JP3201144B2 - 金属捕集剤及び金属捕集方法 - Google Patents

金属捕集剤及び金属捕集方法

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JP3201144B2
JP3201144B2 JP12934894A JP12934894A JP3201144B2 JP 3201144 B2 JP3201144 B2 JP 3201144B2 JP 12934894 A JP12934894 A JP 12934894A JP 12934894 A JP12934894 A JP 12934894A JP 3201144 B2 JP3201144 B2 JP 3201144B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重金属を始めとする各種
金属による環境汚染を防止するために用いられる金属捕
集剤及びそれを用いた金属捕集方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、工場等の廃水中の金属により、河
川や海等が汚染されたり、ゴミ焼却の際に生じる焼却
灰、鉱山等から排出される鉱さい、廃水処理の際の中和
凝集沈澱処理や凝集剤による沈澱処理において生じる汚
泥、或いは重金属汚染を受けている土壌等に含まれる金
属が溶出して地下水、河川、海等が汚染されることが問
題となっている。特に酸性雨による重金属類の溶出は従
来経験されたことがないほどの速度と規模で進んでお
り、速いテンポで地球規模全体の汚染を促進するという
点から、重大な問題であることが認識されつつある。
【0003】従って金属、特に水銀、鉛、亜鉛、銅、カ
ドミウム、クロム等の人体に有害な重金属による汚染は
大きな社会問題となり、これらの重金属に対しては、汚
染防止の為に、特に厳しい規制が設けられている。
【0004】廃水等に含まれる金属を除去する為の方法
としては、中和凝集沈澱法、イオン交換法、イオン浮選
法、電解透析法、電解浮上法、逆浸透圧法等の処理法が
知られていたが、近年に至り、金属捕集剤を用いる処理
法が種々の利点を有するという点で注目されつつある。
この種の金属捕集剤の一つとして、脂肪族ポリジチオカ
ルバミン酸又はその塩類を含有する金属捕集剤が知られ
ている(特公昭56−39358号)。
【0005】特公昭56−39358号に記載された処
理法では、金属を含む廃水中に添加された金属捕集剤が
金属を捕集してこれを不溶化し、その結果形成されたフ
ロックを沈澱させて廃水中から分離除去する方法が採用
されている。従って、この種の処理に用いられる金属捕
集剤としては、少ない添加量で効率良く金属を捕集で
き、更にフロックの沈降速度が速く、且つフロックの容
積を小さくできるものが望まれている。
【0006】そこで金属捕集剤について種々の改良研究
がなされており、既に幾種類かの新しい金属捕集剤、更
にはその新規な使用方法が提案され、前記したフロック
の沈降速度の向上についての成果も報告されている。例
えば、金属捕集剤と高分子凝集剤とを併用して廃水に添
加したり、ポリアミン類をエピクロルヒドリン等の架橋
剤で架橋することによって金属捕集剤をさらに高分子量
化してフロックの沈降速度を高める方法等が開発されて
いる(例えば特公平4−64757号等)。
【0007】なるほど高分子凝集剤を併用するとフロッ
クの沈降速度を高めることはできるかもしれない。しか
し高分子凝集剤併用の当然の結果としてフロックの容積
が増加してしまうという問題があった。またポリアミン
類をエピクロルヒドリン等を用いて架橋して高分子量化
した金属捕集剤は、沈降速度は改善されるものの必要添
加量は低減されず、金属の捕集効率という面では不満足
な点が残されていた。
【0008】一方、焼却灰、鉱さい、汚泥、土壌等の固
体状物質中の金属を処理する方法として、従来は、これ
らの固体状物質をセメントで固化して海岸に埋め立てた
り、あるいは海洋投棄するといった方法が採用されてい
た。しかし雨水や海水と接触した際にセメント壁などを
通して土壌中や海水中に金属が溶出するおそれがあっ
た。その為最近では、金属捕集剤をこれらの固体状物質
中に添加し、金属を捕集固定化して溶出を防止する方法
が広く採用されてきている。
【0009】固体状物質の処理に適した金属捕集剤につ
いても、近年種々提案されており、例えば、分子量50
