、所望の深さの窒素拡散層を実現し、この後焼入れを行って十分に高い硬さの硬化層を得ること。
【解決手段】 容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品を配置し、その後、100Paまで真空引きした上で窒素ガスを導入し、1気圧まで復圧する。次いで炉内を720℃まで昇温した上で、アンモニアガス及び窒素ガスを、前者は4l/minの流量で、後者は1m3/hの流量で、継続的に導入した。同時に排気口から使用済みガスの排気を継続的に行った。それらの条件を維持しつつ20分経過した後、炉内から被処理品を取り出して、油温を80℃に調整してある油冷装置に直ちに投入し、被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出した。その後は被処理品を室温まで空冷した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鉄又は鉄合金の製品であって、所定濃度の窒素拡散層を備え、かつ焼入処理を施した浸窒焼入品及びその製造方法に関するものである。
鉄又は鉄合金の各種製品に窒素を浸透拡散させた後に焼入を行う焼入方法としては二つの提案がある。
その一例は、鋼製部品を、Fe−N系のA1変態点である590℃未満の温度でガス軟窒化処理した後、該鋼製部品を590℃以上でその鋼に特有のA1変態点未満の温度範囲に加熱して窒素の拡散層を部分的にオーステナイト組織化し、続いて、急冷して該オーステナイト組織をマルテンサイト組織に変えて該拡散層の硬度を高め、表面の鉄−窒素化合物層をその下方から補強するようにした鋼製部品の表面硬化処理方法(特許文献1)である。
この表面硬化処理方法によれば、最表面には鉄−窒素化合物層が、その下層に窒素の拡散層が、それぞれ形成され、後者の窒素拡散層には共析変態が存在し、その共析温度(A1変態点)が590℃まで降下することとなるため、前記ガス軟窒化処理の後に、590℃以上で対象の鋼製部品に特有のA1変態点(723℃)以下の温度に加熱すると、前記窒素の拡散層のみがオーステナイト化することとなる。従ってその後急冷することにより、表面の鉄−窒素化合物層の直下の窒素拡散層のみをマルテンサイト化し、最表面の鉄−窒素化合物層には何らの組織的変化を生じさせず、かつ窒素拡散層より芯部側にはマルテンサイト変態を生じさせないようにすることができるものであり、その意味で用途によっては優れたものであるということができる。
しかしこの特許文献1の技術では、鋼製部品の最表層に鉄−窒素化合物層を生成させるものであり、この化合物層の剥落の問題があり、その表面に衝撃を受ける可能性のある用途には用いることができない。また直ちに衝撃を受ける可能性のない用途であっても、安全性を高める趣旨からは、そのような剥落の可能性のある化合物層を有せず、同等以上の表面硬さを確保することが望ましい。
更にこの特許文献1の実施例を検討すると、その硬さは、表面でHV500前後、深さ0.5μmではHV320〜330程度、深さ1μmではHV250付近であり、目的にもよるが十分な硬さが得られているとは言い難い。
その二例は、炭素鋼の表層に窒素を浸透させることによりA1変態点を降下させて均一なオーステナイト組織をなすが、窒素の浸透しない内部はフェライト組織をなし、それを急冷すると前記オーステナイト組織はマルテンサイト組織になり硬度が上昇するが、内部はフェライト組織のままである特殊焼入処理(特許文献2)である。
この特許文献2の特殊焼入処理はより詳しくは次のように説明されている。
まずA1変態点(約723℃)以上かつ850℃以下の温度範囲で鋼を加熱し、鋼の地質をオーステナイト又はオーステナイト+フェライトの混合組織とする。ここで鋼の表面に窒素を浸透させると窒素の浸透が進むにつれて表面層のA1変態点が降下し、A1変態点は約590℃になる。従って表面層は均一なオーステナイト組織となり、内部はオーステナイト又はオーステナイト+フェライトの混合組織の状態で保持される。その後、A1変態点(約723℃)以下650℃以上の温度範囲へと徐冷すると表面層はオーステナイト組織のまま保持され、内部地質はフェライト組織に変化する。次いで急冷すると表面のオーステナイト組織はマルテンサイトに変化し、表面層のみが十分硬化し、内部のフェライト組織は変化を生じない。
この特許文献2中の記述では、表面の窒素化合物層の生成に関しては不明瞭であるが、一部に「…マルテンサイト組織にするようにした特殊焼入れ処理を施し、窒化化合物層を形成したものである」との記述がある点を考慮すると、処理の流れと整合性の取れない記述に見えるものではあるが、被処理炭素鋼の表層には窒化化合物層が生じると述べていると考えられる。
この特許文献2中の記述では処理温度のみが示され、それ以外の浸窒処理の手段が全く示されていないので、この特許文献2中では発明は未完成であると判断すべきものかもしれない。このように必要な情報が殆ど記載されていないので、正確な判断は困難であるが、本件出願人の経験及び技術知識並びに確立した技術に照らして敢えて検討してみると、前記のような処理温度で、例えば、アンモニアガスで処理したとすると、その濃度や処理時間を特別な制御方法によって制御しなければ、この特許文献2中に示された0.2〜0.3mmの厚さの焼入れ層を生成させる際には窒化化合物層が生成すると判断せざるを得ない。
そして被処理炭素鋼の表面に鉄−窒素化合物層が生成されるものであれば、先に述べたように、その剥離の問題があり、その表面に衝撃を受ける可能性のある用途に用いるのは適切ではない。また直ちに衝撃を受ける可能性のない用途であっても、安全性を高める趣旨からは、そのような剥落の可能性のある化合物層を生成する焼入処理は避けるべきである。
更にこの特許文献2中では、実施例によって得られた焼入層の硬さ等についても記述がなく、その面でも有効性の判断ができないものである。また、この特許文献2では、Fe−C系ではA1変態点以上でないと窒素が鋼中に浸透拡散しないとの前提に立っているように見えるが、これも疑問である。
以上の焼入方法の提案の他に、焼入れを伴わず、かつ化合物層を生成させない浸窒処理方法に関する若干の提案がある。
その一例は、処理対象の金型を真空チャンバー内に収納し、内部を室温状態で1.33×10-2Pa以下に保持した上で、該チャンバー内にN2ガスを導入し、400℃以上になるように加熱し、更に該チャンバー内にCO2、NH3及びN2を、CO2;4%、NH3;10%、残部;N2になるように導入して、該チャンバー内を1.33×103〜2.66×104Paに増圧調整し、加えて520℃程度に昇温し、前記処理対象の金型をこの中に10時間保持して窒化処理する金型の窒化処理方法である(特許文献3)。
この窒化処理方法では、処理対象の金型の表面には、以上の処理過程で、50μm以下の厚みの窒化硬化層が形成され、その表面硬さはHv600〜900程度を確保し、他方窒化処理に於けるガス雰囲気組成に於いてCO2を4%に抑えているため、窒化処理による硬化層には化合物層が殆ど形成されないとされている。
従って特許文献3の技術によれば、窒化処理のみで比較的高い硬さを得ることが可能であるが、これは、Crを含む合金鋼を被処理品とするためであり、硬さの点で特に優れた技術であると云うことはできない。他方、その表層に化合物層が生成されないため、その剥離の問題がないという点では優れたものであると云えるが、前記のような50μmの厚みの窒化硬化層で窒化処理に10時間と云う長時間を要するものであり、以上のように、化合物層が生成されないとしても、この厚みでこれだけ長時間を要するのであっては、焼入処理の前提の浸窒処理としても長すぎて採用し難いと云わざるを得ない。
その二例及び三例の技術として、窒化処理に於いて表層に化合物層を生成させない技術が特許文献4又は特許文献5等で提案されている。特許文献4の技術では窒化処理時間が極めて長いと云う重大な問題があり、特許文献5の技術では、予め母材の表面を活性化する活性化処理が必要であり、その後の窒化処理時間にも4時間という長時間を要すると云う問題がある。そのためいずれにしても、焼入処理の前提の浸窒処理として処理時間が長すぎたり、余計な処理が必要であったりして採用し難いと云わざるを得ない。
