JP3183766B2 - 抗菌性塗料組成物および塗膜 - Google Patents

抗菌性塗料組成物および塗膜

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JP3183766B2
JP3183766B2 JP32083493A JP32083493A JP3183766B2 JP 3183766 B2 JP3183766 B2 JP 3183766B2 JP 32083493 A JP32083493 A JP 32083493A JP 32083493 A JP32083493 A JP 32083493A JP 3183766 B2 JP3183766 B2 JP 3183766B2
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勝博 城野
田中  敦
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触媒化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性、防カビ性、防臭
性、防藻性等に優れた塗膜を形成する抗菌性塗料組成物
に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】従来、ゼオライトやシリ
カゲル、酸化チタン等の粉末に抗菌性を有する金属成分
をイオン交換や含浸などの方法により担持した抗菌剤を
含有する抗菌性塗料組成物が知られている。
【0003】例えば、特開昭63−221175号公報
には、殺菌作用を有する金属イオンを保持している陽イ
オン交換体を含有してなる防カビおよび抗菌性を有する
塗壁材料または吹付け材料が開示されており、また、特
開平2−251585号公報には、特定の金属アルコキ
シドの加水分解物と、抗菌性金属イオンを含む含水アル
ミノケイ酸塩とからなるコーティング用組成物が記載さ
れている。
【0004】しかし、上記従来の抗菌剤は粉末状で、そ
の粒子径が大きいため塗料組成物中への分散性が悪く、
また、形成された塗膜の密着性が低下する要因となる。
更に、抗菌性成分を粉末に担持しているため利用効率が
低く、抗菌性が効果的に発現しにくくて、所望の抗菌活
性を得るためには多量の抗菌剤を添加する必要がある。
この場合、金属成分の含有量も多くなるので、銀などの
抗菌性金属成分を用いた抗菌剤を使用した塗料組成物で
は形成された塗膜が変色を起こすといった問題点があっ
た。
【0005】また、特開平4−255767号公報に
は、(a)合成樹脂エマルジョン、(b)コロイド状も
しくは微粒子状の金属酸化物、シリカゲルおよび/また
はゼオライト、(c)抗菌性金属の錯イオン、および
(d)水、を主成分とするコーティング用組成物が開示
されているが、この組成物はそもそも繊維材料に被膜を
形成するためのコーティング用組成物であり、また、抗
菌効果の持続性の点が隘路となっている。
【0006】さらに、特開平4−321628号公報に
は、抗菌性の高い銀コロイド粒子からなる抗菌剤が提案
されているが、該コロイド溶液は灰褐色に着色してお
り、透明性に欠け、また、銀成分そのものがコロイド粒
子であるため、凝集し易く安定性に欠けるという問題点
を有している。
【0007】
【発明の目的】本発明は、優れた抗菌活性、防カビ性、
消臭性、防藻性等を有し、平均粒子径が500nm以下
の微粒子を使用することで、前述したような粉末状の抗
菌剤を使用することによる問題点を解決し、長期間にわ
たって優れた抗菌効果を維持することができ、しかも、
変色することがない塗膜を形成し得る抗菌性塗料組成
物、およびその塗膜を提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る抗菌性塗料組成物は、抗菌
性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから
構成され、平均粒子径が500nm以下の微粒子が分散
してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液と、塗膜形成剤
と、溶剤とからなる抗菌性塗料組成物であって、該コロ
イド溶液は該塗料組成物の任意の製造工程で添加され、
該コロイド溶液中の抗菌性金属成分の重量をA、該コロ
イド溶液を超遠心分離処理して遊離した抗菌性金属成分
の重量をBとしたとき、B/Aで表される抗菌性金属成
分の結合力指数(I)の値が1.0×10-3以下である
ことを特徴とする。前記無機酸化物コロイド溶液の光透
