JP3159854B2 - 抗菌性合成樹脂組成物および抗菌性合成樹脂成型物 - Google Patents

抗菌性合成樹脂組成物および抗菌性合成樹脂成型物

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JP3159854B2
JP3159854B2 JP32083393A JP32083393A JP3159854B2 JP 3159854 B2 JP3159854 B2 JP 3159854B2 JP 32083393 A JP32083393 A JP 32083393A JP 32083393 A JP32083393 A JP 32083393A JP 3159854 B2 JP3159854 B2 JP 3159854B2
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勝博 城野
田中  敦
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性、防カビ性、防臭
性に優れた合成樹脂組成物および合成樹脂成型物に関す
るものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】従来、ゼオライトやシリ
カゲル、酸化チタン等の粉末に抗菌性を有する金属成分
をイオン交換や含浸などの方法により担持した抗菌剤を
合成樹脂中に含有せしめた抗菌性合成樹脂組成物が知ら
れている。
【0003】例えば、特開平2−255844号公報に
は、抗菌性金属イオンを保持しているゼオライトおよび
塩基性金属化合物を含有する樹脂組成物が開示されてお
り、また、特開平3−84066号公報には、銀、銅、
亜鉛、金および白金より選ばれる少なくとも1種の金属
および/またはその酸化物を0.1〜20重量%担持し
た平均粒子径が10μm以下である無機系および/また
は有機系複合粒子を樹脂中に0.01〜20重量%含有
させてなる抗菌作用を有する樹脂組成物が記載されてい
る。
【0004】しかし、上記従来の抗菌剤は粉末状で、そ
の粒子径が大きいため添加したときの分散性が悪く、不
透明であり、さらに、多孔質のため空気中の水分を吸収
して、変色や樹脂劣化を引き起こす要因となる。また、
抗菌性成分を粉末に担持しているため利用効率が低く、
抗菌性が効果的に発現しにくくて、所望の抗菌活性を得
るためには多量の抗菌剤を添加する必要がある。この場
合、金属成分の含有量も多くなるので、銀などの抗菌性
金属成分を用いた抗菌剤を使用した合成樹脂組成物では
変色が起こるといった問題点があった。
【0005】また、特開平4−255767号公報に
は、(a)合成樹脂エマルジョン、(b)コロイド状も
しくは微粒子状の金属酸化物、シリカゲルおよび/また
はゼオライト、(c)抗菌性金属の錯イオン、および
(d)水、を主成分とするコーティング用組成物が開示
されているが、この組成物はそもそも繊維材料に被膜を
形成するためのコーティング用組成物であり、また抗菌
効果の持続性の点が隘路となっている。
【0006】さらに、特開平4−321628号公報に
は、抗菌性の高い銀コロイド粒子からなる抗菌剤が提案
されているが、該コロイド溶液は灰褐色に着色してお
り、透明性に欠け、また、銀成分そのものがコロイド粒
子であるため、凝集し易く安定性に欠けるという問題点
を有している。
【0007】
【発明の目的】本発明は、優れた抗菌活性、防カビ性、
消臭性を有し、平均粒子径が500nm以下の微粒子を
使用することで、前述したような粉末状の抗菌剤を使用
することによる問題点を解決し、長期間にわたって優れ
た抗菌効果を維持することができ、しかも、変色するこ
とがない抗菌性合成樹脂組成物および抗菌性合成樹脂成
型物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【発明の概要】本発明は、抗菌性金属成分と該抗菌性金
属成分以外の無機酸化物とから構成される微粒子が分散
してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液を合成樹脂製造
における任意の工程で添加して得られる抗菌性合成樹脂
