JP3206214B2 - インクジェット式記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドおよびその製造方法

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JP3206214B2 JP12170293A JP12170293A JP3206214B2 JP 3206214 B2 JP3206214 B2 JP 3206214B2 JP 12170293 A JP12170293 A JP 12170293A JP 12170293 A JP12170293 A JP 12170293A JP 3206214 B2 JP3206214 B2 JP 3206214B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット式記録
ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェット式記録ヘッドの製
造方法としては、特開平3−73347号公報に開示さ
れている方法がある。図16は、この従来のインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法の斜視図を示したものであ
る。従来の製造方法は、図16に示すように、電極20
9a,209b,209cの形成された固定台207
に、圧電素子201を接合するものであった。その時の
圧電素子201の外部電極構成を図17に示す。図に示
したように、圧電素子201の少なくとも3面には外部
電極202a,202bを形成し、外部電極202aに
は図16に示した電極209aが、外部電極202bに
は図16に示した電極209cが電気的に接続されるも
のであった。つまり、圧電素子201と固定台207の
接合面には電極209a,209cおよび外部電極20
2a,202bが形成されているものであった。また、
固定台207に圧電素子201を接合し、スリット加工
を行うことで電極を分離独立するものであった。
【0003】また、圧電素子と固定台の接合面に電極が
ない構造の従来のインクジェット式記録ヘッドが、特開
平4−141430号公報に開示されている。図18
に、従来のインクジェット式記録ヘッドにおける、圧電
素子と固定台の構造を示す断面図を示す。図において、
固定台207に圧電素子201を接着剤等により接合
し、外部電極202aと電極209dを、外部電極20
2bと電極209eをワイヤー210をボンディングす
るものであった。または、図19に示すように、導電材
料211を接合するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
3−73347号公報の従来技術では、圧電素子201
と固定台207の接合面に電極が形成されているため、
圧電素子201を駆動する毎に、圧電素子201の固定
台との接合面も変形しようとし、前記接合面に荷重が直
接かかる、という課題を有する。従って、前記接合面お
よびその電極に高い機械的強度が要求され、信頼性の低
下を招く、という課題を有する。
【0005】また、圧電素子201に予め外部電極20
2a,202bを形成する必要があり、圧電素子201
の少なくとも3面に電極を形成する必要がある。また、
固定台107にも電極209a,209bを形成する必
要がある。従って、複数の電極形成工程が必要となり、
組立コストがかさむ、という課題を有する。
【0006】さらには、電極の形成された圧電素子の少
なくとも2面間での電気的導通を確保する必要がある。
従って、電極の連通した2面の交差部においても、電気
的導通を確保する必要があり、電気的導通の信頼性を低
下させる、という課題を有する。
【0007】また、特開平4−141430号公報の従
来技術においては、圧電素子201における外部電極2
02a,202bの面と固定台207における電極20
9d,209eの面が不連続なため、外部電極202
a,202bと電極209d,209eの電気的導通を
確保するために、ボンディングワイヤー等の導電材料が
必要になる、と同時に、導電材料を空間的に狭い領域に
配設しなくてはならず、作業性が悪い、という課題を有
する。従って、導電材料の材料コストおよびその組立コ
ストがかさむ、と同時に、組立信頼性の低下を招くとい
う、課題を有する。
【0008】本発明はこのような従来技術の課題を解決
するもので、その目的とするところは、組立コストが安
価で、組立信頼性の高いインクジェット式記録ヘッドの
製造方法を提供するところにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
