JP3184855B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP3184855B2
JP3184855B2 JP8544894A JP8544894A JP3184855B2 JP 3184855 B2 JP3184855 B2 JP 3184855B2 JP 8544894 A JP8544894 A JP 8544894A JP 8544894 A JP8544894 A JP 8544894A JP 3184855 B2 JP3184855 B2 JP 3184855B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電動パワーステアリン
グ装置に係り、特に入力軸と出力軸との相対回転による
変位量が設定値を越えてクラッチ機構が係合した直後か
ら前記変位量が最大となるまでの広い範囲で電動機によ
り操作力をアシストし得て、電動機によるアシスト量の
変化をゆるやかにし得て、異音の発生やステアリング操
作上の違和感を無くし得て、走行中に電動機によりアシ
ストしない状態でクラッチ機構が係合されることが無
く、路面から電動機が受ける反動を減少し得て、電動機
の耐久性を向上し得る電動パワーステアリング装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】車両には、ステアリングホイールの操作
力をアシストして運転者への負担を軽減するために、操
作力をアシストするパワーステアリング装置を設けたも
のがある。パワーステアリング装置には、動力源として
油圧や圧搾空気、電気等を利用しており、それらの動力
源に対応して適切な制御手段を設けている。
【0003】パワーステアリング装置には、例えば、電
動機(モータ)を利用した電動パワーステアリング装置
がある。電動パワーステアリング装置は、運転者が必要
とする操作力に対するアシストを自由に調整できるもで
ある。
【0004】このような電動パワーステアリング装置と
しては、特開平1−199026号公報や特開平1−2
18973号公報に開示されるものがある。
【0005】特開平1−199026号公報に開示され
るものは、電動パワーステアリング装置のクラッチ装置
であり、クラッチ外輪とクラッチ内輪との一方に円筒面
を形成するとともに他方に傾斜カム面を形成し、クラッ
チ外輪とクラッチ内輪との間に組み込まれた筒状保持器
の前記円筒面と傾斜カム面とで形成される楔型空間に対
応するポケットに2個の転動体とスプリングとを収容
し、筒状保持器を傾斜カム面を有する輪部材に回転方向
すきまをもって係合する弾性部材を前記輪部材間に設け
たものである。
【0006】特開平1−218973号公報に開示され
るものは、操舵トルク検出器により入力軸と出力軸とを
連結する弾性体の弾性変形から操舵トルクを検出すると
ともにクラッチにより弾性体の弾性変形に関連して電動
機の回転力の伝達を断続制御し、クラッチの断続を制御
する弾性体の弾性変形が、操舵トルク検出器が操舵トル
クを検出し電動機が回転を開始する時の前記弾性体の弾
性変形よりも小さくしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の電動
パワーステアリング装置には、車両のステアリングホイ
ールに接続される入力軸とステアリングギヤに接続され
る出力軸とを弾性体を介して相対回転可能に軸支して設
け、前記入力軸と出力軸との相対回転による変位量が設
定値以下であると出力軸に対して離脱されるとともに前
記入力軸と出力軸との相対回転による変位量が設定値を
越えると出力軸に係合されるクラッチ機構を設け、この
クラッチ機構により出力軸への駆動力の伝達を断続され
る電動機を設け、入力軸と出力軸との相対回転による変
位量及び変位方向を検出するステアリングセンサを設
け、このステアリングセンサの検出信号に基づいて電動
機の駆動力をクラッチ機構を介して出力軸に伝達するこ
とによりステアリングホイールの操作力をアシストする
ものがある。
【0008】この電動パワーステアリング装置において
は、クラッチ機構の係合に対して、入力軸と出力軸との
変位量が大きくなってから、電動機の駆動力が作用され
てステアリングホイールの操作力をアシストする。従来
は、図16に示す如く、クラッチ機構が変位量T1にお
いて係合した後の、変位量が十分に大きくなってから電
動機の駆動力を作用させている。
【0009】これは、電動機を駆動してからクラッチ機
構を係合させると、ステアリングホイールが急にアシス
