JPH09501564A - 改質dnaウイルスベクターおよびその使用 - Google Patents

改質dnaウイルスベクターおよびその使用

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JPH09501564A JP7505891A JP50589195A JPH09501564A JP H09501564 A JPH09501564 A JP H09501564A JP 7505891 A JP7505891 A JP 7505891A JP 50589195 A JP50589195 A JP 50589195A JP H09501564 A JPH09501564 A JP H09501564A
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フレイザー,ナイジエル
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Abstract

(57)【要約】 所望のペプチドまたはタンパク質を、インビトロまたはインビボで生産するための方法および組成物が記載されている。選択したタンパク質またはペプチドをコードする外因性DNAをDNAウイルス中に迅速に挿入するためのシステムが提供される。本発明の1つの態様は改質HSV−1ウイルスを含み、これは野生型HSVにとって外来である少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ部位、ならびにHSV−1ウイルスにとって外来である制限酵素部位および天然の制限酵素部位によりフランクされた外因性DNAを含むユニバーサルクローニングカセットを含んで成る。

Description

【発明の詳細な説明】 改質DNAウイルスベクターおよびその使用 本発明は国立衛生研究所(National Institutes of Health)の審査により認可 番号5RC1 NS20390を与えられ、政府支援もとで行われた。政府は本発明について 特定の権利を有する。発明の分野 本発明は一般的に、所望の異質ペプチドおよびタンパク質を改質(modified)ウ イルスベクター中で発現させる際に使用するための方法および組成物に関する。発明の背景 単純ヘルペスウイスル−1(HSV-1)は包膜化DNA動物ウイルスであり、典型的に はヒトおよび動物に皮膚病変を引き起こし、そして約150kbの大きく、かつ複雑 なDNAゲノムを持つヘルペスウイルス科の一族の構成員である。感染部での初期 複製の後、HSV-1は神経系(例えば神経節)に潜在的感染を確立し、そこから寒 さ、ストレスおよび日光等の刺激により再活性化されることができる。潜伏期間 中、再活性化されない限り、潜伏関連転写(latency associated transcript:LAT )遺伝子を除き、いずれのHSV-1遺伝子も検出できない[B.Roizman(編集)、ヘルペ スウイルス (The Herpes Viruses)、プレニウム出版社(Plenum Publishing Corp. 、ニューヨーク、第175-240頁(1985)中の、T.J.Hill,"単純ヘルペスウイルスの 潜伏(Herpes simplex virus latency)";V.R.Baichwalら、Cell,52:787-789(1988 );J.G.Stevens,Microbiol.Rev.,53:318-332(1988):およびN.W.Fraserら、Virolo gy ,191:1-8(1992)]。 HSV-1のLATプロモーターを始めとするLATは、徹底的に研究された。L AT配列はウイルスゲノムの1つの小さい領域−反復長領域(repeat long region) についてマップが作成されてきた[A.M.Deatlyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:3 204-3208(1987);D.L.Rockら、J.Virol.61:3820-3826(1987);J.G.Spivackら、J.V irol .61:3841-3847(1987);J.G.Stevensら、Science,235:1056-1059(1987):およ びE.K.Wagnerら、J.Virol.62:4577-4585(1988)]。さらにそれらのプロモーター はウイルスゲノムの反復長領域中の特定のTATAAボックスについてマップが作成 されてきた。LAT転写物は末梢神経系(PNS)および中枢神経系(CNS)組織中に大量 に蓄積する[A.M.Deatlyら、J.Virol.62:749-756(1988)]。 HSV-1は組換え発現系においてベクターとして使用された。LAT遺伝子産物は潜 在的に感染した動物およびヒトのニューロン細胞中に高レベルで蓄積すると考え られるので、外来遺伝子を発現するために使用されてきた。HSV-1由来のベクタ ー系は、べクター中にβ−グルクロニダーゼ(GUSB)遺伝子がLAT TATAボックスの 下流約400ヌクレオチドのところに組み込まれるように設計された;したがって この発現はLATプロモーターの制御下にある。PNSおよびCNS組織中の両方で、GUS B-マウスにトランスファーした後、長期間の発現が達成された[J.H.Wolfeら、N atureGen. ,1:379-384(1992)]。 他のグループは、LATプロモーターのTATAボックスの下流26塩基に挿入された β−グロビン遺伝子[A.T.Dobsonら、J.Virol.63:3844-3851(1989)]、およびLAT TATAボックスコンセンサス配列の下流823bpに挿入されたβ-ガラクトシダーゼ遺 伝子[D.Y.Hoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:7596-7600(1989)]を含むウイルス を構築した。いったん潜在性が確立されれば、3つのすべての組換えウイルスは 、潜在的に感染させたマウ スの知覚神経節のニューロン中に、LATプロモーターの調節制御下で外来遺伝子 を発現することができたが、組織培養および急性感染期では発現しないか、また は極めて低レベルで発現する。中枢神経系での発現は示されなかった。 巨大ゲノム(例えば150,000塩基以上)の選択した部位に外来遺伝子を挿入し、 そしてこれらの従来のベクターを調製するための通常の従来法は、相同的組換え である[B.N.Fields(編集)、ウイルス学(Virology)、ラベン出版社(Raven Press Ltd.)、ニューヨーク、第497-526頁(1985)のB.Roizmanら、“ヘルペスウイルス およびその複製(Herpesviruses and their replication)"]。この方法は大変時 間を要し、組換え体の収量が低く、そしてゲノム中の変化のために何カ月をも要 するプラーク精製法を数回行う必要がある。さらに、組み換えは挿入されたDN A配列の予期せぬ再配列を生じることがある。さらに、ベクターを開発するため の手段としては、ゲノム中に数多くの変化が必要であり、相同的組換えを繰り返 して使用することは好ましくない。 HSV-1の組換えベクターを作成する別の方法には、DNAの複製ならびにヘルパー ウイルスの存在下でパッケージングを行うことを可能にする、十分な遺伝情報を 含む欠陥ウイルス粒子であるアンプリコンの使用を伴う。この方法は、パッケー ジング配列およびHSVの複製起源を研究するために使用された[R.R.Spaeteら、Ce ll ,30:295-304(1982)]。国際公開第090/09441号パンフレット(1990年8月23日公 開)も参照にされたい。HSV-1アンプリコンはインビボの神経系における遺伝子発 現を研究するために、変更された遺伝子を含むベクターを構築し、そして比較的 単純な多数の関連遺伝子構築物を調製するために必要な時間を減らすと提案さ れた。