過率は50%以上であることが好ましい。ここで、光透
過率とは、厚さ1cmの水に於ける波長500nmの光
の透過率を100%とした場合に於いて、厚さ1cmの
酸化物としての濃度が1.0重量%の無機酸化物コロイ
ド溶液に於ける同波長光の透過率の相対値をいう。前記
微粒子は無機複合酸化物であることが好ましい。本発明
に係る塗膜は、前記抗菌性塗料組成物から形成されたも
のである。
【0009】
【発明の具体的な説明】本発明において、抗菌性金属成
分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成され
る微粒子は、抗菌性金属成分が無機酸化物と混合物また
は化合物の形で微粒子を形成するか、あるいは、該抗菌
性金属成分が無機酸化物微粒子の表面に結合している。
特に、該微粒子が抗菌性金属成分と無機酸化物との混合
物または化合物の形、即ち、複合酸化物を形成している
ことが、長期間にわたり抗菌効果を持続して有する上で
好ましい。
【0010】抗菌性金属成分としては、通常知られてい
るものを用いることができ、例えば、銀、銅、亜鉛、
錫、鉛などが例示される。特に、銀、銅、亜鉛から選択
される1種以上の抗菌性金属成分は、抗菌作用、変色及
び人体に対する安全性などの観点から好ましい。
【0011】抗菌性成分としての銅イオンは青色を呈す
るが、銀イオンはそもそも無色である。しかし、銀イオ
ンは光化学反応や酸化作用により金属銀の凝集体あるい
は酸化物となり、褐色または黒色に変色する。特に紫外
線の光化学反応による銀成分の変色を防止するために
は、チタン、ジルコニウム、セリウム、亜鉛などを銀成
分と組合わせて使用することが望ましい。これは、チタ
ン、ジルコニウム、セリウムおよび亜鉛成分が紫外線吸
収剤として作用して、銀成分の変色を防止する効果を有
しているからである。
【0012】一方、本発明において、抗菌性金属成分以
外の無機酸化物としては、一般に知られているコロイド
溶液を構成する無機酸化物を挙げることができ、無機酸
化物コロイド粒子としては、単一または複合酸化物コロ
イド粒子、あるいはこれらの混合物を用いることが可能
である。
【0013】単一の酸化物コロイド粒子としては、Si
2 、TiO2 、ZrO2 、Fe23 、Sb2 5
WO3 、Al2 3 、等が例示され、複合酸化物コロイ
ド粒子としては、前記各酸化物と他の無機酸化物の複合
酸化物コロイド粒子、例えば、SiO2 ・Al2 3
SiO2 ・B2 3 、SiO2 ・P2 5 、TiO2
CeO2 、TiO2 ・ZrO2 、SiO2 ・ZrO2
SnO2 ・Sb2 5、SiO2 ・Al2 3 ・TiO
2 、SiO2 ・TiO2 ・CeO2 、TiO2・SiO
2 ・ZrO2 、SiO2 ・Al2 3 ・MgO、SiO
2 ・Al2 3・CaO、SiO2 ・TiO2 ・Fe2
3 などを挙げることができる。
【0014】本発明において抗菌性金属成分の量は、微
粒子中に酸化物換算で0.1〜25重量%の範囲内であ
ることが望ましい。抗菌性金属成分が0.1重量%より
も少ない場合は、多量の微粒子を用いないと抗菌作用が
十分に発現しない。また、抗菌性金属成分を25重量%
よりも多くしても、25重量%の場合と比較して抗菌作
用に大差がなく、また、銀成分などでは、結合量が多く
なると変色しやすい。好ましい抗菌性金属成分の量は、
酸化物換算で0.1〜15重量%、更に好ましくは、
0.5〜10重量%の範囲である。
【0015】本発明において、抗菌性金属成分と該抗菌
性金属成分以外の無機酸化物とから構成される微粒子
は、コロイド粒子の次元の大きさのもので、その平均粒
子径は500nm以下である。平均粒子径が500nm
よりも大きくなると、可視光の散乱が多くなるため、該
微粒子を含有する塗料組成物および形成される塗膜の透
明性が損なわれたり、塗料組成物が有色である場合に
は、変色を起こす原因ともなる。また、形成される塗膜
との密着性が低下する要因となったり、塗膜における該
微粒子の分散性が悪くなるので、優れた抗菌効果を維持
することができない。該微粒子の平均粒子径は、好まし
くは、300nm以下、更に好ましくは、3〜250n
mの範囲であることが望ましい。
【0016】前述の平均粒子径が500nm以下の微粒
子は、コロイド溶液として提供されることが望ましく、
そのような抗菌性の無機酸化物コロイド溶液としては、
本出願人が先に提案した特願平5−198894号に記
載の抗菌剤が好適である。
【0017】すなわち、該抗菌剤は、抗菌性金属成分と
該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される微
