JP3189561B2 - Al合金めっき金属材の製造方法 - Google Patents
Al合金めっき金属材の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Al合金めっき金属材、
即ち、鋼材、チタン材、アルミニウム材、ステンレス鋼
材、クロム鋼材などの基体金属の表面をAl合金めっきで
被覆した金属材の製造方法に関する。本発明の方法で製
造されたAl合金めっき金属材は耐食性、中でも端面耐食
性に優れ、自動車外装用、建材、家電製品などの用途に
最適である。
即ち、鋼材、チタン材、アルミニウム材、ステンレス鋼
材、クロム鋼材などの基体金属の表面をAl合金めっきで
被覆した金属材の製造方法に関する。本発明の方法で製
造されたAl合金めっき金属材は耐食性、中でも端面耐食
性に優れ、自動車外装用、建材、家電製品などの用途に
最適である。
【0002】
【従来の技術】Alめっき金属材は、優れた裸耐食性、美
麗さ、無毒性など、多くの利点を有していることは良く
知られている。また、第二、第三元素を導入して合金化
を図ることにより、さらなる機能を付与することもでき
る。
麗さ、無毒性など、多くの利点を有していることは良く
知られている。また、第二、第三元素を導入して合金化
を図ることにより、さらなる機能を付与することもでき
る。
【0003】AlまたはAl合金めっき金属材を製造するた
めのめっき方法としては、溶融金属浸漬法 (いわゆる、
溶融めっき法) 、真空蒸着やスパッタリングなどの気相
めっき法、有機溶媒浴もしくは溶融塩電解浴を用いた電
気めっき法等がある。現状では、操作が単純で生産性も
良好な溶融金属浸漬法が主に採用されている。しかし、
この方法は、その対象がほとんどAl単体 (即ち、純Al金
属めっき) であり、溶融温度が高くなることから、Al合
金めっきには一部の例外を除いて適用が困難である。さ
らに、この浸漬法は、薄めっきが困難で、かつ処理温度
(溶融金属めっき浴の温度) が700 ℃を越えるため、基
体金属との合金相の生成、母材への悪影響といった問題
を抱えている。
めのめっき方法としては、溶融金属浸漬法 (いわゆる、
溶融めっき法) 、真空蒸着やスパッタリングなどの気相
めっき法、有機溶媒浴もしくは溶融塩電解浴を用いた電
気めっき法等がある。現状では、操作が単純で生産性も
良好な溶融金属浸漬法が主に採用されている。しかし、
この方法は、その対象がほとんどAl単体 (即ち、純Al金
属めっき) であり、溶融温度が高くなることから、Al合
金めっきには一部の例外を除いて適用が困難である。さ
らに、この浸漬法は、薄めっきが困難で、かつ処理温度
(溶融金属めっき浴の温度) が700 ℃を越えるため、基
体金属との合金相の生成、母材への悪影響といった問題
を抱えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近、溶融塩浴または
非水溶媒浴を用いた電気めっき法により、種々のAl合金
めっき金属材を製造する試みが行われている (例えば、
特開昭61−295392号公報参照) 。この電気めっき法によ
れば、薄めっきが容易で、めっき浴温度が低いため母材
に及ぼす悪影響が少なく、各種のAl合金めっきを施すこ
とができる。しかし、Al合金を三元系以上とする (即
ち、Alを2種以上の金属と合金化させる) と、めっき浴
の安定性が悪化し、合金組成の制御が困難となって、一
定組成の良好な電析物を生じさせることが事実上困難と
なる。
非水溶媒浴を用いた電気めっき法により、種々のAl合金
めっき金属材を製造する試みが行われている (例えば、
特開昭61−295392号公報参照) 。この電気めっき法によ
れば、薄めっきが容易で、めっき浴温度が低いため母材
に及ぼす悪影響が少なく、各種のAl合金めっきを施すこ
とができる。しかし、Al合金を三元系以上とする (即
ち、Alを2種以上の金属と合金化させる) と、めっき浴
の安定性が悪化し、合金組成の制御が困難となって、一
定組成の良好な電析物を生じさせることが事実上困難と
なる。
【0005】そのため、従来のAl合金めっき金属材は、
Al−Mn、Al−Ti、Al−Cr、Al−Pb等のように二元系のAl
合金めっきを有するものであり、犠牲防食能が小さいた
めに、めっき層で被覆されていない端面の耐食性に劣る
という問題がある。
Al−Mn、Al−Ti、Al−Cr、Al−Pb等のように二元系のAl
合金めっきを有するものであり、犠牲防食能が小さいた
めに、めっき層で被覆されていない端面の耐食性に劣る
という問題がある。
【0006】一方、合金めっき法として、鋼板上に二層
めっき (例、NiめっきとZnめっき)を施した後、熱処理
を行うことにより、下層金属(Ni)と上層金属(Zn)とを合
金化させる方法も知られている (表面技術, Vol. 42, N
o. 9, 1991, pp. 868-872)。この方法を用いると、めっ
き浴から直接共析させることが不可能な金属の組合わせ
からなる合金めっきが可能となるだけでなく、組成制御
も比較的容易である。しかし、めっきを複数回行った
後、さらに熱処理を施すというプロセスを経るため、必
然的に製造コストが高くなることが予想される。
めっき (例、NiめっきとZnめっき)を施した後、熱処理
を行うことにより、下層金属(Ni)と上層金属(Zn)とを合
金化させる方法も知られている (表面技術, Vol. 42, N
o. 9, 1991, pp. 868-872)。この方法を用いると、めっ
