JP3495069B2 - 光熱変位信号検出方法とその装置 - Google Patents

光熱変位信号検出方法とその装置

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JP3495069B2
JP3495069B2 JP30393893A JP30393893A JP3495069B2 JP 3495069 B2 JP3495069 B2 JP 3495069B2 JP 30393893 A JP30393893 A JP 30393893A JP 30393893 A JP30393893 A JP 30393893A JP 3495069 B2 JP3495069 B2 JP 3495069B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光音響効果を利用する
ことによって、試料の表面とその近傍の内部情報が検出
されるようにした光音響信号検出方法とその装置に係わ
り、特に試料上の直線状領域に対する干渉光を高速に処
理することによって、試料の2次元領域における光熱変
位情報が実時間で抽出されるようにした光音響信号検出
方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光音響効果(Photoacoustic Effect)は
1881年に、チンダル(Tyndall)やベル(Bell)、
レントゲン(Rentogen)等によって発見された。この光
音響効果とは、図15に示すように、予め一定周波数で
強度変調された光(断続光)19が励起光として、レン
ズ5を介し集光された状態で試料7表面上に照射される
場合には、光吸収領域(Vop)21において熱が周期的
に発生した上、熱拡散長(μs )22で与えられる熱拡
散領域(Vth)23内を周期的に拡散され、この熱歪波
によって弾性波(超音波)が発生する現象である。その
超音波、即ち、光音響信号をマイクロホン(音響電気変
換器)や圧電素子により、あるいは試料7表面に生じて
いる周期的な変位量を光干渉計により検出した上、励起
光の変調周波数と同期した信号成分を求めることによっ
て、試料7の表面およびその近傍内部での情報が得られ
るものとなっている。なお、熱拡散長μs は、励起光の
変調周波数をfL 、試料の熱伝導率、密度、比熱をそれ
ぞれk、ρ、cとして、以下の数式1で与えられるもの
となっている。
【0003】
【数1】
【0004】ところで、光音響信号の具体的な検出方法
に関しては、例えば文献「光音響顕微鏡について」(非
破壊検査;第36巻第10号,頁730〜736(昭和
62年10月))や、「アイ・イー・イー・イー 19
86 ウルトラソニックス・シンポジウム;頁515〜
526(1986年)(IEEE 1986 ULTRA
SONICS SYMPOSIUM;p.515〜52
6(1986)」において論じられている。
【0005】ここで、従来技術に係る光音響信号検出方
法、あるいはその装置について具体的に説明すれば、図
16はその一例での装置構成を示したものである。図示
のように、レーザ発振器1からの平行レーザ光は先ず音
響光学変調素子(AO変調器)2で強度変調されること
で、断続光として得られるものとなっている、この断続
光は励起光として、ビームエキスパンダ3を介し所望の
ビーム径の平行レーザ光19とされた後、ハーフミラー
4で反射され、更にレンズ5で集光された状態で、XY
ステージ6上に載置されている試料7表面上に照射され
るものとなっている。この結果、試料7上の集光部21
から生じた熱歪波により超音波が発生し、同時に試料7
表面には微小変位が生じるが、例えばこの微小変位は、
以下に述べるマイケルソン干渉計で検出可とされている
ものである。図示のように、レーザ発振器8からの平行
レーザ光はビームエキスパンダ9を介し所望のビーム径
の拡大平行レーザ光20とされた後、ハーフミラー10
で2つの光路に分離され、一方はプローブ光としてレン
ズ5を介し集光された状態で試料7上の集光部21に照
射される一方では、他方は参照ミラー11に照射される
ものとなっている。試料7からの、プローブ光24に対
する反射光と、参照ミラー11からの反射光とはハーフ
ミラー10上で互いに干渉するが、その干渉光がレンズ
12を介し集光された状態でホトダイオード等の光電変
換素子13で検出されることで、光電変換素子13から
干渉強度信号が得られているものである。その後、その
干渉強度信号はプリアンプ14を介しロックインアンプ
16で、音響光学変調素子2の駆動に用いる発振器15
からの強度変調周波数信号を参照信号として、干渉強度
信号に含まれている強度変調周波数成分(振幅と、参照
信号との位相差)だけが抽出されるものとなっている。
この強度変調周波数成分にその周波数に応じた、試料7
の表面、あるいはその近傍内部での情報が含まれている
ものである。その際、計算機17により強度変調周波数
を変更することによっては、熱拡散長(μs )21もそ
れに応じて変更され得ることから、試料7についての様
々な深さでの情報が得られるものである。もしも、熱拡
散領域(Vth)23内にクラック等の欠陥があれば、干
渉強度信号中の強度変調周波数成分にその旨を示す信号
変化が現われるので、その存在が知れるものである。
【0006】さて、試料7上でのレーザ光照射位置はX
Yステージ6を介し計算機17によって更新可として制
御され、また、計算機17では実レーザ光照射位置はX
Yステージ6からの位置検出信号より知れるが、試料7
にレーザ光が照射される度に、ロックインアンプ16か
らの強度変調周波数成分を実レーザ光照射位置に対応づ
けて計算機17で処理するようにすれば、試料7上の実
レーザ光照射位置各々における光音響信号がモニタテレ
ビジョン等の表示器18に2次元画像情報として表示さ
れ得るものである。
【0007】因みに、特開平5−172737号公報に
は、励起光を直線状のストライプビームとし、プローブ
光も同様のストライプビームとして、干渉光を直線状に
配置した複数個の光電変換素子からなる検出器で同時に
検出し、励起光の変調周波数と光電変換素子の制御信号
周波数が一定の関係に維持された状態で、複数個の光電
変換素子の信号を逐次的に読み出し、一旦一定量の信号
を記憶し、記憶された信号から個々の光電変換素子の信
号をそれぞれ逐次的に読み出すことによって、それぞれ
で検出された干渉光の時間変化を得、それに対して一定
の法則に従って計算機を用いて演算を施し、励起光の変
調周波数に対応する成分を抽出することによって、高速
に光熱変位信号を得る方法および装置が示されたものと
なっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術による場合、光熱変位信号は非接触・非破壊で検
出可とされ、極めて有効ではあるが、以下に示すような
各種不具合が同時に伴われたものとなっている。即ち、
図16に示す従来技術に係る光熱変位検出光学系では、
試料の2次元内部情報を得ようとする場合、光音響効果
を発生させるための励起光と、光音響効果によって生じ
た試料表面の微小変位を検出するためのプローブ光とに
よって、試料表面は2次元走査される必要があることは
明らかである。この2次元走査は1点づつ情報が検出さ
れる、いわゆるポイント走査であるため、試料の全面に
亘って走査しようとすると、試料の2次元内部情報を得
るのに多くの時間が要されるというものである。実に、
この点が、これまで、光音響検出技術を生産ラインにお
ける試料の内部欠陥検査へ適用し得なかった最大の理由
である。
【0009】また、試料如何によっては、その表面の反
射率が一様ではなく、局所的に異なっている場合がある
が、このような場合には、プローブ光の反射光強度に内
部情報ばかりでなく、試料表面の反射率情報が併せて含
まれてしまい、内部情報のみを確実に検出することは困
難であるというものである。更に、試料如何によって
は、その表面形状が平坦でなく、局所的に表面が凹凸状
態として形成されている場合があるが、このような場合
には、プローブ光に対する反射光はその位相が試料表面
上の凹凸状態によっても変化され、したがって、内部情
報だけでなく試料表面の凹凸情報も含んでしまい、内部
情報のみを確実に検出することは困難であったのが実情
である。
【0010】また、特開平5−172737号公報に示
された公知例では、上記した従来技術に係る光熱変位検
出光学系での不具合は一部解消されてはいるものの、複
数の光電変換素子で検出された信号をそれぞれの光電変
換素子に対して一定時間記憶させる必要があるため、光
