JP3199728B2 - リポソーム製剤 - Google Patents

リポソーム製剤

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JP3199728B2 JP50702491A JP50702491A JP3199728B2 JP 3199728 B2 JP3199728 B2 JP 3199728B2 JP 50702491 A JP50702491 A JP 50702491A JP 50702491 A JP50702491 A JP 50702491A JP 3199728 B2 JP3199728 B2 JP 3199728B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はリポソーム製剤に関する。
背景技術 一般にインビトロ(in vitro)において有効性を示す
薬物のなかには、生体に投与した後速やかに代謝を受け
標的部位で十分に作用を発揮しないうちに消失してしま
うものが多い。そのような薬物を対象に薬物をより効果
的に標的部位で作用させる手段として種々の薬物送達シ
ステム(Drug Delivery System,DDS)が検討されてい
る。中でもリポソームに薬物を封入するDDSは、薬物の
血中濃度の持続化、薬物の標的指向化に用いることがで
き、有効な製剤と考えられる。しかしながら、そのよう
なリポソームを必ずしもすべてが投与された後にDDSと
しての機能を十分に発揮出来るものではなく、それはリ
ポソームの製造条件や用いられるリポソームの膜脂質成
分の種類に大きく依存する。
リポソームの大きな問題点としては薬物の封入効率、
封入された薬物を長時間保持するためのリポソーム膜の
安定性、リポソームの分散性が指摘される。一般的にリ
ン脂質等の脂質を用いて作成したリポソームは分散性に
乏しく、短時間に凝集を引き起こし、リポソームの薬物
封入特性や安定性に悪影響を及ぼす場合が多い。またそ
のようなリポソームは投与された後、速い時期に網内系
にとりこまれ、DDSとしての機能を果たさない場合が多
い。
従って、リポソームを用いたDDS開発にとって、分散
性を良くし、安定なリポソームを製造することが重要で
ある。
発明の目的 リポソーム膜組成を改質することにより、分散性が良
く封入性の高い、また、より安定性の高いリポソームの
開発は未だ不十分である。
かかる状況に鑑み、本発明者等はリポソーム膜組成を
改質することにより、分散性が良く封入性の高い、ま
た、より安定性の高いリポソームを作成するための方法
をリポソーム膜組成に膜改質成分を添加することにもと
めて、種々検討し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の主な目的は分散性が良く封入性の
高い、また、より安定性の高い新規リポソームを提供す
ることにある。
この目的ならびに本発明の他の目的および利点は、添
付図面を参照し、以下の記載から当業者に明らかであろ
う。
図面の簡単な説明 第1図は、下記実施例4に示すリポソーム製剤の投与
後の血中脂質濃度の推移を示し、■、●、○、□および
−−−はそれぞれ下記実施例2、3、4、5およびサン
プル1のリポソーム製剤を示す。
第2図は、下記実施例4に示すリポソーム製剤の投与
後の血中脂質濃度の推移を示し、○、■、●および−−
−はそれぞれ下記実施例6、7、8およびサンプル1の
リポソーム製剤を示す。
発明の概要 本発明は、リポソーム膜が一般式: X−O−(CH2CH2O)n−Y (1) [式中、Xはアルキル基を、Yはアニオン形成基を、n
は2〜50の整数を示す。]で表されるポリオキシエチレ
ン誘導体とリン脂質とを含有してなるリポソーム製剤を
提供するものである。
発明の詳細な記載 上記ポリオキシエチレン誘導体に関し、Xで表される
アルカノイル基としては炭素数5〜30の直鎖状または分
枝状のアルキルカルボニル基が好ましく、例えばバレリ