0以下のポリアミンにジチオカルボキシル基を置換基と
して導入したポリアミン誘導体と、平均分子量5000
以上のポリエチレンイミンにジチオカルボキシル基を置
換基として導入したポリエチレンイミン誘導体とからな
る金属捕集剤(特開平3−231921号)、ポリアミ
ン類をエピクロルヒドリン等の架橋剤で架橋することに
よってさらに高分子量化した金属捕集剤(特開昭64−
90083)、水溶性高分子(高分子凝集剤)を併用し
た金属捕集剤(特開平4−267982号)等が提案さ
れている。
【0010】しかしながら、これらの金属捕集剤によっ
て固定化された金属が酸性雨等の低pHの水に曝されて
も溶出しない様に、十分効果的な金属捕集効果を発揮さ
せようとすれば、金属捕集剤を比較的多く添加すること
が必要であり、処理コストが高騰するという問題があっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の如き事
情を憂慮してなされたものであって、廃水処理に利用す
る場合には、少ない添加量でも効率良く金属を捕集で
き、従ってフロックの容積を減量化することが可能であ
る様な、また固体状物質中の金属の処理に利用する場合
には、同じく少ない添加量でも効率よく且つ強固に金属
を固定化でき、従って溶出の恐れが少なくなる様な新規
な金属捕集剤を提供することを主たる目的とするもので
ある。又このような金属捕集剤を夫々の使用状況に併せ
て効率良くその効果を発揮させることができる様な金属
捕集方法の提供をも目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の金属捕集剤は、
(A)ポリアミドアミンにグラフトさせた構造を有する
ポリアルキレンポリアミン[以下ポリアルキレンポリア
ミン(A)と言うことがある]、もしくは(B)上記ポ
リアルキレンポリアミン(A)に更にエピハロヒドリン
及び水溶性多官能性エポキシ化合物よりなる群から選ば
れた少なくとも1種のエポキシ化合物を反応させて得ら
れるポリアルキレンポリアミン[以下ポリアルキレンポ
リアミン(B)と言うことがある]のいずれかに、ジチ
オカルボキシル基又はその塩をN−置換基として導入し
たものであることを要旨とするものである。
【0013】また本発明の金属捕集方法は、上記金属捕
集剤を廃水に添加して、廃水中の金属を捕集除去する
か、或は上記金属捕集剤を焼却灰、鉱さい、汚泥、土壌
などの固体状物質に添加して、固体状物質中の金属を捕
集固定化することを基本構成とする。なお固体状物質中
の金属を捕集固定化したい場合における好ましい実施態
様では、硫化ナトリウムまたは硫化水素ナトリウムを上
記金属捕集剤に併用することにより、金属の捕集効果を
向上させることが推奨される。
【0014】
【作用】本発明において使用するポリアルキレンポリア
ミン(A)及びポリアルキレンポリアミン(B)自体
は、特公昭47−4723号、特公平6−13606号
等に詳細に記載されている方法に従って合成される公知
物質である。特公昭47−4723号の記載に従うとき
は、ポリアミドアミンにアジリジン化合物を反応させる
ことにより、ポリアミドアミンにグラフトさせた構造を
有するポリアルキレンポリアミン(A)が得られる。
【0015】更に、このポリアルキレンポリアミン
(A)を、特公平6−13606号の記載に従って、エ
ピハロヒドリン及び水溶性多官能性エポキシ化合物より
なる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ化合物と
架橋反応させることによって、上記ポリアミドアミンに
グラフトした構造体が架橋されて更に高分子量化された
ポリアルキレンポリアミン(B)が得られる。
【0016】以下これを更に詳述すると、本発明におい
て使用するポリアミドアミンとは、ジカルボン酸(例え
ば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、テレフタル酸
等)に、ポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレン
トリアミン、トリプロピレンテトラミン等)を縮合させ
ることによって得られる既知物質である。また、このポ
リアミドアミンは、ジカルボン酸、ポリアルキレンポリ
アミンに加えて更にジアミン、例えば、エチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等、
