JP3201046B2 - 光音響信号検出方法及び装置 - Google Patents

光音響信号検出方法及び装置

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JP3201046B2
JP3201046B2 JP03010993A JP3010993A JP3201046B2 JP 3201046 B2 JP3201046 B2 JP 3201046B2 JP 03010993 A JP03010993 A JP 03010993A JP 3010993 A JP3010993 A JP 3010993A JP 3201046 B2 JP3201046 B2 JP 3201046B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光音響効果を利用し
て、試料の表面及び内部情報を検出する光音響信号検出
方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光音響効果(Photoacoustic Effect)
は、1881年チンダル(Tyndall)、ベル(Bell)、
レントゲン(Rentogen)らによって発見された。即ち、
図31に示すように、強度変調した光(断続光)19を
励起光として、レンズ5により試料7上に集光して照射
すると、光吸収領域Vop21において熱が発生し、熱拡
散長μs22で与えられる熱拡散領域Vth23を周期的
に拡散し、この熱歪波によって弾性波(超音波)が発生
する現象である。上記超音波、即ち光音響信号をマイク
ロホン(音響電気変換器)や圧電素子あるいは光干渉計
を用いて検出し、励起光の変調周波数と同期した信号成
分を求めることにより、試料の表面及び内部の情報を得
ることができる。尚、熱拡散長μs22は、励起光の変
調周波数をfLとして、試料7の熱伝導率k、密度ρ、
及び比熱cより、次式(数1)で与えられる。
【0003】
【数1】
【0004】上記光音響信号の検出方法に関しては、例
えば、文献「非破壊検査;第36巻第10号,p.73
0〜p.736(昭和62年10月)」や「アイ・イー
・イー・イー1986ウルトラ・ソニックス・シンポジ
ウム;p.515〜526(1986年)(IEEE1
986ULTRA‐SONICS SYMPOSIU
M;p.515〜526(1986)」において論じら
れている。
【0005】その一例を図30に基づいて説明する。レ
ーザ1から出射した平行光を音響光学変調素子(AO変
調器)2により強度変調し、その断続光、即ち励起光を
ビームエキスパンダ3により所望のビーム径の平行光1
9とした後、ハーフミラー4で反射させ、レンズ5によ
りXYステージ6上の試料7の表面に集光させる。試料
7上の集光部21から生じた熱歪波により超音波が発生
し、同時に試料7表面に微小変位が生じる。この微小変
位を以下に述べるマイケルソン干渉計で検出する。レー
ザ8から出射した平行光をビームエキスパンダ9により
所望のビーム径に拡大した後、ハーフミラー10で2つ
の光路に分離し、一方はプローブ光24としてレンズ5
により試料7上の集光部21に集光させる。他方は参照
ミラー11に照射させる。試料7からの反射光と上記参
照ミラー11からの反射光とは、ハーフミラー10上で
互いに干渉し、この干渉光がレンズ12によりホトダイ
オード等の光電変換素子13上に集光される。光電変換
された干渉強度信号はプリアンプ14で増幅された後、
ロックインアンプ16に送られる。ロックインアンプ1
6では、音響光学変調素子2の駆動に用いる発信器15
からの変調周波数信号を参照信号として、干渉強度信号
に含まれる変調周波数成分だけが抽出される。この周波
数成分がその周波数に応じた試料7の表面あるいは内部
の情報を持つ。数1より、変調周波数を変えることによ
り熱拡散長μs21を変えることができ、試料の深さ方
向の情報を得ることができる。熱拡散領域Vth23内に
クラック等の欠陥があれば、干渉強度信号中の変調周波
数成分の振幅と、変調周波数信号に対する位相が変化す
るので、その存在を知ることができる。XYステージ移
動信号とロックインアンプ16からの出力信号は計算機
17で処理され、試料上の各点における光音響信号がモ
ニタテレビジョン等の表示器18に2次元画像情報とし
て出力される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、非接
触・非破壊で光音響信号を検出できる極めて有効な手段
であるが、以下に示すような課題をもっている。
【0007】即ち、図30に示す従来の光音響検出光学
系では、試料の2次元内部情報を得ようとする場合、光
音響効果を発生させるための励起光と、光音響効果によ
って生じた試料表面の微小変位を検出するためのプロー
ブ光とを、各々相対的に試料上を2次元走査する必要が
ある。この2次元走査は1点ずつ情報を検出していくい
わゆるポイント走査であるため、試料の全面にわたって
走査しようとすると、莫大な検出時間を要してしまう。
この莫大な検出時間を要する点が、これまで光音響検出
技術が生産ラインにおける試料の内部欠陥検査へ適用で
きないでいた最大の理由である。また、試料によって
は、表面の反射率が場所によって異なっている場合があ
る。その場合、従来技術では、プローブ光の反射光強度
が内部情報だけでなく表面反射率の情報を含んでしま
い、正確に内部情報のみを検出することが困難であっ
た。さらに、試料によっては、表面の形状が平坦でなく
場所によって凹凸状態になっている場合がある。その場
合、従来技術では、プローブ光の反射光の位相が試料表
面の凹凸によって変化し、内部情報だけでなく表面の凹
凸情報を含んでしまい、正確に内部情報のみを検出する
ことが困難であるという課題を有していた。
【0008】本発明の目的は、単純構成にして、また試
料表面の反射率分布及び凹凸分布の影響を受けにくい、
試料の2次元内部情報の高速検出を可能とする光音響信
号検出方法及びその装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、所望の周波数で強度変調した強度変調光
を試料表面の複数の測定点に照射してこの複数の測定点
の表面または内部において光音響効果あるいは光熱効果
を発生させ、この複数の測定点からの反射光と参照光と
の干渉光を、試料表面と共役の関係にあり、かつ各測定
点に対応した複数個の光電変換素子の各々で受光して干
渉光強度信号として検出し、各光電変換素子ごとに、こ
の検出された各干渉光強度信号の周期に対して異なるサ
ンプリング周期で複数回の信号をサンプリングし、この
複数個の信号データに基づいて複数の測定点において生
じた強度変調周波数と同じ周波数成分の熱歪を検出して
試料の複数の測定点の表面または内部情報を検出する光
音響信号検出方法とした。
【0010】また、上記目的を達成するために、本発明
は、所望の周波数で強度変調した強度変調光を試料表面
の複数の測定点に照射して複数の測定点の表面または内
部において光音響効果あるいは光熱効果を発生させ、複
数の測定点からの反射光と参照光との干渉光を、試料表
面と共役の関係にあり、かつ各測定点に対応した複数個
の非蓄積形光電変換素子の各々で受光して干渉光強度信
号として検出し、非蓄積形光電変換素子ごとに、検出さ
れた各干渉光強度信号の周期に対して異なるサンプリン
グ周期で複数回信号をサンプリングし、この複数個の信
号データに基づいて測定点において生じた強度変調周波
数と同じ周波数成分の熱歪を検出して試料の複数の測定
点の表面または内部情報を検出する光音響信号検出方法
とした。
【0011】また、上記目的を達成するために、本発明
では、光音響信号検出装置を、光源と、この光源からの
光を所望の周波数で強度変調する強度変調手段と、この
強度変調した光を試料表面の複数の測定点に照射して複
数の測定点の表面あるいは内部において光音響効果ある
いは光熱効果を発生させる励起手段と、複数の測定点に
光を照射してその反射光と参照光と干渉させる光干渉手
段と、この干渉光を試料表面と共役の関係にあり且つ各
測定点に対応した複数個の光電変換素子から成る検出器
で検出する干渉光検出手段と、検出器の各光電変換素子
ごとに検出した干渉光強度信号の周期に対して異なるサ
ンプリング周期で複数の信号をサンプリングしてこの複
数の信号データに基づいて複数の測定点において生じた
強度変調周波数と同じ周波数成分の熱歪を検出して試料
の複数の測定点の表面及び内部情報を検出する情報検出
手段とを備えて構成した。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【作用】光音響信号検出装置において、強度変調した光
を試料表面の複数の測定点に照射することにより、複数
の測定点において光音響効果あるいは光熱効果を発生さ
せることができると共に、複数の測定点に光を照射しそ
の反射光と参照光とを干渉させ、その干渉光を、試料表
面と共役の関係にあり、かつ各測定点に対応した複数個
の光電変換素子から成る検出器で検出し、検出した干渉
光強度信号の中から、複数の測定点における上記強度変
調周波数と同じ周波数成分の熱歪を光音響信号として検
出することにより、試料の複数の測定点の表面及び内部
情報をほぼ同時に抽出することが可能となり、従来方式
に比べ格段に高速な光音響信号の検出が可能となる。
【0021】また、試料上に照射する強度変調光を試料
上で連続的な直線形状を成すビームとすることにより、
試料上の複数の測定点を同時に励起することが可能とな
り、従来方式に比べ格段に高速な光音響信号の検出が可
能となる。
【0022】また、試料上に照射する強度変調光を試料
上で直線状に配列されたスポットビーム列とすることに
より、試料上の複数の測定点を同時に励起することが可
能となり、従来方式に比べ格段に高速な光音響信号の検
出が可能となる。
【0023】また、上記スポットビーム列の間隔を各ス
ポットビームによる熱拡散領域が重複しない間隔とする
ことにより、各測定点における光音響信号を独立に検出
することが可能になり、光音響画像の検出分解能が向上
する。
【0024】また、干渉光を検出するために複数個の非
蓄積形光電変換素子から成る検出器を用いることによ
