JP3195363B2 - Pdgfアンタゴニストとしての4−〔2−(n−2−カルボキサミドインドール)アミノエチル〕ベンゼンスルホンアミドまたはスルホニル尿素 - Google Patents

Pdgfアンタゴニストとしての4−〔2−(n−2−カルボキサミドインドール)アミノエチル〕ベンゼンスルホンアミドまたはスルホニル尿素

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Description

【発明の詳細な説明】 本出願は、1995年6月30日提出の米国仮出願第60/00
0,743号の優先権を主張する。
発明の背景 血管壁中の平滑筋細胞(SMC)の増殖は、アテローム
硬化症によるか、血管再建後かまたは他の血管損傷に関
連した血管病変の形成にかかわる重要な現象である。例
えば、アテローム硬化症の治療はしばしば、アテローム
硬化斑をカテーテル挿入によって圧迫もしくは除去し
(血管形成術)、切開によって動脈壁から取り除き(動
脈内膜切除術)、または自然もしくは人工移植片を使っ
てバイパス形成するという外科的手法である、血管形成
術、動脈内膜切除術、整腹アテローム切除術またはバイ
パス移植術による、閉塞血管の清浄化を含む。これらの
手法は、血管内皮を除去し、その下にある内膜層を破壊
し、そして内側のSMCを致死せしめる。この損傷の後
に、内側のSMCの増殖と内膜への移動が起こり、それに
細胞外マトリックスの過剰な沈着が付随する。この病変
発生は、特徴的には外傷後最初の数週間以内で且つ6カ
月まで起こり、そして上に内皮層が再形成されると止ま
る。ヒトの場合、それらの病変は細胞約20%と細胞外マ
トリックス約80%から成る。
血管形成術、動脈内膜切除術またはバイパス移植術に
より処置した患者の約30%またはそれ以上において、血
栓症および/または内膜中のSMC増殖が血管の再閉塞を
引き起こし、その結果として再形成術が失敗に終わる。
この手術後の血管の閉塞は再狭窄として知られている。
同様なSMC増殖過程が臓器移植片においても観察され
ており、これは移植片アテローム硬化症および臓器機能
不全の一因となり得る。この過程の内膜肥厚は、移植し
た臓器のみが関係する。
血小板分裂促進因子(マイトジェン)、例えば血小板
由来増殖因子(PDGF)はアテローム硬化斑の発生に何ら
かの役割を果たすと推測されている(Ross他,Cell 46:1
55−159,1986;Harker,Am.J.Cardiol.60:20B−28B,198
7)。硬化斑形成の1つの提唱された機序は、内皮露出
部位における、SMC増殖を刺激する増殖因子の血小板に
よる放出である(RossおよびGlomset,N.Eng.J.Med.295:
369−377,420−425,1976;Ross,Arteriosclerosis :29
3−311,1981)。Moore他(Thrombos.Haemostas.(Stutt
g.)35:70,1976)とFriedman他(J.Clin.Invest.60:119
1−1201,1977)は、内在カテーテル損傷モデルを使っ
て、抗血小板血清の投与により誘導された長期血小板減
少による、ウサギ動脈における実験的に導入した内膜損
傷発生の抑制を報告した。SMCがオートクリン機構を通
して損傷形成を刺激するPDGFを自己生産し得るとも仮定
されるている(Ross他,前掲;Walker他,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 83:7311−7315,1986)。Fingerle他(Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 86:8412−8416,1989)は血小板減少
症ラットにおいて内膜損傷形成を研究し、そして血小板
がバルーン損傷後の内膜SMC増殖に役割を果たすのでは
なくて内膜中へのSMCの移動を調節することができると
結論づけた。血小板は現在、PDGF、表皮増殖因子(EG
F)、形質転換増殖因子αおよびβ(TGFαおよびTGF
β)、インスリン様増殖因子I(IGF−I)および血小
板由来表皮増殖因子をはじめとする多数の増殖因子、並
びに幾つかの化学誘引分子を放出することが知られてい
る。ある実験はPDGFを病変発生に伴う過程に関係づけた
けれども、霊長類での内膜過形成の病因は不明のままで
ある。
血管形成術または動脈内膜切除術によるアテローム硬
化斑の除去は限定された効果を有し、処置した血管の再
狭窄またはバイパス移植片の狭窄の効果的な治療法はま
だ開発されていない。従って、血管壁における高SMC病
変(バルーンカテーテル挿入、動脈内膜切除、血管内ス
テント据付、整腹アテローム切除術、並びに血管移植、
臓器移植およびカテーテル挿入による損傷のような血管
損傷後の血管の狭窄を含む)の発生を削除または防止す
る方法が当業界で要望されている。本発明はそういった
方法を提供し、且つ別の関連した要望を満たす。
発明の要約 本発明は、哺乳類の血管系における内膜過形成を抑制
する方法、および血小板由来増殖因子(PDGF)活性を抑
制する方法に向けられる。
本明細書中で使用する時、 アルキルは飽和非環式炭化水素基を意味する。
アルコキシは少なくとも1つの酸素原子を含む飽和非
環式炭化水素基を意味する。
モノまたはポリシクロアルキルは、1つ(モノ)また
は複数(ポリ)の環を有する飽和炭化水素基を意味す
る。
橋架モノまたはポリシクロアルキルは、分子の2つの
異なる部分を連結する、化学結合、単一原子または複素
原子の鎖から成る1個もしくは複数個の橋を有するモノ
またはポリシクロアルキルを意味する。
複素環は、少なくとも1つの環原子が炭素原子でない
環状化合物の基を意味する。
本発明は、式Iの4−〔2−(N−2−カルボキサミ
ドインドール)アミノエチル〕ベンゼンスルホンアミド
またはスルホニル尿素の抗過形成性有効量を投与するこ