および/またはアミノカルボン酸またはそのラクタム、
例えばカプロラクタム等を併用して縮合させることがで
きる。
【0017】本発明においてポリアミドアミンにグラフ
ト重合させるアジリジン化合物としては、1分子中にア
ジリジン基を1個有するもので、且つN−置換基のない
ものであれば、特に制限されることなく用いられる。ま
たこれらアジリジン化合物を2種以上用いてグラフト重
合させてもよい。このようなアジリジン化合物の具体例
としては、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレ
ンイミンなどが挙げられるが、経済上の利点及び反応性
などを総合すれば、エチレンイミンを用いることが好ま
しい。なお前記グラフト重合に際しては、アジリジン化
合物の開環重合に用いられる公知の触媒、例えば硫酸、
塩酸、燐酸、過塩素酸、有機スルホン酸、塩化亜鉛、塩
化アルミニウム、ジメチル硫酸、1,2−ジクロロエタ
ン、p−トルエンスルホン酸などが用いられるが、特に
p−トルエンスルホン酸を用いることが好ましい。
【0018】本発明において使用するポリアルキレンポ
リアミン(A)は、特公平6−13606号に記載され
ている方法によって更に高分子量化することが可能であ
る。即ちこの化合物に更にエピハロヒドリンまたは水溶
性多官能性エポキシ化合物等のエポキシ化合物を反応さ
せることによって架橋反応を行わせれば、より高分子量
のポリアルキレンポリアミン(B)が得られる。この反
応の際に用いるエピハロヒドリンの具体例としては、例
えば、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等が挙
げられるが、工業上の入手の容易性からはエピクロルヒ
ドリンを用いることが好ましい。
【0019】また水溶性多官能性エポキシ化合物として
は、分子中にエポキシ基を2個以上有し、且つ水溶性の
ものであれば制限されず、例えば、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリ
セロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグ
リシジルエーテル等の水溶性多官能性エポキシ化合物が
挙げられる。この中でも特に、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテルは、低温での反応が可能でしかも
反応が迅速に起こる為、分子量の調節が容易であるとい
う点で好ましい。
【0020】本発明において、アジリジン化合物と、ポ
リアミドアミン(エピハロヒドリン、および/または水
溶性多官能性エポキシ化合物を用いた場合はこれらの重
量も含む)との重量比は、99:1〜1:99の範囲で
使用可能であるが、好ましくは95:5〜10:90、
より好ましくは90:10〜20:80の範囲である。
【0021】前記の方法で合成したポリアルキレンポリ
アミン(A)もしくはポリアルキレンポリアミン(B)
のいずれかに、ジチオカルボキシル基またはその塩をN
−置換基として導入する手段としては、特公昭56−3
9358号等に記載されている公知の方法を用いる。即
ちポリアルキレンポリアミン(A)またはポリアルキレ
ンポリアミン(B)に、溶媒中で二硫化炭素を反応させ
ることにより、ジチオカルボキシル基がN−置換基とし
て導入された本発明金属捕集剤が得られる。更に、前記
反応終了後、アルカリで処理するか、あるいは前記反応
をアルカリの存在下で行えば、ジチオカルボキシル基末
端の活性水素がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アン
モニウム等で置換され、ジチオカルボキシル基の塩をN
−置換基として導入することができる。前記アルカリと
しては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸
化アンモニウム等を用いる。また溶媒としては、水もし
くはアルコールを用いるのが好ましく、反応は20〜1
00℃で1〜20時間加熱することによって進行する。
【0022】本発明の金属捕集剤を廃水に添加して廃水
中の金属を捕集除去する方法について説明すると、金属
を良好に捕集できるpH範囲は1〜12であり、中でも
pH=4〜9の範囲に調整することが特に望ましい。廃
水のpHを調整する為に用いる酸またはアルカリとして
