JP3956402B2 - アンホテリシンb運搬体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リポソームからなるアンホテリシンB運搬体、さらに詳しくは抗真菌剤であるアンホテリシンBを効率よく投与するための薬物運搬体として利用されるアンホテリシンB運搬体である。
【0002】
【従来の技術】
アンホテリシンBは、免疫能が低下した肺疾患患者に対する優れた抗真菌剤であるが、腎障害、発熱、嘔吐、けいれん、過敏症、貧血などの副作用が強く、臨床的な使用に制限がある(Drugs,44,9−35(1994))。そこで毒性の低減を目的に、アンホテリシンBをリポソームの二分子膜中に担持したリポソーム製剤の製造法などが多く開示されている(特開昭59−173133号、US4766046、US4663167)。
【0003】
しかしながら、アンホテリシンBは水には不溶の薬物であり、リポソームにカプセル化する際には、脂質二分子膜中に担持される。しかし、単にリポソームにカプセル化しただけでは担持量は少なく、また毒性は低下するものの血中滞留性が低く、十分な効果が得られないことが問題点として指摘されている。
【0004】
一方、ポリエチレングリコール修飾リポソームにアンホテリシンBを担持することにより良好な血中滞留性および毒性の低下が達成できることが報告されている。(ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY, 39, 1954(1995))。しかし、このようなポリエチレングリコール修飾リポソームでもアンホテリシンBの担持量は依然少なく、十分な効果を得るには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アンホテリシンBの毒性を低減することができるほか、アンホテリシンBの担持量(含有量)を幅広く調節することができ、しかも血中滞留性が高いアンホテリシンB運搬体を提供することである。
本発明の他の目的は、アンホテリシンBの毒性を低減することができるほか、アンホテリシンBの担持量を幅広く調節することができ、しかも血中滞留性が高く、かつ標的指向性をも有するアンホテリシンB運搬体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のアンホテリシンB運搬体である。
(1)リポソーム中にアンホテリシンBを担持したアンホテリシンB運搬体であって、リポソーム膜形成成分として下記一般式(1)で表される化合物を、オキシアルキレン部の含有量が全リポソーム膜形成成分に対して20重量%以上の含有量となる量で含有することを特徴とするアンホテリシンB運搬体(第1のアンホテリシンB運搬体)。
【化6】
〔式中、Xは
【化7】
から選ばれる2価の残基、
pは1を示す。
OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、
nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10〜300の正数を示す。
R1およびR2はそれぞれ炭素数8〜30の脂肪酸残基を示す。
R3は水酸基、メトキシ基またはエトキシ基を示す。〕
(2) リポソーム中にアンホテリシンBを担持したアンホテリシンB運搬体であって、リポソーム膜形成成分として下記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とするアンホテリシンB運搬体(第2のアンホテリシンB運搬体)。
【化8】
〔式中、Xは
【化9】
から選ばれる2価の残基、
pは1を示す。
OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、
nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10〜300の正数を示す。
R1およびR2はそれぞれ炭素数8〜30の脂肪酸残基を示す。
−Y 1 〜N(H)q−Imは
【化10】
から選ばれるリジン残基を含む抗体または抗体フラグメント、
qは0または1を示す。〕
【0007】
一般式(1)および(2)において、R1およびR2で示される炭素数8〜30の脂肪酸残基としては、好ましくは炭素数8〜20の脂肪酸残基が望ましい。このような脂肪酸残基の具体的なものとしては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ソロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪酸の脂肪酸残基;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、2,4−オクタデカジエン酸等の不飽和脂肪酸の脂肪酸残基;イソステアリン酸等の分岐脂肪酸の脂肪酸残基;リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のアルキル基中に水酸基を有する脂肪酸の脂肪酸残基などがあげられる。これらの中では、安定なリポソームが形成できるという理由から、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、2,4−オクタデカジエン酸の脂肪酸残基が好ましく、特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸の脂肪酸残基が好ましい。また、R1およびR2の2つの脂肪酸残基はそれぞれ異なる残基であってもよい。
【0008】
一般式(1)および(2)において、OAで表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基、オキシテトラメチレン基などがあげられる。これらのオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを付加重合させた基である。
