JP3261704B2 - 光音響信号検出方法及び装置 - Google Patents

光音響信号検出方法及び装置

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JP3261704B2
JP3261704B2 JP11436191A JP11436191A JP3261704B2 JP 3261704 B2 JP3261704 B2 JP 3261704B2 JP 11436191 A JP11436191 A JP 11436191A JP 11436191 A JP11436191 A JP 11436191A JP 3261704 B2 JP3261704 B2 JP 3261704B2
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光音響効果を利用し
て、試料の表面及び内部情報を検出する光音響信号検出
方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光音響効果(Photoacoustic Effect)
は、1881年チンダル(Tyndall)、ベル(Bell)、
レントゲン(Rentogen)らによって発見された。即ち、
図16に示すように、強度変調した光(断続光)19を
励起光として、レンズ5により試料7上に集光して照射
すると、光吸収領域Vop21において熱が発生し、熱拡
散長μs22で与えられる熱拡散領域Vth23を周期的
に拡散し、この熱歪波によって弾性波(超音波)が発生
する現象である。上記超音波、即ち光音響信号をマイク
ロホン(音響電気変換器)や圧電素子あるいは光干渉計
を用いて検出し、励起光の変調周波数と同期した信号成
分を求めることにより、試料の表面及び内部の情報を得
ることができる。上記光音響信号の検出方法に関して
は、例えば、文献「非破壊検査;第36巻第10号,
p.730〜p.736(昭和62年10月)」や「ア
イ・イー・イー・イー1986ウルトラ・ソニックス・
シンポジウム;p.515〜526(1986年)(I
EEE1986ULTRA‐SONICS SYMPO
SIUM;p.515〜526(1986)」において
論じられている。
【0003】その一例を図15に基づいて説明する。レ
ーザ1から出射した平行光を音響光学変調素子(AO変
調器)2により強度変調し、その断続光、即ち励起光を
ビームエキスパンダ3により所望のビーム径の平行光1
9とした後、ハーフミラー4で反射させ、レンズ5によ
りXYステージ6上の試料7の表面に集光させる。試料
7上の集光部21から生じた熱歪波により超音波が発生
し、同時に試料7表面に微小変位が生じる。この微小変
位を以下に述べるマイケルソン干渉計で検出する。レー
ザ8から出射した平行光をビームエキスパンダ9により
所望のビーム径に拡大した後、ハーフミラー10で2つ
の光路に分離し、一方はプローブ光24としてレンズ5
により試料7上の集光部21に集光させる。他方は参照
ミラー11に照射させる。試料7からの反射光と上記参
照ミラー11からの反射光とは、ハーフミラー10上で
互いに干渉し、この干渉光がレンズ12によりホトダイ
オード等の光電変換素子13上に集光される。光電変換
された干渉強度信号はプリアンプ14で増幅された後、
ロックインアンプ16に送られる。ロックインアンプ1
6では、音響光学変調素子2の駆動に用いる発信器15
からの変調周波数信号を参照信号として、干渉強度信号
に含まれる変調周波数成分だけが抽出される。この周波
数成分がその周波数に応じた試料7の表面あるいは内部
の情報を持つ。変調周波数を変えることにより熱拡散長
μs21を変えることができ、試料の深さ方向の情報を
得ることができる。熱拡散領域Vth23内にクラック等
の欠陥があれば、干渉強度信号中の変調周波数成分に信
号変化が現われるので、その存在を知ることができるX
Yステージ移動信号とロックインアンプ16からの出力
信号は計算機17で処理され、試料上の各点における光
音響信号がモニタテレビジョン等の表示器18に2次元
画像情報として出力される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、非接
触・非破壊で光音響信号を検出できる極めて有効な手段
であるが、以下に示すような課題をもっている。
【0005】即ち、図15に示す従来の光学系では、試
料表面及び内部で光音響効果を発生させるための励起光
と、光音響効果によって生じた試料表面の微小変位を検
出するためのプローブ光とを、各々独立に試料上に照射
する必要がある。従って、励起光によって生じた光音響
効果を高分解能でかつ高感度に検出するためには、励起
光とプローブ光とをサブミクロンオーダの精度で試料上
の同一点に集光しなければならない。しかし、2本のビ
ーム光を上記精度で光軸調整するのは非常に困難である
と同時に、光学系の安定度を高く保つ必要があり、その
結果光学系及びその周辺機構が非常に複雑になってしま
う。
【0006】本発明の目的は、光音響効果を発生させる
ための励起光と、光音響効果によって生じた試料表面の
微小変位を検出するためのプローブ光との相対的光軸調
整を不要とし、単純構成でかつ安定に試料の表面及び内
部情報を検出可能とする光音響信号検出方法及びその装
置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、相対的に周波数の異なる2つのビーム光
のうち、一方のビーム光を強度変調して、試料上に集光
して光音響効果を発生させると共に、その反射光と他方
のビーム光とを干渉させ、その干渉光より2倍の変調周
波数成分を検出することにより、光音響効果により生じ
た試料表面の微小変位を検出し、さらにその検出信号よ
り強度変調周波数に応じた振幅、位相情報を光音響信号
として抽出する。これにより、1本のビーム光で光音響
効果の発生と光音響効果により生じた試料表面の微小変
位の検出を行うことを可能とし、また励起光とプローブ