電変換素子全体に対し大容量のメモリが必要となってい
る。例えば256×256画素の光熱変位画像を検出す
る場合、光電変換素子の出力を2バイトで表現した上、
100回の繰り返しデータを使用するとすれば、約13
Mバイトもの記憶容量のデータ一時記憶用メモリが必要
となるものである。この不具合に加え、干渉光の検出自
体は高速に行えるにも拘らず、光熱変位信号の抽出のた
めのその処理については、逆三角関数を含む数式にもと
づき計算機で処理するとのみ記述されているため、一旦
信号を記憶する必要性と相俟って、光熱変位信号の検出
については必ずしも高速に行えないものとなっている。
【0011】本発明の目的は、試料表面上の反射率分布
や凹凸分布の影響を受けることなく、しかも試料の表面
とその近傍の内部情報が2次元的に高速に検出され得る
光熱変位信号検出方法とその装置を供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、周波数f
L ,fB ,fI が一定の比に制御された状態で、光源か
らの光を可変設定可とされた周波数fL で強度変調した
上、試料表面の直線状領域に照射することによって、該
直線状領域の表面に周期的に光熱変位を発生させる一方
では、上記試料を上記直線状領域の長手方向と直交する
方向に移動させつつ、上記直線状領域に他の光を照射
し、該他の光に対する上記試料表面からの反射光を、周
波数が上記fB だけ異なる参照光との間で干渉させ、干
渉結果としての干渉光は測定点対応の光電変換素子から
なる直線状検出器で1/fI 時間周期で複数回に亘って
積分検出されるに際し、最初の積分検出値が上記光電変
換素子対応のアドレスにもとづきメモリに初期値として
記憶された後は、該メモリの内容は上記直線状検出器か
ら光電変換素子対応の積分検出値が得られる度に、該積
分検出値との間で1/fI 時間周期の整数倍間隔で加
算、減算が行われることによって更新記憶される結果と
して、上記直線状領域内の測定点各々についての光熱変
位情報が抽出されることで達成される。また、装置の構
成要件として、周波数fL で強度変調された光線を発す
る波長λ1 の光源と、該強度変調された光線を直線状光
束に変換した上、試料上の直線状領域に照射する第1の
光学手段と、該試料上の直線状領域に波長λ2 (≠λ
1 )の直線状光束光線を照射する第2の光学手段と、該
試料上の直線状領域からの反射光のうち、波長λ2 の反
射光成分を分離する反射光分離手段と、該反射光分離手
段からの、分離された波長λ2 の反射光成分と該波長λ
2 の直線光束とは周波数がfB だけ異なる参照光とを干
渉させる干渉手段と、該手段からの干渉光を、測定点対
応の光電変換素子でfI 時間周期で積分検出する直線状
検出器と、周波数fL を可変設定可として、かつ周波数
L ,fB ,fI の信号各々を一定の比に制御た状態
として発生した上、必要部位に供給する制御信号発生手
段と、上記直線状検出器からの、光電変換素子対応の初
期積分検出値を該光電変換素子対応のアドレスにもとづ
き記憶した上、後に該初期積分検出値を更新可として記
憶するメモリと、該メモリの内容と上記直線状検出器か
ら光電変換素子対応の積分検出値が複数回に亘って得ら
れる度に、該積分検出値との間で1/fI 時間周期の整
数倍間隔で加算、減算を行い、加算、減算の結果を上記
メモリに光電変換素子対応のアドレスにもとづき更新記
憶せしめる第1の演算手段と、上記メモリにおける光電
変換素子対応の内容にもとづき、試料上の直線状領域内
の測定点各々についての光熱変位情報を演算により抽出
する第2の演算手段と、上記試料上の直線状領域を該直
線状領域の長手方向と直交する方向に移動させるべく、
該試料と上記第1,第2の光学手段、反射光分離手段お
よび干渉手段を含む検出光学系との相対位置関係を更新
する直線状領域更新手段と、上記第2の演算手段から繰
返し抽出される光熱変位情報を、外部に可視表示可とし
て試料の2次元領域における光熱変位情報として格納す
る光熱変位情報格納手段と、を具備せしめることで達成
される。
【0013】
【作用】可変設定可とされた一定周波数で強度変調され
た励起光を直線状ストライプビームとして試料表面に照
射すれば、その試料上の直線状領域における表面やその
近傍内部にて同時に光音響効果、あるいは光熱効果が発
生されるが、その際に、励起光の照射位置と同一位置に
直線状の他の光をストライプビームとして照射した上、
その他の光に対する反射光を参照光と干渉させ、その干
渉光を直線状に配置された複数個の光電変換素子からな
る検出器で同時に検出すれば、光電素子各々からは直線
状領域内の測定点各々についての積分検出値が得られる
ものである。したがって、それら複数個の光電変換素子
各々からの積分検出値を逐次読み出し、光電変換素子の
数以上の容量を持つ一時記憶用メモリに初期積分検出値
が一旦記憶されるとして、光電変換素子各々から積分検
出値が得られる度に、その積分検出値とメモリ内のその
光電変換素子対応の内容との間で加減算を行い、加減算
結果をメモリ内の同一の位置に記憶せしめることを一定
回数に亘って繰返すようにした後、同様な処理で得られ
た他の記憶素子からの内容との間で一定の演算を行うこ
とによって、直線状領域内の測定点各々についての光熱
変位信号や表面反射率に関する信号、表面上の凹凸に関
する信号が高速に検出され得るものである。このよう
に、複数の測定点各々についての表面や内部情報がほぼ
同時に抽出可とされていることから、従来技術に比し光
熱変位信号がより格段に高速に検出された上、実時間に
2次元画像として表示され得るものである。また、その
際に、強度変調周波数が可変として設定される場合に
は、光音響効果、あるいは光熱効果にもとづく熱拡散長
が試料の被測定内部界面の深さと同一か、あるいはそれ
を越える長さとなるべく調整され得ることから、試料内
部の任意の深さに及ぶ欠陥検査や表示が可能となるもの
である。
【0014】
【実施例】以下、本発明を図1から図14により説明す
る。先ず本発明による光熱変位信号検出装置の構成を説
明すれば、図1はその基本的な概要構成を示したもので
ある。図示のように、その基本構成要素として、光熱変
位検出光学系400、光熱変位情報抽出処理装置40
1、制御信号発生装置402、計算機403およびxy
ステージ48を含むものとして構成されたものとなって
いる。このうち、計算機403はxyステージ48を始
めとして、装置全体の動作を制御する機能の他、試料の
表面やその内部の情報として抽出された光熱変位信号を
2次元画像として記憶する複数のメモリ404や、メモ
リ404の内容を明暗画像や、信号の大小を高さ方向と
した鳥瞰(斜視)図的な画像、信号の大小を色に対応さ
せたカラー画像などとして表示する画像表示装置405
を含むものとして構成されたものとなっている。また、
制御信号発生装置402は、特定の周波数比の各種制御
パルス信号(周波数比やその絶対的な周波数は計算機4
03によって設定)を発生した上、光熱変位検出光学系
400内の各部に対して供給すべく機能したものとなっ
ている。したがって、装置全体としては、xyステージ
48を試料上の直線状領域と直交する方向に水平移動さ
せる度に、光熱変位検出光学系400、光熱変位情報抽
出処理装置401および制御信号発生装置402によっ
て、試料上の直線状領域内の測定点各点各々についての
光熱変位信号および試料表面情報を抽出した上、メモリ
404に記憶するようにすれば、メモリ404上には試
料上の2次元領域での光熱変位信号および試料表面情報
が収集状態として記憶されることから、これを適当な表
示態様を以て画像表示装置405で画像表示すればよい
ものである。その画像表示に併せて、計算機403がメ
モリ404の内容を読み出した上、公知の計測アルゴリ
ズムや欠陥検出アルゴリズムを用い画像処理を行う場合
は、自動計測、あるいは自動検査を実施することも可能
とされているものである。
【0015】本発明による光熱変位信号検出装置の概要
構成は以上のようであるが、以下では、その要部として
の光熱変位検出光学系400、光熱変位情報抽出処理装
置401および制御信号発生装置402各々についての
具体的な実施例について述べることとする。具体的な実
施例に係る光熱変位検出光学系400、光熱変位情報抽
出処理装置401および制御信号発生装置402の各種
組合せ、更にはそれら組合せと計算機403、xyステ
ージ48との組合せ如何によっては、様々な具体的構成
に係る、本発明による光熱変位信号検出装置が実現され
得るものである。
【0016】さて、先ず本発明に係る光熱変位検出光学
系400について、その第1の具体的な実施例を図2か