特開平11−50141号公報 特開平4−272520号公報 特開平11−90611号公報(3頁左欄第32行〜50行) 特開2000−334544号公報 特開2001−99502号公報
本発明は、以上の従来技術の問題点を解決し、十分に高い表面の硬度を備えた浸窒焼入品を提供すること、並びに、この浸窒焼入品を、鉄又は鉄合金の被処理品、特に炭素の含有率が0.45%以下の鉄又は鉄合金の被処理品に化合物層を発生させないで、より短時間で窒素の浸透処理を行い、また被処理品の性質により、或いは用途上の必要によりその後に短時間の炭素の浸透拡散を追加し、次いで焼入れを行って、従来の窒化処理や浸炭窒化処理等による場合より十分に高い硬さの硬化層を持ったものとして、経済的に得ることのできる製造方法を提供することを解決の課題とする。
本発明の1は、表層に窒素化合物層を有せず、表面から所定深さまで0.05〜1.50%の濃度で窒素を固溶させた窒素拡散層を備え、かつ焼入処理を施した浸窒焼入品である。
本発明の2は、処理対象の鉄又は鉄合金の被処理品を密閉された炉内に装入し、次いで浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入し、かつ該ガスの導入に前後して該炉内を600〜800℃の浸窒温度に昇温させ、更に該被処理品を該浸窒温度にまで昇温させた後、該浸窒温度を維持しつつ、該炉内にアンモニアガスを、単独で又は浸窒処理に悪影響を与えないガスと共に、かつ該被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるべく制御しつつ導入して浸窒処理し、該被処理品に表面から窒素を浸透拡散させた上で、該炉内から該被処理品を取り出し、急冷して焼入を行うことにより、本発明の1の浸窒焼入品を製造する浸窒焼入品の製造方法である。
本発明の3は、本発明の2の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記被処理品を密閉された炉内に装入した後、該炉内を減圧し、所定の高真空状態を生成した後、前記浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入して1気圧まで復圧し、かつ該ガスの導入に前後して該炉内を600〜800℃の前記浸窒温度まで昇温させることとしたものである。
本発明の4は、本発明の2又は3の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記被処理品に於ける窒素の浸透深さを、前記浸窒処理の時間の長さにより調整することとしたものである。
本発明の5は、本発明の2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、前記浸窒温度を維持しながら該炉内を減圧し、所定の高真空状態を生成させて該被処理品に表面から浸透拡散させた窒素を更に拡散させることとしたものである。
本発明の6は、本発明の2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、前記アンモニアガスの導入を停止し、前記浸窒温度を維持しながら該炉内に浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させて該被処理品に浸透拡散させた窒素を更に深く拡散させることとしたものである。
本発明の7は、本発明の2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとしたものである。
本発明の8は、本発明の2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、該炉内を減圧して高真空状態を生成し、かつ減圧した炉内に不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとしたものである。
本発明の9は、本発明の5の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記炉内に所定の高真空状態を生成させて前記被処理品に表面から浸透拡散させた窒素を更に拡散させた後、該炉内を浸窒処理及び浸炭処理に悪影響を与えないガスを導入して復圧した後、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとしたものである。
本発明の10は、本発明の6の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記炉内に浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させて前記被処理品に浸透拡散させた窒素を更に深く拡散させた後、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとしたものである。
本発明の11は、本発明の請求項5の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記炉内に所定の高真空状態を生成させて前記被処理品に表面から浸透拡散させた窒素を更に拡散させた後、減圧した炉内に不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとしたものである。
本発明の12は、本発明の6の浸窒焼入品の製造方法に於いて、前記炉内に浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させて前記被処理品に浸透拡散させた窒素を更に深く拡散させた後、該炉内を減圧して高真空状態を生成し、かつ減圧した炉内に不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとしたものである。
本発明の1の浸窒焼入品によれば、耐摩耗性及び耐食性に優れた高硬度の硬化層を備え、かつ衝撃によっても容易に表層が剥落することのない品質の良好な浸窒焼入品を提供することができるものである。
本発明の2の浸窒焼入品の製造方法によれば、鉄又は鉄合金の被処理品に、化合物層を発生させずに、その全体を含む所望の深さ(厚さ)の窒素拡散層を形成し、これを焼入れすることにより、極めて容易に表層の硬度がHV700以上の硬さの焼入れを実施することができる。
一般に、化合物層を生じさせず、窒素を固溶させるのみでは、最大でもHV200程度の硬さしか得られないとされ、そのため、アルミニウム(Al)やクロム(Cr)を添加した窒化用鋼が提供されているが、本発明では、これらの高価な材料を用いることなく、低廉な鉄又は鉄合金、特に低炭素鋼を用いて同様な表面硬さを得ることができる焼入れを容易に実施することができる。
またその浸窒処理は、既存のガス窒化やガス軟窒化処理と比べて若干高い温度での処理となるが、同様な厚みの窒素拡散層を得ることを前提とすると、その処理時間はこれらと比べて極めて短い、例えば、1/2.5〜1/50程度の時間である利点を有する。またそれらと比べて極めて少ないアンモニアガスの使用量(多くても1/16以下程度)で処理を完了することができるものでもある。
この浸窒処理では、処理時間を適切に設定することにより、被処理品の全体にわたって窒素を拡散させることも可能であり、それ故、必要に応じて、これを実施し、その後、前記温度から、或いは後述するように、一定温度まで被処理品の温度を下げてから急冷することで、全体にわたって焼き入れを施すことも可能となる。
またこの浸窒処理では、浸窒温度を前記のように設定し、かつアンモニアガスを被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるべく制御しつつ導入して浸窒処理することとしたため、例えば、被処理品の全体に窒素を拡散させるような比較的長い時間の浸窒処理を行った場合であっても、表層には剥離の虞のある化合物層を生じさせることはない。要するに、この浸窒処理では、時間の長短に関わらず化合物層を発生させることはない。またこのような濃度で窒素を拡散させるものとしたため、被処理品の焼入によって得られる硬度を十分なそれに高めることができる。窒素の被処理品中への拡散の濃度を0.2〜0.85%内にすれば、被処理品の焼入硬度をより一層高めることができる。
