JP4817957B2 - 吸音筒及び吸音構成体 - Google Patents
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Description
その第1は、金属繊維マットの両面を多孔板又はメッシュで挟んで圧縮成形した吸音板を、直径50〜500mm程度の円筒形に成形するとともに、その長さ方向の継手部内面に密着させて長さ方向に連続するように取付部材と補強部材とを兼ねる樋状の支持用中柱を軸心方向に向けてリベット止め等により固定し、端部に蓋板を設けたものである(後記特許文献1)。
本発明の他の目的は、施工の作業性がよくより安価で吸音性能に優れた吸音筒を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、吸音性能に優れたより安価な吸音構成体を提供することにある。
また、保持片のみでなく各脚状片も保持片を兼ねるので吸音板の保持がより堅固であり、吸音板の変形を抑制するのに適している。
また、組立てが簡単なのでより安価で提供することができる。
図1は本発明に係る実施形態の吸音板ホルダとそれを使用した第1実施形態の吸音筒を示す端面図である。
吸音板ホルダ1はホルダ本体1aと嵌合部材13とで構成され、ホルダ本体1aと嵌合部材13は、Al−Mg−Si系その他のアルミニウム合金又はアルミニウム(以下「アルミ合金等」と言う。)を材質として押出成形した押出形材である。
各脚状片12a,12aは途中から側方への広がり方向へ鉤状に曲がってほぼU字状断面の嵌合溝12を形成している。
各脚状片12a,12aは保持片を兼ねており、これらの各脚状片12aと各保持片11の各外周端縁と芯状体10の軸線までの距離はほぼ等しくなっている。
各保持片11の外周端部にはフランジ部11aを形成し、後述のように吸音板2をセットしたときに、前記各フランジ部11aが当該吸音板2を受けて内接するように構成するのが好ましい。
したがって、嵌合溝12を構成する各脚状片12a,12aの対向面とそれらに対応する嵌合部材13の各脚部には、吸音筒aの長さ方向に沿って互いに抜け止め状となるように係止される係止片12b,13aがそれぞれ形成されている。
この実施形態では、各脚状部12a,12aの外周端寄り(先端寄り)部分の弾性を高めるように側方へ曲げた部分へ、相対向するように凸となる断面形状(この実施形態では円弧状)の受け部12c,12cをそれぞれ形成し、嵌合部材13の各押え部13a,13aの一部をそれぞれ対応する前記受け部12cへ重なるように形成している。
嵌合部材13の外周壁部13dは、当該嵌合部材13を前記嵌合溝12へ嵌合させた状態で全体が円形を呈するように円弧状に形成するのが形状の安定性及び強度上好ましい。
ホルダ本体1aの各保持片11及び各脚状片12の外周端縁部相互を結んだときに形成される円弧の周長よりも所定量大きな幅で、かつ、吸音板ホルダ1の長さと適合する長さになるように裁断された吸音板2を、前記円弧と適合するかそれよりもやや大きな円弧となるように成形する。
このとき、吸音板2の円弧状の対向側縁部には、各脚状片12a,12aの円弧状の受け部12c,12cとほぼ適合するように凹状断面(この実施形態では円弧状断面)の被挟着部20を形成するのが好ましい。
前記のように成形された吸音板2を、各保持片11の外周端部が当該吸音板2へ内接し、かつ被挟着部20,20が各脚状片12a,12aの受け部12c,12cへ被さる状態に前記ホルダ本体1aへセットし、この状態で嵌合部材13をホルダ本体1aの嵌合溝12内へ嵌合させる。
この嵌合の際には、図1の下方より嵌合溝12内へ嵌合部材13の両脚部13eを押し込む要領で嵌合させる。あるいは、嵌合溝12の片端部から両脚部13eを当該嵌合溝12内へスライドさせながら挿入する要領で嵌合させても実施することができる。
前記嵌合により、吸音板ホルダ1への吸音板2の取付けが完了し、吸音筒aが組み立てられる。
その他の金属製多孔質吸音材としては、アルミ合金等やステンレス等の金属繊維材を燒結又は圧延あるいはバインダで固めた繊維板や、発泡アルミ合金等の板及びアルミ合金等の粉末燒結板が好適に使用される。