ら図6により説明すれば、図2はその具体的構成を示し
たものである。図示のように、その光熱変位検出光学系
は、励起光学系201と、光音響信号を検出するための
ヘテロダイン形トワイマン・グリーン干渉光学系202
とから構成されたものとなっている。先ず励起光学系2
01であるが、励起光学系201では、Arレーザ31
(波長515nm)から出射された平行ビーム32は音
響光学変調素子33に入射された上、変調信号100に
よりその強度が変調されることで、音響光学変調素子3
3からは励起光が出射されるものとなっている。信号合
成器88では、発振器86からの周波数fC0の正弦波9
8と、制御信号発生装置402からの周波数fL (fL
<fC0)の矩形波99とから両波形の積がとられること
によって変調信号100が作成されているが、これが音
響光学変調素子33に入力される結果として、音響光学
変調素子33からは、fC0だけ周波数シフトされた1次
回折光35が周波数fL で断続された状態として出射さ
れているものである。即ち、音響光学変調素子33から
は、励起光として、fC0だけ周波数シフトされた変調周
波数fL の強度変調ビーム35が得られるものである。
なお、その際、0次光34も併せて出射されるが、これ
は不要なものとして絞り36で遮光される。
【0017】その後、強度変調ビーム35はそのビーム
径がビームエキスパンダ38で所望に拡大され、更にシ
リンドリカルレンズ(円筒レンズ)39で楕円ビーム4
0に変換された状態でダイクロイックプリズム(波長6
00nm以下は反射、600nm以上は透過)41で反
射された上、対物レンズ42の瞳43、即ち、後側焦点
位置44にx方向のみ集光された状態として入射される
ものとなっている。y方向に関しては、シリンドリカル
レンズ39は曲率を持たない単なる板ガラスと見做せる
ので、対物レンズ42の後側焦点位置44に平行光の状
態で入射されるものである。その結果として、図3に示
すように、対物レンズ42の前側焦点位置、即ち、試料
47の表面上には、励起ビーム46として、x方向に幅
を持ちy方向に集束された、1本のストライプビーム1
01が照射されるものである。
【0018】ここで、試料47として、図3に示すよう
に、ポリイミドのような有機高分子材料104を絶縁体
として形成されたCu配線パターン102,103を想
定する。その試料47は図4(a),(b)に示すよう
に、下地基板としてのセラミック基板109上に、厚さ
20μmのポリイミド104を絶縁体として、厚さ20
μmのCu配線パターン102,103が形成された構
造となっている。さて、Cu配線パターン102,10
3中の内部クラック107や、下地基板とCuパターン
界面での剥離108が検出されるべき内部欠陥とされて
いるが、このような試料47では、Cu配線パターン1
02,103とその周辺のポリイミド104との熱的性
質の違いが注目すべき重要事項として挙げられるものと
なっている。即ち、Cuの熱伝導率kは403〔J・m
-1・k-1・s-1〕、密度ρは8.93〔×106g・m
-3〕、比熱cは0.38〔J・g-1・k-1〕であるのに
対し、ポリイミドの熱伝導率kは0.288〔J・m-1
・k-1・s-1〕、密度ρは1.36〔×106g・
-3〕、比熱cは1.13〔J・g-1・k-1〕であり、
特にCuの熱伝導率kはポリイミドのそれの1400倍
であることが判る。そこで、励起光の強度変調周波数f
L を50kHzとして、既述の数式1に上記値を代入す
れば、Cu配線パターン102,103部での熱拡散長
μsは約27μm、ポリイミド104部でのそれは約
1.1μmとなり、その結果として、図4(a)に示す
ように、ストライプビーム101によって形成されるス
トライプ状の光吸収領域105においては、ストライプ
ビーム101から与えられる熱が、検査対象であるCu
配線パターン102,103部では大きく拡散され、下
地基板との界面を含めCu配線パターン102,103
全体を含む熱拡散領域106が形成されるものとなって
いる。一方、検査対象外のポリイミド104部では、熱
は小さく拡散されており、熱拡散領域はほぼポリイミド
104表面部分のみに形成されるようになっている。換
言すれば、ストライプビーム101をCu配線パターン
102,103を含む試料47表面に照射すれば、光吸
収領域105に沿って光音響効果、あるいは光熱効果が
生じ、その効果にもとづき発生される熱歪波によっては
超音波(熱弾性波)が発生され、試料47表面には微小
変位の分布110(破線表示)が生じるというものであ
る。しかも、その微小変位の分布110には、Cu配線
パターン102,103各々での内部情報(内部クラッ
ク107、剥離欠陥108)や、ポリイミド104部で
の内部情報が相互に独立したものとして反映されている
というものである。このことは、とりもなおさずストラ
イプビーム101によっても、熱的コントラストの高い
複数の検査対象が同時に励起された状態で、試料47各
部での内部情報が独立に検出され得ることを示唆してい
る。
【0019】以上、励起光学系201について説明し
た。次に、図2に戻り光音響効果にもとづく試料47表
面での微小変位の分布110を検出するためのヘテロダ
イン形トワイマン・グリーン干渉光学系202のその構
成と機能について説明すれば、ヘテロダイン形トワイマ
ン・グリーン干渉光学系202では、He−Neレーザ
(波長633nm)51からは直線偏光ビーム52が出
射されているが、その偏向方向は図5(a)に111と
して示すように、x軸、y軸(図2の紙面に対し、垂直
方向をy軸とし、それと直交する方向をx軸とする)各
々に対し45°方向に設定される。このように直線偏光
されている直線偏光ビーム52はその後、偏光ビームス
プリッタ53でp偏光成分54とs偏光成分55に分離
された上、所定に処理されるものとなっている。偏光ビ
ームスプリッタ53への直線偏光ビーム52のうち、図
5(a)に112として示すp偏光成分54は偏光ビー
ムスプリッタ53をそのまま透過された上、音響光学変
調素子62に入射される一方、図5(a)に113とし
て示すs偏光成分55は偏光ビームスプリッタ53で反
射された上、音響光学変調素子57に入射されているも
のである。音響光学変調素子62には制御信号発生装置
402から周波数fC1の正弦波500が入力されること
で、音響光学変調素子62からはfC1だけ周波数シフト
されたp偏光の1次回折光64が、また、音響光学変調
素子57には制御信号発生装置402から周波数f
C2(fC1≠fC2)の正弦波501が入力されることで、
音響光学変調素子57からはfC2だけ周波数シフトされ
たs偏光の1次回折光59が得られているものである
(その際、0次光63は絞り65で、また、0次光58
は絞り60で遮光される)。その後、p偏光の1次回折
光64はミラー66で反射された上、偏光ビームスプリ
ッタ61を通過される一方、s偏光の1次回折光59は
偏光ビームスプリッタ61で反射された上、偏光ビーム
スプリッタ61を通過されてくるp偏光の1次回折光6
4と合成されるものとなっている。この合成光67は二
周波直交偏光、即ち、図5(b)に示すように、11
2、113として示す方向に互いに直交し、かつ互いに
C1−fC2の周波数差をもったビーム光として得られて
いるものである。その後、合成光67はビームスプリッ
タ68を通過光69として通過された後、ビームエキス
パンダ70により所望のビーム径に拡大された状態でシ
リンドリカルレンズ(円筒レンズ)71により楕円ビー
ムに変換された上、偏光ビームスプリッタ73に入射さ
れるものとなっている。
【0020】偏光ビームスプリッタ73では、その楕円
ビームはp偏光ビーム72とs偏光ビーム74に分離さ
れるが、このうち、p偏光ビーム72はfC1だけ周波数
シフトされた状態でダイクロイックプリズム41を通過
後、対物レンズ42の瞳43、即ち、後側焦点位置44
にx方向のみ集光された状態で入射されるものとなって
いる。一方、y方向に関しては、シリンドリカルレンズ
71は曲率を持たない単なる板ガラスと見做せるので、
対物レンズ42のその後側焦点位置44に平行光状態で
入射されているものである。その後、対物レンズ42か
ら出射されたp偏光ビーム145はλ/4板45を通過
後、円偏光ビーム145とされた状態で、図3に示すよ
うに、対物レンズ42の前側焦点位置、即ち、試料47
の表面上にストライプビーム101と同一状態で、かつ
同一位置にプローブビームとして照射されるものとなっ
ている。プローブビームは試料47表面に、x方向に幅
を持ちy方向には集束された、1本のストライプビーム
190として照射されているものである。既述の図4