被処理品中への窒素の拡散濃度の調整は、具体的には、浸窒処理の時間、炉内に導入するアンモニアガスの単位時間当たりの量、及び浸窒温度を調整することで行うことができる。なおこれは、被処理品に焼入に寄与する種々の添加元素が含まれているか否かに拘わらない。
更に、浸窒処理を経て生成した窒素の拡散領域は、Fe−C系の鋼のオーステナイト化温度域に比べてその温度域が130℃程度低下するため、該浸窒処理に続いて、その処理温度である600〜800℃から更に加熱するような処理を必要とすることなく、直ちに急冷して浸窒処理によって生じている窒素の拡散層のみをマルテンサイト化し、被処理品の全体を含めて、必要な深さ、かつ硬さの硬化層を得ることができる。なお、このとき、前記処理温度が前記温度範囲の中で高いレベルにあった場合は、変形を少なくするため、被処理品の温度を一旦焼入可能な範囲内の適当な温度まで下げ、均熱処理した上で、急冷することとすることができるのも云うまでもない。また窒素の拡散領域のMs点は浸炭焼入に比べて高く焼入性がよい。
こうして本発明の2の浸窒焼入品の製造方法によれば、被処理品の表層から、必要に応じて、全体を含む必要な深さまで高硬度な窒素マルテンサイトを生成させることにより、耐摩耗性及び耐食性に優れた硬化層を生成させることができる。また、前記のように、浸窒処理を経て生成した窒素の拡散領域は、オーステナイト化温度域がFe−C系の鋼のそれより低いため、焼入温度が低下し、結果として焼入変形の減少に寄与することもできることになる。
浸炭焼入では、スーティング(Sooting)したり、洗浄不良の油が焼き付いたりして、仕上肌が問題になることがある。またガス軟窒化では浸炭焼入以上に、前工程での加工油や防錆油の影響を受け、窒化不良や仕上肌不良の問題が発生している。これに対して、本発明の2の浸窒焼入品の製造方法によれば、窒素ガス等の浸窒処理に悪影響を与えないガスとアンモニアガスしか用いていないので、スーティングの虞はなく、前記のように、ガス軟窒化よりも高温の処理であるため、被処理品の表面が活性化し、前工程の影響が受けにくくなり、結果として仕上肌が良好になるものでもある。
本発明の3の浸窒焼入品の製造方法によれば、炉内の空気をできるだけ排除した後、窒素ガス等の浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入して復圧し、その復圧に前後して炉内を浸窒温度に昇温させ、その後に、アンモニアガスを導入して浸窒処理を行うものであり、不純物を含まない品質の良い浸窒焼入を行うことができる。なお浸窒温度への昇温は、前記ガスの導入による復圧に前後して行うものであり、最も早い時点では、該ガスの導入前に行うことも自由であるが、炉内の減圧状態の中で行うと、被処理品に対する加熱は殆ど輻射熱だけになるため能率は良くない。もっとも加熱開始時点が早まるため全体としての処理時間は短くなる利点がある。
本発明の4の浸窒焼入品の製造方法によれば、浸窒処理の時間を調節するという、極めて簡単な操作により、被処理品に対する窒素の浸透深さを自在に調節することができる。また、浸窒温度を前記範囲に制御し、かつアンモニアの導入を前記のように制御しておくことにより、深い(厚い)窒素の拡散層を生成させるために、長い処理時間を要することとなっても化合物層を発生させる虞がない。なお、前記浸窒時間の制御に加えて、前記温度範囲内で浸窒温度を調節することにより、より効率的に窒素の浸透深さの制御を行うことができる。
本発明の5の浸窒焼入品の製造方法によれば、浸窒処理後、急冷前に、浸窒温度を維持しながら炉内を減圧し、所定の高真空状態を生成させた上で、適当な時間これを保持することにより、該被処理品に浸透拡散させた窒素を更に拡散させ、効率よく窒素の拡散層の厚みを厚くすることが可能となる。また表層に万が一化合物が生じた場合であってもこれを拡散させ、生じた化合物を消滅させることもできる。なお、この拡散は、焼入による所定の硬度を維持するために、被処理品中に拡散する窒素の濃度を0.05%を下回らないように制御すべきである。
本発明の6の浸窒焼入品の製造方法によれば、浸窒処理後急冷前に浸窒温度を維持しながら炉内へのアンモニアガスの導入を停止し、該炉内にほぼ窒素ガス等の浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させた上で、適当な時間これを保持することにより、該被処理品に浸透拡散させた窒素を更に拡散させ、効率よく窒素の拡散層の厚みを厚くすることが可能となる。また表層に万が一化合物が生じた場合であってもこれを拡散させ、生じた化合物を消滅させることもできる。なお、この拡散も、焼入による所定の硬度を維持するために、被処理品中に拡散する窒素の濃度を0.05%を下回らないように制御すべきである。
本発明の7、9及び10の浸窒焼入品の製造方法によれば、急冷処理の前に簡単な操作による浸炭処理を挿入することにより、その要求に応じた高い硬度が容易かつ経済的に得られる。
本発明の8、11及び12の浸窒焼入品の製造方法によれば、急冷処理の前に、不飽和炭化水素による浸炭性ガスを用いた極めて短時間の浸炭処理を挿入することにより、その要求に応じた高い硬度が容易かつ経済的に得られる。
本発明の浸窒焼入品は、表層に窒素化合物層を有せず、表面から所定深さまで0.05〜1.50%の濃度で窒素を固溶させた窒素拡散層を備え、かつ焼入処理を施したものであり、またその製造方法は、基本的に、処理対象の鉄又は鉄合金の被処理品を密閉された炉内に装入し、次いで浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入し、かつ該ガスの導入に前後して該炉内を600〜800℃の浸窒温度に昇温させ、更に該被処理品を該浸窒温度に昇温させた後、該浸窒温度を維持しつつ、該炉内にアンモニアガスを、単独で又は浸窒処理に悪影響を与えないガスと共に、かつ該被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるべく制御しつつ導入して浸窒処理し、該被処理品に表面から窒素を浸透拡散させた上で、該炉内から該被処理品を取り出し、急冷して焼入を行うものである。
焼入対象の被処理品の素材としては、前記のように、鉄又は種々の鉄合金が可能であるが、特に炭素を殆ど含まない鉄材から炭素含有量が0.45%以下の鉄合金が適当である。炭素の含有割合が以上の通りであれば、他の成分の割合は殆ど問題とならない。アルミニウムやクロム或いは珪素やニッケル等が含まれていても不都合ではない。重要なのは、上記のような炭素の含有割合であり、これを越えると十分な硬さが得られなくなる。
前記したように、Cr等を含有する高価な素材も対象とすることができるが、本発明は、安価な鉄材又は低炭素鋼を用いて高価なCr等を含有する合金鋼を用いたのと同様な表面硬さを得ることができる点に特色を有している。
前記浸窒処理に悪影響を与えないガスとしては、窒素ガスが適当であり、水素ガス等も利用できる。これらの外に、種々の不活性ガスも利用可能である。
前記アンモニアガスの導入は、炉内を清浄に保持しつつ行うべきものである。前記のように、炉内への被処理品の装入後、単に該炉内に窒素ガス等の浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入して空気を追い出した上でアンモニアガスを導入することができる。前記アンモニアガスの導入は、加えて、被処理品が前記浸窒温度まで昇温した後に行われる必要がある。このような被処理品の昇温状態はできるだけ均一に行われるのが好ましい。被処理品の均一な昇温状態は、例えば、炉内に装入された被処理品の量や加熱時間等を考慮して判断することができる。
