JP3187565B2 - 人工水苔 - Google Patents

人工水苔

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JP3187565B2
JP3187565B2 JP31603792A JP31603792A JP3187565B2 JP 3187565 B2 JP3187565 B2 JP 3187565B2 JP 31603792 A JP31603792 A JP 31603792A JP 31603792 A JP31603792 A JP 31603792A JP 3187565 B2 JP3187565 B2 JP 3187565B2
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義勝 水上
豊 田中
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    • Y02P60/216

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  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Hydroponics (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は栽培用人工水苔に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、蘭等の栽培に使用される人工水苔
としては、既に特開昭59−204680号公報や特開
平2−150215号公報等が知られている。例えば、
特開昭59−204680号公報には、吸水繊維と非吸
水繊維とを撚り合わせたり、織成したりした保水材が記
載され、また、特開平2−150215号公報には、高
吸水性繊維を20重量%以上含む繊維束を熱融着繊維を
含む補強繊維で捲回、接着した紐状物を切断してなる人
工水苔が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蘭の栽
培等に際しては株分けが必要となることがあり、この際
には根分けを行わなければならない。通常、天然の水苔
は栽培している内に生分解を受け強度が低下するし、元
々の強度も強くない。したがって、根分けはそれほど困
難な作業ではない。一方、人工水苔の場合、水苔に強度
があり過ぎると根分けの際に水苔が切れて分かれずに、
根が切れて分かれることになってしまう。前記した人工
水苔の場合、かかる問題があるため、根分けが困難であ
った。
【0004】すなはち、本発明の目的は機械的強度が適
度であって、生理食塩水に対する吸水性が高く、根分け
が容易な人工水苔を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的に、5
〜30重量%の高吸水性繊維および、生分解性繊維から
なる不織布シートを短冊状にスリットしてなる人工水苔
である。
【0006】本発明に用いる高吸水性繊維としては、吸
水能力が自重の800重量%程度以上である所謂高吸水
ポリマーを繊維化したものが好ましく、特に人工水苔と
しての用途で要求される窒素、尿素、カルシウム等の化
合物成分を含有した水分の吸水性能に優れたものが好ま
しく、また吸水時の繊維強度が殆ど無いものが好まし
い。
【0007】このような吸水能力の評価は例えば生理食
塩水の吸水能力をもって代用することができ、カルボン
酸基を持つモノマーとカルボン酸基と反応してエステル
架橋結合を形成し得るヒドロキシル基を持つモノマーと
カルボン酸アルカリ金属塩基を持つモノマーとを共重合
し熱により架橋したポリマーが、生理食塩水の吸水能力
に優れ、また吸水時の繊維強度が殆ど無いため好まし
く、例えば特開昭63−159405号公報及び特開昭
63−159440号公報に記載されたものがある。
【0008】かかるポリマーにおいて、カルボン酸基を
持つモノマーとしては例えばアクリル酸(以下[AA」
と略記する。)、メタクリル酸、マレイン酸等が用いら
れる。カルボン酸アルカリ金属塩基を持つモノマーとし
ては例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の
アルカリ金属塩が用いられる。アルカリ金属としてはナ
トリウム(以下「Na」と略記する。)、カリウム等が
用いられる。カルボン酸基を持つモノマーとカルボン酸
アルカリ金属塩基を持つモノマーとの割合は1/1から