とを含んで成る、哺乳類の血管系における内膜過形成を
抑制する方法を提供する: 〔上式中、R1,R4およびR5は個別にH,F,Cl,Br,−CF3,ま
たは炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルも
しくはアルコキシであり、R2およびR3は個別にHまたは
炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルであ
り;R6はH、炭素原子数1〜18の直鎖もしくは分枝鎖ア
ルキル、または (ここでnは1または2であり;各Xは個別にC,N,NH,O
またはSであり、ただし少なくとも1〜2個のXがCで
あり;R9,R10およびR11は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または
炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしく
はアルコキシである)であり;R7およびR8は個別にH、
炭素原子数1〜18の直鎖もしくは分枝鎖アルキルまたは
−CONH−R12であるか、あるいはR7とR8はそれらを結合
しているN原子と一緒になって、環原子数3〜8の置換
または非置換複素環を形成し;R12はH、 (ここでYは窒素であり;R13およびR14は個別にH、炭
素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルである
か、またはR13とR14はそれらを結合しているN原子と一
緒になって、環原子数3〜8の置換もしくは非置換複素
環を形成し;Zは炭素であり;そしてR15,R16およびR17
個別にHまたは炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖
アルキルであり、あるいはR15とR16、R16とR17、または
R15とR17がZと一緒になって炭素原子数3〜8の置換も
しくは非置換モノシクロアルキルを形成し、あるいはR
15,R16およびR17がZと一緒になって炭素原子数7〜14
の置換もしくは非置換モノもしくはポリシクロアルキル
または炭素原子数6〜14の置換もしくは非置換橋架モノ
もしくはポリシクロアルキルを形成する)である〕。
本発明の一態様では、R1,R4およびR5は個別にH、メ
チルまたはメトキシであり;R2およびR3が個別にHまた
はメチルであり;R6が炭素原子数1〜6の直鎖もしくは
分枝鎖アルコキシ、または (ここでnは1または2であり;各Xは個別にC,Sおよ
びNから成る群より選ばれ、ただし1個、好ましくは2
個のXがCであり;R9,R10およびR11は個別にH、メチル
またはメトキシである)であり;R7およびR8は個別に
H、炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルま
たは−CONH−R12であり;R12はH、 (ここでYは窒素であり;Zは炭素であり;R13およびR14
はYと一緒になって環原子数5〜6の複素環を形成し;
そしてR15とR16、R16とR17、またはR15とR17がZと一緒
になって炭素原子数5〜6の置換もしくは非置換モノシ
クロアルキルを形成し、あるいはR15,R16およびR17がZ
と一緒になって炭素原子数9〜10の置換もしくは非置換
モノもしくはポリシクロアルキルまたは炭素原子数8〜
10の置換もしくは非置換橋架モノもしくはポリシクロア
ルキルを形成する)である。
別の関連する態様では、R7とR8がそれらを結合してい
るNと一緒になって環原子数6以下の非置換の複素環を
形成する。
別の態様では、R13とR14がYと一緒になって次の成分 (ここでYは窒素であり;nは1または2であり、そして
R18およびR19は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または炭素原子
数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルコ
キシである)を形成する。
別の態様では、R15とR16、R16とR17、またはR15とR17
がZと一緒になって次の成分 (ここでZは炭素であり、nは1または2であり、R20,
R21およびR22は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または炭素原子
数1〜6の直鎖もしくは分枝状ルキルもしくはアルコキ
シである)を形成する。
別の態様では、R6(ここで各Xは炭素である)である。
別の態様では、R18およびR19が個別にH、メチル、エ
チル、メトキシまたはエトキシである。
更なる態様は、R20,R21およびR22が個別にH、メチ
ル、エチル、メトキシまたはエトキシであるものを提供
する。
好ましい態様では、本発明はR6がベンジルオキシであ
る化合物を提供する。
本発明の別の好ましい態様では、R7またはR8であるものを提供する。
本発明の特に好ましい態様では、化合物がNNC92−027
0である: 本発明の更なる態様では、内膜過形成が血管形成術、
動脈内膜切除術、整腹アテローム切除術、血管内レーザ
ー剥離または血管移植片の吻合のような血管再建による
血管損傷をはじめとする血管損傷に起因する。
本発明の別の態様では、哺乳類の急性血管損傷の前、
同時または後の抗過形成性有効期間内で式Iの化合物が
投与される。
本発明の追加の態様では、抗過形成性有効量のヘパリ
ンと同時に式Iの化合物が投与される。
本発明は更に、例えば哺乳類においてPDGF活性を抑制
するために、非ペプチド性PDGFアンタゴニストとして式
Iの化合物を使用する方法も提供する。
本発明の上記および他の面は、下記の発明の詳細な説
明を参照することにより明らかになるだろう。
発明の詳細な説明 上述したように、血管の再狭窄は血管形成術、動脈内
膜切除術またはバイパス移植術を受けた患者に共通の問