り、複数の測定点における光音響信号をほぼ同時に抽出
することが可能となり、従来方式に比べ格段に高速な光
音響信号の検出が可能となる。
【0025】また、干渉光を検出するために複数個の非
蓄積形光電変換素子から成る検出器を用い、検出器の各
非蓄積形光電変換素子ごとに、求めるべき信号の周期に
対し、位相がπ/nシフトしたサンプリング周期で少な
くとも2n回信号をサンプリングし、この2n個の信号
データに基づいて上記強度変調周波数と同じ周波数成分
の熱歪を算出することにより、アナログ的な周波数フィ
ルタリング処理ではなくディジタル処理を用いることを
可能とし、その結果高調波成分の影響が少なく、高感度
かつ高精度な光音響信号の検出がを可能となる。また、
ただ1個の検出器により、試料表面の反射率分布、試料
表面の凹凸分布、光音響信号の振幅分布、及び光音響信
号の位相分布と計4つの表面及び内部情報を同時に検出
することが可能となり、試料の高速な複合的評価を可能
となる。また、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸
分布、及び光路のゆらぎを補正した光音響信号の検出が
可能となり、試料の表面及び内部情報の高感度かつ安定
な検出が可能となる。
【0026】また、上記干渉光信号のサンプリングを、
複数個の非蓄積形光電変換素子からの出力信号をAD変
換時に上記所望のサンプリング周期にて実行することに
より、複数の測定点における光音響信号をほぼ同時に抽
出することが可能となり、従来方式に比べ格段に高速な
光音響信号の検出が可能となる。
【0027】また、上記干渉光信号のサンプリングを、
干渉光信号の周期に対し、蓄積時間が十分小さくなるよ
うに設定したシャッタ機能付CCDセンサから成る検出
器を用いて実行することにより、複数の測定点における
光音響信号をほぼ同時に抽出することが可能となり、従
来方式に比べ格段に高速な光音響信号の検出が可能とな
る。
【0028】また、干渉光強度信号が複数個の光電変換
素子から時系列的に1次元信号として出力される検出器
を用いることにより、複数の測定点における光音響信号
をほぼ同時に抽出することが可能となり、従来方式に比
べ格段に高速な光音響信号の検出が可能となる。
【0029】また、非蓄積形光電変換素子から成る検出
器から出力される干渉光強度信号の位相をπ/nずつシ
フトさせる方法として、上記試料表面からの反射光と参
照光との間の光周波数の差、上記強度変調周波数、及び
上記非蓄積形光電変換素子のサンプリング周期を、各々
所望の値に組合せる方法を用いることにより、ただ1個
の検出器により、試料表面の反射率分布、試料表面の凹
凸分布、光音響信号の振幅分布、及び光音響信号の位相
分布と計4つの表面及び内部情報を同時に検出すること
が可能となり、試料の高速な複合的評価を可能となる。
また、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分布、及
び光路のゆらぎを補正した光音響信号の検出が可能とな
り、試料の表面及び内部情報の高感度かつ安定な検出が
可能となる。
【0030】また、強度変調周波数を、光音響効果もし
くは光熱効果に基づく熱拡散長が上記試料の被測定内部
界面の深さと同じか、もしくはそれを越える長さとなる
ように設定することにより、内部界面の検査が可能とな
る。
【0031】
【実施例】本発明の実施例を図1〜図27に基づいて説
明する。
【0032】まず、本発明の第1の実施例を図1〜図1
3に基づいて説明する。図1は第1の実施例における光
音響検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光
学系201、光音響信号を検出するためのヘテロダイン
形トワイマン・グリーン干渉光学系202、及び信号処
理系203から成る。励起光学系201のArレーザ3
1(波長515nm)から出射した平行ビーム32を音
響光学変調素子33に入射する。今、図1において、発
振器86から図2(a)に示す周波数fC0の正弦波98
を、また発振器87から同図(b)に示す周波数f
L(fL<fC0)の矩形波99を各々信号合成器88に入
力し、両波形の積をとることにより同図(c)に示す変
調信号100を作り、音響光学変調素子33に入力す
る。その結果、音響光学変調素子33からはfC0だけ周
波数シフトした1次回折光35が周波数fLで断続的に
出力される。即ち、励起光として、fC0だけ周波数シフ
トした変調周波数fLの強度変調ビームが得られる。
尚、0次光34は絞り36で遮光される。強度変調ビー
ム35をビームスプリッタ37を通過させた後、ビーム
エキスパンダ38により所望のビーム径に拡大し、更に
シリンドリカルレンズ(円筒レンズ)39により楕円ビ
ーム40にし、ダイクロイックプリズム41(波長60
0nm以下は反射、600nm以上は透過)で反射させ
た後対物レンズ42の瞳43即ち後側焦点位置44にx
方向のみ集光させる。一方、y方向に関してはシリンド
リカルレンズ39は曲率を持たない板ガラスとみなせる
ので、対物レンズの後側焦点位置44には平行光のまま
で入射する。その結果、図4に示すように、対物レンズ
の前側焦点位置、即ち試料47の表面上には、励起ビー
ムとして、x方向に幅を持ちy方向に集束した、1本の
ストライプビーム101が得られる。尚、ビームスプリ
ッタ37では強度変調ビーム35のうち10%程度のビ
ーム光49が反射され、ホトダイオード等の光電変換素
子50で検出された後、増幅回路89を経て発振器87
に送られる。発振器87では、変調信号制御回路90か
ら送られた設定周波数fLと光電変換素子50で検出さ
れた測定周波数fL’とを比較し、両者が一致するよう
に発振周波数を微調整する。発振器87はPLL(Ph
ase Lock Loop)回路等で構成される。
【0033】励起光学系201について、図3に基づい
て更に詳細に説明する。図3(a)及び(b)におい
て、シリンドリカルレンズ39の焦点位置と対物レンズ
42の後側焦点位置44とは一致しており、また対物レ
ンズの前側焦点位置は試料47の表面と一致している。
従って、同図(a)に示すようにx方向に関して、シリ
ンドリカルレンズ39から出たビーム40は対物レンズ
42の後側焦点位置44に集光するため、対物レンズ4
2から出たビーム46は平行光となって試料47表面上
に入射するわけである。一方、同図(b)に示すように
y方向に関して、シリンドリカルレンズ39は曲率を持
たない板ガラスとみなせるので、シリンドリカルレンズ
39から出たビーム40は対物レンズ42に平行光のま
まで入射するため、対物レンズ42から出たビーム46
は試料47表面上に集光するわけである。その結果、図
4に示すように、試料47の表面上には、励起ビームと
して、x方向に幅を持ちy方向に集束した、1本のスト
ライプビーム101が得られる。
【0034】今、試料として、図4に示すようにポリイ
ミドのような有機高分子材料104を絶縁体として形成
されたCu配線パターン102、103を考える。図5
は、試料の内部構造と、励起ビームによって生じた熱拡
散領域を示す断面図である。試料47は、セラミック基
板109上に厚さ20μmのポリイミド104を絶縁体
として厚さ20μmのCuパターン102、103が配
線パターンとして形成された構造となっている。Cu配
線パターン中の内部クラック107や下地基板とCuパ
ターン界面の剥離108が検出すべき内部欠陥である。
ここで、重要な点はCuパターン102、103とその
周辺のポリイミド104との熱的性質の違いである。即
ち、Cuの熱伝導率kは403〔J・m~1・k~1・s
~1〕、密度ρは8.93〔×106g・m~3〕、比熱c
は0.38〔J・g~1・k~1〕であるのに対し、ポリイ
ミドの熱伝導率kは0.288〔J・m~1・k~1・s
~1〕、密度ρは1.36〔×106g・m~3〕、比熱c
は1.13〔J・g~1・k~1〕であり、特にCuの熱伝
導率kはポリイミドのそれの1400倍である。そこ
で、励起光の強度変調周波数fLを50kHzとして、
数1に上記の値を代入すると、Cuパターン部102、
103における熱拡散長μsは約27μm、ポリイミド
部104における熱拡散長は約1.1μmとなる。その
結果、図5に示すように、ストライプ状の励起ビーム1
01によって形成されたストライプ状の光吸収領域10
5において与えられた熱が、検査対象であるCuパター
ン部102、103では大きく拡散し、下地基板との界
面を含めてCuパターンの断面を覆うように熱拡散領域
106が形成される。一方、検査対象外のポリイミド部
104では、熱は小さく拡散し熱拡散領域は表面部分の
みに形成される。その結果、図4及び図5に示すよう
に、ストライプ状の励起ビーム101を複数のCu配線
パターン102、103を覆うように照射すると、光吸
収領域105に沿って光音響効果もしくは光熱効果に基
づいて生じた熱歪波により超音波(熱弾性波)が発生
し、試料47表面に微小変位の分布110(破線)が生
じ、かつこの微小変位の分布110には、各々のCu配
線パターン102、103の内部情報(内部クラック1
07、剥離欠陥108)及びポリイミド部104の内部
情報が各々融合されることなく、独立に反映されてい
る。即ち、ストライプ状の励起ビーム101を用いれ
ば、熱的コントラストの高い複数の検査対象を同時に励
起でき、かつ独立に検出することができ、試料の2次元
内部情報を高速に検出することが可能となる。
【0035】次に、光音響効果に基づく試料表面の微小
変位の分布110(破線)を検出するためのヘテロダイ
ン形トワイマン・グリーン干渉光学系202の構成とそ
の機能について、図1から図9に基づいて説明する。図
1において、He−Neレーザ51(波長633nm)
から出射する直線偏光ビーム52の偏向方向を、図6
(a)の111のようにx軸及びy軸に対し45°方向
に設定する。ここで、図1の紙面に対し、垂直方向をy
軸とし、それと直交する方向をx軸とする。偏光ビーム
スプリッタ53により、入射光ビーム52のうち図6
(a)の112で示すp偏光成分54は偏光ビームスプ
リッタ53を透過し、音響光学変調素子62に入射す
る。また、図6(a)の113で示すs偏光成分55は
