JP3196270B2 - Romディスクの製造方法 - Google Patents

Romディスクの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録ピットが予めカッ
ティングされたCD(コンパクトディスク)等のROM
ディスクの製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】例えばコンピュータのソフト、あるいは
コンピュータの操作、取扱い説明用におけるROM型記
録媒体としては、量産性に富むピット型ROMディス
ク、例えばCD(コンパクトディスク)におけるように
凹凸ピットに可干渉光を照射してその読出しを行う光デ
ィスクのOD(オプティカルデータ)型のROMディス
クを用いることが有利である。
【0003】この場合、対象とする機器、例えばコンピ
ュータにおいてMO(光磁気)型ディスクが用いられて
いる場合、上述のOD型ROMディスクにおいても互換
性の上から同じフォーマットにすることが望まれる。
【0004】このCD等のOD−ROMディスクを作製
するには、通常所要の凹凸パターンが形成されたスタン
パを形成し、これを用いてインジェクションモールド、
あるいは2P(フォトポリマリゼーション・プロセス)
によって目的とするディスクを作製する。
【0005】このスタンパ作製のマスタリングは、基板
上にフォトレジストを塗布し、これに書込み信号例えば
“1”,“0”信号に応じてオン・オフ変調された光ス
ポットをフォトレジスト層に照射してパターン露光すな
わち情報の記録を行い、これを現像し、凹凸パターンを
形成し、これの上にNi等のメッキ層を形成し、これを
引き剥がしてこれ自体をスタンパとするか、さらにこれ
より互いにマザーを転写形成し、これよりさらに転写に
よってスタンパを作製する方法が採られる。
【0006】すなわち、この場合の記録は、いわば光変
調記録によるものである。
【0007】この光変調記録についてみると、この場合
図6A,B及びCにその記録光のスポットを示すよう
に、記録密度を上げていくに伴い、順次AからCに向か
うように、記録光のスポットの径を小さくする必要があ
ることから、これによって得られた記録部の記録ピット
Pのトラック幅方向の幅Wについても漸次これが小とな
り再生出力が小さく、変調伝達関数MTFが悪くなる。
またこの場合図7Aに示す小なるピットが連続するよう
な、ベースバンド記録即ちデータ“1”,“0”をその
まま記録する方法、つまり“1”,“0”が無限に続く
ような場合、露光スポットの連続照射による光のにじみ
によって図7Bに示すように後方に向かって幅広のピッ
トPが形成される。また、仮に図7Cに示すように小な
るピットPとして連続的に形成したとしても、この場
合、ピットPのエッジの曲率が急峻であることからジッ
タが大きくなる。
【0008】一方、記録の読出しを高い変調度MTF
(モジュレーション・トランスファ・ファンクション)
をもって行うには、読み出し光の波長λを小さく、対物
レンズの開口数N.A.を高めることになるが、実際上
再生光として一般に用いられる普及型の半導体レーザの
波長は、780nmであり、N.A.についてもこれが
あまり大きいとディスクの傾きによる収差が大きくなる
とか焦点深度が浅いことによってフォーカスが不安定に
なることなどから、この開口数N.A.は、0.55程
度とされている。
【0009】そして、今、このMTFの、例えば
“0”,“1”の繰返しパターンの密度Lp/mmの依
存性をみると、図8に示すようになり、その記録密度の
限界はλ/2NAで決まる周波数となるが、同図中各曲
線a,b,cで示すように記録ピットの幅の減少に伴っ
てその変調度が低下する。
【0010】したがって、このようないわば光変調記録
に対応するROMディスクにおいては、高変調度の高記
録密度によるROMディスクが得難い。
【0011】これに対しMO(光磁気)ディスクについ
てみると、これにおいて磁界変調記録が用いられるとき
は、図9A,B及びCで示すように、順次高密度化され
てもその磁気的ピットPの配列方向に重ね書きができる
ことからトラック幅方向のピット幅Wをほとんど一定
に、即ち大なる幅に保持した状態で高密度記録を行うこ
とができる。
【0012】このように磁界変調によるMOディスクに
おいては、高密度化されてもなお、そのピットが、トラ
ック幅方向に関して大なる幅を保持できることから大き
な変調度が得られる。
【0013】そして、このように高密度化されたMOデ
ィスクの再生機に、上述したODディスクとの互換性を
持たせるには、同じ信号処理、同じ回転数でその読出し
を行うことができるようにすなわち同じフォーマットの
OD−ROMディスクを作製することが望まれる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、M
Oディスクと同程度の高密度記録化をはかることがで
き、しかも高変調度が得られるOD−ROMディスクを
作製することができるようにする。
【0015】すなわち、現状においてMOディスクにお
いては、0.4μmに及ぶ小さいピットの形成が可能な
状態となっているものであるが、本発明は、これと同程
度の最短ピットを含み、ベースバンド情報を確実にピッ
トとして形成することができるようにする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1にその一
例の工程図を示すように、基体1上に被着形成したフォ
トレジスト層2(図1B)に対して記録情報に応じて光