ル、イソバレリル、ピバロイル、ラウロイル、ミリスト
イル、パルミトイル、ステアロイルなどが挙げられ、と
りわけ直鎖状のC12-20アルカノイル基が好ましい。Xで
表されるアルキル基としては炭素数5〜30の直鎖状また
は分枝状のアルキル基が好ましく、例えば、ペンチル、
ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル(ラウリル)、
トリデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシル、
エイコシルなどが挙げられ、とりわけ直鎖状のC12-20
ルキル基が好ましい。
整数nで表されるポリオキシエチレンのユニット数は
2〜30であることが好ましい。
Yで表されるアニオン形成基としては、例えば酢酸残
基(−CH2CO2H)、プロピオン酸残基(−CH2CH2CO
2H)、硫酸残基(−OSO3H)、スルホン酸残基(−CH2SO
3H、−CH2CH2SO3Hなど)、リン酸残基(−OPO3H)など
のような負電荷を有する化合物の残基が挙げられる。こ
れらのアニオン形成基は塩を形成していてもよく、例え
ばアルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど)やアルカ
リ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)との塩が
挙げられる。
上記したポリオキシエチレン誘導体自体は、公知物質
で市販品として入手できるか、公知物質から公知方法に
よって製造することができる。
本発明のリポソーム製剤に用いられるリン脂質として
は、天然あるいは半合成、あるいは、全合成的に得られ
るリン脂質が用いられる。天然により得られるリン脂質
としては、例えば、卵黄レシチンや、大豆レシチン等の
グリセロリン脂質あるいはスフィンゴリン脂質が用いら
れる。また、半合成、あるいは、全合成的に得られるリ
ン脂質としては、アルカノイル基が飽和アルカノイル
基、あるいは、一部、不飽和アルカノイル基であるグリ
セロリン脂質またはスフィンゴリン脂質が用いられる。
好ましくは飽和アルカノイル基をもつグリセロリン脂質
またはスフィンゴリン脂質が用いられる。またその飽和
アルカノイル基の炭素数は12〜20が好ましい。
本発明においては、上記のようなリン脂質およびポリ
オキシエチレン誘導体を構成成分としてリポソーム膜を
構成させる。
本発明におけるリン脂質とポリオキシエチレン誘導体
の使用割合は、一般にリン脂質の100重量部に対しポリ
オキシエチレン誘導体を約0.5〜200重量部、好ましくは
約2〜50重量部、さらに好ましくは5〜20重量部であ
る。
本発明はリポソーム膜の構成成分として上記のような
リン脂質およびポリオキシエチレン誘導体を用いること
が特徴であって、リポソーム製剤の製法には公知の技術
が用いられる。例えば、上記のグリセロリン脂質とポリ
オキシエチレン誘導体を含むリポソーム膜構成成分をジ
エチルエーテル、イソプロピルエーテルまたはクロロホ
ルムなどの有機溶媒に溶解した後、さらに薬物水溶液を
加えて乳化し、W/O型エマルジョンを得て、適度の温度
(相転移温度よりやや高め)下の減圧下で有機溶媒を蒸
発除去してリバース・フェイズ・エバポレイションベシ
クル(REV)を得ることができる。また上記脂質有機溶
媒溶液の有機溶媒を減圧下で蒸発除去して薄膜とした後
に、薬物溶液を加えて、上記と同様の温度で混合するこ
とによって、マルチラメラーベシクル(MLV)を得るこ
とができる。またさらに、MLVをプローブ型超音波振盪
機で振盪することによってスモールユニラメラーベシク
ル(SUV)を得ることができる。さらに他のリポソーム
製法としてはステイブル・プルリメラー・ベシクル(SP
LV)法(特開昭59−500952)や、デハイドレイション・
レハイドレイション・ベシクル法[シー・クルビー(C.