【0009】
一般式(1)および(2)におけるnは10〜300、好ましくは20〜120の正数である。OAで示されるオキシアルキレン基の種類は同一のものでも、異なるものでもよい。後者の場合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。親水性を付与する場合には、OAとしてはエチレンオキシドが単独で付加したものが最も好ましい。また種類の異なるアルキレンオキシドが付加している場合、エチレンオキシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付加しているのが望ましい。
【0010】
一般式(1)および(2)において、Xで表される2価の残基としては、次の基から選ばれる基があげられる。
【化11】
【0011】
一般式(2)において、−Y1〜N(H)q−Imで表される基としては、次の基から選ばれる基があげられる。
【化12】
【0012】
ここで、Imで表される抗体または抗体フラグメントは、アンホテリシンBを集中的に投与したい部位に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントであり、アンホテリシンB運搬体に標的指向性を付与するためのものである。
このような抗体または抗体フラグメントとしては、IgG,IgM,IgA,IgEなどの抗体またはこれらをペプシンなどの酵素で消化して得られる抗体フラグメントなどがあげられる。これらの抗体はヒト、マウス、ウサギ、ラット、豚、牛、ヒツジ、トリなどいかなる動物種に由来するものであってもよく、またモノクローナル抗体の場合、いかなるハイブリドーマ細胞から得られたものであってもよい。
【0013】
本発明の第1および第2のアンホテリシンB運搬体において、一般式(1)または(2)以外のリポソーム膜形成成分としては、従来からリポソームの膜形成成分として使用されているものが制限なく使用できる。具体的には、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン等のリン脂質および脂肪酸部に不飽和基を有する重合性リン脂質;スルホキシリボシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ラクトシルジグリセリド等の糖脂質類;コレステロール等の非極性脂質;非イオン性界面活性剤、ホスファチジルポリエチレングリコール、「Biochem. Biophys. Acta, 1066,29-36(1991)」に記載されているホスファチジルエタノールアミンとポリエチレングリコールとの反応物、およびこれらの混合物などがあげられる。
【0014】
本発明の第1のアンホテリシンB運搬体において、一般式(1)で表される化合物の含有量は、リポソームの全膜形成成分に対して、一般式(1)で表される化合物中のオキシアルキレン部の含有量が20重量%以上となる量である。この含有量未満ではアンホテリシンBの担持量が低くなり十分な効果が得られないため好ましくない。
【0015】
本発明の第1のアンホテリシンB運搬体は、一般式(1)で表される化合物を含む膜形成成分にアンホテリシンBを混合し、このような混合物から公知の方法によりリポソームを形成することにより製造することができるが、次のような方法が好ましい。
まず一般式(1)で表される化合物、前記その他の膜形成成分およびアンホテリシンBをクロロホルム等の有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を除去し、乾燥脂質を形成する。
【0016】
次に、上記乾燥脂質に、1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%のサッカロース水溶液を加えて水和を行う。これによりアンホテリシンB担持リポソームが得られる。水和を行う際の方法は特に制限されず、従来からリポソームの製造に採用されている方法が採用できる。具体的な方法としては、エクスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、超音波法、界面活性剤除去法、逆相蒸発法、エタノール注入法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/Wエマルジョン法、アニーリング法、凍結融解法等があげられる。これらの方法を選択することにより、多重層リポソーム、小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソームなど、種々の大きさや形態を有するリポソームを製造することができ、本発明の第1のアンホテリシンB運搬体が得られる。本発明では、リポソームの大きさや形態に特に制限はない。
【0017】
なお、一般式(1)で表される化合物を製造するには、例えば次のような方法などがあげられる。
1)ホスファチジルコリンと、一方の末端に水酸基、他方の末端にR3基を有する(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを、ホスホリパーゼDの存在下でエステル交換反応を行う方法。
2)ホスファチジルエタノールアミンと、一方の末端にカルボキシル基、他方の末端にR3基を有する(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを、N−シクロヘキシル−N′−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド=メソ−p−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N′−カルボニルジイミダゾールなどの脱水縮合剤の存在下に脱水縮合する方法。
