JP3200969B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アレイ状に配列された
複数の発光部を有する半導体レーザの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】アレイ状に配列された複数の発光部を有
し、個々の発光部が独立して駆動される独立駆動型の半
導体レーザが使用されている。このような半導体レーザ
の模式的な拡大断面図を図7に示す。半導体レーザ60
の片面には、共通電極22が形成され、反対側の面に
は、各々電気的に絶縁された複数の独立電極20が形成
されている。独立電極20と共通電極22との間に電流
を流すことによって、各々の発光部12を独立して発光
させることができる。
【0003】このような半導体レーザにおいて、発光部
の間隔が数十μm程度になると、各発光部に設けられた
独立電極から直接リード線を引き出すことが困難とな
る。そのため、図8に示すような配線引出用の基板が使
用される。配線引出用の基板50には配線引出用の導体
線52が形成されている。独立電極と接続する導体線の
独立電極取付部分52Aの間隔は、独立電極20の間隔
に等しい。リード線を取り付け易くするため、導体線の
リード線接続部分52Bの間隔は、独立電極取付部分5
2Aの間隔よりも広げられている。
【0004】図9に示すように、配線引出用の基板50
に半導体レーザ60を搭載し、各々の独立電極20と導
体線52とをはんだ付け等で電気的及び機械的に接続
し、リード線接続部分52Bにリード線56を電気的に
接続する。独立電極20の間隔が狭くなるに従い、独立
電極20と独立電極取付部分52Aとの接触面積も小さ
くなり、独立電極20と独立電極取付部分52Aとの間
の接続強度が低くなる。そのため、一般に、最も外側の
独立電極20A及び独立電極取付部分52Cの面積を大
きくし、接続強度を高めている(図7及び図8参照)。
【0005】一方、独立電極が設けられた面と反対側の
面の全面に設けられた共通電極22の面積は広いので、
共通電極22からリード線58を直接引き出すことがで
きる。共通電極22とリード線58の接続は、一般に、
超音波振動を加えた圧着法によって行われる。リード線
58の共通電極22への接続は、半導体レーザ60の独
立電極20を独立電極取付部分52Aに接続した後に行
われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】発光部の間隔が狭くな
るに従い、超音波振動を加えた圧着法によって共通電極
22とリード線を接続するとき、超音波振動の影響で、
複数の独立電極20の内の一部が独立電極取付部分52
Aから剥がれ、独立電極20と独立電極取付部分52A
との間の電気的接続が不良になるという問題がある。こ
の場合には、電気的接続不良が生じた発光部は発光しな
いので、半導体レーザ全体が不良となる。独立電極20
と独立電極取付部分52Aとの間が部分的に剥がれた場
合には、信頼性が低下する。この傾向は発光部の間隔が
狭くなる程顕著になり、半導体レーザの組立歩留まりの
低下、信頼性の低下を招く。
【0007】従って、本発明の目的は、独立電極と導体
線の独立電極取付部分との間に電気的接続不良を生じさ
せる共通電極へのリード線接続を必要としない、独立駆
動型半導体レーザを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の半導体レーザにおいては以下の構成を採
用した。即ち、基板に形成された複数の発光部を有し、
それぞれの発光部が独立電極と共通電極に電気的に接続
されている半導体レーザにおいて、独立電極と共通電極
とが概ね同一基板面内にあることを特徴とする。
【0009】本発明の半導体レーザの好ましい態様にお
いては、共通電極は、露出した基板表面に形成されてい
ることを特徴とする。
【0010】本発明の半導体レーザの更に好ましい態様
においては、発光部が形成された基板面とは反対側の基
板面に形成された第2の共通電極を備え、この第2の共
通電極は、共通電極と電気的に接続されている。
【0011】
【作用】本発明の半導体レーザにおいては、独立電極と
共通電極とが概ね同一基板面内にあるので、従来の独立
電極と導体線とを電気的に接続する方法と同じ方法で、
独立電極と共通電極を同時に導体線に接続でき、従来の
組立方法のように共通電極にリード線を取り付ける必要
がない。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の半導体レー
ザを実施例に基づき説明する。
【0013】(実施例1)図1の(A)に、本発明の第
1の実施例による半導体レーザの模式的な拡大断面図を
示す。実施例1の半導体レーザにおいては、共通電極
は、露出した基板表面に形成されている。
【0014】p型基板10には複数の発光部12が形成
されている。この半導体レーザは、発光部のアノードが
共通電極であり、カソードが独立電極であるアノードコ
モン型の半導体レーザである。レーザ素子部である各々
の発光部12は、基板10上に形成された、第1クラッ
ド層14、活性層16、第2クラッド層18から成り、
第2クラッド層上には独立電極20が形成されている。
独立電極20は、例えば、第2クラッド層側からAu−
Ge/Ni/Auの3層構造を有するn型オーミック電