は、フロックの生成を阻害しないものであれば特に制限
されないが、通常、酸としては硫酸、塩酸、硝酸等が用
いられ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム等が用いられる。
【0023】本発明の金属捕集剤を焼却灰、鉱さい、汚
泥、土壌などの固体状物質に添加して固体状物質中の金
属を捕集固定する方法について説明すると、金属捕集剤
水溶液を焼却灰、鉱さい、汚泥、土壌などの表面に散布
するだけでも良いが、これら固体状物質に添加して混練
する方法が好ましく、混練作業を容易にする為に更に水
を添加しても良い。又固体状物質中の金属を捕集固定化
する為には、pH=3〜12の範囲が好ましく、金属捕
集剤水溶液を添加した際のpHがこの範囲になるよう
に、前記の酸又はアルカリを用いて調整することが好ま
しい。
【0024】前記の焼却灰には、飛灰(フライアッシ
ュ)と残灰(ボトムアッシュ)とが含まれる。飛灰は、
ゴミや産業廃棄物等の焼却時に発生する粉状の煤塵や残
灰処理工程で使用される溶融炉から発生する煤塵を集塵
したものである。この集塵方法には種々の方法、例え
ば、電気集塵法、遠心集塵法(サイクロン法)、洗浄集
塵法(スクラバー法)、バグフィルターを用いる方法等
があり、更にこれらの方法を併用する場合もあって、多
種多様の飛灰があるが、本発明の金属捕集剤はいずれの
飛灰の処理にも利用することができる。一方残灰は、ゴ
ミや産業廃棄物等の焼却後に焼却炉内に残る灰であり、
当然に本発明の適用対象となる。
【0025】なお本発明の金属捕集剤を固体状物質中の
金属の捕集固定化に用いる場合は、金属捕集剤ととも
に、硫化ナトリウムまたは硫化水素ナトリウム(以下硫
化ナトリウム類と総称することがある)を併用添加する
ことによって、より少ない金属捕集剤量で、より強固に
金属を捕集固定化することができる。前記硫化ナトリウ
ムとしては、一硫化ナトリウム、二硫化ナトリウム、三
硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、五硫化ナトリウム
が用いられる。なお二〜五硫化ナトリウムは、多硫化ナ
トリウムとして一硫化ナトリウムと区別することができ
る。
【0026】本発明の金属捕集剤とともに一硫化ナトリ
ウム、多硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウムなどを併
用添加する場合における両者の添加重量比としては、金
属捕集剤:硫化ナトリウム類=1:99〜99:1の範
囲で使用可能であるが、特に25:75〜97:3の範
囲が好ましい。また両者を併用添加する場合の手順とし
ては、金属捕集剤と前記硫化ナトリウム類とを予め混合
してから、焼却灰、鉱さい、汚泥、土壌等に添加する
か、或は事前混合せずに別々に添加しても良いが、予め
両者を混合してから添加する方が好ましい。なお両者を
別々に添加する場合は、どちらを先に添加しても金属捕
集効果はほとんど変わらない。本発明の金属捕集剤の添
加量は、廃水を対象とする場合、廃水中の捕集しなけれ
ばならない金属イオン量に対して0.8〜1.3モル当
量の範囲が好ましく、より好ましくは0.9〜1.1の
範囲である。
【0027】一方固体状物質を対象とする場合は、これ
らの中に含まれる金属を捕集固定化するのに必要な金属
捕集剤当量の1.2〜2.5倍量の金属捕集剤を用いる
ことが好ましい。なお固体状物質を対象とする場合にお
いて、前記硫化ナトリウムを併用するときの金属捕集剤
添加量は、金属捕集剤と硫化ナトリウムの合計量とし
て、固体状物質中に含まれる金属を捕集固定化するのに
必要な金属捕集剤当量の1.2〜2.5倍量用いること
が好ましい。
【0028】
【実施例】以下実施例および比較例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。尚実施例、比較例において使用した
金属捕集剤は、以下に示す方法にて合成した。尚金属捕
集剤〜は実施例で用い、金属捕集剤、は比較例
で用いた。
【0029】金属捕集剤 撹拌機、温度計及び蒸留用冷却器を備えたフラスコに、
ジエチレントリアミン100g、アジピン酸145g及
び水50gを仕込み、アジピン酸を溶解させた後、窒素
雰囲気下で水を留去しながら190℃に3時間加熱す
る。さらに190℃で4時間脱水反応を続けた後、溶融
物を10mmHgの減圧下で140〜150℃に冷却
し、生成した高粘度ポリアミドアミンに、130℃にて
