JP3183028B2 - 写真焼付け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録部を備えた写
真フィルムに対し、焼付け等の処理を行う処理装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４に示したように、写真フィルム、特
にネガフィルム２に、透明磁性体を塗布してネガフィル
ムの搬送方向に沿って磁気記録部Ｍを形成し、ネガフィ
ルム２やその画像に関する種々の情報（カメラでの撮影
時における、各画像の撮影日時や撮影条件、あるいは焼
付け時の条件等）を記録することが提案されている。そ
して、かかるネガフィルムを焼付けするときには、図５
に示したように、読み書き手段の磁気ヘッド100 によっ
て、前記写真フィルム110 の磁気記録部Ｍの情報を読み
取って、焼付け処理を制御したり、検出装置等で画像コ
マを検定した露光条件の補正値等の処理条件を、読み書
き手段によって前記磁気記録部Ｍに書き込んだりするこ
とが行われている。よって、後日、再び処理するときに
は、前記磁気記録部Ｍに記録された前回の処理条件を読
み出すことによって、同一条件で処理することができる
という効果が得られる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な読み書き手段においては、読み書き用の磁気ヘッド10
0 の表面と写真フィルム110 の磁気記録部Ｍとの間に、
ホコリ等の夾雑物120 が入り込んで、写真フィルム110
に記録された情報の読み取り不良が発生することがあ
る。また、前記磁気ヘッド自身の磨耗等によって機能が
劣化し、写真フィルムに記録された情報の読み取り不良
が発生することもある。このような、読み取り不良が発
生すると、その情報がプリントサイズ等の重要な情報で
あれば、処理が停止してしまい、その都度、操作者等が
適切な代替データを設定する必要がある。そのため、操
作者は、読み取り不良が発生しないように、適切なタイ
ミングで読み書き用の磁気ヘッドのクリーニングや交換
等のメンテナンスを行う必要がある。しかし、そのよう
なメンテンナスのタイミングは、操作者の経験によって
適宜決定した基準に基づいていた。それでは、操作者が
異なれば、その基準も異なるので、経験の乏しい操作者
の場合には適切なタイミングの決定が困難であった。ま
た、経験が豊かな操作者の場合でも、条件の変化等によ
ってタイミングが不適切になってしまうことがあった。

【０００４】そこで、本発明は、写真フィルム処理装置
における読み取り手段の適切なメンテナンスのタイミン
グを決定する手段を提案することを目的としてなされた
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本願は、上記目的を達成
するために以下の構成を備えた。

【０００６】本発明の請求項１では、磁気記録部を備え
た写真フィルムを、後述する磁気情報に基づいて決定さ
れる制御信号に応じて露光が制御される写真焼付け装置
において、写真フィルムの磁気記録部に記録された磁気
情報を読み取る情報読取手段と、読み取り量もしくは読
み取り時間を計測して累積処理量を記憶する累積手段
と、読み取り不良の発生の有無を判定する情報判定手段
と、読み取り不良の発生回数を計数する計数手段と、前
記累積処理量に対する読み取り不良の発生回数の割合を
計算する演算手段と、前記割合が設定された限界割合を
越えたときにメンテナンス要求信号を出力する出力手段
とを備えた。

【０００７】

【作用】請求項１の発明によれば、磁気記録部を備えた
写真フィルムを、後述する磁気情報に基づいて決定され
る制御信号に応じて露光が制御される写真焼付け装置に
おいて、写真フィルムの磁気記録部に記録された磁気情
報を、情報読取手段で読み取るときに、読み取り不良の
発生の有無、即ち、読み取った情報が正しく読み取られ
なかったものであるか否かを情報判定手段で判定し、計
数手段で、読み取り不良の発生回数を計数する。

【０００８】さらに、累積手段においては、読み取り量
もしくは読み取り時間を計測した累積処理量を得て、演
算手段にて、前記累積処理量に対する前記発生回数の割
合を計算する。

