JP3611355B2 - 金属捕集剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は金属捕集剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃水等に含まれる金属、特に人体に有害な水銀、カドミウム、亜鉛、鉛、銅、クロム等の金属に対しては厳しい規制が設けられており、廃水等に含まれる金属を除去するための種々の方法が検討されてきた。
【0003】
廃水等に含まれる金属を除去する従来の方法としては、例えば中和凝集沈殿法、イオン浮選法、イオン交換法、電解浮上法、電気透析法、吸着法、逆浸透法等が知られている。しかしながら、中和凝集沈殿法では、生成した大量の金属水酸化物スラッジを処理しなければならないという作業上の問題や、廃棄したスラッジ中から金属イオンが河川、海水中等に再溶出して二次公害を引き起こしたり、廃水中の金属イオン濃度を国が制定する基準値以下にすることが容易でない等の問題があり、またイオン浮選法、イオン交換法、電解浮上法、電気透析法、吸着法、逆浸透法等の場合には、金属イオンの除去率、操作性、ランニングコスト等に問題があった。
【0004】
このため、これらの方法にかわって、金属捕集剤を用いて廃水中の金属を捕集除去する方法が広く利用されるようになっている。更に近年、金属捕集剤は廃水中の金属の捕集用としてのみの利用に限らず、ゴミ焼却場の排煙等のようなガス化した金属を含む廃ガスや、ゴミ焼却場で生じる焼却灰、鉱滓、汚泥、汚染された土壌等の如き金属を含む汚染された固体廃棄物の処理用としても利用されるようになっている。
【0005】
上記金属捕集剤としては、これまで水銀や鉛等に対して優れた吸着力を発揮する、ジチオ酸基やジチオ酸塩基を官能基として有する化合物が広く用いられており、このような捕集剤を用いた金属捕集方法としては、例えば本出願人が先に提案した、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンやポリエチレンイミン等のポリアミン類の窒素原子にジチオ酸基やジチオ酸塩基が結合した構造の金属捕集剤(特公平5−7079号、特公平5−7080号等)等が公知である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記特公平5−7079号や特公平5−7080号等に記載されているような、ジチオ酸基やジチオ酸塩基を官能基として有する金属捕集剤は、水銀、鉛、金、銀、亜鉛、カドミウム、銅、クロム等の金属に対する優れた捕集能を有している。しかしながらジチオ酸基やジチオ酸塩基を官能基とする金属捕集剤は、一般に、水銀、鉛、金、銀等のような、“ハード”な金属に対しては非常に優れた捕集能を発揮する反面、亜鉛、カドミウム、ニッケル等のような“ソフト”な金属に対する捕集能は必ずしも充分とは言えなかった。
【0007】
このため、従来は、特殊な置換基を導入したり、他のモノマーと共重合させる等により、金属捕集剤を特殊な構造として、“ソフト”な金属に対する捕集能の改善を図っていたが、このような方法では“ソフト”な金属に対する捕集能の改善効果が必ずしも充分とは言い難いとともに、置換基を導入したり共重合する反応に煩雑な操作を行うと、反応物の収率が低くなったりして、コスト高となる場合が多々あった。更に金属捕集剤は単に金属に対する反応性が良いというだけでは不充分であり、廃水処理の場合には、金属捕集剤と廃水中の金属とが反応して生成したフロックの沈降速度が速く、フロック中の含水率が少なく(生成したフロックの嵩が小さい)、フロックから金属が再溶離し難い等の性能が要求され、また固体廃棄物処理の場合には、固体廃棄物中に含まれる金属に対して金属捕集剤が迅速に反応することはもとより、処理後の固体廃棄物が雨水(特に酸性雨)等に晒された場合でも、固定化された金属が固体廃棄物中から溶出しないように強固に固定化できる等の性能が要求されるが、従来の金属捕集剤は、特に“ソフト”な金属に対しては上記の性能が不充分であった。
【0008】