光との相対的光軸調整を不要とし、更に単純な光学系の
構成で試料の表面及び内部情報の安定かつ高感度な検出
を可能としたものである。
【0008】また、上記目的を達成するために、本発明
は、上記2つのビーム間の周波数の差を、上記強度変調
周波数よりも高くすることにより、干渉光検出信号から
の強度変調周波数に応じた振幅、位相情報の抽出を容易
としたものである。
【0009】また、上記目的を達成するために、本発明
は、一方のビーム光にのみ周波数シフトを生じさせて2
つのビーム間に相対的周波数差を設けることにより、更
に単純な光学系の構成で試料の表面及び内部情報の安定
かつ高感度な検出を可能としたものである。
【0010】また、上記目的を達成するために、本発明
は、両ビーム光に互いに異なる周波数シフトを生じさせ
て相対的光周波数差を設けることにより、周波数差の調
整とより低い周波数差の設定を可能とし、試料の表面及
び内部情報の安定かつ高感度な検出を可能としたもので
ある。
【0011】また、上記目的を達成するために、本発明
は、相対的に周波数の異なる2つのビーム光のうち、一
方のビーム光を強度変調して試料上に集光する励起手段
と、その反射光と他方のビーム光とを干渉させ光音響効
果により生じた試料表面の微小変位を検出する光干渉検
出手段とを、共焦点光学系として構成することにより、
光音響信号の横方向分解能、検出感度及び信号SN比を
向上せしめたものである。
【0012】
【作用】光音響信号検出装置において、相対的に周波数
のことなる2つのビーム光のうち、一方のビーム光を強
度変調して試料上に集光することにより、光音響効果を
発生させることができると共に、その反射光と他方のビ
ーム光とを干渉させ2倍の変調周波数成分を検出するこ
とにより、光音響効果により生じた試料表面の微小変位
を検出することが可能となる。その結果、1本のビーム
光で光音響効果の発生と光音響効果により生じた試料表
面の微小変位の検出を行うことが可能となり、正確に試
料上の励起部の光音響信号を検出することができる。ま
た励起光とプローブ光との相対的光軸調整が不要とな
り、更に単純な光学系の構成で試料の表面及び内部情報
の安定かつ高感度な検出が可能となる。
【0013】また、上記2つのビーム間の光周波数の差
を、上記強度変調周波数よりも高くすることにより、干
渉光検出信号からの強度変調周波数に応じた振幅、位相
情報の抽出が容易となる。
【0014】また、一方のビーム光にのみ周波数シフト
を生じさせて2つのビーム間に相対的光周波数差を設け
ることにより、更に単純な光学系の構成で試料の表面及
び内部情報の安定かつ高感度な検出が可能となる。
【0015】また、両ビーム光に互いに異なる周波数シ
フトを生じさせて相対的周波数差を設けることにより、
周波数差の調整とより低い周波数差の設定が可能とな
り、干渉光検出信号からの強度変調周波数に応じた振
幅、位相情報の抽出が容易となると同時に、試料の表面
及び内部情報の安定かつ高感度な検出が可能となる。
【0016】また、相対的に周波数の異なる2つのビー
ム光のうち、一方のビーム光を強度変調して試料上に集
光し試料表面あるいは内部にて光音響効果あるいは光熱
効果を発生させる励起手段と、その反射光と他方のビー
ム光とを干渉させ光音響効果により生じた試料表面の微
小変位を検出する光干渉光検出手段とを、共焦点光学系
として構成することにより、試料上及び干渉光検出手段
上に、不要な高次回折光成分の存在しない理想的なピー
ク部を有するスポット光を形成することができ、光音響
信号の横方向分解能、検出感度及び信号SN比が向上す
る。
【0017】
【実施例】本発明の実施例を図1〜図14に基づいて説
明する。
【0018】まず、本発明の第1の実施例を図1〜図7
に基づいて説明する。図1は第1の実施例における光音
響検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光学
系と検出光学系を兼ねたヘテロダイン形マッハツェンダ
干渉光学系301と信号処理系300から成る。マッハ
ツェンダ干渉光学系301ににおいて、Arレーザ31
から出射する直線偏光ビーム32の偏向方向を図2の7
7のようにx軸及びy軸に対し45°方向に設定する。
ここで、図1の紙面に対し、垂直方向をx軸とし、それ
と直交する方向をy軸とする。偏光ビームスプリッタ3
3により、入射光ビーム32のうち図2の78で示すp
偏光成分34は偏光ビームスプリッタ33を透過し、音
響光学変調素子76に入射する。また、図2の79で示
すs偏光成分35は偏光ビームスプリッタ33で反射さ
れる。音響光学変調素子76は図3に示すように、ガラ
スあるいは二酸化テルル(TeO2)のような光学媒体
86に超音波トランスジューサ80を組合せた構成とな
っており、超音波トランスジューサ80に発信器81よ
り図4(a)に示す周波数fBの正弦波83を入力する
と、光学媒体86中を超音波82が伝播し周期的な屈折
率変化が生じ、これが回折格子の働きをして光学媒体8
6を通る光ビーム34を回折させる。図3において、1
次回折光37は入射光を2θだけ偏向させた方向に出射
される。更に、入射光の光周波数をf0とすると、0次
光36の光周波数はそのままfであるのに対し、1次回
折光37の光周波数は上記超音波の駆動周波数fBだけ
シフトしf0+fBとなる。今、図1において、発振器6
8から図4(a)に示す周波数fBの正弦波83を、ま
た発振器69から同図(b)に示す周波数fL(fL<f
B)の矩形波84を各々信号合成器70に入力し、両波
形の積をとることにより同図(c)に示す変調信号85
を作り、音響光学変調素子76に入力する。その結果、
音響光学変調素子76からはfBだけ周波数シフトした
p偏光の1次回折光37が周波数fLで断続的に出力さ
れる。即ち、励起光として、fBだけ周波数シフトした
変調周波数fLの強度変調ビームが得られる。尚、0次
光36は絞り38で遮光される。強度変調ビーム37を