き浴から直接共析させることが不可能な金属の組合わせ
からなる合金めっきが可能となるだけでなく、組成制御
も比較的容易である。しかし、めっきを複数回行った
後、さらに熱処理を施すというプロセスを経るため、必
然的に製造コストが高くなることが予想される。
【0007】本発明の目的は、裸耐食性のみならず、端
面耐食性にも優れたAl合金めっき金属材を安価に製造で
きる方法を提供することである。より具体的な目的は、
2以上の合金元素と合金化したAl合金めっき層を有する
Al合金めっき金属材を安定して安価に製造できる方法を
提供することである。
面耐食性にも優れたAl合金めっき金属材を安価に製造で
きる方法を提供することである。より具体的な目的は、
2以上の合金元素と合金化したAl合金めっき層を有する
Al合金めっき金属材を安定して安価に製造できる方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、基
体金属上に、Al−X合金めっき (XはMn、Ti、W、Mo、
Fe、Ni、Co、Cuの1種以上) と、Y金属またはY合金め
っき (YはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、Si、Ge、
Sn、Pb、As Sb、Biの1種以上) との二層めっきを施し
た後、熱処理して二層間での元素の熱拡散によりAl−X
−Y合金層を形成することからなる、端面耐食性に優れ
たAl合金めっき金属材の製造方法を提案した (特願平4
−251576号) 。この方法により、犠牲防食能に優れたAl
−X−Yの三元系以上の合金めっき層を安定して形成す
ることが可能となり、裸耐食性と端面耐食性に優れたAl
合金めっき金属材を得ることができる。しかし、この方
法は、二層めっきを施した後に熱処理を行うので、製造
工程が多くなり、製造コストは高くなる。
体金属上に、Al−X合金めっき (XはMn、Ti、W、Mo、
Fe、Ni、Co、Cuの1種以上) と、Y金属またはY合金め
っき (YはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、Si、Ge、
Sn、Pb、As Sb、Biの1種以上) との二層めっきを施し
た後、熱処理して二層間での元素の熱拡散によりAl−X
−Y合金層を形成することからなる、端面耐食性に優れ
たAl合金めっき金属材の製造方法を提案した (特願平4
−251576号) 。この方法により、犠牲防食能に優れたAl
−X−Yの三元系以上の合金めっき層を安定して形成す
ることが可能となり、裸耐食性と端面耐食性に優れたAl
合金めっき金属材を得ることができる。しかし、この方
法は、二層めっきを施した後に熱処理を行うので、製造
工程が多くなり、製造コストは高くなる。
【0009】そこで、めっき条件について検討を重ねた
結果、先にY金属またはY合金めっきを下層めっきとし
て施した後、上層のAl−X合金めっきを電気めっき法に
より行い、その際に電気めっき浴の温度を通常より高く
することで、Al−X合金めっきの被覆と同時にYとAl−
Xとの相互の熱拡散を生じさせることができ、別に熱処
理工程を行わずに (即ち、少ない工程で) 、目的とする
三元系以上のAl−X−Y合金層を有するAl合金めっき金
属材を安価に製造しうることを見出した。
結果、先にY金属またはY合金めっきを下層めっきとし
て施した後、上層のAl−X合金めっきを電気めっき法に
より行い、その際に電気めっき浴の温度を通常より高く
することで、Al−X合金めっきの被覆と同時にYとAl−
Xとの相互の熱拡散を生じさせることができ、別に熱処
理工程を行わずに (即ち、少ない工程で) 、目的とする
三元系以上のAl−X−Y合金層を有するAl合金めっき金
属材を安価に製造しうることを見出した。
【0010】ここに、本発明の要旨は、基体金属材上
に、Y金属またはYを少なくとも40重量%以上含有する
Y合金からなる下層めっき層を少なくとも0.5 g/m2の付
着量で形成し、その上にX金属を1〜50重量%含有する
Al−X合金からなる上層めっき層を、めっき浴温度が 2
75〜400 ℃の電気めっきにより2〜60 g/m2 の付着量で
形成することを特徴とする、Al合金めっき金属材の製造
方法にある。ここで、Yは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、
In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As Sb、およびBiから選ばれ
た少なくとも1種の金属であり;XはMn、Ti、W、Mo、
Fe、Co、Ni、およびCuから選ばれた少なくとも1種の金
属であり;YおよびXのいずれについても、それが2種
以上の金属からなる場合、その量とは、この2種以上の
金属の合計量を意味する。
に、Y金属またはYを少なくとも40重量%以上含有する
Y合金からなる下層めっき層を少なくとも0.5 g/m2の付
着量で形成し、その上にX金属を1〜50重量%含有する
Al−X合金からなる上層めっき層を、めっき浴温度が 2
75〜400 ℃の電気めっきにより2〜60 g/m2 の付着量で
形成することを特徴とする、Al合金めっき金属材の製造
方法にある。ここで、Yは、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、