式記録ヘッドは、 1)固定台と圧電素子の接合面と直交する少なくとも各々
の一面が連続するごとく、前記固定台と前記圧電素子を
接合し、前記連続面に電極が形成されている構造 2)固定台と圧電素子を接合後、圧電素子と固定台に同時
に電極パターンが形成されている構造 3)バルク状圧電素子と固定台を接合後、バルク状圧電素
子と固定台を同時に切断加工されている構造 を特徴とする。
【0010】また、本発明のインクジェット式記録ヘッ
ドの製造方法は、 4)固定台と圧電素子の接合面と直交する少なくとも各々
の一面が連続するごとく、前記固定台と前記圧電素子を
接合し、前記連続面に電極を形成すること 5)固定台と圧電素子を接合後、圧電素子と固定台に同時
に電極パターンを形成すること 6)バルク状圧電素子と固定台を接合後、バルク状圧電素
子と固定台を同時に切断加工すること を特徴とする。
【0011】
【実施例】図1は本発明に於けるインクジェット式記録
ヘッドの平面図で、図2は、図1におけるAA断面図、
図3は、図2に於けるC部拡大図、図4は、図1に於け
るBB断面図である。
【0012】図1〜図4に於いて、インクはインク流路
板106に形成されたインク供給孔113よりインク流
路110を通って隔壁板104とノズルプレート105
と振動板103により構成された各インク室302に供
給される。
【0013】各インク室302に対応して圧電素子10
1と、インク開口部102が配置されており、圧電素子
101は固定台107上に配置され、FPC108を介
したプリンタ本体からの電気信号により伸縮運動を繰り
返しノズル開口部102よりインクを吐出する。
【0014】上記のようなインクジェット式記録ヘッド
の製造方法を、製造順番に従って説明する。
【0015】図5は、本発明のインクジェット式記録ヘ
ッドの製造方法における、バルク状圧電素子1101と
固定台107の接合工程を示す斜視図である。図6は、
図5におけるA部拡大図で、バルク状圧電素子1101
の内部電極の構成例を示す図である。図6において、バ
ルク状圧電素子1101は、チタン酸ジルコン酸鉛系複
合ペロブスカイトセラミック等の圧電材料502と、
銀,パラジウム等を調整した材料の内部電極601a,
601bを積層して製造される。このようにして製造さ
れたバルク状圧電素子1101を、図5に示すように、
固定台107上に配設し接着剤等で接合する。ここで、
固定台107の材質は、圧電素子101の振動特性を劣
化させない材質、即ち、材料のヤング率Eと材料の密度
ρとの積の1/2乗で表される固有音響インピーダンス √(ρ×E) が圧電素子101の固有音響インピーダンスより大きい
事が望ましい。次に、ハッチングで示した、接合された
バルク状圧電素子1101と固定台107の加工領域3
03を、ダイシングソーで切断した。ここでは切断手段
としてダイシングソーを用いたが、ワイヤーソーやスラ
イサーを用いても良い。また、加工領域303の位置
は、図に示すように、切断後にバルク状圧電素子110
1の内部電極601a,602bが露出する位置であ
る。
【0016】図7にバルク状圧電素子1101を切断加
工後の状態の斜視図を示した。図に示すように、切断加
工されることで複数の圧電素子2101と固定台107
の結合体(以下、Bセットと書く)が得られ、内部電極
601aが一方の切断面に露出し、内部電極601bが
他方の切断面に露出することになる。
【0017】Bセット作成方法としては、圧電素子21
01の切断加工と固定台107の切断加工を予め行い、
圧電素子2101と固定台107を接合しても良いが、
このように、バルク状圧電素子1101と固定台107
を接合後に、ダイシングソー等で分割してBセットを作
成したため、圧電素子2101と固定台107の切断加
工を一度に行うことができ、組立工数の削減を図ること
ができた。さらには、圧電素子201と固定台107の
間に断差がなく、電極形成の信頼性向上を図ることがで
きた。
【0018】このようにして得られたBセットの一方の
切断面に、スパッタを行い選択的にエッチングすること
により、電極109aを図8のように選択的に形成し
た。このように、圧電素子2101と固定台107の連
続した面に電極109aを形成することで、圧電素子2
101の内部電極601aまたは601bと電極109
aが電気的に導通する。つまり、導電材料を狭い空間に
配設する必要もないため作業性がよく、圧電素子210
1の外部電極と固定台107の電極が一度に形成するこ
とが可能になった。
【0019】Bセットの他方の切断面の電極形状を図9
に示した。図8と同様に、圧電素子2101と固定台1
07の連続した面に、スパッタにより電極109bを形