一般式(1)で表される化合物の製造方法の詳細は、特開平7−157493号、特開平7−291853号などに記載されている。
【0018】
本発明の第2のアンホテリシンB運搬体において、一般式(2)で表される化合物のリポソームの全膜形成成分に対する含有量は0.1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%が適当である。この場合、オキシアルキレン部の含有量が、リポソームの全膜形成成分に対して20重量%以上となるのが好ましいが、20重量%未満であってもよい。すなわち、オキシアルキレン基の含有量が20重量%以上の場合、アンホテリシンBの担持量が多くなり好ましいが、本発明の第2のアンホテリシンB運搬体は標的指向性を有しているので、必ずしも担持量を多くする必要はなく、オキシアルキレン部の含有量が20重量%未満の場合でも十分な薬効が得られる。なお、一般式(2)においては、Imで示される抗体または抗体フラグメントはその種類により式量が大きく変動するため、オキシアルキレン部の上記含有量の算出には、Imで示される抗体または抗体フラグメントの式量を除いた一般式(2)の式量を採用する。
一般式(2)で表される化合物の含有量が0.1モル%未満では、標的指向性の十分な効果が得られないほか、アンホテリシンBの担持量を多くすることが難しくなる。一方、30モル%を超えるとリポソームの安定性が低下する。
【0019】
本発明の第2のアンホテリシンB運搬体は抗原または抗原フラグメントに起因する標的指向性を有しているので、従来のリポソームに比べて標的組織または細胞などへの集積性が高く、このためアンホテリシンBの投与量を少なくしても十分な薬効を得ることができる。また従来と同量のアンホテリシンBを投与する場合は、アンホテリシンBの担持量は少なくてもよい。
【0020】
本発明の第2のアンホテリシンB運搬体は、例えば次の方法などにより容易に製造することができる。
1):下記一般式(3)で表されるオキシアルキレン基末端に抗体と反応可能な基を有する化合物を膜形成成分として含有するリポソームを調製した後、このリポソームと抗体とを反応させる方法。
2):下記一般式(3)で表されるオキシアルキレン基末端に抗体と反応可能な基を有する化合物と抗体とを反応させて一般式(2)で表される化合物を製造した後、この化合物を膜形成成分として用いてリポソームを調製する方法。
いずれの方法においても、リポソームは前記第1のアンホテリシンB運搬体の場合と同様にして製造することができる。
【0021】
【化7】
などを示す。X、p、OA、n、R1およびR2は前記と同じものを示す。〕
【0022】
上記製法1)において、一般式(3)のY2で示される抗体または抗体フラグメントと反応可能な基がオキシカルボニルイミダゾール基の場合、このような化合物を膜形成成分として含むリポソームと抗体または抗体フラグメントとを適当な緩衝液中で混合して反応させることにより製造することができる。この場合、オキシカルボニルイミダゾール基(Y2)と抗体または抗体フラグメント中のリジン残基とが反応してカルバミン酸結合が形成されて抗体または抗体フラグメントがリポソームに結合される。
【0023】
また上記製法1)において、一般式(3)のY2で示される抗体または抗体フラグメントと反応可能な基がカルボキシル基の場合、このような化合物を膜形成成分として含むリポソームと抗体または抗体フラグメントとを、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液などの適当な緩衝液中で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの水溶性脱水縮合剤を用いて、好ましくはpH=4〜12、温度0〜60℃で反応させることにより製造することができる。この場合、カルボキシル基(Y2)と抗体または抗体フラグメント中のリジン残基とが反応し、アミド結合を介して抗体または抗体フラグメントがリポソームに結合される。
【0024】
また上記製法1)において、一般式(3)のY2で示される抗体または抗体フラグメントと反応可能な基がアルデヒド基の場合、このような化合物を膜形成成分として含むリポソームと抗体または抗体フラグメントとを適当な緩衝液中で混合して反応させることにより製造することができる。この場合、シッフ塩基が形成されることにより抗体または抗体フラグメントがリポソームに結合される。さらに上記反応を、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて行うことにより、N−アルキル結合を形成させて結合させることもできる。
【0025】
前記製法2)において、一般式(3)のY2で示される抗体または抗体フラグメントと反応可能な基がオキシカルボニルイミダゾール基の場合、このような化合物と抗体または抗体フラグメントとを適当な緩衝液中で混合して反応させ、カルバミン酸結合を形成させて結合させることにより、一般式(2)で表される化合物を製造することができる。次に得られた化合物を膜形成成分として用いてリポソームを調製する。
【0026】