Kirby)ら、バイオテクノロジー(Biotechnology)、11
月号、979(1984)]が挙げられる。また上記のように
ポリオキシエチレン誘導体を有機溶媒に溶解させるかわ
りに薬物水溶液に分散して用いることもできる。さら
に、リン脂質で予め薬物を封入するリポソームを調製し
た後に、これをリン脂質を含む分散液に加えて加温下で
混合することにより、既にできたリポソーム膜にポリオ
キシエチレン誘導体を配列させる方法を採用することも
できる。
また、脂溶性であって水への溶解度が低い薬物の場合
は、薬物を上記脂質有機溶媒溶液に溶かして薬物を封入
するリポソームを得ることができる。このようにして得
られる薬物を封入したリポソームは所望により好ましい
粒子サイズに調製することができる。このリポソームは
そのまま使用してもよいが、例えば、遠心分離、ゲル濾
過あるいは透析によって封入されない遊離の薬物を分離
除去した後に使用するのが好ましい。本発明において使
用される薬物は、シスプラチン、アドリヤマイシン、マ
イトマイシンC、アクチノマイシン、アンサマイトシ
ン、ブレオマイシン、5−FU、メトトレキセートのよう
な抗癌剤、天然型あるいは遺伝子組換え型インターフェ
ロン(α、β、γ)や天然型あるいは遺伝子組替え型イ
ンターロイキン2のようなリンホカイン類、マンガンス
ーパーオキサイドデスムターゼ(SOD)あるいはその誘
導体であるスーパーオキサイドデスムターゼPEG(PEG−
5000)(特開昭57−132658)のような生理活性ペプチド
類、スルファゼシンのようなベータラクタム系抗生物
質、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシ
ンのようなアミノ配糖体系抗生物質、シアノコバラミ
ン、ユビキノンのようなビタミン類、アンチモン酸メグ
ルミンのような抗原虫薬、アルカリホスファターゼ等の
酵素剤、ヘパリン等の抗血液凝固剤、アモキサノクス等
の抗アレルギー剤、ムラミルジペプチド、ムラミルトリ
ペプチド、TMD−66(特開昭57−132658)のような免疫
賦活剤、プロプラノロール、グルタチオンのような一般
薬が挙げられる。
以下に実施例および実験例を挙げて本発明をさらに詳
しく説明する。以下の実施例および実験例中、ポリオキ
シエチレン誘導体について、例えば化合物(1)(ここ
にXはステアリル、nは2、YはSO3Naを示す。)をス
テアリルOPOE2SO3Naと略記することがある。
実施例1 225mgのジパルミトイルホスファチジルコリン(DPP
C)、25mgのジステアロイルホスファチジルコリン(DSP
C)および25mgのステアリルOPOE2SO3Naを1リッターの
ビーカー内でクロロホルムとイソプロピルエーテルの1:
1の混合溶液90mlに溶解させた。それにあらかじめ生理
食塩液と同じ浸透圧となるように調製しておいたシスプ
ラチン(CDDP)生理食塩溶液(1mg/ml)を14ml加えバス
型超音波振盪機[ラボラトリー・サプライズ社(Labora
tory supplies Co.)(ニューヨーク)製]で乳化し、W
/O型エマルジョンを作製した。超音波の照射は20分間行
った。このようにして得たエマルジョンをロータリーエ
バポレーターにかけて、60℃、減圧下で有機溶媒を留去
しREVを得た。エバポレーターの真空度は初めは高く、
有機溶媒の蒸発が進むにつれて真空度をさげて空沸しな
いように調節した。その後さらにREV中に残存する少量
の有機溶媒を窒素ガスをふきつけることにより留去し
た。さらに得られたREVに適当量の生理食塩溶液を加え1
4mlとし、1.2ミクロンのフィルター[アクロディスク
(Acrodisc)、ゲルマン(Gelman)]で濾過し、透析膜
[スペクトラポール(Spectrapor)、スペクトラム・メ
ディカル(Spectrum Medical)]を用いて生理食塩溶液
下で24時間透析することによりCDDPを封入した本発明の
リポソームを得た。
実施例2〜13 第1表に示す処方により実施例1と同様の方法で本発
明のリポソーム製剤を製造した。
実施例14 実施例13で用いられるDSPCの代わりに卵黄ホスファチ
ジルコリン(Egg PC)を用いて、実施例13と同じ方法で
CDDPを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を行っ
た。
実施例15 実施例1で用いられるステアリルOPOE2SO3Naの代わり
にステアリルOPOE10CH2COONaを用いて、実施例1と同じ
方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を
行った。
実施例16 実施例1で用いられるステアリルOPOE2SO2Naの代わり
にステアリルOPOE20CH2COONaを用いて、実施例1と同じ
方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を