In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As Sb、およびBiから選ばれ
た少なくとも1種の金属であり;XはMn、Ti、W、Mo、
Fe、Co、Ni、およびCuから選ばれた少なくとも1種の金
属であり;YおよびXのいずれについても、それが2種
以上の金属からなる場合、その量とは、この2種以上の
金属の合計量を意味する。
【0011】なお、上記本発明の好適態様は次の通りで
ある。 前記下層めっき層が、付着量 0.5〜10 g/m2 のZn金属
またはZn合金めっき層である、上記方法; 前記下層めっき層が、付着量 0.5〜10 g/m2 のSn金属
またはSn合金めっき層である、上記方法; 前記上層めっき層のX金属がMn、TiまたはFeである、
上記またはもしくはの方法; 前記上層めっき層を、めっき浴温度 275℃〜350 ℃の
電気めっき法により形成する上記または〜のいずれ
かの方法。
ある。 前記下層めっき層が、付着量 0.5〜10 g/m2 のZn金属
またはZn合金めっき層である、上記方法; 前記下層めっき層が、付着量 0.5〜10 g/m2 のSn金属
またはSn合金めっき層である、上記方法; 前記上層めっき層のX金属がMn、TiまたはFeである、
上記またはもしくはの方法; 前記上層めっき層を、めっき浴温度 275℃〜350 ℃の
電気めっき法により形成する上記または〜のいずれ
かの方法。
【0012】
【作用】以下、本発明について詳述するが、説明中の合
金組成に関する%はすべて重量%である。
金組成に関する%はすべて重量%である。
【0013】本発明のAl合金めっき金属材の基体金属
は、鋼材、チタンまたはチタン合金材、アルミニウムま
たはアルミニウム合金材、ステンレス鋼材、クロム鋼材
などを含む任意の金属材料でよい。また、基体の形状は
板材 (薄板材およびパネル材)に限られるものではな
く、棒材、線材、管材、異形材など任意の形状でよい。
基体は、本発明の方法に従ってめっきを施す前に、常法
により表面の清浄化および/または活性化のために処理
することができる。
は、鋼材、チタンまたはチタン合金材、アルミニウムま
たはアルミニウム合金材、ステンレス鋼材、クロム鋼材
などを含む任意の金属材料でよい。また、基体の形状は
板材 (薄板材およびパネル材)に限られるものではな
く、棒材、線材、管材、異形材など任意の形状でよい。
基体は、本発明の方法に従ってめっきを施す前に、常法
により表面の清浄化および/または活性化のために処理
することができる。
【0014】本発明によれば、この基体金属に、Y金属
またはY合金めっきからなる下層めっき層を形成し、次
いでAl−X合金めっきからなる上層めっき層とを形成す
る。この上層めっき層の形成を浴温 275〜400 ℃での電
気めっき法により行う。それにより、このめっき時の熱
によって下層めっき中のY金属が上層めっきのAl−X合
金中に拡散し、Al−X−Y合金層を少なくともめっき厚
み方向の一部に有しているAl合金めっき皮膜を有する金
属材が得られる。この二層めっきの各めっき工程は、連
続めっきおよびバッチ式めっきのいずれの方式で行って
もよい。また、上記の二層めっきは必ずしも基体の全面
に施す必要はなく、一部のみに施してもよい。例えば、
基体金属が板材である場合、片面めっきおよび両面めっ
きのいずれでもよい。
またはY合金めっきからなる下層めっき層を形成し、次
いでAl−X合金めっきからなる上層めっき層とを形成す
る。この上層めっき層の形成を浴温 275〜400 ℃での電
気めっき法により行う。それにより、このめっき時の熱
によって下層めっき中のY金属が上層めっきのAl−X合
金中に拡散し、Al−X−Y合金層を少なくともめっき厚
み方向の一部に有しているAl合金めっき皮膜を有する金
属材が得られる。この二層めっきの各めっき工程は、連
続めっきおよびバッチ式めっきのいずれの方式で行って
もよい。また、上記の二層めっきは必ずしも基体の全面
に施す必要はなく、一部のみに施してもよい。例えば、
基体金属が板材である場合、片面めっきおよび両面めっ
きのいずれでもよい。
【0015】Yとして選択したMg、Ca、Sr、Ba、Zn、C
d、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Biの各金属は、
いずれもAlおよびAl合金の腐食電位を卑にし、生成した
Al合金めっき皮膜に犠牲防食能を付与することができ
る。下層めっき層は、Y金属のみからなるか、或いはY
金属を40%以上含有するY合金からなる。Y金属は1種
もしくは2種以上を使用することができ、2種以上使用
する場合のY金属の量とはその合計量を意味する。
d、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Biの各金属は、
いずれもAlおよびAl合金の腐食電位を卑にし、生成した
Al合金めっき皮膜に犠牲防食能を付与することができ
る。下層めっき層は、Y金属のみからなるか、或いはY
金属を40%以上含有するY合金からなる。Y金属は1種
もしくは2種以上を使用することができ、2種以上使用
する場合のY金属の量とはその合計量を意味する。
【0016】下層めっきが2種以上のY金属からのみか
らなる場合、これはY金属どうしの合金めっきである
が、本発明においては、この場合もY金属めっきと称す
る。即ち、Y合金めっきとは、1種もしくは2種以上の
Y金属と1種もしくは2種以上のその他の金属との合金
を意味する。下層めっきがY合金めっきである場合、め