また前記製法2)において、一般式(3)のY2で示される抗体または抗体フラグメントと反応可能な基がカルボキシル基の場合、このような化合物と抗体または抗体フラグメントとを適当な緩衝液中で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの水溶性脱水縮合剤を用いて、好ましくはpH=4〜12、温度0〜60℃で反応させることにより、一般式(2)で表される化合物を製造することができる。この場合、カルボキシル基(Y2)と抗体または抗体フラグメント中のリジン残基とが反応し、アミド結合が形成されて結合され、一般式(2)で表される化合物が得られる。他の方法としては、クロロホルム、メタノール、エタノールなどの有機溶媒中で一般式(3)で表される化合物と、N−ヒドロキシスクシイミド、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェートなどとをBOP試薬、1,1′−カルボニルジイミダゾール、N−シクロヘキシル−N′−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド メソ−p−トルエン=スルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジエチルホスホロシアニデート、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリンなどの脱水縮合剤を用いて反応させた後、これと抗体または抗体フラグメントとを適当な緩衝液中で反応させることにより製造することもできる。次に得られた化合物を膜形成成分として用いてリポソームを調製する。
【0027】
また前記製法2)において、一般式(3)のY2で示される抗体または抗体フラグメントと反応可能な基がアルデヒド基の場合、このような化合物と抗体または抗体フラグメントとを適当な緩衝液中で混合し、シッフ塩基を形成させて結合させることにより、一般式(2)で表わされる化合物を製造することができる。さらにこの反応を、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて行うことにより、N−アルキル結合を形成させて結合させることもできる。次に得られた化合物を膜形成成分として用いてリポソームを調製する。
【0028】
なお、一般式(3)で表される化合物を製造するには、例えば次のような方法などがあげられる。
1)ホスファチジルエタノールアミンと、両末端にカルボン酸ハライド基を有する(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを第3級アミンの存在下で反応させ、次に得られた化合物中に残存する活性エステル基を加水分解して得る方法。
2)ホスファチジルエタノールアミンと、両末端にカルボニル−N−オキシコハク酸イミド基、あるいはカルボニル−1−オキシベンゾトリアゾール基、カルボニル−N−オキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドなどの活性化エステル基を有する(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを反応させ、次に得られた化合物中に残存する活性エステル基を加水分解して得る方法。
3)ホスファチジルコリンと両末端に水酸基を有する(ポリ)オキシアルキレンとをホスホリパーゼDの存在下でエステル交換反応を行い、得られた化合物にさらに無水コハク酸、モノクロロ酢酸、またはN,N′−カルボニルジイミダゾールなどを作用させて得る方法。
一般式(3)で表される化合物の製造方法の詳細は、特開平7−157493号、特開平7−242680号、特開平7−242681号、特開平7−291853号などに記載されている。
【0029】
【発明の効果】
本発明の請求項1のアンホテリシンB運搬体は、リポソーム膜形成成分として一般式(1)で表される化合物を特定量含有しているので、アンホテリシンBの毒性を低減することができるほか、アンホテリシンBの担持量(含有量)を幅広く調節することができ、しかも血中滞留性が高い。
本発明の請求項2のアンホテリシンB運搬体は、リポソーム膜形成成分として一般式(2)で表される化合物を含有しているので、アンホテリシンBの毒性を低減することができるほか、アンホテリシンBの担持量(含有量)を幅広く調節することができ、しかも血中滞留性が高く、かつ標的指向性を有している。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下具体的な実施例を用いてより詳細な説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1−1
ジパルミトイルホスファチジルコリン3.96mg(5.4μmol)およびコレステロール1.04mg(2.7μmol)を300μlのクロロホルムに溶解した。これに、アンホテリシンB 0.75mg(0.8μmol)およびこれらに対して6mol%に相当する下式(4)で表される化合物(ポリエチレングリコール部の分子量約3000)1.95mg(ポリエチレングリコール部の含有量26重量%)を加熱溶解させたクロロホルム300μlを加えてよく混合し、窒素ガス雰囲気下で溶媒を蒸発させた後、さらに減圧下で乾燥させた。
【化8】
【0031】
ここに、9重量%サッカロース水溶液300μlを加え、凍結−解氷を4回繰返すことにより、リポソームを調製した。次に孔径0.4、0.2、0.1μmのメンブランを順次通過させることにより、リポソームの粒径を調整した。次に遠心分離(100000rpm、10分間)により精製し、目的のアンホテリシンB含有リポソームを得た。
次に、上記で得られたリポソームをメタノールに加えて2mlに調製し、405nmの吸光度からリポソーム中のアンホテリシンBの定量を行った。結果を表1に示す。
【0032】
実施例1−2
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物の代わりに下式(5)の化合物(ポリエチレングリコール部の分子量約2200、ポリエチレングリコール部の含有量20重量%)を用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【化9】
【0033】
比較例1
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物の代わりに下式(6)の化合物(ポリエチレングリコール部の分子量約1000)6mol%(ポリエチレングリコール部の含有量10重量%)を用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【化10】
