JP3196017B2 - 無機・有機複合系被覆組成物 - Google Patents

無機・有機複合系被覆組成物

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JP3196017B2
JP3196017B2 JP06892897A JP6892897A JP3196017B2 JP 3196017 B2 JP3196017 B2 JP 3196017B2 JP 06892897 A JP06892897 A JP 06892897A JP 6892897 A JP6892897 A JP 6892897A JP 3196017 B2 JP3196017 B2 JP 3196017B2
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和文 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリシロキサン化
合物及び有機系樹脂を含む被覆組成物に関し、さらに詳
しくは、表面硬度及び耐候性の向上した塗膜が形成され
るとともに、保存安定性及び塗装作業性が改良される無
機・有機複合系被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から塗膜の耐候性、表面硬度や耐擦
傷性を改良するために、種々のシリコン化合物を適用し
た被覆組成物が検討されてきている。例えば、アルコキ
シシラン加水分解物を用いた被覆組成物として、特開昭
61−166824号公報等があり、また、オルガノア
ルコキシシランとコロイド状のシリカ又はアルミナを主
成分として用いるコーティング用組成物は、数多く知ら
れている(特公昭52−39691号公報、特公昭55
−5042号公報、特開昭54−87736号公報、特
開昭55−94971号公報、特開昭56−99236
号公報、特開昭59−68377号公報等)。
【0003】さらに、被覆用樹脂材料として、アルコキ
シシリル基を含有するアクリル系共重合体を用いたコー
ティング組成物が、特開平3−47881号公報及び特
開平3−54278号公報等に提案されている。さらに
また、それらの樹脂材料の特性を発揮させるために、上
記のアルコキシシランの加水分解物とアクリル系共重合
体を混合した組成物をコーティング用途に用いることも
注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
シリコン化合物を含有するコーティング組成物は、得ら
れる塗膜の透明性が低く、耐温水性に劣るものであり、
また、厚膜の塗膜を形成するとクラックが入る等の問題
を有している。また、これらのコーティング組成物溶液
は、経時安定性が悪くてポットライフが短い等のため
に、特に塗装作業上において不都合な点が多い。また、
最近、アクリル共重合体とアルコキシシランの加水分解
物を混合した被覆組成物(特開平8−60075号公
報)が提案されているが、この方法は厚膜時におけるク
ラックの発生を防止できるとしても、その被覆組成物溶
液の経時安定性については未だ不十分なものである。
【0005】本発明は、従来の技術における上記した問
題を解消するためになされたものである。すなわち、本
発明の目的は、表面塗膜が良好であって、耐候性及び機
械的強度に優れた塗膜形成能を有し、また、その保存安
定性が高く、塗装作業性の容易な無機・有機複合系被覆
組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した
従来の課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機系樹脂
に、特定のシリコーンオリゴマーを有機溶媒中で加水分
解させて得られたシリカ系微粒子及びアルコキシシラン
類の加水分解縮合物等を混合することにより、優れた塗
膜性能を有する被覆組成物が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の無機・有機複合系被覆
組成物は、塗膜形成成分が、下記のA成分、B成分及び
C成分よりなり、そして、含ケイ素成分がA成分とB成
分のみであって、その混合比が5:1〜1:5の範囲で
あり、かつ、A成分とB成分の固形分とC成分の樹脂固
形分との重量比が1:10〜2:1の範囲であることを
特徴とするものである。 [A成分]下記一般式[I]で示されるシリコーンオリ
ゴマーを、有機溶媒中で水及び酸触媒を添加することに
より得られる加水分解縮合生成物。
【化3】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は
フェニル基を表し、nは1〜20の整数である。)
【0008】[B成分]下記一般式[II]で示されるシ