トされることにより、異音を発生するとともに操作上に
おいて違和感を生じさせる不都合を防止するためであ
る。
【0010】このように、従来は、クラッチ機構の機械
的なばらつきを考慮して、クラッチ機構が係合した後に
入力軸と出力軸との変位量が十分に大きくなってから、
電動機の駆動力を作用させている。
【0011】ところが、このように電動機の駆動力を作
用させた場合には、電動機の駆動力の作用開始から最大
アシスト変位量までの幅が小さいため、急激にアシスト
量が変化することになり、異音を発生するとともに操作
上において違和感を生じさせる不都合がある。
【0012】また、クラッチ機構の係合する時期は、機
械的に決定されることから、部品の製造上のばらつきや
摩耗等により変化する。従来は、このようなクラッチ機
構の係合する時期の変化に対して、何等の対策を講じて
いないため、前記と同様に、急激にアシスト量の変化を
招き、異音を発生するとともに操作上において違和感を
生じさせる不都合がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような不都合を解消
すべく、この発明は、車両のステアリングホイールに接
続される入力軸とステアリングギヤに接続される出力軸
とを弾性体を介して相対回転可能に軸支して設け、前記
入力軸と前記出力軸との相対回転による変位量が設定値
以下であると前記出力軸に対して離脱されるとともに前
記入力軸と前記出力軸との相対回転による変位量が設定
値を越えると前記出力軸に係合されるクラッチ機構を設
け、このクラッチ機構により前記出力軸への駆動力の伝
達を断続される電動機を設け、前記入力軸と前記出力軸
との相対回転による変位量及び変位方向を検出するステ
アリングセンサを設け、このステアリングセンサの検出
信号に基づいて前記電動機の駆動力を前記クラッチ機構
を介して前記出力軸に伝達することにより前記ステアリ
ングホイールの操作力をアシストする電動パワーステア
リング装置において、前記クラッチ機構の係脱状態を検
出する検出手段を設け、前記車両のシステム起動後の第
1回目の前記ステアリングホイール操作時に前記検出手
段により前記クラッチ機構が係合される時期を検出し、
第2回目以降の前記ステアリングホイール操作時に前記
クラッチ機構が係合される時期に同期させて前記ステア
リングホイールの操作力のアシストを開始すべく前記電
動機の駆動力を制御する制御手段を設けたことを特徴と
する。
【0014】
【作用】この発明の構成によれば、電動パワーステアリ
ング装置は、制御手段によって、車両のシステム起動後
の第1回目のステアリングホイール操作時に検出手段に
よりクラッチ機構が係合される時期を検出し、第2回目
以降のステアリングホイール操作時にクラッチ機構が係
合される時期に同期させて、ステアリングホイールの操
作力のアシストを開始すべく電動機の駆動力を制御する
ことにより、車両のシステム駆動中に入力軸と出力軸と
の相対回転による変位量が設定値を越えてクラッチ機構
が係合した直後から変位量が最大となるまでの広い範囲
で電動機により操作力をアシストすることができ、ま
た、部品の製造上のばらつきや摩耗等により変化するク
ラッチ機構の係合する時期と電動機によるアシストの開
始時期とのずれを補正することができ、さらに、車両の
システムの始動毎にずれを補正することができる。
【0015】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を説明
する。図1〜図15は、この発明の実施例を示すもので
ある。図7において、2は車両、4は前輪、6は後輪で
ある。この車両2は、搭載した駆動システムである内燃
機関や電動機により前輪4および/または後輪6を駆動
して走行する。操舵輪である前輪4は、ステアリングホ
イール8により操舵される。
【0016】ステアリングホイール8は、ステアリング
コラム10によりステアリングギヤ12に連絡して設け
ている。ステアリングコラム10は、ステアリングホイ
ール8に連絡されるステアリング軸14とステアリング
ギヤ12に連絡されるジョイント軸16とからなる。ス
テアリングギヤ12は、ジョイント軸16の回転運動を
直線運動に変換してタイロッド18を往復動させ、図示
しないナックルアームを介して操舵輪である前輪4を操
舵する。
【0017】前記車両2には、電動パワーステアリング
装置20を備えている。電動パワーステアリング装置2
0は、図11〜図15に示す如く、ステアリングホイー
ル8にステアリング軸14を介して接続される入力軸2