粒子が分散してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液であ
って、当該コロイド溶液中の抗菌性金属成分の重量を
A、該コロイド溶液を超遠心分離処理して遊離した抗菌
性金属成分の重量をBとしたとき、B/Aで表される抗
菌性金属成分の結合力指数(I)の値が1.0×10-3
以下であることを特徴とするものである。
【0018】前記結合力指数(I)は、次の方法により
求める。すなわち、抗菌性無機酸化物コロイド溶液中の
抗菌性金属成分の重量をプラズマ発光分光分析装置によ
り、金属原子を定量して求め、次いで、所定量の該抗菌
性無機酸化物コロイド溶液を回転数45,000rpm
の超遠心分離機にて1時間処理して固形分と溶液に分離
し、この分離された溶液中に含まれる抗菌性金属成分の
金属原子をプラズマ発光分析装置で定量して、遊離した
抗菌性金属成分の重量とする。
【0019】結合力指数(I)が1.0×10-3より大
きい場合には、抗菌性金属成分の無機酸化物コロイド粒
子への結合力が弱いため、抗菌性無機酸化物コロイド溶
液の溶媒中に抗菌性金属成分が溶出しやすく、該微粒子
を塗料組成物中に含有させ、塗膜を形成せしめた際に抗
菌効果の持続性に劣り、また、抗菌性金属成分として銀
を用いた場合には変色の原因ともなるので好ましくな
い。抗菌性金属成分の結合力指数(I)は、好ましくは
5.0×10-4以下、特に、1.0×10-4以下である
ことが望ましい。抗菌性金属成分が2種以上の場合に
は、それぞれの抗菌性金属成分の結合力指数が1.0×
10-3以下であることを要する。
【0020】上記抗菌性無機酸化物コロイド溶液の中で
も、特に、微粒子が抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分
以外の無機酸化物との複合酸化物から構成されるもの
は、上記結合力指数(I)の値が小さいので好適であ
る。該複合酸化物の微粒子が分散した抗菌性無機酸化物
コロイド溶液は、例えば、特開平5−132309号公
報に記載された複合酸化物コロイド溶液の製造方法に準
じて調製することができる。即ち、アルカリ金属、アン
モニウムまたは有機塩基の珪酸塩と、アルカリ可溶の無
機化合物と、抗菌性金属成分の水溶液とを、pH10以
上のアルカリ水溶液中に同時に添加し、抗菌性金属成分
と複合酸化物を形成した無機酸化物コロイド粒子を生成
させる方法である。
【0021】また、特開昭63−270620号公報に
記載された製造方法に準じて調製することもできる。即
ち、含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加え
て得られるチタン酸水溶液と抗菌性金属成分の水溶液と
を、必要に応じてケイ素化合物および/またはジルコニ
ウム化合物等の存在下で加熱処理して、抗菌性金属成分
と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される
複合無機酸化物微粒子が分散したコロイド溶液を調製す
る方法である。
【0022】上記方法で得られた抗菌性無機酸化物コロ
イド溶液の分散媒である水は、通常の方法で、メチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒と置
換して、有機溶媒を分散媒とする抗菌性無機酸化物コロ
イド溶液とすることもできる。
【0023】また、本発明において前記コロイド溶液の
濃度は、通常使用に適したコロイド溶液の濃度に調節可
能であるが、コロイド溶液の安定性から言えば、酸化物
として1〜30重量%の範囲とすることが好ましい。該
コロイド溶液は、限外濾過膜などを用いる公知の方法に
より所望の濃度に調整される。
【0024】なお、本発明方法で使用される抗菌性無機
酸化物コロイド溶液は、50%以上、好ましくは60%
以上の高い光透過率を示すことが望ましい。抗菌性無機
酸化物コロイド溶液の光透過率が高い場合には、形成さ
れる塗膜も透明性に優れている。ここで、光透過率と
は、厚さ1cmの水に於ける波長500nmの光の透過
率を100%とした場合に於いて、厚さ1cmの酸化物
としての濃度が1.0重量%の抗菌性無機酸化物コロイ
ド溶液に於ける同波長光の透過率の相対値をいう。
【0025】本発明に係る抗菌性塗料としては、油性塗
料、酒精塗料、セルロース塗料、合成樹脂塗料、水性塗
料、ゴム系塗料などを挙げることができ、該塗料組成物
は、前記抗菌性無機酸化物コロイド溶液と、塗膜形成剤
と、溶剤とからなる。当該コロイド溶液は、これらの塗