極から成る。各々の発光部12の間には発光部分離溝3
0が形成され、これによって、発光部12は互いに電気
的に絶縁されている。
【0015】本発明の半導体レーザは、共通電極22に
特徴がある。発光部分離溝30をエッチング法で形成す
るときに、同時に、共通電極を形成すべき部分の第2ク
ラッド層18、活性層16、第1クラッド層14を除去
し、p型基板の一部分を露出させる。そして、このp型
基板の露出部分10Aに、p型オーミック電極として、
例えばTi/Pt/Auから成る3層膜を形成し、次い
で、独立電極との高さを揃えるために、例えば厚さ約5
μm程度のはんだ層を形成して、共通電極22とする。
【0016】こうして、レーザ素子部である個々の発光
部12が独立電極20と共通電極22に電気的に接続さ
れ、独立電極20と共通電極22とが概ね同一基板面内
にある半導体レーザが完成する。独立電極20の表面
と、共通電極22の表面とは、完全に同一基板面内にあ
る必要はない。半導体レーザを後の工程で配線引出用の
基板50に確実に取り付け得るならば、独立電極20の
表面を含む平面と、共通電極22の表面を含む平面に若
干の食い違いがあってもよい。
【0017】図1の(B)に、本発明の半導体レーザ1
を取り付けるための、セラミックから成る配線引出用の
基板50の平面図を示す。配線引出用の基板50には、
配線引き出し用の導体線52が形成されている。独立電
極と接する独立電極取付部分52Aの間隔は、独立電極
20の間隔に等しい。リード線を取り付け易くするた
め、導体線のリード線接続部分52Bの間隔は、独立電
極取付部分52Aの間隔よりも広げられている。更に、
配線引出用の基板50には、共通電極用パッド54が設
けられている。独立電極取付部分52A、及び共通電極
用パッド54の共通電極との接触部分には、はんだ材
(図示せず)が付けられている。
【0018】配線引出用の基板50に半導体レーザ1を
載置し、熱処理を施すことによって、はんだ材が溶融
し、独立電極20と独立電極取付部分52A、及び共通
電極22と共通電極用パッド54とが電気的に且つ機械
的に接続される。
【0019】(実施例2)図2に、本発明の第2の実施
例による半導体レーザ2の模式的な拡大一部断面図を示
す。実施例2の半導体レーザ2は、基本的には実施例1
で説明した半導体レーザ1と同じである。実施例1の半
導体レーザ1との相違点は、共通電極22と、最も外側
の発光部12との間にはんだブロック32を設けたこと
にある。
【0020】はんだブロック32は、実質的には発光部
と同じ構造を有するが、発光部としての機能は有してい
ない。はんだブロック32を設ける目的は、半導体レー
ザを配線引出用の基板50に取り付ける際、共通電極2
2のはんだが独立電極20へ流れ込むことを防止するこ
とにある。
【0021】(実施例3)図3に、本発明の第3の実施
例による半導体レーザ3の模式的な拡大一部断面図を示
す。実施例3の半導体レーザ3は、基本的には実施例1
で説明した半導体レーザ1と同じである。実施例1の半
導体レーザ1との相違点は、共通電極22、独立電極2
0を設けた基板面側と反対側の基板面に、p型オーミッ
ク裏面電極40を設けたことにある。
【0022】この裏面電極40を設けることによって、
基板10自体の横方向(厚さと垂直方向)の抵抗を小さ
くし、共通インピーダンスを下げることができ、あるい
は、或る発光部に対する他の発光部の干渉を減少させる
ことができる。共通インピーダンスを下げることによ
り、発光部を高速駆動することができる。
【0023】(実施例4)図4に、本発明の第4の実施
例による半導体レーザ4の模式的な拡大一部断面図を示
す。実施例4の半導体レーザ4は、基本的には実施例3
で説明した半導体レーザ3と同じである。実施例3の半
導体レーザ3との相違点は、共通電極22と裏面電極4
0とを電気的に接続するためにスルーホール42を設け
たことにある。スルーホール42は、基板10に貫通孔
を形成し、この貫通孔の内壁に、例えば金を蒸着するこ
とによって形成することができる。スルーホール42を
設けることにより、共通インピーダンスを下げるだけで
なく、基板の厚さ方向の抵抗を小さくすることができ
る。
【0024】(実施例5)図5に、本発明の第5の実施
例による半導体レーザ5の模式的な拡大一部断面図を示
す。実施例5の半導体レーザ5は、基本的には実施例3
で説明した半導体レーザ3と同じである。実施例3の半
導体レーザ3との相違点は、共通電極22と裏面電極4
0とを電気的に接続するために、基板10の側面に導体
44を形成したことにある。導体44は、例えば、金を
基板10の側壁に蒸着することによって形成することが
できる。導体44を設けることにより、共通インピーダ
ンスを下げるだけでなく、基板の厚さ方向の抵抗を小さ
くすることができる。
【0025】(実施例6)図6に、本発明の第6の実施
例による半導体レーザ6の模式的な拡大一部断面図を示
す。実施例6の半導体レーザ6においては、共通電極2
2は、独立電極20の表面を含む平面内、即ち、第2ク
ラッド層18が形成された基板表面に形成されている。
そして、レーザ素子部である発光部12が形成された基
板面とは反対側の基板面に形成された第2の共通電極4
6を備えており、この第2の共通電極46は、共通電極
22と電気的に接続されている。
【0026】実施例6における発光部12の構造自体