ラン化合物を、有機溶媒中で水及び酸触媒を添加するこ
とにより得られる加水分解縮合生成物。
【化4】 (式中、R1 及びR2 は、同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、C
2 CH2 OCH3 又はCH2 CH2 OC2 5 を表
し、R3 は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はア
リール基を表す。Xはγ−(メタ)アクリルオキシプロ
ピル基、ビニル基、フェニル基、γ−グリシドオキシプ
ロピル基を表す。)[C成分]アクリル系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、アクリル系樹脂とアミノ系樹脂の混合樹
及びポリエステル系樹脂とアミノ樹脂の混合樹脂か
ら選ばれる有機系樹脂。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において、一般式[I]で示されるシリコ
ーンオリゴマーとしては、ジンクリッチペイントや鋳造
用のバインダー等として公知のアルキルシリケート類
(テトラメトキシシランやテトラエトキシシランの部分
加水分解重縮合物)が使用され、市販のものとしてはメ
チルシリケート51(三菱化学社製)、エチルシリケー
ト40(コルコート社製)等が好適に使用される。
【0010】また、一般式[II]で示されるシラン化合
物としては、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシメチルジメトキシシラン、γ−グリシドオキ
シメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類が使
用され、市販のものとしてはオルガノシラン(AY−4
3−026、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、
(サイラエースS520、チッソ社製)等が好適に使用
される。
【0011】本発明の無機・有機複合系被覆組成物にお
いて、A成分は、上記の一般式[I]で示されるシリコ
ーンオリゴマー(以下、「式[I]の化合物」とも記
す。)を、有機溶媒中において酸触媒の存在下、水を添
加して加水分解させるこにより得られる加水分解縮合
物であって、縮合物の粒径が10〜500nmの範
囲、好ましくは30〜100nmの範囲のものが使用さ
れる。その粒径が500nmよりも大きくなると、塗膜
の透明性等の外観を損傷する等の不具合が生じる。
【0012】また、B成分は、上記の一般式[II]で示
されるシラン化合物(以下、「式[II]の化合物」とも
記す。)を、有機溶媒中において酸触媒の存在下、水を
添加して加水分解させるこにより得られる加水分解縮合
生成物であって、縮合物の分子量が200〜1500の
範囲、好ましくは200〜1000の範囲のものが使用
される。その分子量が1500よりも大きくなると、塗
料溶液の経時安定性が低下する。
【0013】本発明において、A成分の縮合物及びB成
の縮合物は、ともに上記の加水分解反応と重縮合反応
により得られるものである。これらの反応に使用される
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等
のアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ等のエーテル類等が
あげられ、これらの有機化合物を単独で又は複数を組合
せて使用することができる。なかでも、アルコール類、
特にn−ブタノールを用いることが好ましい。これらの
有機溶媒の使用量は、式[I]の化合物100重量部に
対して50〜300重量部の範囲であり、また、式[I
I]の化合物100重量部に対しても50〜300重量
部の範囲である。反応系内の有機溶媒量がこれより少な
いと、得られる溶液の経時安定性が低下し、一方、多過
ぎると加水分解反応及び重縮合反応の進行が遅くなり目
的とする加水分解縮合物を得るには多くの熟成時間を要
することになる。
【0014】また、上記の加水分解・重縮合反応を促進
させる酸触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸、蓚酸、
プロピオン酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸等の有機
酸が好ましく使用される。これらの酸触媒は、式[I]
の化合物又は式[II] の化合物100重量部に対し、通
常0.1〜3.0重量部の範囲で用いることが好まし
い。また、式[I]の化合物を加水分解させるために添
加する水の量は、式[I]の化合物1モルに対して3〜
10モルの範囲で用いることが好ましく、また、式[I