組成物であって、前記微粒子の平均粒子径が500nm
以下であり、前記コロイド溶液中の抗菌性金属成分の重
量をA、該コロイド溶液を超遠心分離処理して遊離した
抗菌性金属成分の重量をBとしたとき、B/Aで表され
る抗菌性金属成分の結合力指数(I)の値が1.0×1
-3以下であることを特徴とするものである。前記無機
酸化物コロイド溶液の光透過率は50%以上であること
が好ましく、ここで、光透過率とは、厚さ1cmの水に
於ける波長500nmの光の透過率を100%とした場
合に於いて、厚さ1cmの酸化物としての濃度が1.0
重量%の無機酸化物コロイド溶液に於ける同波長光の透
過率の相対値をいう。前記微粒子は無機複合酸化物であ
ることが好ましい。本発明に係る抗菌性合成樹脂成型物
は、前記合成樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0009】
【発明の具体的な説明】本発明において、抗菌性金属成
分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成され
る微粒子は、抗菌性金属成分が無機酸化物と混合物また
は化合物の形で微粒子を形成するか、あるいは、該抗菌
性金属成分が無機酸化物微粒子の表面に結合している。
特に、該微粒子が抗菌性金属成分と無機酸化物との混合
物または化合物の形、即ち、複合酸化物を形成している
ことが、長期間にわたり抗菌効果を持続して有する上で
好ましい。
【0010】抗菌性金属成分としては、通常知られてい
るものを用いることができ、例えば、銀、銅、亜鉛、
錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、水銀などが例
示される。特に、銀、銅、亜鉛から選択される1種以上
の抗菌性金属成分は、抗菌作用、変色及び人体に対する
安全性などの観点から好ましい。
【0011】抗菌性成分としての銅イオンは青色を呈す
るが、銀イオンはそもそも無色である。しかし、銀イオ
ンは光化学反応や酸化作用により金属銀の凝集体あるい
は酸化物となり、褐色または黒色に変色する。特に紫外
線の光化学反応による銀成分の変色を防止するために
は、チタン、ジルコニウム、セリウム、亜鉛などを銀成
分と組合わせて使用することが望ましい。これは、チタ
ン、ジルコニウム、セリウムおよび亜鉛成分が紫外線吸
収剤として作用して、銀成分の変色を防止する効果を有
しているからである。
【0012】一方、本発明において、抗菌性金属成分以
外の無機酸化物としては、一般に知られているコロイド
溶液を構成する無機酸化物を挙げることができ、無機酸
化物コロイド粒子としては、単一または複合酸化物コロ
イド粒子、あるいはこれらの混合物を用いることが可能
である。
【0013】単一の酸化物コロイド粒子としては、Si
2 、TiO2 、ZrO2 、Fe23 、Sb2 5
WO3 、などが例示され、複合酸化物コロイド粒子とし
ては、前記各酸化物と他の無機酸化物の複合酸化物コロ
イド粒子、例えば、SiO2・Al2 3 、SiO2
2 3 、SiO2 ・P2 5 、TiO2 ・CeO2
TiO2 ・ZrO2 、SiO2 ・ZrO2 、SnO2
Sb2 5 、SiO2・Al2 3 ・TiO2 、SiO
2 ・TiO2 ・CeO2 、TiO2 ・SiO2・ZrO
2 、SiO2 ・Al2 3 ・MgO、SiO2 ・Al2
3 ・CaO、SiO2 ・TiO2 ・Fe2 3 などを
挙げることができる。
【0014】本発明において抗菌性金属成分の量は、微
粒子中に酸化物換算で0.1〜25重量%の範囲内であ
ることが望ましい。抗菌性金属成分が0.1重量%より
も少ない場合は、多量の微粒子を用いないと抗菌作用が
十分に発現しない。また、抗菌性金属成分を25重量%
よりも多くしても、25重量%の場合と比較して抗菌作
用に大差がなく、また、銀成分などでは、結合量が多く
なると変色しやすい。好ましい抗菌性金属成分の量は、
酸化物換算で0.1〜15重量%の範囲である。
【0015】本発明において、抗菌性金属成分と該抗菌
性金属成分以外の無機酸化物とから構成される微粒子
は、コロイド粒子の次元の大きさのもので、その平均粒