水200gを加え、ポリマー濃度50.9%のポリアミ
ドアミン水溶液を得た。次に、滴下ロート、撹拌機、温
度計及び還流冷却器を備えたフラスコに、このポリアミ
ドアミン水溶液393gを仕込み、水399g及びp−
トルエンスルホン酸8gを加え85℃に加熱する。次に
エチレンイミン200gを3時間にわたって滴下し、1
0時間反応を続けて、ガスクロマトグラフィーで残存エ
チレンイミンが1ppm以下になったことを確認して反
応終了とし、ポリアミドアミンにグラフトさせた構造を
有するポリエチレンイミンの40%水溶液を得た。尚こ
の場合のエチレンイミンとポリアミドアミンとの重量比
は50:50であった。更に40%水酸化ナトリウム水
溶液326gを加え、40℃にて二硫化炭素248gを
1時間にわたって滴下し、更に8時間反応を続けた。こ
のようにして、ポリアミドアミンにグラフトさせた構造
を有するポリエチレンイミンにジチオカルボキシル基の
塩をN−置換基として導入した金属捕集剤を得た。
【0030】金属捕集剤 金属捕集剤の合成と同様の原料及び量を用い、同様の
操作を繰り返してポリアミドアミンにグラフトさせた構
造を有するポリエチレンイミンを合成し、その40%水
溶液560gに、水193gを加えて希釈し、25℃に
て撹拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル2.8g(1.3重量%対ポリマー固形分)を加え
た。その後、25℃で8時間放置することにより、『ポ
リアミドアミンにグラフトさせた構造を有するポリエチ
レンイミンに更に水溶性多官能性エポキシ化合物を反応
させたポリエチレンイミン』の30%水溶液を得た。
尚、この場合のエチレンイミンとポリアミドアミン(多
官能性エポキシ化合物の重量も含める)との重量比は4
9:51であった。更に、金属捕集剤の合成の場合と
同様に、40%水酸化ナトリウム水溶液72.8gを加
え、40℃にて二硫化炭素138gを1時間にわたって
滴下し、さらに同温度にて8時間反応を続けた。このよ
うにして、『ポリアミドアミンにグラフトさせた構造を
有するポリエチレンイミンに更に水溶性多官能性エポキ
シ化合物を反応させたポリエチレンイミン』に、ジチオ
カルボキシル基の塩をN−置換基として導入した金属捕
集剤を得た。
【0031】金属捕集剤 金属捕集剤の合成反応において、水溶性多官能性エポ
キシ化合物であるエチレングリコールジグリシジルエー
テル2.8gの代わりに、エピクロルヒドリン2.8g
を用い、反応条件を25℃・8時間の代わりに60℃・
4時間とした以外は全く同一の方法で反応を行い、『ポ
リアミドアミンにグラフトさせた構造を有するポリエチ
レンイミンに更にエピクロルヒドリンを反応させたポリ
エチレンイミン』に、ジチオカルボキシル基の塩をN−
置換基として導入した金属捕集剤を得た。
【0032】金属捕集剤 撹拌機、温度計及び蒸留用冷却器を備えたフラスコに、
水450g及びジエチレントリアミン495gを仕込
み、80℃を超えない温度に制御しながら、アジピン酸
675g及びカプロラクタム113gを徐々に加える。
次に、窒素雰囲気下で水を留去し、120℃で2時間保
持した後、徐々に150℃に昇温し、この温度で3時間
保持する。更に、170℃に加熱し、酸価が10以下に
低下するまでこの温度に保持し、脱水反応を続ける。反
応終了後、130〜140℃に冷却し、生成した高粘度
ポリアミドアミンに、水1150gを加え、ポリマー濃
度51%のポリアミドアミン水溶液を得た。次に、滴下
ロート、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えたフラス
コに、このポリアミドアミン水溶液392gを仕込み、
水400g及びp−トルエンスルホン酸8gを加え、8
5℃に加熱する。次にエチレンイミン200gを3時間
にわたって滴下し、10時間反応を続けて、ガスクロマ
トグラフィーで残存エチレンイミンが1ppm以下にな
ったことを確認して反応終了とし、ポリアミドアミンに
グラフトさせた構造を有するポリエチレンイミンの40
%水溶液を得た。尚、この場合のエチレンイミンとポリ
アミドアミンとの重量比は50:50であった。更に、
40%水酸化ナトリウム水溶液326gを加え、40℃
にて二硫化炭素248gを1時間にわたって滴下し、更
に8時間反応を続けた。このようにして、ポリアミドア
ミンにグラフトさせた構造を有するポリエチレンイミン