ビームエキスパンダ39により所望のビーム径に拡大し
た後、レンズ40によりその後側焦点位置41に集光さ
せる。後側焦点位置41にはピンホール42が設置され
ており、図5(a)に示すように、集光スポットのピー
ク部90の周辺に存在する高次回折光成分90a及び9
0bを遮光する。その結果、ピンホール42通過後の光
強度分布は図5(b)に示すように、ピーク部90だけ
になる。焦点位置41はレンズ43の前側焦点位置にな
っているので、ピンホール42通過後の光束はレンズ4
3通過後平行光になる。上記平行光はp偏光成分から成
るので、偏光ビームスプリッタ45をそのまま透過しミ
ラー46で反射された後、λ/4板47通過後円偏光と
なり、さらに対物レンズ48によりその前側焦点位置5
0、即ち、試料51上に集光され、図5(b)に示すと
同様の光強度分布をもつ光スポットになる。即ち、レン
ズ43の前側焦点位置41と対物レンズ48の前側焦点
位置50とは、共役であると同時に共焦点の関係にあ
る。試料51上の集光部である前側焦点位置50におい
て光音響効果に基づいて生じた熱歪波により超音波(熱
弾性波)が発生し、同時に試料51表面の集光部48に
微小変位が生じる。集光部48からの反射光は試料51
表面で生じた微小変位を位相情報としてもっており、対
物レンズ48を通過後平行光となり、さらにλ/4板4
7通過後s偏光ビーム61となる。このs偏光ビーム6
1は偏光ビームスプリッタ45で反射された後、無偏光
ビームスプリッタ60を通過する。
【0019】一方、参照光である、偏光ビームスプリッ
タ33で反射されたs偏光ビーム35をミラー53で反
射した後、ビームエキスパンダ54により所望のビーム
径に拡大した後、レンズ55によりその後側焦点位置5
6に集光させる。後側焦点位置56にはピンホール57
が設置されており、図5(a)に示すように、集光スポ
ットのピーク部90の周辺に存在する高次回折光成分9
0a及び90bを遮光する。その結果、ピンホール57
通過後の光強度分布は図5(b)に示すように、ピーク
部90だけになる。焦点位置56はレンズ58の前側焦
点位置になっているので、ピンホール57通過後の光束
はレンズ58通過後平行参照光59になる。上記参照光
59は、無偏光ビームスプリッタ60で反射された後、
無偏光ビームスプリッタ60を通過してきた試料51表
面からの反射光61と互いに干渉する。この、干渉光6
2には、光音響効果により試料51表面で生じた微小変
位が光位相情報として含まれている。干渉光62をレン
ズ63によりその後側焦点位置64に集光し、ホトダイ
オード等の光電変換素子67で検出する。このマッハツ
ェンダ干渉光学系301において、レンズ43の前側焦
点位置41、レンズ58の前側焦点位置56、対物レン
ズ48の前側焦点位置50及びレンズ63の後側焦点位
置64とは、互いに共役であると同時に共焦点の関係に
ある。さらに、レンズ63の後側焦点位置64にはピン
ホール65が設置されている。その結果、対物レンズ4
8内で発生した迷光や試料上の透明薄膜内で発生した干
渉成分やあるいは試料表面の微小な凹凸により発生した
高次回折光成分を遮光することができる。
【0020】今、励起光32の波長をλ、試料51表面
からの反射光61の強度をIs、参照光59の強度を
r、2つの光路間の位相差を時間変動を含めてφ(t)、
試料51表面で生じた微小変位の振幅をa、位相をθと
すると、光電変換素子67で検出される干渉光の強度I
は次式で表される。
【0021】
【数1】
【0022】さらに、a≪λより上式は近似的に次式の
形に改められる。
【0023】
【数2】
【0024】ここで、a・cos(2πfLt+θ)が
光音響効果に基づいて生じた試料51表面の微小変位を
表す項であり、また最終項1+cos(2πfLt)
は、変調周波数fLで強度変調された励起光による干渉
光の周期的強度変化を表す。尚、本実施例では、fB
40MHz,fL=100kHzとした。
【0025】以下では、信号処理系300によって、数
1で表される干渉光から、光音響効果に基づいて生じた
試料51表面の微小変位の振幅a及び位相θを求める方
法について説明する。光電変換された干渉強度信号はプ
リアンプ71で増幅された後、位相検波回路72に送ら
れる。位相検波回路72では、図6に示すように位相保
持分波器91により、検出された干渉強度信号が分離さ
れ、一方は中心周波数fBのバンドパスフィルタ92を
通った後、位相シフタ93より位相がπ/2遅延され
る。位相シフタ93からの出力信号はアンプ94で増幅
された後、ミキサ95に送られ、位相保持分波器91に
より分離された他方の干渉強度信号との積が出力され
る。上記他方の干渉強度信号ID1は数3で、またアンプ
94からの出力信号ID2は数4で、さらにミキサ95か
らの出力信号IDは数5で各々表される。
【0026】
【数3】
【0027】
【数4】
【0028】
【数5】
【0029】数5は、a≪λより近似的に次式の形に改
められる。
【0030】
【0031】数6において、第1項及び第2項はfB
周波数成分、第3項及び第4項はfB±fLの周波数成
分、第5項は直流成分、第6項、第7項及び第8項はf
Lの周波数成分、第9項は2fLの周波数成分、第10項
及び第11項は2fBの周波数成分、第12項及び第1
3項は2fB±fLの周波数成分であることが分かる。図
7にこれらの項の周波数スペクトルを示す。第項、第
項及び第項は、励起光の変調周波数と同じfLの周
波数成分であるが、これらの項から、光音響効果に基づ
いて生じた試料51表面の微小変位の振幅a及び位相θ
だけを求めることは極めて困難である。一方、第9項は
2fLの周波数成分であるが、この項から微小変位の振
幅a及び位相θだけを求めることは容易である。即ち、
今fL≪fB−fLとして、ミキサ95からの出力信号
を、図7の破線250で示す周波数特性をもつローパス
フィルタ96に通した後、図1のロックインアンプ73
に入力する。ここで、ロックインアンプ73の倍周波参