っき中のY金属の含有量が40%を下回ると、上層めっき
後に得られるめっき皮膜の犠牲防食能が小さくなり、端
面耐食性が低下する。Y合金めっき中のY金属の好まし
い含有量は、めっき種によって異なるが、一般には50%
以上である。
らなる場合、これはY金属どうしの合金めっきである
が、本発明においては、この場合もY金属めっきと称す
る。即ち、Y合金めっきとは、1種もしくは2種以上の
Y金属と1種もしくは2種以上のその他の金属との合金
を意味する。下層めっきがY合金めっきである場合、め
っき中のY金属の含有量が40%を下回ると、上層めっき
後に得られるめっき皮膜の犠牲防食能が小さくなり、端
面耐食性が低下する。Y合金めっき中のY金属の好まし
い含有量は、めっき種によって異なるが、一般には50%
以上である。
【0017】Y金属として特に好ましいのはZnおよびSn
である。これらの元素は、上層のAl−X合金層中に拡散
した場合に、生成したAl合金めっき皮膜の腐食電位を卑
にし、犠牲防食能を高める効果が大きい。従って、下層
めっき層がZn金属またはZn合金からなるか、或いはSn金
属またはSn合金からなることが好ましい。
である。これらの元素は、上層のAl−X合金層中に拡散
した場合に、生成したAl合金めっき皮膜の腐食電位を卑
にし、犠牲防食能を高める効果が大きい。従って、下層
めっき層がZn金属またはZn合金からなるか、或いはSn金
属またはSn合金からなることが好ましい。
【0018】下層めっきに適したZn合金としては、例え
ば、Zn−Ni、Zn−Fe、Zn−Co、Zn−Cr、Zn−Mn、Zn−Ni
−Cr、Zn−Ni−Co、Zn−Ni−Feなどが例示される。これ
らは上記のY合金に相当する。従って、Znの含有量は40
%以上であればよいが、好ましくは50%以上である。Zn
の含有量が低すぎると、Znの活量低下により上層電気め
っき中に拡散するZn量が減少し、犠牲防食能の付与が不
十分となる。上に例示したようなZn合金は、Znに比べて
電位が貴な金属との合金であるため、上層めっきの形成
後に下層めっき層が残存しても、上層めっき層との腐食
電位差が小さくなり、層間電位差による腐食現象が抑制
される。好ましい合金組成の例を次に示す:Zn−Ni (N
i:5〜20%)、Zn−Fe (Fe:5〜20%)、Zn−Co (Co:0.1〜5%)
、Zn−Cr (Cr:5〜40%)。
ば、Zn−Ni、Zn−Fe、Zn−Co、Zn−Cr、Zn−Mn、Zn−Ni
−Cr、Zn−Ni−Co、Zn−Ni−Feなどが例示される。これ
らは上記のY合金に相当する。従って、Znの含有量は40
%以上であればよいが、好ましくは50%以上である。Zn
の含有量が低すぎると、Znの活量低下により上層電気め
っき中に拡散するZn量が減少し、犠牲防食能の付与が不
十分となる。上に例示したようなZn合金は、Znに比べて
電位が貴な金属との合金であるため、上層めっきの形成
後に下層めっき層が残存しても、上層めっき層との腐食
電位差が小さくなり、層間電位差による腐食現象が抑制
される。好ましい合金組成の例を次に示す:Zn−Ni (N
i:5〜20%)、Zn−Fe (Fe:5〜20%)、Zn−Co (Co:0.1〜5%)
、Zn−Cr (Cr:5〜40%)。
【0019】下層めっきに適したSn合金としては、Snと
Ni、Pb、Cuの合金がある。Snとの合金元素がYに属する
金属である場合 (即ち、上記のY金属に相当する合金の
場合、例えばSnとPbとの合金) には、Snの含有量は特に
制限されないが、3%以上のSnを含有することが好まし
い。一方、上記のY合金に相当する合金、即ち、SnとY
以外の金属との合金の場合 (例、Sn−Ni、Sn−Cu) に
は、Snの含有量は40%以上、好ましくは50%以上、特に
好ましくは60%以上である。好ましい合金組成の例は、
Sn−Ni(Ni:20〜40%)、Pb−Sn (Sn:3〜15%)である。
Ni、Pb、Cuの合金がある。Snとの合金元素がYに属する
金属である場合 (即ち、上記のY金属に相当する合金の
場合、例えばSnとPbとの合金) には、Snの含有量は特に
制限されないが、3%以上のSnを含有することが好まし
い。一方、上記のY合金に相当する合金、即ち、SnとY
以外の金属との合金の場合 (例、Sn−Ni、Sn−Cu) に
は、Snの含有量は40%以上、好ましくは50%以上、特に
好ましくは60%以上である。好ましい合金組成の例は、
Sn−Ni(Ni:20〜40%)、Pb−Sn (Sn:3〜15%)である。
【0020】下層めっき層の付着量は少なくとも0.5 g/
m2である。付着量がこれより少ないと、上層のAl−X合
金めっき中に拡散するY金属の量が不足し、犠牲防食能
を充分に付与することが困難となる。下層めっき層の付
着量は、望ましくは 0.5〜10g/m2 、より望ましくは 0.
8〜8g/m2、特に望ましくは1〜5g/m2である。下層め
っき層の付着量が多すぎると、下層めっきの一部が残存
し、上層めっきと局部電池を形成することによる耐食性
の低下が、特に裸加工部に認められることがある。従っ
て、特に純Znめっきのように電位が卑な下層めっきの場
合には、下層めっき付着量をあまり大きくしないことが
望ましい。
m2である。付着量がこれより少ないと、上層のAl−X合
金めっき中に拡散するY金属の量が不足し、犠牲防食能
を充分に付与することが困難となる。下層めっき層の付
着量は、望ましくは 0.5〜10g/m2 、より望ましくは 0.