I] の化合物を加水分解させるために添加する水の量
は、式[II] の化合物1モルに対して1〜7モルの範囲
で用いることが好ましい。添加する水の量が多いと得ら
れた被覆組成物(塗布液)の経時安定性が低下し、その
反対に少ないと鉛筆硬度や耐擦傷性等の塗膜性能が低下
する。
【0015】本発明の被覆組成物において、A成分から
なる加水分解縮合生成物とB成分からなる加水分解縮合
生成物との混合比は、5:1〜1:5の範囲で用いら
れ、好ましくは3:1〜1:3の範囲である。A成分の
比率がこれより高くなると、その塗布液の経時安定性が
低下し、他方、B成分の比率が高いと、形成される塗膜
は鉛筆硬度や耐擦傷性等の塗膜性能が低下する。
【0016】本発明の被覆組成物中の固形分は、A成分
及びB成分中の固形分の和とC成分中の樹脂固形分との
重量比が、1:10〜2:1の範囲であり、好ましくは
1:5〜5:1の範囲である。この無機固形分がこれよ
り少ないと鉛筆硬度等の塗膜性能が低下するし、他方、
樹脂固形分がこれより少ないと塗布液の経時安定性が低
下する。
【0017】上記の被覆組成物は、基材上に塗工して乾
燥させると、表面側が無機物層からなり、他方、基材側
が有機物層からなる塗膜が形成されるものであるが、そ
れらの無機物層と有機物層との比率は、使用される被覆
組成物中の無機固形分と有機固形分の比率によって異な
り、無機固形分が樹脂固形分より多くなると、柔軟性或
いは屈曲性が低下するので、折り曲げ等の後加工を要す
る用途にはその範囲を超えない配合量にすることが望ま
しい。
【0018】本発明におけるC成分としては、通常、有
機系樹脂を有機溶剤に溶解させたものが用いられる。C
成分に使用される有機系樹脂としては、アクリル系樹
脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂とアミノ系樹
脂の混合樹脂及びポリエステル系樹脂とアミノ樹脂の
混合樹脂の中から選ばれるものである。
【0019】上記のアクリル系樹脂としては、塗料に用
いられている公知のものであれば特に制限されることな
く使用できる。その構成成分として、ガラス転移温度が
低く柔らかい主モノマー成分、ガラス転移温度が高く硬
いコモノマー成分、さらに必要に応じて少量の官能基含
有モノマー成分を含むものが用いられる。その樹脂の主
モノマー成分としては、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル等のアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸
ブチル、メタクリル酸イソブチル等のメタクリル酸アル
キルエステル等からなるものが挙げられ、また、前記の
コモノマー成分としては、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アク
リロニトリルやスチレン等が挙げられる。さらに、官能
基含有モノマー成分としては、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられ
る。
【0020】アミノ系樹脂としては、塗料に使用されて
いる公知のものであれば特に制限はなく、メチル化メラ
ミン、ブチル化メラミン、メチルブチル混合アルキル化
メラミン、メチルブチル混合アルキル化ベンゾグアナミ
ン、メチロール化メラミン等が用いられる。
【0021】ポリエステル系樹脂としては、塗料に使用
されている公知のものであれば特に制限なく用いられ、
多価アルコールと多塩基酸を縮合して製造されるポリエ
ステルであれば使用可能である。その多価アルコール成
分としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサン
ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリ
セリン等があげられ、また、多塩基酸成分としては、無
水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、
テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の
飽和多塩基酸があげられ、無水マレイン酸、マレイン
酸、無水イタコン酸、イタコン酸、フマール酸等の不飽
和多塩基酸も併用することができる。さらに、桐油、ア
マニ油、大豆油、綿実油、サフラワ油、やし油等の公知
の油変性ポリエステル樹脂も使用可能である。ポリエス
テル樹脂の分子量は500〜50000、好ましくは1
000〜30000の範囲のものが、また酸価は0.1
〜500程度のもの、水酸基価は2〜200程度のもの
が実用的である。
【0022】本発明の無機・有機複合系被覆組成物は、