或いは、前記アンモニアガスの導入は、炉内への被処理品の装入後、該炉内を減圧して所定の高真空状態を生成して清浄化した後、前記のような浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入して1気圧まで復圧し、その後アンモニアガスを導入するとすることもできる。前記のように、アンモニアガスの導入に先だって被処理品が前記浸窒温度まで昇温している必要があるのは云うまでもない。
前記減圧による所定の高真空状態は、できるだけ高レベルにすることがその趣旨に適合するが、費用対効果の関係を考慮し、適当なレベルに設定する。具体的には、例えば、100Pa以下程度とすることが適当である。
前記アンモニアガスは、前記のように、前記被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるべく制御しつつ導入するものである。被処理品にこのような結果を生じさせるための炉内へのアンモニアガスの導入の仕方は、実験的・経験的に定めることができる。基本的には、得られた被処理品に対する処理結果からフィードバックして炉内へのアンモニアガスの導入の仕方を決定する。炉のタイプ毎にいくつかのパターンを作成しておき、これを標準としてアンモニアガスの導入の仕方を暫定的に決定し、処理結果から微調整するのが現実的である。
なおこの他、前記被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるためのアンモニアガスの導入制御は、炉内の状態の検出可能な種々の指標を基準として行うことも可能である。例えば、炉内に残留する未分解アンモニアガスの濃度を検出し、或いは分解して残留する水素の濃度を検出し、それらの個々の残留濃度の場合に被処理品に生じる処理結果からフィードバックして、それらの個々の残留濃度を生じさせるアンモニアガスの導入の仕方を決定する等のように行うことも可能である。
また前記被処理品中に拡散させる窒素の濃度は、前記のように、0.05〜1.50%となるようすべきであり、こうすることにより、その後の焼入によって得られる硬度を十分な高さに高めることができるし、更に、前記したように、被処理品に化合物層が発生するのを避けることができる。前記被処理品中に拡散させる窒素の濃度は、これを0.2〜0.85%内とすれば、より一層確実に被処理品の焼入硬度を高めることができる。
この被処理品中の窒素の濃度の調整は、前記のように、主として、炉内へのアンモニアガスの導入の仕方、例えば、単位時間当たりの導入量等を適切に設定することによって制御することができるが、加えて浸窒処理の時間や浸窒温度を調整することでも補助的な制御が可能である。
なおこのようなアンモニアガス等の導入時には炉内を所定気圧に保持すべく排気制御を行う。通常は、炉内を1気圧に保持すべく排気制御を行うこととする。これは、後述するように、追加的に浸炭処理を行う場合等も同様である。
炉内の浸窒温度への昇温は、前記したように、窒素ガス等の浸窒処理に悪影響を与えないガスの導入に前後して行うべきものであり、被処理品の炉内への装入の完了後は何時でも開始可能である。昇温開始は該ガスの導入前後のどの時点でも自由であり、前記のように、炉内を減圧する場合は、減圧前、減圧中、減圧後の何時の時点に開始することも自由である。先に述べたように、炉内を減圧した後、該ガスで復圧する前に昇温を開始した場合は、殆ど輻射熱による加熱しか期待できないので、加熱の能率は高くはない。
前記浸窒温度は、前記のように、600〜800℃の温度範囲である。この浸窒温度は窒素の拡散のし易さに関係し、浸窒温度は高い方が高速度で窒素拡散層を得ることができる。従ってその意味では高ければ高いほどよいことになるが、800℃を越えると、焼入後にHV700以上の硬さが得られなくなるので、この温度が限度である。600℃は必要な濃度の窒素拡散層を得るための下方の限界である。また必要な拡散層の深さを許容し得る速度で得るための下方の限界でもある。いずれにしてもこの浸窒温度は浸窒処理中、前記温度範囲で、一定に維持する。
浸窒時間、即ち、前記のようなアンモニアガス導入条件で導入した雰囲気中に被処理品を置く浸窒時間は目的とする浸窒深さに対応して決定することができる。前記の導入条件、即ち、アンモニアガスを、該被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるべく制御しつつ炉内に導入すれば、前記のように、時間の長短に関わらず被処理品に化合物層を生じさせる虞はない。
従ってアンモニアガスの導入の仕方及び浸窒温度をそれぞれ前記所定の条件又は範囲で決定した後、それらによって決まる窒素の浸透速度を前提に浸窒時間を設定することにより、窒素の浸透深さを自由に設定することができる。また各々前記条件内のアンモニアガスの導入の仕方かつ前記範囲の浸窒温度での処理であれば、高速度での窒素の浸透拡散が可能であるため、例えば、被処理品が3〜4mm程度の厚さの素材であって、その芯部までの浸透拡散が求められている場合であっても短時間でそれが可能となる。
浸窒処理の完了後は、前記のように、直ちに急冷して焼入を行う。又は浸窒処理の完了後、炉内を浸窒温度に維持しながら更に減圧して所定の高真空状態を生成させ、一定の拡散時間これを保持した後に急冷して焼入を行う。或いは、浸窒処理の完了後、浸窒温度に維持しながら炉内へのアンモニアガスの導入を停止し、該炉内に殆ど窒素ガス等の浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させ、一定の拡散時間これを保持した後に急冷して焼入を行う。
通常は、直ちに急冷して焼入を行うことで不都合はない。特に、該被処理品の表層に浸透させた窒素を更に拡散させたい場合、或いは万が一若干の化合物層が生じた虞のある場合には、焼入前にこのような真空中での拡散処理又は前記窒素ガス等の雰囲気中での拡散処理を行うのが適当である。万が一、前記のように若干の化合物層が生じたとしても、該化合物を構成する窒素が前記高真空中で又は前記ガス雰囲気中で拡散して、これを消滅させることが可能となる。
以上の急冷は、前記アンモニアガスによる浸窒処理のみの場合及びその後に前記真空中の拡散処理又は前記ガス中の拡散処理を追加した場合のいずれの場合であっても、それらの処理温度が、前記温度範囲の中で高レベルで行われた場合は、被処理品の変形を少なくするため、その温度を一旦焼入可能な一定温度まで低下させ、均熱処理した上で、急冷することとすることも可能である。
なお被処理品の急冷処理は、炉内が減圧してある場合は、炉内での処理に悪影響を与えないガスを導入して復圧した上で被処理品を取り出し、炉内に汚れた空気等を導入しないように配慮すべきである。或いは、このとき焼入室を同様に減圧して、炉内からの被処理品の取り出し時に該炉内に焼入室の空気等を導入しないようにする等の同様の配慮をし、更に同時に焼入室に於ける良好な焼入処理を実現するように配慮することとすることもできる。
前記急冷はMs点まで行い、この後は徐冷する。本発明の実施過程では、前記のように、A1変態点が590℃前後まで低下し、一方でMs点が上昇するため、焼入は比較的容易に行われる。この急冷のための冷却剤としては、一般の例に従い、水又は油、或いは適当なポリマー焼入液を水に混合して構成したそれを採用することが可能である。前記のように、A1変態点が低下し、Ms点が上昇していることから、空冷でも短時間の冷却が可能であり、有効性が認められる。こうして前記被処理品の表層又は全体にわたる窒素拡散領域はオーステナイト組織からマルテンサイト組織に変化し、HV700以上の硬さが得られることになる。
なお、前記したように、このような素材に窒素が浸透して拡散すると、その拡散層のA1変態点が下降し、窒素の含有濃度が2%になると590℃程度まで低下することが知られている。また窒素が浸透した拡散領域ではMs点が上昇することも知られている。
従って本発明の以上の処理では、600〜800℃の範囲の温度で行われる浸窒処理の過程で、窒素の浸透拡散した拡散領域はA1変態点がその窒素含有濃度に応じて低下し、該浸窒処理の過程でオーステナイト組織に変化する。他方、窒素の拡散していない領域はフェライト組織を維持し、前記温度範囲の温度でオーステナイト化することは殆どない。そのため、前記急冷過程を経て窒素の拡散領域のみがマルテンサイト化し、必要な硬さを得ることができることになる。そしてMs点が上昇しているため、急冷処理が容易に行え、空冷による焼入も可能である。