2と、ステアリングギヤ12にジョイント軸16を介し
て接続される出力軸24と、を設けている。
【0018】入力軸22及び出力軸24は、図11に示
す如く、アッパハウジング26とロアハウジング28と
により包囲されている。出力軸24は、軸受30によっ
てロアハウジング28に軸支されている。入力軸22
は、先端側に形成した小径部32を出力軸24の後端側
の大径部34に形成した嵌合孔36に相対回転可能に嵌
合している。入力軸22及び出力軸24は、軸方向に形
成した入力側挿入孔36・出力側挿入孔38にトーショ
ンバー等の弾性体40を内装し、この弾性体40の各側
端部を入力側固定ピン42・出力側固定ピン44により
夫々固定し、相対回転可能に軸支している。
【0019】前記入力軸22の小径部32には、図12
に示す如く、連結ピン46の一端側が固設されている。
連結ピン46の他端側は、出力軸24の大径部34に形
成した連結穴47に挿通され、嵌合孔36側から外方に
突出させている。連結穴47は、入力軸22及び出力軸
24の相対回転による連結ピン46の所定の回動変位を
許容するように、連結ピン46の径よりも大きく形成さ
れている。
【0020】前記出力軸24には、クラッチ機構48が
設けられている。この実施例のクラッチ機構48は、3
ウェイ方式のクラッチ機構であり、図14・図15に示
す如く、出力軸24に設けた前記大径部34及び入力軸
22に設けられた前記連結ピン46と内側保持器50と
外側保持器52とウォームホイール54と転動体56と
バネ58とにより構成される。クラッチ機構48は、出
力軸24の大径部34に内側保持器50を嵌装し、内側
保持器50に外側保持器52を嵌装し、外側保持器52
にウォームホイール54を嵌装している。
【0021】内側保持器50は、前記出力側固定ピン4
4により固設されている。内側保持器50には、挿通穴
60が形成されている。挿通孔60には、前記連結ピン
46が回動可能に挿通されている。外側保持器52に
は、前記内側保持器50の挿通穴60を挿通された前記
連結ピン46の他端側が固設されている。外側保持器5
2とウォームホイール54とは、支持具62により内側
保持器50に支持されている。
【0022】内側保持器50及び外側保持器52は、内
側保持孔64及び外側保持孔66内に転動体56を配設
し、転動体56をバネ58により弾性付勢している。転
動体56は、略瓢箪形状に形成され、長手方向の長さが
大径部34及びウォームホイール54間の長さよりも少
許短く形成されている。
【0023】クラッチ機構48は、入力軸22及び出力
軸24の相対回転による変位量が設定値以下であると、
図14に示す如く、大径部34及びウォームホイール5
4間に転動体56が直径方向に略平行な状態に配設位置
されている。これにより、クラッチ機構48は、転動体
56が大径部34及びウォームホイール54に係合され
ず、離脱状態になっている。
【0024】クラッチ機構48は、入力軸22及び出力
軸24の相対回転による変位量が設定値を越えると、図
15に示す如く、転動体56がバネ58により押されて
大径部34及びウォームホイール54間に直径方向に対
して傾斜した状態に配設位置される。これにより、クラ
ッチ機構48は、転動体56が大径部34及びウォーム
ホイール54に係合され、係合状態になる。
【0025】このように、クラッチ機構48は、入力軸
22と出力軸24との相対回転による変位量が設定値以
下であると出力軸24に対して離脱されるとともに、入
力軸22と出力軸24との相対回転による変位量が設定
値を越えると出力軸24に係合される。
【0026】前記クラッチ機構48は、出力軸24への
電動機68の駆動力の伝達を断続する。電動機68は、
図12に示す如く、電動機軸70を軸受72によりアッ
パハウジング26に軸支している。電動機軸72には、
前記ウォームホイール54に噛合するウォームギヤ74
が設けられている。電動機68の駆動力は、減速機構を
構成するウォームホイール54及びウォームギヤ74に
より減速され、クラッチ機構48を介して出力軸24に
伝達され、ステアリングホイール8の操作力をアシスト
する。
【0027】この電動パワーステアリング装置20は、
ステアリングセンサ76を設けている。ステアリングセ
ンサ76は、図13に示す如く、センサ本体78と、セ
ンサ本体78から突出されたセンサ軸部80と、このセ
ンサ軸部80に一端側を固設された板部材82と、この
板部材82の他端側に保持されたセンシング部84と、
を設けている。
