JP3183877B2 - 修飾バキュロウイルス、その調整方法及びそれの形質発現ベクターとしての適用 - Google Patents

修飾バキュロウイルス、その調整方法及びそれの形質発現ベクターとしての適用

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、バキュロウイルスのウイルス性含有物、ポ
リヘドリン(polyhedrin)及び/又はプロテインP10の
主たるポリペプチドのプロモーター(promoter)の背後
に非反復分割部位(unique cleavage site)を有する、
修飾された(modified)バキュロウイルスに関するもの
であり、また、そのような修飾バキュロウイルスを得る
ための方法、及びその形質発現ベクターとしての適用に
関するものである。
(背景技術) 遺伝子工学では、真核細胞のウイルス性ベクターの体
系を利用して、外来性のDNAを、人工的抗原変換によっ
て動物若しくは植物の細胞内に導入している。その主要
な外来性のウイルスは、哺乳動物の細胞〔例えば、SV40
やポリオーマ(polyoma)〕や、植物細胞(例えば、カ
リフラワー・モザイク・ウイルス)におけるDNA形質導
入ベクターとして役立ちそうなものであり、それらのヌ
クレオキャプシド(nucleocapsid)の構造の形態学によ
り、制限された長さの単なる外来性(異種)DNAを受け
入れることが出来る。そのゲノムのサイズは、導入され
た配列の存在によって相当に増大されているところか
ら、より外来性の異種DNAにすみかを与えることの出来
る有用なベクターを有することが絶対に必要であること
を証明した。特に、遺伝子工学における発展が、一つよ
りも多くの異種遺伝子を、その目的、例えば調和した発
現を得ることや、可能ならば異種遺伝子の生成物の調和
した活性を得ることの目的を有する宿主細胞内に挿入し
ようとする試みに向かっているからである。理想的なウ
イルスのベクターは、また長い異種DNAセグメントの細
胞内への導入を高い成功頻度をもって許容しなければな
らず、また全ての細胞質状蛋白質の一つ若しくはそれ以
上の異種遺伝子の発現への生合成の変換を許容しなけれ
ばならない。
これら全ての条件を満たすと思われるウイルスは、次
のようなバキュロウイルスである:核多角体病ウイルス
群であるオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa
Publ.californica;AcNPV)であり、これは、L.K.Mille
r(手引書:“GENETIC ENGINEERING IN PLANT SCIENCE
S"(1981)の「無脊椎動物における遺伝子工学のための
ウイルスベクター」における第14章、N.J.Panopoulos,E
d.,Praeger New York,第203−223頁)によれば、真核細
胞環境において、多くの異種遺伝子の遺伝や発現のため
の優れたベクターを構成している。この研究によれば、
AcNPVは、二つの形態、即ち非封入ウイルス(NOV)及び
封入ウイルス(OV)を提供し、それらはバキュロウイル
スによって伝染の過程において異なる役割を果たしてい
る。また、ポリヘドリンのために暗号化した遺伝子は必
要でなく、異種遺伝子の発現の高いレベルを与え得るベ
クター体系を得るために、ヘドリンに暗号を付けるヌク
レオチド配列内に導入された異種DNAによって排除さ
れ、また置き換えられ得るものである。更に、この研究
においては、AcNPV封入体のマトリックスを形成する結
晶性の蛋白質であり、且つ30kDaの分子量を有するポリ
ヘドリンが、その模写工程の間にポリヘドリン遺伝子の
拡大を惹起することなく、OVによって極めて多量に合成
されることが指摘されており、またポリヘドリンmRNA合
成のプロモーターが例外的に強力であり、そして異種の
形質発現の高いレベルを得るために使用され得ることを
示唆している。また、前記の著者は、既に確認されたAc
NPVのゲノムがポリヘドリン遺伝子のために暗号化され
ていることが以前に確立されていたことを示している。
加えて、多くのAcNPVの遺伝子型変態が観察され、また
制限エンドヌクレアーゼ部位の幾つかの変位が幾つかの
自然形成変態のために図表化されている。
また、前述の研究では、L.Millerは、AcNPVのゲノム
(DNA)が細胞培養において伝染性であることを思い出
させ、そして細胞培養を形質転換するためのこのゲノム
の能力が、例えばウイルス性DNAに対する異種DNAの結合
を許容し、トランスフェクションのプロセスによって培
養セル内に組換えDNAを挿入し、また付加的なDNA配列を
含むウイルスを得るようなタイプのものであり、またそ
のような能力はAcNPVのDNA或いは組換えやその細胞内へ
の容易な再挿入のインビトロ(in vitro)的操作を許容
するようなタイプのものであることを思い出させ、そこ
ではAcNPVゲノム(推定によれば82〜88万ダルトンの分
子量若しくは92万ダルトンの分子量を有している)の大
きなサイズが、宿主細胞への大きな異種DNAセグメント
の予想される導入において利点を有している。更に、こ
の研究では、感染した細胞において生産される大量のポ
リヘドリンにより、その発現のためのポリヘドリンプロ
モーターを用いて、ポリヘドリン遺伝子を異種DNAによ
って置き換えることにおいて利点があることが述べられ
ている。
「ANIMAL VIRUS GENETICS,6,GENETIC MUTATIONS OF A
BACULOVIRUS」,ACADEMIC PRESS(1980),第71−80頁
に見られるK.M.potter及びL.K.Millerによる論文におい
ては、幾つかの制限エンドヌクレアーゼの部位の制限マ
ップに基づいて、AcNPV突然変位体の遺伝マップを確立
するとめのマーカー・レスキュー(marker rescue)法
が記述されており、その方法は、突然変位DNAゲノムを
生体内で野性型AcNPVのDNA制限フラグメントで組み換え
ることからなるものである。
多数の刊行物が、L.Millerがその研究において報告し
たデータを用いている。出願人がザ・テキサス・エー・
アンド・エム・ユニバーシティー・システム(発明者
は、G.E.Smith及びD.Summersとされている)であるヨー
ロッパ特許出願第0127839号、出願人:マイクロジェネ