にジチオカルボキシル基の塩をN−置換基として導入し
た金属捕集剤を得た。
【0033】金属捕集剤 滴下ロート、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えたフ
ラスコに、ポリエチレンイミン(平均分子量100,0
00)の40%水溶液500g及び40%水酸化ナトリ
ウム水溶液326gを仕込み、40℃にて二硫化炭素2
48gを1時間にわたって滴下し、更に8時間反応を続
けた。このようにして、ポリエチレンイミンにジチオカ
ルボキシル基の塩をN−置換基として導入した金属捕集
剤を得た。
【0034】金属捕集剤 滴下ロート、撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えたフ
ラスコに、エチレンジアミン40gと20%水酸化ナト
リウム水溶液536gを仕込み、40℃にて二硫化炭素
204gを1時間にわたって滴下し、更に4時間反応を
続けた。次に、反応溶液を大量のアセトン中に投入して
沈澱を生成させ、沈澱物を水−アセトン系で再沈澱を3
回行って精製した後、減圧乾燥してジチオカルボキシル
基のナトリウム塩をN−置換基として導入した金属捕集
剤の粉末を得た。更に、この金属捕集剤100gに硫化
水素ナトリウム50gを混合した混合物として、金属捕
集剤を得た。
【0035】実施例1〜4、比較例1〜2 鉛(II)20ppm、銅(II)10ppm、水銀(II)
5ppm、カドミウム(II)5ppmを含む廃水(pH
=5)1リットルに対し、表1に示す金属捕集剤を、そ
の添加量が50mgになるように加えた。10分間撹拌
した後、静置して30分後に生成したフロックの容積を
測定した。次に、生成したフロックを濾過して分離除去
した後、濾液中に残存する金属イオン濃度を原子吸光分
析法により測定した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】実施例5〜12、比較例3〜5 鉛12,000mg/kg、カドミウム560mg/k
g、全クロム350mg/kg、水銀5mg/kg、亜
鉛8,600mg/kg、銅34mg/kgを含有す
る、ゴミ焼却場の飛灰50gに、表2に示す金属捕集剤
水溶液もしくは金属捕集剤と硫化ナトリウム類とを表2
に示す割合で混合した混合物の水溶液を、飛灰に対する
金属捕集剤の添加量(固形分)が1.5gとなるように
添加し、70℃で20分間充分に混練した。この処理後
の飛灰と、未処理の飛灰各50gをpH=6に調整した
純水500ml中で常温にて6時間振とうして金属溶出
試験(環境庁告示第13号)を行った。水中に溶出した
金属の濃度を測定した結果を表2に示す。尚、未処理の
飛灰の溶出試験結果を参考例として表2にあわせて示
す。
【0038】
【表2】
【0039】実施例13〜20、比較例6〜8 鉛63mg/kg、カドミウム42mg/kg、全クロ
ム87mg/kg、水銀30mg/kg、銅27mg/
kgを含有する鉱さい50gに、表3に示す金属捕集剤
水溶液もしくは金属捕集剤と硫化ナトリウム類とを表3
に示す割合で混合した混合物の水溶液を、鉱さいに対す
る金属捕集剤の添加量(固形分)が0.5gとなるよう
に添加し、60℃で20分間充分に混練した。この処理
後の鉱さいと、未処理の鉱さい各50gについて前記と
同様の溶出試験を行い、水中に溶出した金属の濃度を測
定した結果を表3に示す。尚、未処理の鉱さいの溶出試
験結果を参考例として表3にあわせて示す。
【0040】
【表3】
【0041】実施例21〜28、比較例9〜11 鉛85mg/kg、カドミウム4mg/kg、全クロム
15mg/kg、水銀12mg/kg、亜鉛63mg/
kgを含有する、ゴミ焼却場の廃水処理により得られた
汚泥(含水率81%)50gに、表4に示す金属捕集剤
水溶液もしくは金属捕集剤と硫化ナトリウム類とを表4
に示す割合で混合した混合物の水溶液を、汚泥に対する
金属捕集剤の添加量(固形分)が0.1gとなるように
添加し、25℃で20分間充分に混練した。この処理後
の汚泥と、未処理の汚泥各50gを前記と同様の溶出試
験に付し、水中に溶出した金属の濃度を測定した結果を
表4に示す。尚、未処理の汚泥の溶出試験結果を参考例
として表4にあわせて示す。
【0042】
【表4】
【0043】実施例29〜36、比較例12〜14 鉛34mg/kg、カドミウム83mg/kg、全クロ
ム57mg/kg、水銀18mg/kg、亜鉛26mg