更に、ジチオ酸基やジチオ酸塩基を有する金属捕集剤は、酸性下で使用すると分解して硫化水素が発生し、使用法を誤ると大きな事故につながる虞れがあった。一方、ジチオ酸基やジチオ酸塩基以外の官能基を有する金属捕集剤の場合には、硫化水素発生事故を起こす虞れはなく、また“ソフト”な金属に対する反応性はジチオ酸基やジチオ酸塩基を官能基として有する金属捕集剤よりも優れてはいるものの、金属捕集剤と金属とが反応して生成したフロックの沈殿性はジチオ酸基やジチオ酸塩基を官能基として有する金属捕集剤に比べて劣るため、廃水処理を効率良く行い得ないという問題があるとともに、“ハード”な金属の捕集能もジチオ酸基やジチオ酸塩基を官能基として有する金属捕集剤よりも劣るという問題があった。
【0009】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定構造のポリアミノ化合物の窒素原子に結合したN−置換基として、アルキレンカルボン酸基、アルキレンカルボン酸塩基、アルキレンリン酸基、アルキレンリン酸塩基、オキシム基、アミドキシム基のうちの1種又は2種以上を導入した金属捕集剤が、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の金属捕集剤は、ポリアミン類と下記化2で示される化合物とが共重合した構造のポリアミノ化合物の窒素原子に結合したN−置換基として、アルキレンカルボン酸基、アルキレンカルボン酸塩基、アルキレンリン酸基、アルキレンリン酸塩基、オキシム基、アミドキシム基のうちの1種又は2種以上を有することを特徴とする。
【0011】
【化2】
【0014】
本発明において、上記化2で示される化合物と共重合されるポリアミン類としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレンジアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、トリブチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、o-,m-,p-キシリレンジアミン、3,5-ジアミノクロロベンゼン等の芳香族ポリアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカン系ポリアミン;1-アミノエチルピペラジン、ピペラジン等のピペラジン類;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミン、ポリ−2−エチルプロピルイミン等の環状イミンの重合体;ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の不飽和アミンの重合体;ビニルアミン、アリルアミン等の不飽和アミンと、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸等及びその塩類等の、共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーとの共重合体が挙げられる。環状イミンの重合体、不飽和アミンの重合体及びその共重合体の場合、平均分子量300〜200万のものが好ましく、1000〜50万のものがより好ましい。
【0015】
また、上記ポリアミン類とエピハロヒドリンとが重縮合した重縮合ポリアミン類も使用することができる。エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、ブロモメチルオキシラン、クロロメチルオキシラン、ヨードメチルオキシラン等が挙げられる。但し重縮合ポリアミンは、1分子中に1級アミノ基、2級アミノ基が2個以上残存していることが必要である。
【0016】
上記化2で示される化合物としては、エポキシ化合物等の単独重合体又は共重合体と、エピハロヒドリンとを反応させて得られ、両末端にエポキシ基を有する化合物である。この化合物は平均分子量が50万程度以下、特に500〜20万のものが好ましい。尚、前記化2で示す一般式中における添字“m”は、化2の化合物の分子量が上記の範囲となる正の整数である。
【0017】
上記化2で示される化合物を構成するエポキシ化合物は、下記化3で示される化合物であり、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシアルカン等が例示される。
【0018】
【化3】
【0028】
