JP3183448B2 - 吸音筒およびそれが取付けられた吸音構成体 - Google Patents

吸音筒およびそれが取付けられた吸音構成体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、車両等
の走行に伴う騒音を遮音、吸音するために、高速道路や
鉄道の沿線等に沿って設置される防音壁として、また橋
梁や高架道路橋、堀割、半地下道路等の構造体の下面部
や壁面、天井面等に取付けられる吸音筒およびそれが取
付けられた吸音構成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の吸音筒としては、例えば
特開平4−174109号公報に記載される如く、金属
繊維マット等の金属多孔質吸音材の両面をパンチングメ
タル等の多孔板で挟んで圧縮成形することにより筒状体
を形成し、その筒状体の内部にグラスウールやロックウ
ール等の多孔質吸音材を挿入して吸音筒を形成したも
の、また特開平3−290514号公報に記載される如
く、連通孔を有する発泡アルミニウムからなる金属多孔
質吸音材を円筒状に加工して吸音筒を形成したもの、さ
らに特開平7−82708号公報に記載される如く、パ
ンチングメタル等の多孔板を筒状に加工し、その内部に
グラスウールやロックウール等の多孔質吸音材を挿入し
て吸音筒を形成したもの、等があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の如
き従来の吸音筒には次のような問題点があった。すなわ
ち、特開平4−174109号公報や特開平3−290
514号公報に記載された吸音筒にあっては、金属多孔
質吸音材が用いられているが、この金属多孔質吸音材は
軽量という特長を有しているものの強度が非常に弱く、
従って運搬や施工時等に部分的な衝撃が加わると、へこ
み等の変形が生じ、扱いにくくまた加工性しにくいもの
であった。さらに金属多孔質吸音材は、それ自体のコス
トが高い上に、さらに加工性しにくいこの金属多孔質吸
音材を筒状に加工して組み立てるため、組み立てが容易
ではなく、製品として出来上がった吸音筒は非常に高価
なものとなっていた。
【0004】また特開平7−82708号公報に記載さ
れた吸音筒にあっては、パンチングメタル等の多孔板は
安価であるものの、やはりこの多孔板を筒状に加工して
組み立てるのが容易ではなく、また構造も複雑となり、
製品として出来上がった吸音筒は、同様に高価なものと
なり、重量的にも重くなっていた。
【0005】そこで本発明は上記の如き問題を解決し、
軽量且つ強度的にも強く、組み立てが容易な吸音筒およ
びそれが取付けられた吸音構成体を提供せんとするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のような構成としている。すなわち本発
明に係る吸音筒は、所定間隔をおいて複数の取付溝が表
面長手方向に形成された少なくとも一対の短筒状の芯部
材と、上端が幅方向両側に張り出してフランジが形成さ
れると共にフランジから垂下された縦壁の下端が前記取
付溝に対応する形状の取付部となされた略T字状の長尺
型材からなる複数の側部材とを有し、前記芯部材を少な
くとも両端に配設すると共に該芯部材の取付溝に側部材
の取付部がそれぞれ挿着されることにより、両端の芯部
材を芯にして複数の側部材が間隔をおいて放射状に取付
けられた筒状体が形成され、該筒状体内に多孔質吸音材
がその長手方向に沿って挿入されたことを特徴とするも
のであり、また本発明に係る吸音構成体は、本発明吸音
筒が、構造体の下面部や壁面、天井面等に所定の間隔を
あけて複数個並設して取付けられたことを特徴とするも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照し、具体的に説明する。すなわち図1は本
発明に係る吸音筒の実施の一形態を示す正面図、図2は
図1の形態の断面図、図3は本発明に用いられる芯部材
の一形態を示す斜視図、図4は側部材の一形態を示す斜
視図、図5は本発明の実施の他の形態を示す正面図、図
6は図5の形態の断面図、図7は本発明に係る吸音筒が
設置された吸音構成体の一形態を示す説明図である。
【0008】図1〜2に示された形態の吸音筒Pにおい
て、1は、図3に詳細に示される如く、その表面に所定
間隔をおいて複数の取付溝11が長手方向に形成された
一対の短筒状の芯部材であり、また2は、図4に詳細に
示される如く、上端が幅方向両側に張り出してフランジ
21が形成されると共にそのフランジ21の裏面中央か
ら縦壁22が垂下され、その縦壁22の下端が前記取付
溝11に対応する形状の取付部23となされた略T字状
の長尺型材からなる複数の側部材である。そして前記芯
部材1が少なくとも両端に配設されると共に該芯部材1
の取付溝11にそれぞれ側部材2の両端の取付部23が
挿着されることにより、両端の芯部材1を芯にして複数
の側部材2が間隔をおいて放射状に取付けられ、側部材
2のフランジ21を側壁とし、しかもその相隣る各フラ
ンジ21間に所定の隙間24が形成された筒状体3が形