変調された光スポットSPをもって露光を行う工程(図
1C)と、フォトレジスト層2の現像処理によって記録
情報に応じた凹凸パターン3を形成する工程(図1D)
と、この凹凸パターン3に基づいてROMディスクを作
製する工程とを少なくとも有するROMディスクの製造
方法において、フォトレジスト層2に対する露光を図3
Aに示すように、トラック幅方向に長軸を有する長円形
スポット光SPをもって1ビット当たり、1パルスの露
光によって行う。
【0017】本発明の他の1は、上述の長円形スポット
光SPを得る方法として露光光源からの円形スポット
を、アナモルフィックプリズムによって長円形スポット
化する。
【0018】さらに、本発明の他の1は、上述の長円形
スポット光SPを露光光源からの円形スポットをトラッ
ク幅方向に往復偏向させて長円形スポット化する。
【0019】
【作用】本発明においては、フォトレジスト層2に対す
る露光スポットを、図3Aに示すようにトラック幅方向
に長軸を有する長円形スポットSPとし、これをもって
記録情報、例えば“0”,“1”をオン・オフ変調させ
てフォトレジスト層2の露光を、特に1ビット当り、1
パルスをもって露光するので、ベースバンド情報つまり
“0”や“1”が続くようなデータが存在する場合にお
いても、図3Bに示すように、その露光部すなわちこれ
を基に形成された情報ピットは、個々に重なり合うこと
なく密にしかも曲率の緩かなピットを形成することがで
き、ジッタの改善がはかられる。また、上述したように
トラック幅方向の幅Wは、例えば1.2μm程度に大に
することができ、これによって出力の向上、MTFが良
好な高記録密度化向上をはかることができる。このよう
にして得たピットは、いわば光変調型構成を採るにも係
わらず、MOにおける磁界変調の記録に対応して高MT
F、さらにジッタの低減化をはかることができることか
ら、MOの再生器と同等のシステム、イコライザ設定等
において互換性を持たすことができる。
【0020】
【実施例】本発明によるROMディスクの製造方法の一
実施例を説明する。まず、このROMディスクを得るた
めのスタンパの作製方法について図1及び図2を参照し
て詳細に説明する。この場合、図1Aに示すように表面
が平滑に研磨されたガラス基板等よりなる基体1を用意
し、これの上に図1Bに示すように例えばポジ型のフォ
トレジスト層2をスピンコート等をもって一様の厚さに
被着塗布形成する。
【0021】次に、図1Cに示すように、記録信号に応
じて変調された光スポットSPを照射してフォトレジス
ト層2をパターン露光する。
【0022】図1Dに示すように、フォトレジスト層2
に対して現像処理を行って例えば最終的に得るピットに
対応する透孔2aを形成してこれによって凹凸パターン
3を形成する。
【0023】図1Eに示すように、この基体1上にフォ
トレジスト層2の表面を含んで全面的に無電解メッキ、
蒸着等による導電層を形成し、その後、例えばNiメッ
キ、電気メッキを施して、メタルマスタ11を形成す
る。
【0024】その後、図2Aに示すように、このメタル
マスタ11を基体1から剥離して、これ自体をスタンパ
とするか、あるいはこれをスタンパを得るためのマザー
としてこれをさらに転写してスタンパを形成し、このス
タンパを例えばインジェクションモールド用の成形金型
に設置してインジェクションモールドするとか、2P法
を適用して図2Bに示すように目的とするROMディス
ク基板12を形成する。
【0025】このように形成したROMディスク基板1
2は、図2Cに示すように上述した光スポットSPの記
録情報に応じた露光パターンに対応するピットPによる
凹凸パターン13が形成される。
【0026】そして、このようなスタンパを用いてイン
ジェクションモールドあるいは2P法によって所要のピ
ットが形成されたディスク基板12を成形して後、これ
の上に反射膜14及び保護膜15等の形成を行って目的
とするROMディスク16を得る。
【0027】上述の製造方法において、図1Cで説明し
たフォトレジスト層2に対する光スポットSPによる露
光は、図4に示す露光手段によって行うことができる。
図4において、17はフォトレジスト層2を塗布した基
体1を、その中心軸を中心として回動させるスピンドル
モータを示す。18はHe−Cd、あるいはAr等の3
80〜390nmのガスレーザ等の短波長の露光光源
で、これより円形スポット光が得られる。この光Lを、
記録信号源19よりの信号によって変調する光変調器2
0によって光強度変調してこれをミラー21によって反
射させて対物レンズ22を通じてフォトレジスト層2上
に照射する。
【0028】ミラー21は、基体1の回転を行うスピン
ドルモータ17の回転に応じてその半径方向に対物レン
ズ22と共に移動して対物レンズの光軸上に光Lを導入
するように移動自在に構成されている。
【0029】また、スピンドルモータ17は、例えば光
照射手段すなわち対物レンズ22の位置等の検出、さら
にその位置から回転数を計算するコンピュータ等の駆動
制御手段23によってその回転制御が行われる。
【0030】このような構成において、本発明において
は光源18から対物レンズ22の光路上、例えば光源1
8と光変調器20との間、あるいはその後段にアナモル
ィックプリズム24を配置して、図3Aでそのスポッ
トSPを示すように、トラック幅方向とこれと直交する
ピットの配列方向に関して非対象の倍率とされた長円形
スポットSPを形成する。
【0031】さらに、この記録は1ビット当たり1パル
スの露光によって行う。すなわち1ビット毎に独立した
露光を図3Bに示すように行う。