上記したA成分、B成分及びC成分の各々を作成した
後、これらの3成分を適宜混合することにより得られる
ものである。この混合時の温度及び時間については何ら
制限されるものではなく、得られた被覆組成物が、均一
で、かつ透明な溶液状態となるものであればよい。この
混合により得られる無機・有機複合系被覆組成物は、溶
液状態においては上記した3成分が均一に混合されて長
期に亘り安定して存在するものである。
【0023】本発明により得られる無機・有機複合系被
覆組成物は、上記した性状を持つことから一液性塗料組
成物として有用なものであり、塗膜を形成する際の焼き
付けを140〜180℃程度の比較的低温で行うことが
できるという利点があり、また、これを二液性塗料組成
物として使用する場合には、上記の焼き付け温度をより
一層低下させることができる。上記のとおり、本発明の
被覆組成物は、焼き付け温度を低くできるために、14
5℃以上になると変色する真鍮、低軟化点のプラスチッ
ク及び木材等にも塗装可能であり、また、特別な塗装機
器や硬化設備を要することなく広範囲の基材上に容易に
塗膜を形成することが可能である。
【0024】本発明の塗膜は、上記の無機・有機複合系
被覆組成物を塗布溶液として基材上に塗布し、乾燥させ
ることにより得られるものであり、形成された塗膜の構
造に特徴を有するものである。すなわち、得られた乾燥
塗膜は、塗膜の表面側層に無機成分、基材側に有機成分
が存在する2層構造を形成する。つまり、その被覆組成
物は、塗料溶液の状態では3成分が均一に存在していた
ものが塗膜形成時には無機物層と有機物層とに相分離を
起こして2層構造が形成されるものである。この2層構
造は、上記の3成分が存在して初めて形成されるもので
ある。つまり、A成分とC成分の組合せでは、無機成分
と有機成分とは海島構造の塗膜が形成され、また、B成
分とC成分の組合せでは、均一層の塗膜が形成されるこ
ととなり、本発明のような2層構造の塗膜を得ることは
できない。
【0025】従来、無機系塗料は、材料の経時安定性や
材料の製法等から使用できる溶剤が限られており、ま
た、材料自体の性状から塗布方法等にも非常に限定され
ていた。ところが、本発明の被覆組成物では、特定の無
機成分に有機成分を配合することにより、その溶液の性
状及び使用材料の経時安定性が良好であり、一般の有機
系塗料と同様に何ら支障なく使用することができる。例
えば、形状が複雑な成形物等を塗布するには、静電塗装
方法が有効に利用でき、また、その塗料組成物の樹脂と
しては、アクリル系樹脂とアミノ系樹脂との複合系樹脂
を用いることが好ましい。また、長尺のプレスメタル等
を塗布するには、ロールコーター塗装等が有効であり、
その塗料組成物の樹脂としては、ポリエステルとアミノ
系樹脂との複合系樹脂を用いることが好ましい。このよ
うに、本発明の被覆組成物は、その用途、塗装方法及び
ライン特性等に応じて、任意に塗料設計を行うことがで
きるという大きな利点を有するものである。
【0026】次に、本発明の被覆組成物の使用方法につ
いて説明する。上記のようにして塗料用に調整した被覆
組成物溶液を基材の上に塗布し、これを強制的に乾燥さ
せることにより焼付乾燥塗膜が得られる。その基材とし
ては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、その他
の合金やガラス、また、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等のプラスチック類が
用いられる。その強制乾燥させる条件としては、一般式
[I]で示されるシリコーンオリゴマー及び一般式[I
I] で示されるシラン化合物と混合して用いる有機系樹
脂の硬化反応温度を採用することが好ましい。つまり、
アクリル樹脂とアミノ系樹脂の混合樹脂を用いた場合に
は140〜180℃が適当であり、また、ポリエステル
系樹脂を用いた場合には180〜240℃が望ましい。
【0027】基材に塗布する方法としては、ディッピン
グ法、エアスプレー法、エアレススプレー法、スピンコ
ーター、ロールコーター、グラビアコーター等が用いら
れる。焼付硬化塗膜の膜厚は、5〜50μmの範囲が好
ましく、5μm以下の場合には塗膜の保護効果が低下す
ると共に、ピンホール等の塗膜欠陥が生じ易くなる。一
方、50μmより厚い場合はクラックが生じ易くなった
り、塗膜形成時の内部応力により密着性が低下する。
【0028】さらに、本発明の被覆組成物には、顔料、
染料等の着色剤を配合して着色塗料としても使用するこ
とができる。その塗料に使用される顔料としては、酸化
チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、アル
ミナ等の白色顔料、カーボンブラック、黒鉄等の黒色顔