しかし、出願人はこれらのアンプリコンは外来遺伝子が挿入された時には 効率的にパッケージングしないことを見いだした。さらに、アンプリコンはヘル パーウイルスが混入しており、疾病を引き起こすことがある。 外来遺伝子をウイルスゲノム中の特別な部位に導入する別の方法は、P1ファ ージ由来のCre-lox組換えシステムである。このシステムは34-bpのlox P DNA配 列および38-kDaのCre組換えタンパク質から成る[P.J.Gageら、J.Virol.66:5509- 5515(1992);およびM.K.Sauerら、Mol.Cell.Biol.,8:1011-1018(1988)]。これは 相同的組換えよりも効率がよいシステムであり、関連の組換え頻度が最高15%で あるが、数カ月を要するプラーク精製法を数回行う必要がある。 別のHSV発現システムはRixonおよびMcLauchlan.、J.Gen.Virol.,71:2931-2939 (1990)に記載されているが、その中で野生型のHSVが天然に存在するXbaI制限部 位を排除することにより突然変異され、そしてXbaI部位を両端に含んだ外来遺伝 子を挿入できるように、唯一のXbaI部位が初期プロモーターの直ぐ下流に挿入さ れた。しかしXbaI部位を除去するHSVの突然変異はこのウイルスの複製能力に損 害を与えた。さらにこのウイルスベクターは、インビボの感染ニューロン細胞中 で、HSV-1複製の急性期でのみ活性である。 または欧州特許出願公開第453,242号明細書(1991年10月23日)は、ウイルス複 製の遺伝子、特に極めて初期遺伝子に欠損を含むHSV突然変異体を記載している 。別の突然変異体HSV-1は国際公開第91/02788号パンフレット(1991年3月7日)に 記載されている。これらのベクターは、インビボウイルス複製を防ぐために除去 されたVmw65タンパク質の実質的部 分を有する。 ヘルペスウイルス科の他の種、例えばエプスタインバールウイルス、サイトメ ガロウイルスおよび水痘ウイルスのような他のウイルスは、異質ペプチドおよび タンパク質をインビトロまたはインビボで生産するためのウイルスベクターとし て利用できる可能性を有する。 ベクターシステムの技術分野において、ウイルスベクターに関する上記の問題 を克服し、実質的に従来技術より迅速な組換えベクターウイルスを生成する方法 が必要とされており、これにより異質ペプチドおよびタンパク質の生産がウイル スベクター中で可能になる。発明の要約 1つの観点では、本発明は選択したペプチドまたはタンパク質を生産するため の方法に有用な改質DNAウイルスを提供する。このウイルスは相同的組換えによ り、非改質ウイルスに対して外来の1つまたは2つの特有の制限酵素部位(1つ または複数)をゲノムの選択位置に挿入することにより生成される。このウイル スはさらに特有の制限部位(1つまたは複数)にライゲーションにより様々な外 因性DNA配列を挿入して改質されることができる。異なる2つの特有な部位が 改質ウイルスに存在する場合、連結される断片を指向的に挿入できる。 本発明は別の観点では、生成する改質ウイルスはレポーター遺伝子がコードす る生成物を発現できるように、ウイルスの特有な制限部位中に連結したレポータ ー遺伝子をさらに含んで成る、上記のようにさらに改質されたウイルスを提供す る。 別の観点では、選択したDNAウイルス中に選択したペプチドまたはタンパク 質をコードする外因性DNA配列を発現させるための方法を提 供する。この方法は上記のように改質したDNAウイルスを使用する。この方法に より、特有の制限部位(1つまたは複数)を含むウイルスは、該部位(1つまた は複数)に特異的な制限酵素で消化され、そして第一プラスミドカセットがその 消化部位に挿入(連結)される。この第一カセットは2つの制限酵素部位(特有 の制限酵素部位(1つまたは複数)と同じ)にフランクされたユニバーサルクロ ーニング配列を含んで成り、その少なくとも1つはウイルスゲノムに対して外来 である。望ましくは、レポーター遺伝子がこのユニバーサルクローニング部位に 、従来のライゲーション法により挿入される。改質ウイルスが組織培養で成長す るとき、レポーター遺伝子の発現により視覚的に識別できるウイルスプラークが 生成する。lacZがレポーター遺伝子である場合、ウイルスプラークは青色である 。レポーター遺伝子を除去するために、改質ウイルスが特有の制限酵素で消化さ れる。その消化部位中に、第二プラスミドカセットを挿入し、このカセットは特 有の制限部位(1つまたは複数)でフランクされた、選択したタンパク質または ペプチドをコードするDNA配列を含んで成る。次にウイルスを組織培養で成長 させる。ウイルスプラーク間の差異により、第二カセットの配列にコードされた タンパク質またはペプチドを生産できるウイルスを、そのような生産をすること ができないウイルスと区別する。 さらに別の観点では、本発明は選択した外因性遺伝子を選択したDNAウイル ス(ヘルペスウイルス科の員のような、例えば単純ヘルペスウイルス(HSV)中に 効率的に導入するための発現システムを提供し、そのシステムは上記のような改 質ウイルスおよび組換えDNA配列成分、すなわちDNA配列、すなわち改質ウ イルス成分と同じ特有の制限酵素 認識部位で各末端をフランクしたユニバーサルクローニング部位を含む“カセッ ト”を含んで成る。 さらに別の観点では、本発明は上記の成分を使用して、選択した外因性遺伝子 をDNAウイルス中に、その発現を制御するプロモーターの制御下に効率的に導 入する方法を提供する。本方法を以下にさらに詳細に記載する。 本発明の他の観点および利点は、以下に詳細に説明するその好適な態様でさら に記載されている。図の簡単な説明 図1は、PacI部位およびHSV-1フランキングLAT配列を含むプラスミドpBPX-4Z4 の構築を説明する。 図2は、相同的組換えによるPacI組換えウイルスHFEM/pICP6-lacZの操作を説 明する。 図3は、HFEMゲノムのマップおよび組換えウイルスHFEM/pICP6-lacZのBamHIB およびE領域を示す。 図4は、インビトロ ライゲーションおよびトランスフェクションならびにla cZ青/白選択スキームを説明する。 図5は、HFEMゲノムのマップおよび組換えウイルスHFEM/pLAT-lacZのBamHIB およびE領域を示す。発明の詳細な説明 本発明は所望のタンパク質またはペプチド遺伝子をコードする外因性DNA配 列をDNAウイルスのゲノム、好ましくはヘルペスウイルス科(Herpesviridae) の一族の構成員のような巨大ウイルス中に導入するための簡便、迅速そして効率 的な方法、ならびにその成分を提供し、目的 の外因性または異質ペプチドおよびタンパク質を生産するために有用な改質され たウイルスを生成する。 I.定義 “レポーター遺伝子”は、発現時にタンパク質の生産を生じ、タンパク質の存 在または活性が容易に監視できる遺伝子配列である。そのような遺伝子は選択性 マーカー遺伝子であってもよい。 “lacZ遺伝子”は大腸菌(E.Coli)のβ-ガラクトシダーゼ活性をコードするレ ポーター遺伝子である。この基質、X-galの存在下で、lacZタンパク質は青色に 変わる。 “選択性マーカー遺伝子”はタンパク質を発現できる遺伝子配列であり、その マーカーの存在によりそれを含む細胞の選択的増殖が可能になる。 “ベクター”は任意の遺伝子要素、例えばプラスミド、染色体、ウイルス等で あり、それ自体の制御下で複製することができ、それに別のポリヌクレオチドセ グメントを付加して付加したセグメントが複製および/または発現するようにす る。 “プロモーター“はRNAポリメラーゼを結合し、そしてこの酵素を正しい転写 開始部位に向けることができるDNAの領域である。