【0034】
実施例1−3
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物を8mol%(ポリエチレングリコール部の含有量35重量%)用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例1−4
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物を10mol%(ポリエチレングリコール部の含有量43重量%)用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
実施例1−5
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物を12mol%(ポリエチレングリコール部の含有量52重量%)用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
実施例1−6
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物を15mol%(ポリエチレングリコール部の含有量65重量%)用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
実施例1−1と同様にして、ただし式(4)の化合物を3mol%(ポリエチレングリコール部の含有量13重量%)用いてアンホテリシンB含有リポソームを調製し、リポソーム中のアンホテリシンBの担持量を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2−1
ジパルミトイルホスファチジルコリン3.96mg(5.4μmol)およびコレステロール1.04mg(2.7μmol)を300μlのクロロホルムに溶解した。これに、アンホテリシンB 0.75mg(0.8μmol)およびこれらに対して6mol%の下式(7)の化合物(ポリエチレングリコール部の分子量約3000)1.95mg(ポリエチレングリコール部の含有量26重量%)を加熱溶解させたクロロホルム300μlを加えてよく混合し、窒素ガス雰囲気下で溶媒を蒸発させた後、さらに減圧下で乾燥させた。
【化11】
【0041】
ここに、9重量%サッカロース水溶液300μlを加え、凍結−解氷を4回繰返すことにより、リポソームを調製した。次に孔径0.4、0.2、0.1μmのメンブランを順次通過させることにより、リポソームの粒径を調整した後、遠心分離(100000rpm、10分間)により精製した。
【0042】
次に、上記でリポソームを5mM MES緩衝液−生理的食塩水の1mlに分散させ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩20mgおよびN−ヒドロキシスルホスクシイミド20mgを加え、室温で10分間攪拌した後、200μlのHEPES緩衝液(pH=7.5)を加え、さらに1N水酸化ナトリウム水溶液にてpH=7.5に調整した。ここに、マウスの肺内皮細胞表面に存在するGP120に特異的に結合するモノクローナル抗体34Aおよびこれをラジオアイソトープラベル化した125I−34Aを加え、室温で2時間攪拌した。その後、遠心分離(4℃、100000rpm、10分間)により精製し、標的指向性を有するアンホテリシンB含有リポソームを得た。
【0043】
比較例3
実施例1−1において、式(4)で表される化合物を用いなかったこと以外は実施例1−1と同様にしてポリエチレングリコール部を持たないアンホテリシンB含有リポソームを得た。得られたリポソーム中のアンホテリシンBの担持量は、脂質1mgあたり14.58μgであった。
【0044】
実施例3−1
実施例1−1、2−1および比較例3で得られたリポソーム(アンホテリシンB運搬体)をマウスに静注し、1時間後および6時間後の組織中のアンホテリシンBを高速液体クロマトグラフィーにて定量することにより評価し、表2、表3に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
実施例4−1
A.fumigatus:MF−13を2.0×106分生子/マウスでBALB/cマウスに経鼻感染させたBALB/cマウス肺アスペルギルス症モデルによる治療実験を行った。実施例1−1、2−1および比較例3で得られたアンホテリシンB運搬体を5日間繰返し投与後、4週間100%生存するための投与量は、
比較例3 10.0mg/kg
実施例1−1 3.0mg/kg
実施例2−1 2.0mg/kg
であり、実施例のもの、特に34Aを担持したリポソームで優れた薬理効果が得られた。
【0048】
また、同じ投与方法で、投与量2.0mg/kgでの4週間後の生存率は、
比較例3 20%
実施例1−1 80%
実施例2−1 100%
であり、実施例のもので優れた生存率が得られた。
【0049】
実施例1−1〜1〜6の結果(表1)より、本発明のアンホテリシンB運搬体は一般式(1)で表される化合物のオキシアルキレン部の分子量および含有率に応じて、アンホテリシンBのリポソーム中への担持量(含有量)を調節できることが明らかである。
さらに、実施例2−2の結果(表2)より、抗体を有する本発明のアンホテリシンB運搬体は、優れた血中滞留性と標的指向性を有することが明らかである。
また、毒性に関しては、実施例4−1の結果より、本発明によるポリエチレングリコール部を20重量%以上含むアンホテリシンB担持リポソームは、ポリエチレングリコール部を持たないものに比べて毒性が低減され、また抗体を担持したものではさらに顕著に毒性が低減されることが明らかである。
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