8〜8g/m2、特に望ましくは1〜5g/m2である。下層め
っき層の付着量が多すぎると、下層めっきの一部が残存
し、上層めっきと局部電池を形成することによる耐食性
の低下が、特に裸加工部に認められることがある。従っ
て、特に純Znめっきのように電位が卑な下層めっきの場
合には、下層めっき付着量をあまり大きくしないことが
望ましい。
【0021】下層めっき層は任意のめっき方法で形成す
ることができ、めっき金属または合金種に応じて適当な
めっき方法を選択すればよい。めっき方法としては、電
気めっき (水溶液浴、有機溶媒浴、溶融塩浴等) 、気相
めっき (例、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレー
ティング等) 、溶融めっき (溶融塩浸漬めっき) などが
可能であるが、電気めっき法および気相めっき法が好ま
しい。溶融めっき法は、高温のめっき浴による基体金属
への悪影響の心配がある上、一般に薄めっきが困難であ
る。さらに、生成しためっき皮膜の表面に酸化物層が残
存し、上層めっきを施す前に、酸化膜の除去工程が別に
必要となることが多い。
ることができ、めっき金属または合金種に応じて適当な
めっき方法を選択すればよい。めっき方法としては、電
気めっき (水溶液浴、有機溶媒浴、溶融塩浴等) 、気相
めっき (例、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレー
ティング等) 、溶融めっき (溶融塩浸漬めっき) などが
可能であるが、電気めっき法および気相めっき法が好ま
しい。溶融めっき法は、高温のめっき浴による基体金属
への悪影響の心配がある上、一般に薄めっきが困難であ
る。さらに、生成しためっき皮膜の表面に酸化物層が残
存し、上層めっきを施す前に、酸化膜の除去工程が別に
必要となることが多い。
【0022】上層めっき層は、X金属を1〜50%の量で
含有するAl−X合金からなる。Alとの合金元素Xとして
選択したMn、Ti、W、Mo、Fe、Co、Cu、Niの各金属は、
いずれもAl系めっきの密着性と耐食性、従って加工後の
耐食性を改善すると共に、めっき外観を向上させる作用
を有する。X金属も1種もしくは2種以上を使用するこ
とができ、2種以上使用する場合のX金属の含有量とは
その合計量を意味する。上層めっき層のX金属の含有量
が1%未満ではめっき皮膜がパウダー状またはデンドラ
イト状になり、50%を超えると、めっき皮膜が硬化して
脆くなり、実用性を失う。X金属の含有量は、好ましく
は15〜40%、より好ましくは20〜35%の範囲内である。
含有するAl−X合金からなる。Alとの合金元素Xとして
選択したMn、Ti、W、Mo、Fe、Co、Cu、Niの各金属は、
いずれもAl系めっきの密着性と耐食性、従って加工後の
耐食性を改善すると共に、めっき外観を向上させる作用
を有する。X金属も1種もしくは2種以上を使用するこ
とができ、2種以上使用する場合のX金属の含有量とは
その合計量を意味する。上層めっき層のX金属の含有量
が1%未満ではめっき皮膜がパウダー状またはデンドラ
イト状になり、50%を超えると、めっき皮膜が硬化して
脆くなり、実用性を失う。X金属の含有量は、好ましく
は15〜40%、より好ましくは20〜35%の範囲内である。
【0023】X金属として特に好ましいのは、密着性に
優れたAl−X合金めっき皮膜を形成でき、耐食性と加工
性が向上することから、Mn、TiおよびFeである。上層め
っき層の付着量は2〜60 g/m2 の範囲内である。2g/m2
未満では、Al合金めっきによる防食効果が不足し、裸耐
食性が低下する。上層めっき層の付着量が60 g/m2 を超
えると、上層めっき層が厚くなりすぎ、下層めっき中の
Y金属が上層めっきの表面に達するのが困難となる上、
得られるめっき鋼板の加工性も低下する。上層めっき層
の付着量は、望ましくは4〜40 g/m2 、より望ましくは
10〜30 g/m2 の範囲内である。
優れたAl−X合金めっき皮膜を形成でき、耐食性と加工
性が向上することから、Mn、TiおよびFeである。上層め
っき層の付着量は2〜60 g/m2 の範囲内である。2g/m2
未満では、Al合金めっきによる防食効果が不足し、裸耐
食性が低下する。上層めっき層の付着量が60 g/m2 を超
えると、上層めっき層が厚くなりすぎ、下層めっき中の
Y金属が上層めっきの表面に達するのが困難となる上、
得られるめっき鋼板の加工性も低下する。上層めっき層
の付着量は、望ましくは4〜40 g/m2 、より望ましくは
10〜30 g/m2 の範囲内である。
【0024】上層のAl−X合金めっきは、電気めっき法
により、めっき浴温度を 275〜400℃と、通常よりは高
くして行う。それにより、上層めっきの形成中に、電解
槽内で受ける熱により、下層めっき中のY金属を、形成
された上層めっき皮膜中に拡散させて合金化させ、Al−
X−Y合金層を生成させる。即ち、二層めっき後に別工
程として熱処理を行うのではなく、上層めっき過程にお
いて、上層めっきの形成と下層めっきのY金属の拡散と
を同時に進行させるのである。熱処理工程の省略によ
り、当然ながら製造コストが削減できる。
により、めっき浴温度を 275〜400℃と、通常よりは高
くして行う。それにより、上層めっきの形成中に、電解
槽内で受ける熱により、下層めっき中のY金属を、形成
された上層めっき皮膜中に拡散させて合金化させ、Al−
X−Y合金層を生成させる。即ち、二層めっき後に別工
程として熱処理を行うのではなく、上層めっき過程にお
いて、上層めっきの形成と下層めっきのY金属の拡散と
を同時に進行させるのである。熱処理工程の省略によ
り、当然ながら製造コストが削減できる。
【0025】この熱拡散によるAl−X−Y合金層の形成