シス(発明者は、M.M.Cochranとされている)であるヨ
ーロッパ特許出願第0228036号、D.H.L.Bishop及びC.Y.K
angが出願人及び発明者であるヨーロッパ特許出願第026
0090号は、何れも、敏感な宿主昆虫細胞に感染するよう
に用いられる組換えバキュロウイルス発現ベクターを製
造することを、その目的としている。それらのプロセス
によれば、ポリヘドリン蛋白質にコードを付けたDNA配
列やポリヘドリンプロモーターを含むDNAフラグメント
は、先ずオートグラファ・カリフォルニカ(AcMNPV)の
如き適当なバキュロウイルスから分離される。
そして、それら三つの刊行物の最初のものによれば、
その分離されたフラグメントは、プラスミドPUC8の如き
クローニングベクターに挿入され、クローニング媒介物
(プラスミド)からなる転移ベクターを形成する。この
クローニング媒介物は、必然的にポリヘドリンプロモー
ターを含み(しかし、ポリヘドリンのためにコード化し
たDNA配列は必然的でない)、また該プロモーターの転
写制御の下に存在する選択遺伝子をクローニングするに
有効な部位を有している;それから組換え転移ベクター
が、組換えDNA手法の使用によって、選択された遺伝子
の前記有効なクローニング部位への挿入によって形成さ
れる。そして、最後に、この組換え転移ベクターからト
ランスフェクションによって該組換え転移ベクターのフ
ラグメントをバキュロウイルスDNA内に組み入れること
によって、組換え発現ベクターが形成されるのである。
このような方法において形成された組換えバキュロウイ
ルス発現ベクターは、前記組換え転移ベクター内に挿入
された選択遺伝子を発現し得るものである。
また、前記三つの刊行物のうちの二つ目のものは、ウ
イルスによって感染された宿主細胞におけるHB表面抗原
の如きポリペプチドを製造することを目的とするもので
あり、バキュロウイルス(昆虫宿主細胞に感染すること
の出来るウイルス)から、ポリヘドリンプロモーターの
如きウイルス性プロモーターを含む第一のDNAセグメン
トを分離し、次いで適当な源からポリペプチドのために
コード化された配列を含む第二のDNAセグメントを分離
し、そしてそれら二つのDNAセグメントを結合して、第
三のDNAセグメントの連続的なストランドを形成する。
この第三のDNAセグメントは、前記第二のDNAセグメント
が前記第一のDNAセグメントのプロモーターに隣接した
ベクターDNAを含み、また転写シグナルの端部を有して
いる;組換えベクターは、それから上記の第三のセグメ
ントをバキュロウイルスのゲノムDNAで組み換えること
によって形成され、その後、該組換えベクターは、前記
宿主細胞内への組換えベクターセグメントの結合を惹起
して、それらの感染するような条件の下で、植物宿主細
胞と接触して配置される;それから、それらは培養さ
れ、細胞から或いは培養上澄み液からHB表面抗原が分離
される。
さらに、前記三つの刊行物のうちの三番目のもの(ヨ
ーロッパ特許出願第0260090号)は、HBウイルス表面抗
原蛋白質(HBsAg)またはプロテインPRO−S2の少なくと
も一つの抗原フラクションを含むポリペプチドを製造す
ることを、その目的とするものである。そこでは、ポリ
ヘドリンプロモーターの発現の制御の下に、目的とする
ポリペプチド(HBsAg)のためにコード化したDNAセグメ
ントを含む組換えバキュロウイルスによって構成される
発現ベクターにて、昆虫若しくは敏感な昆虫細胞を感染
させることが行なわれている。この組換えバキュロウイ
ルスは、それ自身、伝染性バキュロウイルスDNAを有す
る昆虫細胞培養物と、HBウイルス抗原を示す遺伝子を有
するバキュロウイルス転移プラスミドベクターとのコト
ランスフェクションによって得られるものであり、かか
るベクターは、バキュロウイルスポリヘドリン遺伝子の
ためにコード化された、しかしポリヘドリンプロモータ
ーの制御の下に最初の5′配列の部位に配置されてい
る。
これらの三つの刊行物は、発現ベクターを得るため
に、異種遺伝子が詰め込まれた媒体である転換ベクター
を用いる必要があるという共通の態様を有しているので
ある(その異種遺伝子は、ヨーロッパ特許出願第012793
9号においては、ベーターインターフェロンのためのも
のであり、ヨーロッパ特許出願第0228036号や第0260090
号では、HBsAgのための遺伝子である)。その転換ベク
ターが詰め込まれる時に、異種遺伝子は、ウイルス内に
移される必要がある。そして、それはそれら特許出願の
場合に、コトランスフェクションによって成し遂げら
れ、その後組換えウイルスは、捜し求められて分離さ
れ、有効であろうとなかろうと、発現ベクターを構成す
ることとなる。それら転移及び選択操作は、長く且つ微
妙なものである:異種配列は、プラスミド転換(若しく
は転移)ベクターによって構成される中間構造内に詰め
込まれ、そしてそれから発現ベクターを得るために、コ
トランスフェクション及びそれ故にマーカー・レスキュ
ー法を用いることが必要とされる。
また、「PHYSICAL ANALYSIS OF AUTOGRAPHA CALIFORN
ICA NUCLEAR POLYHEDROSIS VIRUS TRANSCRIPTS FOR POL
YHEDRIN AND 10000−MOLECULAR WEIGHT PROTEIN」なる
表題のSmith,Vlack及びSummersによる論文にも言及され
るべきである。かかる論文は、「Journal of Virolog
y」1983年1月、第215〜225頁に見られ、それら著者
は、AcMNPVポリヘドリン(nuclear polyhedrosis virus
Autographa californica)のmRNAの5′及び3′末端
を特定するDNA配列の大きさ、転写方向及び配備につい
て記述している。このポリヘドリンは、ウイルス性封入
体の主たる構造的ポリペプチドである;この論文におい
ては、ポリヘドリンに匹敵し得る(大)量において、感
染された宿主細胞で生産される10KDaオーダーのSDS−PA
GEゲルにおける低分子量のAcMNPVプロテインの問題があ
る。この文献によれば、P10プロテインは、ポリヘドリ
ンのようにAcMNPVの遺伝子であり、感染後24時間で、Ac
MNPV感染細胞は、ポリヘドリンやプロテインP10のため
の遺伝子が位置するゲノム領域とハイブリッドを形成す
る大量のポリ(A)+RNAを含む;感染した細胞に蓄積