本発明の1つの好適な態様 では、プロモーター配列はヘルペスウイルスの潜伏期間中に活性なものである。 “ユニバーサルクローニング配列”は、1つ以上の配列または重複制限エンド ヌクレアーゼ酵素開裂部位を含んで成り、そしてこれにより相補的な制限部位で フランクされた外因性遺伝子または他のDNA配列を容易に削除および挿入する ために適当な部位が提供される。 “外因性遺伝子”はゲノム中に挿入または付加された、ゲノム中に天然 には存在しない遺伝子である。 本明細書に定義する“治療的に望まれるタンパク質”は、神経状態または症状 と関連し、内部投与された場合に状態または症状(1つまたは複数)を緩和する のに有用なタンパク質である。 “神経状態”は中枢または末梢神経系が関与する、または影響を受けている疾 患性の、または不均衡な生理学的状態である。 II.本発明 本発明により、所望のタンパク質またはペプチドをDNAウイルス中に発現さ せることができるシステムが、インビトロで、適当であるならばインビボでタン パク質またはペプチドを発現させるために設計される。 この新規発現システムは、以下に詳細に記載する特有の制限部位を含む改質ウイ ルスベクター、および第二成分(これはDNA配列であるか、または独自であり 、かつ選択した野生型DNAウイルスベクターに対して外来である少なくとも1 つの選択されたエンドヌクレアーゼ酵素制限部位でフランクされたユニバーサル クローニング部位を含む“カセット“である)の両方を使用する。外因性遺伝子 およびプロモーター(随意に)は、従来の組換え法によりカセット中に挿入され る。この成分はそれ自体がウイルスベクター成分中に挿入されることができる。 本発明は、単純ヘルペスウイルス(HSV)、エプスタインバールウイルス(EBV)、 サイトメガロウイルス(CMV)および水痘ウイルス(VZV)等を含むヘルペスウイルス 科(Herpesviridae)の一族の構成員のような、選択した野生型ウイルスを操作す ることが関与する。記載を簡明にするために、HSV-1を本発明の使用に好適なウ イルスの例として考察する。当業者は本発明の組換えウイルスベクターの操作に 使用するために、HSV-1 株を選択できる。ウイルス由来のベクターを操作するためには安全のために、イ ンビトロおよびインビボの両方で、神経毒性が減少し、そして神経侵襲性が増大 したHSV-1株を“骨格(backbone)”として使用することが好ましい。もしベクタ ーがインビボで使用されるならば、そのようなウイルス株は外因性遺伝子の分布 も増大させる。 本明細書においてHSVと呼ばれるときはいかなる場合でも、その方法を他のD NAウイルス(上記定義のヘルペスウイルス科(Herpesviridae)の一族を含む) に応用することができる、と考えるべきである。例えば、本明細書に記載した技 法をVZV、EBVおよびCMVのような他のDNAウイルスに応用することにより、HSV 用に本明細書に例示したようなベクターがこれらのウイルスから迅速に作成され 、そしてそれにより選択タンパク質およびペプチドが発現される。さらに巨大ゲ ノム(例えば約150kb以上)を持つ他のDNAウイルスを本発明に使用できる。 本発明により、選択された野生型ウイルスは野生型ウイルスにとっては外来で ある1または2つの特有の制限エンドヌクレアーゼ酵素開裂部位の相同的組換え による導入で改質される。単一の外来酵素開裂部位がウイルスゲノムに挿入され る場合、内因性(天然)であり、かつ野生型ウイルスには特有の4000−5000塩基対 内の制限酵素開裂部位に挿入されることが望ましい。例えば野生型HSV-1、HFEM 株は単一のSwaI部位が特徴である。したがって本発明の好適態様では、単一の外 因性酵素開裂部位(例えばPacI)を、SwaI部位の4-5キロベース内のHSV-1のゲノ ム中に操作する。これにより以下に記載する外来DNA配列の指向的挿入が可能 になる。 あるいは、2つの外来酵素開裂部位をヘルペスウイルスのゲノムに挿 入することもできる。もし外来遺伝子の指向的挿入が決定的でないならば、これ らの開裂部位は同じでよい。例えば所望により、PacI部位はこれら両方の野生 型ウイルス(EBVまたはHSV)にとって外来であるので、2つのPacI部位をEBVまた はHSV中へ操作することができる。しかし好ましくは酵素開裂部位は互いに異な り、かつ両方ともヘルペスウイルスのゲノムにとって外来である。例えば標的ウ イルスゲノムがCMVならば、野生型CMVには見い出されない2つの部位の任意の組 み合わせ、例えばPacI、SwaIおよびPmeIをこのウイルス中へ操作できる。もし 標的ウイルスゲノムがVZVまたは他のヘルペスウイルスであるならば、同様の改 良を行うことができる。VZVに関しては、AscIまたはFseIも野生型ウイルスには 見い出せない。 特有の制限部位(1つまたは複数)は、相同的組換え法を使用することにより 、所望のタンパク質またはペプチドをコードする外因性DNA配列の挿入に適す る任意の位置に挿入される。通常の相同的組換えを行う方法は、様々な遺伝子工 学テキストに与えられている。例えば、Sambrookら、モレキュラークローニング .ア ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning.A Laboratory Manual)第 2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laborato ry)、コールドスプリングハーバー、NY(1989)を参照にされたい。本発明のこの 方法は他のいかなる位置でもウイルスゲノムの突然変異を生じない。 いったんウイルスゲノムが制限酵素部位(1つまたは複数)で改質されたら、 任意の所望する外因性配列(ユニバーサルクローニング配列、すなわち所望の生 成物、例えば遺伝子をコードする配列のような:この配列は以下に記載するよう に、すでに常法のプラスミド構築法を使用し てプラスミド中に挿入された)を、単純な制限酵素開裂および特有の制限部位で のライゲーションによりウイルスゲノムに挿入できる。このような改質ウイルス の連続的態様は、ウイルスゲノムを他に変化させる事なく迅速に行うことができ る。 例えば第一DNA配列、すなわち特有の制限部位でフランクされた選択レポー タータンパク質またはペプチドをコードする選択DNA配列を含むカセットを、 上記のように改質したウイルスの特有の制限部位に連結することができる。1つ の態様において、第二の外来制限の挿入が望まれる場合、このカセットは第二の 外来制限酵素部位をコードする配列も含んでもよい。いったんカセットがウイル スに挿入されると、1つの態様においてこの改質ウイルスは、野生型ウイルスに は天然のプロモーターを使用して、レポーター遺伝子産物の発現を可能にする。 あるいは改質ウイルスは、ウイルスに通常存在しないプロモーターを使用する ことにより、レポーター遺伝子産物の発現を可能とする。このように作成された 改質DNAウイルスベクターは、挿入したレポーター遺伝子の存在または不在を 容易に証明できる要素を含む。 さらに本発明により、第一カセットを容易に第二カセットと置き換えることが できる。レポーター遺伝子を含む改質ウイルスがいったん適当な制限酵素で消化 されると(2つの外来酵素部位、あるいは単一の外来酵素部位と特有の内因性制 限酵素部位のいずれか)、第二カセットを改質ウイルス中の選択部位に指向的に 連結することができる。第二カセットは、1つの配列末端か特有の外来制限部位 により、そして他方の末端が隣接する内因性ウイルス制限部位により、あるいは 第一外来制限部位と同じか、または異なる第二の外来制限部位でフランクされた 選択タン パク質またはぺプチドをコードする選択DNA配列を含むDNA配列である。 