により、二層めっき間の不整合部がなくなり、合金組成
がめっき皮膜全体で実質的に均一になるか、或いは傾斜
して変化するようになるため、加工性が向上し、Al系材
料の腐食で著しい糸錆をはじめとする層状腐食を防止す
ることができる。また、特にAl−X合金めっきに顕著な
電着応力を緩和することもできる。
により、二層めっき間の不整合部がなくなり、合金組成
がめっき皮膜全体で実質的に均一になるか、或いは傾斜
して変化するようになるため、加工性が向上し、Al系材
料の腐食で著しい糸錆をはじめとする層状腐食を防止す
ることができる。また、特にAl−X合金めっきに顕著な
電着応力を緩和することもできる。
【0026】Alは水からの電析が不可能であるため、Al
またはAl合金の電気めっきは一般に溶融塩浴または有機
溶媒浴での電解により行われる。本発明においては、め
っき浴温度が 275〜400 ℃と高いため、溶融塩浴電解め
っき法が適している。上層のAl−X合金めっきのための
溶融塩浴としては、AlCl3 と1種もしくは2種以上のア
ルカリ金属塩化物 (例、LiCl、NaCl、KCl 等) を基本組
成とする塩化物浴 (例、AlCl3-NaCl-KCl浴) が好まし
い。合金元素であるX金属のイオンは、X金属の適当な
化合物 (例、塩化物、炭酸塩、酸化物など) またはX金
属それ自体を溶融塩浴に直接添加して、供給することが
できる。別の方法として、Al−X合金自体を可溶性陽極
として使用し、陽極の溶解によってX金属イオンを溶融
塩浴に供給することもできる。可溶性陽極は、一体化し
たAl−X合金材でもよいが、Al−X合金ペレットを適当
なバスケットに入れたものから構成することもできる。
なお、陽極は不溶性陽極であってもよい。また、めっき
密着性や外観の劣化を防止するために被めっき材 (基体
金属) と電解塩浴とを相対移動させることが好ましい。
電析したAl−X合金皮膜中のX金属の含有量は、浴への
X金属イオンの添加量または可溶性陽極として用いるAl
−X合金材中のX金属含有量によって制御することがで
きる。
またはAl合金の電気めっきは一般に溶融塩浴または有機
溶媒浴での電解により行われる。本発明においては、め
っき浴温度が 275〜400 ℃と高いため、溶融塩浴電解め
っき法が適している。上層のAl−X合金めっきのための
溶融塩浴としては、AlCl3 と1種もしくは2種以上のア
ルカリ金属塩化物 (例、LiCl、NaCl、KCl 等) を基本組
成とする塩化物浴 (例、AlCl3-NaCl-KCl浴) が好まし
い。合金元素であるX金属のイオンは、X金属の適当な
化合物 (例、塩化物、炭酸塩、酸化物など) またはX金
属それ自体を溶融塩浴に直接添加して、供給することが
できる。別の方法として、Al−X合金自体を可溶性陽極
として使用し、陽極の溶解によってX金属イオンを溶融
塩浴に供給することもできる。可溶性陽極は、一体化し
たAl−X合金材でもよいが、Al−X合金ペレットを適当
なバスケットに入れたものから構成することもできる。
なお、陽極は不溶性陽極であってもよい。また、めっき
密着性や外観の劣化を防止するために被めっき材 (基体
金属) と電解塩浴とを相対移動させることが好ましい。
電析したAl−X合金皮膜中のX金属の含有量は、浴への
X金属イオンの添加量または可溶性陽極として用いるAl
−X合金材中のX金属含有量によって制御することがで
きる。
【0027】電気めっき法による上層めっきのめっき浴
温度は 275〜400 ℃の範囲内である。めっき浴の温度が
275 ℃より低いと、短時間の電解中に、生成したAl−X
合金皮膜へのY金属の拡散が十分には起こらない。一
方、めっき浴の温度が400 ℃を超えると、熱による基体
金属への悪影響 (例えば、粒界析出物の生成) の恐れが
あり、また基体金属中の元素がめっき皮膜中に拡散し
て、めっき皮膜との層間に脆い金属間化合物が生成し、
加工性や耐食性を低下させる。Al−X合金めっきの好ま
しい浴温度は 275〜350 ℃の範囲内である。
温度は 275〜400 ℃の範囲内である。めっき浴の温度が
275 ℃より低いと、短時間の電解中に、生成したAl−X
合金皮膜へのY金属の拡散が十分には起こらない。一
方、めっき浴の温度が400 ℃を超えると、熱による基体
金属への悪影響 (例えば、粒界析出物の生成) の恐れが
あり、また基体金属中の元素がめっき皮膜中に拡散し
て、めっき皮膜との層間に脆い金属間化合物が生成し、
加工性や耐食性を低下させる。Al−X合金めっきの好ま
しい浴温度は 275〜350 ℃の範囲内である。
【0028】電気めっきのその他の条件は特に制限され
ず、所望の付着量のAl−X合金めっき皮膜が電析し、か
つ下層めっき中のY金属が十分に拡散するように選択す
る。電解時の通電方法は、平滑直流、パルス電流、リッ
プル電流のいずれの方式で行ってもよい。電流密度は、
電析状態を考慮すると、1〜100 A/dm2の範囲内が好ま
しい。 275〜400 ℃の浴温度および1〜100 A/dm2の電
流密度で電解を行った場合、一般に5〜500 秒の通電
(電解) 時間で2〜60 g/m2 の範囲内のAl−X合金めっ
き皮膜を得ることができる。生産効率を考慮すると 300
秒以下の通電時間が好ましい。この上層めっき中にY金
属を実質的に完全に上層めっき中に拡散させ、下層めっ
きが残存せず、かつY金属が上層めっきの表面にまで達
することが望ましい。しかし、生成したAl合金めっき皮
膜の厚み方向の少なくとも一部にAl−X−Y合金層が形
成されていれば、本発明の目的である、耐食性、特に端
面耐食性の改善を得ることができる。なお、Y金属の拡
散時間を延長するために、被めっき材を通電終了後も電
解槽内に短時間保持しておくこともできる。