成されている。そして該筒状体3内の相隣る側部材2の
縦壁22間に多孔質吸音材4がその長手方向に沿ってそ
れぞれ挿入され、筒状体3の中心部が空洞31となされ
ている。
【0009】このように上記形態によれば、間隔をおい
て放射状に取付けられた側部材2の相隣るそれぞれの各
フランジ21間の隙間24から音が筒状体3に入射し、
入射した音は筒状体3内の多孔質吸音材4により効果的
に吸音される。この多孔質吸音材4は筒状体3内にその
長手方向に沿って挿入されていれば、特にその形状およ
び挿入位置は限定されるものではないが、本形態の如く
多孔質吸音材4が側部材2の縦壁22間に挿入され、筒
状体3の中心部が空洞31となされていれば、多孔質吸
音材4が一杯詰まった中実の筒状体とするよりは低周波
領域での吸音特性が良好である。
【0010】また上記形態によれば、両端に配設された
芯部材1の取付溝11にそれぞれ側部材2の取付部23
を挿着されることにより筒状体3が形成され、該筒状体
3内に多孔質吸音材4をその長手方向に沿って挿入させ
れば吸音筒Pが得られる。従って構造が単純であり、且
つ組み立てが簡単で、二次加工を必要としないので、安
価に製作でき、また側部材2は型材からなり、しかもそ
の側部材2の縦壁22がリブ状に配置されるので、軽量
であり、設置される構造体への負担が軽減できると共
に、強度が強く、運搬や施工時等に部分的な衝撃が加わ
っても、へこみ等の変形が生じることが防止され、扱い
やすくまた加工性しやすいものである。
【0011】前記において芯部材1は、アルミニウム等
の金属や、塩化ビニルやアクリル塩ビ、FRP等の合成
樹脂を押出成型等して得られる長さが20〜100mm
程度の短筒状の型材から一般に形成され、また側部材2
は、芯部材1と同様にアルミニウム等の金属や、塩化ビ
ニルやアクリル塩ビ、FRP等の合成樹脂を押出成型等
して得られる上記した如き略T字状の長尺型材から形成
される。前記芯部材1と側部材2は同じ材料から形成さ
れていてもよいし、異種材料から形成されていてもよ
い。なお芯部材1と側部材2とを合成樹脂から形成すれ
ば、より軽量化が図れて好ましい。
【0012】また前記多孔質吸音材4としては、アルミ
繊維や連続気泡のアルミ発泡体等の金属吸音材であって
もよいが、安価で軽量なグラスウールやロックウールの
他、連続気泡のポリオレフィン系発泡体、発泡ウレタン
等の発泡樹脂、樹脂繊維不織布等でもよい。なお雨水等
のかかる場所に用いられるものにあっては、これら多孔
質吸音材4をポリフッ化フイルム等の防水フイルムで包
んでおくのが好ましい。
【0013】前記の如き芯部材1において、その表面に
形成された取付溝11の形状は特に限定されるものでは
ないが、本形態では蟻溝状となされ、一方、側部材2の
取付部23の形状は前記蟻溝状に対応して断面が略三角
状となされ、この取付部23が取付溝11に摺動されて
挿着されるようになされていると共に、挿着された取付
部23が蟻溝形状により容易に抜けないようになされて
いる。さらに取付部23が取付溝11に挿着されること
により芯部材1に取付けられた側部材2が、芯部材1に
対して安定して起立支持されるように、取付部23の上
部には芯部材1の表面に当接される支持部25が形成さ
れている。
【0014】また本形態では、多孔質吸音材4が筒状体
3内の相隣る側部材2の縦壁22間に挿入されているこ
とから、その縦壁22の上部に幅方向に傾斜して張り出
す保持片26が設けられ、その保持片26と前記取付部
23上部の支持部25との間に多孔質吸音材4が安定し
て保持されるようになされている。
【0015】さらに芯部材1の表面に形成された取付溝
11の個数およびその間隔は、特に限定されるものでは
ないが、少なくともそれぞれの取付溝11に側部材2の
取付部23が挿着されて筒状体3が形成された際、相隣
る側部材2の各フランジ21間の隙間24は、入射方向
にかかわらず効果的に音が入射しうる程度の間隔を開け
ることが必要である。この隙間24の開口率は、全ての
隙間24とフランジ21を含めた筒状体3の側面全体の
面積に対して30%以上なければ吸音効果を発揮するこ
とができず、一般には35%以上となされる。
【0016】なお5は、前記側部材2と同様に芯部材1
に取付けられて筒状体3の一側部を形成する取付部材で
あって、図1の如く本形態ではこの取付部材5にボルト
51を取付け、このボルト51を締めつけることによ
り、高速道路橋等の構造体の橋桁等に取付けられるよう
になされている。この取付部材5は、側部材2と同様に
アルミニウム等の金属や、塩化ビニルやアクリル塩ビ、
FRP等の合成樹脂を押出成型等して得られる略扇断面
状の長尺中空型材からなり、その上面には長手方向にボ
ルト51の頭部が摺動可能に挿入される案内溝52が形
成され、ボルト51の頭をその案内溝52内をスライド
させて、高速道路橋等の構造体の下地材の取付位置に位
置合わせすることができるようになされている。さらに
上面の両幅方向には側部材2と同様のフランジ53が形
成されると共に、そのフランジ53からそれぞれ縦壁5
4が垂下され、そのそれぞれの縦壁54の下部両端には