(a)に示すように、試料47からの、ストライプビー
ム190に対する反射光には、光音響効果により試料4
7表面で生じた微小変位の分布110(破線)を位相分
布情報が含まれているが、その反射光はλ/4板45を
通過後、s偏光ビームとされた状態で対物レンズ42を
通過後、再び同一光路を逆に辿って偏光ビームスプリッ
タ73で反射されるものとなっている。一方、偏光ビー
ムスプリッタ73により分離されたs偏光ビーム74
は、fC2だけ周波数シフトされた状態でλ/4板75を
通過後、円偏光に変換された状態で参照ミラー76で反
射されるものとなっている。参照ミラー76からの反射
円偏光ビームは再びλ/4板75を通過後、p偏光とさ
れた上、参照光として偏光ビームスプリッタ73を通過
されるものとなっている。さて、図6に偏光ビームスプ
リッタ73で反射された試料47からの反射光の偏光方
向を114として、また、参照ミラー76からの反射光
(参照光)の偏光方向を115として示すが、両者は互
いに直交しておりこのままでは干渉しないことから、結
像レンズ78の後に偏光板79が挿入されるものとなっ
ている。その偏光方向は図6に116として示すよう
に、45°方向とされていることから、両反射光77は
互いに干渉され、fB (=fC1−fC2)のビート周波数
を持ったヘテロダイン干渉光80が得られるものであ
る。このヘテロダイン干渉光80には光音響効果により
試料47表面で生じた微小変位のx方向1次元分布の情
報が含まれているが、その後、ヘテロダイン干渉光80
は干渉フィルタ(中心波長633nm)81により迷光
が除去された状態で、結像レンズ78によりCCD1次
元センサ等の固体撮像素子82上に結像されているもの
である。当然ながら、CCD1次元センサ82の撮像面
と試料47の表面とは結像関係にあるので、その撮像面
には試料47表面に形成されているストライプビーム1
90と同様、ヘテロダイン干渉光80がストライプ状の
干渉光として結像されるわけである。なお、ビームスプ
リッタ68では、二周波直交偏光の合成光67のうち、
その10%程度のビーム光が反射されるが、この反射ビ
ーム光での両偏光成分は、偏光方向が図6に116とし
て示すように、45°方向に設定された偏光板83によ
り互いに干渉され、その干渉光84が光電変換素子(ホ
トダイオード等)85で検出されるものとなっている。
B´(=fC1´−fC2´)のビート信号502が光電
変換素子85で検出された上、制御信号発生装置402
に送出されているものである。
【0021】以上の具体例に係る光熱変位検出光学系4
00においては、光音響効果にもとづく試料47表面で
の微小変位がヘテロダイン形干渉光学系で検出されてい
るので、励起周波数fL とビート周波数fB の関係が特
定の関係に設定されることによって、後述するように、
試料表面での凹凸や反射率、光熱変位信号が相互に分離
された状態と検出可とされているものである。
【0022】次に、光熱変位検出光学系400の第2の
具体的な実施例を図7から図9により説明すれば、図7
はその具体的構成を示したものである。図示のように、
本例でのものは、励起光学系301と、光熱変位信号を
検出するためのヘテロダイン形微分干渉光学系302と
から構成されたものとなっている。先ず励起光学系30
1であるが、本例での励起光学系301からは、変調周
波数fL の強度変調ビーム35が得られているが、その
構成と機能は図2に示す励起光学系201と全く同様と
されていることから、その説明を省略することとする。
さて、励起光学系301からの強度変調ビーム35はビ
ームエキスパンダ38により所望のビーム径に拡大さ
れ、更にシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)150に
より楕円ビーム151とされた状態で、その焦点位置1
59にy方向のみ集光されるものとなっている。その焦
点位置159は軸外しのリレーレンズ152の前側焦点
位置と一致しており、リレーレンズ152を通過後のビ
ームは再び平行光となり、ダイクロイックプリズム(波
長600nm以下は反射、600nm以上は透過)15
3で反射された上、対物レンズ154の瞳、即ち、後側
焦点位置155に入射される。一方、x方向に関して
は、シリンドリカルレンズ150は曲率を持たない単な
る板ガラスと見做せるので、リレーレンズ152に平行
光の状態で入射されたビームは、リレーレンズ152の
後側焦点位置と一致した対物レンズ154の後側焦点位
置155に集光される。その結果、対物レンズ154の
前側焦点位置、即ち、試料47の表面上には、図8に示
すように、励起ビーム156が照射されることで、x方
向に幅を持ちy方向に集束された、1本のストライプビ
ーム186が得られるものである。
【0023】さて、図9(a),(b)は第1の実施例
と同様、ポリイミドのような有機高分子材料104を絶
縁体として形成されたCu配線パターン102,103
からなる試料47に、ストライプ状の励起ビーム156
が照射されることによって、光吸収領域183に沿って
生じた光音響効果に基づく試料表面の微小変位の分布1
85(破線表示)を示したものである。事情は図4
(a),(b)と同様であることから、これ以上の説明
は省略することとする。
【0024】以上、励起ビーム関係について説明した。
次に、図7に戻り光音響効果にもとづく試料47表面で
の微小変位の分布185を検出するためのヘテロダイン
形微分干渉光学系302の構成とその機能について説明
する。図示のように、ヘテロダイン形微分干渉光学系3
02では、二周波直交偏光、即ち、図5(b)に示すよ
うに、112、113各々の方向に互いに直交し、かつ
互いにfC1−fC2の周波数差をもった合成光67が得ら
れているが、その構成と機能は図2に示したものに全く
同様であるので、それ以上の説明は省略することとす
る。さて、図7の紙面に対し垂直方向をx軸、それと直
交する方向をy軸として、二周波直交偏光の合成光67
はビームスプリッタ68を通過光69として通過された
後、ビームエキスパンダ70により所望のビーム径に拡
大され、更にシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)16
0により楕円ビーム161に変換される。楕円ビーム1
61への変換に際し、y方向に関しては、シリンドリカ
ルレンズ160は曲率を持たない単なる板ガラスと見做
せるので、この楕円ビーム161はy方向に関し平行光
の状態でビームスプリッタ162により反射された上、
シリンドリカルレンズ160の焦点位置に置かれたウォ
ラストン・プリズム163(ロッション・プリズムでも
可)により、ともに平行光であるp偏光ビーム164と
s偏光ビーム165に分離されるものとなっている。ウ
ォラストン・プリズム163の位置はリレーレンズ16
6の前側焦点位置と一致しているので、リレーレンズ1
66を通過後のp偏光ビーム164、s偏光ビーム16
5各々の主光線は互いに平行とされた状態でミラー16
7で反射されるも、p偏光ビーム164、s偏光ビーム
165各々はリレーレンズ166の後側焦点位置187
に一旦集光された状態でミラー167で反射されるもの
となっている。さて、リレーレンズ166の後側焦点位
置187はリレーレンズ168の前側焦点位置と一致し
ているので、リレーレンズ168通過後のそれら2つの
ビームの主光線はダイクロイックプリズム153を通過
された後、リレーレンズ168の後側焦点位置と一致し
た対物レンズ154の後側焦点位置155に集束され、
また、同時にそれら2つのビームはそれぞれ平行光の状
態で、対物レンズ154の後側焦点位置155に入射さ
れる。一方、x方向に関しては、シリンドリカルレンズ
160から出たビームはウォラストン・プリズム163
で集光された上、リレーレンズ166を通過後、平行光
となり、更にリレーレンズ168を介しダイクロイック
プリズム153を通過後、対物レンズ154の後側焦点
位置155に集光される。その後、対物レンズ154か
ら出射された2つのビームはλ/4板45を通過後、そ
れぞれ円偏光ビーム169,170とされた状態で、図
8に示すように、対物レンズ154の前側焦点位置、即
ち、試料47の表面上に照射されることで、ストライプ
ビーム186と同一位置にはプローブビームとしてのス
トライプビーム181が、また、そのストライプビーム
181から僅かに離れた位置には、参照ビームとして、
ストライプビーム181と同様、x方向に幅を持ちy方
向に集束されたストライプビーム182がそれぞれ得ら
れるものである。
【0025】図9(a)に示すように、試料47上のス