ず、所望の付着量のAl−X合金めっき皮膜が電析し、か
つ下層めっき中のY金属が十分に拡散するように選択す
る。電解時の通電方法は、平滑直流、パルス電流、リッ
プル電流のいずれの方式で行ってもよい。電流密度は、
電析状態を考慮すると、1〜100 A/dm2の範囲内が好ま
しい。 275〜400 ℃の浴温度および1〜100 A/dm2の電
流密度で電解を行った場合、一般に5〜500 秒の通電
(電解) 時間で2〜60 g/m2 の範囲内のAl−X合金めっ
き皮膜を得ることができる。生産効率を考慮すると 300
秒以下の通電時間が好ましい。この上層めっき中にY金
属を実質的に完全に上層めっき中に拡散させ、下層めっ
きが残存せず、かつY金属が上層めっきの表面にまで達
することが望ましい。しかし、生成したAl合金めっき皮
膜の厚み方向の少なくとも一部にAl−X−Y合金層が形
成されていれば、本発明の目的である、耐食性、特に端
面耐食性の改善を得ることができる。なお、Y金属の拡
散時間を延長するために、被めっき材を通電終了後も電
解槽内に短時間保持しておくこともできる。
【0029】本発明の方法により、表面が美麗で、裸耐
食性と端面耐食性に優れたAl合金めっき金属材を安価に
製造することができる。製造されたAl合金めっき金属材
は、建材や家電製品はもとより、厳しい端面耐食性が要
求される自動車外装用にも適用可能である。
食性と端面耐食性に優れたAl合金めっき金属材を安価に
製造することができる。製造されたAl合金めっき金属材
は、建材や家電製品はもとより、厳しい端面耐食性が要
求される自動車外装用にも適用可能である。
【0030】
【実施例】基体金属として板厚0.8 mm×幅100 mm×長さ
100 mmの冷延鋼板を使用し、この冷延鋼板の片面に、Y
金属またはY合金からなるめっき皮膜を真空蒸着法によ
り形成した。蒸着条件は、真空度:10×-7 mm Hg、基板
温度:室温、蒸着速度:1g/m2/secであった。その後、
塩化物溶融塩浴を用いた電気めっき法により下記条件で
上層のAl−X合金めっき皮膜を形成した。
100 mmの冷延鋼板を使用し、この冷延鋼板の片面に、Y
金属またはY合金からなるめっき皮膜を真空蒸着法によ
り形成した。蒸着条件は、真空度:10×-7 mm Hg、基板
温度:室温、蒸着速度:1g/m2/secであった。その後、
塩化物溶融塩浴を用いた電気めっき法により下記条件で
上層のAl−X合金めっき皮膜を形成した。
【0031】上層のAl−X合金めっき条件 浴組成 : AlCl3-NaCl-KCl(AlCl3/NaCl/KClモル比=62/2
0/18) 浴温度 : 240〜470 ℃ 添加X :X金属の塩化物(0.1〜6000 ppm) 電流密度 :5〜70A/dm2 液流速 : 0.3 m/sec (電解液を浴に循環) 電解時間:20〜360 秒 なお、下層めっき種 (Y金属またはY合金) 、上層Al−
X合金めっきのXの種類、下層および上層めっきの付着
量、上層電気めっきの浴温度および電解時間を表1〜表
9に示す。これらの表のうち、表1〜表8は下層めっき
層が1種類のY金属からなるY金属めっきである場合を
示し、表9は下層めっき層が2種類のY金属の合金めっ
きまたはY金属と他の金属との合金めっきである場合を
示す。
0/18) 浴温度 : 240〜470 ℃ 添加X :X金属の塩化物(0.1〜6000 ppm) 電流密度 :5〜70A/dm2 液流速 : 0.3 m/sec (電解液を浴に循環) 電解時間:20〜360 秒 なお、下層めっき種 (Y金属またはY合金) 、上層Al−
X合金めっきのXの種類、下層および上層めっきの付着
量、上層電気めっきの浴温度および電解時間を表1〜表
9に示す。これらの表のうち、表1〜表8は下層めっき
層が1種類のY金属からなるY金属めっきである場合を
示し、表9は下層めっき層が2種類のY金属の合金めっ
きまたはY金属と他の金属との合金めっきである場合を
示す。
【0032】得られたAl合金めっき鋼板についてX線マ
イクロアナライザ(EMPA)により断面の線分析を行
った結果、厚み方向で合金組成は傾斜して変化すること
が多いものの、本発明例のAl合金めっき鋼板はいずれ
も、めっき皮膜の厚み方向の少なくとも一部にAl−X−
Y合金層を有していた。各Al合金めっき鋼板の端面耐食
性、加工性 (耐パウダリング性) 、およびめっき外観を
次のようにして評価した。
イクロアナライザ(EMPA)により断面の線分析を行
った結果、厚み方向で合金組成は傾斜して変化すること
が多いものの、本発明例のAl合金めっき鋼板はいずれ
も、めっき皮膜の厚み方向の少なくとも一部にAl−X−
Y合金層を有していた。各Al合金めっき鋼板の端面耐食
性、加工性 (耐パウダリング性) 、およびめっき外観を
次のようにして評価した。
【0033】端面耐食性 両面をシールし端面のみを露出させた試験片を、〔5%
塩水噴霧 (35℃) 16時間→乾燥 (50℃) 3時間→5%塩
水浸漬 (35℃) 5時間〕を1サイクルとする複合サイク
ル腐食試験に60サイクル供した後、端面近傍の最大腐食
深さを測定し、次の5段階で評価した。 5:0.1 mm未満、 4:0.1 mm以上、0.3 mm未満、 3:0.3 mm以上、0.5 mm未満、 2:0.5 mm以上、1.0 mm未満、 1:1.0 mm以上。
塩水噴霧 (35℃) 16時間→乾燥 (50℃) 3時間→5%塩
水浸漬 (35℃) 5時間〕を1サイクルとする複合サイク
ル腐食試験に60サイクル供した後、端面近傍の最大腐食
深さを測定し、次の5段階で評価した。 5:0.1 mm未満、 4:0.1 mm以上、0.3 mm未満、 3:0.3 mm以上、0.5 mm未満、 2:0.5 mm以上、1.0 mm未満、 1:1.0 mm以上。