照信号入力端子には発振器69からの変調信号(周波数
L)を入力する。この変調信号はロックインアンプ7
3の内部で2fLに変換される。ローパスフィルタ96
では、直流成分、fL及び2fLの各周波数成分が取り出
され、さらにロックインアンプ73では、最終的に数6
における第9項、即ち2fLの周波数成分の振幅と位相
が取り出される。この振幅及び位相から試料51表面の
微小変位の振幅a及び位相θが求まるわけである。ま
た、この振幅a及び位相θが、その変調周波数で定義さ
れる熱拡散領域Vth内の熱的及び弾性的情報をもつ。従
って、上記熱拡散領域Vth内にクラック等の内部欠陥が
あれば、上記振幅a及び位相θが変化し、その存在を知
ることができる。XYステージ52の移動信号とロック
インアンプ73からの出力信号は計算機74で処理さ
れ、試料51上の各点における光音響信号がモニタTV
75上に2次元光音響画像として出力される。また、発
振器69から出力される変調信号の周波数fLを計算機
74で制御すれば、様々な変調周波数に設定することが
でき、試料51の様々な深さの内部情報を検出すること
ができる。
【0032】本実施例によれば、ヘテロダイン干渉に基
づくマッハツェンダ干渉光学系を採用し、かつ励起光で
ある強度変調ビームの変調周波数の2倍の周波数成分を
検出することにより、試料からの反射光を光音響検出の
ためのプローブ光として用いることが可能となる。その
結果、1本のビーム光で光音響効果の発生と光音響効果
により生じた試料表面の微小変位の検出を行うことがで
きるため、正確に試料上の励起部の光音響信号の検出が
可能となり、また励起光とプローブ光との相対的光軸調
整が不要となり、更に単純な光学系の構成で試料の表面
及び内部情報の安定かつ高感度な検出が可能となる。
【0033】また、本実施例によれば、上記干渉光学系
を共焦点光学系として構成することにより、試料上及び
干渉光検出手段上に、不要な高次回折光成分の存在しな
い理想的なピーク部を有するスポット光を形成すること
ができ、さらに対物レンズ48内で発生した迷光や試料
上の透明薄膜内で発生した干渉成分やあるいは試料表面
の微小な凹凸により発生した高次回折光成分を遮光する
ことができる。よって、光音響信号の横方向分解能、検
出感度及び信号SN比が向上する。
【0034】本発明の第2の実施例を図8及び図9に基
づいて説明する。図8は第2の実施例における光音響検
出光学系を示すものである。本光学系は、励起光学系と
検出光学系を兼ねたヘテロダイン形マッハツェンダ干渉
光学系302と信号処理系300から成る。基本構成と
その機能は図1に示す第1の実施例における光音響検出
光学系と同じであるので、詳細な説明は省略する。第1
の実施例とは、偏光ビームスプリッタ33で反射された
参照光35にも周波数シフトを与える点が異なる。周波
数シフトの与え方は第1の実施例における励起光の場合
と同様である。即ち、発振器109から出力された図9
に示す周波数fc2の正弦波261を音響光学変調素子1
00に入力し、fc2だけ周波数シフトした1次回折光1
02を得る。尚、0次光101は絞り103で遮光され
る。一方、偏光ビームスプリッタ33を透過したp偏光
成分34に関しては、第1の実施例と同様、発振器68
から図4(a)に示す周波数fc1(fc1≠fc2)の正弦
波83を、また発振器69から同図(b)に示す周波数
L(fL<fc1、fc2)の矩形波84を各々信号合成器
70に入力し、両波形の積をとることにより同図(c)
に示す変調信号85を作り、音響光学変調素子76に入
力する。その結果、音響光学変調素子76からはfc1
け周波数シフトしたp偏光の1次回折光37が周波数f
Lで断続的に出力される。即ち、励起光として、fc1
け周波数シフトした変調周波数fLの強度変調ビームが
得られる。この励起光は第1の実施例と同様、試料51
上に集光されて光音響効果を発生させると同時に、その
反射光61は無偏光ビームスプリッタ60を通過した
後、無偏光ビームスプリッタ60で反射した参照光10
5と互いに干渉する。この干渉光106には、光音響効
果により試料51表面で生じた微小変位が光位相情報と
して含まれている。干渉光106をレンズ63によりそ
の後側焦点位置64に集光し、ホトダイオード等の光電
変換素子67で検出する。このマッハツェンダ干渉光学
系302において、レンズ43の前側焦点位置41、レ
ンズ58の前側焦点位置56、対物レンズ48の前側焦
点位置50及びレンズ63の後側焦点位置64とは、互
いに共役であると同時に共焦点の関係にある。さらに、
レンズ63の後側焦点位置64にはピンホール65が設
置されている。その結果、対物レンズ48内で発生した
迷光や試料上の透明薄膜内で発生した干渉成分やあるい
は試料表面の微小な凹凸により発生した高次回折光成分
を遮光することができる。
【0035】今、試料からの反射光と参照光の周波数量
差をfBとすると、fB=fc1−fc2となり、光電変換素
子67で検出される干渉光の強度Iは、第1の実施例と
同様、数1で表される。従って、第1の実施例と同様、
信号処理系300よって、数1で表される干渉光から変
調周波数fLの2倍の周波数成分を検出することによ
り、光音響効果に基づいて生じた試料51表面の微小変
位の振幅a及び位相θが求められる。尚、本実施例で
は、fc1=79MHz、fc2=80MHz、fL=10
0kHzとした。即ち、fB=1MHzである。このよ
うに、本実施例では、試料からの反射光と参照光の各々
に互いに異なる周波数シフトを与えることにより、第1
の実施例に比べ、2つの光の間により低い周波数差を設
けることが可能となる点が大きな特徴である。
【0036】本実施例によれば、第1の実施例と同様、
ヘテロダイン干渉に基づくマッハツェンダ干渉光学系を
採用し、かつ励起光である強度変調ビームの変調周波数
の2倍の周波数成分を検出することにより、試料からの
反射光を光音響検出のためのプローブ光として用いるこ
とが可能となる。その結果、1本のビーム光で光音響効