偏光ビームスプリッタ53で反射される。発振器91か
ら図2(a)に示すと同様の周波数fC1の正弦波を音響
光学変調素子62に入力し、fC1だけ周波数シフトした
p偏光の1次回折光64を得る。尚、0次光63は絞り
65で遮光される。このp偏光の1次回折光64はミラ
ー66で反射された後、偏光ビームスプリッタ61を通
過する。一方、偏光ビームスプリッタ53で反射された
s偏光成分55はミラー56で反射された後、音響光学
変調素子57に入射する。発振器91から図2(a)に
示すと同様の周波数fC2(fC1≠fC2)の正弦波を音響
光学変調素子57に入力し、fC2だけ周波数シフトした
s偏光の1次回折光59を得る。尚、0次光58は絞り
60で遮光される。このs偏光の1次回折光59は偏光
ビームスプリッタ61で反射され、偏光ビームスプリッ
タ61を通過してきたp偏光の1次回折光64と合成さ
れる。この合成光67は二周波直交偏光、即ち図6
(b)に示す様に、112及び113の方向に互いに直
交し、かつお互いにfC1−fC2の周波数差をもったビー
ム光を成す。合成光67をビームスプリッタ68を通過
させた後、ビームエキスパンダ70により所望のビーム
径に拡大し、更にシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)
71により楕円ビームにする。この楕円ビームは、偏光
ビームスプリッタ73によりp偏光ビーム72とs偏光
ビーム74に分離される。p偏光ビーム72はfC1だけ
周波数シフトしておりダイクロイックプリズム41を通
過した後、対物レンズ42の瞳43即ち後側焦点位置4
4にx方向のみ集光する。一方、y方向に関してはシリ
ンドリカルレンズ71は曲率を持たない板ガラスとみな
せるので、対物レンズ42の後側焦点位置44には平行
光のままで入射する。対物レンズ42から出射したビー
ムはλ/4板45通過後円偏光ビーム145となり、図
4に示すように、対物レンズの前側焦点位置、即ち試料
47の表面上には、励起ビーム101と同じ位置に、プ
ローブビームとしてx方向に幅を持ちy方向に集束し
た、1本のストライプビーム190が得られる。図7に
示すように試料47からの反射光は、光音響効果により
試料47表面で生じた微小変位の分布110(破線)を
位相分布情報としてもっている。図1において、試料4
7からの反射光はλ/4板45通過後s偏光ビームとな
り、対物レンズ42を通過後再び同じ光路を経て偏光ビ
ームスプリッタ73で反射される。
【0036】一方、偏光ビームスプリッタ73により分
離されたs偏光ビーム74は、fC2だけ周波数シフトし
ており、λ/4板75通過後円偏光となり、参照ミラー
76に入射する。参照ミラー76で反射した円偏光ビー
ムは再びλ/4板75通過後p偏光となり、参照光とし
て偏光ビームスプリッタ73を通過する。図8の114
は、偏光ビームスプリッタ73で反射された試料47か
らの反射光の偏光方向を、115は参照ミラー76から
の反射光の偏光方向を示している。両者は互いに直交し
ているので、このままでは、干渉しない。そこで、結像
レンズ78の後に偏光板79を挿入し、その偏光方向を
図8の116に示すように45°方向とすることによ
り、両反射光は干渉しfB=fC1−fC2のビート周波数
を持ったヘテロダイン干渉光80が得られる。このヘテ
ロダイン干渉光80には光音響効果により試料47表面
で生じた微小変位のx方向の1次元分布が光位相分布情
報として含まれている。この干渉光80を中心波長63
3nmの干渉フィルタ81を通して迷光を除去した後、
結像レンズ78により、(数3)式における干渉光信号
の最小の周期に対し、蓄積時間を十分小さくしたシャッ
タ機能付CCD1次元センサ82上に結像させる。シャ
ッタ機能付CCD1次元センサ82の撮像面と試料47
の表面とは結像関係にあるので、当然ながら、撮像面に
は試料47の表面に形成されたプローブビームと同様ス
トライプ状の干渉光が結像する。尚、ビームスプリッタ
68では二周波直交偏光の合成光67のうち10%程度
のビーム光が反射される。このビーム光の両偏光成分
は、偏光方向を図8の116に示すように45°方向と
した偏光板83により互いに干渉し、 fB’=fC1
−fC 2’のビート信号がホトダイオード等の光電変換素
子85で検出される。このビート信号は増幅回路92を
経てシャッタ機能付CCD1次元センサ駆動制御回路9
3に送られる。駆動制御回路93では、計算機96から
送られた設定ビート周波数fBと光電変換素子85で検
出された測定周波数fB’とを比較し、両者が一致する
ように計算機96及び変調信号制御回路90を介して、
発振器91から出力される正弦波の周波数fC1もしくは
C2を微調整する。発振器91はPLL(Phase
Lock Loop)回路等で構成される。
【0037】ヘテロダイン形トワイマン・グリーン干渉
光学系202について、図3及び図9に基づいて更に詳
細に説明する。図3(a)及び(b)に示すように、励
起光学系201と同様、シリンドリカルレンズ71の焦
点位置と対物レンズ42の後側焦点位置44とは一致し
ており、また対物レンズの前側焦点位置は試料47の表
面と一致している。従って、同図(a)に示すようにx
方向に関して、シリンドリカルレンズ71から出たp偏
光ビーム72は対物レンズ42の後側焦点位置44に集
光するため、対物レンズ42から出たビーム145は平
行光となって試料47表面上に入射するわけである。一
方、同図(b)に示すようにy方向に関して、シリンド
リカルレンズ71は曲率を持たない板ガラスとみなせる
ので、シリンドリカルレンズ71から出たビーム72は
対物レンズ42に平行光のままで入射するため、対物レ
ンズ42から出たビーム145は試料47表面上に集光
するわけである。その結果、図4に示すように、試料4
7の表面上には、励起ビーム101と同じ位置に、プロ
ーブビームとして励起ビーム同様x方向に幅を持ちy方
向に集束した、1本のストライプビーム190が得られ
る。一方、図3(a)及び(b)に示すように、シリン
ドリカルレンズ71の焦点位置と参照ミラー76の位置
とは一致している。従って、同図(a)に示すようにx
方向に関して、シリンドリカルレンズ71から出たs偏
光ビーム74は参照ミラー76上で集光し、また同図
(b)に示すようにy方向に関しては平行光のままで入
射する。
【0038】図9(a)及び(b)に示すように対物レ
ンズ42の前側焦点位置は試料47の表面と一致してお
り、また対物レンズ42の後側焦点位置44は結像レン
ズ78の前側焦点位置と一致しており、更に結像レンズ
78の後側焦点位置はシャッタ機能付CCD1次元セン
サ82の撮像面と一致している。即ち、この光学系は両
テレセントリック結像光学系となっている。従って、同
図(a)に示すようにx方向に関して、試料47表面か
らの平行反射光は対物レンズ42通過後その後側焦点位
置44に集束し、結像レンズ78通過後再び平行光とな
りシャッタ機能付CCD1次元センサ82に入射する。
一方、同図(b)に示すようにy方向に関して、試料4
7表面からの発散反射光は対物レンズ42通過後平行光
となり、結像レンズ78通過後その後側焦点位置、即ち
シャッタ機能付CCD1次元センサ82上に集束する。
その結果、シャッタ機能付CCD1次元センサ82上に
は、試料47上のプローブビーム190と同様、x方向
に幅を持ちy方向に集束した、1本のストライプビーム
が得られる。一方、図9(a)及び(b)に示すように
参照ミラー76の位置と結像レンズ78の前側焦点位置
とは一致している。従って、同図(a)に示すようにx
方向に関して、参照ミラー76からの発散反射光は結像
レンズ78通過後平行光となりシャッタ機能付CCD1
次元センサ82に入射し、また同図(b)に示すように
y方向に関しては結像レンズ78通過後その後側焦点位
置、即ちシャッタ機能付CCD1次元センサ82上に集
束する。従って、試料47からの反射光と参照ミラー7
6からの参照光によって得られるヘテロダイン干渉光
は、シャッタ機能付CCD1次元センサ82上でプロー
ブビーム光72と同じストライプビームとなり、x方向
の1次元光干渉信号が検出される。
【0039】以下では、信号処理系203によって、シ
ャッタ機能付CCD1次元センサ82の出力信号から、
光音響効果に基づいて生じた試料47表面の微小変位の
振幅及び位相を、試料47表面の反射率分布及び凹凸分
布の影響を受けることなく抽出する方法について説明す
る。今、試料47表面に入射するプローブビーム光72
の波長をλ、その振幅を1、試料47表面の反射係数を
s、参照光路での反射係数をar、試料47表面の凹凸
による位相変化を含めたプローブ光の光路と参照光路と
の間の光位相差をφ、光音響効果による試料47表面の
微小変位をA、また強度変調信号に対する位相変化量を
θとすると、シャッタ機能付CCD1次元センサ82の
1画素に入射するヘテロダイン干渉光Iは次式(数2)で
表される。
【0040】
【数2】
【0041】更に、A≪λより、上式は近似的に次式
(数3)の形に改められる。
【0042】
【数3】
【0043】(数3)式において、A・cos(2πfL
t+θ)が、光音響効果に基づいて生じた試料47表面
の微小変位の複素振幅を表す項である。ここで、シャッ
タ機能付CCD1次元センサ82のシャッタ開放時間を
制御して、(数3)式における干渉光信号の最小の周期
に比べて蓄積時間を十分小さくすることで、近似的に
(数3)のヘテロダイン干渉信号Iを離散的にサンプリ
ングする形となり、シャッタ機能付CCD1次元センサ
82の1画素から出力される検出信号ISは、サンプリ
ング・出力回数iの関数として次式(数4)で与えられ
る。
【0044】
【数4】
【0045】ここで、t0はCCDセンサのサンプリン
グ周期、nは任意の定数である。次に、(数4)に関し
て、以下の項目を満足する条件を求める。
【0046】(1)第2項におけるサンプリング・出力
回数iに対する位相シフト量=π/2またはπ/4 (2)第3項におけるサンプリング・出力回数iに対す
る位相シフト量=π (3)第4項におけるサンプリング・出力回数iに対す
る位相シフト量=π/2 上記条件により、p、q、lを整数として、各項に対す