料、フタロシアニンブルー等の青色顔料、黄鉛、ハンザ
イエロー等の黄色顔料、ベンガラ、レーキレッド等の赤
色顔料等が挙げられる。さらにまた、本発明の被覆組成
物には、必要に応じて、他の樹脂用添加剤、例えば、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性付与剤、
スリップ剤、タレ止め剤、消泡剤、レベリング剤、チク
ソトロピック性付与剤等を配合することができる。
【0029】
【実施例】次に、実施例等により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下
の実施例に限定されるものではない。 実施例1 [A成分の調製]シリコーンオリゴマー(メチルシリケ
ート51、三菱化学社製、分子量約500)20gをn
−ブタノール20gと混合し、この混合液に、イオン交
換水10gに98%硫酸0.3gを添加して作成した希
硫酸水溶液を撹拌しながら徐々に滴下し、滴下後に10
分間撹拌を続けた後、その撹拌を止めて1時間放置する
ことにより、粒径100nmの加水分解縮合物を含む溶
液(A成分)を得た。 [B成分の調製]γ−グリシドオキシプロピルジメトキ
シメチルシラン(AY−43−026、東レ・ダウコー
ニングシリコーン社製)20gをn−ブタノール20g
と混合し、この混合液に、イオン交換水10gに98%
硫酸0.3gを添加して作成した希硫酸水溶液を撹拌し
ながら徐々に滴下し、滴下後10分間撹拌を続けた後、
その撹拌を止めて1時間放置することにより、分子量が
650の加水分解縮合物を含む溶液(B成分)を得た。 [C成分の調製] アクリル系樹脂とアミノ系樹脂の混合樹脂溶液 アクリル系樹脂ワニス(ダイヤナールHR−632、三
菱レーヨン社製、固形分50%、酸価7)50gとメチ
ル化メラミン樹脂ワニス(サイメル370、三井サイテ
ック社製、固形分80%)15gを混合し、n−ブタノ
ール10g、酢酸エチル10g及びトルエン7.5gで
希釈することにより樹脂溶液(C成分)を得た。 [被覆組成物の製造]上記の調整方法により作成したA
成分20g、B成分20g及びC成分60gを30℃に
おいて混合し、10分間攪拌することにより、透明な均
一の被覆組成物溶液100gを得た。
【0030】実施例2〜5 実施例1において、表1に示すようにA成分、B成分及
びC成分の配合割合を変化させたこと以外は、実施例1
と同様にして、それぞれ透明な均一の被覆組成物を得
た。 比較例1〜3 実施例1において、表1に示すようにA成分又はB成分
のいずれかを配合することなく、それぞれ透明な被覆組
成物を得た。
【0031】実施例6 実施例1において、C成分として下記のポリエステル系
樹脂とアミノ系樹脂の混合樹脂ワニス60gを用いたこ
と以外は、実施例1と同様にして、透明な均一の被覆組
成物を得た。C成分として、ポリエステル系樹脂(ポリ
エスターTP−290、日本合成化学工業社製、プロピ
レングリコールと無水フタル酸との縮重合物、分子量1
7000)40gとメチル化メラミン樹脂ワニス(サイ
メル370、三井サイテック社製、固形分80%)3g
を混合し、この混合物をn−ブタノール25g、酢酸エ
チル25g及びトルエン14gからなる混合溶剤を用い
て希釈して得られた樹脂溶液を用いた。
【0032】実施例7 実施例1において、C成分として下記のアクリル系樹脂
ワニス60gを用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て、透明な均一の被覆組成物を得た。C成分として、ア
クリル系樹脂ワニス(ダイヤナールHR−632、三菱
レーヨン社製、固形分50%、酸化7)70gを、n−
ブタノール5g、酢酸エチル5g及びトルエン8gから
なる混合溶剤を用いて希釈して得られた樹脂溶液を用い
た。
【0033】実施例8 実施例1において、C成分として下記のポリエステル系
樹脂ワニス60gを用いたこと以外は、実施例1と同様
にして、透明な均一の被覆組成物を得た。C成分とし
て、ポリエステル系樹脂(ポリエスターTP−290、
日本合成化学工業社製、プロピレングリコールと無水フ
タル酸との縮重合物、分子量17000)50gを、n
−ブタノール30g、酢酸エチル30g及びトルエン1
5gからなる混合溶剤を用いて希釈して得られた樹脂溶
液を用いた。
【0034】
【0035】
【0036】上記実施例1〜及び比較例1〜3におけ
る被覆組成物中の各成分比を表1に示す。
【表1】
【0037】[試験塗片の作成] 実施例1〜及び比較例1〜3で得られた被覆組成物を
用いて、それぞれ通常の陽極酸化処理を施したアルミニ
ウム材の上にエアスプレー塗装を施し、次いで、180
℃で20分間加熱して焼付けることにより得られた膜厚
10μmの焼付塗膜を試験片として使用した。