果の発生と光音響効果により生じた試料表面の微小変位
の検出を行うことが可能となり、正確に試料上の励起部
の光音響信号の検出が行える。また励起光とプローブ光
との相対的光軸調整が不要となり、更に単純な光学系の
構成で、試料の表面及び内部情報の安定かつ高感度な検
出が可能となる。
【0037】また、本実施例によれば、励起光あるいは
試料からの反射光と参照光の各々に互いに異なる周波数
シフトを与えて相対的周波数差を設ける構成になってい
るため、より低い周波数シフトの設定が可能となり、信
号処理系における干渉光検出信号からの強度変調周波数
に応じた振幅、位相情報の抽出が容易になると同時に、
試料の表面及び内部情報の安定かつ高感度な検出が可能
となる。
【0038】また、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、上記干渉光学系を共焦点光学系として構成するこ
とにより、試料上及び干渉光検出手段上に、不要な高次
回折光成分の存在しない理想的なピーク部を有するスポ
ット光を形成することができ、さらに対物レンズ48内
で発生した迷光や試料上の透明薄膜内で発生した干渉成
分やあるいは試料表面の微小な凹凸により発生した高次
回折光成分を遮光することができる。よって、光音響信
号の横方向分解能、検出感度及び信号SN比が向上す
る。
【0039】本発明の第3の実施例を図10〜図12に
基づいて説明する。図10は第3の実施例における光音
響検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光学
系と検出光学系を兼ねたヘテロダイン形マイケルソン干
渉光学系303と信号処理系300から成る。マイケル
ソン干渉光学系303において、Arレーザ121から
出射する直線偏光ビーム123の偏向方向を第1の実施
例と同様、図2の77のようにx軸及びy軸に対し45
°方向に設定する。ここで、図10の紙面に対し、垂直
方向をx軸とし、それと直交する方向をy軸とする。偏
光ビームスプリッタ124により、入射光ビーム123
のうち図2の78で示すp偏光成分125は偏光ビーム
スプリッタ124を透過し、音響光学変調素子127に
入射する。また、図2の79で示すs偏光成分126は
偏光ビームスプリッタ124で反射される。第1の実施
例と同様、発振器68から図4(a)に示す周波数fc1
の正弦波83を、また発振器69から同図(b)に示す
周波数fL(fL<fc1)の矩形波84を各々信号合成器
70に入力し、両波形の積をとることにより同図(c)
に示す変調信号85を作り、音響光学変調素子127に
入力する。その結果、音響光学変調素子127からはf
c1だけ周波数シフトしたp偏光の1次回折光129が周
波数fLで断続的に出力される。尚、0次光128は絞
り130で遮光される。このp偏光の1次回折光129
はミラー140で反射された後、偏光ビームスプリッタ
145を通過する。一方、偏光ビームスプリッタ124
で反射されたs偏光成分126はミラー141で反射さ
れた後、音響光学変調素子127に入射する。発振器1
09から出力された図9に示す周波数fc2(fc1
c2)の正弦波261を音響光学変調素子142に入力
し、fc2だけ周波数シフトした1次回折光144を得
る。尚、0次光143は絞り145で遮光される。この
s偏光の1次回折光144は偏光ビームスプリッタ14
5で反射され、偏光ビームスプリッタ145を通過して
きたp偏光の1次回折光129と合成される。この合成
光146は二周波直交偏光、即ち図11に示す様に、1
70及び171の方向に互いに直交し、かつお互いにf
c1−fc2の周波数差をもったビーム光を成す。合成光1
46をビームエキスパンダ147により所望のビーム径
に拡大した後、レンズ148によりその後側焦点位置1
49に集光させる。後側焦点位置149にはピンホール
150が設置されており、図5(a)に示すように、集
光スポットのピーク部90の周辺に存在する高次回折光
成分90a及び90bを遮光する。その結果、ピンホー
ル42通過後の光強度分布は図5(b)に示すように、
ピーク部90だけになる。焦点位置149はレンズ15
1の前側焦点位置になっているので、ピンホール150
通過後の光束はレンズ151通過後平行光になる。上記
平行光は、偏光ビームスプリッタ108により、p偏光
ビーム153とs偏光ビーム154に分離される。p偏
光ビーム153はfc1だけ周波数シフトし、かつ変調周
波数fLで強度変調されている。p偏光ビーム153は
λ/4板155通過後円偏光となり、試料への励起光と
してに対物レンズ156によりその前側焦点位置15
8、即ち試料51上に集光され、図5(b)に示すと同
様の光強度分布をもつ光スポットになる。即ち、レンズ
151の前側焦点位置149と対物レンズ156の前側
焦点位置158とは、互いに共役であると同時に共焦点
の関係にある。試料51上の集光部である前側焦点位置
158において光音響効果に基づいて生じた熱歪波によ
り超音波(熱弾性波)が発生し、同時に試料51表面の
集光部158に微小変位が生じる。集光部158からの
反射光は試料51表面で生じた微小変位を位相情報とし
てもっており、対物レンズ156を通過後平行光とな
り、さらにλ/4板155通過後s偏光ビームとなる。
このs偏光ビームは偏光ビームスプリッタ108で反射
される。
【0040】一方、偏光ビームスプリッタ108により
分離されたs偏光ビーム154は、fc2だけ周波数シフ
トしており、λ/4板159通過後円偏光となり、参照
ミラー160に入射する。参照ミラー160で反射した
円偏光ビームは再びλ/4板159通過後p偏光とな
り、参照ミラーとして偏光ビームスプリッタ108を通
過する。図12の172は、偏光ビームスプリッタ10
8で反射された試料51からの反射光の偏光方向を、1
73は参照ミラー160からの反射光の偏光方向を示し
ている。両者は互いに直交しているので、このままで
は、干渉しない。そこで、偏光板161を光路に挿入