成することで、内部電極601bまたは601aと電極
109bが導通する。つまり、導電材料を狭い空間に配
設する必要もないため作業性がよく、圧電素子2101
の外部電極と固定台の107の電極が一度に形成するこ
とが可能となった。
【0020】ここで、電極109aおよび109bの形
成方法としては、スパッタに限定されず、厚膜印刷でも
同じ効果が得られた。
【0021】ここで、図10に示すように、圧電素子2
101と固定台107の境界に、導電ペースト等の塗布
や銅箔等の導電材料203の接合を行えば、電気的信頼
性がさらに向上する。
【0022】図11に、圧電素子101およびダミー圧
電素子114を形成したBセットの斜視図を示す。電極
109aおよび109bが形成されたBセットを、ダイ
シングソー等を用い、加工領域303を切断すること
で、圧電素子101およびダミー圧電素子114を形成
した。ここで、加工領域303の位置は、図に示すよう
に、圧電素子101には電極109aが導通するような
位置である。この工程で、Bセットが完成する。
【0023】ここで、Bセット作成手段の他の実施例
を、前述の実施例との相違を中心に述べる。前述の実施
例の図8の工程においては、スパッタを行い選択的にエ
ッチングすることで電極109aを形成した。Bセット
作成手段の他の実施例を図12に示す。まず、前述の実
施例の図9の工程と同様に、圧電素子2101と固定台
107の連続した面に、スパッタ等により電極109a
を形成後、ダイシングソー等の切断手段にて、圧電素子
101およびダミー圧電素子114を形成する。その
後、図に示すように、ダイシングソー等の切断手段に
て、一面に形成された電極109aを分離独立し、Bセ
ットを作成する。
【0024】以上述べたようにBセットを作成すれば、
固定台107と圧電素子101の間に電極がないため、
圧電素子101に電圧を印可しても、圧電素子101
の、固定台107側の最外層が変形せず、圧電素子10
1と固定台107の接合面に荷重が直接かかることがな
くなった。
【0025】図13にBセット固定工程を示す断面図を
示した。まず、振動板103をインク流路110を形成
したインク流路板106に接着剤等で接合し、Bセット
をインク流路板106へ矢印A方向へ挿入する。その
後、図14に示すように、Bセットの固定台107とイ
ンク流路板106を接着剤111で接合した。
【0026】その後、図4に示すように、振動板103
の面に、隔壁板104およびノズルプレート105を接
着剤等で接合し、固定台107にFPC108を実装す
ることで、図1〜図4のインクジェット式記録ヘッドを
得る。
【0027】本発明は、積層タイプの圧電素子を使用し
た場合には限定されない。図15に、単層タイプの圧電
素子を用いたBセット構成例を示した。内部電極のない
圧電材料502を固定台107に接合後、電極109a
および電極109b(図示せず)を形成、図に示すよう
な形状にダイシングソー等で切断し、Bセットを構成す
ることもできる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
固定台と圧電素子の接合面と直交する少なくとも各々の
一面が連続するごとく、前記固定台と前記圧電素子を接
合し、前記連続面に電極が形成されている構造およびそ
の製造方法により、導電材料を狭い空間に配設する必要
もないため、作業性が良くなる、という効果を有する。
と同時に、圧電素子と固定台の接合面に電極が不要とな
るため、前記接合面に直接荷重がかかることがなくな
り、信頼性が向上する、という効果を有する。
【0029】また、本発明によれば、固定台と圧電素子
を接合後、圧電素子と固定台に同時に電極パターンを形
成することにより、圧電素子101に、予め電極膜を形
成する必要がなく、形成電極面が2面で済み、さらに
は、圧電素子101と固定台への電極形成が一度に行え
るため、工程の簡素化を図ることができる、という効果
を有する。従って、組立コストの削減および組立の信頼
性向上を図ることができる、という効果を有する。
【0030】さらに、バルク状圧電素子と固定台を接合
後、バルク状圧電素子と固定台を同時に切断加工するこ
とにより、組立工数の削減と、圧電素子と固定台の間で
の断差がないために、電極形成の信頼性向上を図ること
ができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、インクジェット式記録ヘッドの
構造を示す平面図。
【図2】本発明による、インクジェット式記録ヘッドの
構造を示す図1のA−A断面図。
【図3】本発明による、インクジェット式記録ヘッドの
構造を示す図2のC部詳細断面図。