トライプビーム181の位置からの反射光には、光音響
効果により試料47表面で生じた微小変位の分布(破線
表示)185が位相分布情報として含まれたものとなっ
ている。なお、参照ビームとしてのストライプビーム1
82は、ストライプビーム186によって試料47表面
に微小変位が生じる範囲、即ち熱拡散領域184の範囲
の外で、かつ図8に示すように、可能な限りストライプ
ビーム181に近接した位置に入射させるものとする。
【0026】図7に戻り説明を続行すれば、試料47表
面上のストライプビーム181,182の位置各々から
の反射光はλ/4板45を通過後、s偏光ビーム、p偏
光ビームとされ、更に対物レンズ154を通過後、再び
同一光路を逆に辿って、ウォラストン・プリズム163
にて合成された後、ビームスプリッタ162を通過され
るようになっている。さて、図6には114として、ス
トライプビーム181位置からの反射光の偏光方向が、
また、115として、ストライプビーム182位置から
の反射光の偏光方向がそれぞれ示されているが、両者は
互いに直交しているので、このままでは干渉しない。そ
こで、結像レンズ78の後に偏光板79を挿入し、その
偏光方向を図6に116として示すように、45°方向
に設定することによって、両反射光は干渉しfB (=f
C1−fC2)のビート周波数を持ったヘテロダイン干渉光
171が得られるものとなっている。ヘテロダイン干渉
光171には、光音響効果により試料47表面で生じた
微小変位のx方向の1次元分布が情報として含まれてい
るが、この干渉光171が干渉フィルタ(中心波長63
3nm)81で迷光が除去された後、固体撮像素子(C
CD1次元センサ等)82で電気信号として検出されて
いるものである。なお、ビームスプリッタ68では、第
1の実施例と同様、二周波直交偏光の合成光67のう
ち、10%程度のビーム光が反射される。このビーム光
の両偏光成分は、偏光方向を図6に116として示すよ
うに、45°方向とされた偏光板83により互いに干渉
され、干渉光84は光電変換素子(ホトダイオード等)
85で検出され、その検出信号としてのfB´(=fC1
´−fC2´)のビート信号502は制御信号発生装置4
02に送出されるものとなっている。
【0027】以上のように、本実施例での光熱変位検出
光学系では、光音響効果にもとづく試料表面での微小変
位を検出する干渉光学系は微分干渉光学系とされてい
る。即ち、参照光を別途設けられた参照ミラーから得る
のではなく、プローブ光の近傍に入射された参照ビーム
の試料表面からの反射光を参照光として使用している。
このため、プローブ光と参照光がほぼ同一の光路、同一
の光学系を通ることになり、2つの光の間の光路長のゆ
らぎや波面のずれが大幅に低下されるとともに、試料表
面と光学系の相対距離の変動、即ち、試料全体の振動な
どの影響が低減される。したがって、第1の実施例によ
る効果に加え、光熱変位信号の検出精度および検出感度
が大きく向上されるという効果がある。更に、参照光路
を別途設ける必要がないので、光学系が簡略化されると
ともに、その安定度が向上される分、光熱変位信号の検
出精度が向上され得るものとなっている。
【0028】なお、上記した光熱変位検出光学系400
の第1,第2の実施例ともに、励起光学系201,30
1の光源としてArレーザ31の他に、半導体レーザを
用いることも可能である。半導体レーザが用いられる場
合には、音響光学素子33や絞り36、発振器86、信
号合成器88が不要となり、したがって、光学系はより
単純な構成のもので済まされ得、また、電力の使用効率
にも優れ、試料表面は効率的に励起され得るものであ
る。
【0029】以上、光熱変位検出光学系400の実施例
について各種説明したが、以下では、光熱変位情報抽出
装置401および制御信号発生装置402の実施例につ
いて述べる。先ずそれら装置の実施例に先立って、その
光熱変位情報抽出処理の原理について説明すれば、今、
試料47表面に入射されるプローブビーム光の波長、即
ち、HeーNeレーザ51の波長をλ、その振幅を1、
試料47表面の反射係数をas 、参照光路での反射係数
をar 、試料47表面での凹凸による位相変化を含めた
プローブ光の光路と参照光路との間の光位相差をφ、光
音響効果による試料47表面の微小変位をA、また、強
度変調信号に対する位相変化量をθとすると、CCD1
次元センサ82の1画素に入射されるヘテロダイン干渉
光Iは次式で表される。
【0030】
【数2】
【0031】更に、A<<λより、上式は近似的に次式の
形に改められる。
【0032】
【数3】
【0033】ここで、A・cos(2πfL t+θ)
が、光音響効果にもとづいて生じた試料47表面の微小
変位の複素振幅を表す項である。CCD1次元センサ8
2としてに蓄積形のものを用い、その蓄積時間をα/f
B とすると、1画素から出力される検出信号ID (n+
i)(n+iはCCD1次元センサ82の蓄積・出力回
数)は次式で与えられる。
【0034】
【数4】
【0035】ここで、数式4に関して、以下の項目を満
足する条件を求めることとする。
【0036】(1)第2項≠0 (2)第2項における蓄積・出力回数iに対する位相シ
フト量=π/4の1/P(P=1,2,3・・・) (3)第3項≠0 (4)第3項における蓄積・出力回数iに対する位相シ
フト量=π/2の1/P (5)第4項=0 得られた条件は、α/fB =1/fI 、U,Vを0以外
の任意整数として次式の通りである(複号同順)。
【0037】
【数5】
【0038】また、上記項目条件(3)〜(5)を (3)第3項=0 (4)第4項≠0 (5)第4項における蓄積・出力回数iに対する位相シ
フト量=π/2の1/Pとした場合には、得られる条件
は以下の通りとなる(複号同順)。
【0039】
【数6】
【0040】例えば、U=V=2、P=1とし、数式5
の複号のうち、上の符号を採用したとすれば、α=17
/8として求められ、また、fB =100kHzとすれ
ば、fL =88.235kHz、fI =47.059k
Hzとなる。また、数式4にα=17/8を代入すると
次式が得られる。
【0041】
【数7】
【0042】数式7において、第1項は直流成分、第2
項は蓄積・出力回数iに対する位相シフト量がπ/4
で、試料47表面での凹凸による位相変化を含めたプロ
ーブ光の光路と参照光路との間の光位相差φに関する変
調成分(ビート成分と呼ぶ)、第3項は蓄積・出力回数
iに対する位相シフト量がπ/2で、試料47表面での
凹凸による位相変化を含めたプローブ光の光路と参照光
路との間の光位相差φ、光熱変位信号の振幅A及び位相
θに関する変調成分(熱変位成分と呼ぶ)である。この
場合での各信号成分の波形の様子を模式的に図10に示
す。
【0043】さて、数式7における第2項、第3項のi
についての周波数を考えると、それぞれ1/8、1/4
となる。ここで、数式7をiの関数と考えI(i)とし、
iについてN個(Nは8の倍数とする)のデータI(0)
〜I(N−1)が得られたとして、このデータをフーリエ
級数展開すれば数式8となる。
【0044】
【数8】
【0045】但し、amm は以下の通りである。
【0046】
【数9】
【0047】
【数10】
【0048】数式7の周波数1/8および1/4の成分
は、数式9,10においてそれぞれ、m=N/8、m=
N/4として得られる。即ち、数式7における第2項、
周波数1/8のビート成分は以下の通りとなる。、
【0049】
【数11】
【0050】
【数12】
【0051】また、数7における第3項、周波数1/4
の熱変位成分は以下の通りとなる。
【0052】
【数13】
【0053】
【数14】
【0054】原理的には、上記した2つの周波数成分以
外ないので、数式11と数式12は更に簡単に、以下の
ように表現される。
【0055】
【数15】
【0056】
【数16】
【0057】このように、ビート成分、熱変位成分とも
に、CCD1次元センサ82の各光電変換素子、即ち、
画素からの出力信号に対して、一定データ間隔で交互に
加減算を行うことによって計算し得る。更に、試料47
表面での反射率as2、試料47表面の凹凸による位相変
化を含めたプローブ光の光路と参照光路との間の光位相
差φ、光熱変位信号の振幅、即ち試料47表面の微小変
位A、光熱変位信号の位相、即ち励起光の強度変調信号
に対する位相変化θは、それぞれ数式7と数式8の各項
を比較することによって以下のように求められる。
【0058】
【数17】
【0059】
【数18】
【0060】
【数19】
【0061】
【数20】
【0062】なお、以上の説明では、周波数関係の一例