し、その偏光方向を図12の174に示すように45°
方向とすることにより、両反射光は干渉する。この干渉
光162には光音響効果により試料51表面で生じた微
小変位が光位相情報として含まれている。干渉光162
をレンズ163によりその後側焦点位置164に集光
し、ホトダイオード等の光電変換素子166で検出す
る。このマイケルソン干渉光学系303において、レン
ズ151の前側焦点位置149、対物レンズ156の前
側焦点位置158及びレンズ163の後側焦点位置16
4とは、互いに共役であると同時に共焦点の関係にあ
る。さらに、レンズ163の後側焦点位置164にはピ
ンホール165が設置されている。その結果、対物レン
ズ156内で発生した迷光や試料上の透明薄膜内で発生
した干渉成分やあるいは試料表面の微小な凹凸により発
生した高次回折光成分を遮光することができる。
【0041】今、試料からの反射光と参照ミラーからの
参照光の周波数差をfBとすると、fB=fc1−fc2とな
り、光電変換素子67で検出される干渉光の強度Iは、
第1の実施例と同様、数1で表される。従って、第1の
実施例と同様、信号処理系300よって、数1で表され
る干渉光から変調周波数fLの2倍の周波数成分を検出
することにより、光音響効果に基づいて生じた試料51
表面の微小変位の振幅a及び位相θが求められる。尚、
本実施例では、fc1=79MHz、fc2=80MHz、
L=100kHzとした。とした。即ち、fB=1MH
zである。このように、本実施例では、試料からの反射
光と参照光の各々に互いに異なる周波数シフトを与える
ことにより、第1の実施例に比べ、2つの光の間により
低い周波数差を設けることが可能となる点が大きな特徴
である。
【0042】本実施例によれば、第1の実施例と同様ヘ
テロダイン干渉に基づくマイケルソン干渉光学系を採用
し、かつ励起光である強度変調ビームの変調周波数の2
倍の周波数成分を検出することにより、試料からの反射
光を光音響検出のためのプローブ光として用いることが
可能となる。その結果、1本のビーム光で光音響効果の
発生と光音響効果により生じた試料表面の微小変位の検
出を行うことが可能となり、正確に試料上の励起部の光
音響信号の検出が行える。また、励起光とプローブ光と
の相対的光軸調整が不要となり、更に単純な光学系の構
成で、試料の表面及び内部情報の安定かつ高感度な検出
が可能となる。
【0043】また、本実施例によれば、第2の実施例と
同様、励起光あるいは試料からの反射光と参照光の各々
に互いに異なる周波数シフトを与えて相対的周波数差を
設ける構成になっているため、第1の実施例に比べ、よ
り低い周波数シフトの設定が可能となり、信号処理系に
おける干渉光検出信号からの強度変調周波数に応じた振
幅、位相情報の抽出が容易になると同時に、試料の表面
及び内部情報の安定かつ高感度な検出が可能となる。
【0044】また、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、上記干渉光学系を共焦点光学系として構成するこ
とにより、試料上及び干渉光検出手段上に、不要な高次
回折光成分の存在しない理想的なピーク部を有するスポ
ット光を形成することができ、さらに対物レンズ48内
で発生した迷光や試料上の透明薄膜内で発生した干渉成
分やあるいは試料表面の微小な凹凸により発生した高次
回折光成分を遮光することができる。よって、光音響信
号の横方向分解能、検出感度及び信号SN比が向上す
る。
【0045】本発明の第4の実施例を図13及び図14
に基づいて説明する。図13は第4の実施例における光
音響検出光学系を示すものである。本光学系は、励起光
学系と検出光学系を兼ねたヘテロダイン形マッハツェン
ダ干渉光学系304と信号処理系300から成る。マッ
ハツェンダ干渉光学系303において、Arレーザ18
1から出射するs偏光ビーム182を音響光学変調素子
183に入射する。第1の実施例と同様、発振器68か
ら図4(a)に示す周波数fBの正弦波83を、また発
振器69から同図(b)に示す周波数fL(fL<fB
の矩形波84を各々信号合成器70に入力し、両波形の
積をとることにより同図(c)に示す変調信号85を作
り、音響光学変調素子183に入力する。その結果、音
響光学変調素子183からは0次光185と、fBだけ
周波数シフトし変調周波数fLで強度変調された1次回
折光186が出力される。1次回折光186はミラー1
87で反射した後、ビームエキスパンダ188により所
望のビーム径に拡大した後、レンズ189によりその後
側焦点位置190に集光させる。後側焦点位置190に
はピンホール191が設置されており、図5(a)に示
すように、集光スポットのピーク部90の周辺に存在す
る高次回折光成分90a及び90bを遮光する。その結
果、ピンホール191通過後の光強度分布は図5(b)
に示すように、ピーク部90だけになる。焦点位置19
0はレンズ192の前側焦点位置になっているので、ピ
ンホール191通過後の光束はレンズ192通過後平行
光になる。上記平行光はs偏光成分から成るので、偏光
ビームスプリッタ194で反射された後、λ/4板19
5通過後円偏光となり、さらに対物レンズ196により
その前側焦点位置198、即ち試料51上に集光され、
図5(b)に示すと同様の光強度分布をもつ光スポット
になる。即ち、レンズ192の前側焦点位置190と対
物レンズ196の前側焦点位置198とは、互いにに共
役であると同時に共焦点の関係にある。試料51上の集
光部である前側焦点位置198において光音響効果に基
づいて生じた熱歪波により超音波(熱弾性波)が発生
し、同時に試料51表面の集光部198に微小変位が生
じる。集光部198からの反射光は試料51表面で生じ
た微小変位を位相情報としてもっており、対物レンズ1
96を通過後平行光となり、さらにλ/4板195通過
後、p偏光ビームとなる。このp偏光ビームは偏光ビー
ムスプリッタ194を通過した後、さらに偏光ビームス
プリッタ206を通過する。