は、実施例1と実質的に同様であり、その詳細な説明は
省略する。
【0027】実施例6の半導体レーザ6においては、発
光部分離溝30をエッチング法で形成するときに、実施
例1〜実施例5とは異なり、p型基板10の一部分を露
出させない。共通電極を形成すべき基板領域に、第1ク
ラッド層14、活性層16及び第2クラッド層18が形
成されたままである。共通電極を形成すべき基板領域
に、例えば、はんだを蒸着して、p型オーミック共通電
極22を形成する。
【0028】共通電極22、独立電極20を設けた基板
面側と反対側の基板面に、第2の共通電極46を設けた
ことにある。そして、共通電極22と第2の共通電極4
6とは、図6の(A)に示すように、内壁に金が蒸着さ
れたスルーホール42で電気的に接続されている。ある
いは又、図6の(B)に示すように、基板10の側壁に
金から成る導体44を蒸着することによって電気的に接
続されている。第2の共通電極46は、例えば、基板側
からTi/Pt/Auの順に積層した3層膜から構成す
ることができる。
【0029】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。発光部12は、公知の各種の構造とすることが
できる。p型基板を用いる代わりにn型基板を使用する
ことができ、この場合には、独立電極20を、例えば、
第2クラッド層側からTi/Pt/Auの3層構造とす
ることができる。裏面電極40、第2の共通電極46
を、例えば、Au−Ge/Ni/Auから形成すること
ができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の半導体レーザにおいては、同一
基板面内に独立電極及び共通電極が形成されているの
で、独立電極及び共通電極の全てに対して、配線引出用
の基板の導体線からリード線を引き出すことができ、半
導体レーザに直接リード線を接続する必要がない。従っ
て、超音波振動を加える圧着法で生じる従来からの問題
を解消することができ、半導体レーザの製品歩留まりの
向上、信頼性の向上を図ることができる。
【0031】また、発光部の集積度の増大に伴う共通電
極への電流集中に対しても、共通電極の面積を大きくす
ることによって、容易に電流密度を小さくすることがで
きる。従来の共通電極に直接リード線を取り付ける方法
では、リード線の本数に制限を受ける。
【0032】本発明の好ましい態様においては、共通イ
ンピーダンスを減らすことができるので、発光部の高速
駆動が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による半導体レーザの模
式的な拡大断面図、及び配線引出用の基板の平面図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施例による半導体レーザの模
式的な拡大一部断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例による半導体レーザの模
式的な拡大一部断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例による半導体レーザの模
式的な拡大一部断面図である。
【図5】本発明の第5の実施例による半導体レーザの模
式的な拡大一部断面図である。
【図6】本発明の第6の実施例による半導体レーザの模
式的な拡大一部断面図である。
【図7】従来の半導体レーザの模式的な拡大断面図であ
る。
【図8】従来の配線引出用の基板の平面図である。
【図9】従来の半導体レーザを配線引出用の基板に取り
付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ 10 基板 12 発光部 14 第1クラッド層 16 活性層 18 第2クラッド層 20 独立電極 22 共通電極 30 発光部分離溝 32 はんだブロック 40 裏面電極 42 スルーホール 44 導体 46 第2の共通電極 50 配線引出用の基板 52 導体線 54 共通電極用パッド 56,58 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の表面上に形成された複数の発光部を
    有し、それぞれの発光部の頂面には独立電極が形成され
    半導体レーザであって、それぞれの発光部に電気的に接続され、複数の発光部で
    共通された共通電極が、基板の該表面上に形成され、 基板の裏面上に、該共通電極と電気的に接続された第2
    の共通電極が形成されている ことを特徴とする半導体レ
    ーザ。
  2. 【請求項2】共通電極は、発光部が除去され、露出した
    基板表面に形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】共通電極と第2の共通電極とは、基板に設
    けられたスルーホールによって電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】共通電極と第2の共通電極とは、基板の側
    面に形成された導体によって電気的に接続されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
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