膜形成剤や溶剤中に添加したり、その他塗料組成物の製
造工程、あるいは塗膜を形成する任意の工程で添加混合
して調製される。
【0026】本発明で使用する塗膜形成剤(ビヒクル)
は、通常、塗料組成物に用いられる塗膜形成剤が使用さ
れ、ボイル油、油ワニス、ニトロセルロース、ビニル樹
脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アク
リル樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、塩化ゴムなどが例
示される。塗膜形成剤には、反応により塗膜を形成する
化合物も含み、これらは1種を単独使用しても、または
2種以上の化合物を併用してもよい。
【0027】本発明で使用する溶剤としては、通常、塗
料組成物に用いられる有機溶媒や水が使用される。有機
溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エー
テル類、脂肪族炭化水素、または、トルエン、ベンゼン
等の芳香族炭化水素が例示される。
【0028】本発明の抗菌性塗料組成物は、前記微粒子
と塗膜形成剤の合計量に対して、該微粒子を0.1〜2
5重量%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲で含有
することが望ましい。この含有量が0.1重量%より少
ない場合には所望の抗菌効果が得られず、また、25重
量%よりも多い場合には、均一な塗工が困難となるなど
塗料としての特性を損なったり、また、変色を起こし易
くなるので好ましくない。
【0029】本発明において、塗膜形成剤と溶剤の割合
は、通常の塗料組成物と同様であり、塗膜形成剤の割合
として1〜99重量%、好ましくは5〜60重量%の範
囲内である。また、本発明の抗菌性塗料組成物は、必要
に応じて、各種界面活性剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、
消泡剤、香料、染料、顔料、乾燥剤など、従来公知の添
加剤を含有することができる。
【0030】本発明の抗菌性塗料組成物は、公知の方
法、例えば、スプレー、刷毛、ロール、ディッピングな
どの塗装方法や、グラビア印刷などの印刷方法により無
機基材や有機基材の表面にコーティング、乾燥して、塗
膜が形成される。本発明により得られる塗膜は、長期間
にわたって抗菌性、防黴性、防臭性、防藻性などの効果
を保持し、また、前記微粒子の粒子径が小さいため塗膜
の透明性に優れ、基材との密着性が阻害されることがな
い。従って、該塗料組成物は農業用、漁業用、家庭用、
建築用、医療用、衣料用、工業用などの各種産業用機器
や資材などの用途に広範囲に使用することができる。
【0031】本発明の塗料組成物は、特に、床材、壁
材、階段の手摺のような建築材料、消毒布、包帯、肌
着、シーツ、布団カバー、カーテン、カーペット、絨毯
などの繊維材料、便座、台所流し台、テーブル、冷蔵
庫、クーラーなどの室内備品、工業用タンク類、バケ
ツ、洗面器、食器などの日用雑貨品、船舶、漁網などの
漁業用材料、物品包装用フィルムなどの包装材、ハンド
ル、シート等の自動車や車両の内装品、エレベーターの
内装品、ヘルメット、玩具製品、靴用敷物、ファン備品
や電気部品、パッキン類などの他、電車などの吊り革の
把持部、電話受話器、待合室の椅子やベンチ等、不特定
多数の手に触れることが多いこの種製品の表面に塗布さ
れる。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に
説明する。
【0033】製造例1 〔抗菌性無機酸化物コロイド溶液の調製〕硫酸チタンを
純水に溶解し、TiO2 として1.0重量%を含む水溶
液を得た。この水溶液を撹拌しながら、15重量%アン
モニア水を徐々に添加し、白色のスラリーを得た。この
スラリーを濾過、洗浄し、含水チタン酸のケーキを得
た。このケーキ31.4gに水溶液濃度が1.0重量%
になるように純水を加えて希釈し、更に33重量%過酸
化水素219.8gを加えた後、80℃で14時間加熱
し、過酸化水素を加熱分解させ、TiO2 として1.0
重量%の溶液3136gを得た。このチタン酸溶液は黄
褐色透明で、PHは8.2であった。
【0034】次いで、酸化銀0.68gを15重量%ア
ンモニア水21.3g、純水618.1g中で溶解し
て、銀のアンミン錯塩水溶液とし、この水溶液に炭酸ジ
ルコニウムアンモニウム15.4gを純水169.9g
に溶解したものを添加した。この混合水溶液を前記チタ
ン酸水溶液に加え、次に、20重量%シリカゾル38.