るサンプリング周期t0は次式(数5)(数6)(数7)が得
られる。
【0047】
【数5】
【0048】
【数6】
【0049】
【数7】
【0050】式(数5)(数6)(数7)をすべて満足する
条件は次式で与えられる。
【0051】
【数8】
【0052】
【数9】
【0053】例えば、p=q=1とすると、l=1、f
L=80kHz、fB=240kHzと設定することがで
き、p、q、lの各値を式(数5)〜(数7)に代入し、サ
ンプリング周期t0を求め、これを上記ビート周波数fB
及び強度変調周波数fLと共に(数4)に代入すると次式
(数10)が得られる。
【0054】
【数10】
【0055】尚、上記パラメータl=1、fL=80k
Hz、fB=240kHzは総て計算機96で設定さ
れ、各々シャッタ機能付CCD1次元センサ駆動制御回
路93及び変調信号制御回路90に送られ、各パラメー
タの値に基づいてシャッタ機能付CCD1次元センサの
駆動と発振器87及び91の駆動が制御される。シャッ
タ機能付CCD1次元センサ82の駆動制御信号及びシ
ャッタ開放時間tsの設定方法を、図10に示すタイミ
ングチャートに基づいて説明する。同図では上記センサ
駆動制御回路93は負論理で動作するものとする。シャ
ッタ機能付CCD1次元センサ82の駆動制御に必要と
なる信号は図10に示すようにセンサの駆動クロックパ
ルスΦc220、サンプリング周期t0によって決定され
る読出しシフトパルスΦi221及びシャッタパルスΦs
223である。同図において縦軸Vは電圧、横軸tは時
間軸を表す。まず、センサ駆動制御回路93にて、計算
機96から送られた設定ビート周波数fB及び励起周波
数fLと上記パラメータlより、(数6)式に基づいて
サンプリング周期t0を求め、周波数1/t0の読出しシ
フトパルスΦi221及び同一周波数のシャッタパルス
Φsを作り出す。同様にセンサ駆動クロックパルスΦc
20は周波数m/t0となるようにする。但し、mは使
用するセンサの画素数以上の値をもつ任意の定数であ
る。また、上記読出しシフトパルスΦi221はシャッ
タパルスΦs223に対し、予め設定された最小のシャ
ッタ開放時間ts226を遅延時間として有するように
する。以上の信号に基づきセンサの動作原理を説明す
る。まずシャッタ機能付CCD1次元センサは電荷の蓄
積222をシフトパルスΦi221の立ち下がりで開始
する。その後、シャッタパルスΦs223の立ち下がり
でシャッタゲートが開けられ、センサ部においてその時
点までに蓄積された電荷224がシャッタドレインに捨
てられるが、センサは電荷の蓄積を続行するため、シャ
ッタゲートが開けられた時点、即ち、シャッタパルスΦ
s223の立ち下がりから、シフトパルスΦi221の立
ち下がりまでのシャッタ開放時間ts内に蓄積された電
荷が信号電荷225として出力されることになる。
【0056】数10において、第1項は直流成分、第2
項はサンプリング・出力回数iに対する位相シフト量が
π/4で、試料47表面の凹凸による位相変化を含めた
プローブ光の光路と参照光路との間の光位相差φに関す
る変調成分、第3項及び第4項はサンプリング・出力回
数iに対する位相シフト量がそれぞれπとπ/2で、試
料47表面の凹凸による位相変化を含めたプローブ光の
光路と参照光路との間の光位相差φ、光音響信号の振幅
A及び位相θに関する変調成分である。数10に関して
i=1からi=8まで、即ち第2項に関して1周期分、
第3項に関して4周期分、第4項に関して2周期分の信
号を求めると次式(数11)〜(数18)のようになる。
【0057】
【数11】
【0058】
【数12】
【0059】
【数13】
【0060】
【数14】
【0061】
【数15】
【0062】
【数16】
【0063】
【数17】
【0064】
【数18】
【0065】シャッタ機能付CCD1次元センサ82か
らの検出信号IS(n+i)を増幅回路94Aで増幅
し、AD変換器94BでAD変換する。実際には、図1
1に示すように信号のSN比等を考慮して、(数10)式
に関してi=1からi=8までのデータセットを10セ
ット計80個のサンプリング・出力データセットを2次
元メモリ95に格納する。シャッタ機能付CCD1次元
センサ82の画素数を256とすると、256×80個
のデータが格納されることになる。今、(n+i)回目
のサンプリング・出力時におけるw画素目のデータを
(n+i,w)で表すとすると、2次元メモリ95に格
納していく順序は、 (n+1,1)、(n+1,2)、(n+1,3)、…、(n+1,256)、 (n+2,1)、(n+2,2)、(n+2,3)、…、(n+2,256)、 (n+3,1)、(n+3,2)、(n+3,3)、…、(n+3,256)、 : : (n+80,1)、(n+80,2)、(n+80,3)、…、(n+80,256) である。一方、2次元メモリ95から読み出す際は、以
下のように1画素ごとに80個のサンプリング・出力デ
ータセットを順次読み出し、計算機96に送っていく。
【0066】 (n+1,1)、(n+2,1)、(n+3,1)、…、(n+80,1)、 (n+1,2)、(n+2,2)、(n+3,2)、…、(n+80,2)、 (n+1,3)、(n+2,3)、(n+3,3)、…、(n+80,3)、 : : (n+1,256)、(n+2,256)、(n+3,256)、…、(n+80,2 56) 計算機96では、1画素ごとに80個のサンプリング・
出力データセットを用いて、以下の計算処理を行い、試
料47表面の反射率as 2、試料47表面の凹凸による位
相変化を含めたプローブ光の光路と参照光路との間の光
位相差φ、試料47表面の反射率を補正した光音響信号
の振幅A、試料47表面の凹凸による位相変化を補正し
た光音響信号の位相θを求める。
【0067】まず、試料47表面の凹凸による位相変化
を含めたプローブ光の光路と参照光路との間の光位相差
φは、(数12)式、(数14)式、(数16)式、(数18)
式より、次式(数19)で与えられる。
【0068】
【数19】
【0069】試料47表面の反射率as 2は、(数12)
式、(数16)式及び(数19)式により、次式(数20)で
与えられる。
【0070】
【数20】
【0071】光音響信号の振幅、即ち試料47表面の微
小変位Aは、(数11)〜(数18)式、及び(数20)式よ
り、試料47表面の反射率を補正した形として、次式
(数21)で与えられる。
【0072】
【数21】
【0073】光音響信号の位相、即ち励起光の強度変調
信号に対する位相変化θは、(数11)〜(数18)式、及
び(数19)式より、試料47表面の凹凸による位相変化
を補正した形として、次式(数22)で与えられる。
【0074】
【数22】
【0075】図12(a)、(b)、及び(c)は、本
実施例における光音響信号の検出例である。図12
(a)において、内部クラック120により、Cu配線
パターン102部の表面の微小変位110(破線)が、
正常Cu配線パターン103部の表面のそれに比べて、
大きくなっているのが判る。同図(b)の光音響信号の
振幅Aの分布121、及び同図(c)の試料47表面の
凹凸による位相変化を補正する前の光音響信号の位相θ
+φの分布124にも、内部クラックの信号123(同
図(b))、126(同図(c))が強く現われてい
る。
【0076】一方、図13(a)、(b)、及び(c)
は、試料47表面に凹凸分布がある場合の本実施例にお
ける光音響信号の検出例である。図13(b)に示すよ
うに位相補正前の光音響信号の位相θ+φの分布137
は、試料47表面の凹凸による位相変化の影響を受け、
信号のSN比が大幅に低下し、内部クラック135の認
識は極めて困難である。しかし、同図(c)に示すよう
に、数22による位相補正後の位相信号θの分布139
では、試料47表面の凹凸による位相変化の影響を受け
ることなく、内部クラック135の信号141を明瞭に
認識することができる。
【0077】xyステージ48により試料47をxy方
向に逐次走査しながら、上記シャッタ機能付CCD1次
元センサからの検出信号を計算機96で処理していくこ
とにより、試料47全面の2次元光音響画像が得られ、
TVモニタ97に出力される。
【0078】以上述べたように、本実施例によれば、従
来のように1点ずつ情報を検出していくいわゆるポイン
ト走査方式でなく、ストライプ状の励起ビームを用い複
数の測定点を並列に同時に励起し、各点で生じた光音響
信号の検出に光干渉を利用し、干渉光を並列に同時に検
出することにより、試料の複数測定点の光音響信号を並
列に同時に検出することができ、試料の2次元内部情報
を高速に検出することが可能となる。
【0079】更に、本実施例によれば、ただ1個のシャ
ッタ機能付CCD1次元センサにより、試料表面の反射
率分布、試料表面の凹凸分布、光音響信号の振幅分布、
及び光音響信号の位相分布と計4つの表面及び内部情報
を同時に検出することができ、試料の複合的な評価が可
能となる。
【0080】更に、本実施例によれば、試料表面の反射
率分布、試料表面の凹凸分布、及び光路のゆらぎを補正
した光音響信号の検出が可能となり、試料の表面及び内
部情報の高感度かつ安定な検出が可能となる。
【0081】更に、本実施例によれば、光音響効果に基
づく熱拡散長が検査対象であるCu配線パターンとセラ
ミック基板との界面の深さと同じか、もしくはそれを越
える長さとなるように、励起ビームの強度変調周波数を
設定することにより、内部界面の検査が可能となる。
【0082】更に、本実施例によれば、光干渉信号から
光音響信号を抽出する際に、アナログ的な周波数フィル
タリング処理ではなくディジタル処理を用いるため、高
調波成分の影響が少なく、高感度かつ高精度な光音響信
号の検出が可能となる。
【0083】尚、本実施例では、熱的コントラストの高
い複数の検査対象を有する試料に対する本発明の適用例
を述べたが、内部クラック等を含む均一材料からなる試
料への適用も十分可能である。この場合でも、試料上の
複数の測定点の同時励起が可能であるので、上記の効果
が期待できる。
【0084】発明の第2の実施例を図14〜図22に基
づいて説明する。図14は第2の実施例における光音響