を与えたが、同様な考え方で、数式5,6に示したそれ
以外の様々な整数比の周波数関係を用い、同様な処理を
行い得るものとなっている。
【0063】さて、以上の考察をもとに、先ず制御信号
発生装置402の第1の実施例について説明すれば、必
要とされる信号は、光熱変位検出光学系400における
音響光学素子62、57への、周波数がそれぞれfC1
C2の正弦波(但し、fC1−fC2=fB )500,50
1、CCD1次元センサ82での蓄積時間を決定する周
波数fI (=fB /α)のパルス信号503、CCD1
次元センサ82での画素の値を逐次読み出すための周波
数fC のパルス信号504、励起光を強度変調する周波
数fL の矩形波99である。ここで、α=17/8の場
合を例に採り、CCD1次元センサ82の画素数を25
6として、1ライン当り300パルスで読み出すものと
すると、これらの関係は、以下のようになる。
【0064】
【数21】
【0065】図11には制御信号発生装置402の第1
の実施例での構成が示されているが、これによる場合、
周波数がそれぞれfC1、fC2の正弦波500,501
は、発振周波数がfo とされた基準発振器600からの
出力をもとに、位相比較器700,701、VCO(ボ
ルテージ・コントロールド・オシレータ:電圧制御発振
器)702,703、分周器704,705からそれぞ
れなるPLL(フェーズ・ロックド・ループ:位相同期
ループ)回路601,602により生成されものとなっ
ている。例えば、基準発振器600の出力周波数fo
100kHzで、fC1、fC2をそれぞれ80.0MH
z、79.9MHzに設定する場合、分周器704,7
05の分周比はそれぞれ1/800、1/799に設定
される。また、CCD1次元センサ82の蓄積時間を決
定する周波数fI (=fB /α)のパルス信号503、
CCD1次元センサ82の画素の値を逐次読み出すため
の周波数fC のパルス信号504、励起光を強度変調す
る周波数fL の矩形波99は、先ず光電変換素子85で
検出されているビート信号502(周波数:fB ′)を
もとづいて生成されるものとなっている。先ずビート信
号502からは、位相比較器706、VCO707、分
周器708,709からなるPLL回路603により周
波数fC のパルス信号504を生成されるものとなって
いる。そのパルス信号504はまた、分周回路604,
605各々で所定に分周されることで、それぞれ周波数
I (=fB /α)のパルス信号503、周波数fL
矩形波99が生成されたものとなっている。数式21に
示した周波数関係の場合、PLL回路603での分周器
708,709の分周比はそれぞれ1/17、1/24
00に、また、分周回路604,605の分周比はそれ
ぞれ1/300、1/160に設定されればよいもので
ある。
【0066】以上からも判るように、本実施例では、先
ず初めに生成されたfC からは、更にfI 、fL がそれ
ぞれ分周回路により生成されているので、周波数が安定
した制御信号を発生し得るものとなっている。また、そ
のfC を発生させる際での基準信号は、光学系でモニタ
されている周波数fB ′のビート信号とされているの
で、仮に、光学系やPLL回路601,602に何等か
の揺らぎが発生した場合にも、これに追従しつつ信号を
発生し得るものとなっている。
【0067】図12にはまた、制御信号発生装置402
の第2の実施例での構成が示されているが、これの第1
の実施例との違いは、fC を発生させるPLL回路60
3の基準信号を基準発振器600から得ていることであ
る。また、fC1、fC2を発生させるための基準信号は、
基準発振器600の出力を分周回路710で分周したも
のとされている点にある。他の構成は同様である。この
場合も、周波数関係は、基準発振器600の出力周波数
o はfB に等しく、また、分周回路710の分周比を
1/No 、分周器704,705の分周比をそれぞれ1
/N1 、1/N2 とすると、No =|N1 −N2 |の関
係となるべく設定される。例えば、fB=100kHz
の場合で、fC1=80.0MHz、fC2=79.9MH
zのとき、No =1、N1 =800、N2 =799、あ
るいはNo =2、N1 =1600、N2 =1598など
と設定されればよいものである。勿論、No =1の場合
は、分周回路710は省いてよい。
【0068】以上のように、本実施例では、光熱変異検
出光学系400でモニタされているビート信号(周波数
B ′)は用いられていないことから、ビート信号50
2をモニタする上で必要とされているビームスプリッタ
68や偏光板68、光電変換素子85は不要とされるも
のである。また、本実施例では、全ての信号が、単一の
基準発振器600からの信号にもとづき生成されている
ので、周波数が極めて安定となり、装置全体の安定動作
が期待されるものとなっている。
【0069】なお、制御信号発生装置402の第1,第
2の実施例ともに、基準発振器600には水晶発振子を
用いた固定周波数のものの他、水晶発振子よりの固定周
波数信号を基準とした、いわゆるDDS(ダイレクト・
ディジタル・シンセサイザ)方式、あるいはPLL方式
などの可変周波数発振器を用い得る。特に後者の場合、
励起周波数の可変設定制御が容易となり、種々の試料に
応じて励起周波数が適当に設定されることで、その試料
からは最適な内部情報を得られるものとなっている。ま
た、分周器704,705,708,709、分周回路
604,605,710の分周比を可変に設定すること
によっても、励起周波数の可変設定が可能となり、同様
に種々の試料に対して最適な内部情報を得ることが可能
になる。これらの制御は、前述した一定の関係にもとづ
いて行う必要があるが、計算機403により設定制御す
ることによって、その設定は容易である。
【0070】以上、制御信号発生装置402の具体的構
成について説明した。次に、光熱変位情報抽出装置40
1の実施例での具体的構成を図13に示す。これによる
場合、CCD1次元センサ82よりのアナログ信号は先
ずA/D(アナログ/ディジタル)変換器800によっ
てディジタル信号に変換される。したがって、以降の処
理は全てディジタル演算によって行われるものとなって
いる。既述の数式17〜20に示したように、求めるべ
き信号は、基本的に数式13〜16に示したaN/4 ,b
N/4 、aN/8 、bN/8 および信号の平均値から求められ
るものとなっている。但し、これらの演算は、CCD1
次元センサ82の各画素毎に個別に行う必要がある。こ
こで、本実施例では、各画素毎にaN/4 ,bN/4 、a
N/8 、bN/8 および信号を求めるため、図13に示すよ
うに、CCD1次元センサ82の画素数以上の容量を持
つメモリ(ラインメモリ)810を用い、各ライン毎の
各画素の演算結果を一時的に記憶させるようにしてい
る。即ち、入力された画素信号とその画素に対応するア
ドレスに記憶されたラインメモリ810の内容との間で
数式13〜16、または数式16に示された演算を演算
器811で行うものである。演算は数式13〜16に示
されているように、加算、または減算であるから、演算
器811の構成としては、単純なものを用い得るものと
なっている。
【0071】より詳細に説明すれば、図13において、
処理部802,803,804,805は演算部801
と同様、ラインメモリ810および演算器811から構
成されているものとして、図14のように動作し、Nラ
イン分処理を実行すれば、処理部801,802,80
3,804,805各々の出力として、それぞれ数式1
3〜16および平均値に対応した出力が得られるもので
ある。即ち、図14に図示したそれぞれの期間で、各画
素毎に、ラインメモリ810へA/D変換器800の出
力を書き込み、ラインメモリ810の内容とA/D変換
器800の出力との加算、ラインメモリ810の内容か
らA/D変換器800の出力の減算を行う。なお、図1
4中、特に示されていない区間は、ラインメモリ810
の内容が変更されない区間である。また、ラインメモリ
810へA/D変換器800の出力を書き込むには、演
算器811で何等の演算も行われない状態で、A/D変
換器800の出力が単にその演算器811内を通過させ
るようにすればよい。
【0072】以上のようにして、各画素毎に処理を実行
した後、処理部801,802,803,804,80
5各々でのラインメモリ810の結果から、数19、数
20、数18、数17にもとづいた演算を、各画素毎に
演算部806,807,808,809で行えば、試料
上の直線状領域内の測定点各々での光熱変位信号、およ