題である。再狭窄は、細胞外マトリックスの生成(付
着)はもちろん外科手術によっても、損傷を受けた部位
への血管平滑筋細胞の増殖(有糸分裂)と移動の両方を
含む過程によって進行すると思われる、内膜過形成の一
例である。一般的には、Harker,Am.J.Cardiol.60:20B−
28B,1987;およびDeFeudis,Drug News and Perspectives
:49−51,1992を参照のこと。この増殖過程は、血管
移植片(自系または同種異系を含む天然移植片、および
合成移植片の両方)および移植された臓器の閉塞の形で
も現れる。この増殖過程は平滑筋細胞に富む病変の発生
を引き起こすので、本明細書中では内膜過形成と呼ぶこ
とにする。
本発明は、単独でまたは抗過形成性有効量のヘパリン
と併用した、抗過形成性有効量の非ペプチド性PDGFアン
タゴニストの使用を通して高SMC病変〔内膜の肥厚(過
形成)による血管の一部または完全遮断〕の発生を抑制
する方法を提供する。本発明の範囲内での使用に特に着
目されるのは、式Iの4−〔2−(N−2−カルボキサ
ミドインドール)アミノエチル〕ベンゼンスルホンアミ
ドである。本発明の非ペプチド性PDGFアンタゴニスト
は、強皮症、肺過形成、腎線維症、慢性関節リウマチの
治療法において、または骨肉腫、線維肉腫、神経膠腫も
しくは他の増殖性細胞疾患を含むがそれに限定されない
固定癌の治療において有用である。
本発明の化合物は、当業界で周知の方法を使って合成
することができる〔Francia他,Boll.Chim.Farm.114:379
−393,1975;Vicentini他,Il Farmaco,Ed.Sc.38:672−67
8,1983;Biere他,J.of Med.Chem.17:716−721,1973;およ
びHhn他,J.of Med.Chem.16:1340−1346,1973を参照
のこと〕。例えば、式Iの化合物の合成のための典型的
なスキームを下記に示す。適当な2−(アミノエチル)
ベンゼンをまず無水酢酸との反応によりアセチル化し、
次いでクロロスルホン酸での処理によりベンゼンスルホ
ニルクロリドIIに変換する。次に、IIをアミン処理によ
り所望のスルホンアミドに変換することができる。III
はそのままで、R7とR8がスルホンアミドを形成する式I
の化合物のための適切な構成単位を提供する。
R7とR8がスルホニル尿素を形成する式Iの化合物の合
成のためには、R7とR8がHであるIVが下記に示すような
更なる操作のための出発材料となる。IVをまずエチルク
ロロホルメートでの処理によりエチルスルホニルカルバ
メートVに変換する。次いでVを適当なアミンとの反応
によりVIに(またはR7とR8が−CONH2である式Iの化合
物に)、またはヒドラジンとの反応によりVIIに変換す
ることができる。
アセチルアミドを水性塩基または酸のいずれかの中で
加水分解して遊離アミンVIIIを与える。次いで適当なイ
ンドール−2−カルボン酸クロリドを使ってVIIIをアシ
ル化して、式Iの化合物であるXを与えることができ
る。IXは対応するインドール−2−カルボン酸をオキサ
リルクロリドを反応させることにより調製される。イン
ドール−2−カルボン酸は当業者に周知の多数の方法の
うちの1つにより調製される。
より珍しい3−アルコキシインドール(R6はアルコキ
シまたは記載のようなメトキシ−環化合物である)の典
型的な化合物の調製を下記に示す。2−アミノ安息香合
酸エチルをα−ブロモ酢酸エチルでN−アルキル化して
XIを与える。XIをナトリウムエトキシドで処理して3−
オキソインドールXIIを与える。適当なハロゲン化アル
キルでのアルキル化により、3−アルコキシインドール
XIIIを与える。けん化後のオキサリルクロリドとの反応
により、酸クロリドXVを与える。
本明細書中で用いる「非ペプチド性PDGFアンタゴニ
ス」なる語は、PDGFで誘導される応答経路の刺激を抑制
する、ペプチド性化合物以外の化合物を言う。「応答経
路」は、必ずしも常にではないが一般的に、膜結合型レ
セプターに直接関連づけられる外部刺激に応じて活性化
される生化学経路である。応答経路は一般に、感受性細
胞系からの細胞外マトリックス分泌、ホルモン分泌、化
学走性、分化、または感受性細胞の細胞分裂の刺激、と
いった細胞性応答を誘導する。
PGDFレセプターは、通常その発現が中胚葉由来の細胞
に限定される膜貫通型の一体型糖タンパク質である。2
つのPDGFレセプターポリペプチドが記載されている。そ
れらは「αレセプター」(Kelly他,WO 90/14425;Kelly
他,米国特許第5,371,205号;Classon−Welsh他,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 86:4917−4921,1989)および「βレセ
プター」(Claesson−Welsh他Mol.Cell.Biol.:3476−
3486,1988;Gronwald他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:343
5−3439,1988)と呼ばれる。PDGFリガンドの存在下で、
レセプターポリペプチドは二量化する。よって3種のレ
セプターサブタイプが可能である:αα、αβおよびβ
β。βレセプターはPDGFのB鎖に特異的であり、一方α
レセプターはA鎖とB鎖に結合する。従って、PDGFへの
細胞の増殖調節応答性は、PPDFのAA、ABおよびBBリバン
ドイソ型タンパク質の利用可能性にだけでなく、異なる
PDGFレセプターサブタイプの発現および利用可能性にも
依存する(Heldin他,Cell Regul.:555−566,1990)。
ヒト平滑筋細胞はαレセプターとβレセプターの両サブ
タイプを発現する(Heldin他,Cell Regul.:555−566,
1990)が、単一のレセプターサブタイプのみを発現する