するそれら二つの遺伝子のmRNA及びプロテインは、昆虫
細胞において、それら遺伝子の発現の制御の理解を与え
ている。かかる研究は、感染の末期段階で、ポリヘドリ
ン及びプロテインP10のより好ましい発現の原因となるD
NA配列をモデルとして用いて実行されたものである。先
に指摘のヨーロッパ特許出願第0127839号(ザ・テキサ
ス・エー・アンド・エム・ユニバーシティ・システム
ズ)において、発明者であるSmithやSummersは、プラス
ミドの如きクローニング媒体内に挿入された遺伝子若し
くはそのフラグメント(それ自身、最初はバキュロウイ
ルスDNA分割によって得られるDNAフラグメントの挿入に
よって修飾され、そしてバキュロウイルス遺伝子若しく
はそのフラグメントを含み、要求される組換えバキュロ
ウイルス転移ベクターを形成している)は、ポリヘドリ
ン遺伝子か、或いはその断片でポリヘドリンプロモータ
ーを含むものか、又はプロテインP10プロモーターを含
むプロテインP10遺伝子である。AcMNPVゲノムにおける
ポリヘドリン遺伝子やプロテインP10遺伝子のそれぞれ
の位置は、この特許出願に示されている。また、そこに
は、選択遺伝子が効果的に部位特定方法において導入さ
れ得る未知の非反復制限部位をAcMNPVゲノムが有してい
るために、遺伝子転移のための中間媒体として作用する
架空のプラスミドベクター(若しくは転移ベクター)を
構成することが必要であることを述べている。
(発明の目的) 従って、本発明は、転移ベクターの中間段階を通過す
る必要なく、得ることの出来る発現ベクターを提供する
ことを、その目的とするものである。
また、本発明は、実際に、ある配列(sequence)を負
荷し得る、未負荷の発現ベクター(unloaded expressio
n vector)を提供しようとするものであり、加えて遺伝
子操作によってインビトロで直接に異種配列が負荷せし
められ得る発現ベクターを提供しようとするものであ
る。
(発明の構成) 本発明は、外来性遺伝子の発現ベクターとして用いら
れ得る修飾バキュロウイルスを製造するための手法にお
いて、適当な制限部位(restriction site)が、転移ベ
クターの援助に頼らないで、少なくとも一つのプロテイ
ンのための遺伝子の強い後期プロモーター(strong lat
e promoter)の下流で、完全若しくは不完全なバキュロ
ウイルス・ゲノムに直接に挿入され、またかかるプロテ
インは、バキュロウイルス会合形成体(baculovirus−a
ssociated formations)(ポリヘドリンの如きバキュロ
ウイルスのウイルス性封入物、若しくはプロテインP10
の如き、ウイルス性封入物以外のバキュロウイルス会合
プロテイン)を構成するものであり、そしてそのような
操作によって、少なくとも一つの異種遺伝子の少なくと
も一つの配列を受け入れる用意のある未負荷の発現ベク
ターであって、その発現が目的とするものであるものを
構成する修飾ウイルスを得ることを特徴とするものであ
る。
そのようなプロテインの遺伝子の中には、特に、ポリ
ヘドリンのための遺伝子やプロテインP10のための遺伝
子がある。
本発明に従う方法の一つの具体例によれば、その発現
が目的とされるものである異種DNAフラグメントを受け
入れる用意のある未負荷の発現ベクターを構成する修飾
バキュロウイルスを組み立てるために、少なくとも一つ
の所定の酵素のための制限部位を欠くバキュロウイルス
が用いられ、かかる酵素上に考慮された少なくとも一つ
の酵素のために少なくとも一つの非反復制限部位が位置
せしめられるのである。
また、本発明に従う修飾バキュロウイルスを製造する
方法の有利な態様によれば、用いられる所定の酵素のた
めの制限部位を欠く元の(最初の)バキュロウイルス
は、該制限部位を自然に欠くバキュロウイルスであり、
特に例えばスポドプテラ・フルギパルダ(Spodoptera f
rugiparda:Sf)の核多角体病バキュロウイルス(nuclea
r polyhedrosis baculovirus)である。
本発明に従う修飾バキュロウイルスの製造方法に係る
他の有利な具体例によれば、用いられる所定の酵素のた
めの制限部位を欠く元のバキュロウイルスは、そのゲノ
ムに僅かに位置せしめられた(poorly situated)制限
部位が最初は抑圧されている(suppressed)バキュロウ
イルスである。
修飾バキュロウイルスの製造方法に係る有利な具体例
によれば、僅かに位置させられた制限部位の抑圧(supp
ression)が望まれる場合において、そのような抑圧
は、考慮された元のバキュロウイルスからのDNAとプラ
スミドとのコトランスフェクション(co−transfectio
n)によって達成されるものである。かかるプラスミド
には、直接状となるように、酵素によって開裂される制
限部位を含むDNAフラグメントがクローニングされ、そ
してリンカーが結紮され、またそのような結紮の後、抑
圧された制限部位を欠くプラスミドに転換されるのであ
る。このコトランスフェクションは、そのような部位を
欠く組換えウイルスを生み出している。
本発明に従う修飾バキュロウイルスの製造方法に係る
他の有利な具体例によれば、バキュロウイルス会合形成
体を構成する少なくとも一つのプロテインのための遺伝
子の強力な後期プロモーターの下流に、特にバキュロウ
イルス・ポリヘドリン及び/又はポリペプチドP10遺伝
子のためのプロモーターの下流側に所定の酵素のために
制限部位を導入することは、前記強力な後期プロモータ
ーの下流側に位置せしめられた制限部位を含むフラグメ
ントがクローニングされた適当なプラスミドとバキュロ
ウイルス許容細胞の細胞培養物とのコトランスフェクシ
ョンによって、実行される。このようなコトランスフェ
クションは、修飾された再結合ウイルスの形成を導くも
のである。この再結合ウイルスは、異種配列が負荷され
ていない昆虫細胞上へのその発現を期待して、少なくと
も一つの異種配列を受け入れる用意のある発現ベクター
に対応するものである。
本発明に係る方法の他の有利な具体例によれば、少な
くとも二つの異種DNAフラグメントを受け入れる用意の
ある未負荷の発現ベクターを構成する修飾バキュロウイ
ルスを組み立てるために、少なくとも二つの同一若しく
は異なる酵素のための少なくとも二つの同一若しくは異
なる制限部位が、適当な選択されたバキュロウイルス上
に設けられている。