【0028】また、ステアリングセンサ76は、図11
に示す如く、入力軸22に軸方向移動可能に外嵌された
第1スライダ86を設け、この第1スライダ86の周方
向に形成した周溝88に前記センシング部84を摺動可
能に係合している。第1スライダ86には、第2スライ
ダ90が第1Cリング92により固定されている。
【0029】第2スライダ90は、軸方向の案内溝94
を設け、この案内溝94に案内軸96を摺動可能に係合
している。案内軸96は、出力軸24の大径部34に設
けた突縁部98に固設されている。また、第2スライダ
90は、ボール穴100を設け、ボール102を収納し
ている。ボール102は、入力軸22に設けたセンシン
グ溝104に移動可能に係合されている。センシング溝
104は、入力軸22の軸心方向に対して傾斜させた略
螺旋形状に形成されている。
【0030】前記第2スライダ90には、案内軸96及
びボール100を覆うようにカバー106が装着されて
いる。カバー106は、第2Cリング108によりリテ
ーナ110とともに第2スライダ90に固定されてい
る。リテーナ110と前記ウォームホイール54との間
には、センシングバネ112が設けられている。
【0031】ステアリングセンサ76は、図8に示す如
く、ステアリングホイール8が操作されていないと、入
力軸22と出力軸24とがねじれず、変位が発生しな
い。このため、ステアリングセンサ76は、ボール10
2が中立位置からセンシング溝104に沿って移動しな
いことにより、第1・第2スライダ86・90も入力軸
22の軸方向に移動しない。したがって、センサ本体7
8は、入力軸22と出力軸24との変位量を零として検
出する。
【0032】ステアリングセンサ76は、図9・図10
に示す如く、ステアリングホイール8の操作により入力
軸22と出力軸24とがねじれて変位が発生すると、ボ
ール102が中立位置からセンシング溝104に沿って
移動することにより、このボール102の移動に伴い第
2スライダ90が入力軸22の軸方向に移動され、第1
スライダ86も入力軸22の軸方向に移動される。第1
スライダ86の軸方向の移動は、周溝88に係合される
センシング部84を軸方向に移動させ、板部材82を介
してセンサ軸部80を回転させる。センサ本体78は、
このセンサ軸部80の回転量及び回転方向を入力軸22
と出力軸24との変位量及び変位方向として検出する。
【0033】前記ステアリングセンサ76の検出信号
は、制御部114に入力される。制御部114には、図
6に示す如く、前記電動機68及びステアリングセンサ
76を接続している。この制御部114には、車両2に
搭載した駆動システムである内燃機関(図示せず)のエ
ンジン回転数を検出すべくイグニションコイル116
と、車速を検出すべくスピードメータ部に設けたロータ
118a・リードスイッチ118bからなる車速センサ
118と、発電電圧を検出すべくジェネレータ120
と、イグニションスイッチ122を介してバッテリ12
4と、が接続さている。なお、符号126は、ヒューズ
である。
【0034】制御部114は、ステアリングホイール8
が操作された際に、ステアリングセンサ76の検出する
入力軸22と出力軸24との変位量及び変位方向に基づ
いてアシスト量及びアシスト方向を決定し、入力軸22
と出力軸24との変位量が設定値を越えることにより係
合されたクラッチ機構48を介して電動機68の駆動力
を出力軸24に伝達させ、ステアリングホイール8の操
作力をアシストすべく電動機68の駆動力を制御する。
【0035】なお、電動パワーステアリング装置20
は、電動機68等の駆動系に異常が発生し、例えばウォ
ームホイール54が作動しない状態、いわゆるロック状
態になることがある。この場合には、連結ピン46が出
力軸24の大径部34に形成した連結穴47の内壁に当
接されることにより、入力軸22が出力軸24を直接的
に回転させることになる。この入力軸22による出力軸
24の直接的な回転は、クラッチ機構48の転動体54
を出力軸24の大径部34とウォームホイール54とか
ら解放させるように作用する。これにより、電動パワー
ステアリング装置20は、駆動系がロックした場合に
も、手動による操作が可能となっている。
【0036】この電動パワーステアリング装置20に
は、前記クラッチ機構48の係脱状態を検出する検出手
段128を設けている。この検出手段128は、図4に
示す如く回路構成されている。検出手段128は、電動
機68の駆動回路140に設けられる。駆動回路140
は、電動機68の+端子68Aに接続されるトランジス