7gを加えた後、150℃で48時間加熱した。この溶
液は、初期黄褐色液であったが、48時間後に淡乳白色
透明なコロイド溶液となった。
【0035】この銀成分を含む複合酸化物コロイド溶液
のPHは7.5で、固形分濃度は1.0重量%であり、
コロイド粒子の平均粒径は、5.0nmであった。ま
た、このコロイド溶液の抗菌性金属成分の結合力指数
(I)の値は、0.6×10-4であり、波長500nm
の光透過率は76.3%であった。このコロイド溶液を
限外濾過膜を用いて12.0重量%の濃度に濃縮した。
【0036】製造例2 〔抗菌性無機酸化物オルガノコロイド溶液の調製〕上記
濃縮したコロイド溶液249gとメタノール1788.
3gとを混合し、この混合溶液中にメチルトリメトキシ
シラン5.96gを添加した。この混合溶液を還流器付
ガラス容器に入れ、65℃で18時間加熱処理した後、
これを限外濾過膜で約10重量%まで濃縮した。次い
で、メタノールを添加しながら混合液中の水を連続的に
限外濾過膜装置で溶媒置換した。置換後のオルガノコロ
イド溶液中の残存水分量は、0.4重量%で、固形分濃
度は11.5重量%であった。このオルガノコロイド溶
液の濃度1重量%における光透過率は85.6%であっ
た。
【0037】製造例3 〔抗菌性無機酸化物コロイド溶液の調製〕SiO2 濃度
20重量%のコロイド溶液20gと純水380gの混合
物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.7
であり、同母液にSiO2 として1.5重量%の珪酸ソ
ーダ水溶液1500gとAl2 3 として0.5重量%
のアルミン酸ソーダ水溶液1500gとを同時に添加し
て、pH12.3のシリカ・アルミナ複合酸化物コロイ
ド溶液とした後、限外濾過膜で濃縮して固形分濃度2
2.2重量%のコロイド溶液を調製した。
【0038】一方、酸化銀0.52gを約80gの水に
懸濁し、次いで15重量%のアンモニア水を酸化銀が溶
解するまで加え、銀の酸化物としての濃度が0.5重量
%となる様に水を加えて調整した。この銀アンミン錯塩
水溶液を前記コロイド溶液に添加して十分に撹拌し、銀
成分とシリカ・アルミナ複合酸化物コロイド粒子とから
なるコロイド溶液を調製した。このコロイド溶液を濃度
調整して、固形分濃度1.0重量%のシリカ・アルミナ
コロイド溶液を得た。
【0039】このコロイド溶液のコロイド粒子の平均粒
径は10.7nmであり、抗菌性金属成分の結合力指数
(I)の値は、4.8×10-4で、波長500nmの光
透過率は74.2%であった。このコロイド溶液を限外
濾過膜を用いて12.0重量%の濃度に濃縮した。
【0040】製造例4 〔ゼオライト系抗菌剤の調製〕Na−Y型ゼオライトを
水に懸濁して、濃度5重量%の懸濁スラリー400gを
調製した。ついで、この懸濁スラリーを70℃に加温
し、濃度5重量%のAgN03 水溶液9.2gを添加
し、90℃に加温して1時間放置することにより銀のイ
オン交換を行った。このスラリーを濾過し、60℃の温
水で十分に洗浄後、120℃で乾燥し、更に550℃で
1時間焼成して粉末状の抗菌剤を調製した。この粉末粒
子の平均粒子径は1.0μmであった。
【0041】実施例1 製造例1で得た酸化物換算で1.0重量%の銀を含む1
2.0重量%無機酸化物コロイド溶液100gを、塗膜
形成剤濃度40重量%のアクリル樹脂系水溶性塗料(日
本純薬(株)製、ジュリマーFC65)295gに添加
し、高速ミキサーで混合した。この塗料を10cm×1
0cm×3mmのガラス板に3μmのバーコーターによ
り塗布した後、90℃で2分間乾燥した。
【0042】実施例2 製造例1で得た酸化物換算で1.0重量%の銀を含む1
2.0重量%無機酸化物コロイド溶液100gを、塗膜
形成剤濃度50重量%の不飽和ポリエステル樹脂系水溶
性塗料(日本合成化学(株)製、ポリエスターWR−9
30)216gに添加し、高速ミキサーで混合した。こ
の塗料を10cm×10cm×3mmのガラス板に3μ
mのバーコーターにより塗布した後、90℃で2分間乾
燥した。
【0043】実施例3 製造例2で得た酸化物換算で1.0重量%の銀を含む1
1.5重量%オルガノコロイド溶液100gを、塗膜形
成剤濃度50重量%のメラミン樹脂系塗料(三井東圧
(株)製、ユーラミンT−34)207gに添加し、高
速ミキサーで混合した。この塗料を10cm×10cm
×3mmのガラス板に3μmのバーコーターにより塗布
した後、90℃で2分間乾燥した。
【0044】実施例4 製造例3で得た酸化物換算で1.5重量%の銀を含む1