かかる具体例の有利な変形例によれば、元のバキュロ
ウイルスが、二つの同一若しくは異なる酵素のために二
つの制限部位を欠く場合において、それら二つの制限部
位は、バキュロウイルス上に設けられることが望まれる
第一の制限部位を含むフラグメントがクローニングされ
た第一のプラスミドとのコトランスフェクションによっ
て、そしてそれから、バキュロウイルス上に設けられる
ことが望まれる第二の制限部位を含むフラグメントがク
ローニングされた第二のプラスミドとのコトランスフェ
クションによって、連続して導入されることとなる。
この具体例の他の有利な変形例によれば、元のバキュ
ロウイルスが、そのゲノムに僅かに位置させられた制限
部位を含む場合において、それら部位は、抑圧されるべ
き各々の制限部位を欠くプラスミドとの連続したコトラ
ンスフェクションによって、連続的に抑圧されることと
なる。
未負荷の発現ベクターとして修飾バキュロウイルスを
製造する方法の有利な具体例によれば、そのベクター
は、バキュロウイルス会合プロテインの遺伝子に近接し
て設けられた、或いはこの遺伝子の強い後期プロモータ
ーに近接して設けられた非反復制限部位を含んでいるこ
とにおいて特徴付けられている。
未負荷の発現ベクターを構成する修飾バキュロウイル
スを製造する方法の他の有利な具体例によれば、このベ
クターは、それぞれ、バキュロウイルス会合プロテイン
のための遺伝子と、この遺伝子の強い後期プロモーター
に近接して設けられた二つの同一若しくは異なる部位を
有していることにおいて特徴付けられる。
本発明は、また、その目的として、バキュロウイルス
会合プロテインのための遺伝子の適当な強い後期プロモ
ーターの下流側に配置された非反復制限部位を持つ修飾
バキュロウイルスを対象とするものであり、そしてそれ
は未負荷の発現ベクターを形成するために適当なもので
ある。
未負荷の発現ベクターを構成し得る、そのような修飾
バキュロウイルスを得るための有利な方法によれば、そ
のベクターは、少なくとも一つのバキュロウイルス会合
プロテインのための遺伝子のコドン(codon)ATGに密接
して、或いは該遺伝子の強い後期プロモーターに密接し
て設けられた非反復制限部位を有する修飾バキュロウイ
ルスである。
本発明の修飾バキュロウイルスを得るための他の有利
な方法によれば、それは少なくとも一つのバキュロウイ
ルス会合プロテインのための遺伝子のATGコドンに密接
し、またかかるウイルスの他の強い後期プロモーターに
密接して設けられた少なくとも二つの制限部位を有して
いる。
本発明は、また、その目的として、上記に定義された
修飾バキュロウイルスによって構成される未負荷の遺伝
子−発現ベクターを有するものである。
本発明は、更に、その目的として、少なくとも一つの
異種配列を有する未負荷の発現ベクターに負荷を与える
ための方法を有するものであり、そのような方法は、少
なくとも一つの異種配列が、遺伝子操作によって、イン
ビトロで、前記発現ベクター内に直接的に導入されるこ
とを特徴としている。
かかる負荷プロセスの一つの具体例によれば、少なく
とも一つの異種配列は、最初は未負荷の発現ベクターを
構成する修飾されたウイルスのゲノム内に直接に導入さ
れるものである。
かかる具体例の有利な変形例によれば、ウイルスのゲ
ノムは、少なくとも一つの異種配列の直接の導入の前
に、制限酵素の作用によって、先ず、直線状とされる。
かかる負荷プロセスの他の有利な具体例によれば、異
種DNAフラグメントは、前記未負荷の発現ベクターの第
一の制限部位内に直接に導入され、それから該第一のも
のと同一若しくはそれとは異なる第二のDNAフラグメン
トが直接に該発現ベクターの第二の制限部位に導入さ
れ、そしてその二つの制限部位が、共に異なる酵素のた
めの非反復制限部位となるものである。
かかる負荷プロセスの他の有利な具体例によれば、同
一若しくは異なる異種DNAフラグメントは、非反復制限
部位に負荷せしめられる。即ち、それら制限部位は、一
つの同一の酵素に対して二つの異なる制限部位が存在す
るとして定義されるものであり、前記未負荷の発現ベク
ターの部分的な消化(partialdigestion)によって部位
(site)を開き、その中に第一のDNAフラグメントがそ
れから導入され、また前記ベクターは、第二の部分的消
化に晒されて、前者と同一の第二の部位(stie)を開口
せしめ、その中に第二のDNAセグメントが負荷せしめら
れるのである。
本発明は、また、その目的として、負荷されたウイル
スを有するものであり、それは少なくとも一つの異種DN
A配列(その発現は目的とするものである)が直接にイ
ンビトロで導入される、最初は未負荷の発現ベクターを
構成する修飾バキュロウイルスによって形成されている
ことを特徴とするものである。
さらに、本発明は、その目的として、上記で定義され
たような負荷ウイルスを用いることを特徴とする異種遺
伝子の発現のための方法を有するものである。
本発明に従う発現ベクターは、前記配列が特定の制限
部位を含まないという条件で、実質的に他の配列で負荷
され得るものである。
その結果として、本発明に従う発現ベクターは、原核
プロテインや真核プロテインの如きプロテインのために
コード化される全ての遺伝子、生合成遺伝子のためにコ
ード化される全ての配列、ウイルスのプロテイン抗原及
び、特に非制限実施例として、無脊椎動物や脊椎動物の
アセチルコリンエステラーゼのための遺伝子を発現する
ために用いられ得るものである。
前記引用した刊行物、特に先述のヨーロッパ特許出願
は、ベーターインターフェロンのための遺伝子が、もし
それが遺伝子Pn上で最初のATGコドンの上流側の、即ち
このATGコドンに近接した幾つかのヌクレオチドに挿入
されるならば、一層有効に発現されることを述べてい
る。また、それらは、得られた組換えベクタープラスミ
ドが、例えば転写出発部位の下流側、即ち挿入ベクター
における野性型ATGコドン位置の上流側の約10ヌクレオ
チドの位置する非反復BamH I部位を有するポリヘドリン
プロモーター領域を含んでいることを述べている。換言
すれば、今日の技術状態では、限定されたバキュロウイ
ルスプロモーターの下流側の位置に非反復クローニング
部位を有し、ウイルスのゲノムの相同配列によって側面
に位置させられたクローニングベクターの構成が提案さ
れており、その挿入によって相同組換え(homologous r
ecombination)が行なわれているのである。