タ132A・132Bと、電動機68の−端子68Bに
接続されるトランジスタ136A・136Bとから構成
される。なお、電動機68を一方向に回転させる場合
は、トランジスタ132A・136Bをドライイバー1
30A・134Bを介して駆動する。電動機68を他方
向に回転させる場合は、トランジスタ132B・136
Aをドライバー130B・134Aを介して駆動する。
【0037】前記検出手段128は、駆動回路140の
電圧降下によりクラッチ機構48の係脱状態を検出すべ
く、+端子68A及びトランジスタ132A・132B
と、−端子68B及びトランジスタ136A・136B
と、のいずれか一方の端子・トランジスタ間にシャント
抵抗142を介装して設け、このシャント抵抗142に
より発生する電圧降下を検出する電圧検出回路144を
制御部114に接続して設けている。検出手段128
は、電動機68に加えられた駆動電流をシャント抵抗1
42により発生する電圧降下として電圧検出回路144
により検出する。
【0038】前記制御部114は、検出手段128によ
り検出する電動機68の駆動電流値の変化する時点の変
位量をステアリングセンサ76により検出してクラッチ
機構48が係合される時期を検出し、ステアリングホイ
ール8の操作時にクラッチ機構48が係合される時期に
同期させてステアリングホイール8の操作力のアシスト
を開始すべく電動機68の駆動力を制御する。
【0039】次に、この実施例の作用を説明する。
【0040】電動パワーステアリング装置20は、制御
部114によつて、ステアリング8が操作された際に、
ステアリングセンサ76の検出する入力軸22と出力軸
24との変位量及び変位方向に基づいてアシスト量及び
アシスト方向を決定し、入力軸22と出力軸24との変
位量が設定値を越えることにより係合されたクラッチ機
構48を介して電動機68の駆動力を出力軸24に伝達
させ、ステアリングホイール8の操作力をアシストすべ
く電動機68の駆動力を制御する。なお、アシスト量及
びアシスト方向は、ステアリングセンサ76の検出信号
のみならず、車速センサ118の検出信号や、さらには
イグニションコイル116からの点火信号によるエンジ
ン回転数を加味して決定される。
【0041】この電動パワーステアリング装置20は、
制御部114によって、図1に示す如く、検出手段12
8によりクラッチ機構48が係合される時期を検出(ス
テップ200)する。ついで、ステアリングホイール8
の操作時に、クラッチ機構48が係合される時期に同期
させてステアリングホイール8の操作力のアシストを開
始すべく電動機68の駆動力を制御(ステップ202)
する。
【0042】制御部114は、検出手段128の電圧検
出回路144から入力する電圧降下により、クラッチ機
構48が係合される時期を検出する。検出に際しては、
図3に示す如く、全トルク域において電動機68を駆動
し、検出手段128から入力する電圧降下により電動機
電流の変化を監視する。クラッチ機構48を介して出力
軸24に伝達される電動機68の駆動力は、クラッチ機
構48が係合されると、増加する。
【0043】このとき、電動機68に流れる電流は、ク
ラッチ機構48が離脱されている場合にほとんど流れな
い。電動機68に流れる電流は、クラッチ機構48が係
合して駆動力が出力軸24に伝達されると、電動機68
に対する負荷の増加により増加する。したがって、電動
機68に流れる電流が増加する時点は、クラッチ機構4
8が係合される時期である。制御部114は、電流の変
化する時点の変位量をステアリングセンサ76により検
出し、クラッチ機構48の係合される時期を検出する。
【0044】制御部114は、クラッチ機構48の係合
する時期を検出すると、このクラッチ機構48の係合す
る時期が検出されるまでの図5に破線で示すアシストマ
ップから、クラッチ機構48の係合する時期と同期して
電動機68によるアシストが開始されるような図5に実
線で示すアシストマップに補正する。
【0045】これにより、制御部114は、ステアリン
グホイール8が操作された際に、このクラッチ機構48
が係合される時期に同期させて、ステアリングホイール
8の操作力のアシストを開始すべく電動機68の駆動力
を制御することができる。
【0046】このように、この電動パワーステアリング
装置20は、制御部114によって、検出手段128に
よりクラッチ機構48が係合される時期を検出し、ステ
アリングホイール8の操作時にクラッチ機構48が係合
される時期に同期させて、ステアリングホイール8の操