他の細胞型が知られている(Gronwald他,J.Biol.Chem.2
64:8120−8125,1989)。
本発明は、抗過形成性有効量の非ペプチド性PDGFアン
タゴニストと抗過形成性有効量のヘパリンを協同して投
与することにより、内膜過形成を抑制する方法も提供す
る。本明細書で用いる「ヘパリン」という語は、グルコ
サミンとグルクロン酸糖残基の反復構造により一般に特
徴付けられる、構造的に複雑な硫酸化グルコサミノグリ
カンの化合物群のいずれかの構成員を指す(Casu,Adv.C
arbohyd.Chem.and Biochem.47:578−583,1985)。最も
広く知られているヘパリンは、ウシ肺またはブタ腸から
調製された「未分画の」または「市販の」ヘパリンであ
って、それらは約8,000〜20,000ダルトンの分子量に及
ぶヘパリン分子の不均一混合物を包含する(Wolinsky
他,J.Am.Coll.Cardiol.15:475−481,1990)。しかしな
がら、ヘパリンという語は広範囲のより均一なヘパリン
調製物、並びに硫酸ヘパランのようなヘパリン様分子も
包含する。それらの特定のヘパリン例の中で、より具体
的なヘパリンサプタイプも知られている。例えば、報告
によれば、平滑筋細胞の増殖を阻害することに関して未
分画ヘパリンよりも40倍まで活性である、内皮細胞(Ca
stellot他,J.Cell.Biol.90:372−379,1981)および平滑
筋細胞(Fritze他,J.Cell.Biol.100:1041−1049,1985)
により生産される硫酸ヘパラン成分が単離されている。
その上、天然に存在するヘパリンサイズ変異体の中で、
抗凝固活性または抗増殖活性のいずれかを主として示す
分画ヘパリン種が単離されている(Wolinsky他,J.Am.Co
ll.Cardiol.15:475−481,1990)。後者の活性は低分子
量ヘパリン種、例えば五(ペンタ)〜十(デカ)糖類の
範囲内のヘパリンに存在する傾向があり、それらの種は
より大きな生体適合性とより長い半減期も与えることが
報告されており(Id,Bacher他,Thrombosis Res.70:295
−306,1993)、従って本発明の特定態様において特に有
用かもしれない。本発明を説明する目的でのヘパリンの
定義の中には合成ヘパリンおよびヘパリン誘導体も含ま
れ、多種多様なヘパリンが常用の化学合成、修飾および
分解技術を使って製造されている〔例えばRoden,L.The
Biochemistry of Glycoproteins and Proteoglycans(L
ennarz,W.J.編)267−371頁,Plenum Publishing Corp.,
New York,1980を参照のこと。その内容は参考として本
明細書中に組み込まれる〕。
化合物の「抗過形成性有効量」は、血管、血管移植片
または移植臓器の血管成分において内膜過形成を測定可
能なほどに減少または防止するのに十分な化合物の量と
して定義される。より詳しくは、「内膜過形成の抑制」
は、技術の現状において説明されている内膜過形成過
程、例えば血管平滑筋細胞(VSMC)移動、VSMC増殖、お
よび細胞外マトリックスの新生内膜沈着、のうちの1つ
または複数の測定可能な抑制を含むものとして本明細書
では定義される。この状況下では、内膜過形成のまたは
内膜過形成に含まれる過形成過程の減少または防止は、
当業界で周知の試験管内、生体内および生体外アッセイ
方法を使って、特に霊長類のアッセイ方法(例えば、非
ヒトもしくはヒト霊長類のVSMC培養物もしくは血管組織
外植片、または非ヒト霊長類の生体内試験)を使って、
容易に評価することができる。PDGFがそれの刺激作用を
及ぼさないようにすることにより、SMC増殖およびその
後のマトリックス沈着を減らすことができる。内膜過形
成の減少は、急性血管損傷後の管腔容積の低下を有意な
減少として臨床的に表れる。そのような減少は一般的
に、初期損傷部位における再血管形成手術(例えば繰り
返し血管形成術)の必要性の減少をもたらすだろう。
本発明の方法は、急性血管損傷による内膜過形成の治
療に特に有用である。急性血管損傷は、生涯に渡って発
達する慢性血管損傷(例えばアテローム硬化症)とは対
照的に、迅速に(即ち数日から数カ月の間に)起こる損
傷である。急性血管損傷はしばしば、血管形成術、動脈
内膜切除術、整腹アテローム切除術、血管内ステント据
付、血管内レーザー剥離、血管移植片の吻合などの技術
を使用する、血管再建のような外科処置から生じる。過
形成は、例えば血管移植片の設置または臓器移植に応答
して、遅延反応として起こることもある。
単独でまたはヘパリンと併用して、非ペプチド性PDGF
アンタゴニスト療法で治療されるヒトの場合、該アンタ
ゴニストは広範囲の条件のもとで投与され得る。アンタ
ゴニストは血管再生術の前とそのような手術後の複数
回、ボーラス注射によって投与することができる。アン
タゴニストは、手術前に(一般に手術前の24時間以内
に)ボーラス注射(静脈内、筋肉内、腹腔内または皮
下)としておよび手術後の連続した輸液(埋込式ポンプ
を通した輸液を含む)として与えることができる。多く
の場合、入院中は一日量を投与し(輸液による投与を含
む)、その後で1〜2週間またはそれ以上の外来患者治
療の期間の間、より少頻度のボーラス注射を与えること
が好ましいだろう。処置は最初の損傷後6カ月まで続け
ることができる。アンタゴニストは静脈内、筋肉内また
は皮下注射を含む複数のルートで投与することができ
る。加えて、灌流バルーンカテーテル、ステント上への
コーティング、またはゲルコーティングされたバルーン
への設置を使って、アンタゴニストを血管損傷部位に局
所的に投与することもできる。後者の場合、アンタゴニ
ストの用量は全身投与される時に必要であるものよりも
実質的に少ないだろうと期待される。アンタゴニストは
徐放性デリバリーシステム、例えば血管移植片もしくば