受け部12aを前記のように相対して凸となる円弧状断面に形成したのは、吸音筒aを組み立てた状態で吸音板2の当該部分の抜け出しを防止したもので、前記円弧状の受け部12cの外接半径は3mm以上とするのが好ましく、当該外接半径を3mm未満にすると、吸音板2の対向側縁部へ前記のような円弧状部20を成形する際に吸音板2の当該部分に割れを生ずるおそれがある。
前記のように、形状の安定性と強度の面から嵌合部材13の外周壁部13eは吸音板2の円弧形状とほぼ等しくなるような円弧状に成形されている。
吸音板2の対向側部が接触する状態で挟まれる各脚状部12aの円弧状の受け部12cの外面と、嵌合部材13の押え部13bの内面は荒らし加工を施す等により、吸音材2の当該部分を抜け難くするため摩擦係数を増大させるのが好ましい。
円弧状に成形された吸音板2は、各保持片11と各脚状片12a,12aの外周端縁部が内接し、その対向側端部分が嵌合溝12と嵌合部材13とで挟まれた状態で吸音板ホルダ1へ取り付けられているので、吸音筒aの組立状態は堅固であり、かつ、吸音板2の変形は十分に抑制される。
図2は本発明に係る吸音筒の第2実施形態を示す端面図である。
この実施形態では、ホルダ本体1aの嵌合溝12を構成する各脚状片12aの外周端寄り部分を外周方向へ平行に延びるように形成するとともに、各脚状片12aの外周端部に外側へ鉤状に曲がった受け部12cを形成している。他方、嵌合部材13の外周壁部両側部には前記各受け部12aと重なるようにフランジ状の押え部を形成している。
円弧状に成形された吸音板2の対向側縁部は特別な形状に成形されず、嵌合部材13を嵌合溝12へ抜け止め状に嵌合させると、吸音板2の両側部分が対応する各受け部12cと押え部13bとで挟まれるように構成されている。
この実施形態における吸音筒aの他の構成や作用,効果は、第1実施形態の吸音筒と同様であるのでそれらの説明は省略する。
図3は本発明に係る吸音筒の第3実施形態を示す端面図である。
この実施形態の吸音筒aは、第1実施形態(第2実施形態でもよい)の吸音筒において、吸音板2と各保持片11及び各脚状片12aとで囲まれる中空部分へ多孔質吸音材3を挿入ないし充填したものである。
多孔質吸音材3の前記中空部分への挿入ないし充填は、前記吸音板2を吸音板ホルダ1へ取り付ける前に行っても後で行っても差し支えない。
第3実施形態の吸音筒aは、前記中空部分へ多孔質吸音材3を挿入したので、吸音筒aの長さ方向との直交断面における吸音材の断面積が拡大するので吸音性能がさらに向上する。
図4は本発明に係る吸音筒の第4実施形態を示す部分斜視図であり、第3実施形態の吸音筒aの両端部を塞ぐ蓋4を取り付け、嵌合部材13の外周壁部13dへ適数の孔13cを形成したものである。
蓋4の取付けの際には、芯状体10の中空部10aの端部へ雌ねじのタップ(図示しない)を形成し、当該部分へねじ5をねじ込むことにより取り付けるのが好ましい。
第4実施形態の吸音筒によれば、蓋4,嵌合部材13及び嵌合溝12とが形成する閉塞空間を、前記孔13cを介して外部と通じさせることにより、当該閉塞空間が共鳴器となって共鳴吸音の作用が付加される。すなわち、吸音板2及び多孔質吸音材3とによる直接吸音及び回折吸音と、前記閉塞空間による共鳴吸音とによってさらに優れた吸音効果を発揮する。
また、前記閉塞空間の容積,孔13cの容積(孔の断面積×外周壁部の肉厚)及び孔13cのピッチを変化させることにより、吸音する音波の周波数帯を調節することが可能である。
前記各実施形態では、吸音板2を円弧状に成形して吸音筒aがほぼ円形断面を呈するように構成したが、例えば吸音筒aが多角形断面を呈するように構成しても実施することができる。
したがって、ホルダ本体1aにおける保持片11の数は、少なくとも一つであれば足りる(例えば吸音筒aを三角形断面とする場合)。また、前記保持片11の数は、ほぼ円形断の吸音筒aを構成する場合、面組み立てられる吸音筒aの直径の大小や保持片11の肉厚によって適宜選択されるが、吸音筒aの直径が50〜90mm程度である場合、保持片11の肉厚により二つ又は三つとすれば十分である。