行った。
参考例1 実施例1で用いられるステアリルOPOE2SO3Naの代わり
にラウロイルOPOE2CH2SO3Naを用いて、実施例1と同じ
方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を
行った。
参考例2 実施例1で用いられるステアリルOPOE2SO3Naの代わり
にラウロイルOPOE3CH2SO3Naを用いて、実施例1と同じ
方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を
行った。
実施例17 実施例1で用いられるステアリルOPOE2SO3Naの代わり
にアルキルOPOE3CH2COONa[ニッコール NES−203−2
7、日光ケミカル(株)(東京)製]を用いて、実施例
1と同じ方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム製剤
の製造を行った。
実施例18 実施例5で用いられるCDDPの代わりに200μg/mlの5
−フルオロウラシール(5−FU)を用いて、実施例5と
同じ方法で5−FUを封入する本発明のリポソーム製剤の
製造を行った。
実施例19 実施例5で用いられるCDDPの代わりに500μg/mlの9
−メルカプト−9−デオキシメイタンシン(TAC805)を
用いて、実施例5と同じ方法でTAC805を封入する本発明
のリポソーム製剤の製造を行った。
実施例20 実施例5で用いられるCDDPの代わりに500μg/mlのシ
トシンアラビノシド(Ara−C)を用いて、実施例5と
同じ方法でAra−Cを封入する本発明のリポソーム製剤
の製造を行った。
実施例21 実施例5で用いられるCDDPの代わりに200μg/mlのマ
イトマイシン−C(MMC)を用いて、実施例5と同じ方
法でMMCを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を行
った。
実施例22 実施例5で用いられるCDDPの代わりに1mg/mlのグウノ
マイシンを用いて、実施例5と同じ方法でダウノマイシ
ンを封入する本発明のリポソーム製剤の製造を行った。
実施例23 実施例5で用いられるCDDPの代わりに500μg/mlのビ
スクロロエチルニトロソウレア(BCNU)を用いて、実施
例5と同じ方法でBCNUを封入する本発明のリポソーム製
剤の製造を行った。
実施例24 実施例5で用いられるCDDPの代わりに500μg/mlのク
ロロエチルシクロヘキシルニトロソウレア(CCNU)を用
いて、実施例5と同じ方法でCCNUを封入する本発明のリ
ポソーム製剤の製造を行った。
実施例25 実施例5で用いられるCDDPの代わりに308μg/mlのヒ
トインターロイキン−2(IL−2)を用いて、実施例5
と同じ方法でIL−2を封入する本発明のリポソーム製剤
の製造を行った。
実施例26 実施例9で用いられる25mgのステアリルOPOE2SO3Naの
代わりに50mgのステアリルOPOE2CH2CO2Naを用いて、実
施例9と同じ方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム
製剤の製造を行った。封入率41.5% 実施例27 実施例9で用いられる25mgのステアリルOPOE2SO3Naの
代わりに50mgのステアリルOPOE5CH2CO2Naを用いて、実
施例9と同じ方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム
製剤の製造を行った。封入率48.1% 実施例28 実施例9で用いられる25mgのステアリルOPOE2SO3Naの
代わりに50mgのステアリルOPOE10CH2CO2Naを用いて、実
施例9と同じ方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム
製剤の製造を行った。封入率29.3% 実施例29 実施例9で用いられる25mgのステアリルOPOE2SO3Naの
代わりに50mgのステアリルOPOE15CO2Naを用いて、実施
例9と同じ方法でCDDPを封入する本発明のリポソーム製
剤の製造を行った。封入率23.4% 実験例1 実施例1で用いられるステアリルOPOE2SO3Naを添加し
ない対照リポソーム製剤およびステアリルOPOE2SO3Naの
代わりに第2表に示される添加物を用いて、実施例1と
同じ方法でCDDPを封入するリポソーム製剤を作製し実験
サンプルとした。
第2表において、例えばPOE2セチル・エーテルは、H
−(OCH2CH2)−O−セチルを表す。
実験例2 上記実施例1〜13で調製されたリポソーム製剤および
第2表のサンプル1〜7を用いて、CDDPの封入率(註
1)および4℃1カ月保存後の安定性(註2)を調べて
みると第3表の結果となり、本発明のリポソーム製剤は
対照リポソーム製剤(サンプル1)と比べて同等かより