またこのような本発明の浸窒焼入によって硬化層の硬さをHV700以上とすることができる。
なお、硬化層の硬さを一層高める要望のある場合は、前記浸窒処理が完了して被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させる処理工程を挿入するか、または該炉内を減圧して高真空状態を生成し、不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させる処理工程を挿入することができる。勿論、これらの浸炭処理工程の前に、前記浸窒処理の過程で拡散させた窒素を更に拡散させる真空中又は窒素雰囲気中の処理工程を挿入追加しても良いのは云うまでもない。
前記浸炭処理は、前段の過程でまず被処理品に窒素を浸透拡散させてFe-N系に変換し、Fe-C系よりもA1変態点を降下させることにより、オーステナイト領域を低温側に広げた上で、浸炭性ガスを前記炉内に導入して炭素を浸透拡散させ、浸窒領域に更に炭素を浸透させて浸窒浸炭領域を生成させ、この後急冷してその領域を一層硬度高く硬化させようとするものである。
それらの処理は、より詳しく述べると、各々以下の通りとするのが適当である。
まず前者の浸炭処理は、前記浸窒処理の完了後、例えば、浸炭性ガスとしてプロパンガスを採用し、前記炉内を前記浸窒温度に維持したまま、前記アンモニアガスに代えて該プロパンガスを導入して必要な時間これを継続し、浸窒処理した被処理品に更に炭素を浸透拡散させるものである。その後の工程は既述の通りであり、被処理品を該炉から取り出し、急冷して該被処理品の表面から一定の深さ又は芯部までの浸窒浸炭領域を硬化させるのは云うまでもない。
また後者の浸炭処理は、前記浸窒処理の完了後、例えば、前記不飽和炭化水素としてアセチレンガスを採用し、炉内を前記浸窒温度に維持したままで減圧し、いったん高真空状態を生成させた後、アセチレンガスを炉内に数秒から数10秒間程度の短時間噴出供給し、引き続いて100数十秒間の減圧処理を行うサイクルを適当な回数繰り返して、浸窒処理した被処理品に更に炭素を浸透拡散させるものである。その後の工程は、当然、この場合も既述の通りであり、被処理品を該炉から取り出し、急冷して該被処理品の表面から一定の深さ又は芯部までの浸窒浸炭領域を硬化させるものである。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧に復圧した後、炉内を20分で720℃まで昇温した。更に20分の経過後に720℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。このときアンモニアガスの導入は4l/minの流量で、窒素ガスの導入は1m3/hの流量で、それぞれ行った。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に制御すべく行った。アンモニアガスと窒素ガスの上記導入と上記使用済みガスの排気と720℃の炉内温度とをそれぞれ継続して20分経過した後、炉内から該被処理品を取り出して、油温を80℃に調整してある油冷装置に直ちに投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出した。その後は該被処理品を室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について、顕微鏡観察及び硬さ試験を行った。
顕微鏡観察は、処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備した。この観察面の観察の結果、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。なお観察面の腐食処理を3%ナイタールで行ったところ硬化層は白色のままで、5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるほどであり、耐食性も十分であると判断できる。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、表面から心部側への硬さ分布を調べた。この結果、表面硬度はHV846であり、深さ28μmの部位の硬度はHV500であった。硬化層の厚みをその硬さがHV500になった部位までの厚みとすると、この実施例1の被処理品は、その表面硬化層の深さが28μmであるということができる(以下同じ)。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.70%であった。前記のように、この窒素濃度では化合物層は発生していない。
以上の実施例に於けるアンモニアガスの使用量は80lであり、これと同様の硬度は得られないが、同様の厚みの硬化層を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較して使用量は1/37以下程度であり、かつ処理時間も1/4以下程度の極めて短いものとなった。それ故ランニングコストを大幅に低減できるものであり、更に排ガスが窒素ガスであるため環境負荷も小さいものになっている。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧に復圧した後、炉内を22分で780℃まで昇温した。更に20分の経過後に780℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは8l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口から使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に制御すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガスの上記各流量での導入と使用済みガスの排気と780℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に炉内から該被処理品を取り出して、油温を80℃に調整してある油冷装置に直ちに投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出した。その後は該被処理品を室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV835、深さ63μmの部位の硬度はHV500であり、その表面硬化層の深さは63μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.80%であった。前記のように、この窒素濃度でも化合物層は発生していない。
更にこの実施例の場合のアンモニアガスの使用量は240lであり、これと同様の厚みの硬化層(硬度は低いが)を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較して使用量は1/12以下程度であり、かつ処理時間も1/2.6以下程度の極めて短いものとなった。それ故、実施例1と同様に、ランニングコストを大幅に低減できるものであり、更に排ガスが窒素ガスであるため環境負荷も小さいものになっている。