子径は500nm以下である。平均粒子径が500nm
よりも大きくなると、可視光の散乱が多くなるため、該
微粒子を含有する合成樹脂組成物は透明性が損なわれ
る。また、合成樹脂組成物中における該微粒子の分散性
が悪くなるので、優れた抗菌効果を維持することができ
ない。該微粒子の平均粒子径は、好ましくは、300n
m以下、更に好ましくは、3〜250nmの範囲である
ことが望ましい。
【0016】本発明の抗菌性合成樹脂組成物は、前記微
粒子を0.1〜25重量%、好ましくは0.1〜10重
量%の範囲で含有することが望ましい。この含有量が
0.1重量%より少ない場合には所望の抗菌効果が得ら
れず、また、25重量%よりも多い場合には合成樹脂と
しての成型性などの特性が損なわれたり、また、変色を
起こし易くなるので好ましくない。
【0017】本発明の抗菌性合成樹脂組成物を構成する
合成樹脂には特別の制限はない。具体的には、フェノー
ル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化
ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、
ポリビニルアルコール樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン
樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリ
ルエステル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リアセタール樹脂、塩化ポリエーテル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、等の合成樹脂を挙げることができる。
【0018】本発明の抗菌性合成樹脂組成物には、従来
の樹脂組成物の場合と同様に艶消剤、着色剤、難燃剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種添加剤を目的に応
じて含有させることができる。
【0019】本発明の抗菌性合成樹脂組成物は、通常、
合成樹脂組成物が使用される用途に適用可能である。特
に、本発明の抗菌性合成樹脂組成物は、含有される微粒
子が抗菌性はもちろんのこと、防黴性、防臭性、防藻性
を有し、しかも透明性を有しているため、合成樹脂成型
物として好適である。
【0020】本発明の合成樹脂成型物としては、床材、
壁材、便座、浴室用カーテン、浴槽、台所の流し台、洗
面台などの室内備品、バケツ、洗面器、浴室用椅子等の
日用品、物品包装用フィルムなどの包装材、飲食品容
器、ゴミ袋、冷蔵庫内容器、ハンドルやシート等の自動
車内装品、靴用敷物などの他、電車などの吊り革の把持
部、電話受話器、待合室の椅子やベンチ等、不特定多数
の手に触れることが多いこの種の用途の成型物が挙げら
れる。
【0021】前記合成樹脂成型物は、押出し成型、圧縮
成型、射出成型、積層成型、カレンダー成型などの通常
の加工法により、プレート、フィルム、シート等に加工
することができる。
【0022】本発明の合成樹脂成型物は、該成型物中に
前述の微粒子を均一に含有してもよいが、該成型物の表
面側に該微粒子を多く含有するか、または、表面側だけ
に含有するように構成して、抗菌性を効果的に発揮させ
るようにしてもよい。
【0023】次に、本発明に係る抗菌性合成樹脂組成物
の製造方法について説明する。本発明方法で使用する抗
菌性無機酸化物コロイド溶液としては、本出願人が先に
提案した特願平5−198894号に記載の抗菌剤が好
適である。
【0024】すなわち、該抗菌剤は、抗菌性金属成分と
該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される微
粒子が分散してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液であ
って、当該コロイド溶液中の抗菌性金属成分の重量を
A、該コロイド溶液を超遠心分離処理して遊離した抗菌
性金属成分の重量をBとしたとき、B/Aで表される抗