【0032】このようにすることによって前述したよう
にベースバンド情報をピットとしてカッティングする場
合においても独立した不連続のピットPとして、すなわ
ち、図3Bに示すように、隣り合う情報ピットPの各肩
部間に間隙の発生、すなわち相互に重なり合わない部分
を生じさせて形成される。そして、この場合このピット
Pは最密状態に形成される。
【0033】上述した例においては、長円形スポットS
Pを得る方法としてビーム整形プリズムに用いられるア
ナモルフィックプリズム24によって縦横倍率の異なる
すなわち長円形のスポットSPを得るようにした場合で
あるが、この長円形スポットSPを得る方法としては、
例えば図4におけるミラー21に換えてガルバノミラー
を設置し、これによって対物レンズに対する光軸を図5
に示すようにトラック幅方向に対応する一平面内で振る
ことによって例えば1.2μmの長径dを有するスポッ
トSPを得ることができる。
【0034】上述したように、本発明においては長円形
スポットSPを用いて露光処理を施し、これによってス
タンパを作製し、このスタンパによってROMディスク
を得るものであるが、このようにして得たROMディス
クのピットすなわち凹部は従来の円形スポットによって
得たピットの最端ピットが0.87μmであったもので
あるのに比し0.45μm以下例えば0.4μmに及ぶ
ピットの形成が可能となり磁界変調型におけると同等の
高密度化をはかることができる。
【0035】また、1ビット、1パルスによる記録を行
ったことによって、ベースバンド情報の記録における場
合において、その光の滲みによる連続露光による場合の
図7Bで説明したピット幅の広がりが生じジッタ不良を
招来することの不都合を回避できる。
【0036】
【発明の効果】本発明においては、フォトレジスト層2
に対する露光スポットを、図3Aに示すようにトラック
幅方向に長軸を有する長円形スポットSPとし、これを
もって記録情報、例えば“0”,“1”をオン・オフ変
調させてフォトレジスト層2の露光を、特に1ビット1
パルスをもって露光するので、ベースバンド情報におい
てもその記録を確実に行うことができる。また、上述し
たようにトラック幅方向の幅Wは例えば1.2μm程度
に大にすることができ、これによって出力の向上、MT
Fの向上をはかることができる。このようにして得たピ
ットは、いわば光変調型構成を採るにも係わらずMOに
おける磁界変調の記録に対応して高MTFさらにジッタ
の低減化をはかることができることからMOの再生器と
同等のシステム、イコライザ設定等において互換性を持
たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明製造方法の一例の製造工程図(その1)
である。
【図2】本発明製造方法の一例の製造工程図(その2)
である。
【図3】本発明製法に用いる光スポットとこれによるピ
ットを示す図である。
【図4】本発明製法のフォトレジスト層に対する露光装
置の一例の構成図である。
【図5】本発明方法の露光スポットを得る他の例の説明
図である。
【図6】従来の光変調記録の説明図である。
【図7】従来の光変調記録の説明図である。
【図8】MFTの特性曲線図である。
【図9】磁界変調の記録の説明図である。
【符号の説明】
1 基体 2 フォトレジスト SP 光スポット P ピット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−287038(JP,A) 特開 平2−64934(JP,A) 特開 平2−5236(JP,A) 特開 昭63−285727(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/26 G11B 7/0045 G11B 7/135

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に被着形成したフォトレジスト層
    に対して記録情報に応じて光変調された光スポットをも
    って露光する露光工程と、 上記フォトレジスト層の現像処理によって記録情報に応
    じた凹凸パターンを形成する工程と、 該凹凸パターンに基いてROMディスクを作製する工程
    とを少なくとも有するROMディスクの製造方法におい
    て、 上記露光工程における上記フォトレジスト層に対して露
    光する光スポットが、トラック幅方向に長軸を有する長
    円形スポット化された光スポットであり、かつ、該光ス
    ポットは、記録情報の1ビット当たり、1パルスとされ
    て、上記フォトレジスト層において、互いに隣接する1
    ビットに対応するピットが重なり合わない部分を形成す
    ることを特徴とするROMディスクの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のROMディスクの製造
    方法において、 長円形スポット光を、露光光源からの円形スポットをア
    ナモルフィックプリズムによって長円形スポット化して
    得ることを特徴とするROMディスクの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のROMディスクの製造
    方法において、 長円形スポット光を、露光光源からの円形スポットをト
    ラック幅方向に往復偏向させて長円形スポット化して得
    ることを特徴とするROMディスクの製造方法。
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