び試料表面での情報を抽出し得るものである。
【0073】これらの結果をメモリ404に書き込み、
xyステージ48を水平方向に一定距離移動させ、以上
の処理を繰り返せば、メモリ404には、2次元領域で
の光熱変位情報、および試料表面での情報が格納される
ものである。その際、もしも、熱拡散長21がxyステ
ージ48の移動距離より大きい場合は、xyステージ4
8を連続的に一定速度で移動させ同様な処理を行うよう
にすれば、2次元領域での光熱変位情報、および試料表
面での情報が検出され得るものである。なお、演算部8
06,807,808,809には、マイクロコンピュ
ータによる処理の他、専用のハードウエア、あるいはメ
モリを用いた、いわゆるルックアップテーブルなどを用
い得る。何れにしても、繰返し演算はラインメモリ81
0と演算器811からなる処理部処理部801,80
2,803,804,805で、CCD1次元センサ8
2の信号検出と同時に行われていることから、極めて高
速にして光熱変位情報が検出され得るものである。
【0074】因みに、ここで、図14について若干説明
を加えれば、図14は数式5,6におけるP=1の場合
であって、一般的には処理部801,802は2Pライ
ン間隔で加減算を、処理部803,804は4Pライン
間隔で加減算を行えばよい。また、処理部802,80
4における処理の開始、即ち、書き込み区間の遅れは、
それぞれP、2Pラインとなる。また、処理ライン数を
増加させる程、全体としての検出時間は伸びる方向にな
るが、その分、S/Nが向上され、より微弱な光熱変位
信号、あるいはその変化が検出可能となる。しかし、直
線状に一括して光熱変位信号が検出可とされていること
から、S/Nが同一であるという条件下でも、従来方法
に比しより高速に光熱変位信号、あるいはその変化が検
出可とされているものである。このように、本発明に係
る光熱変位情報抽出装置401による場合には、構成単
純にして、実時間に光熱変位情報が抽出され得るもので
ある。
【0075】
【発明の効果】以上、説明したように本発明は、試料表
面上の反射率分布や凹凸分布の影響を受けることなく、
しかも試料の表面とその近傍の内部情報が2次元的に高
速に検出され得る光熱変位信号検出方法とその装置が得
られるものとなっている。より具体的には、ただ1個の
センサにより、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸
分布、光音響信号の振幅分布、および光音響信号の位相
分布と、計4つの表面および内部情報を同時に検出し
得、試料の高速な複合的評価が可能とされているもので
ある。また、試料表面の反射率分布、試料表面の凹凸分
布、および光路の揺らぎを補正した光音響信号の検出が
可能となり、試料の表面および内部情報の高感度に、し
かも安定に検出可とされたものとなっている。更に、光
音響効果にもとづく熱拡散長が検査対象である内部界面
の深さと同じか、もしくはそれを越える長さとなるよう
に、励起ビームの強度変調周波数を設定することによっ
て、内部界面の検査が可能となっている。更にまた、光
干渉信号から光音響信号を抽出する際に、アナログ的な
周波数フィルタリング処理ではなくディジタル処理を用
いるため、高調波成分の影響が少なく、高感度、高精度
にして光音響信号が検出可能とされたものとなってい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による光熱変位信号検出装置の
基本的な概要構成を示す図
【図2】図2は、本発明に係る光熱変位検出光学系の第
1の具体的な構成を示す図
【図3】図3は、励起ビームの試料表面への照射状態を
説明するための図
【図4】図4(a),(b)は、一例での試料の内部構
造と、励起ビームによって生じた熱拡散状態とを示す図
【図5】図5(a),(b)は、ヘテロダイン干渉光学
系に入射されるレーザビームの偏光方向と、二周波直交
偏光状態とを説明するための図
【図6】図6は、偏光ビームスプリッタに入射される2
つの反射光の偏光方向と、それら反射光を干渉させる方
法を説明するための図
【図7】図7は、本発明に係る光熱変位検出光学系の第
2の具体的な構成を示す図
【図8】図8は、図3と同様、励起ビームの試料表面へ
の照射状態を説明するための図
【図9】図9(a),(b)は、図4(a),(b)と
同様、一例での試料の内部構造と、励起ビームによって
生じる熱拡散状態とを示す図
【図10】図10は、光音響信号の検出例を示す図
【図11】図11は、本発明に係る制御信号発生装置の
第1の具体的構成を示す図
【図12】図12は、本発明に係る制御信号発生装置の
第2の具体的構成を示す図
【図13】図13は、本発明に係る光熱変位情報抽出装
置の具体的構成を示す図
【図14】図14は、その光熱変位情報抽出装置の処理
動作を説明するための図
【図15】図15は、光音響効果を一般的に説明するた
めの図
【図16】図16は、従来技術に係る光音響信号検出装
置の一例での構成を示す図
【符号の説明】
31…Arレーザ、51…He−Neレーザ、33,5
7,62…音響光学変調素子、39,71,150,1
60…シリンドリカルレンズ、42,154…対物レン
ズ、82…CCD1次元センサ、85…光電変換素子、
47…試料、400…光熱変位検出光学系、401…光
熱変位情報抽出装置、402…制御信号発生装置、40
3…計算機、48…xyステージ
フロントページの続き (72)発明者 小林 イラリオ 治臣 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社 日立製作所 生産技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平5−172736(JP,A) 特開 平1−260585(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28 G01N 21/00 G01N 21/84 - 21/958

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数f,f,fが一定の比に制
    御された状態で、光源からの光を可変設定可とされた周
    波数fで強度変調した上、試料表面の直線状領域に照
    射することによって、該直線状領域の表面に周期的に光
    熱変位を発生させる一方では、上記試料を上記直線状領
    域の長手方向と直交する方向に移動させつつ、上記直線
    状領域に他の光を照射し、該他の光に対する上記試料表
    面からの反射光を、周波数が上記fだけ異なる参照光
    との間で干渉させ、干渉結果としての干渉光は測定点対
    応の光電変換素子からなる直線状検出器で1/f時間
    周期で複数回に亘って積分検出されるに際し、最初の積
    分検出値が上記光電変換素子対応のアドレスにもとづき
    メモリに初期値として記憶された後は、該メモリの内容
    は上記直線状検出器から光電変換素子対応の積分検出値
    が得られる度に、該積分検出値との間で1/f時間周
    期の整数倍間隔で加算、減算が行われることによって更
    新記憶される結果として、上記直線状領域内の測定点各
    々についての光熱変位情報が抽出されるようにしたこと
    を特徴とする光熱変位信号検出方法。
  2. 【請求項2】 周波数f,f,fが、8PU+
    1:8PV−1:8P、または8PU−1:8PV+
    1:8P(P、U、V:0以外の任意整数)の一定の比
    に制御された状態で、光源からの光を可変設定可とされ
    た周波数fで強度変調した上、試料表面の直線状領域
    に同時に照射することによって、該直線状領域の表面に
    周期的に光熱変位を発生させる一方では、上記試料を上
    記直線状領域の長手方向と直交する方向に移動させつ
    つ、上記直線状領域に他の光を照射し、該他の光に対す
    る試料表面からの反射光を、周波数がfだけ異なる参
    照光との間で干渉させ、干渉結果としての干渉光は測定
    点対応の光電変換素子からなる直線状検出器で1/f
    時間周期で複数回に亘って積分検出されるに際し、最初
    の積分検出値が上記光電変換素子対応のアドレスにもと
    づきメモリに初期値として記憶された後は、該メモリの
    内容は上記直線状検出器から光電変換素子対応の積分検
    出値が得られる度に、該積分検出値との間で1/f
    間周期の整数倍間隔で加算、減算が行われることによっ
    て更新記憶される結果として、上記直線状領域内の測定