菌性金属成分の結合力指数(I)の値が1.0×10-3
以下であることを特徴とするものである。
【0025】前記結合力指数(I)は、次の方法により
求める。すなわち、抗菌性無機酸化物コロイド溶液中の
抗菌性金属成分の重量をプラズマ発光分光分析装置によ
り、金属原子を定量して求め、次いで、所定量の該抗菌
性無機酸化物コロイド溶液を回転数45,000rpm
の超遠心分離機にて1時間処理して固形分と溶液に分離
し、この分離された溶液中に含まれる抗菌性金属成分の
金属原子をプラズマ発光分析装置で定量して、遊離した
抗菌性金属成分の重量とする。
【0026】結合力指数(I)が1.0×10-3より大
きい場合には、抗菌性金属成分の無機酸化物コロイド粒
子への結合力が弱いため、抗菌性無機酸化物コロイド溶
液の溶媒中に抗菌性金属成分が溶出しやすく、該微粒子
を合成樹脂に含有せしめた際に抗菌効果の持続性に劣
り、また、抗菌性金属成分として銀を用いた場合には変
色の原因ともなるので好ましくない。抗菌性金属成分の
結合力指数(I)は、好ましくは5.0×10-4以下、
特に、1.0×10-4以下であることが望ましい。抗菌
性金属成分が2種以上の場合には、それぞれの抗菌性金
属成分の結合力指数が1.0×10-3以下であることを
要する。
【0027】上記抗菌性無機酸化物コロイド溶液は、負
の電荷を有する無機酸化物コロイド粒子が分散したコロ
イド溶液に抗菌性金属成分のアンミン錯塩の水溶液を添
加する方法でも製造することができるが、特に、微粒子
が抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物
との複合酸化物から構成されるものは、上記結合力指数
(I)の値が小さいので好適である。該複合酸化物の微
粒子が分散した抗菌性無機酸化物コロイド溶液は、例え
ば、特開平5−132309号公報に記載された複合酸
化物コロイド溶液の製造方法に準じて調製することがで
きる。即ち、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩
基の珪酸塩と、アルカリ可溶の無機化合物と、抗菌性金
属成分の水溶液とを、pH10以上のアルカリ水溶液中
に同時に添加し、抗菌性金属成分と複合酸化物を形成し
た無機酸化物コロイド粒子を生成させる方法である。
【0028】また、特開昭63−270620号公報に
記載された製造方法に準じて調製することもできる。即
ち、含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加え
て得られるチタン酸水溶液と抗菌性金属成分の水溶液と
を、必要に応じてケイ素化合物および/またはジルコニ
ウム化合物等の存在下で加熱処理して、抗菌性金属成分
と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される
複合無機酸化物微粒子が分散したコロイド溶液を調製す
る方法である。
【0029】なお、本発明方法で使用される抗菌性無機
酸化物コロイド溶液は、50%以上、好ましくは60%
以上の高い光透過率を示すことが望ましい。抗菌性無機
酸化物コロイド溶液の光透過率が高い場合には、分散質
である微粒子も透明性に優れている。ここで、光透過率
とは、厚さ1cmの水に於ける波長500nmの光の透
過率を100%とした場合に於いて、厚さ1cmの酸化
物としての濃度が1.0重量%の抗菌性無機酸化物コロ
イド溶液に於ける同波長光の透過率の相対値をいう。
【0030】本発明方法では前記の抗菌性無機酸化物コ
ロイド溶液を合成樹脂製造における任意の工程で添加し
て抗菌性合成樹脂組成物を製造する。すなわち、合成樹
脂の原料に、または樹脂の硬化工程、成型工程などの任
意の工程で該コロイド溶液を添加することができる。
【0031】なお、合成樹脂が親水性の場合には、分散
媒が水の抗菌性無機酸化物コロイド溶液を使用すること
ができ、合成樹脂が親油性の場合には、分散媒が有機溶
媒のオルガノコロイド溶液が使用される。当該オルガノ
コロイド溶液は、水性のコロイド溶液を通常の方法で、
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶
媒で溶媒置換して得られる。
【0032】また、本発明において前記コロイド溶液の
濃度は、通常使用に適したコロイド溶液の濃度に調節可
能であるが、コロイド溶液の安定性から言えば、酸化物
として1〜10重量%の範囲とすることが好ましい。該
コロイド溶液は、限外濾過膜などを用いる公知の方法に
より所望の濃度に調整される。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に
説明する。
【0034】製造例1 〔抗菌性無機酸化物コロイド溶液の調製〕硫酸チタンを
純水に溶解し、TiO2 として1.0重量%を含む水溶
液を得た。この水溶液を撹拌しながら、15重量%アン
モニア水を徐々に添加し、白色のスラリーを得た。この
スラリーを濾過、洗浄し、含水チタン酸のケーキを得
た。このケーキ31.4gに水溶液濃度が1.0重量%
になるように純水を加えて希釈し、更に33重量%過酸
化水素219.8gを加えた後、80℃で14時間加熱
し、過酸化水素を加熱分解させ、TiO2 として1.0
重量%の溶液3136gを得た。このチタン酸溶液は黄
褐色透明で、PHは8.2であった。
【0035】次いで、酸化銀0.68gを15重量%ア
ンモニア水21.3g、純水618.1g中で溶解し
て、銀のアンミン錯塩水溶液とし、この水溶液に炭酸ジ
ルコニウムアンモニウム15.4gを純水169.9g
に溶解したものを添加した。この混合水溶液を前記チタ
ン酸水溶液に加え、次に、20重量%シリカゾル38.
7gを加えた後、150℃で48時間加熱した。この溶
液は、初期黄褐色液であったが、48時間後に淡乳白色
透明なコロイド溶液となった。
【0036】この銀成分を含む複合酸化物コロイド溶液
のPHは7.5で、固形分濃度は1.0重量%であり、
コロイド粒子の平均粒径は、5.0nmであった。ま
た、このコロイド溶液の抗菌性金属成分の結合力指数
(I)の値は、0.6×10-4であり、波長500nm
の光透過率は76.3%であった。
【0037】次いで、上記コロイド溶液を限外濾過膜を
用いて12.0重量%の濃度に濃縮し、このコロイド溶
液249gとメタノール1788.3gとを混合し、こ
の混合溶液中にメチルトリメトキシシラン5.96gを
添加した。この混合溶液を還流器付ガラス容器に入れ、
65℃で18時間加熱処理した後、これを限外濾過膜で
約10重量%まで濃縮した。次いで、メタノールを添加
しながら混合液中の水を連続的に限外濾過膜装置で溶媒
置換した。置換後のオルガノコロイド溶液中の残存水分
量は、0.4重量%で、固形分濃度は11.5重量%で
あった。このオルガノコロイド溶液の濃度1重量%にお
ける光透過率は80.6%であった。
【0038】製造例2 〔ゼオライト系抗菌剤の調製〕Na−Y型ゼオライトを
水に懸濁して、濃度5重量%の懸濁スラリー400gを
調製した。ついで、この懸濁スラリーを70℃に加温
し、濃度5重量%のAgN03 水溶液9.2gを添加
し、90℃に加温して1時間放置することにより銀のイ
オン交換を行った。このスラリーを濾過し、60℃の温
水で十分に洗浄後、120℃で乾燥し、更に550℃で
1時間焼成して粉末状の抗菌剤を調製した。この粉末粒
子の平均粒子径は1.0μmであった。
【0039】実施例1 製造例1で得た酸化物換算で1.0重量%の銀を含む1
1.5重量%オルガノ無機酸化物コロイド溶液10g
を、微粒子の含有量が1.0重量%になるように、ポリ
プロピレン樹脂(三井石油化学(株)製、J−700
P)113.4gに添加し、加工温度100℃で高速ミ
キサーで練り込み、熱プレス機によりシート化した。シ
ート厚は2mmであった。
【0040】実施例2 製造例1で得た酸化物換算で1.0重量%の銀を含む1
1.5重量%オルガノ無機酸化物コロイド溶液10g
を、微粒子の含有量が1.0重量%になるようにABS
樹脂(三菱モンサント(株)製)113.4gに添加
し、加工温度90℃で高速ミキサーで練り込み、熱プレ
ス機によりシート化した。シート厚は2mmであった。
【0041】比較例1 製造例2で得た酸化物換算で1.5重量%の銀を含むゼ
オライト系抗菌剤0.76g(灼熱減量3.2重量%)