検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光学系
301、光音響信号を検出するためのヘテロダイン形微
分干渉光学系302、及び信号処理系303から成る。
励起光学系301において、変調周波数fLの強度変調
ビーム35を得る部分の構成と機能は第1の実施例と全
く同様であるので説明を省略する。強度変調ビーム35
をビームスプリッタ37を通過させた後、ビームエキス
パンダ38により所望のビーム径に拡大し、更にシリン
ドリカルレンズ(円筒レンズ)150によりその焦点位
置159にy方向のみ集光させる。この焦点位置159
は軸外しのリレーレンズ152の前側焦点位置と一致し
ており、リレーレンズ152通過後のビームは再び平行
光となり、ダイクロイックプリズム153(波長600
nm以下は反射、600nm以上は透過)で反射させた
後対物レンズ154の瞳即ち後側焦点位置155に入射
させる。一方、x方向に関してはシリンドリカルレンズ
150は曲率を持たない板ガラスとみなせるので、リレ
ーレンズ152に平行光のままで入射したビームは、リ
レーレンズ152の後側焦点位置と一致した対物レンズ
154の後側焦点位置155に集光する。その結果、対
物レンズ154の前側焦点位置、即ち試料47の表面上
には、励起ビームとして、x方向に幅を持ちy方向に集
束した、1本のストライプビーム186が得られる。
尚、ビームスプリッタ37では、第1の実施例と同様強
度変調ビーム35のうち10%程度のビーム光49が反
射され、ホトダイオード等の光電変換素子50で検出さ
れた後、増幅回路89を経て発振器87に送られる。発
振器87では、変調信号制御回路90から送られた設定
周波数fLと光電変換素子50で検出された測定周波数
L’とを比較し、両者が一致するように発振周波数を
微調整する。発振器87はPLL(Phase Loc
k Loop)回路等で構成される。
【0085】励起光学系301について、図15に基づ
いて更に詳細に説明する。図15(a)及び(b)にお
いて、シリンドリカルレンズ150の焦点位置159と
軸外しのリレーレンズ152の前側焦点位置とが、また
リレーレンズ152の後側焦点位置と対物レンズ154
の後側焦点位置155とが、更に対物レンズ154の前
側焦点位置と試料47の表面とがそれぞれ一致してい
る。従って、同図(a)に示すようにy方向に関して、
シリンドリカルレンズ150から出たビーム151はそ
の焦点位置159、即ちリレーレンズ152の前側焦点
位置に集光するため、リレーレンズ152通過後のビー
ムは再び平行光となり、対物レンズ154に入射するた
め、対物レンズ154から出たビーム156は試料47
表面上に集光するわけである。尚、リレーレンズ152
が軸外しとなっているため、この集光位置は対物レンズ
154の中心からずれた位置となる。一方、同図(b)
に示すようにx方向に関して、シリンドリカルレンズ1
50は曲率を持たない板ガラスとみなせるので、シリン
ドリカルレンズ150から出たビーム151はリレーレ
ンズ152に平行光のままで入射し、リレーレンズ15
2の後側焦点位置と一致した対物レンズ154の後側焦
点位置155に集光する。その結果、対物レンズ154
から出たビーム156は試料47表面上に平行光となっ
て入射するわけである。その結果、図16に示すよう
に、試料47の表面上には、励起ビームとして、x方向
に幅を持ちy方向に集束した、1本のストライプビーム
186が得られる。
【0086】図17は、第1の実施例と同様、ポリイミ
ドのような有機高分子材料104を絶縁体として形成し
たCu配線パターン102、103からなる試料に、上
記ストライプ状の励起ビーム186の照射によって、光
吸収領域183に沿って生じた光音響効果に基づく試料
表面の微小変位の分布185(破線)を示したものであ
る。第1の実施例と同様、微小変位の分布185には、
各々のCu配線パターン102、103の内部情報(内
部クラック107、剥離欠陥108)及びポリイミド部
104の内部情報が各々融合されることなく、独立に反
映されている。即ち、このストライプ状の励起ビーム1
86を用いれば、熱的コントラストの高い複数の検査対
象を同時に励起することができ、試料の2次元内部情報
を高速に検出することができる。
【0087】次に、光音響効果に基づく試料表面の微小
変位の分布185(破線)を検出するためのヘテロダイ
ン形微分干渉光学系302の構成とその機能について、
図14、図18〜図22に基づいて説明する。図14の
ヘテロダイン形微分干渉光学系302において、二周波
直交偏光、即ち図6(b)に示す様に、112及び11
3の方向に互いに直交し、かつお互いにfC1−fC2の周
波数差をもった合成光67を得る部分の構成と機能は第
1の実施例と全く同様であるので説明を省略する。尚、
ここで、図14の紙面に対し、垂直方向をx軸とし、そ
れと直交する方向をy軸とする。二周波直交偏光の合成
光67をビームスプリッタ68を通過させた後、ビーム
エキスパンダ70により所望のビーム径に拡大し、更に
シリンドリカルレンズ(円筒レンズ)160により楕円
ビームにする。y方向に関し、シリンドリカルレンズ1
60は曲率を持たない板ガラスとみなせるので、この楕
円ビームはy方向に関し平行光のままで、ビームスプリ
ッタ162により反射され、シリンドリカルレンズ16
0の焦点位置に置かれたウォラストン・プリズム163
(ロッション・プリズムでも可)により、共に平行光で
あるp偏光ビーム164とs偏光ビーム165に分離さ
れる。ウォラストン・プリズム163の位置はリレーレ
ンズ166の前側焦点位置と一致しているので、リレー
レンズ166通過後のこの2つのビームの主光線は互い
に平行となり、また各ビームはリレーレンズ166の後
側焦点位置187に集光する。リレーレンズ166の後
側焦点位置187はリレーレンズ168の前側焦点位置
と一致しているので、リレーレンズ168通過後の2つ
のビームの主光線は、ダイクロイックプリズム153を
通過し、リレーレンズ168の後側焦点位置と一致した
対物レンズ154の後側焦点位置155に集束する。ま
た、同時に2つのビームは各々平行光のままで、対物レ
ンズ154の後側焦点位置155に入射する。一方、x
方向に関しては、シリンドリカルレンズ160から出た
ビームはウォラストン・プリズム163に集光した後、
リレーレンズ166通過後平行光となり、更にリレーレ
ンズ168により、ダイクロイックプリズム153通過
後、対物レンズ154の後側焦点位置155に集光す
る。その結果、対物レンズ154の前側焦点位置、即ち
試料47の表面上には、励起ビームとして、x方向に幅
を持ちy方向に集束した、1本のストライプビーム18
6が得られる。対物レンズ154から出射した2つのビ
ームはλ/4板45通過後各々円偏光ビーム169及び
170となり、図16に示すように対物レンズの前側焦
点位置、即ち試料47の表面上には、励起ビーム186
の位置と同じ位置にプローブビームとして、励起ビーム
186と同様x方向に幅を持ちy方向に集束したストラ
イプビーム181が得られ、またプローブビーム181
からわずかに離れた位置に参照ビームとして、プローブ
ビーム181と同様x方向に幅を持ちy方向に集束した
ストライプビーム182が得られる。図18に示すよう
に試料47のプローブビーム181の位置からの反射光
は、光音響効果により試料47表面で生じた微小変位の
分布185(破線)を位相分布情報としてもっている。
尚、参照ビーム182は、図17において励起ビーム1
86によって試料47表面の微小変位185が生じる範
囲、即ち熱拡散領域184の範囲の外で、かつ図18に
示すように可能な限りプローブビーム181に近接した
位置に入射させるものとする。図14において、試料4
7のプローブビーム181及び参照ビーム182の位置
からの各々の反射光はλ/4板45通過後s偏光ビーム
及びp偏光ビームとなり、対物レンズ42を通過後再び
同じ光路を経て、ウォラストン・プリズム163にて合
成された後、ビームスプリッタ162を通過する。図8
の114は、プローブビーム181の位置からの反射光
の偏光方向を、115は参照ビーム182の位置からの
反射光の偏光方向を示している。両者は互いに直交して
いるので、このままでは、干渉しない。そこで、結像レ
ンズ78の後に偏光板79を挿入し、その偏光方向を図
8の116に示すように45°方向とすることにより、
両反射光は干渉しfB=fC1−fC2のビート周波数を持
ったヘテロダイン干渉光171が得られる。このヘテロ
ダイン干渉光171には光音響効果により試料47表面
で生じた微小変位のx方向の1次元分布が光位相分布情
報として含まれている。この干渉光171を中心波長6
33nmの干渉フィルタ81を通して迷光を除去した
後、結像レンズ78により、干渉光信号の最小の周期に
対し、蓄積時間を十分小さくした第1の実施例と同様な
シャッタ機能付CCD1次元センサ82上に結像させ
る。シャッタ機能付CCD1次元センサ82の撮像面と
試料47の表面とは結像関係にあるので、当然ながら、
撮像面には試料47の表面に形成されたプローブビーム
と同様ストライプ状の干渉光が結像する。尚、ビームス
プリッタ68では、第1の実施例と同様二周波直交偏光
の合成光67のうち10%程度のビーム光が反射され
る。このビーム光の両偏光成分は、偏光方向を図8の1
16に示すように45°方向とした偏光板83により互
いに干渉し、fB’=fC1’−fC2’のビート信号がホ
トダイオード等の光電変換素子85で検出される。この
ビート信号は増幅回路92を経てシャッタ機能付CCD
1次元センサ駆動制御回路93に送られる。駆動制御回
路93では、計算機96から送られた設定ビート周波数
Bと光電変換素子85で検出された測定周波数fB’と
を比較し、両者が一致するように計算機96及び変調信
号制御回路90を介して、発振器91から出力される正
弦波の周波数fC1もしくはfC2を微調整する。発振器9
1はPLL(Phase Lock Loop)回路等
で構成される。
【0088】ヘテロダイン形微分干渉光学系302につ
いて、図19、図20及び図21、図22に基づいて更
に詳細に説明する。図19及び図20に示すように、シ