1つの態様では、今、選択タンパク質またはペプチドをコードする第二カセッ トを含む、この新たに改質されたウイルスは、野生型ウイルスにとって天然のプ ロモーターを使用して選択タンパク質生成物の発現を可能とする。あるいは改質 ウイルスは、通常はそのウイルスに存在しないが、第二カセットの一部であるプ ロモーターの使用により、選択タンパク質生成物の発現を可能とする。 成功したトランスフェクション体は、レポーター遺伝子の不在により組織培養 中から容易に同定および単離される。例えば、レポーター遺伝子がlacZであるな らば、インビトロでタンパク質生成物を発現することができる成功したトランス フェクション体は、X-galを含有する培養培地中でのそれらの成長が青色のプラ ークを形成せず、代わりに無色のプラークの時に同定される。 わずか約10%の効率しか示さない従来の相同的組換え法を反復して行うことに より生じたウイルスベクターの開発とは対照的に、最高90-100%の優れた選択効 率がこれらの方法および成分を使用して得られた。 本発明の1つの望ましい態様では、中に挿入するに適する改質HSVベクターお よびDNAカセット配列を使用するために設計された発現システムを提供する。 野生型HSVには外来である選択した制限認識部位は、最も好ましくはPacIである が、ヌクレオチド認識配列TTAATTAA[配列番号1]が特徴である。野生型 HSVに自然にはない他の制限部位も本発明に使用できる。例えば、出願人は制限 酵素PmeI(ニューイングランドバイオラボズ、GTTTAAAC[配列番号2]) はHSV-1ゲノム 中に部位を持たないと決定した。この制限部位を上記または他の従来法のように 、相同的組換えによりウイルスゲノム中に導入することができる。 A.カセット 第一カセットは、1つ以上の選択された特有の制限部位によりフランクされた ユニバーサルクローニング配列を持つように、遺伝子操作されている細菌または 他の適当なプラスミド中に構築される。それゆえに1つの態様では、レポーター 遺伝子がPmeIおよび/またはPacI部位によりHSV-1ゲノムの任意の位置に結合 するように操作される。好適なレポーター遺伝子はLacZ遺伝子であり、これは組 換えウイルスを選択できる選択性マーカーとしても役立つ。このように本発明に 有用な第一カセットは高トランスフェクション頻度、レポーター/選択性マーカ ーとしてのLacZ遺伝子、およびHSV-1ゲノムの任意の部位に挿入できるPmeI-PacI 部位が特徴である。 この第一カセットを以下のB部に記載する改質HSVウイルス中に導入し、その 中のPacI(または別の外来部位)は、中にレポーター遺伝子または任意の外来 遺伝子を含む所望のカセットを挿入できる部位を提供する。 第二カセットは実質的に第一カセットと同様に調製できるが、レポーター遺伝 子の代わりに、発現が望まれるタンパク質またはペプチドをコードする外因性D NA配列である点が異なる。外因性DNA配列はHSVベクター中に生産されるこ とが望まれる任意の遺伝子またはその断片であってよい。これは治療的に望まれ ているタンパク質をコードする遺伝子であることができる。中枢または末梢神経 系の治療、より好ましくは 神経系を標的とし、そしてその中で発現する時に有用なタンパク質をコードする 遺伝子治療のための態様が意図される。 選択した外因性DNA配列を、ユニバーサルクローニング配列中の1つの部位 でプラスミドに導入する。この外因性DNA配列を含むプラスミドを適当な宿主 細胞中で複製させることができる。プラスミドの維持および複製に有用な任意の 宿主細胞をこの方法に使用することができる。 現在、好適な宿主細胞は大腸菌のような細菌細胞である。従来の遺伝子工学に使 用されている他の細胞も、当業者により使用され、そして容易に選択されること ができる。 第二カセットを含むプラスミド(特有の制限部位によりフランクされた外因性 DNA配列を含む配列)は、細菌プラスミドから採取されるものであって、該カ セットは適当な制限酵素(例えばPacI)による消化で作成される。 B.改質ウイルス 本発明のこの態様に有用な改質HSVウイルスは、上記のように遺伝子操作され 、野生型HSVにとって外来であるエンドヌクレアーゼ酵素制限認識部位によりフ ランクされたレポーター遺伝子を含む。HSV株の例には、例えば野生型17株、 通常入手できるHSV-1株があり、これは2×105pfu/目の投与量で眼内に接種され たときに神経毒性であり、そしてBalb/cマウスで最高50%の致死率を与える。外 因性タンパク質をインビボで発現することが望まれる態様では、LAT遺伝子の単 一コピーのみを含むHSVを使用することが好ましいこともある。別の通常のHSV-1 株、HFEMは、ウイルスゲノムのLAT遺伝子の長い内部反復部分をコードするBamHI -B制限酵素断片配列内に、4.1kbの欠損を持つ[Y.J.Beckerら、Virology,149 :255-259(1986)]。HFEM株は病原性および神経毒性が減少しているので、本発明 による改質のために選択するに好ましい。異なる二倍体LAT遺伝子の1つのコピ ーがあるだけなので、特有の挿入外来制限部位になるだろう。他の株も有用かも しれないが、2つのLAT配座を持つ野生型株は、導入される余分な外来制限部位 から、ライゲーション効率が低くなるかもしれない。 これは、gC配座が外来制限部位およびレポーター遺伝子を挿入する部位として 使用されるときには、ウイルスゲノム中にgCの単一コピーがあるので問題にはな らないだろう。 1つの態様において、レポーター遺伝子の発現がHSV-1 LATプロモーターの調 節制御下になるように、レポーター遺伝子を挟む外来制限部位を含んで成るDN A配列の位置は、HSV-1 LATプロモーターの下流である。本明細書の実施例なら びに上記のHoらおよびDobsonらにより示されるように、この外来DNA配列は様 々な距離に位置することができ、例えばLATプロモーターの約26から850ヌクレオ チド下流である。LAT遺伝子の全部または一部は、この外因性DNA配列が挿入 されたときに場合によってはHSV-1ゲノムから採取されてもよい。 これにもかかわらず、LAT RNAを発現しない突然変異体HSV-1ウイルスが、潜在 的感染を形成できることが判明した。有利なことには、急性の感染中には弱いLA Tプロモーターが、動物の寿命を持続させる潜伏期間中に外来遺伝子を発現させ るのに良く適することが判明した。この本発明の観点は、本発明で生成する改質 HSVが遺伝子治療に利用されるときに極めて重要である。 LATプロモーターが本明細書で例示されているが、HSV感染の潜伏期間 中、かつ細胞中で活性な任意の適当なHSVプロモーターをインビボ発現に使用す ることができた。外因性タンパク質のインビトロ発現が組織培養中に望まれる場 合、HSVの任意の既知プロモーター、またはウイルス中でこのタンパク質の発現 を駆動することができる外因性プロモーターを使用できる。既知のプロモーター の例にはニューロン特異的エノラーゼ(NSE)およびニューロフィラメント遺伝子 用のプロモーター等がある。したがってレポーター遺伝子およびフランキング外 来制限部位は、HSV中のLAT配座の外側に位置することができる。本発明により、 野生型HSVにとって外来である制限エンドヌクレアーゼ酵素部位を、場合によっ てはフランキングLAT配列を挿入に望ましい部位のフランキング配列と置き換え ることにより、HSVゲノム中の任意の場所に位置させることもできる。 改質HSVベクターの態様では、レポーター遺伝子は好ましくはlacZである。LAT プロモーターにより駆動させられるlacZ遺伝子は、組織培養中にβ-ガラクトシ ダーゼを発現はしないが、それでもインビボで潜伏中に活性ではある[D.Y.Hoら 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:7596-7600(1989)]。