【図4】本発明による、インクジェット式記録ヘッドの
構造を示す図1のB−B断面図。
【図5】本発明による、バルク状圧電素子と固定台の接
合工程を示す斜視図。
【図6】本発明による、図5のA部詳細図。
【図7】本発明による、バルク状圧電素子を切断加工後
の状態を示す斜視図。
【図8】本発明による、Bセットに形成された電極形状
を示す斜視図。
【図9】本発明による、Bセットに形成された電極形状
を示す斜視図。
【図10】本発明による、Bセットに形成された電極形
状を示す斜視図。
【図11】本発明における、圧電素子およびダミー圧電
素子を形成したBセットの斜視図。
【図12】本発明における、圧電素子およびダミー圧電
素子を形成したBセットの斜視図。
【図13】本発明における、Bセット固定工程を示す断
面図。
【図14】本発明における、Bセットを固定後の状態を
示す断面図。
【図15】本発明における、圧電素子が単層タイプの場
合の、圧電素子およびダミー圧電素子を形成したBセッ
トの斜視図。
【図16】従来の製造法における、圧電素子と固定台の
接合方法を示す斜視図。
【図17】従来の製造方法における、圧電素子の外部電
極の構成を示す図。
【図18】従来のインクジェット式記録ヘッドにおけ
る、圧電素子と固定台の構造を示す断面図。
【図19】従来のインクジェット式記録ヘッドにおけ
る、圧電素子と固定台の構造を示す断面図。
【符号の説明】
101,2101 圧電素子 102 ノズル開口部 103 振動板 104 隔壁板 105 ノズルプレート 106 インク流路板 107 固定台 108 FPC 109a,109b 電極 110 インク流路 114 ダミー圧電素子 201 圧電素子 202a,202b 外部電極 207 固定台 209a〜209e 電極 210 ワイヤー 211 導電材料 301 バルク状圧電素子の境目 302 インク室 303 加工領域 502 圧電材料 601a,601b 内部電極 1101 バルク状圧電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16 B41J 2/01 B41J 2/295 H04L 41/083

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端面が固定台に接合された圧電素子の
    前記接合面の対辺の変位によりインク室を加圧しインク
    滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドであり、前
    記固定台と前記圧電素子の前記接合面と直交する少なく
    とも各々の一面が連続するごとく、前記固定台と前記圧
    電素子を接合し、前記連続面に電極が形成されている構
    造を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 固定台と圧電素子を接合後、圧電素子と
    固定台に同時に電極パターンが形成されている構造を特
    徴とする請求項1記載のインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 バルク状圧電素子と固定台を接合後、バ
    ルク状圧電素子と固定台を同時に切断加工されている構
    造を特徴とする請求項2記載のインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 一端面が固定台に接合された圧電素子の
    前記接合面の対辺の変位によりインク室を加圧しインク
    滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドであり、前
    記固定台と前記圧電素子の前記接合面と直交する少なく
    とも各々の一面が連続するごとく、前記固定台と前記圧
    電素子を接合し、前記連続面に電極を形成することを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 固定台と圧電素子を接合後、圧電素子と
    固定台に同時に電極パターンを形成することを特徴とす
    る請求項4記載のインクジェット式記録ヘッドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 バルク状圧電素子と固定台を接合後、バ
    ルク状圧電素子と固定台を同時に切断加工することを特
    徴とする請求項5記載のインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
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