JP3188299B2 - 耐水性木質ボードの製造方法 - Google Patents

耐水性木質ボードの製造方法

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JP3188299B2 JP03638592A JP3638592A JP3188299B2 JP 3188299 B2 JP3188299 B2 JP 3188299B2 JP 03638592 A JP03638592 A JP 03638592A JP 3638592 A JP3638592 A JP 3638592A JP 3188299 B2 JP3188299 B2 JP 3188299B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐水性木質ボードの製
造方法に関し、更に詳しくは、木質ボードの耐水性を格
段に向上させた耐水性木質ボードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の方法は、従来から木質ボ
ードの耐水性を向上させるために種々の方法が提案さ
れ、また実用化されている。その方法としては、例え
ば、積層フィルムをコーティングする方法、木質ボード
を化学修飾する方法、塗料を塗布する方法、及び紙を接
着する方法、更には、真空包装によりコーティングする
方法及び溶融樹脂に浸漬する方法等もある。
【0003】上記積層フィルムをコーティングする方法
は、樹脂フィルムとして例えば二軸延伸ポリプロピレン
と変性低密度ポリエチレンからなる二層フィルムを用
い、この積層フィルムを変性低密度ポリエチレンを木質
ボードの表面側にして木質ボードに積層し、これを12
0℃前後で平盤プレスによって積層フィルムをコーティ
ングする方法である。木質ボードを化学修飾する方法
は、木質ボードの原料にアセチル化等の化学処理を施す
ことにより木質ボードを化学修飾し、塗料を塗布する方
法は、合成樹脂塗料を木質ボードに塗布し、紙を接着す
る方法は、熱ロールを用いて接着剤を木質ボードに溶着
させることにより紙を木質ボードにコーティングする方
法である。また、真空包装による方法は、樹脂フィルム
を用いて木質ボードを真空包装する方法であり、溶融樹
脂に浸漬する方法は、パーティクルボード等を溶融パラ
フィン等に浸漬して表面をコーティングする方法であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
積層フィルムをコーティングする方法は、木質ボードの
片面及び端部(木口及び側面)が未処理のため、これら
の部分から吸脱水、吸脱湿が起こり耐水性が十分でなく
塗膜安定性に劣り、化学修飾の方法は、樹脂の注入及び
修飾処理が煩雑でコスト高を招き、紙を接着する方法
は、溶融した接着剤が接着面から漏れ出しロールに着く
などそれぞれに種々の課題があった。また、従来の塗装
方法は、木質ボードにおける塗膜が一般に5〜50μm
と薄く、また溶剤等の蒸発によって塗膜にミクロンオー
ダーの微細孔を作りいずれも塗膜安定性及び耐水性に劣
るという課題があった。また、真空包装による方法は、
端部処理が十分でなく端部から吸脱水、吸脱湿が起こる
という課題があった。
【0005】従って、本発明の目的は、吸脱水、吸脱湿
がなく塗膜安定性に優れた耐水性木質ボードを安価に製
造することができる耐水性木質ボードの製造方法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、木質ボードを
搬送しながら木質ボードに樹脂フィルムをコーティング
することにより耐水性木質ボードを製造する方法におい
て、木質ボードの表裏両面を予熱した後、融点100〜
140℃のポリオレフィンからなり且つ厚みが10〜6
0μmの樹脂フィルムを、該木質ボードの両面に、離型
フィルムと共に該樹脂フィルムを内側にして重ねる第1
工程と、第1工程で上記両フィルムの重ねられた上記木
質ボードを加熱して上記樹脂フィルムを溶融する第2工
程と、第2工程で溶融した上記樹脂フィルムを、80〜
150℃に加熱した加熱ロールを用いて上記木質ボード
の両面に圧着し、然る後、該樹脂フィルムを強制的に冷