lacZがレポーター遺伝子とし て作動するときは、Pacl-lacZ-PacI DNA配列を含む改質HSV-1ベクターが適当なH SV基質中で生育するので、lacZを含む改質べクター成分のプラークは青色のプラ ークとして現れる。 例えば、Rixonら(上記)を参照にされたい。外来制限部位内のlacZカセットの 挿入も(例えばPacl)、カセット中にコードされた細菌酵素(β-ガラクトシダー ゼ)がX-gal基質を使用して容易に組織化学的に検出できるので、選択性マーカ ーとして役立つ。実施例1を参照にすると、外来のPacI部位を含むウイルスを作 成するために使用される、β-galも発 現するプラスミドが詳細に記載されている。これにより組換えウイルスの単離工 程が可能になる。 あるいは、薬剤耐性遺伝子等のような改質HSVベクターの構造を当該技術で使 用するために、当該技術分野に存在している多くの適当なレポーター遺伝子およ び選択性マーカーを代わりに使用し、そして選択することができる。 本方法により特有の制限部位および第一カセットを含有するHSVウイルスベク ターを、ウイルスをその外来制限部位(例えばPacI)で開裂することができる適 当なエンドヌクレアーゼ酵素で消化し、これによりレポーター遺伝子を含む第一 カセットを採取する。消化断片を第二カセット断片および従来法のDNAリガー ゼ酵素と混合する。例えば、Sambrookら、モレキュラークローニング.ア ラボ ラトリーマニュアル、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(1989) を参照にされたい。 リガーゼ混合物を従来法(Sambrookら、上記を参照にされたい)により適当な哺 乳類細胞中にトランスフェクトする。好ましくは周知の細胞系の中でも、サルの 細胞系CV-1がトランスフェクションに有用である。 ウイルスプラークを単離するとき、連結され、そして改質されたベクター中の“ 制限部位−lacZ−制限部位”と置き換えた所望の外来遺伝子を含有する第二カセ ットを含むウイルスプラークは、lacZ遺伝子の発現の損失により白色である。青 色プラークは第二カセットを含まないウイルスを指示している。 プロモーターの制御下に外来遺伝子を含む生成したHSVを持つ白色プラークを 、組織培養から単離し、そして正しいライゲーションを従来技 術による制限消化およびサザンブロッティングで確認する。 インビトロのライゲーションおよびトランスフェクションのための最適条件は 、これらの方法に使用するプラスミドDNAおよびウイルスDNAのモル比、お よび量に依存する。効率は背景の青色プラークに対して白色の主プラークの比率 により決定する。本発明では、トランスフェクション効率は約69から約100%の 間で得られている。 本方法では、ベクターを構築し、そしてクローン化された組換えベクターウイ ルスストックを単離するために要する時間が劇的に減少し、例えば従来技術の相 同的組換え法で約6カ月のものが本方法で約1カ月であり、これは本発明の高効 率のライゲーション/トランスフェクション法およびプラーク着色選択スキーム によるものである。 III.本発明の利用性 本発明の発現システムの成分は、外来遺伝子を含み、そしてインビボおよびイ ンビトロで発現することができる改質HSV(または所望により、別のヘルペスウ イルス一族の構成員)を開発する方法として有用である。 本発明のこの方法および成分は現在、本発明のウイルスで感染させた組織培養中 のペプチドおよびタンパク質のインビトロ生産のために有用である。 また本発明の方法および組成物は、治療的使用が望まれる場合に、そのような ペプチドおよびタンパク質のインビボ生産を、その使用目的に適合させることが できると期待される。さらに本発明の組成物および方法の他の使用には、遺伝子 転移に関する研究ならびに動物およびヒトを対象とした遺伝子治療がある。 例えば本発明の方法により作成された外来遺伝子を含む改質ウイルス (例えばHSV)は、治療薬として、ならびにおそらく診断薬として有用である。 本発明の改質HSV-1は、選択した標的細胞に送達し、そして所望の疾患を治療す るために、所望の遺伝子を含むように構築できる。 遺伝子欠陥が特徴である疾患には、遺伝子転移を代替療法に、ならびにアンチ センス突然変異を使用する疾患動物モデルを作り出すために、正常な遺伝子を悪 化した組織に送達するために使用できる。 本発明のHSV-1および他のヘルペスウイルス一族のベクターを、神経系の疾患 を治療するために使用できる。例えば、本発明の改質HSV-1ウイルス(これはウ イルスの潜伏感染段階中に、LATまたは他のプロモーターの制御下で酵素または 他のタンパク質を発現させることができる、選択した遺伝子を含む)は、遺伝子 を哺乳類の中枢神経系に送達して、先天的または後天的な遺伝子欠陥を補うため に使用されることができる。この方法は他の症状の中でも、リソソームの貯蔵疾 患(lysosomal storge disease)を治療するのに有用である。例えば1993年2月2日 に出願された米国特許第08/020,177号明細書を参照にされたい。本発明は所望の 遺伝子をHSV-1ウイルスに、より迅速かつ効率的に導入する方法を提供し、これ は次に所望の遺伝子産物を中枢または末梢神経系(例えば末梢、鼻内、眼内、頭 蓋内)に送達するため、または直接投与するために使用できる。突然変異を引き 起こすために、あるいは欠陥を矯正すために、DNA配列の部位−特異的組換え の使用も可能である。 神経系の他の疾患およびそれらに関連する遺伝子の例には以下のものを含む: ヒト、ラットおよびマウスチロシンヒドロラーゼ遺伝子1、2および3に関連す るパーキンソン病;ヒト、ラットおよびマウス神経成長因子ベータサブユニット に関連するアルツハイマー病およびパーキン ソン病;ヒト、ラットおよびマウスヒポキサンチン−グアニンホスホリボシル トランスフェラーゼ遺伝子に関連するLeschNyan病;ヒト ベータ ヘキソサミニ ダーゼアルファ 鎖遺伝子(これはグルコセレブロシダーゼと一緒に他のリソソ ームの貯蔵疾患と関連している)に関連するTay-SachsおよびSandhoff病。ヒト 免疫不全ウイルス(HIV)nef遺伝子はHSV-陽性個体中で神経病症状と関連している 。 さらに、本発明の改質HSV(および場合によっては他のヘルペスウイルス族) ベクターを、癌治療、特に神経系の腫瘍を破壊するために使用できる。例えば本 発明の改質HSVベクターは、神経系の腫瘍細胞を選択的に標的とするように改質 されることができる。このようにして治療することができる腫瘍の例には、転移 性黒色腫、グリオームおよび神経芽腫がある。 治療が期待できる他の症状には、アミロイド多発性神経障害[プレアルブミン; エイチ.ササキら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,125:636-642(1984)]、Duchenn eの筋ジストロフィー[未特性化筋タンパク質;A.P.Monacoら、Nature,323:646-65 0(1987)]、および網膜芽腫[網膜または他の組織中に発現される未特性化タンパ ク質[W.-H.Leeら、Science,235:1394-1399(1987);S.H.Friendら、Nature,323:64 3-646(1986)]がある。 したがって本発明は、本発明の改質HSVベクターを使用して、そのような疾患 を治療するための方法も提供する。好ましくは本発明の改質HSVベクターは、医 薬組成物中に配合される。本発明の医薬組成物には、所望の遺伝子を含む改質HS V-1ベクターを医薬的に許容できるキャリアー中に含む。適当なキャリアーは当 業者には周知であり、そして本発明はそれらにより制限されない。