を、微粒子の含有量が1.0重量%になるようにポリプ
ロピレン樹脂(三井石油化学(株)製、J−700P)
75.2gに添加し、加工温度120℃で高速ミキサー
で練り込み、熱プレス機によりシート化した。シート厚
は2mmであった。
【0042】実施例3 〔抗菌力試験〕実施例1、2および比較例1で得た抗菌
性合成樹脂成型物について抗菌力試験を行った。大腸菌
および黄色葡萄状球菌を生理食塩水中に懸濁させ、その
30μlを3cm×3cmに切断した上記各試料面に滴
下し、28℃で24時間放置後、生菌数を測定して式1
により死滅率を求めた。また、合成樹脂成型物中におけ
る抗菌剤の分散性を光学顕微鏡により観察した。結果を
表1に示す。
【0043】
【式1】死滅率(%)=100×(初期生菌数−24時
間後の生菌数)/初期生菌数
【0044】
【表1】
【0045】実施例4 〔耐候性試験〕実施例1、2および比較例1で得た抗菌
性合成樹脂成型物について、抗菌効果の持続性および変
色を観るために、耐候性試験と同試験後の抗菌力試験を
行った。耐候性試験は、各試料を耐候性試験装置、ウェ
ザーメータ(スガ試験機器(株)製)を用いて、温度6
0℃にて、15分間は水を散布し、45分間は水の散布
を停止した状態で晒し、この操作を1時間周期で100
時間繰り返した。この耐候性試験後の試料の変色の有無
を目視により観察し、また、抗菌力試験を実施例3と同
様にして行った。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明の抗菌性合成樹脂組成物は、抗菌
性を有する微粒子が合成樹脂内部に均一に分散されてお
り、長期にわたり抗菌、防黴、防臭、防藻効果を持続す
るとともに、変色することがない。さらに、合成樹脂組
成物自体の物性、特性などは全く損なわれないので、前
記したような各種の用途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−122162(JP,A) 特開 平1−286913(JP,A) 特開 平4−311768(JP,A) 特開 平4−231063(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08 A61K 33/06 - 33/38

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外
    の無機酸化物とから構成される微粒子が分散してなる抗
    菌性無機酸化物コロイド溶液を合成樹脂製造における任
    意の工程で添加して得られる抗菌性合成樹脂組成物であ
    って、前記微粒子の平均粒子径が500nm以下であ
    り、前記コロイド溶液中の抗菌性金属成分の重量をA、
    該コロイド溶液を超遠心分離処理して遊離した抗菌性金
    属成分の重量をBとしたとき、B/Aで表される抗菌性
    金属成分の結合力指数(I)の値が1.0×10 -3 以下
    であることを特徴とする抗菌性合成樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記無機酸化物コロイド溶液の光透過率
    が50%以上である請求項1記載の抗菌性合成樹脂組成
    物。(ここで、光透過率とは、厚さ1cmの水に於ける
    波長500nmの光の透過率を100%とした場合に於
    いて、厚さ1cmの酸化物としての濃度が1.0重量%
    の無機酸化物コロイド溶液に於ける同波長光の透過率の
    相対値をいう。
  3. 【請求項3】 前記微粒子が無機複合酸化物である請求
    項1または請求項2記載の抗菌性合成樹脂組成物
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3記載の合成樹脂組成
    物からなる抗菌性合成樹脂成型物
JP32083393A 1993-11-29 1993-11-29 抗菌性合成樹脂組成物および抗菌性合成樹脂成型物 Expired - Lifetime JP3159854B2 (ja)

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