【0046】一方、参照光である0次光185は1次回
折光186と同様、ミラー199で反射した後、ビーム
エキスパンダ200により所望のビーム径に拡大した
後、レンズ201によりその後側焦点位置202に集光
させる。後側焦点位置202にはピンホール203が設
置されており、図5(a)に示すように、集光スポット
のピーク部90の周辺に存在する高次回折光成分90a
及び90bを遮光する。その結果、ピンホール203通
過後の光強度分布は図5(b)に示すように、ピーク部
90だけになる。焦点位置202はレンズ204の前側
焦点位置になっているので、ピンホール203通過後の
光束はレンズ204通過後平行参照光になる。上記参照
光はs偏光成分から成るので、偏光ビームスプリッタ2
06で反射された後、偏光ビームスプリッタ206を通
過してきた試料51表面からの反射光と合成される。こ
こで、図14の214は、偏光ビームスプリッタ206
を通過してきた試料51からの反射光の偏光方向を、2
15は偏光ビームスプリッタ206で反射された参照光
の偏光方向を示している。両者は互いに直交しているの
で、このままでは、干渉しない。そこで、偏光板207
を光路に挿入し、その偏光方向を図14の216に示す
ように45°方向とすることにより、両反射光は干渉す
る。干渉光208には、光音響効果により試料51表面
で生じた微小変位が光位相情報として含まれている。干
渉光208をレンズ209によりその後側焦点位置21
0に集光し、ホトダイオード等の光電変換素子212で
検出する。このマッハツェンダ干渉光学系304におい
て、レンズ192の前側焦点位置190、レンズ204
の前側焦点位置202、対物レンズ196の前側焦点位
置198及びレンズ209の後側焦点位置210とは、
互いに共役であると同時に共焦点の関係にある。さら
に、レンズ209の後側焦点位置210にはピンホール
211が設置されている。その結果、対物レンズ196
内で発生した迷光や試料上の透明薄膜内で発生した干渉
成分やあるいは試料表面の微小な凹凸により発生した高
次回折光成分を遮光することができる。
【0047】今、励起光の波長をλ、試料51表面から
の反射光の強度をIs、参照光の強度をIr、2つの光路
間の位相差を時間変動を含めてφ(t)、試料51表面で
生じた微小変位の振幅をa、位相をθとすると、光電変
換素子212で検出される干渉光の強度Iは、第1の実
施例と同様、数1で表される。従って、第1の実施例と
同様、信号処理系300よって、数1で表される干渉光
から変調周波数fLの2倍の周波数成分を検出すること
により、光音響効果に基づいて生じた試料51表面の微
小変位の振幅a及び位相θが求められる。尚、本実施例
では、fB=40MHz、fL=100kHzとした。
【0048】本実施例によれば、第1の実施例と同様、
ヘテロダイン干渉に基づくマッハツェンダ干渉光学系を
採用し、かつ励起光である強度変調ビームの変調周波数
の2倍の周波数成分を検出することにより、試料からの
反射光を光音響検出のためのプローブ光として用いるこ
とが可能となる。その結果、1本のビーム光で光音響効
果の発生と光音響効果により生じた試料表面の微小変位
の検出を行うことが可能となり、正確に試料上の励起部
の光音響信号の検出が行える。また、励起光とプローブ
光との相対的光軸調整が不要となり、更に単純な光学系
の構成で、試料の表面及び内部情報の安定かつ高感度な
検出が可能となる。
【0049】また、本実施例によれば、音響光学変調素
子から出力された0次光と1次回折光を、各々参照光及
び励起光として用いているので、光量の損失が少ないと
いう利点がある。
【0050】また、本実施例によれば、第1の実施例と
同様、上記干渉光学系を共焦点光学系として構成するこ
とにより、試料上及び干渉光検出手段上に、不要な高次
回折光成分の存在しない理想的なピーク部を有するスポ
ット光を形成することができ、さらに対物レンズ48内
で発生した迷光や試料上の透明薄膜内で発生した干渉成
分やあるいは試料表面の微小な凹凸により発生した高次
回折光成分を遮光することができる。よって、光音響信
号の横方向分解能、検出感度及び信号SN比が向上す
る。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、光音響信号検出装置に
おいて、相対的に光周波数の異なる2つのビーム光のう
ち、一方のビーム光を強度変調して試料上に集光するこ
とにより光音響効果を発生させ、その反射光と他方のビ
ーム光とを干渉させ2倍の変調周波数成分を検出するこ
とにより、光音響効果により生じた試料表面の微小変位
を検出することが可能となる。その結果、1本のビーム
光で光音響効果の発生と光音響効果により生じた試料表
面の微小変位の検出を行うことが可能となるため、正確
に試料上の励起部の光音響信号の検出が行える。また、
励起光とプローブ光との相対的光軸調整が不要となり、
さらに単純な光学系の構成で試料の表面及び内部情報の
安定かつ高感度な検出が可能となるという効果を有す
る。
【0052】また、励起光を試料上に集光する励起手段
と、光音響効果により生じた試料表面の微小変位を検出
する光干渉検出手段とを、共焦点光学系として構成する
ことにより、試料上及び干渉光検出手段上に、不要な高
次回折光成分の存在しない理想的なピーク部を有するス
ポット光を形成することができ、光音響信号の横方向分
解能、検出感度及び信号SN比が向上するという効果を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における光音響検出光学
系を示す図である。
【図2】第1の実施例における入射光の偏光方向を示す
図である。
【図3】音響光学変調素子の原理図である。
【図4】音響光学変調素子へ入力される変調信号を示す
図である。
【図5】集光スポットの高次回折光成分が遮光される様
子を示す図である。
【図6】位相検波回路の構成図である。
【図7】干渉強度信号の周波数スペクトルを示す図であ