一般的に、そ のような医薬組成物は、投 与量あたり約104から約107の間のプラーク形成単位(PFU)を含む。これらの投与 は必要に応じて繰り返される。適当な接種経路には、適切な神経細胞中への伝達 を可能にする局部感染を含む。例えば鼻内感染は、改質HSV-1ベクターを嗅球の 神経細胞中へ伝達させる。頭蓋内または大脳内注射および眼内感染を含む他の適 当な経路は、当業者に周知である。 しかし、本発明はこれらの特別な態様に制限されない。 本発明のベクターの診断的使用の例には、胚の神経系発生状態の評価を含む。 例えば発生中の系統的関連性を測定するために、そしてニューロン経路を解明す るために、組織学的マーカーをコードする遺伝子を胚細胞中に導入することがで きる。 外来遺伝子を含有する上記改質HSVを、ニューロン細胞生物学の研究に利用さ れる様々な方法に使用できる。例えばプロセッシングおよび細胞の運命(cellar fate)における細胞に特異的な差異を研究するために、選択した遺伝子を本発明 の改質HSVベクターに挿入し、そして培養中またはインビボで様々な種類の神経 細胞に導入することができる。例えば、成長因子、発癌タンパク質、毒性ペプチ ドまたは他の生理学的に重要なタンパク質をコードする遺伝子を、神経系の特別 な領域に導入し、そしてそれらの細胞分裂、生存および分化に対する効果を研究 することができる。さらに、遺伝子転移または遺伝子発現を神経系の特別な細胞 に限定することもできる。 以下の実施例では、本発明のベクターを調製するための好適な方法を説明する 。これらの例は説明を目的とするだけであり、本発明の範囲を制限するものでは ない。実施例1−外来遺伝子をHSV-1に迅速に導入するための効率的システムの開発 この実施例は本発明の一例の成分の開発、すなわち外来PacI部位および1acZ遺 伝子を含む改質HSV-1、ならびにユニバーサルクローニング配列の両端に外来Pac I部位を含むプラスミドの開発を記載する。これら2つの成分がいったん作成され れば、従来の工程を繰り返す必要がなく、かつ上記記載のように標準的なライゲ ーション/トランスフェクション法を使用して、所望の遺伝子を構築物中に挿入 することができる。 突然変異体ウイルスの生産を簡略化するために、従来の遺伝子工学技法により 操作して、HSV株に外来制限酵素部位を、LAT配座に位置する外来遺伝子が挿入さ れるべき部位に挿入する。このウイルスは外来遺伝子を直接HSV DNAに連結する ことにより、遺伝子転移ベクターの構築に適する。このクローニング部位は突然 変異プラークを選択するためにβ-galカセットを含む。外来遺伝子を挿入するた めの直接的なライゲーション(相同的組換えの代わりに)および本発明の青/白 選択を使用して、組換えウイルスの生成および単離が簡便かつ迅速になる。 本発明の成分に関する以下の説明は、図1から5を見ることにより理解される だろう。CV-1細胞[ATCC CCL 70]およびBHK細胞[ATCC CRL 6281]を、200μg/mlぺ ニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mM L-グルタミンおよび5%ウシ血清 (ギブコ ラボラトリーズ:Gibco Laboratories)を補充したイーグル最少必須 培地中で培養した。親のウイルスであるHSV-1株 HFEM(座標0.762から0.789の間 に4.1kbの欠失を有する)は、完全なウイルスゲノムのHpaI DNA制限断片Pに相当 しており、Y.J.Beckerら、Virology,149:255-259(1986)に記載された。 プラスミドを単離し、そして大腸菌DH5α株(BRL)またはJM109(プロメガ:Prome ga)中で増殖させた。すべてのクローニング工程およびプラスミド増殖は、標準 的手法[Maniatisら、“モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル ”、コールドスプリングハーバーラボラトリー、コールドスプリングハーバー、 NY(1982)]により行った。 A)PacI部位およびLAT配列を端に含むHSV-1を含むプラスミド(pPBXS-4Z4)の構 HSV-1のBamHIE断片[Postら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4201-4205(1980)] 由来の3.9kbのXhoI-SalI断片[Wolfら、Nature Genetics,1:379ー384(1992)(図1) ](これはLAT配列を含む)を、プラスミドGem7zf[プロメガ社]に平滑末端ライゲ ーションにより挿入した。このプラスミドを制限酵素BstEIIで消化し、0.9kbの 欠失を作り、そしてプラスミドΔBstEIIを作成した[Wolfら、Nature Genetics,1 :379-384(1992年8月)]。 2つの下線部のPacI部位を含む35bpのオリゴヌクレオチド(GTAACCTTA ATTAA TCTAGAGTCGACTTAATTAAG;[配列番号3])を 合成し、そしてプラスミドpΔBstEIIのBstEII部位に挿入し、プラスミドp4を作 成した。 ICP6プロモーター[Goldsteinら、J.Virol.,62:2970-2977(1988)]の制御下にla cZ遺伝子を含むICP6TATA-lacZカセット(4.3kbのXbaI-SalI断片)を、Goldstein らの方法の変法(上記)を使用してpBS-6Lから構築した。 このカセットを単離し、そしてp4中のXbaI-SalI部位に挿入した。生成したプラ スミド(pBPXZ-4Z4)は、LATプロモーターの下流にPacI制限部位によりフランクさ れたlacZ遺伝子を含む。図1を参照にされたい。 B)相同的組換えによるPacl含有ウイルスベクターの操作 外来PacI部位およびICP6TATA-lacZカセットを、HSV-1ゲノムの特別な位置に含 む組換えウイルスを作成した。高品質DNAを得るために、HSV-1 17株[英国、クコ ットランドのグラスゴー、MRCウイルス学研究所]およびHFEM株由来のDNAを、P.F .Pignattiら、Virology,93:260-264(1979)に記載された方法の変法を使用して単 離した。 ウイルスDNAをPignattiらの方法[P.F.Pignattiら、Virology,93:260-264( 1979)]により単離した。80-90%コンフルエントなBHK単層細胞を、0.1の感染多 重度で感染させた。31℃にて感染48時間後、ビリオンを組織培養培地から14,000 gで1時間、4℃にて遠心することにより単離した。ビリオンを次にRNase A(100μ g/ml)で37℃にて1時間消化し、続いて0.1%のドデシル硫酸ナトリウムおよび10 0μg/mlのプロティナーゼ K 存在下で37℃にて約4から16時間インキューベーシ ョンした。ビリオンDNAをフェノールで穏やかに抽出し、エタノールで沈殿さ せ、そしてTE[10mM Tris-C1(pH7.4)および0.1mM EDTA]に再懸濁した。DNAの 品質がインビトロライゲーションおよびトランスフェクションには鍵となる工程 であることに注意されたい。たとえ改良されたPignattiらの方法が良い品質のD NAを提供できても、DNAの品質は変化しうる。ビリオンDNAの品質が良い かどうかは2つの基準により評価された:1)電場−逆転電気泳動(field-rever sal electrophoresis)により測定されたとき、ビリオンDNAが完全であるか否 か;および2)CaPO4トランスフェクションで測定したときに、ビリオンDNA がトランスフェクションできるかどうか、である。 pBPX-4Z4 DNA(本実施例のA部に記載したように調製)および選択したHSV-1 株由来のウイルスDNAを、CV-1サル細胞中にコートランスフェ クトした。