1/10が好ましい。カルボン酸基を持つモノマーとカ
ルボン酸アルカリ金属塩基を持つモノマーの合計は70
重量%から99.5重量%含まれることが好ましく、よ
り好ましくは80重量%以上であって、70重量%未満
では生理食塩水の吸水率が不足するおそれがある。
【0009】またヒドロキシル基を持つモノマーとして
は例えばヒドロキシエチルメタクリレート(以下[HE
MA]と略記する。)、ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、グリセリルモノメタクリレート、グ
リセリルモノアクリレート等が用いられる。これらのモ
ノマーは各々複数の種類で用いてもよい。ヒドロキシル
基を持つモノマーはフリーのアクリル酸と当量以下で
0.5重量%以上含まれることが好ましく、0.5重量
%未満では架橋が不足するおそれがある。上記のモノマ
ー以外に可塑性を付与するために他のビニルモノマー例
えば酢酸ビニル(以下[VA」と略記する。)、アクリ
ロニトリル等を用いてもよい。可塑化のためのモノマー
の量は30重量%以下である。
【0010】前記ポリマーの重合方法は特に限定はされ
ないが、モノマー組成が水溶性であれば水系重合すれば
よい。重合開始剤には一般に用いる過硫酸酸ナトリウム
等を用いればよい。また、紡糸方法は一般的な乾式紡糸
がよい。湿式紡糸の場合は凝固剤に水を使用できないの
で有機溶剤系で用いなければならない。乾式紡糸した後
は、水分が10重量%以上残ったまま乾熱で1.3倍以
上延伸し、次に乾熱で架橋処理を行なう。そして、クリ
ンプ付与、カットを適宜行なう。水分が10重量%以上
残ったまま乾熱で1.3倍以上延伸しないと繊維の強度
が不足する。この際、分子量の大きい繊維は吸水量も大
きいが、一方分子量が大きいために延伸しにくく、繊維
強度が低くなる。
【0011】このようにして製造された高吸水性繊維は
生理食塩水を800重量%以上、好ましくは1200%
以上吸水するものでである。但し、吸水量が2000重
量%を越えると繊維強度が低下するおそれがある。本発
明の不織布シートは、高吸水性繊維を5重量%以上含有
し、さらに好ましくは10重量%以上、より好ましくは
20重量%以上である。5重量%未満では実用上、吸水
能力が不足する。また、30重量%以上の高吸水性繊維
を用いても水苔としての吸水能力はそれ程高まらず、か
えって使用時の強力が低下する。
【0012】さらに、本発明の不織布シートは、前記高
吸水繊維の他に生分解性繊維を含有し、生分解性繊維と
しては、例えば羊毛、コットン等の天然繊維、セルロー
ス等の再生繊維、ポリカプロラクトン、ポリヒドリキシ
ブチレート、ポリビニルアルコール等がある。これらの
繊維は、高吸水性繊維に比べ分解速度が遅いので、その
繊維長は短いほうがよく、10から50mm程度が不織
布としても扱い易い。一方、例えば前記した高吸水性繊
維は繊維長が長くても吸水すると繊維強度がなくなるの
で問題ない。
【0013】本発明の不織布シートは、実質的に前記高
吸水繊維および生分解性繊維からなるが、30重量%以
下であれば一般に市販されている吸水繊維等の第3成分
繊維を含有しても良い。この場合、第3成分繊維の繊維
長は38mm以下のものを用いるとよく、繊維長が余り
長いと強力が大きくなりすぎて根分けが困難となる。ま
た、繊維長の短い繊維が少量混綿されている程度であれ
ば根分けが出来問題ない。
【0014】本発明に用いる不織布シートは、前記の如
き高吸水性繊維および生分解性繊維を不織布化したもの
で、その製造方法は一般的な方法でよい。例えばニード
ルパンチ法、オーバーレイ法で熱融着繊維を混綿する方
法等が挙げられる。但し、熱融着繊維を用いる場合はそ
の使用量をできるだけ少量にしないと根分けができなく
なるおそれがある。また、高吸水性繊維を用いるため、
水流を用い繊維を交絡する方法や、繊維を接着するため
にエマルジョンを用いる方法は好ましくない。また不織
布シートを多層の積層体として、その基布に水溶性の繊
維、例えば水溶性ポリビニルアルコール繊維等を用いる
こともできる。
【0015】本発明の水苔は、図1に示す如く、該不織
布シートをスリットし、最大長さ(L)が10から15
0mm程度、最大幅(W)が1から10mm程度の短冊
形状に成形したものである。
【0016】かかる水苔は、図2(A)に示す如く、該
短冊状物(1)をそのまま根等に巻き付けたり、図2
(B)に示す如く、塊にして充填用として用いたりす
る。塊として用いる場合、最大長さが10mmより短い