却した後、上記離型フィルムを上記樹脂フィルムから剥
離する第3工程と、第3工程で樹脂フィルムのコーティ
ングされた上記木質ボードの各端面に樹脂を塗布する第
4工程とを有する耐水性木質ボードの製造方法を提供す
ることにより上記目的を達成したものである。
【0007】以下、図1の(a)、(b)に示すコーテ
ィング装置の一例を参照しながら本発明を説明する。ま
ず、図1の(a)、(b)に示すコーティング装置につ
いて説明すると、本コーティング装置は、同図(a)に
示すように、所定の矩形状に切断された木質ボード1を
搬送するコンベア2と、コンベア2によって搬送される
木質ボード1を赤外線加熱、蒸気加熱あるいはマイクロ
波加熱などにより予熱する予熱装置3と、予熱装置3に
よって予熱された木質ボード1の表裏両面に樹脂フィル
ム4を木質ボード1の表裏両面側にして離型フィルム5
と共に木質ボード1へ連続的に供給する上下の樹脂フィ
ルム供給装置6、6及び離型フィルム供給装置7、7
と、各フィルム供給装置6、6、7、7によって供給さ
れてフィルム4、4、5、5で表裏両面が被覆された木
質ボード1を加熱して樹脂フィルム4、4を溶融する、
上記予熱装置3に準じた構成の加熱装置8と、加熱装置
8の下流側に配設され、加熱装置8から流下する木質ボ
ード1を離型フィルム7、7を介して加熱押圧して樹脂
フィルム4、4を木質ボード1の表裏両面に溶着する加
熱ロール9と、加熱ロール9の下流側に配設され、樹脂
フィルム4、4が溶着した木質ボード1を冷却する冷却
ロール10と、冷却ロール10の下流側に配設され木質
ボード1から離型フィルム5、5を剥離する上下の一対
の剥離装置11、11と、剥離装置11、11の下流側
に配設され、連続的に流下する木質ボード1、1間で帯
状の樹脂フィルム4を切断するカッター12と、カッタ
ー12で切断後の木質ボード1の表裏両面から食み出す
樹脂フィルム4、4をトリミングするトリミング手段1
3とを備えている。
【0008】また、本コーティング装置は、上述のよう
にして樹脂フィルム4、4がコーティングされた木質ボ
ード1の前後両木口面に熱可塑性樹脂をコーティングす
る第1コーター14、14と、第1コーター14、14
の下流側に配設され、残る木質ボード1の両側面にを熱
可塑性樹脂をコーティングする第2コーター15、15
とを備え、木質ボード1の全表面を樹脂によってコーテ
ィングするようにしている。
【0009】また、上記各フィルム供給装置6、7は、
いずれも帯状の樹脂フィルム4及び離型フィルム5を連
続的に供給する装置として構成されている。そして、こ
れらの各装置6、7と加熱装置8との間には、同図
(b)に示すように、各フィルム4、5を重ね合せる重
合用ロール16と、重合用ロール16により重ね合わさ
れた各フィルム4、5を加熱してこれら両者を密着させ
るヒーター17と、ヒーター17により密着された各フ
ィルム4、5を木質ボード1の表裏両面に押し付けてこ
れらの面を被覆する被覆用ロール18がそれぞれ配設さ
れている。
【0010】而して、上記木質ボード1は、木質材であ
れば特に限定されないが、木質ボード1としては、例え
ば、パーティクルボード、MDF等を好ましく用いるこ
とができる。上記樹脂フィルム4はコロナ放電等によ
り化学変成したフィルムであってもよい。本発明におい
ては、上記樹脂フィルム4として、融点が100〜14
0℃のポリオレフィンからなり、その厚さ10〜60
μmのものが用いられる。また、上記離型フィルムとし
ては、特に制限されず、従来公知のものを広く用いるこ
とができる。
【0011】次に上記コーティング装置を用いた本発明
方法の一実施態様について説明する。本実施態様は、木
質ボード1をコンベア2で搬送しながらこの木質ボード
1に樹脂フィルム4をコーティングする。そのためには
まず、コンベア2で搬送される木質ボード1を予熱装置
3で60〜200℃、1〜20分加熱して樹脂フィルム
4が木質ボード1の表裏両面に密着し易いように処理す
る。予熱された木質ボード1をコンベア2で搬送する
と、樹脂フィルム供給装置6から供給され樹脂フィルム
4と離型フィルム供給装置7から供給された離型フィル
ム5とが重合用ロール16により重ね合わされ、更にヒ