ステント中に組み込んだそのようなシステムにより、ま
たは灌流もしくは二重バルーンカテーテルによって送達
せしめることもできる。ポンプおよび他の既知のデリバ
リーシステムを使ってもよい。
本発明の別の態様では、非ペプチド性PDGFアンタゴニ
ストは、哺乳類の血管系での内膜過形成を協同して抑制
するのに十分なアンタゴニストとヘパリンの各々の単位
用量で、哺乳類にヘパリンと協同投与される。本明細書
中の「協同投与(coordinate administration)」は、
アンタゴニストとヘパリンの同時の、別々のまたは連続
した投与を含むつもりである、この場合、アンタゴニス
トとヘパリンの両者は互いに関して限定された併用有効
期間の中で投与される。「併用有効期間」とは、2つの
剤が過形成を抑制するのに併用すると有効であるような
アンタゴニストの投与とヘパリンの投与の間に入る最大
期間として定義される。「併用すると有効である」とい
う語は、他の点では同等の条件および用量の下で単独で
投与した抗体またはヘパリンのいずれかにより独立に提
供される最大抑制レベルを上回る、内膜の肥厚もしくは
損傷形成のまたは過形成過程の測定可能な抑制をもたら
すものとして定義される。
通常、ヘパリンの用量は約1μg〜100mg/kg/日であ
ろう。好ましくは、ヘパリンの用量は29μg〜10mg/kg/
日であり、より好ましくは約1mg/kg/日未満であろう。
当業者が知るように、実際の用量は患者のパラメーター
や投与されるアンタゴニストおよびヘパリンの特性を含
む、特定の状況を考慮しながら決定されるだろう。
過形成の抑制は患者の臨床的事象の減少をもたらすと
期待されるだろう。それらとしては、心筋梗塞、狭心
症、再血管形成術の必要性および死亡のうちの1つまた
は複数の減少が挙げられる。
次の実施例は例示目的で与えられるのであって、限定
目的ではない。
実施例 実施例1 アンタゴニストアッセイ SWISS3T3細胞中で発現される血清応答要素(SRE)−
ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を阻止すること
ができる物質を同定するSRE−ルシフェラーゼ高処理量
アッセイ系を通して、非ペプチド性PDGFアンタゴニスト
としてのNNC92−0270の最初の特徴づけが可能になっ
た。SRE−ルシフェラーゼ構成物であるpKZ67は、−360
から+30までのヒトc−fos配列を含む合成セグメント
(van Straaten他,Proc.Natl.Acad.Sci USA 80:3183−3
187,1983)(TATA、SREおよびSIEプロモーター要素を含
む)、ルシフェラーゼ配列(Delegeane他,Mol.Cell Bio
l.:3394−4002,1987;deWet他,Mol.Cell Biol.:25−
737,1987)およびヒト成長ホルモン遺伝子ターミネータ
ーを含有するルシフェラーゼ発現単位を含んで成るpUC1
8由来の哺乳類細胞発現ベクターである。この発現単位
は、SV40プロモーター配列とターミネーター配列によっ
て隣接されたネオマイシン耐性マーカーを含む第二の発
現単位に対して反対の転写方向にある。SWISS3T3細胞
は、PDGF−AA,−ABおよび−BB;bFGF並びにEGFのような
内因性増殖因子レセプターを発現する。それらの増殖因
子のいずれかによる該レセプターの刺激は、ルシフェラ
ーゼの誘導に至るシグナルカスケードを開始させる。PM
A(ホボール12−ミリステート13−アセテート)は、プ
ロテインキナーゼCを刺激することにより該レセプター
を迂回しそして内部シグナルカスケードを開始させてル
シフェラーゼの誘導をもたらす。アンタゴニスト特異性
の程度は、3つの増殖因子(PDGF,bFGFおよびEGF)につ
いての生成シグナルを比較することにより決定すること
ができる。対照に比べて50倍のシグナル低下をもたらす
化合物を更なる分析に使った。
SWISS3T3細胞(SRE−ルシフェラーゼレポーター遺伝
子でトランスフェクトされた、SWISS3T3/KZ67−G1−
6)を、維持培地〔10%ウシ胎児血清(FBS)、2mML−
グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1mg/mlのG418
が補足されたDMEM(GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)〕中
での連続継代により維持した。アッセイの2日前に、細
胞をトリプシン処理し、増殖培地(1%FBS、2mM L−グ
ルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムが補足されたDME
M)中で5×104細胞/ウエルに調整し、不透明の白い96
ウエルマイクロタイタープレートに200μ/ウエル
(1×104細胞/ウエル)を接種し、そして37℃,5%CO2
で48時間増殖させた。
試験物質は4%DMSO中に調製した。ウエルから弱った
培地を除去し、50μ/ウエルのアッセイ培地〔0.5%
第V画分BSA(Sigma,St.Louis,Mo.)、2mML−グルタミ
ン、1mMピルビン酸ナトリウム、20mM hepesが補足され
たハムF12培地(Gibco)〕を添加することにより、誘導
を開始した。アッセイ培地中50ng/mlのPDGF 25μ(最
終濃度12.5ng/ml)または8ng/mlのbFGF25μ(最終濃
度2.0ng/ml)を該ウエルに添加した。アッセイ培地中に
調製した次の対照を各プレートに含めた;未処理のウエ
ル(基底)、12.5ng/ml、より好ましくは6.25ng/mlのPD
GF−BB〔血小板由来増殖因子、原液10μg/ml 10mM酢酸,
0.25%RSA/PBS〕、2.0ng/mlのbFGF〔塩基性繊維芽細胞
増殖因子(Genzyme Diagnostics,Cambridge,MA)〕、4.