図5(写真)は前記実施形態の吸音筒を使用して構成した吸音構成体の設置状態の部分破断斜視図、図6は図5の吸音構成体のコーナ部の部分拡大平面図、図7は図6の矢印A−Aに沿う部分断面図である。
図5で示すように、運転により騒音を発生する音源6(例えばコンプレッサ)の周囲には、当該音源6を囲むように設置された支持フレーム7と、当該支持フレーム7へ密なピッチでかつ垂直姿勢で並ぶように取り付けられた多数の吸音筒aとからなる吸音構成体が設けられている。
図6及び図7で示すように、各水平フレーム71はそれらの端部が複数のボルトナット72により対応する各垂直フレーム70へそれぞれ固定されている。
各吸音筒aは、それらの嵌合部材13が音源6側に面しない状態で配置されており、芯状体の中空部の端部に形成された雌ねじ部へねじ込まれるねじ73により、それぞれ対応する上下の水平フレーム71へ固定されている。
最下位の水平フレーム71の下面は、設置ベースbへ埋め込まれた各埋め込みボルト74により当該設置ベースbへ固定されている。
使用される吸音筒aは前記第1実施形態ないし第3実施形態の吸音筒である。
第4実施形態の吸音筒aを使用するときは、吸音筒aの端部へねじ73により蓋4を取り付けると同時に当該吸音筒aを対応する水平フレーム71へ固定する要領で吸音構成体を設置する。
1 吸音板ホルダ
1a ホルダ本体
10 芯状体
10a 中空部
11 保持片
11a フランジ部
12 嵌合溝
12a 脚状片
12b,13a 係止片
12c 受け部
13 嵌合部材
13b 押え部
13c 孔
13d 外周壁部
13e 脚部
2 吸音板
20 被挟着部
3 多孔質吸音材
4 蓋
5 ねじ
6 音源
7 支持フレーム
70 垂直フレーム
71 水平フレーム
72 ボルトナット
73 ねじ
Claims (10)
- 吸音板ホルダ及び吸音板を備えた吸音筒であって、該吸音板ホルダは、芯状体の軸心部から外周方向へ突出して吸音筒の長さ方向に連続する少なくとも一つの保持片を有するとともに、該吸音板ホルダは、前記保持片位置以外の部分において前記軸心部から外周方向へ突出する一対の脚状片からなる吸音筒の長さ方向に沿う嵌合溝を有するホルダ本体と、前記嵌合溝へ抜け止め状に嵌合される少なくとも一対の平行な脚部を有する嵌合部材とを備え、前記吸音板は、吸音板ホルダの前記嵌合部材以外の部分を囲むようにして、前記保持片が内接しかつ両側部分が前記各脚状片と前記嵌合部材とで挟まれた状態で前記吸音板ホルダへ取り付けられていることを特徴とする吸音筒。
- 前記芯状体は軸心部に円形孔状又は開口部を狭めた断面円弧溝状の中空部を有し、前記中空部が断面円弧溝状である場合においては、前記脚状片は前記開口部の両側部から外周方向へ突出している、請求項1に記載の吸音筒。
- 前記芯状体の軸心から前記保持片と各脚状片の各外周端部までの距離がほぼ等しい、請求項1又は2に記載の吸音筒。
- 前記各保持片は外周端部にフランジを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の吸音筒。
- 前記嵌合部材は各脚部の基端部から側方へ突出してそれぞれ対応する前記脚状片の外周端部と重なる押え部を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の吸音筒。
- 前記各脚状片の外周端部には前記嵌合部材の押え部と相対するように凸となる受け部を有する、請求項5に記載の吸音筒。
- 前記吸音板は、金属製多孔質吸音板であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸音筒。
- 前記ホルダ本体と前記吸音板とで囲まれる中空部分には多孔質吸音材が挿入されている、請求項7に記載の吸音筒。
- 両端部へ蓋が取り付けられており前記嵌合部材の外周壁部には孔が形成されている、請求項7又は8に記載の吸音筒。
- 音源部の周囲に設置された支持フレームへ、請求項1〜9の吸音筒が狭いピッチで並ぶ状態で取り付けられていることを特徴とする吸音構成体。
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