【0038】[焼付塗膜の評価方法] 1)光沢 光沢測定は、60度光沢計(高デジタル光沢計、スガ試
験機UGV−40型)を用いて測定した。 2)密着性 塗膜の基材への密着性は、JIS K 5400に基づ
いて評価を行った。 3)鉛筆硬度 塗膜の損傷度は、JIS K 5400に基づいて評価
を行った。 4)耐候性 アークカーボン式サンシャインウェザーメーター暴露試
験に準じて評価を行った。なお、その試験条件としては
63℃、降雨時間12分、降雨周期60分において実施
した。評価基準は、暴露時間は2000時間とし、試験
前後の塗膜の60度光沢変化及び色差測定により行っ
た。色差測定には、ミノルタCR−300型を用いた。 5)組成物溶液の経時安定性 各被膜組成物を沈降管に入れて室温で静置し、液の性状
を確認した。 6)屈曲性 塗膜の屈曲性試験は、JIS K 5400に基づいて
評価を行った。 7)塗膜の構造 走査型電子顕微鏡(S−4000、日立社製)により塗
膜の断面構造を観察し、無機層についてはケイ素原子の
マッピングにより判定した。上記の測定結果を下記表2
又は表3に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】本発明の無機・有機複合系被覆組成物
は、特定のシリコーンオリゴマー、特定のシラン化合物
及び有機系樹脂を含有しているから、液状で経時安定性
に優れており、また、塗装作業性が良好なものであり、
また、その被覆組成物を用いて形成される塗膜は、有機
層と無機層との2層を形成して機械的強度、特に表面硬
度が高く、長期に亘り耐候性に優れた塗膜性能を有する
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 201/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗膜形成成分が、下記一般式[I]で示
    されるシリコーンオリゴマーを、有機溶媒中で水および
    酸触媒を添加することにより得られる加水分解縮合生成
    物よりなるA成分、 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は
    フェニル基を表し、nは1〜20の整数である。)下記
    一般式[II]で示されるシラン化合物を、有機溶媒中で
    水及び酸触媒を添加することにより得られる加水分解縮
    生成物よりなるB成分 【化2】 (式中、R1 及びR2 は、同一でも異なっていてもよ
    く、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、C
    2 CH2 OCH3 又はCH2 CH2 OC2 5 を表
    し、R3 は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はア
    リール基を表す。Xはγ−(メタ)アクリルオキシプロ
    ピル基、ビニル基、フェニル基、γ−グリシドオキシプ
    ロピル基を表す。)及び、アクリル系樹脂、ポリエステ
    ル系樹脂、アクリル系樹脂とアミノ系樹脂の混合樹脂
    及びポリエステル系樹脂とアミノ樹脂の混合樹脂から選
    ばれる有機系樹脂からなるC成分よりなり、含ケイ素成
    分がA成分とB成分のみであって、その混合比が5:1
    〜1:5の範囲であり、かつ、A成分とB成分の固形分
    とC成分の樹脂固形分との重量比が1:10〜2:1の
    範囲であることを特徴とする無機・有機複合系被覆組成
    物。
  2. 【請求項2】 A成分として、一般式[I]で示される
    シリコーンオリゴマー1モルに水を3〜10モルの範囲
    で添加して得られた加水分解縮合生成物、また、B成分
    として、一般式[II]で示されるシラン化合物1モルに
    水を1〜7モルの範囲で添加して得られた加水分解縮合
    生成物を使用することを特徴とする請求項1に記載の無
    機・有機複合系被覆組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の無機・有機複合系被覆
    組成物溶液を基材上に塗布して形成される塗膜であっ
    て、その塗膜の表面側に無機層及び基材側に有機層を有
    することを特徴とする塗膜。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の無機・有機複合系被覆
    組成物溶液を基材上に塗布した後、焼付けて乾燥させる
    ことにより塗膜の表面側に無機層及び基材側に有機層か
    らなる塗膜を形成させる方法。
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