    点各々についての光熱変位情報が抽出されるようにした
    ことを特徴とする光熱変位信号検出方法。
  3. 【請求項3】 周波数f,f,fが、8PU+
    1:8PV+1:8P、または8PU−1:8PV−
    1:8P(P、U、V:0以外の任意整数)の一定の比
    に制御された状態で、光源からの光を可変設定可とされ
    た周波数fで強度変調した上、試料表面の直線状領域
    に同時に照射することによって、該直線状領域の表面に
    周期的に光熱変位を発生させる一方では、上記試料を上
    記直線状領域の長手方向と直交する方向に移動させつ
    つ、上記直線状領域に他の光を照射し、該他の光に対す
    る試料表面からの反射光を、周波数がfだけ異なる参
    照光との間で干渉させ、干渉結果としての干渉光は測定
    点対応の光電変換素子からなる直線状検出器で1/f
    時間周期で複数回に亘って積分検出されるに際し、最初
    の積分検出値が上記光電変換素子対応のアドレスにもと
    づきメモリに初期値として記憶された後は、該メモリの
    内容は上記直線状検出器から光電変換素子対応の積分検
    出値が得られる度に、該積分検出値との間で1/f
    間周期の整数倍間隔で加算、減算が行われることによっ
    て更新記憶される結果として、上記直線状領域内の測定
    点各々についての光熱変位情報が抽出されるようにした
    ことを特徴とする光熱変位信号検出方法。
  4. 【請求項4】 周波数fで強度変調された光線を発す
    る波長λの光源と、該強度変調された光線を直線状光
    束に変換した上、試料上の直線状領域に照射する第1の
    光学手段と、該試料上の直線状領域に波長λ(≠
    λ)の直線状光束光線を照射する第2の光学手段と、
    該試料上の直線状領域からの反射光のうち、波長λ
    反射光成分を分離する反射光分離手段と、該反射光分離
    手段からの、分離された波長λの反射光成分と該波長
    λの直線光束とは周波数がfだけ異なる参照光とを
    干渉させる干渉手段と、該手段からの干渉光を、測定点
    対応の光電変換素子で1/時間周期で積分検出する
    直線状検出器と、周波数fを可変設定可として、かつ
    周波数f,f,fの信号各々を一定の比に制御し
    た状態として発生した上、必要部位に供給する制御信号
    発生手段と、上記直線状検出器からの、光電変換素子対
    応の初期積分検出値を該光電変換素子対応のアドレスに
    もとづき記憶した上、後に該初期積分検出値を更新可と
    して記憶するメモリと、該メモリの内容と上記直線状検
    出器から光電変換素子対応の積分検出値が複数回に亘っ
    て得られる度に、該積分検出値との間で1/f時間周
    期の整数倍間隔で加算、減算を行い、加算、減算の結果
    を上記メモリに光電変換素子対応のアドレスにもとづき
    更新記憶せしめる第1の演算手段と、上記メモリにおけ
    る光電変換素子対応の内容にもとづき、試料上の直線状
    領域内の測定点各々についての光熱変位情報を演算によ
    り抽出する第2の演算手段と、上記試料上の直線状領域
    を該直線状領域の長手方向と直交する方向に移動させる
    べく、該試料と上記第1,第2の光学手段、反射光分離
    手段および干渉手段を含む検出光学系との相対位置関係
    を更新する直線状領域更新手段と、上記第2の演算手段
    から繰返し抽出される光熱変位情報を、外部に可視表示
    可として試料の2次元領域における光熱変位情報として
    格納する光熱変位情報格納手段と、を含む光熱変位信号
    検出装置。
  5. 【請求項5】 周波数fで強度変調された光線を発す
    る波長λの光源と、該強度変調された光線を直線状光
    束に変換した上、試料上の直線状領域に照射する第1の
    光学手段と、該試料上の直線状領域に波長λ(≠
    λ)の直線状光束光線を照射する第2の光学手段と、
    該試料上の直線状領域からの反射光のうち、波長λ
    反射光成分を分離する反射光分離手段と、該反射光分離
    手段からの、分離された波長λの反射光成分と該波長
    λの直線光束とは周波数がfだけ異なる参照光とを
    干渉させる干渉手段と、該手段からの干渉光を、測定点
    対応の光電変換素子で1/時間周期で積分検出する
    直線状検出器と、周波数fを可変設定可として、かつ
    周波数f,f,fの信号各々を、f,f,f
    が8PU+1:8PV−1:8P、または8PU−
    1:8PV+1:8P(P、U、V:0以外の任意整
    数)の一定の比に制御した状態として発生した上、必要
    部位に供給する制御信号発生手段と、上記直線状検出器
    からの、光電変換素子対応の初期積分検出値を該光電変
    換素子対応のアドレスにもとづき記憶した上、後に該初
    期積分検出値を更新可として記憶するメモリと、該メモ
    リの内容と上記直線状検出器から光電変換素子対応の積
    分検出値が複数回に亘って得られる度に、該積分検出値
    との間で1/f時間周期の整数倍間隔で加算、減算を
    行い、加算、減算の結果を上記メモリに光電変換素子対
    応のアドレスにもとづき更新記憶せしめる第1の演算手
    段と、上記メモリにおける光電変換素子対応の内容にも
    とづき、試料上の直線状領域内の測定点各々についての
    光熱変位情報を演算により抽出する第2の演算手段と、
    上記試料上の直線状領域を該直線状領域の長手方向と直
    交する方向に移動させるべく、該試料と上記第1,第2
    の光学手段、反射光分離手段および干渉手段を含む検出
    光学系との相対位置関係を更新する直線状領域更新手段
    と、上記第2の演算手段から繰返し抽出される光熱変位
    情報を、外部に可視表示可として試料の2次元領域にお
    ける光熱変位情報として格納する光熱変位情報格納手段
    と、を含む光熱変位信号検出装置。
  6. 【請求項6】 周波数fで強度変調された光線を発す
    る波長λの光源と、該強度変調された光線を直線状光
    束に変換した上、試料上の直線状領域に照射する第1の
    光学手段と、該試料上の直線状領域に波長λ(≠
    λ)の直線状光束光線を照射する第2の光学手段と、
    該試料上の直線状領域からの反射光のうち、波長λ
    反射光成分を分離する反射光分離手段と、該反射光分離
    手段からの、分離された波長λの反射光成分と該波長
    λの直線光束とは周波数がfだけ異なる参照光とを
    干渉させる干渉手段と、該手段からの干渉光を、測定点
    対応の光電変換素子で1/時間周期で積分検出する
    直線状検出器と、周波数fを可変設定可として、かつ
    周波数f,f,fの信号各々を、f,f,f
    が8PU+1:8PV+1:8P、または8PU−
    1:8PV−1:8P(P、U、V:0以外の任意整
    数)の一定の比に制御した状態として発生した上、必要
    部位に供給する制御信号発生手段と、上記直線状検出器
    からの、光電変換素子対応の初期積分検出値を該光電変
    換素子対応のアドレスにもとづき記憶した上、後に該初
    期積分検出値を更新可として記憶するメモリと、該メモ
    リの内容と上記直線状検出器から光電変換素子対応の積
    分検出値が複数回に亘って得られる度に、該積分検出値
    との間で1/f時間周期の整数倍間隔で加算、減算を
    行い、加算、減算の結果を上記メモリに光電変換素子対
    応のアドレスにもとづき更新記憶せしめる第1の演算手
    段と、上記メモリにおける光電変換素子対応の内容にも
    とづき、試料上の直線状領域内の測定点各々についての
    光熱変位情報を演算により抽出する第2の演算手段と、
    上記試料上の直線状領域を該直線状領域の長手方向と直
    交する方向に移動させるべく、該試料と上記第1,第2
    の光学手段、反射光分離手段および干渉手段を含む検出
    光学系との相対位置関係を更新する直線状領域更新手段
    と、上記第2の演算手段から繰返し抽出される光熱変位
    情報を、外部に可視表示可として試料の2次元領域にお
    ける光熱変位情報として格納する光熱変位情報格納手段
    と、を含む光熱変位信号検出装置。
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