この知識は、本発明において、未負荷の発現ベクター
の製造に適用される。
転移ベクターへの依存を避けることについての本発明
によって提供される可能性は、異種プロテインを発現す
ることの出来る負荷組換えバキュロウイルスを得るため
の方法を相当に単純化する:本当に、転移ベクターを必
然的に含むプロセスでは、負荷組換えバキュロウイルス
の製造のために、数週間を要するものであるが、本発明
のプロセスでは、負荷バキュロウイルスを2,3日で得る
ことが出来るのである。
上記の如き特性の他にも、本発明は、以下の記述から
明らかとなる特性を更に含むものである。
(実施例) 以下に、本発明によってカバーされるプロセスの幾つ
かの実施例を挙げ、更に詳しく説明するが、そのような
記述を参照することによって、本発明はより良く理解さ
れるであろう。しかしながら、それら実施例は、本発明
の目的を説明するためにのみ提供されたものであり、そ
れらが本発明を何等限定するものでないことが、明瞭に
理解されねばならない。
実施例1:S1MNPVゲノムのSma I部位の抑圧 未負荷の発現ベクター、即ち異種配列を受け入れる用
意のある修飾バキュロウイルスを組み立てるために、所
定の酵素のための制限部位を欠くバキュロウイルスが選
択された;これは、例外的であり、しかしSma I制限部
位を有しないスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera
frugiperda)の核多角体病のバキュロウイルスを用い
たケースである。
一つ若しくはそれ以上の不充分に位置されられた制限
部位は、また、バキュロウイルスのゲノムにおいて抑圧
され得るものである:スポドプテラ・リトラリス(Spod
optera littoralis)の核多角体病のバキュロウイルス
のPst−I−Gフラグメント内に位置せしめられた一つ
のSma I部位は、特に、以下の手法によって抑圧され
た: PAT153タイプのプラスミドにクローニングされたS1MN
PVのPst−I−Gフラグメントは、Sma Iで切断され、リ
ンカーKpn Iが線状とされたプラスミドに連結された。
この連結の後の形質転換によって得られたSma I部位の
ないプラスミドは、Sma I部位を欠く組換えウイルスを
得るために、元のS1MNPVとコトランスフェクションされ
た。組換えウイルスは、このコトランスフェクションの
後に得られたウイルスの子孫から選択された。元のウイ
ルスに比較して、それらウイルスは、Sma I部位をなく
し、即ち、最早、Sma I部位を有するものではなくな
り、Kpn I部位を有するものであり、それ故に全体で7
+1=8Kpn I部位を有するものとなった。次のような工
程が、それら組換えウイルスを選択するために使用され
た:トランスフェクションされたキャタピラーの死の後
に取り入れられたポリヘドラ(polyhedra)は、新たな
トランスフェクションに供されるDNAのソースである。
この粗さなトランスフェクションの前にDNAはSma Iで切
断された。この処理は、それらのゲノムが開いているの
で、元のウイルスの増殖を抑圧する効果を有し、それで
組換えウイルスの増殖のみを許容する。これを基礎とす
るウイルスの増殖の数回のサイクルが、Sma Iによる切
断を最初に免れた元のウイルスの子孫を排除するために
必要とされる場合がある。
この僅かに位置せしめられたSma I制限部位を抑圧す
るプロセスが、添付の第1図に示されている。
実施例2:Sma I制限部位を欠くバキュロウイルス上への
ポリヘドリンプロモーターの下流側のSma I部位の設置 非反復部位(Sma I若しくはその他のもの)は、ポリ
ヘドリン(若しくはP10)のための遺伝子の最初のコド
ンであるATG領域に置かれなければならない。この部位
がATG前に置かれると、それは、それ自身のATGの制御の
下に異種遺伝子の発現を許容する(負荷部位の位置はAT
Gの上流側、即ちATGの5′サイド上にあると言われ
る)。これは、尤も共通した望ましい位置である。かか
る部位が、ATGの後に(ATGの下流側に、即ちかかるATG
の3′サイド上に)位置せしめられると、その状況は、
所謂融合プロテインの製造を許容する。ポリヘドリンAT
Gの制御の下に、かかる融合プロテインは、N−端末部
分においてポリヘドリン配列に対応するアミノ酸や、C
−端末部分において融合異種配列に対応するアミノ酸を
含む。前記部位が設けられた領域は、単なる例示として
−10nから+10nまで延びることの出来るものである。AT
GのAを+1として数え、またTを+2として、更にG
を+3として数えることは、従来のとおりである;ATG前
のベースは、マイナス符号(−)で番号で付けられる;A
よりも先にくるベースは−1、などと番号が付けられる
のである。
Sma Iの選択は、バキュロウイルスにおけるSma I部位
の相対的な希薄性(relative rarity)によって左右さ
れる。ウイルスDNAが、ブラント末端(ブラントエン
ド)の生成をもって、かかるエンドヌクレアーゼSma I
認識部位で切断されるという事実は、そのようなブラン
トエンドが異種配列のための一般的な入口を構成すると
ころから、確かに利点のあることである。この利点は、
その選択において、決定的要素ではない。スタート時で
は、そのようではないそれらの末端を鈍らせるのが通常
であるからである。プロモーターの下流側に適当に位置
せしめられた非反復制限部位を認識し得る制限エンドヌ
クレアーゼは、負荷された遺伝子の発現のための異種配
列の導入を時々それらの末端の僅かな修飾部位で許容す
る。
本発明に従って、Sma I制限部位を欠くウイルス上
に、例えば実施例1に従って処理されたスポドプテラ・
フルギペルダ若しくはスポドプテラ・リトラリスのNPV
上にポリヘドリン遺伝子プロモーター(プロテインP10
のものの如き、その他の強い後期プロモーター)の下流
側のSma I部位(ウイルスのゲノムのための非反復部位
を与える)を設けることが必要である。最良位置へのSm
a I部位の設置は、ポリヘドリン遺伝子配列が先ず確立
されること(特に、プロモーター領域)を前提としてい
る。このSma I部位を取り付けるには、ゲノムにポリヘ
ドリン遺伝子の制限された部分において開口せしめられ
ることを認める非反復制限部位を利用することが必要で
ある。この非反復部位は、全ウイルスにおいて稀なもの
である。この非反復部位の発見の可能性は、配列の大き