5ng/mlのEGF〔表皮増殖因子(Sigma)〕また50ng/mlのP
MA(Sigma)。DMSOの最終アッセイ濃度は1%を超えな
かった。プレートを37℃,5%CO2で5時間インキュベー
トした。
誘導後、プロメガ社製ルシフェラーゼアッセイキット
(E1500;Promega Corp.,Madison,WI)を使ってアッセイ
キットプロトコールに従ってルシフェラーゼ活性を測定
した。簡単に言えば、プレートからアッセイ培地を除去
し、無菌水で1:5希釈した25μ/ウエルの細胞溶解緩
衝液をプレートに添加した。プレートを15分間インキュ
ベートした。プレートをLumiskan(商標)マイクロタイ
タールミノメーター(ICN Biomedical,Cleveland,OH)
に移し、そこに40μ/ウエルのルシフェラーゼアッセ
イ基質(Promega Corp.)を添加した。1秒間の混合と
1〜3のシグナルの積分の後、発光の量(相対光単位、
RLU)を測定した。全ての測定値から基底の(未誘導
の)ルシフェラーゼシグナルを差し引き、そして試験試
料により誘導されたルシフェラーゼシグナルを、対照か
らのシグナルに対する百分率(%)として表した。基底
レベルを超えるシグナルを誘導する試料を、更なる特徴
づけのために選択した。表1に与えるデータは、対照活
性の50%を阻害するのに必要なNNC92−0270のおよその
有効量(IC50)を示す。
実施例2 ラット平滑筋細胞(SMC)への125I−PDGF−BB結合の阻
害 ラットSMCの単層培養物への125I−PDGF−BB結合を阻
害する能力についてNNC92−0270を分析した。ラットSMC
への125I−PDGF−BB結合の阻害をアッセイするために、
SMCを約20,000細胞/ウエルの密度で24ウエル培養皿に
接種した。接種後2〜7日目に細胞をアッセイに使っ
た。試験化合物を結合培地〔500mlのハムF12(Gibco BR
L),12mlの1M Hepes,pH7.4,5mlの100×PSN(Gibco BR
L)、1gmのウサギ血清アルブミン(Sigma Chemical C
o.,St.Louis,MO)〕中で表2に示す濃度に希釈し、次い
で三重反復試験においてSMC(1ml/ウエル)に添加し
た。次いでそれらのウエルに50μの125I−PDGF−BB原
液を添加した。結合培地のみを陰性対照として使用し、
125I−PDGF−BBに対する非特異的結合を測定するのに20
0ng/mlのPDGF−BBの添加を使った。4℃で約1.5時間細
胞をインキュベートし、次いで結合培地で洗浄して未結
合のリガンドを除去した。次いで細胞を抽出緩衝液(20
mM Tris−HCl pH8.0,100mM NaCl,1mM EDTA,0.5%Nonide
nt P−40,0.5%デオキシコール酸ナトリウム,10mM NaI,
1%ウシ血清アルブミン)と共にインキュベートし、抽
出液を収集し、γカウンター中でカウントした。結合研
究の結果を表2に示す。データは125I−PDGF−BBについ
ての結合した比放射能(cpm)として与えられる。200ng
/mlの未標識のPDGF−BBの添加により測定された非特異
的結合は853cpmであり、与えられるデータからこの値が
差し引かれている。
これらの結果は、NNC92−0270が細胞表面PDGFレセプ
ターへのPDGF−BB結合の有力な阻害剤であることを証明
する。
続いて、10%ヒト血清の存在下で放射標識リガンドを
細胞に添加した時にラットSMCへの125I−PDGF−BB結合
を阻害する能力についてNNC92−0270を分析した。上記
と同様にしてラットSMCを24ウエル培養皿に接種し、ア
ッセイした。試験化合物を結合培地のみ、または10%ヒ
ト血清を含む結合培地のいずれかにより表3に示す濃度
に希釈し、次いで三重反復試験において1mlアリコート
を試験細胞に添加した。125I−PDGF−BBの20×原液50μ
を各ウエルに添加した。4℃で2.5時間細胞をインキ
ュベートし、次いで結合培地で洗浄して未結合のリガン
ドを除去し、そして抽出緩衝液を使って収集した。次い
で抽出液をγカウンター中でカウントして結合したCPM
を測定した。表3に与える結果は、結合培地のみで希釈
したものに比べて10%ヒト血清を含む結合培地で希釈し
た時、NNC92−0270がほぼ等しい125I−PDGF−BB結合阻
害力を有することを証明する。結合培地のみを使った陰
極対照試料よりも、ヒト血清を含む陰性対照試料の方が
125I−PDGF−BBの結合が低いことに注目すべきである。
その結果を結合した合計CPMとして与える。
実施例3 ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGF−BB有糸分裂促進活性の阻
害 ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGFの有糸分裂促進活性を阻
害する能力についてNNC92−0270を分析した。ヒヒ血管
平滑筋細胞(BVSMC)に対して行った全ての有糸分裂ア
ッセイは、13〜20継代培養した細胞の初代培養物に関し
て実施した。出発培養物は大動脈性組織外植片の派生物
から確立された。ヒヒ平滑筋細胞を、10%ウシ胎児血清
が補足されたDMEM中、ウエルあたり約20,000細胞の密度
で24ウエルの培養皿に接種した。使用する1日前に培地
を除去し、1mlのMito Media(表5)を各ウエルに添加
して、細胞を静止状態にした。実験開始時点で、細胞を
PDGF−BBで刺激した。1,0.5,0.25,0.062および0ng/mlの
濃度を使ってPDGF−BBについて標準曲線を作成した。0.