ーター17の作用でこれら両フィルム4、5が密着した
状態で被覆用ロール18で離型フィルム5を表面側にし
て樹脂フィルム4と共に木質ボード1の表裏両面に重ね
る。
【0012】次いで、木質ボード1をコンベア2で搬送
する間に、樹脂フィルム4及び離型フィルム5の被覆さ
れた木質ボード1を加熱装置8で樹脂フィルム4の溶融
温度に加熱して樹脂フィルム4を溶融し、引き続き、加
熱ロール9により溶融した樹脂フィルム4を80℃〜1
50℃、1〜5Kg/cm2 で木質ボード1に圧着し、
圧着後は冷却ロール10で樹脂フィルム4を冷却する。
更に、木質ボード1をコンベア2で搬送する間に、剥離
装置11で冷却後の木質ボード1から帯状の離型フィル
ム5を樹脂フィルム4から剥離する。然る後、剥離フィ
ルム5が除去された木質ボード1をコンベア2で搬送す
る間に、カッター12で前後の木質ボード1、1間を繋
ぐ樹脂フィルム4を切断し、更に木質ボード1から食み
出した樹脂フィルム4をトリミング手段13でトリミン
グする。
【0013】更に、上述のようにして木質ボード1に樹
脂フィルム4をコーティングした後は、更に、上記木質
ボード1の前後の端面に対して第1コーター14で熱可
塑性樹脂をコーティングし、次いで、第2コーター15
で木質ボード1の残る両側面に対して熱可塑性樹脂をコ
ーティングして木質ボード1の全表面を樹脂によるコー
ティングを終了して耐水性木質ボードを製造することが
できる。
【0014】
【作用】本発明によれば、木質ボードの表裏両面を予熱
した後、特定の融点及び厚みを有する特定樹脂からなる
樹脂フィルムを、該木質ボードの両面に、該樹脂フィル
ムを内側にして重ねた後、木質ボードを各フィルムを
介して加熱して樹脂フィルムを溶融し、溶融した樹脂フ
ィルムを、特定温度に加熱された加熱ロールを用いて
質ボードの表裏両面に圧着し、次いで、該樹脂フィルム
を強制的に冷却した後、上記離型フィルムを樹脂フィル
ムから剥離し、然る後、樹脂フィルムがコーティングさ
れた木質ボードの全端面に樹脂を塗布して木質ボードの
表面全体に樹脂コーティングすることにより耐水性木質
ボードを製造することができる。
【0015】
【実施例】次いで、具体的な実施例に基づいて本発明を
説明する。尚、本発明は下記実施例に何等制限されない
ことはいうまでもない。
【0016】実施例1 本実施例では下記条件で発明品1を作製し、本発明品1
について吸水性試験A、吸湿性試験B及び寒暖変化によ
る塗膜安定性試験Cを行ないそれぞれの結果を下記表1
に示した。上記吸水性試験は本発明品1を水中に24時
間浸漬して木質ボードの膨潤度を求めた。上記吸湿性試
験は40℃、90%RHの湿度環境下に72時間曝して
木質ボードの膨潤度を求めた。また、塗膜安定性試験
は、−20℃の環境下に2時間放置した後、80℃の環
境下に2時間放置し、この操作を2回繰り返して行な
い、塗膜の捲れを観察した。 (1)樹脂フィルム;低密度ポリエチレン(融点:11
5℃、厚さ:50μm) (2)離型フィルム;シリコン含浸紙(厚さ:200μ
m) (3)木質ボード;JIS U150タイプ パーティクルボード(大きさ:15t×300w×600
l、比重:0.73) (4)コーター用樹脂;エポキシ樹脂(大日本インキ化
学工業(株)製エピコンR114:粘度7000〜10
000cp) (5)処理条件 予熱条件(蒸気ヒータまたは15Kwの赤外線ヒータ
ー);100℃、1分 加熱条件(31.4Kwの遠赤外線ヒータ);木質ボー
ドから30〜40mm離れた距離から1分加熱 圧着条件;加熱ロール温度:120℃、1〜2Kg/c
2、送り速度:10m/分 冷却条件;冷却ロール温度:常温 コーターの樹脂塗布量;5g/尺2
【0017】実施例2 本実施例では下記条件を除き実施例1と同様に発明品2
を作製し、実施例1と同様に試験を行なってそれぞれの
試験結果を下記表1に示した。 (1)樹脂フィルム;コロナ放電処理を行なった高密度
ポリプロピレン(融点:135℃、厚さ:50μm) (2)木質ボード;MDF(大きさは実施例1と同じ) (3)処理条件 加熱条件;木質ボードを1.5分加熱した以外は実施例
1と同じ 圧着条件;加熱ロール温度:150℃で加熱