さが小さくなると増大する。
かかる導入は、幾つかの方法によって行なわれ得るも
のである。その中で挙げることの出来るのは、非反復部
位の創成を伴なう管理された突然変異(directed mutat
ion)であり、それらの部位にSma Iリンカーの導入が行
なわれるのである。
また、他の方法は、Sac I部位でウイルス配列の開裂
を伴なうBal31−誘起欠失を惹起せしめることである。
プラスミドのポリリンカーにおいて、第二のSac I部位
が存在するので、Bal31による消化に先立って、かかるS
ac I部位をポリリンカーから抑圧することが必要であ
る。
ポリリンカーは、当初は、次のような組成を有してい
る:EcoR I;Sac IKpn I;Sma I;BamH I;Xba I;Sal I;Pat
I;Sph I;Hind III。
pUC19におけるHind IIIフラグメントをクローニング
した後、制御された欠失が、Exo III−Mungビーン・シ
ステムを用いて行なわれた。封鎖部位は、ポリリンカー
5′領域に含まれるPst I部位であり、また消化部位
は、ポリリンカーとHind III−KフラグメントのXba I
部位との間に位置するHpa I部位である。この欠失は、
一方では、Pst IとHpa Iとの間に含まれるセグメントの
消滅を導き、他方では、同様なHpa I部位とウイルスXba
I部位との間に含まれるセグメントの消滅を導く。
かかる欠失されたプラスミドは、ウイルスの配列のXb
a I部位の周りで後から欠失されるプラスミドの直接的
な配列のために(単に、必需品の理由のために)、準備
される。この段階で、ポリリンカーは次のような組成を
有している:EcoR I;Sac I;Kpn I;Sma I;BamH I;Xba I;S
a II、そして3′での第一の重要なウイルス部位はXba
Iである。
それからポリリンカーのSac I部位は、二重のEcoR I
−BamH I消化によって脱離され、Xba I及びSa II部位の
みを有するポリリンカーを形成する。この方法におい
て、Sac I部位の周りを取り除き、且つその取り除いた
場所にそのプラスミドにおいて非反復となるSma Iリン
カーを取り付けることが可能である。Sma I部位の位置
は、Xba IがATGのAに対して−40に位置しているところ
から、−30〜+30の間になければならない。
プラスミドp13.21XSSは、S.littoralis細胞培養物上
でコトランスフェクションされ、そして異種配列で負荷
さていない発現ベクターに対応する組み換えられたウイ
ルスが「Pマイナス」発現型によって見い出される。こ
の発現型は、ポリヘドラがプラーク法において見い出さ
れ得ない伝染性フォーカスの原因となるウイルスのそれ
である。
このSma I制限部位を取り付けるためのプロセスが、
添付の第2図に示されている。
実施例3:ATGの直上流側への異種配列の負荷 発現ベクターの構成におけるこのステップは、本発明
に従って修飾されたバキュロウイルス、即ち例えば−4
位置に配置された非反復部位を有するウイルス(かかる
数字の付け方は、いつもポリヘドリン遺伝子の最初のAT
GのAに対して+1となっている)を具備することを前
提条件としている。かかる修飾ウイルスは、Bal31が消
化するSac I部位が+140に位置せしめられているところ
から、実際には、−3から約+280の間に延びるベース
から切除されている。ベクターの調整は、発現され得る
異種配列の調整を引き受けるものである。
負荷配列:ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila
melanogaster)のアセチルコリンエステラーゼ配列。
この発現されるべき配列は、D.melanogaster acetylc
holinesteraseのためのプラスミドpEMBL−Ache(Fourni
er et al.INRA,Antibesによって得られたプラスミドpE
6)の複製形態から得られる。この配列は、Hall及びSpi
erer(EMBO J.,1986,第2952頁)によって最初に発表さ
れ、3481の長いベースである。+869から+3481に延び
るNru I−Sac Iセグメントは、pUC19においてSma I−Sa
c Iに対して注意深くサブクローニングされ得るもので
ある。Nru Iは、この遺伝子のATGの上流側でアセチルコ
リンエステラーゼ遺伝子127ベースを開裂する。+921で
の非配列Aat II部位は、全Ache遺伝子を含むAat II−Sa
c Iフラグメントの回復を許容する(即ち、72ベースの
リーダー配列、1947ベースのORF及び+3050でのポリア
デニレーション信号を有する241ベースの3′配列)。
アンカーリング・テイル(anchoring tail)のため
に、コード化した配列の存在を避けるために、またアセ
チルコリンエステラーゼの精製をより容易と為すため
に、Aat II−Xmn Iセグメント(921〜+2856)を使用す
ることは極めて有益である。このセグメントは、ショウ
ジョウバエのAche遺伝子の下流側に649から離れた28ア
ミノ酸の截頭型プロテインを与えるものである。この組
合せの結果は、3′位置で融合したプロテインに導くこ
ととなる。この融合したプロテインの本質はBal31−誘
起欠失にて得られた残渣に依存している。Acheの後期コ
ドン及びGGGコドン(Sma I半部位である)によって形成
されたAGTGGG配列の後に、融合プロテインがポリヘドリ
ンの約120アミノ酸を含んでいる良好な読出しフレーム
(reading frame)におけるポリヘドリン遺伝子のベー
スが続いているか、或いは約30コドンの後に現れる停止
コドンを有する乏しい読出しフレームにおけるベースが
続いている。
Sma I部位で修飾ウイルス内に挿入されるべき二重に
寄り合わされたDNAの端部が、もし必要ならば、部位Sac
I及びAat IIのためのMung−beanの作用によって鈍感と
される。
Spodoptera littoralis細胞のトランスフェクション
の後、アセチルコリンエステラーゼ活性が感染後48時間
で分離されたX細胞から取り出され、そしてアセチルコ
リンエステラーゼを生産するために、更に48時間維持さ
れた上澄み液及び/又はホモジネートについて連続して
測定される。高い酵素作用を有するバッチは、制限稀釈