更に上記ポリアミノ化合物は、ヒドロキシアルキル基、アシル基、アルキル基等をN−置換基として有するものでも良いが、1分子中に2個以上の置換基を導入し得るように、N−置換基を導入した後において、1分子中に1級アミノ基、2級アミノ基が2個以上残存している必要がある。N−ヒドロキシアルキル置換基は、上記ポリアミン類とエポキシアルカンとを反応させることにより導入することができ、N−アシル置換基は、上記ポリアミン類と脂肪酸類を反応させることにより導入され、またN−アルキル置換基は上記ポリアミン類とハロゲン化アルキルを作用させることにより導入される。N−ヒドロキシアルキル置換基は、アルキル基の炭素数が2〜28であることが好ましく、N−アシル置換基は炭素数2〜24であることが好ましい。またN−アルキル置換基は炭素数2〜18であることが好ましい。
【0029】
本発明金属捕集剤において、アルキレンカルボン酸基、アルキレンリン酸基の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0030】
本発明の金属捕集剤において、官能基であるアルキレンカルボン酸基は、例えば上記ポリアミノ化合物を、水、アルコール等の溶媒に溶解させ、これにモノクロルカルボン酸やそのエステル、或いはアクリロニトリル、メタクリルニトリル等を付加することにより導入され、またこの付加物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、或いはアンモニア等のアルカリで処理するか、上記付加反応をこれらのアルカリの存在下で行うことにより、アルキレンカルボン酸塩基を導入することができる。アルキレンカルボン酸基、アルキレンカルボン酸塩基におけるアルキレン基は、炭素数1〜3が好ましい。
【0031】
また本発明の金属捕集剤における他の官能基である、アルキレンリン酸基はポリアミノ化合物に、酸性下においてアルデヒド類と亜リン酸類とを反応させる方法で導入することができ、またアルカリ金属塩で処理することによりアルキレンリン酸塩基とすることができる。アルキレンリン酸基、アルキレンリン酸塩基におけるアルキレン基は、炭素数1〜3が好ましい。オキシム基はポリアミノ化合物にカルボン酸エステル類を反応させた後、ヒドロキシルアミンを反応させることにより導入することができ、アミドキシム基はポリアミノ化合物にシアノ化合物を反応させた後、ヒドロキシルアミンを反応させることにより導入することができる。オキシム基におけるアルキル基は炭素数1〜3が好ましい。
【0032】
本発明の金属捕集剤は上記アルキレンカルボン酸基(及び/又はその塩基)、アルキレンリン酸基(及び/又はその塩基)、オキシム基、アミドキシム基の1種を有するものであっても、これらのうちの2種以上を有するものであっても良い。これら官能基は合計して、ポリアミノ化合物の窒素原子に結合した活性水素原子に対し、5〜100%、特に20〜100%の割合で置換して導入されていることが好ましい。
【0033】
本発明の金属捕集剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。本発明の金属捕集剤は、金属イオンを含む廃水等の処理、ガス化した金属を含む廃ガス(ゴミ焼却場の排煙等)の処理、金属を含有する飛灰(EP灰、サイクロン灰バグフィルター灰等)、鉱滓、汚泥、土壌等の固体物質の処理等に利用することができる。また本発明の金属捕集剤による、廃水、廃ガス、固体廃棄物の処理に際し、トリメルカプトトリアジン又はその塩類、一硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム、二硫化ナトリウム、三硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム、五硫化ナトリウム等のポリ硫化ナトリウム等と併用することができ、これらを併用すると金属捕集効率が高められる。中でも硫化水素ナトリウム、ポリ硫化ナトリウムとの併用が好ましい。
【0034】
廃水の処理法としては、本発明の金属捕集剤を水等に溶解させて廃水に添加し、廃水に含まれる金属と本発明の金属捕集剤とが反応して生成したフロックを分離除去した後、廃水を放流する等の方法が、廃ガスの処理には、本発明の金属捕集剤の水溶液等を廃ガスに噴霧し、廃ガスの中に含まれるガス化した金属イオンを捕集剤によって捕集して廃ガスから分離除去した後、廃ガスを放出する等の方法が挙げられる。また固体状廃棄物の処理法としては、固体状廃棄物に本発明の金属捕集剤を添加し、金属捕集剤に固体状廃棄物中の金属を反応させて金属が固体状廃棄物中から溶出しないように固定化した後、固体状廃棄物をコンクリート等で固めて地中や海中に投棄する等の方法が挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。尚、以下の実施例、比較例において使用した金属捕集剤は以下の通りである。