高い封入率を示し、また長期保存後も安定であることが
わかった。一方、負電荷基を有しないPOE誘導体を添加
したリポソーム製剤では(サンプル2〜7)薬物封入率
が対照リポソーム製剤の1/4以下の低い値を示した。
註1:リポソーム中の封入CDDPの量は、該製剤の製造に用
いた総CDDP量から未封入のCDDP量を差し引くことにより
求めた。未封入のCDDP量はあらかじめリポソーム製剤を
生理食塩液で20倍希釈したものを、フィルター(セント
リザルト)で濾過し、その濾液をさらに蒸留水で希釈し
原子吸光(日立:F7000)でプラチナ量を定量することに
より求めた。また、総CDDP量は上記20倍希釈サンプルを
直接水で希釈し原子吸光でプラチナ濃度含量を定量する
ことにより求めた。
註2:安定性はリポソームに封入されているCDDP濃度を定
量することにより求めた。
実験例3 上記実施例1〜13で調製されたリポソーム製剤および
サンプル1〜7を用いて光散乱によるリポソームの分散
性の経時変化を調べる方法(註3)でリポソームの凝集
沈降の割合を調べてみると第4表の結果となり、POE誘
導体を添加しないリポソーム製剤(サンプル1)や負電
荷基を有しないPOE誘導体を添加したリポソーム製剤で
は(サンプル2)短時間に凝集が認められたのに対し、
本発明のリポソーム製剤は長時間分散状態を維持するこ
とが認められた。
註3:リポソーム製剤を生理食塩液で約100倍希釈し、よ
く撹拌した後サンプルキュベットにとり、サブミクロン
アナライザー[コウルター(Coulter)社]で光散乱を
測定し、撹拌直後の散乱を100とし、一定時間静置後の
散乱強度の減少率を求めることにより、リポソーム製剤
の分散性を評価した(凝集沈降が生じると散乱強度減
少)。
実験例4 上記実験例1で調製されたリポソーム製剤(1m)をラ
ットに投与した後の血中の脂質濃度(註4)推移を調べ
てみると第1図(実施例2、3、4および5)および第
2図(実施例6、7および8)のような結果となり、無
添加の対照リポソーム製剤に比べ、リポソーム製剤はよ
り長時間血中に留まることが示された。
註4:採取したヘパリン処理血液を生理食塩液で10倍希釈
し、よく撹拌後、遠心分離し、その上清をとりクロロホ
ルムで抽出し、その抽出物中のDPPC濃度をHPLC[カラ
ム:ウォーターズ(Waters)社製、μボンダスフィア
(Bondasphere)C4−100A、溶離液:pH7リン酸緩衝液/
メタノール=1/9、検出器:ショーデックス・屈折計)
で定量することにより血中脂質濃度を求めた。
以上の結果、ポリオキシエチレン誘導体を加えて、脂
質組成とする本発明のリポソーム製剤は、分散性の点で
著しい改善効果が認められ、薬物封入性も高く、長期保
存後も安定であり、また静脈内に投与して長時間薬物を
血中に持続させる特性を有することが示された。
上記のとおり、本発明のリポソーム製剤は、分散性が
良く、また薬物の封入性が高く、さらに安定性が高いの
で医薬品等の製剤として有利に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/127 B01J 13/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リポソーム膜が一般式: X−O−(CH2CH2O)n−Y [式中、Xはアルキル基を、Yはアニオン形成基を、n
    は2〜50の整数を示す。]で表されるポリオキシエチレ
    ン誘導体とリン脂質とを含有してなるリポソーム製剤。
  2. 【請求項2】Xが炭素数5〜30の直鎖状または分枝状の
    アルキルである請求項1記載のリポソーム製剤。
  3. 【請求項3】アニオン形成基が負電荷を有する化合物の
    残基である請求項1記載のリポソーム製剤。
  4. 【請求項4】アニオン形成基が−CH2CO2H、−CH2CH2CO2
    H、−OSO3H、−CH2SO3H、−CH2CH2SO3H、−OPO3Hまたは
    その塩である請求項3記載のリポソーム製剤。
  5. 【請求項5】リン脂質がグリセロリン脂質またはスフィ
    ンゴリン脂質である請求項1記載のリポソーム製剤。
  6. 【請求項6】リン脂質が、炭素数が12〜20の飽和アルカ
    ノイル基を有するグリセロリン脂質またはスフィンゴリ
    ン脂質である請求項5記載のリポソーム製剤。
  7. 【請求項7】ポリオキシエチレン誘導体に対するリン脂
    質の割合が、リン脂質の100重量部に対してポリオキシ
    エチレン誘導体が約0.5〜200重量部である請求項1記載
    のリポソーム製剤。
JP50702491A 1990-04-18 1991-04-12 リポソーム製剤 Expired - Fee Related JP3199728B2 (ja)

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