pBPXS-4Z4およびHSV-1ゲノム間の相同的組換えは、ICP6TATA-lacZカ セットをLATプロモーターの下流420bpに含む組換えウイルスを生成し、LAT領域 には897bpの欠失を生じた(図2)。組換えベクターウイルスはICP6プロモータ ーにより駆動させられるlacZ遺伝子(組織培養中で急性複製期中に発現する)を含 有するので、ベクター−感染プラークはX-galが基質として加えられると青色に 変わる。最大CPEが観察されたとき、トランスフェクション溶解物を回収し、CV- 1細胞の限界希釈で再プレーテイングし、そしてプラークのβ-gal活性を試験し た。推定される組換え子孫の頻度は0.05%であった。各実験から個別の青色ウイ ルスプラーク由来のウイルスを3−4回の制限滴定(limiting titration)により 精製し、そして1つの単離物をHFEM/ICP6-lacZと命名した。サザンブロット分析 を行い、LAT配座中のICP6プロモーター−LacZカセットと共に新規PacI部位の存 在を確認した。組換えウイルスの構造をさらに確認するために、PacI制限酵素消 化を行い、そして期待される電気泳動パターンを得た。 図3は、組換えウイルスHFEM/pICP-lacZのHFEMゲノムならびにBamHIBおよびE 領域の地図を表す、サザンブロット分析に関して(示さず)、野生型HFEMおよび 組換えHFEM/pICP-lacZ DNAを単離し、そしてBamHIで消化し、次に3つのプロー ブとハイブリダイズさせた。1つのゲルで、HFEM/pICP-lacZは、0.9kbのBStEII断 片欠失を有し、したがって0.9kbのBstEIIプローブでは何の信号も検出できなか ったが、wtHFEMの9kbのBamHIEバンドを検出できた。別のゲルでは、HFEM/pICP- lacZは4.3kbのICPTATA-LacZカッセト挿入を有し、したがって3.8kbのLacZプロー ブがHFEM/pICP-lacZの4.3kbバンドを検出できるが、HFEMの信号は検出できない 。 別のゲルでは、6.0kbのXhoIプローブがHFEM/pICP-lacZの3.4kb、4.7kb、6.8kbバ ンドとハイブリダイズしたが、HFEMでは6.8kb、9.0kbバンドとハイブリダイズし た。 C)組換えHSV-1ベクターの操作 非一同質DAN断片を、HFEM/ICP6-LacZ(本実施例のB部に記載したように調 製した)のゲノム中に挿入するために、lacZレポーター遺伝子に融合したLATプロ モーターを含むプラスミドpLAT-lac2を構築した。プラスミドpLZRV-Bは、pCH110 (ファルマシア:Pharmacia)から得たSV40ポリAシグナルを持つLacZ遺伝子を含有 する3.8kbのHindIIIからBamHIエンドフィリング断片を単離し、そしてbluescri ptプラスミドKS(ストラタジーン:Stratagene)のEcoRV部位にクローン化すること により構築された。pLZRV-B由来のこの3.8kbのXbaI−SalI断片をp4のXbaI−SalI 部位に挿入し、プラスミドpLAT-lac(9.8kb)を生成した。次にpLAT-lacをStyIお よびXbaIで消化し、そして325bpのXbaI−StyI断片を取り出し、そして残りの9.5 kbのXbaI−StyI断片を自己連結させて、pLAT-lac2を得た。このようにpLAT-lac2 は巨大なSwaIからStyI LATプロモーター要素を含み(1.2kb)、LacZ遺伝子の転写 を制御する。以下に詳細に記載するように、4.7kbのSwaI-PacI非-相同的DNA断片 をHFEM/ICP6-LacZのSwaI-PacI消化ウイルスベクターDNAと一緒にインビトロライ ゲーションした後、このライゲーション混合物をCV-1細胞中にトランスフェクト し、組換えウイルスHFEM/pLAT-lacZを生成した。 D)インビトロライゲーションおよびトランスフェクション 上記C部のSwaIおよびPacIで開裂したプラスミドDNAを(pLAT-lacZおよびHFEM/ ICP6-LacZ)、1%のアガロースゲルで電気泳動を行い、そこか ら適当な断片をジーンクリーンIIキット(バイオ101社:Bio 101,Inc.,ラジョラ 、カリフォルニア州)を使用して単離そして精製した。これらの断片を2.5%のPE G8000の存在下でSwaI-PacI消化ウイルスDNAと連結した。次にライゲーション混 合物を、D.J.Goldsteinら、J.Virol.,62:2970-2977(1988)により記載されたリン 酸カルシウム沈殿法によるトランスフェクションに直接使用した。消化プラスミ ド断片(2μg)およびウイルスDNA(2μg)をそれぞれのトランスフェクショ ンに使用した。生成したトランスフェクションから、各々の試料のプレートを10 %のウシ血清を補充したイーグルMEM培地で、完全なCPEが現れるまでインキュー ベーションした。最大のCPEが観察されたとき、トランスフェクション混合物を 回収し、そして子孫ウイルスの限界希釈で二次感染を行い、組換えHFEM/pLAT-la cZウイルスの生成効率を決定した。感染1日後、各々のプレートの細胞を、60μ g/mlのX-galならびに10%ウシ血清を補充したイーグルのMEMを含有する0.5%ア ガース(FMCバイオプロダクツ:BioProducts、ロックランド、メリーランド州) で重層した。 ベクターウイルスはICP6プロモーターが駆動するLacZ遺伝子を含有するとき、 X-galが組織培養中で発現される(青色プラークの表現型)が、インビボで潜伏し た後には検出できない。対照的に、LATプロモーターが駆動するLacZ遺伝子はβ- ガラクトシダーゼを組織培養中に発現しない(白色の表現型)が、インビボの潜伏 期間中に活性ではある[D.Y.Hoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:7596-7600(1989) ]。それゆえに、HFEM/pLAT-lacZで感染させたプラークは、HFEM/pICP6-lacZで感 染させた青色プラークの背景に対して白色であった。37℃で2日間インキューベ ーションした後、青色または白色のプラークを取り出した。結果は全プラーク 数あたりの白色プラーク数として報告する(表1)。3回のすべての実験で、Sw aI-PacIインビトロライゲーションおよびトランスフェクションからの組換えウ イルスの収量は100%であった。 3または4回のプラーク精製を通してすべてのウイルスを均一に精製し、そし てウイルスDNAを制限酵素消化し、続いてサザンハイブリダイゼーションによ り分析した。サザンブロッティング実験は、所望の組換えウイルスHFEM/pLAT-la cZの構造を確認するために行った。サザンブロッティングについては、野生型HF EMおよび組換えHFEM/pLAT-lacZ DNAを単離し、そしてBamHIで消化し、次に 2つのプローブとハイブリダイズさせた。1つのゲルでは、HFEM/pLAT-lacZは3. 8kbのICP6 LacZカセットの挿入を有し、したがって3.8kbのLacZプローブはHFEM/ pLAT-lacZの7.1kbのバンドを検出できるが、HFEMの信号は検出できない。別のゲ ルでは、6.0kbのXhoIプローブがHFEM/PLAT-lacZの4.4kb、6.8kb、7.Ikb バンドとハイブリダイズし、そしてHFEMでは6.8kbおよび9.0kbバンドもハイブリ ダイズした。実施例2−組換えベクターの使用 以下の実施例では本発明の治療的使用を示す。上記の改質HIV-1ウイルスベク ター中に発現されたβ-グルクロニダーゼ(GUSB)は、リソソームの貯蔵疾患ムコ 多糖症(MPS)VII(Sly病)を治療するために有用である。 