によってクローニングされる。正のクローンの存在は、
pUC−Acheプローブを有する雑種形成によって探索され
る。
実施例4:ATGの下流側への負荷(融合プロテインの場
合)、ベーターガラクトシダーゼ遺伝子の発現 先の実施例のように、本実施例でも、修飾バキュロウ
イルスの存在は当然のことである。このケースにおいて
は、Sac I部位からBal31によって生じた欠失は、ATGを
免じるものである。カサダバン・プラスミドpMCl871
(ファルマシア社から販売されているプラスミド)のSm
a I−Sa IIフラグメントがMung−beanによるSa II末端
の修飾の後、形質転換されたSma I部位内に挿入され
る。
この組立ては、以下の構造を示している: 〈・・・・ポリヘドリンプロモーター・・・・・ATG T
AT・・〈・・・GGG GAT CCC GTC・・・・Lacz・・・
AAA TAA TAA TAA CCG GGC AGG GGG GAT CCG
・〉・・・ポリヘドリンORFの3′末端 かかる構造を有する組換えウイルスは、X−galを用
いたそれらの青色着色によって、細胞培養物中において
認められる。
上記したところより明らかなように、本発明は、より
明確且つ具体的な形態において、上記されたそれら操作
方法、具体例、適用例のみに限定されるものではなく、
本発明の範囲と趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者
の知識に基づき、各種の変形を加えることが出来るもの
であり、本発明がそのような変形例をも含むものである
ことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ、実施例1及び実施例2
の操作を示すフローチャートである。
フロントページの続き (72)発明者 ジェラーール・ドヴォシェル フランス国 30380 サンークリストフ レーザル シュマン・ド・レスペルヴェ ット 137 (72)発明者 マルティヌ・セリュッティ フランス国 30380 サンークリストフ ーレーザル アモ・ド・カヴァラ リュ ー・デ・グラヴ 4 (72)発明者 ギュイ・クロワジエ フランス国 30380 サンークリストフ ーレーザル シュマン・デ・マゼ 134 (72)発明者 リリアヌ・クロワジエ フランス国 30380 サンークリストフ レーザル シュマン・デ・マゼ 134 (56)参考文献 特開 昭60−37988(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/85 - 15/86 C12N 15/866 C12N 7/00 - 7/01 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外来性の遺伝子のための発現ベクターとし
    て用いられ得る修飾バキュロウイルスを製造する方法に
    して、適当な制限フラグメントが、ポリヘドリン又はプ
    ロテインP10を構成するプロテイン類の少なくとも一つ
    のための遺伝子の強い後期プロモーターのコントロール
    の下に、転移ベクターの援助に頼らないで、バキュロウ
    イルスの完全な若しくは不完全なゲノム内に直接的に挿
    入され、その発現が目的とされるものである少なくとも
    一つの異種遺伝子の少なくとも一つの配列を受け入れる
    用意のある未負荷の発現ベクターを構成する修飾ウイル
    スを得ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】その発現が目的とされるものである異種DN
    Aフラグメントを受け入れる用意のある未負荷の発現ベ
    クターを構成する修飾バキュロウイルスを組み立てるた
    めに、少なくとも一つの所定の酵素のための制限部位を
    欠くバキュロウイルスが用いられ、その上に少なくとも
    一つの問題を酵素のために少なくとも一つの非反復制限
    部位が設けられることを特徴とする請求項(1)に従う
    方法。
  3. 【請求項3】少なくとも一つの所定の酵素のための制限
    部位を欠く、前記用いられる最初のバキュロウイルス
    は、該制限部位を自然に欠くバキュロウイルス、特にス
    ポドプテラ・フルギパルダ(Sf)核多角体病のバキュロ
    ウイルスの如きものであることを特徴とする請求項
    (2)に従う方法。
  4. 【請求項4】少なくとも一つの所定の酵素のための制限
    部位を欠く、前記用いられる最初のバキュロウイルス
    は、そのゲノムに僅かに位置せしめられた制限部位が最
    初に抑圧されているバキュロウイルスであることを特徴
    とする請求項(2)に従う方法。
  5. 【請求項5】僅かに位置させられた制限部位が抑圧され
    るべきである場合において、そのような抑圧が考慮され
    た元のバキュロウイルスのDNAとプラスミドとのコトラ
    ンスフェクションによって得られるものであり、またか
    かるプラスミドは、その中に、かかる制限部位を含むDN
    Aフラグメントがクローニングされており、また線状と
    なるように酵素によって開裂されており、更にリンカー
    が連結されたものであり、更にまたその連結の後、抑圧
    されるべき制限部位を欠くプラスミドに転換されるもの
    であり、そして該コトランスフェクションが、そのよう
    な部位を欠く組換えウイルスを生み出していることを特
    徴とする請求項(4)に従う方法。
  6. 【請求項6】バキュロウイルス会合形成体を構成するプ
    ロテイン類の少なくとも一つのための遺伝子の強い後期
    プロモーターの下流側に、特にバキュロウイルス・ポリ
    ヘドリン若しくはプロテインP10遺伝子のためのプロモ
    ーターの下流側に、所定の酵素のための制限部位を導入
    することが、任意のバキュロウイルス細胞の細胞培養物
    と、該強い後期プロモーターの下流側に配置された制限
    部位を含むフラグメントがクローニングされてなる適当
    なプラスミドとのコトランスフェクションによって行な
    われ、そしてこのコトランスフェクションが、昆虫細胞
    におけるその発現を期待して、異種配列を受け入れる用
    意のある未負荷の異種配列発現ベクターに対応する修飾