作力のアシストを開始すべく電動機68の駆動力を制御
する。
【0047】これにより、この電動パワーステアリング
装置20は、入力軸22と出力軸24との相対回転によ
る変位量が設定値を越えてクラッチ機構48が係合した
直後から変位量が最大となるまでの広い範囲で、電動機
68により操作力をアシストすることができる。また、
この電動パワーステアリング装置20は、部品の製造上
のばらつきや摩耗等により変化するクラッチ機構48の
係合する時期と電動機68によるアシストの開始時期と
のずれを、図5に実線で示す如く補正することができ
る。
【0048】このため、この電動パワーステアリング装
置20は、電動機68によるアシスト量の変化をゆるや
かにすることができ、異音の発生やステアリング操作上
の違和感を無くすことができる。また、この電動パワー
ステアリング装置20は、走行中に電動機68によりア
シストしない状態でクラッチ機構48が係合されること
が無く、路面から電動機68が受ける反動を減少するこ
とができ、電動機68の耐久性を向上し得る。
【0049】この発明のさらに具体的な実施例を、説明
する。
【0050】この具体的な実施例において、電動パワー
ステアリング装置20は、前述実施例と同様の構成を有
しているので、要部を説明する。即ち、電動パワーステ
アリング装置20は、クラッチ機構48の係脱状態を検
出する検出手段128を設けている。この検出手段12
8は、上述と同様に、図4に示す如く電動機68の駆動
回路140に設けられている。
【0051】検出手段128は、駆動回路140の電圧
降下によりクラッチ機構48の係脱状態を検出すべく、
+端子68A及びトランジスタ132A・132Bと、
−端子68B及びトランジスタ136A・136Bと、
のいずれか一方の端子・トランジスタ間にシャント抵抗
142を介装して設け、このシャント抵抗142により
発生する電圧降下を検出する電圧検出回路138を制御
部114に接続して設けている。
【0052】制御部114は、車両2の駆動システムの
システム起動後の第1回目のステアリングホイール8の
操作時に、前記の如く検出手段128によりクラッチ機
構48が係合される時期を検出する。そして、制御部1
14は、第2回目以降のステアリングホイール8の操作
時に、前記検出されたクラッチ機構48が係合される時
期に同期させて、ステアリングホイール8の操作力のア
シストを開始すべく電動機68の駆動力を制御する。
【0053】次に、この作用を説明する。なお、車両2
の駆動システムの駆動源として、内燃機関(図示せず)
を搭載した車両2を例示して説明する。
【0054】この電動パワーステアリング装置20は、
制御部114によって、図2に示す如く、車両2の駆動
システムのシステム起動として、内燃機関を始動すべく
イグニションスイッチ122がオン(ステップ300)
されると、内燃機関を始動後の第1回目のステアリング
ホイール8の操作であるか否かを判断(ステップ30
2)する。
【0055】第1回目のステアリングホイール8の操作
である場合(ステップ302:YES)は、クラッチ機
構48が係合される時期の入力軸22と出力軸24との
変位量を検出(ステップ304)する。
【0056】このクラッチ機構48が係合される時期の
変位量の検出については、前述の如く図4に示す検出手
段128により電動機68に流れる電流を検出し、図3
に示す如く電動機68に流れる電流が増加する時点をク
ラッチ機構48が係合される時期として検出し、このと
きの変位量をクラッチ機構48が係合される時期の変位
量としてステアリングセンサ76により検出する。
【0057】制御部114は、前記検出されたクラッチ
機構48の係合する時期の変位量から、このクラッチ機
構48の係合する時期が検出されるまでの図5に破線で
示す補正前のアシストマップから、クラッチ機構48の
係合する時期と同期して電動機68によるアシストが開
始されるような図5に実線で示すアシストマップに補正
する。(ステップ306)
【0058】次いで、制御部114は、この補正したア
シストマップによりクラッチ機構48が係合される時期
に同期させてステアリングホイール8の操作力のアシス
トを開始すべく電動機68の駆動力を制御する、通常制
御(ステップ308)を実行し、ステップ302にリタ
ーンする。
【0059】なお、第1回目のステアリングホイール8
の操作でない場合(ステップ302:NO)は、前記ス
テップ304〜306によりクラッチ機構48が係合さ
れる時期の変位量が検出されてアシストマップが補正さ