GUSB遺伝子は、実施例1に記載したように得られたHIV-1ウイルスベクター中 に、適当なDNA制限酵素および標準的なライゲーション法を使用して挿入され る。このGUSB遺伝子を含有する組換えウイルスは白色プラークで同定される。 適切なCNSのニューロンを標的とするために、次に組換えウイルスベクターをM PS VII動物を角膜接種により感染させるために使用する。簡単に述べると、動物 (例えばマウス)に麻酔をかけ、それらの角膜を30ゲイジの皮下注射器の先端で すりはがし、そして105から106PFUの組換えウイルスベクターを含有する20μlの カルチャー液を各々の目に入れる。次に液体が吸収されるようにする。次にこの ウイルスベクターが適当な神経細胞に感染し、GUSB遺伝子がそこで発現され、し たがって欠失遺伝子が細胞に供給される。 本発明の数々の修飾および変更は上記の明細書に含まれ、そして当業者には明 らかであると思われる。本発明の方法に対するそのような修飾および変更は、こ れから記載する請求の範囲に包含されるものと考える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12R 1:92) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),CA,JP

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.選択したDNAウイルス中に選択したペプチドまたはタンパク質をコードす る外因性DNA配列を発現する方法であって: (a)未改質ウイルスにとって外来である第一の特有な制限酵素部位を、選択し た位置に挿入することにより生成した改質DNAウイルスを提供する工程であっ て、該第一の特有な酵素部位は第二の特有なウイルス制限部位と隣接しており; 該ウイルスを該特有の制限酵素部位で開裂する酵素で消化し、そして該消化部位 にlacZ遺伝子を含んで成る第一プラスミドカセットを挿入し、該カセットは第一 および第二の特有な制限酵素部位と同じである2つの制限酵素部位でフランクさ れており;ここで該ウイルスは該lacZタンパク質を発現することができ、かつ組 織培養中にX-galの存在下で成長させたときに青色のプラークを生成するもので ある工程; (b)上記改質ウイルスを上記の第一の特有な制限酵素および第二の制限酵素で 消化し、lacZを含有する上記カセットを取り出す工程; (c)上記第一の特有な制限部位および上記第二の制限部位によりフランクされ た選択タンパク質またはペプチドをコードするDNA配列を含んで成る第二プラ スミドカセットを、上記の消化部位に直接挿入する工程であって;上記ウイルス がX-galの存在下で組織培養中で生育したときに、このウイルスは該第二カセッ トの配列によりコードされるタンパク質またはペプチドを発現する無色のウイル スプラークを生成するものである工程、ならびに (d)上記ペプチドまたはタンパク質を発現できる上記ウイルスプラークを、無 色のプラークを確認し、そして単離することにより単離する工 程;ならびに (e)上記無色のウイルスプラークが生産する生成物を回収する工程、を含んで 成る上記方法。 2.第二の特有な制限酵素部位が未改質ウイルスにとって内因性である、請求の 範囲第1項に記載の方法。 3.第二の特有な制限酵素部位が未改質ウイルスにとって外来である、請求の範 囲第1項に記載の方法。 4.第二の制限酵素部位が第一の制限酵素部位とは異なり、それによりカセット を消化部位へ指向的に挿入することができる、請求の範囲第3項に記載の方法。 5.第一カセットが、lacZ遺伝子の発現を制御するプロモーターをさらに含んで 成る、請求の範囲第1項に記載の方法。 6.第二カセットが、選択したタンパク質またはペプチドの発現を制御するプロ モーターをさらに含んで成る、請求の範囲第1項に記載の方法。 7.上記第一の特有な制限酵素部位が天然のウイルスプロモーターの下流に位置 し、そして第一カセットの挿入が上記lacZ遺伝子をコードするDNA配列を、そ の発現が該ウイルスプロモーターにより駆動させられる位置に配置させる、請求 の範囲第1項に記載の方法。 8.上記の特有な制限酵素部位が天然のウイルスプロモーターの下流に位置し、 そして第二カセットの挿入が上記ペプチドまたはタンパク質をコードするDNA 配列を、その発現が該ウイルスプロモーターにより駆動させられる位置に配置さ せる、請求の範囲第1項に記載の方法。 9.上記プロモーターがICP6プロモーター、LATプロモーター、アクチンプロモ ーターおよびニューロフィラメントプロモーターから成る群 から選択される、請求の範囲第5ないし第8項のいずれか1項に記載の方法。 10.上記ウイルスがヘルペスウイルス科の一族の構成員である、請求の範囲第 1項に記載の方法。 11.上記ウイルスが単純ヘルペスである、請求の範囲第10項に記載の方法。 12.上記の特有な制限酵素部位がPacIである、請求の範囲第10項に記載の方 法。 13.上記ウイルスがサイトメガロウイルスである、請求の範囲第10項に記載 の方法。 14.上記の特有な制限酵素部位がPacI、SwaIおよびPmeIから成る群から選択さ れる、請求の範囲第13項に記載の方法。 15.上記ウイルスがエプスタインバールウイルスである、請求の範囲第10項 に記載の方法。 16.上記の特有な制限酵素部位がPacIである、請求の範囲第15項に記載の方 法。 17.上記ウイルスが水痘ウイルスである、請求の範囲第10項に記載の方法。 18.上記の特有な制限酵素部位がAscIおよびFseIから成る群から選択される、 請求の範囲第17項に記載の方法。 19.上記発現がインビトロで起こる、請求の範囲第1項に記載の方法。 20.未改質ウイルスにとって外来である第一の特有な制限酵素部位を選択した 位置に挿入することにより生成した改質DNAウイルスであって、該特有の部位 が第二の特有なウイルス制限部位と隣接しており;該 ウイルスを特有の制限酵素部位で開裂する酵素で消化し、そして該消化部位にla cZ遺伝子を含んで成る第一プラスミドカセットを挿入し、該カセットは第一およ び第二の特有な制限酵素部位と同じである2つの制限酵素部位でフランクされて おり;ここで該ウイルスは該lacZタンパク質を発現することができ、かつ組織培 養中にX-galの存在下で成長させたときに青色のウイルスプラークを生成する、 上記改質DNAウイルス。 21.第二の制限酵素部位が未改質ウイルスにとって内因性であり、かつ特有で ある、請求の範囲第20項に記載の改質ウイルス。 22.第二の制限酵素部位が未改質ウイルスにとって外来である、請求の範囲第 20項に記載の改質ウイルス。 23.第二の制限酵素部位が第一の制限酵素部位とは異なり、それによりカセッ トを消化部位へ指向的に挿入することができる、請求の範囲第22項に記載の改 質ウイルス。 24.上記ウィルスが単純ヘルペスであり、そして上記第一の特有な制限酵素部 位がPacIである、請求の範囲第20項に記載の改質DNAウイルス。 25.上記ウイルスがサイトメガロウイルスであり、そして上記の第一の特有な 制限酵素部位がPacI、SwaIおよびPmeIから成る群から選択される、請求の範囲第 20項に記載の改質DNAウイルス。 26.上記ウイルスがエプスタインバールウイルスであり、そして上記の第一の 特有な制限酵素部位がPacIである、請求の範囲第20項に記載の改質DNAウイ ルス。 27.上記ウイルスが水痘ウイルスであり、そして上記の第一の特有な制限酵素 部位がAscIおよびFseIから成る群から選択される、請求の範囲 第20項に記載の改質DNAウイルス。 28.第一の特有な制限酵素部位がウイルスプロモーター下流に位置する、請求 の範囲第1項に記載の改質DNAウイルス。
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