この実施例2の処理済み品を実施例1のそれと比較すると、浸窒温度を実施例1の720℃に対して780℃と若干高く設定したが、表面硬度は僅かに低下した。他方、アンモニアの単位時間当たりの導入量を実施例1の4l/minに対して8l/minと2倍に設定し、時間を20分から30分と10分間延長したが、HV500の限界深さは2倍以上になった。浸窒温度が720℃を越えて高くなると、表面硬度が低下する傾向が認められ、アンモニアガスの流量を高めること及び時間を延長することによってはHV500の限界深さを深くする傾向が認められた。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧まで復圧した後、炉内を18分で680℃まで昇温した。更に20分の経過後に680℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは4l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に保持すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガスの上記各流量での導入と使用済みガスの排気と680℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に炉内から該被処理品を取り出して、油温を80℃に調整してある油冷装置に直ちに投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで該油冷装置から取り出した。その後は該被処理品を室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV762、深さ26μmの部位の硬度はHV500であり、その表面硬化層の深さは26μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.68%であった。この窒素濃度でも、前記のように、当然化合物層は発生していない。
更にこの実施例の場合のアンモニアガスの使用量は120lであり、これと同様の厚みの硬化層(硬度は低いが)を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較した結果は、1/25程度と、実施例1のそれと同様に、極めて少ないものとなっている。
この実施例3の処理済み品を実施例1のそれと比較すると、処理温度を720℃から40度低く設定し、他方、処理時間を20分から30分に10分間延長したが、その結果は、表面硬度がHV762となっており、十分な硬度ではあるが、実施例1よりはかなり低い結果となった。単位時間当たりのアンモニアガスの導入流量は同様の設定であるが、時間が10分延びたので、総量は1.5倍となっている。この結果及び実施例2の結果から見ると、浸窒温度が720℃程度であることが、表面硬度の面でも、HV500限界深さを深くする観点からもかなり良い温度であることが分かる。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧に復圧した後、炉内を19分で700℃まで昇温した。更に20分の経過後に700℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは8l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に制御すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガスの上記各流量での導入と使用済みガスの排気と700℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に炉内から該被処理品を取り出して、油温を80℃に調整してある油冷装置に直ちに投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出して、その後は室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV813、深さ58μmの部位の硬度はHV500となっており、その表面硬化層の深さは58μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.78%であった。この窒素濃度でも、前記のように、化合物層は発生していない。
更にこの実施例の場合のアンモニアガスの使用量は240lであり、これと同様の厚みの硬化層(硬度は低いが)を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較して、実施例2のそれと同様に極めて少ないものとなっている。
この実施例4の処理済み品を実施例1のそれと比較すると、浸窒温度が720℃に対して700℃と20度程低い設定であり、表面硬度はHV813と若干低下している。もっともこの硬度は実施例3の浸窒温度680℃の結果であるHV762よりはかなり高い値である。上記実施例3の結果及び前記実施例2の結果を勘案すると、浸窒温度720℃付近が、得られる被処理品の表面硬度のピークであり、それより高い温度になっても低い温度になっても、徐々に表面硬度は低下していく傾向にあると判断できる。
またHV500の限界深さは、この実施例4では、58μmであり、浸窒時間が20分の実施例1より10分程長いことにより2倍以上の深さとなっている。同じ浸窒時間の実施例2が63μmとこの実施例4の8%増し程度の深さになっているが、これは浸窒温度が80度ほど高いことと関係していると考えられ、これらを勘案すると、温度が高く時間が長ければ、HV500限界深さは深くなっていくことが分かる。もっとも温度が限度を超えて高くなれば、表面硬度が低下してくるので、HV500限界深さは、許容される温度範囲で時間を制御することで得られる、と考えるのが適当である。
容量4m3の炉内にS45C素材の被処理品(厚さ3.2mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧に復圧した後、炉内を23分で800℃まで昇温した。更に20分の経過後に800℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは8l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に制御すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガスの上記各流量での導入と使用済みガスの排気と800℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に炉内から該被処理品を取り出して、直ちに油温を80℃に調整してある油冷装置に投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出した。その後は該被処理品を室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV752、芯部でもHV752であり、全硬化状態となった。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.82%であった。前記のように、この窒素濃度でも化合物層は発生していない。
更にこの実施例の場合のアンモニアガスの使用量は240lであるが、このような全硬化をガス軟窒化又はガス窒化等により実現することはできないので比較できるレベルを越えていると云うべきである。
この実施例5の処理済み品を実施例1〜4までのそれと比較すると、得られる被処理品の表面硬度は、720℃の浸窒温度をピークとしてそれより高温方向及び低温方向のいずれに向かっても低下することがより明らかになり、更に浸窒温度を高めると、同じ処理時間でもHV500限界深さをより深くすることができることも明らかになっている。800℃まで温度を上げると、アンモニアガスの8l/minでの導入、30分の処理時間で、3.2mmの厚さの被処理品の芯部まで窒素を拡散できるものであり、高速度で窒素を拡散させることができることが分かる。また800℃の温度で30分の浸窒処理を行っても前記のように化合物層は発生していないことから、アンモニアガスの単位時間当たりの導入量を8l/minに設定すれば、この温度でも化合物層が発生しないことは明かである。