リンドリカルレンズ160の焦点位置とウォラストン・
プリズム163の位置、ウォラストン・プリズム163
の位置とリレーレンズ166の前側焦点位置、リレーレ
ンズ166の後側焦点位置187とリレーレンズ168
の前側焦点位置、リレーレンズ168の後側焦点位置と
対物レンズ154の後側焦点位置155、更に対物レン
ズ154の前側焦点位置と試料47の表面とは各々一致
している。従って、図19に示すようにy方向に関し
て、シリンドリカルレンズ160は曲率を持たない板ガ
ラスとみなせるので、シリンドリカルレンズ160から
出た二周波直交偏光の合成光161はウォラストン・プ
リズム163に平行光のままで入射した後、共に平行光
であるp偏光ビーム164とs偏光ビーム165に分離
される。ウォラストン・プリズム163の位置はリレー
レンズ166の前側焦点位置と一致しているので、リレ
ーレンズ166通過後のこの2つのビームの主光線は互
いに平行となり、また各ビームはリレーレンズ166の
後側焦点位置187に集光する。リレーレンズ166の
後側焦点位置187はリレーレンズ168の前側焦点位
置と一致しているので、リレーレンズ168通過後の2
つのビームの主光線は、リレーレンズ168の後側焦点
位置と一致した対物レンズ154の後側焦点位置155
に集束する。また、同時に2つのビームは各々平行光の
ままで、対物レンズ154の後側焦点位置155に入射
するため、対物レンズ154から出た2つのビーム16
9及び170は、共に試料47表面上に集光するわけで
ある。尚、両ビームの主光線は互いに平行になってい
る。
【0089】一方、図20に示すようにx方向に関して
は、シリンドリカルレンズ160から出たビームはウォ
ラストン・プリズム163に集光した後、リレーレンズ
166通過後平行光となり、更にリレーレンズ168に
より対物レンズ154の後側焦点位置155に集光す
る。従って、対物レンズ154から出たビーム169及
び170は共に平行光となって試料47表面上に入射す
るわけである。その結果、図16に示すように、試料4
7の表面上には、励起ビーム186の位置と同じ位置に
プローブビームとして、励起ビーム186と同様x方向
に幅を持ちy方向に集束したストライプビーム181が
得られ、またプローブビーム181からわずかに離れた
位置に参照ビームとして、プローブビーム181と同様
x方向に幅を持ちy方向に集束したストライプビーム1
82が得られる。
【0090】図21及び22に示すように対物レンズ1
54の前側焦点位置は試料47の表面と、対物レンズ1
54の後側焦点位置155はリレーレンズ168の後側
焦点位置と、リレーレンズ168の前側焦点位置はリレ
ーレンズ166の後側焦点位置187と、リレーレンズ
166の前側焦点位置はウォラストン・プリズム163
の位置と、ウォラストン・プリズム163の位置は結像
レンズ78の前側焦点位置と、更に結像レンズ78の後
側焦点位置はシャッタ機能付CCD1次元センサ82の
撮像面と各々一致している。即ち、この光学系は両テレ
セントリック結像光学系となっている。従って、図21
に示すようにy方向に関して、試料47表面からの2つ
の発散反射光の主光線は対物レンズ154通過後、後側
焦点位置155に集束し、また同時に2つのビームは各
々平行光のままで、リレーレンズ168に入射する。対
物レンズ154の後側焦点位置155はリレーレンズ1
68の後側焦点位置と一致しているので、リレーレンズ
168通過後の2つのビームの主光線は互いに平行とな
り、また同時に2つのビームは各々リレーレンズ168
の前側焦点位置、即ちリレーレンズ166の後側焦点位
置187に集光する。リレーレンズ166通過後の2つ
のビームはウォラストン・プリズム163にて合成され
た後、平行光のまま結像レンズ78通過後その後側焦点
位置、即ちシャッタ機能付CCD1次元センサ82上に
集光する。一方、図22に示すようにx方向に関して、
試料47表面からの2つの平行反射光は対物レンズ15
4通過後その後側焦点位置155に集光し、リレーレン
ズ168通過後平行光となり、リレーレンズ166の前
側焦点位置、即ちウォラストン・プリズム163の位置
に集光する。更に、結像レンズ78通過後再び平行光と
なりシャッタ機能付CCD1次元センサ82に入射す
る。その結果、シャッタ機能付CCD1次元センサ82
上には、試料47上のプローブビーム181及び参照ビ
ーム182と同様、x方向に幅を持ちy方向に集束し
た、1本のストライプビームが得られる。即ち、プロー
ブビーム181及び参照ビーム182からの各々の反射
光によって得られるヘテロダイン干渉光は、シャッタ機
能付CCD1次元センサ82上でストライプビームとな
り、x方向の1次元光干渉信号が検出される。
【0091】信号処理系303の構成とその機能は、第
1の実施例における信号処理系203のそれと全く同じ
であり、第1の実施例と同様、シャッタ機能付CCD1
次元センサ82の出力信号から、光音響効果に基づいて
生じた試料47表面の微小変位の振幅及び位相を、試料
47表面の反射率分布及び凹凸分布の影響を受けること
なく抽出することができる。
【0092】xyステージ48により試料47をxy方
向に逐次走査しながら、上記シャッタ機能付CCD1次
元センサからの検出信号を計算機96で処理していくこ
とにより、試料47全面の2次元光音響画像が得られ、
TVモニタ97に出力される。
【0093】以上述べたように、本実施例によれば、従
来のように1点ずつ情報を検出していくいわゆるポイン
ト走査方式でなく、第1の実施例と同様、ストライプ状
の励起ビームを用い複数の測定点を並列に同時に励起
し、各点で生じた光音響信号の検出に光干渉を利用し、
干渉光を並列に同時に検出することにより、試料の複数
測定点の光音響信号を並列に同時に検出することがで
き、試料の2次元内部情報を高速に検出することが可能
となる。
【0094】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、即ち、干渉光信号の最小の周期に対し、蓄積時間
を十分小さくしたシャッタ機能付CCD1次元センサに
より、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分布、光
音響信号の振幅分布、及び光音響信号の位相分布と計4
つの表面及び内部情報を同時に検出することができ、試
料の複合的な評価が可能となる。
【0095】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、光音響効果に基づく熱拡散長が検査対象であるC
u配線パターンとセラミック基板との界面の深さと同じ
か、もしくはそれを越える長さとなるように、励起ビー
ムの強度変調周波数を設定することにより、内部界面の
検査が可能となる。
【0096】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、光干渉信号から光音響信号を抽出する際に、アナ
ログ的な周波数フィルタリング処理ではなくディジタル
処理を用いるため、高調波成分の影響が少なく、高感度
かつ高精度な光音響信号の検出が可能となる。
【0097】更に、本実施例においては、光音響効果に
基づく試料表面の微小変位を検出する干渉光学系を微分
干渉光学系としている。即ち、参照光を別に設けた参照
ミラーから得るのではなく、プローブ光の近傍に入射し
た参照ビームの試料表面からの反射光を参照光として使
用しているので、プローブ光と参照光がほぼ同一の光
路、及び同一の光学系を通ることになり、2つの光の間
の光路長のゆらぎや波面のずれが大幅に低下し、光音響
信号の検出精度及び検出感度が大きく向上する。更に、
参照光路を別に設ける必要がないので、光学系が簡略化
されると共に、その安定度が向上し、光音響信号の検出
精度が向上する。
【0098】尚、本実施例では、熱的コントラストの高
い複数の検査対象を有する試料に対する本発明の適用例
を述べたが、内部クラック等を含む均一材料からなる試
料への適用も十分可能である。この場合でも、試料上の
複数の測定点の同時励起が可能であるので、上記の効果
が期待できる。
【0099】本発明の第3の実施例を図23〜図24に
基づいて説明する。図23は第3の実施例における光音
響検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光学
系201、光音響信号を検出するためのヘテロダイン形
トワイマン・グリーン干渉光学系402、及び信号処理
系403から成る。励起光学系201の構成とその機能
は、第1の実施例と全く同様であるので説明を省略す
る。またヘテロダイン形トワイマン・グリーン干渉光学
系402の構成は、第1の実施例におけるヘテロダイン
形トワイマン・グリーン干渉光学系202において、ビ
ート信号検出用ビームスプリッタ68、偏光板83及び
光電変換素子85を撤去し、また干渉光を検出するため
のシャッタ機能付CCD1次元センサ82の代わりに非
蓄積形並列出力ホトダイオードアレイ191を用いた点
が異なる他は総て第1の実施例と同様の構成であるの
で、説明を省略する。図24に示すように、非蓄積形並
列出力ホトダイオードアレイ191の各画素から並列に
出力された光干渉信号は、画素数と同じ数だけ配置され
たプリアンプ群192で各画素ごとに増幅された後、同
じく画素数と同じ数だけ配置されたAD変換器群193
にて、計算機196で設定されたサンプリング周期t0
によって信号発生回路197で作り出されるサンプリン
グパルスにより光干渉信号のサンプリングが行われた
後、ディジタルデータに変換され、パラレル・イン、シ
リアル・アウトタイプのシフトレジスタ194に送ら
れ、1次元信号に変換された後、2次元メモリ195に
格納される。計算機196におけるセンサの出力信号の
計算処理は、第1の実施例における計算機96のそれと
全く同じであり、試料47の各点における光音響信号、
即ち試料47全面の2次元光音響画像が得られ、TVモ
ニタ97に出力される。
【0100】尚、本実施例は、図4及び図5に示すよう
な熱的コントラストの高い複数の検査対象を有する試料
に対しても、また内部クラック等を含む均一材料からな
る試料に対しても十分適用可能である。