2.0重量%無機酸化物コロイド溶液67gを、塗膜形
成剤濃度40重量%のアクリル樹脂系水溶性塗料(日本
純薬(株)製、ジュリマーFC65)295gに添加
し、高速ミキサーで混合した。この塗料を10cm×1
0cm×3mmのガラス板に3μmのバーコーターによ
り塗布した後、90℃で2分間乾燥した。
【0045】比較例1 製造例4で得た酸化物換算で1.5重量%の銀を含むゼ
オライト系抗菌剤8.0gを92gの水に懸濁させたも
のを、塗膜形成剤濃度40重量%のアクリル樹脂系水溶
性塗料(日本純薬(株)製、ジュリマーFC65)29
5gに添加し、高速ミキサーで混合した。この塗料を1
0cm×10cm×3mmのガラス板に3μmのバーコ
ーターにより塗布した後、90℃で2分間乾燥した。
【0046】実施例5 〔抗菌力試験〕実施例1〜4および比較例1で得た塗膜
付きガラス板について抗菌力試験を行った。大腸菌およ
び黄色葡萄状球菌を生理食塩水中に懸濁させ、その30
μlを3cm×3cmに切断した上記各試料面に滴下
し、28℃で24時間放置後、生菌数を測定して式1に
より死滅率を求めた。結果を表1に示す。
【0047】
【式1】死滅率(%)=100×(初期生菌数−24時
間後の生菌数)/初期生菌数
【0048】
【表1】
【0049】実施例6 〔耐候性試験〕実施例1〜4および比較例1で得た塗膜
付きガラス板について、抗菌効果の持続性および変色を
観るために、耐候性試験と同試験後の抗菌力試験を行っ
た。耐候性試験は、各試料を耐候性試験装置、ウェザー
メータ(スガ試験機器(株)製)を用いて、温度60℃
にて、15分間は水を散布し、45分間は水の散布を停
止した状態で晒し、この操作を1時間周期で100時間
繰り返した。この耐候性試験後の試料の変色の有無を目
視により観察し、また、抗菌力試験を実施例5と同様に
して行った。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明の抗菌性塗料組成物によれば、長
期間にわたって抗菌性、防黴性、防臭性、防藻性に優
れ、且つ、変色することがない塗膜を得ることが可能と
なる。また、前記微粒子の粒子径が小さいので、形成さ
れる塗膜は透明性に優れ、しかも、基材との密着性が良
好であることから、前記したような各種の用途に有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−122162(JP,A) 特開 平2−6333(JP,A) 特開 平1−268764(JP,A) 特開 平1−249702(JP,A) 特開 平4−255767(JP,A) 特開 平6−14979(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/14 C09D 7/12 C09D 201/00 - 201/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外
    の無機酸化物とから構成され平均粒子径が500nm
    以下の微粒子が分散してなる抗菌性無機酸化物コロイド
    溶液と、塗膜形成剤と、溶剤とからなる抗菌性塗料組成
    物であって、該コロイド溶液は該塗料組成物の任意の製
    造工程で添加され、該コロイド溶液中の抗菌性金属成分
    の重量をA、該コロイド溶液を超遠心分離処理して遊離
    した抗菌性金属成分の重量をBとしたとき、B/Aで表
    される抗菌性金属成分の結合力指数(I)の値が1.0
    ×10 -3 以下であることを特徴とする抗菌性塗料組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記無機酸化物コロイド溶液の光透過率
    が50%以上である請求項1記載の抗菌性塗料組成物。
    (ここで、光透過率とは、厚さ1cmの水に於ける波長
    500nmの光の透過率を100%とした場合に於い
    て、厚さ1cmの酸化物としての濃度が1.0重量%の
    無機酸化物コロイド溶液に於ける同波長光の透過率の相
    対値をいう。
  3. 【請求項3】 前記微粒子が無機複合酸化物である請求
    項1または請求項2記載の抗菌性塗料組成物
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3記載の抗菌性塗料組
    成物から形成された塗膜
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