る。
【図8】本発明の第2の実施例における光音響検出光学
系を示す図である。
【図9】音響光学変調素子へ入力される変調信号を示す
図である。
【図10】本発明の第3の実施例における光音響検出光
学系を示す図である。
【図11】第3の実施例における二周波直交偏光状態を
示す図である。
【図12】第3の実施例における試料からの反射光、参
照光及び偏光板の各偏光方向を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施例における光音響検出光
学系を示す図である。
【図14】第4の実施例における試料からの反射光、参
照光及び偏光板の各偏光方向を示す図である。
【図15】従来の光音響検出光学系を説明するための図
である。
【図16】光音響効果の原理図である。
【符号の説明】
1,8…レーザ、31,121,181…Arレーザ、
2,76,100,127,142,183…音響光学
変調素子、42,57,65,150,165,19
1,203,211…ピンホール、5,48,156,
196…対物レンズ、13,67,166,212…光
電変換素子、72…位相検波回路、16,73…ロック
インアンプ、17,74…計算機、7,51…試料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28 G01N 21/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源からの光を2つに分離して、該2つに
    分離した光に周波数差を設け、該周波数差を設けた一方
    の光を所望の変調周波数で強度変調し、該強度変調した
    光を試料の表面に集光して照射し、該試料の表面あるい
    は該試料の内部にて光音響効果あるいは光熱効果を発生
    させると共に前記照射により前記試料の表面で反射した
    前記強度変調した光の反射光を前記分離した他方の光と
    干渉させ、該干渉により生じた干渉光を検出し、該干渉
    光を検出した検出信号を前記変調周波数の2倍の周波数
    を通過させるローパスフィルタに入力し、該ローパスフ
    ィルタを通過した検出信号から前記検出した干渉光に含
    まれている前記変調周波数に対して2倍の周波数に相当
    する周波数成分を検出し、該周波数成分より強度変調周
    波数に応じた試料の表面及び内部情報を抽出することを
    特徴とする光音響信号検出方法。
  2. 【請求項2】上記2つの光の間の周波数差は、上記強度
    変調周波数よりも高くすることを特徴とする請求項1記
    載の光音響信号検出方法。
  3. 【請求項3】上記2つの光のうち一方の光にのみ周波数
    シフトを生じさせて、2つ光の間に相対的周波数差を設
    けることを特徴とする請求項1記載の光音響信号検出方
    法。
  4. 【請求項4】上記2つの光の各々に互いに異なる周波数
    シフトを生じさせて、2つ光の間に相対的周波数差を設
    けることを特徴とする請求項1記載の光音響信号検出方
    法。
  5. 【請求項5】上記強度変調した光を試料表面上に集光
    し、試料表面あるいは内部にて光音響効果あるいは光熱
    効果を発生させる励起手段と、上記干渉光を検出する干
    渉光検出手段を、共焦点光学系として構成することを特
    徴とする請求項1記載の光音響信号検出方法。
  6. 【請求項6】光源と、該光源からの光を2つに分離する
    分離手段と、該分離手段で分離した2つの光に周波数差
    を設ける周波数差設定手段と、該周波数差設定手段で周
    波数差を設けた一方の光を所望の変調周波数で強度変調
    する変調手段と、該変調手段で強度変調した光を試料表
    面上に集光照射して試料表面あるいは内部にて光音響効
    果あるいは光熱効果を発生させる励起手段と、該励起手
    段により前記試料に集光照射した光のうち前記試料表面
    で反射し前記所望の周波数で強度変調された反射光を前
    記分離手段で分離した他方の光と干渉させその干渉光を
    検出する干渉光検出手段と、該干渉光検出手段で前記干
    渉光を検出した検出信号を前記変調周波数の2倍の周波
    数を通過させるローパスフィルタ手段と、該ローパスフ
    ィルタ手段を通過した検出信号から前記干渉光検出手段
    で検出した干渉光に含まれる前記変調周波数に対して
    倍の周波数に相当する周波数成分を検出する周波数成分
    検出手段と、該周波数成分検出手段で検出した前記強度
    変調周波数の2倍の周波数成分より強度変調周波数に応
    じた試料の表面及び内部情報を抽出する情報抽出手段と
    を設けたことを特徴とする光音響信号検出装置。
  7. 【請求項7】上記周波数差設定手段は、2つの光の間に
    上記強度変調周波数よりも高い周波数差を設定すること
    を特徴とする請求項6記載の光音響信号検出装置。
  8. 【請求項8】上記周波数差設定手段は、2つの光のうち
    一方の光にのみ周波数シフトを生じさせて、2つ光の間
    に相対的周波数差を設けることを特徴とする請求項6記
    載の光音響信号検出装置。
  9. 【請求項9】上記周波数差設定手段は、2つの光の各々
    に互いに異なる周波数シフトを生じさせて、2つ光の間
    に相対的周波数差を設けることを特徴とする請求項6記
    載の光音響信号検出装置。
  10. 【請求項10】上記強度変調した光を試料表面上に集光
    し試料表面あるいは内部にて光音響効果あるいは光熱効
    果を発生させる励起手段と、上記反射光と上記他方の光
    とを干渉させ、その干渉光を検出する干渉光検出手段
    を、共焦点光学系として構成することを特徴とする請求
    項6記載の光音響信号検出装置。
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