【0101】以上述べたように、本実施例によれば、従
来のように1点ずつ情報を検出していくいわゆるポイン
ト走査方式でなく、第1及び第2の実施例と同様、スト
ライプ状の励起ビームを用い複数の測定点を並列に同時
に励起し、各点で生じた光音響信号の検出に光干渉を利
用し、干渉光を並列に同時に検出することにより、試料
の複数測定点の光音響信号を並列に同時に検出すること
ができ、試料の2次元内部情報を高速に検出することが
可能となる。
【0102】更に、本実施例によれば、各励起ビームの
熱拡散長領域が重複していないため、光音響画像の検出
分解能が向上するという効果を有している。
【0103】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、非蓄積形並列出力ホトダイオードアレイを用いる
ことにより、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分
布、光音響信号の振幅分布、及び光音響信号の位相分布
と計4つの表面及び内部情報を同時に検出でき、試料の
複合的な評価が可能となる。
【0104】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分布、及
び光路のゆらぎを補正した光音響信号の検出が可能とな
り、試料の表面及び内部情報の高感度かつ安定な検出が
可能となる。
【0105】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、光音響効果に基づく熱拡散長が検査対象であるC
u配線パターンとセラミック基板との界面の深さと同じ
か、もしくはそれを越える長さとなるように、励起ビー
ムの強度変調周波数を設定することにより、内部界面の
検査が可能となる。
【0106】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、光干渉信号から光音響信号を抽出する際に、アナ
ログ的な周波数フィルタリング処理ではなくディジタル
処理を用いるため、高調波成分の影響が少なく、高感度
かつ高精度な光音響信号の検出が可能となる。
【0107】本発明の第4の実施例を図25〜図29に
基づいて説明する。図25は第4の実施例における光音
響検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光学
系501、光音響信号を検出するためのヘテロダイン形
トワイマン・グリーン干渉光学系202、及び信号処理
系203から成る。ヘテロダイン形トワイマン・グリー
ン干渉光学系202及び信号処理系203の構成とその
機能は、第1の実施例と全く同様であるので説明を省略
する。第1及び第2の実施例ではストライプ状の励起ビ
ームを用いているのに対し、本実施例では、励起光学系
501にて複数スポットビーム並列照射光学系197を
採用している点が大きく異なる。他の部分は第1〜第2
の実施例と同様である。図28に基づき、複数スポット
ビーム並列照射光学系197を説明する。ビームエキス
パンダ38からの拡大平行光は図29に示すストライプ
状の開口210aを有すマスク210を通過した後スト
ライプビームとなり、1次元微小レンズアレイ210に
入射する。各微小レンズの後側焦点位置はリレーレンズ
213の前側焦点位置212と、リレーレンズ213の
後側焦点位置は対物レンズ42の後側焦点位置214
と、更に、対物レンズ42の前側焦点位置は試料47表
面と各々一致している。1次元微小レンズアレイ210
からの各ビームはリレーレンズ213の前側焦点位置2
12で各々集光した後、リレーレンズ213通過後平行
光となり、更に、対物レンズ42通過後集束光として、
試料47表面上に集光する。尚、各スポットビームの主
光線は互いに平行になっている。図28は各スポットビ
ームが同時に試料を照射する様子を示したものである。
尚、スポットビームの数は、光干渉検出用の(数3)式
の干渉光信号の最小の周期に対し、蓄積時間を十分小さ
くしたシャッタ機能付CCD1次元センサ82の画素数
と一致させ、かつその間隔は図29に示すように各スポ
ットビームにより生じた熱拡散領域217が重複しない
ようにしている。また、ヘテロダイン干渉検出用プロー
ブビームは第1及び第2の実施例と同様ストライプ状の
ビームを用いている。信号処理系203の構成とその機
能は、第1の実施例におけるそれと全く同じであり、第
1の実施例と同様、(数3)式の干渉光信号に対し、蓄
積時間を十分小さくしたシャッタ機能付CCD1次元セ
ンサ82の出力信号から、光音響効果に基づいて生じた
試料47表面の微小変位の振幅及び位相を、試料47表
面の反射率分布及び凹凸分布の影響を受けることなく抽
出することができる。
【0108】xyステージ48により試料47をxy方
向に逐次走査しながら、上記シャッタ機能付CCD1次
元センサからの検出信号を計算機96で処理していくこ
とにより、試料47全面の2次元光音響画像が得られ、
TVモニタ97に出力される。
【0109】尚、本実施例は、図4及び図5に示すよう
な熱的コントラストの高い複数の検査対象を有する試料
に対しても、また内部クラック等を含む均一材料からな
る試料に対しても十分適用可能である。
【0110】以上述べたように、本実施例によれば、従
来のように1点ずつ情報を検出していくいわゆるポイン
ト走査方式でなく、複数のスポットビームを並列に同時
に照射することにより複数の測定点を並列に同時に励起
し、各点で生じた光音響信号の検出に光干渉を利用し、
干渉光を並列に同時に検出することにより、試料の複数
測定点の光音響信号を並列に同時に検出することがで
き、試料の2次元内部情報を高速に検出することが可能
となる。
【0111】更に、本実施例によれば、各励起ビームの
熱拡散領域が重複していないため、光音響画像の検出分
解能が向上するという効果を有している。
【0112】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、干渉光信号の最小の周期に対し、蓄積時間を十分
小さくしたシャッタ機能付CCD1次元センサにより、
試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分布、光音響信
号の振幅分布、及び光音響信号の位相分布と計4つの表
面及び内部情報を同時に検出することができ、試料の複
合的な評価が可能となる。
【0113】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分布、及
び光路のゆらぎを補正した光音響信号の検出が可能とな
り、試料の表面及び内部情報の高感度かつ安定な検出が
可能となる。
【0114】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、光音響効果に基づく熱拡散長が検査対象であるC
u配線パターンとセラミック基板との界面の深さと同じ
か、もしくはそれを越える長さとなるように、励起ビー
ムの強度変調周波数を設定することにより、内部界面の
検査が可能となる。
【0115】更に、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、光干渉信号から光音響信号を抽出する際に、アナ
ログ的な周波数フィルタリング処理ではなくディジタル
処理を用いるため、高調波成分の影響が少なく、高感度
かつ高精度な光音響信号の検出が可能となる。
【0116】尚、本実施例では、干渉光検出用にシャッ
タ機能付CCD1次元センサを用いているが第3の実施
例のように非蓄積形並列出力ホトダイオードアレイも適
用可能である。その場合は、第3の実施例における信号
処理系403を用いればよい。
【0117】また、以上述べた第1〜第3の実施例で
は、1次元のストライプ状の励起ビームとプローブビー
ムを用いているが、ある一定の面積を持った2次元形状
のビームを用いることも可能である。その場合には、当
然ながら干渉光検出用に2次元センサを用いる。同様
に、第4の実施例においても、複数のスポットビームを
2次元形状に配置し、2次元のセンサを用いることも可
能である。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば、複数の測定点を並列に
同時に励起し、各点で生じた光音響信号の検出に光干渉
を利用し、干渉光を並列に同時に検出することにより、
試料の複数測定点の光音響信号を並列に同時に検出する
ことができ、試料の2次元表面及び内部情報を高速に検
出することが可能となるという大きな効果を有する。
【0119】また、ただ1個のセンサにより、試料表面
の反射率分布、試料表面の凹凸分布、光音響信号の振幅
分布、及び光音響信号の位相分布と計4つの表面及び内
部情報を同時に検出することができ、試料の高速な複合
的評価が可能になるという効果を有する。
【0120】また、試料表面の反射率分布、試料表面の
凹凸分布、及び光路のゆらぎを補正した光音響信号の検
出が可能となり、試料の表面及び内部情報の高感度かつ
安定な検出が可能になるという効果を有する。
【0121】また、光音響効果に基づく熱拡散長が検査
対象である内部界面の深さと同じか、もしくはそれを越
える長さとなるように、励起ビームの強度変調周波数を
設定することにより、内部界面の検査が可能になるとい
う効果を有する。
【0122】また、光干渉信号から光音響信号を抽出す
る際に、アナログ的な周波数フィルタリング処理ではな
くディジタル処理を用いるため、高調波成分の影響が少
なく、高感度かつ高精度な光音響信号の検出が可能にな
るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における光音響検出光学
系を示す図である。
【図2】音響光学変調素子へ入力される変調信号を示す
図である。
【図3】第1の実施例における励起光学系とヘテロダイ
ン干渉光学系の構成図である。
【図4】第1の実施例における試料の平面構造と、励起
ビームとプローブビームを示す斜視図である。
【図5】第1の実施例における試料の断面構造と、スト
ライプ状の励起ビームによる光音響効果の発生の様子を
示す図である。
【図6】ヘテロダイン干渉光学系へ入射するレーザビー