    された組換えウイルスの形成を導くものであることを特
    徴とする請求項(1)に従う方法。
  7. 【請求項7】少なくとも二つの異種DNAフラグメントを
    受け入れる用意があり、その発現が目的とするものであ
    る未負荷の発現ベクターを構成する修飾バキュロウイル
    スを組み立てるために、少なくとも二つの同一若しくは
    異なる酵素のための少なくとも二つの制限部位が、適当
    な選択されたバキュロウイルス上に設置されることを特
    徴とする請求項(1)に従う方法。
  8. 【請求項8】最初のバキュロウイルスが、二つの同一若
    しくは異なる酵素のための二つの制限部位を欠く場合に
    おいて、それら二つの制限部位が、該バキュロウイルス
    に設置されることが望まれる第一の制限部位を含むフラ
    グメントがクローニングされた第一のプラスミドとのコ
    トランスフェクションによって、そしてそれから該バキ
    ュロウイルス上に設置されることが望まれる第二の制限
    部位を含むフラグメントがクローニングされてなる第二
    のプラスミドとのコトランスフェクションによって、連
    続して導入されるものであることを特徴とする請求項
    (7)に従う方法。
  9. 【請求項9】最初のバキュロウイルスが、そのゲノムに
    僅かに位置させられた制限部位を含む場合において、そ
    れら部位が抑圧されるべき各々の制限部位を欠くプラス
    ミドとのそれぞれのコトランスフェクションによって、
    連続的に抑圧されていることを特徴とする請求項(7)
    に従う方法。
  10. 【請求項10】バキュロウイルス会合プロテインの遺伝
    子に近接して設けられた或いはこの遺伝子の強い後期プ
    ロモーターに近接して設けられた非反復制限部位を含ん
    でいることを特徴とする請求項(1)に従う方法。
  11. 【請求項11】バキュロウイルス会合プロテインの遺伝
    子に近接し、またこの遺伝子の強い後期プロモーターに
    近接して、それぞれ設けられた二つの同一若しくは異な
    る部位を含んでいることを特徴とする請求項(1)に従
    う方法。
  12. 【請求項12】請求項(10)に記載の方法によって得ら
    れた修飾バキュロウイルスであって、バキュロウイルス
    会合プロテインの少なくとも一つのための遺伝子の強い
    後期プロモーターの下流側に設けられた非反復制限部位
    を含み、かかるバキュロウイルスが未負荷の発現ベクタ
    ーを構成し得るものであることを特徴とする修飾バキュ
    ロウイルス。
  13. 【請求項13】少なくとも一つのバキュロウイルス会合
    プロテインのための遺伝子のATGコドン若しくはその遺
    伝子の強い後期プロモーターに近接して設けられた制限
    部位を含む修飾バキュロウイルスによって構成されてい
    ることを特徴とする請求項(12)に従う修飾バキュロウ
    イルス。
  14. 【請求項14】請求項(11)に記載の方法によって得ら
    れた修飾バキュロウイルスであって、少なくとも一つの
    バキュロウイルス会合プロテインのための遺伝子のATG
    コドン及びかかるウイルスの強い後期プロモーターにそ
    れぞれ近接して設けられた、少なくとも二つの制限部位
    を有することを特徴とする修飾バキュロウイルス。
  15. 【請求項15】前記請求項(12)乃至(14)の何れかに
    従う修飾バキュロウイルスによって構成されていること
    を特徴とする未負荷の遺伝子発現ベクター。
  16. 【請求項16】少なくとも一つの異種配列にて前記請求
    項(15)に従う未負荷の発現ベクターを負荷するための
    方法にして、少なくとも一つの異種配列が、遺伝子操作
    によってインビトロで発現ベクター内に直接に導入され
    ることを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】少なくとも一つの異種配列が、前記請求
    項(15)に従う最初は未負荷の発現ベクターを構成する
    修飾ウイルスゲノム内に、直接に導入されることを特徴
    とする請求項(16)に従う負荷方法。
  18. 【請求項18】少なくとも一つの異種配列を直接に導入
    するために、ウイルスのゲノムが、最初に制限酵素の作
    用によって線状化されることを特徴とする請求項(17)
    に従う負荷方法。
  19. 【請求項19】異種のDNAフラグメントが、前記未負荷
    の発現ベクターの第一の制限部位に直接的に導入され、
    そしてそれから該第一のものと同一若しくはそれとは異
    なる第二のDNAフラグメントが、前記発現ベクターの第
    二の制限部位に直接的に導入され、それら二つの制限部
    位の両方が異なる酵素のための非反復制限部位となるこ
    とを特徴とする請求項(16)乃至(18)の何れかに従う
    負荷方法。
  20. 【請求項20】同一若しくは異なる異種のDNAフラグメ
    ントが、非反復制限部位(即ち、同一の酵素のための二
    つの異なる制限部位であるとして定義される)に一つの
    部位を開くべく、前記未負荷の発現ベクターの部分的な
    消化によって負荷され、その後、かかる部位に第一のDN
    Aフラグメントが導入され、更に前記ベクターが、該第
    一のものと同一の第二の非反復部位を開くために、第二
    の部分的な消化に晒され、かかる第二の部位内に第二の
    DNAフラグメントが負荷されることを特徴とする請求項
    (16)乃至(18)の何れかに従う負荷方法。
  21. 【請求項21】前記請求項(16)乃至(20)の何れかの
    方法にて得られた負荷ウイルスであって、少なくとも一
    つの異種DNA配列が、インビトロで直接的に挿入され
    た、その発現が目的とするものである、最初は未負荷の
    発現ベクターを構成する修飾バキュロウイルスによっ
    て、形成されていることを特徴とする負荷ウイルス。
  22. 【請求項22】前記請求項(21)に従う負荷ウイルスを
    用いることを特徴とする異種遺伝子の発現のための方
    法。
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