【0036】
(1)金属捕集剤a(本発明金属捕集剤)
ポリエチレンイミン54モル%とポリエチレングリコールジエポキシドとの共重合体(MW=2300)の窒素原子に結合した水素原子と置換して導入された置換基として、エチレンカルボン酸基を有する化合物(ポリアミノ化合物中の窒素原子に結合した置換可能な水素原子に対する置換基の置換率76%)
【0039】
(2)金属捕集剤b(本発明金属捕集剤)
ポリプロピレンイミン74モル%とプロピレングリコールジエポキシドとの共重合体(MW=110000)の窒素原子に結合した水素原子と置換して導入された置換基として、アミドキシム基を有する化合物(ポリアミノ化合物中の窒素原子に結合した置換可能な水素原子に対する置換基の置換率50%)
【0043】
(3)金属捕集剤c(本発明金属捕集剤)
ポリエチレンイミン81モル%とポリプロピレングリコールジエポキシド19モル%との共重合体(MW=180000)の窒素原子に結合した水素原子と置換して導入された置換基として、メチレンカルボン酸ナトリウム塩基と、メチレンリン酸ナトリウム塩基と、オキシム基と、アミドキシム基とを、それぞれ4:1:2:4の比率で含有する化合物(ポリアミノ化合物中の窒素原子に結合した置換可能な水素原子に対する置換基の置換率65%)
【0044】
(4)金属捕集剤d(従来の金属捕集剤)
ポリエチレンイミン(MW=1200)の窒素原子に結合した水素原子と置換して導入された置換基として、ジチオ酸ナトリウム塩基を有する化合物(ポリアミノ化合物中の窒素原子に結合した置換可能な水素原子に対する置換基の置換率30%)
【0045】
実施例1〜3、比較例1
クロム3.2mg/リットル、鉛8.4mg/リットル、亜鉛2.5mg/リットル、カドミウム5.5mg/リットル、ニッケル9.2mg/リットルを含有する廃水を、表1に示す金属捕集剤を用いて処理した。金属捕集剤は廃水1リットル当たり50mgを添加し、10分間攪拌した後、静置して生成したフロックが沈降するまでの時間を測定した。また沈殿したフロックを分離除去してフロックの生成量を測定するとともに、フロック除去後の廃水中に残存する金属濃度を原子吸光分析法により測定した。これらの結果を表1に示す。分離したフロックを用い、環境庁告示13号の方法に基づいて、フロックからの金属の溶離試験を行った。結果を表1にあわせて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例4〜6、比較例2
水銀189mg/kg、亜鉛3450mg/kg、カドミウム942mg/kg、ニッケル1350mg/kg、鉄7650mg/kg、クロム4320mg/kgを含有する鉱滓を、表2に示す金属捕集剤を用いて処理した。処理法としては鉱滓100g当たりに対し、金属捕集剤の水溶液を固型分の添加量が1.6gとなるように鉱滓表面に噴霧した後、100分間放置した。処理後の鉱滓50gを、pH=7に調整した純水500ミリリットル中で、常温で60分間振とうし、水中に溶出した金属濃度を原子吸光分析法によって測定した(溶出試験A)。更に上記溶出試験A終了後の鉱滓50gを、pH=4に調整した純水500ミリリットル中で、常温で120分間振とうし、水中に溶出してきた金属濃度を原子吸光分析法により測定した(溶出試験B)。また金属捕集剤による処理を施していない未処理鉱滓についても上記と同様の各溶出試験を行った(参考例1)。これらの結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
実施例7〜9、比較例3
水銀94mg/kg、鉛1256mg/kg、亜鉛2980mg/kg、カドミウム258mg/kgを含む、ゴミ焼却場から得た飛灰(マルチサイクロン灰)50g当たりに対し、表3に示す金属捕集剤の水溶液を固型分の添加量が0.5gとなるように添加し、20分間混練した。次いでこの処理済の飛灰50gを、pH=5に調整した純水500ミリリットル中で、常温で100分間振とうし、水中に溶出した金属濃度を原子吸光分析法によって測定した(溶出試験A)。更に上記溶出試験A終了後の飛灰50gを、pH=4に調整した純水500ミリリットル中で、常温で120分間振とうし、水中に溶出してきた金属濃度を原子吸光分析法により測定した(溶出試験B)。また金属捕集剤による処理を施していない未処理飛灰について同様の各溶出試験を行った(参考例2)。結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