ムの偏光方向と、二周波直交偏光状態を示す図である。
【図7】第1の実施例におけるストライプ状のプローブ
ビームの試料表面への入射状態を示す図である。
【図8】試料からの反射光、参照光及び偏光板の各偏光
方向を示す図である。
【図9】第1の実施例におけるヘテロダイン干渉光学系
の検出部の構成図である。
【図10】シャッタ機能付CCD1次元センサの動作原
理を示す図である。
【図11】2次元メモリにおけるデータの構成を示す図
である。
【図12】第1の実施例における光音響信号の検出例を
示す図である。
【図13】第1の実施例における位相補正の効果を示す
光音響信号の検出例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施例における光音響検出光
学系を示す図である。
【図15】第2の実施例における励起光学系の構成図で
ある。
【図16】第2の実施例における試料の平面構造と、励
起ビーム、プローブビーム、及び参照ビームを示す斜視
図である。
【図17】第2の実施例における試料の断面構造と、ス
トライプ状の励起ビームによる光音響効果の発生の様子
を示す図である。
【図18】第2の実施例におけるストライプ状のプロー
ブビームと参照ビームの試料表面への入射状態を示す図
である。
【図19】第2の実施例におけるヘテロダイン干渉光学
系のX軸方向から見た構成図である。
【図20】図19に示すヘテロダイン干渉光学系のY軸
方向から見た構成図である。
【図21】第2の実施例におけるヘテロダイン干渉光学
系の検出部のX軸方向から見た構成図である。
【図22】図21に示すヘテロダイン干渉光学系の検出
部のY軸方向から見た構成図である。
【図23】本発明の第3の実施例における光音響検出光
学系を示す図である。
【図24】第3の実施例における信号処理系の構成を示
す図である。
【図25】本発明の第4の実施例における光音響検出光
学系を示す図である。
【図26】第4の実施例における複数スポットビーム並
列照射光学系の構成を示す図である。
【図27】第4の実施例における複数スポットビーム並
列照射光学系のマスクの形状を示す図である。
【図28】第4の実施例における複数スポットビームが
同時に試料を照射する様子を示す図である。
【図29】第4の実施例における各スポットビームによ
り生じた熱拡散領域を示す図である。
【図30】従来の光音響検出光学系を説明するための図
である。
【図31】光音響効果の原理図である。
【符号の説明】
1、8…レーザ、31…Arレーザ、51…He−Ne
レーザ、33、57、62…音響光学変調素子、39、
71、150、160…シリンドリカルレンズ、42、
154…対物レンズ、82…シャッタ機能付CCD1次
元センサ、50、85…光電変換素子、95…2次元メ
モリ、96、196…計算機、47…試料、102、1
03、131、132…Cu配線パターン、191…非
蓄積形並列出力ホトダイオードアレイ、193…AD変
換器群、197…複数スポットビーム並列照射光学系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−282253(JP,A) 特開 昭64−46644(JP,A) 特開 昭57−97416(JP,A) 特開 平3−245006(JP,A) 特開 平1−263539(JP,A) 特開 昭60−85363(JP,A) 特開 平4−119776(JP,A) 実開 平2−33356(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所望の周波数で強度変調した強度変調光を
    試料表面の複数の測定点に照射して該複数の測定点の表
    面または内部において光音響効果あるいは光熱効果を発
    生させ、該複数の測定点からの反射光と参照光との干渉
    光を、試料表面と共役の関係にあり、かつ前記各測定点
    に対応した複数個の光電変換素子の各々で受光して干渉
    光強度信号として検出し、前記各光電変換素子ごとに、
    該検出された各干渉光強度信号の周期に対して異なるサ
    ンプリング周期で複数回の信号をサンプリングし、この
    複数個の信号データに基づいて複数の測定点において生
    じた前記強度変調周波数と同じ周波数成分の熱歪を検出
    して試料の複数の測定点の表面または内部情報を検出す
    ることを特徴とする光音響信号検出方法。
  2. 【請求項2】前記強度変調光は、試料上で連続的な直線
    形状を成すビームであることを特徴とする請求項1記載
    の光音響信号検出方法。
  3. 【請求項3】前記強度変調光は、試料上に直線状に配列
    されたスポットビーム列であることを特徴とする請求項
    1記載の光音響信号検出方法。
  4. 【請求項4】前記スポットビーム列の間隔は、各スポッ
    トビームによる熱拡散領域が重複しない間隔であること
    を特徴とする請求項3記載の光音響信号検出方法。
  5. 【請求項5】 前記干渉光強度信号を、複数個の光電変換
    素子から時系列的に1次元信号として出力することを特
    徴とする請求項1記載の光音響信号検出方法。
  6. 【請求項6】 前記強度変調周波数は、光音響効果もしく
    は光熱効果に基づく熱拡散長が上記試料の被測定内部界
    面の深さとほぼ同じか、もしくはそれを越える長さとな
    るように設定することを特徴とする請求項1記載の光音
    響信号検出方法。
  7. 【請求項7】 所望の周波数で強度変調した強度変調光を
    試料表面の複数の測定点に照射して該複数の測定点の表
    面または内部において光音響効果あるいは光熱効果を発
    生させ、該複数の測定点からの反射光と参照光との干渉
    光を、試料表面と共役の関係にあり、かつ前記各測定点
    に対応した複数個の非蓄積形光電変換素子の各々で受光
    して干渉光強度信号として検出し、前記非蓄積形光電変
    換素子ごとに、前記検出された各干渉光強度信号の周期
    に対して異なるサンプリング周期で複数回信号をサンプ
    リングし、この複数個の信号データに基づいて複数の測
    定点において生じた前記強度変調周波数と同じ周波数成
    分の熱歪を検出して試料の複数の測定点の表面または内
    部情報を検出することを特徴とする光音響信号検出方
    法。
  8. 【請求項8】 前記干渉光信号のサンプリングは、複数個
    の非蓄積形光電変換素子からの出力信号をAD変換時に
    上記所望のサンプリング周期にて実行することを特徴と
    する請求項記載の光音響信号検出方法。
  9. 【請求項9】 前記干渉光信号のサンプリングは、干渉光
    信号の周期に対し、蓄積時間を十分小さく設定したシャ
    ッタ機能付CCDセンサによって実現することを特徴と
    する請求項記載の光音響信号検出方法。
  10. 【請求項10】 光源と、該光源からの光を所望の周波数
    で強度変調する強度変調手段と、該強度変調した光を試
    料表面の複数の測定点に照射して該複数の測定点の表面
    あるいは内部において光音響効果あるいは光熱効果を発
    生させる励起手段と、前記複数の測定点に光を照射して
    その反射光と参照光と干渉させる光干渉手段と、該干渉
    光を試料表面と共役の関係にあり且つ前記各測定点に対
    応した複数個の光電変換素子から成る検出器で検出する
    干渉光検出手段と、該検出器の各光電変換素子ごとに
    出した干渉光強度信号の周期に対して異なるサンプリン
    グ周期で複数の信号をサンプリングしてこの複数の信号
    データに基づいて前記複数の測定点において生じた前記
    強度変調周波数と同じ周波数成分の熱歪を検出して試料
    の複数の測定点の表面及び内部情報を検出する情報検出
    手段とを備えたことを特徴とする光音響信号検出装置。
  11. 【請求項11】 前記励起手段として、強度変調光を、試
    料上で連続的な直線形状を成すビームで形成することを
    特徴とする請求項10記載の光音響信号検出装置。
  12. 【請求項12】 前記励起手段として、強度変調光を、試
    料上に直線状に配列されたスポットビーム列で形成した
    ことを特徴とする請求項10記載の光音響信号検出装
    置。
  13. 【請求項13】 前記励起手段として、スポットビーム列
    の間隔を、各スポットビームによる熱拡散領域が重複し
    ない間隔で形成したことを特徴とする請求項12記載の
    光音響信号検出装置。
  14. 【請求項14】 前記干渉光検出手段の検出器を、非蓄積
    形光電変換素子で構成したことを特徴とする請求項10
    記載の光音響信号検出装置。
  15. 【請求項15】 前記干渉光検出手段の検出器を、非蓄積
    形光電変換素子で構成し、前記干渉光信号のサンプリン
    グは、複数個の非蓄積形光電変換素子からの出力信号を
    AD変換時に前記所望のサンプリング周期にて実行する
    ように構成したことを特徴とする請求項14記載の光音
    響信号検出装置。
  16. 【請求項16】 前記干渉光検出手段の検出器を、非蓄積
    形光電変換素子で構成し、前記干渉光信号のサンプリン
    グは、干渉光信号の周期に対し、蓄積時間を十分小さく
    設定したシャッタ機能付CCDセンサによって実現され
    るように構成したことを特徴とする請求項14記載の光
    音響信号検出装置。
  17. 【請求項17】 前記検出器からの干渉光強度信号は、複
    数個の光電変換素子から時系列的に1次元信号として出
    力されることを特徴とする請求項10記載の光音響信号
    検出装置。
  18. 【請求項18】 前記強度変調周波数は、光音響効果もし
    くは光熱効果に基づく熱拡散長が上記試料の被測定内部
    界面の深さとほぼ同じか、もしくはそれを越える長さと
    なるように設定することを特徴とする請求項10記載の
    光音響信号検出装置。
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