容量4m3の炉内にS45C素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧に復圧した後、炉内を19分で700℃まで昇温した。更に20分の経過後に700℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは8l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に保持すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガスの上記各流量での導入と使用済みガスの排気と700℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に炉内から該被処理品を取り出して、直ちに油温を80℃に調整してある油冷装置に投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出した。その後は該被処理品を室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV742、深さ48μmの部位の硬度はHV500であり、その表面硬化層の深さは48μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.77%であった。前記のように、この窒素濃度でも化合物層は発生していない。
更にこの実施例の場合のアンモニアガスの使用量は240lであり、これと同様の厚みの硬化層(硬度は低いが)を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較すると、実施例1のそれと同様に極めて少ないものとなっている。
この実施例6の処理済み品を実施例1〜5までのそれと比較すると、先に述べたことがより明瞭になると共に、素材の炭素含有量と処理結果との関係が明らかになっている。実施例4とこの実施例6とは同一の条件で処理したものであり、得られた被処理品の表面硬度及びHV500限界深さは、いずれも実施例4の方が優れ、実施例6の方が劣る結果となっている。実施例6の被処理品は炭素含有量が0.45%であり、その含有量の多さがこの結果を導いているものと考える。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧した。窒素ガスにより1気圧に復圧した後、炉内を21分で750℃まで昇温した。更に20分の経過後に750℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは4l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に保持すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガスの上記各流量での導入と使用済みガスの排気と750℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に、アンモニアガスと窒素ガスの導入を停止し、排気口を閉じた上で、該炉内を再度油回転ポンプで20分の真空引きにより100Paまで減圧した。次いで、アセチレンガスを炉内に22kPaの噴出圧力で10秒間噴出供給し、続いて炉内を100Paの真空状態に減圧する真空引きを140秒間継続するサイクルを8回繰り返した。その後、該炉内を窒素ガスを導入して1気圧に復圧した上で、該炉内から該被処理品を取り出して、直ちに油温を80℃に調整してある油冷装置に投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出し、その後は室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV920、深さ78μmの部位の硬度はHV500となっており、その表面硬化層の深さは78μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.70%であった。この窒素濃度でも、前記のように、化合物層は発生していない。
この実施例7の結果は、表面硬度がHV920であり、浸窒処理のみの後に急冷した実施例1〜6の内で最も表面硬度の高い実施例1のそれと比較しても74程も高く、高速での深い硬化層の生成とより高い表面硬度との双方をこれによって同時に実現できていることが分かる。またその実現のための追加処理は、この実施例では、20分間の浸炭処理であり、より詳細には、10×8=80(秒)(1分20秒)のアセチレンの噴射供給と、140×8=1120(秒)(18分40秒)の真空中に於ける拡散処理の追加であって、時間的な延長の面でも浸炭性ガスの追加の面でも経済的な負担の増加は極めて小さなものである。
また、例えば、この実施例7を、一般の浸炭窒化処理と比較してみると、一般の浸炭窒化処理でも同様な被処理品について同程度の厚みの硬化層を得ることは可能であるが、同程度の硬度を得ることは困難であり、また処理時間も多くの場合はこの実施例7のそれの5倍以上を要している。更に使用するガスも必ずしも同一ではないので比較は難しいが、一般の浸炭窒化処理では、この実施例7のガスの使用量に比べて圧倒的に多量のそれを使用しており、費用的には負担が大きい。即ち、この実施例7によれば、一般の浸炭窒化に比べても1/5以下の短い時間で、高い硬度の硬化層を経済的に得ることができたものである。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を装入し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧した。その後、窒素ガスを導入して復圧しながら該炉内の昇温を開始し、21分で750℃まで昇温した。更に20分の経過後に750℃に維持されている炉内にアンモニアガスを窒素ガスと共に継続的に導入した。アンモニアガスは6l/minの流量で、窒素ガスは1m3/hの流量で、それぞれ導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に制御すべく行った。アンモニアガス及び窒素ガス上記各流量での導入と使用済みガスの排気と750℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に、該炉内から該被処理品を取り出して、直ちに油温を65℃に調整してある油冷装置に投入し、15分の経過後で、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出し、その後は室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV709、深さ55μmの部位の硬度はHV500であり、その表面硬化層の深さは55μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.78%であった。
また表面硬化層の窒素濃度と硬度の関係を見ると、窒素濃度の最も高い0.78%の部位の硬度がHV709であり、窒素濃度がこれより低くなると徐々に硬度が増し、窒素濃度が0.63%になると、その部位の硬度がHV786となり、最も高くなっている。窒素濃度がこれより低くなると、今度は硬度が徐々に低下し、窒素濃度が0.17%になると、その部位の硬度はHV214となっている。
この実施例8の結果は、表面硬度がHV709であり、実施例1と比較して表面硬度は137程低いが、表面硬化層の深さは実施例1と比較して27μm程も深い結果となっている。これは、浸窒温度が30℃ほど高く、かつ浸窒時間が10分ほど長い時間で行われた結果であり、実施例1〜7までの結果から想定される現象を裏付けるものである。即ち、得られる被処理品の表面硬度は720℃の浸窒温度をピークとしてそれより高温及び低温のいずれに向かっても低下すること、浸窒温度を高めることにより同じ処理時間でもHV500限界深さをより深くすることができること等である。この実施例8でも化合物層が発生していないことから、この実施例8の浸窒温度(750℃)で、アンモニアの前記単位時間当たりの導入量では、前記のように、表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位でも0.78%であり、化合物層が発生しないことも明かである。