芯部材1の取付溝11に対応する形状の取付部55が形
成され、該取付部55が取付溝11に挿着されることに
より、取付部材5が芯部材1に取付けられるようになさ
れている。
【0017】次に図5〜6に示した形態の吸音筒Pは、
多孔質吸音材4が、その芯部が空洞41の筒状となさ
れ、該多孔質吸音材4が筒状体3内の中心部に挿入され
ている点で、上記の如き図1〜2に示した形態と異なる
ものであり、その他はほぼ同様である。なおこの筒状の
多孔質吸音材4は、その両端がそれぞれ芯部材1の内部
に挿入されて保持されている。
【0018】この形態においても、筒状体3内の中心部
に挿入された多孔質吸音材4により効果的に吸音され、
しかもこの筒状体3内の中心部、すなわち筒状体3内の
中心部に挿入された多孔質吸音材4の芯部が空洞41と
なされているので、この空洞41により、低周波領域で
の吸音特性が良好である。また図1〜2に示した形態と
同様に、構造が単純であり、且つ組み立てが簡単で、二
次加工を必要としないので、安価に製作でき、また軽量
であり、設置される構造体への負担が軽減できると共
に、強度が強く、運搬や施工時等に部分的な衝撃が加わ
っても、へこみ等の変形が生じることが防止され、扱い
やすくまた加工性しやすいものである。
【0019】上記の如き図1〜6に例示した本発明に係
る吸音筒Pは上記特性を有しているため、例えば図7に
示した設置例の如く、高速道路橋等の構造体Aの橋桁に
取付けられた下地材Bに所定の間隔をあけて複数個並設
して設置されて好適に吸音構成体Cを形成することがで
き、この他この吸音筒Pを道路に沿って複数個立設さ
せ、防音壁等として用いられることもでき、特にその設
置場所や用途において限定されるものではない。なお図
1〜6に例示した吸音筒Pは円筒状となされているが、
本発明においてその形状は特に限定されるものではな
く、三角筒状、四角筒状、扇形筒状、多角形筒状、楕円
形筒状等であってもよい。
【0020】
【発明の効果】この発明による吸音筒および吸音構成体
によれば、筒状体内に挿入された多孔質吸音材により効
果的に吸音され、また構造が単純であり、且つ組み立て
が簡単で、二次加工を必要としないので、安価に製作で
き、また軽量であり、設置される構造体への負担が軽減
できると共に、強度が強く、運搬や施工時等に部分的な
衝撃が加わっても、へこみ等の変形が生じることが防止
され、扱いやすくまた加工性しやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸音筒の実施の一形態を示す正面
図である。
【図2】図1の形態の断面図である。
【図3】本発明に用いられる芯部材の一形態を示す斜視
図である。
【図4】本発明に用いられる側部材の一形態を示す斜視
図である。
【図5】本発明の実施の他の形態を示す正面図である。
【図6】図5の形態の断面図である。
【図7】本発明に係る吸音筒の設置された吸音構成体の
一形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 芯部材 11 取付溝 2 側部材 21 フランジ 22 縦壁 23 取付部 24 隙間 25 支持部 26 保持片 3 筒状体 31 空洞 4 多孔質吸音材 41 空洞 5 取付部材 51 ボルト 52 案内溝 53 フランジ 54 縦壁 55 取付部 P 吸音筒 A 構造体 B 下地材 C 吸音構成体

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定間隔をおいて複数の取付溝が表面長
    手方向に形成された少なくとも一対の短筒状の芯部材
    と、上端が幅方向両側に張り出してフランジが形成され
    ると共にフランジから垂下された縦壁の下端が前記取付
    溝に対応する形状の取付部となされた略T字状の長尺型
    材からなる複数の側部材とを有し、前記芯部材を少なく
    とも両端に配設すると共に該芯部材の取付溝に側部材の
    取付部がそれぞれ挿着されることにより、両端の芯部材
    を芯にして複数の側部材が間隔をおいて放射状に取付け
    られた筒状体が形成され、該筒状体内に多孔質吸音材が
    その長手方向に沿って挿入されたことを特徴とする吸音
    筒。
  2. 【請求項2】 多孔質吸音材が、筒状体内の相隣る側部
    材の縦壁間にそれぞれ挿入され、筒状体の中心部が空洞
    となされたことを特徴とする請求項1記載の吸音筒。
  3. 【請求項3】 多孔質吸音材が、その芯部が空洞の筒状
    となされ、該多孔質吸音材が筒状体内の中心部に挿入さ
    れたことを特徴とする請求項1記載の吸音筒。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の吸音筒が、
    構造体の下面部や壁面、天井面等に所定の間隔をあけて
    複数個並設して取付けられたことを特徴とする吸音構成
    体。
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