と絡みが不足して塊状とすることが困難である。また、
根等に巻き付けて使用する場合、長さは50mm以上と
することが好ましいが、150mmを越えると逆に巻き
付けにくくなる。幅は1mm未満では巻き付けた場合、
詰まりすぎ適当な空間が得られず、通気性が不足し根腐
れを生じ易くなり、幅が10mmを越えると巻き付けに
くくなり、保水性が不足する。
【0017】
【実施例】実施例中特に断わらない限り「%」は「重量
%」とする。高吸水性繊維の生理食塩水吸水率はDIN
53814に準じて測定した。高吸水性繊維の組成は
蛍光X線分析によりアルカリ金属塩の含有量を測定し
た。また、モノマー組成は真空乾燥した試料をIRで測
定した。重合率はイヤトロスキャンMK5(TLC/F
ID)で測定した。高吸水性繊維の含有率は真水の吸水
率が2000%以上の吸水率であるため含有率を拡大す
ることができるので、真水の吸水率を測定し換算し求め
た。繊維強度等はJIS−L−1015に準じて測定し
た。
【0018】なお、栽培時の水は通常、種々の成分を溶
解しているが真水より吸水挙動が生理食塩水に近いた
め、吸水能力の評価に生理食塩水を用いた。
【0019】(製造例1)表1に示す重合組成でモノマ
ー濃度15%、重合温度55℃、重合開始剤に過硫酸ナ
トリウムを用い、重合時間4時間で水溶液重合を行っ
た。重合率をTLCで測定した結果モノマーのピークは
なかったので重合率は実用上100%であった。従って
得られたポリマーの重合組成は重合仕込組成と一致し
た。
【0020】次に得られたポリマードープを濃縮し、5
0℃で90ポイズ近くに粘度調整した。一般に用いられ
る乾式紡糸と同様にして乾熱窒素気流中に紡出、乾燥
し、水分が20%残った糸を乾熱100℃で1.5倍延
伸した。ギアクリンパーでクリンプを付与した後、12
0℃で5分間乾熱架橋処理を行い、カットし、10デニ
ール、51mmの高吸水性繊維を得た。得られた高吸水
性繊維の生理食塩水の吸水率を表1に示した。得られた
繊維の機械的強度は1gr/デニール以上あり、通常の
カードに仕掛けることができた。組成No.4、5は吸
水率は高いが架橋が不足し、水に部分的に溶解した。組
成No.6は吸水率が不足した。
【0021】
【表1】
【0022】(実施例1)製造例で製造した組成No.
2の高吸水性繊維と市販のビスコースレーヨン綿セミダ
ル3デニール38mmを表2に示す割合で調合し、一般
に用いられるニードルパンチング法で不織布を製造し
た。即ち、混綿後、カーディングし、110℃の加圧ヒ
ーターローラで目付け100gr/m2 の不織布を製造
した。得られた不織布の厚さは0.8mmであったこの
不織布の生理食塩水の吸水率を表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】次に、該不織布を長さ100mm、幅5m
mに切断し人工水苔を製造した。この人工水苔を胡蝶蘭
に巻き付けて根腐れを比較した。水は毎日定時に1回植
木鉢の下から水が出るまで吸水し、根腐れを促進した。
この結果を表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】(実施例2)実施例1で製造した不織布の
最大長さと、最大太さを変化させ切断し、胡蝶蘭に巻き
付けて取扱易さと充填のしやすさを比較した。この結果
を表4に示した。尚、幅の小さい不織布は澱粉糊を不織
布重量に対し10重量%付着させ、バラバラにならない
ように糊付けした。
【0027】
【表4】
【0028】(実施例3)実施例1と同様にして調合N
o.3の調合を表5で示す割合に変化し、市販のポリエ
ステル綿セミダル3dの、38、51mmを少量加え、
その分だけビスコースレーヨンの調合割合を減少し一年
後に株分けの際の根の損傷程度を比較し、結果を表5に
示した。
【0029】
【表5】
【0030】
【発明の効果】本発明の人工水苔を用いれば、株分けが
可能であり、更に保水性、通気性にも優れるため根腐れ
を生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工水苔の斜視図である。
【図2】本発明の人工水苔の使用法の説明図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に、5〜30重量%の高吸水性繊維
    および、生分解性繊維からなる不織布シートを短冊状に
    スリットしてなる人工水苔。
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