れているので、ステップ308にジャンプする。
【0060】つまり、制御部114は、第1回目のステ
アリングホイール8の操作時にクラッチ機構48の係合
する時期の変位量を検出して図5に実線で示すアシスト
マップに補正し、第2回目以降のステアリングホイール
8の操作時に前記補正されたアシストマップによりクラ
ッチ機構48が係合される時期に同期させてステアリン
グホイール8の操作力のアシストを開始すべく電動機6
8の駆動力を制御するものである。
【0061】これにより、制御部114は、ステアリン
グホイール8が操作された際に、このクラッチ機構48
が係合される時期に同期させて、ステアリングホイール
8の操作力のアシストを開始すべく電動機68の駆動力
を制御することができる。
【0062】このように、この電動パワーステアリング
装置20は、制御部114によって、車両2に搭載され
る駆動システムである内燃機関の始動後の第1回目のス
テアリングホイール8の操作時に検出回路128により
クラッチ機構48が係合される時期を検出し、第2回目
以降のステアリングホイール8の操作時にクラッチ機構
48が係合される時期に同期させてステアリングホイー
ル8の操作力のアシストを開始すべく電動機68の駆動
力を制御する。
【0063】これにより、この電動パワーステアリング
装置20は、車両2に搭載される駆動システムである内
燃機関の駆動中に入力軸22と出力軸24との相対回転
による変位量が設定値を越えてクラッチ機構48が係合
した直後から変位量が最大となるまでの広い範囲で、電
動機68により操作力をアシストすることができる。
【0064】このため、この電動パワーステアリング装
置20は、電動機68によるアシスト量の変化をゆるや
かにすることができ、異音の発生やステアリング操作上
の違和感を無くすことができる。また、この電動パワー
ステアリング装置20は、走行中に電動機68によりア
シストしない状態でクラッチ機構48が係合されること
が無く、路面から電動機68が受ける反動を減少するこ
とができ、電動機68の耐久性を向上し得る。
【0065】また、この電動パワーステアリング装置2
0は、部品の製造上のばらつきや摩耗等により変化する
クラッチ機構48の係合する時期と電動機68によるア
シストの開始時期とのずれを、図5に実線で示す如く補
正することができとともに、車両2に搭載される駆動シ
ステムである内燃機関の始動毎にずれを補正することが
できる。
【0066】このため、この電動パワーステアリング装
置20は、クラッチ機構48の係合する時期と電動機6
8によるアシストの開始時期とのずれを、駆動システム
である内燃機関の始動毎に確実に補正することができ
る。また、この電動パワーステアリング装置20は、ク
ラッチ機構48の経時的な摩耗による係合する時期の変
化を補正し得て、常に安定したアシストを得ることがで
きる。
【0067】さらに、電動パワーステアリング装置20
は、クラッチ機構48の係合する時期と電動機68によ
るアシストの開始時期とのずれの補正を学習制御するこ
とも可能であり、学習制御によりさらに安定したアシス
トを得ることが可能になる。
【0068】なお、車両2の駆動システムの駆動源とし
て内燃機関を例示したが、駆動システムの駆動源として
電動機を搭載する車両2についても同様に実施可能であ
る。この場合に、図2のステップ300は、車両2の駆
動システムのシステム起動として、駆動源である電動機
を含むシステムの起動スイッチ(図示せず)がオンされ
た場合とする。
【0069】
【発明の効果】このように、この発明によれば、電動パ
ワーステアリング装置は、車両のシステム駆動中に入力
軸と出力軸との相対回転による変位量が設定値を越えて
クラッチ機構が係合した直後から変位量が最大となるま
での広い範囲で電動機により操作力をアシストすること
ができ、また、部品の製造上のばらつきや摩耗等により
変化するクラッチ機構の係合する時期と電動機によるア
シストの開始時期とのずれを補正することができ、さら
に、車両のシステムの始動毎にずれを補正することがで
きる。
【0070】このため、この電動パワーステアリング装
置は、電動機によるアシスト量の変化をゆるやかにする
ことができ、異音の発生やステアリング操作上の違和感
を無くし得て、また、走行中に電動機によりアシストし
ない状態でクラッチ機構が係合されることが無く、路面
から電動機が受ける反動を減少し得て、電動機の耐久性
を向上し得て、さらに、クラッチ機構の経時的な摩耗に