/kgを含有する、工場跡地土壌50gに、表5に示す
金属捕集剤水溶液もしくは金属捕集剤と硫化ナトリウム
類とを表5に示す割合で混合した混合物の水溶液を、土
壌に対する金属捕集剤の添加量(固形分)が0.4gと
なるように添加し、25℃で20分間充分に混練した。
この処理後の土壌と、未処理の土壌各50gを前記と同
様の溶出試験に付し、水中に溶出した金属の濃度を測定
した結果を表5に示す。尚、未処理の土壌の溶出試験結
果を参考例として表5にあわせて示す。
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】本発明の金属捕集剤は、ポリアミドアミ
ンにグラフトさせた構造を有するポリアルキレンポリア
ミン(A)、もしくはこのポリアルキレンポリアミン
(A)に更にエピハロヒドリン及び水溶性多官能性エポ
キシ化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種のエ
ポキシ化合物を反応させて得られるポリアルキレンポリ
アミン(B)のいずれかに、ジチオカルボキシル基又は
その塩をN−置換基として導入した構造を有しているこ
とにより、従来より提案されている種々の金属捕集剤に
比べて少ない添加量でも優れた金属捕集能力を有する。
【0046】従って、本発明の金属捕集剤を廃水に添加
して廃水中の金属を捕集除去する場合には、高分子凝集
剤を併用しなくても、生成するフロックの沈降速度が速
く、且つフロックの容積を減量化できる為、効率の良い
廃水処理が可能である。
【0047】一方、本発明の金属捕集剤を焼却灰、鉱さ
い、汚泥、土壌等の固体状物質中の金属の処理に使用す
る場合には、少ない添加量で効率よく強固に金属を固定
化できる為、処理後の固体状物質をそのまま、或はセメ
ントで固化した後に埋め立てあるいは海洋投棄した場合
でも、固定化された金属が再び遊離して土壌中や海水中
に金属が溶出する恐れがなく、安全に金属を固定化する
ことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B09C 1/02 C09K 3/00 108A 1/08 B09B 3/00 304K C02F 11/00 304G C09K 3/00 108 304A (72)発明者 田原 秀行 神奈川県川崎市川崎区千鳥町14−1 株 式会社日本触媒 高分子研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−81478(JP,A) 特開 昭58−61834(JP,A) 特開 昭54−123590(JP,A) 特開 昭51−249590(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/62,1/52,11/00 C09K 3/00 B09B 3/00 C08G 73/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアミドアミンにグラフトさせた
    構造を有するポリアルキレンポリアミン、もしくは
    (B)上記ポリアルキレンポリアミンに更にエピハロヒ
    ドリン及び水溶性多官能性エポキシ化合物よりなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種のエポキシ化合物を反応させ
    て得られるポリアルキレンポリアミンのいずれかに、ジ
    チオカルボキシル基又はその塩をN−置換基として導入
    したものであることを特徴とする金属捕集剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金属捕集剤を廃水に添
    加して廃水中の金属を捕集除去することを特徴とする金
    属捕集方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の金属捕集剤を焼却灰、
    鉱さい、汚泥、土壌から選ばれた固体状物質の1種また
    は混合物に添加して固体状物質中の金属を捕集固定化す
    ることを特徴とする金属捕集方法。
  4. 【請求項4】 金属捕集剤とともに、硫化ナトリウムま
    たは硫化水素ナトリウムを併用して行う請求項3に記載
    の金属捕集方法。
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