実施例10〜12、比較例4
鉛1350mg/kg、クロム958mg/kg、鉄1095mg/kg、亜鉛24mg/kg、カドミウム1320mg/kgを含有する汚泥(含水率74%)70gの表面に、表4に示す金属捕集剤水溶液を固型分の添加量が0.1gとなるように吹き付け混練した後、80分間放置した。放置後の汚泥50gを、pH=6に調整した純水500ミリリットル中で、常温で100分間振とうし、水中に溶出した金属濃度を原子吸光分析法によって測定した(溶出試験A)。更に上記溶出試験A終了後の汚泥50gを、pH=4に調整した純水500ミリリットル中で、常温で120分間振とうし、水中に溶出してきた金属イオン濃度を原子吸光分析法により測定した(溶出試験B)。また金属捕集剤による処理を施していない未処理汚泥についても同様の各溶出試験を行った(参考例3)。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
実施例13〜15、比較例5
水銀92mg/Nm3 、カドミウム34mg/Nm3 、ダスト5.8mg/Nm3 を含む排煙に、表5に示す金属捕集剤の水溶液を、3mg/時間(固型分として)の割合で煙路中に噴霧し、バグフィルターにて捕集した。金属捕集剤水溶液を噴霧処理後の排煙中に残留する水銀、カドミウムを吸収液に吸収させた後、各金属濃度を原子吸光分析法により測定した。結果を表5に示す。
【0054】
実施例16〜19 、比較例6
水銀221mg/kg、カドミウム534mg/kg、鉛29mg/kg、クロム2850mg/kg、鉄1390mg/kgを含有する汚染された土壌(含水率15%)90gの表面に、表6に示す金属捕集剤水溶液を固型分の添加量が1.3gとなるように吹き付け混練した後、80分放置した。放置後の土壌50gを、pH=6に調整した純水500ミリリットル中で、常温で100分間振とうし、水中に溶出した金属濃度を原子吸光分析法によって測定した(溶出試験A)。更に上記溶出試験A終了後の土壌50gを、pH=4に調整した純水500ミリリットル中で、常温で120分間振とうし、水中に溶出してきた金属濃度を原子吸光分析法により測定した(溶出試験B)。また金属捕集剤による処理を施していない未処理土壌についても同様の各溶出試験を行った(参考例4)。結果を表6に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の金属捕集剤は、ジチオ酸基やジチオ酸塩基等の含硫黄官能基を有さないため、従来のジチオ酸基及び/又はジチオ酸塩基を有する金属捕集剤のように、誤って酸性下で使用しても硫化水素、二硫化炭素等の硫黄化合物が発生する危険がない。
【0058】
また従来、ジチオ酸基やジチオ酸塩基を有さない金属捕集剤は、水銀等の吸着性が充分ではないとともに、廃水処理に用いた場合に金属捕集剤が金属と反応して生成したフロックの沈殿性に問題があったが、本発明の金属捕集剤は、特定構造のポリアミノ化合物の窒素原子に結合したN−置換基として、アルキレンカルボン酸基、アルキレンカルボン酸塩基、アルキルリン酸基、アルキルリン酸塩基、オキシム基、アミドキシム基より選ばれた1種又は2種以上という特定の置換基を有していることにより、ジチオ酸基やジチオ酸塩基を有していないにもかかわらず、水銀や鉛等の“ハード”な金属に対して従来の金属捕集剤と同等の捕集能を発現するとともに、従来の金属捕集剤が苦手としていた、亜鉛、カドミウム、ニッケル等のような“ソフト”な金属に対する捕集能にも優れている。
【0059】
更に本発明の金属捕集剤は、“ソフト”な金属を含有する廃水を処理した場合でも、フロックの沈降性が良好で、フロックの含水率も小さく、フロックからの金属イオンの再溶離が生じ難い等の効果を有する。また廃ガスや固体廃棄物を処理した場合、廃ガス中の金属を金属捕集剤が捕集して生成した固型物や、金属捕集剤によって固定化した固体廃棄物中の金属が溶出しないように、金属と強固に結合するため、廃水、廃ガス、固体状廃棄物を効率良く処理できる。
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