25%アルブミンを含む10mM酢酸中への希釈により各PDGF
濃度について20×原液を作り、そして50μのPDGFまた
は希釈賦形剤のみを培養ウエルに添加した。
PDGF−BB有糸分裂促進活性を中和するNNC92−0270の
活性を分析するために、1ng/mlのPDGFをNNC92−0270の
様々な希釈液と一緒にウエルに添加した。細胞を試験試
料と共に37℃で約20時間インキュベートした。次いで、
3H〕チミジンの20×原液50μを各ウエルに添加して
1μCi/mlの最終濃度を与えた。細胞を37℃で4時間イ
ンキュベートし、PBSで洗浄し、次いでトリプシンを使
って収穫し、Wallac(Turku,Finland)Betaplate(商
標)液体シンチレーションカウンター中で〔3H〕チミジ
ンの取込みについてカウントした。表4に与える結果
は、PDGF−BB有糸分裂促進活性が用量依存形式でNNC92
−0270により阻害されることを証明する。この阻害のED
50はNNC92−0270の場合約12.5μMであった。
これと同じ実験の一部として、ヘパリンの存在下でNN
C92−0270の阻害活性を分析した。我々は以前に、ヘパ
リンが中和モノクローナル抗体と協同形式でヒヒ平滑筋
細胞に対するPDGF有糸分裂促進活性を阻害する作用をす
ることを証明した。本発明者らはPDGF−BB有糸分裂促進
活性を阻害することにおいてヘパリンの存在が同様な増
強作用を有するかどうかをNNC92−0270を使って調べよ
うと思う。
0.5U/mlの未分画ヘパリンの存在下でNNC92−0270を1n
g/mlのPDGF−BBと共にインキュベートした。細胞を上記
と同様に〔3H〕チミジンでパルス標識し、〔3H〕チミジ
ン取込みのレベルを測定した。その結果を表4に与え
る。
それらの結果は、NNC92−0270へのヘパリンの添加がN
NC92−0270のみにより達成されるものを超える大きな〔
3H〕チミジン取込みの阻害をもたらしたことを証明す
る。
実施例5 浄化試験 浄化(wash−out)試験においてヒヒ平滑筋細胞へのP
DGF−BB有糸分裂促進活性に対する長期阻害作用につい
てNNC92−01270を分析した。ヒヒSMCを24ウエルの培養
皿にウエルあたり20,000個の密度で接種し、そして2日
間増殖させた。培地を除去し、Mito Media(表5)で置
換して細胞を静止状態にしておいた。PDGF−BBの添加の
24時間前かまたはPDGF−BBの添加に続いて、細胞をNNC9
2−0270または賦形剤対照(0.5%DMSO)で処理するよう
に、実験を設定した。NNC92−0270または賦形剤対照で
最初に24時間処理した細胞は、Mito Mediaで洗浄して試
験化合物を除去し、次いでPDGF−BB(1ng/ml)と共に更
に24時間インキュベートした。第二セットの細胞は、NN
C92−0270または賦形剤対照と同時にPDGF−BBで24時間
処理した。次いで両方の細胞を〔3H〕チミジンで4時間
パルス標識し(最終1μCi/ml)、そしていWallac Beta
plateカウンター中で〔3H〕チミジン取込みについてCPM
をカウントした。
表6に示す結果は、三重反復測定において〔3H〕チミ
ジン取込みの平均±標準偏差として与えられる。酢酸
(10mM)をPDGF−BB賦形剤対照として使用し、そして0.
5%DMSOを試験化合物対照として使った。
本発明の特定態様を例示目的で記載してきたけれど
も、上記から、発明の精神および範囲から逸脱すること
なく様々な変更を行い得ることは理解されるだろう。従
って、本発明は添付の請求の範囲による以外は限定され
ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 オーメ,マーク ダブリュ アメリカ合衆国,ワシントン 98117, シアトル,ノース ウエスト エイティ ーナインス ストリート 636 (72)発明者 モイニハン,クリステン エム. アメリカ合衆国,ワシントン 98105, シアトル,ナインス アベニュ ノース イースト 5209 (56)参考文献 特開 平6−192088(JP,A) Arzneim.−Forsch., (1971),21(2),p.204−8 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/454 C07D 209/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】哺乳類の血管系における内膜過形成を抑制
    するための剤であって、式I: 〔上式中、 R1,R4およびR5は個別にH,F,Cl,Br,−CF3,または炭素原
    子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアル
    コキシであり; R2およびR3は個別にHまたは炭素原子数1〜6の直鎖も
    しくは分枝鎖アルキルであり; R6はH、炭素原子数1〜18の直鎖もしくは分枝鎖アルキ
    ルもしくはアルコキシ、または (ここでnは1または2であり; 各Xは個別にC,N,NH,OまたはSであり、ただし少なくと
    も1〜2個のXがCであり; R9,R10およびR11は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または炭素
    原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはア
    ルコキシである) であり; R7およびR8は個別にH、炭素原子数1〜18の直鎖もしく
    は分枝鎖アルキルまたは−CONH−R12であるか、あるい
    はR7とR8はそれらを結合しているN原子と一緒になっ
    て、環原子数3〜8の置換または非置換の複素環を形成
    し; R12はH、 (ここでYは窒素であり; R13およびR14は個別にH、炭素原子数1〜6の直鎖もし
    くは分枝鎖アルキルであるか、またはR13とR14はそれら
    を結合しているN原子と一緒になって、環原子数3〜8
    の置換もしくは非置換の複素環を形成し; Zは炭素であり;そして R15,R16およびR17は個別にHまたは炭素原子数1〜6の
    直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり、あるいはR15
    R16、R16とR17、またはR15とR17がZと一緒になって炭
    素原子数3〜8の置換もしくは非置換モノシクロアルキ
    ルを形成し、あるいはR15,R16およびR17がZと一緒にな
    って炭素原子数7〜14の置換もしくは非置換モノもしく
    はポリシクロアルキルまたは炭素原子数6〜14の置換も
    しくは非置換橋架モノもしくはポリシクロアルキルを形
    成する) である〕 により表される血小板由来増殖因子(PDGF)アンタゴニ
    ストの抗過形成性有効量を含んで成る剤。
  2. 【請求項2】R1,R4およびR5は個別にH、メチルまたは
    メトキシであり; R2およびR3が個別にHまたはメチルであり; R6が炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルコキ
    シ、または (ここでnは1または2であり; 各Xは個別にC,SおよびNから成る群より選ばれ、ただ
    し1〜2個のXがCであり; R9,R10およびR11は個別にH、メチルまたはメトキシで
    ある) であり; R7およびR8が個別にH、炭素原子数1〜6の直鎖もしく
    は分枝鎖アルキルまたは−CONH−R12であり; R12がH、 (ここでYは窒素であり; Zは炭素であり; R13およびR14はYと一緒になって環原子数5〜6の複素
    環を形成し;そしてR15とR16、R16とR17、またはR15とR
    17がZと一緒になって炭素原子数5〜6の置換もしくは
    非置換モノシクロアルキルを形成し、あるいはR15,R16
    およびR17がZと一緒になって炭素原子数9〜10の置換
    もしくは非置換モノもしくはポリシクロアルキルまたは
    炭素原子数8〜10の置換もしくは非置換橋架モノもしく
    はポリシクロアルキルを形成する) である、 請求項1に記載の剤。
  3. 【請求項3】R7とR8がそれらを結合しているNと一緒に
    なって環原子数6以下の非置換の複素環を形成する、請
    求項1に記載の剤。
  4. 【請求項4】R13とR14がYと一緒になって次の成分 (ここでYは窒素であり; nは1または2であり、そして R18およびR19は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または炭素原子
    数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアルコ
    キシである) を形成する、請求項1に記載の剤。
  5. 【請求項5】R15とR16、R16とR17、またはR15とR17がZ
    と一緒になって次の成分 (ここでZは炭素であり、 nは1または2であり、 R20,R21およびR22は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または炭素
    原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはア
    ルコキシである) を形成する、請求項1に記載の剤。
  6. 【請求項6】R6(ここで各Xは炭素である) である、請求項1に記載の剤。
  7. 【請求項7】R18およびR19が個別にH、メチル、エチ
    ル、メトキシまたはエトキシである、請求項4に記載の
    剤。
  8. 【請求項8】R20,R21およびR22が個別にH、メチル、エ
    チル、メトキシまたはエトキシである、請求項5に記載
    の剤。
  9. 【請求項9】R6がベンジルオキシである、請求項1に記
    載の剤。
  10. 【請求項10】R7またはR8である、請求項1に記載の剤。
  11. 【請求項11】前記非ペプチド性PDGFアンタゴニストが
    NNC92−0270: である、請求項1に記載の剤。
  12. 【請求項12】前記哺乳類が霊長類である、請求項1に
    記載の剤。
  13. 【請求項13】前記非ペプチド性PDGFアンタゴニスト
    が、急性血管損傷と同時に、またはその前の抗過形成性
    有効期間内に前記哺乳類に投与される、請求項1に記載
    の剤。
  14. 【請求項14】前記損傷が血管再建によるものである、
    請求項13に記載の剤。
  15. 【請求項15】前記血管再建が、血管形成術、動脈内膜
    切除術、整腹アテローム切除術、血管内レーザー剥離ま
    たは血管移植片の吻合を含んで成る、請求項14に記載の
    剤。
  16. 【請求項16】前記非ペプチド性PDGFアンタゴニスト
    が、前記哺乳類における急性血管損傷後の抗過形成性有
    効期間内に投与される、請求項1に記載の剤。
  17. 【請求項17】前記損傷が血管再建によるものである、
    請求項16に記載の剤。
  18. 【請求項18】前記血管再建が、血管形成術、動脈内膜
    切除術、整腹アテローム切除術、血管内レーザー剥離ま
    たは血管移植片の吻合を含んで成る、請求項17に記載の
    剤。
  19. 【請求項19】前記哺乳類に協同投与される非ペプチド
    性PDGFアンタゴニストの抗過形成性有効量とヘパリンの
    抗過形成性有効量とを含んで成る剤であって、前記協同
    投与される抗原とヘパリンが併用すると前記過形成を抑
    制するのに有効である、請求項1に記載の剤。
  20. 【請求項20】前記非ペプチド性PDGFアンタゴニストお
    よびヘパリンが、経口、静脈内、脈管周囲、経皮および
    直腸投与方法から成る群より選ばれた投与方法により前
    記哺乳類に投与される、請求項19に記載の剤。
  21. 【請求項21】哺乳類においてPDGF活性を阻害するため
    の剤であって、式I: 〔上式中、 R1,R4およびR5は個別にH,F,Cl,Br,−CF3,または炭素原
    子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはアル
    コキシであり; R2およびR3は個別にHまたは炭素原子数1〜6の直鎖も
    しくは分枝鎖アルキルであり; R6はH、炭素原子数1〜18の直鎖もしくは分枝鎖アルキ
    ルもしくはアルコキシ、または (ここでnは1または2であり; 各Xは個別にC,N,NH,OまたはSであり、ただし少なくと
    も1〜2個のXがCであり; R9,R10およびR11は個別にH,F,Br,Cl,−CF3,または炭素
    原子数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖アルキルもしくはア
    ルコキシである) であり; R7およびR8は個別にH、炭素原子数1〜18の直鎖もしく
    は分枝鎖アルキルまたは−CONH−R12であるか、あるい
    はR7とR8はそれらを結合しているN原子と一緒になっ
    て、環原子数3〜8の置換または非置換の複素環を形成
    し; R12はH、 (ここでYは窒素であり; R13およびR14は個別にH、炭素原子数1〜6の直鎖もし
    くは分枝鎖アルキルであるか、またはR13とR14はそれら
    を結合しているN原子と一緒になって、環原子数3〜8
    の置換もしくは非置換の複素環を形成し; Zは炭素であり;そして R15,R16およびR17は個別にHまたは炭素原子数1〜6の
    直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり、あるいはR15
    R16、R16とR17、またはR15とR17がZと一緒になって炭
    素原子数3〜8の置換もしくは非置換モノシクロアルキ
    ルを形成し、あるいはR15,R16およびR17がZと一緒にな
    って炭素原子数7〜14の置換もしくは非置換モノもしく
    はポリシクロアルキルまたは炭素原子数6〜14の置換も
    しくは非置換の橋架モノもしくはポリシクロアルキルを
    形成する) である〕 により表される化合物の有効量を含んで成る剤。
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