更に又以上の実施例に於けるアンモニアガスの使用量は180lであり、これより低い硬度で、かつ厚みも薄い硬化層を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較して1/16程度以下であり、かつ処理時間も1/2.5程度以下の極めて短いものとなっている。それ故ランニングコストを大幅に低減できるものであり、更に排ガスが窒素ガスであるため環境負荷が小さいものにもなっている。
また表面硬化層の窒素濃度と硬度との関係を検討すると、窒素濃度が0.63%を越えると硬度は低下し始め、別の実験例と合わせて考えると、窒素濃度が1.50%を越えると、実用的な硬度を下回ると共に、化合物の発生の問題が生じるようになる。また窒素濃度が0.63%より下回ると表面硬化層の硬度は低下し始め、0.17%で、前記のように、硬度はHV214となり、別の実験例と合わせて考えると、窒素濃度が0.05%を下回ると実用的な硬度を下回るようになる。即ち、表面硬化層の窒素濃度の上限値は1.50%であり、下限値は0.05%であると考えられる。
容量4m3の炉内にSPCC素材の被処理品(厚さ2.3mm)を配置し、次いで該炉内を油回転ポンプで20分間の真空引きにより100Paまで減圧し、その後、窒素ガスを導入して1気圧まで復圧する。1気圧までの復圧後は窒素ガスの導入を停止する。この後、炉内を21分で750℃まで昇温した。更に20分の経過後に750℃に維持されている炉内にアンモニアガスを8l/minの流量で継続的に導入した。なお同時に排気口からの使用済みガスの排気を継続的に行った。この排気は炉内を1気圧に保持すべく行った。アンモニアガスのこの流量での導入と使用済みガスの排気と750℃の炉内温度とを継続し、30分の経過後に炉内から該被処理品を取り出して、直ちに油温を80℃に調整してある油冷装置に投入し、該被処理品の温度が150℃以下になったところで取り出した。その後は該被処理品を室温まで空冷した。
この後、以上の処理済み品について実施例1と同様の観察及び試験を行った。
処理済み品の観察面を腐食液(ナイタール)で腐食して準備したところ、実施例1と同様に5%ナイタールでようやく窒素マルテンサイトが見えるようになる程であったので、耐食性は良いと判断できる。また顕微鏡による観察結果では、表層にマルテンサイト組織が確認できたが、その最表面に化合物層の存在は認められなかった。
硬さ試験はビッカース硬さ試験器を用いて、実施例1と同様に測定した。その結果、表面硬度はHV790、深さ50μmの部位の硬度がHV500であり、その表面硬化層の深さは50μmであるということができる。なお表面硬化層の窒素濃度は最も高い部位で0.63%であった。前記のように、この窒素濃度で化合物層は発生していない。
更にこの実施例の場合のアンモニアガスの使用量は240lであり、これと同様の厚みの硬化層(硬度は低いが)を得るためのガス軟窒化又はガス窒化と比較すると、実施例1のそれと同様に極めて少ないものとなっている。
この実施例9の処理済み品を実施例1〜5までのそれと比較すると、先に述べた傾向に当て嵌まるものと認められが、窒素ガスと同時にアンモニアガスを導入する各実施例に比して表面硬度及び硬化層の深さの値が若干低くなっている。もっともこのように表面硬度及び硬化層の深さの値が低くなるというのは、アンモニアガス単独で処理を行う場合に一般的な結果であるというわけではなく、ここに示していない多数の実施例とも比較検討すると、浸窒温度と導入流量の組み合わせによっては、窒素ガスと組み合わせたものを越える結果が生じる場合もある。なおいずれにしても、この実施例8の場合も、表面硬度及び硬化層の深さは、実用上十分なレベルであり、従来のガス軟窒化又はガス窒化と比較すれば十分これを越えるものとなっている。

Claims (12)

  1. 表層に窒素化合物層を有せず、表面から所定深さまで0.05〜1.50%の濃度で窒素を固溶させた窒素拡散層を備え、かつ焼入処理を施した浸窒焼入品。
  2. 処理対象の鉄又は鉄合金の被処理品を密閉された炉内に装入し、次いで浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入し、かつ該ガスの導入に前後して該炉内を600〜800℃の浸窒温度に昇温させ、更に該被処理品を該浸窒温度にまで昇温させた後、該浸窒温度を維持しつつ、該炉内にアンモニアガスを、単独で又は浸窒処理に悪影響を与えないガスと共に、かつ該被処理品中に0.05〜1.50%の濃度で窒素を拡散させるべく制御しつつ導入して浸窒処理し、該被処理品に表面から窒素を浸透拡散させた上で、該炉内から該被処理品を取り出し、急冷して焼入を行うことにより、請求項1の浸窒焼入品を製造することとした浸窒焼入品の製造方法。
  3. 前記被処理品を密閉された炉内に装入した後、該炉内を減圧し、所定の高真空状態を生成した後、前記浸窒処理に悪影響を与えないガスを導入して1気圧まで復圧し、かつ該ガスの導入に前後して該炉内を600〜800℃の前記浸窒温度まで昇温させることとした請求項2の浸窒焼入品の製造方法。
  4. 前記被処理品に於ける窒素の浸透深さを、前記浸窒処理の時間の長さにより調整することとした請求項2又は3の浸窒焼入品の製造方法。
  5. 前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、前記浸窒温度を維持しながら該炉内を減圧し、所定の高真空状態を生成させて該被処理品に表面から浸透拡散させた窒素を更に拡散させることとした請求項2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法。
  6. 前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、前記アンモニアガスの導入を停止し、前記浸窒温度を維持しながら該炉内に浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させて該被処理品に浸透拡散させた窒素を更に深く拡散させることとした請求項2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法。
  7. 前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとした請求項2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法。
  8. 前記被処理品を前記炉から取り出して急冷する前に、該炉内を減圧して高真空状態を生成し、かつ減圧した炉内に不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとした請求項2、3又は4の浸窒焼入品の製造方法。
  9. 前記炉内に所定の高真空状態を生成させて前記被処理品に表面から浸透拡散させた窒素を更に拡散させた後、該炉内を浸窒処理及び浸炭処理に悪影響を与えないガスを導入して復圧した後、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとした請求項5の浸窒焼入品の製造方法。
  10. 前記炉内に浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させて前記被処理品に浸透拡散させた窒素を更に深く拡散させた後、該炉内に前記アンモニアガスに代えて浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとした請求項6の浸窒焼入品の製造方法。
  11. 前記炉内に所定の高真空状態を生成させて前記被処理品に表面から浸透拡散させた窒素を更に拡散させた後、減圧した炉内に不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとした請求項5の浸窒焼入品の製造方法。
  12. 前記炉内に浸窒処理に悪影響を与えないガスのみによる雰囲気を生成させて前記被処理品に浸透拡散させた窒素を更に深く拡散させた後、該炉内を減圧して高真空状態を生成し、かつ減圧した炉内に不飽和炭化水素による浸炭性ガスを導入して炭素を浸透拡散させることとした請求項6の浸窒焼入品の製造方法。
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