よる係合する時期の変化を補正し得て、常に安定したア
シストを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動パワーステアリング装置の実施例を示す制
御部による制御のフローチャートである。
【図2】電動パワーステアリング装置のさらに具体的な
実施例を示す制御部による制御のフローチャートであ
る。
【図3】電動機の駆動力と出力軸に伝達される電動機の
駆動力と電動機の電流とのタイムチャートである。
【図4】電動パワーステアリング装置の制御部に接続さ
れる検出手段の回路構成図である。
【図5】入力軸と出力軸との変位量と電動機のアシスト
量との関係を示す図である。
【図6】制御部の回路構成図である。
【図7】車両に搭載された電動パワーステアリング装置
の概略構成図である。
【図8】ステアリングホイール中立位置におけるステア
リングセンサの動作を説明する概略構成図である。
【図9】ステアリングホイール左回転操作時におけるス
テアリングセンサの動作を説明する概略構成図である。
【図10】ステアリングホイール右回転操作時における
ステアリングセンサの動作を説明する概略構成図であ
る。
【図11】電動パワーステアリング装置の要部拡大断面
図である。
【図12】図11のXII−XII線による断面図であ
る。
【図13】図11のXIII−XIII線による断面図
である。
【図14】図12の矢印A部位におけるクラッチ機構が
離脱されている状態の拡大断面図である。
【図15】図12の矢印A部位におけるクラッチ機構が
係合されている状態の拡大断面図である。
【図16】従来技術を説明する入力軸と出力軸との変位
量と電動機のアシスト量との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 車両 4 前輪 6 後輪 8 ステアリングホイール 10 ステアリングコラム 12 ステアリングギヤ 18 タイロッド 20 電動パワーステアリング装置 22 入力軸 24 出力軸 40 弾性体 48 クラッチ機構 68 電動機 76 ステアリングセンサ 114 制御部 116 イグニションコイル 118 車速センサ 120 ジェネレータ 122 イグニションスイッチ 128 検出手段 140 駆動回路 142 シャント抵抗 144 電圧検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野尻 博海 静岡県磐田市明ケ島1019番地の68 (72)発明者 佐藤 光司 静岡県掛川市成滝392番地の1 (56)参考文献 特開 平1−218973(JP,A) 特開 昭59−137255(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/04 B62D 6/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のステアリングホイールに接続され
    る入力軸とステアリングギヤに接続される出力軸とを弾
    性体を介して相対回転可能に軸支して設け、前記入力軸
    と前記出力軸との相対回転による変位量が設定値以下で
    あると前記出力軸に対して離脱されるとともに前記入力
    軸と前記出力軸との相対回転による変位量が設定値を越
    えると前記出力軸に係合されるクラッチ機構を設け、こ
    のクラッチ機構により前記出力軸への駆動力の伝達を断
    続される電動機を設け、前記入力軸と前記出力軸との相
    対回転による変位量及び変位方向を検出するステアリン
    グセンサを設け、このステアリングセンサの検出信号に
    基づいて前記電動機の駆動力を前記クラッチ機構を介し
    て前記出力軸に伝達することにより前記ステアリングホ
    イールの操作力をアシストする電動パワーステアリング
    装置において、前記クラッチ機構の係脱状態を検出する
    検出手段を設け、前記車両のシステム起動後の第1回目
    の前記ステアリングホイール操作時に前記検出手段によ
    り前記クラッチ機構が係合される時期を検出し、第2回
    目以降の前記ステアリングホイール操作時に前記クラッ
    チ機構が係合される時期に同期させて前記ステアリング
    ホイールの操作力のアシストを開始すべく前記電動機の
    駆動力を制御する制御手段を設けたことを特徴とする電
    動パワーステアリング装置。
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