【0018】比較例1 本比較例1ではOPP(20μm)とポリエチレン(4
0μm)とからなる二層フィルムを真空包装により木質
ボードの前表面を被覆することにより上記積層フィルム
をコーティングして比較品1を作製し、実施例1と同様
に試験を行なってそれぞれの試験結果を下記表1に示し
た。
【0019】比較例2 本比較例2では木質ボードの木口の樹脂処理がない以外
は実施例1の木質ボードと同様の処理を行なって比較品
1を作製し、実施例1と同様に試験を行なってそれぞれ
の試験結果を下記表1に示した。
【0020】比較例3 本比較例3では樹脂塗料(ウレタン樹脂)を木質ボード
の表裏両面及び全端面に10g/尺2 塗装して比較品3
を作製し、実施例1と同様に試験を行なってそれぞれの
試験結果を下記表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】上記表1に示した結果からも明らかなよう
に、本発明品1及び2では吸水性試験、吸湿性試験及び
塗膜安定性試験のいずれにおいても木質ボードは試験の
前後で殆ど変化せず安定しているのに対して、真空包装
した比較品1、木口を樹脂で処理しない比較品2、塗装
による塗膜を形成した比較品3及び離型フィルムを用い
なかった比較品4ではいずれも耐水性がなく、特に、比
較品1では木口から水が浸入したことによるフィルムの
剥離による供試材のふくれが発生していることが判っ
た。
【0023】
【発明の効果】本発明の耐水性木質ボードの製造方法に
よれば、吸脱水、吸脱湿がなく膜安定性に優れた耐水性
木質ボードを安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の耐水性木質ボードの製造方法
の一実施態様に好ましく用いられるコーティング装置の
一例を示す側面図、(b)は同図(a)の下流側に位置
し木質ボードの端面をコーティングするコーターを示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 木質ボード 2 コンベア 4 樹脂フィルム 5 離型フィルム 6 樹脂フィルム供給装置 7 離型フィルム供給装置 8 加熱装置 9 加熱ロール 14 第1コーター 15 第2コーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−225052(JP,A) 特開 昭60−234803(JP,A) 特開 平2−233202(JP,A) 特開 平3−256704(JP,A) 特開 昭56−24104(JP,A) 特開 昭54−49311(JP,A) 特開 昭51−51503(JP,A) 特開 平4−8544(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27M 3/00 B27M 1/08 B27D 5/00 B32B 21/00 - 21/14 B32B 31/00 - 31/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質ボードを搬送しながら木質ボードに
    樹脂フィルムをコーティングすることにより耐水性木質
    ボードを製造する方法において、 (1)木質ボードの表裏両面を予熱した後、融点100
    〜140℃のポリオレフィンからなり且つ厚みが10〜
    60μmの樹脂フィルムを、該木質ボードの両面に、
    型フィルムと共に該樹脂フィルムを内側にして重ねる第
    1工程と、 (2)第1工程で上記両フィルムの重ねられた上記木質
    ボードを加熱して上記樹脂フィルムを溶融する第2工程
    と、 (3)第2工程で溶融した上記樹脂フィルムを、80〜
    150℃に加熱した加熱ロールを用いて上記木質ボード
    の両面に圧着し、然る後、該樹脂フィルムを強制的に冷
    却した後、上記離型フィルムを上記樹脂フィルムから剥
    離する第3工程と、 (4)第3工程で樹脂フィルムのコーティングされた上
    記木質ボードの各端面に樹脂を塗布する第4工程とを有
    する耐水性木質ボードの製造方法。
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