【0034】耐パウダリング性 供試Al合金めっき鋼板から直径 90mm の円形ブランクを
採取し、これを直径50mm 、深さ28 mm の円筒状に深絞
り成形して、その側壁面に対して粘着テープ剥離試験を
行った。テープ全面積に対する剥離片の付着した面積の
割合を目視観測することにより、剥離しためっき皮膜の
割合を求め、次の5段階で評価した。
採取し、これを直径50mm 、深さ28 mm の円筒状に深絞
り成形して、その側壁面に対して粘着テープ剥離試験を
行った。テープ全面積に対する剥離片の付着した面積の
割合を目視観測することにより、剥離しためっき皮膜の
割合を求め、次の5段階で評価した。
【0035】5:全く剥離なし、 4:めっき剥離割合が1%未満、 3:めっき剥離割合が1%以上、5%未満、 2:めっき剥離割合が5%以上、10%未満、 1:めっき剥離割合が10%以上。めっき外観 目視観察により、色調、光沢等を決定した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【発明の効果】表1〜表9に示した結果より明らかなよ
うに、本発明にかかる方法により製造したAl合金めっき
鋼板は、端面耐食性とめっき密着性 (加工性) が両方と
も4以上と良好であった。また、めっき外観も美麗な金
属光沢を有していた。これに対し、少なくとも一つの条
件が本発明の範囲外である比較例では、上記の特性の一
方または両方が3以下に低下し、めっき外観も劣ってい
た。
うに、本発明にかかる方法により製造したAl合金めっき
鋼板は、端面耐食性とめっき密着性 (加工性) が両方と
も4以上と良好であった。また、めっき外観も美麗な金
属光沢を有していた。これに対し、少なくとも一つの条
件が本発明の範囲外である比較例では、上記の特性の一
方または両方が3以下に低下し、めっき外観も劣ってい
た。
【0046】このように、本発明の方法は、別工程とし
て熱処理を行わずに、Al−X−Y合金層を有するAl合金
めっき金属材を製造することができるので、耐食性、特
に端面耐食性、および加工性に優れ、美麗な表面を持っ
たAl合金めっき金属材を安価に得ることが可能となる。
て熱処理を行わずに、Al−X−Y合金層を有するAl合金
めっき金属材を製造することができるので、耐食性、特
に端面耐食性、および加工性に優れ、美麗な表面を持っ
たAl合金めっき金属材を安価に得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 賢 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−101043(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 28/02 C23C 14/14 C23C 30/00 C25D 3/66
Claims (1)
- 【請求項1】 基体金属材上に、Y金属またはYを少な
くとも40重量%以上含有するY合金からなる下層めっき
層を少なくとも0.5 g/m2の付着量で形成し、その上にX
金属を1〜50重量%含有するAl−X合金からなる上層め
っき層を、めっき浴温度が 275〜400 ℃の電気めっきに
より2〜60 g/m2 の付着量で形成することを特徴とす
る、Al合金めっき金属材の製造方法。ただし、Yは、M
g、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As
Sb、およびBiから選ばれた少なくとも1種の金属であ
り、 XはMn、Ti、W、Mo、Fe、Co、Ni、およびCuから選ばれ
た少なくとも1種の金属であり、 YとXのいずれについても、2種以上の金属からなる場
合には、その量とは合計量を意味する。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06115094A JP3189561B2 (ja) | 1994-03-30 | 1994-03-30 | Al合金めっき金属材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06115094A JP3189561B2 (ja) | 1994-03-30 | 1994-03-30 | Al合金めっき金属材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07268650A JPH07268650A (ja) | 1995-10-17 |
JP3189561B2 true JP3189561B2 (ja) | 2001-07-16 |
Family
ID=13162807
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06115094A Expired - Fee Related JP3189561B2 (ja) | 1994-03-30 | 1994-03-30 | Al合金めっき金属材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3189561B2 (ja) |
-
1994
- 1994-03-30 JP JP06115094A patent/JP3189561B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07268650A (ja) | 1995-10-17 |
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---|---|---|---|
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