【０００９】そして、前記割合が設定された限界割合を
越えたときには、出力手段はメンテナンス要求信号を出
力する。

【００１０】よって、操作者は客観的なメンテナンスの
タイミングを知ることができる。

【００１１】

【実施例】以下に、本発明にかかる写真フィルム処理装
置を、その実施例としての写真焼付け装置を示した図面
に基づいて詳細に説明する。

【００１２】この実施例の写真焼付け装置の構成を示し
た図１において、１は写真焼付け装置であり、所定のプ
ロセスでネガフィルムを焼付け処理する処理手段を備え
ている。この写真焼付け装置１には、図示しない現像装
置で現像、定着、水洗、乾燥処理がなされたネガフィル
ム２（写真フィルム）が、カートリッジ（図示せず）か
ら供給される。前記ネガフィルム２には、図４に示した
ように、ネガフィルム２の長手方向に沿った縁部に、磁
性体塗膜による磁気記録部Ｍが形成されている。

【００１３】カートリッジから引き出されたネガフィル
ム２は、先ず、読み取り磁気ヘッド４において磁気記録
部Ｍの磁気情報が読み取られ、読み取られた磁気情報は
復調器を含んだ読み取り部５にてデジタルデータに変換
されて、制御回路６へ入力される。前記制御回路６にお
いて、処理並びに編集された露光条件等の焼付け情報を
表すデジタルデータは、変調器を含んだ書込み部１３に
よって変調され、書込み磁気ヘッド１４において、当該
ネガフィルム２の磁気記録部Ｍに書き込まれる。前記読
み取り磁気ヘッド４と読み取り部５と書込み部１３と書
込み磁気ヘッド１４とで読み書き手段を構成した。

【００１４】なお、前記ネガフィルム２は、駆動モータ
８によって回転駆動される駆動ローラ９の回転によっ
て、光源７の光軸上に搬送され、フィルター駆動部２０
によって駆動されるＹＭＣフィルター１８と、シャッタ
ー駆動部２１によって駆動されるシャッター１２を経て
ネガフィルム２を通過した光線は、レンズ１０を通って
印画紙１１へ照射され、画像が焼付けられるのである。
そして、前記磁気記録部Ｍから読み取った磁気情報等に
基づいて決定される前記制御回路６からの制御信号に応
じて、シャッタ１２が開閉作動し、露光が制御されるの
である。

【００１５】前記制御回路６は、従来同様の焼付け制御
用の制御プログラムとともに、下記のメンテナンス管理
プログラムを内蔵したマイクロコンピュータと前記各機
器との間のインターフェース回路等を備えている。前記
メンテナンス管理プログラムの概略の作動を、図２を参
照しつつ以下に説明する。

【００１６】先ず、ステップ１においては、前記駆動ロ
ーラ９を間欠駆動して、前記ネガフィルム２をコマ送り
する。ステップ２においては、ネガフィルム２のコマ送
りによって磁気記録部Ｍは読み取り磁気ヘッド４を通過
するので、記録された磁気情報は、前記読み取り磁気ヘ
ッド４において検出され、読み取り部５を介して読み取
りデータとして制御回路６に入力される。ステップ３に
おいては、パリティチェックやＣＲＣチェック等の手法
によって、読み取り不良の有無を判定する。このステッ
プ３は、情報判定手段に対応しており、多段レジスタ等
の電子回路による情報判定手段を用いてもよい。読み取
り不良がなかった場合には、ステップ４において、読み
取った情報に基づいて、前記シャッター１２やＹＭＣフ
ィルター１８等を制御して通常の処理を行うとともに、
焼付け情報を表すデジタルデータを書込み磁気ヘッド１
４にてネガフィルム２の磁気記録部Ｍに書き込む。そし
て、ステップ５においては、当該ネガフィルム２におけ
る最終のコマまで以上の処理を繰り返す。

【００１７】ただし、読み取り不良が発生した場合に
は、ステップ６において、その発生回数を計数し、ステ
ップ７において、所定の置き換えデータに置き換える。
又は、操作者に適正な代替データの入力を要求する。そ
して、このような、置き換えデータ若しくは代替データ
に基づいて、ステップ４においては通常の処理を行う。
ステップ６は計数手段に対応している。

【００１８】最終のコマまで処理が終了した後、ステッ
プ８においては、ネガフィルム２の長さから算定した累
積処理量に対する前記発生回数の割合、即ち、エラー発
生率を算出し、ステップ９においては、そのエラー発生
率を前もって設定された限界割合と比較する。なお、前
記累積処理量としては、実際に処理したネガフィルムの
総延長でもよいが、単純に、搬送時間の総計を用いても
よい。限界割合を越えた場合には、ステップ１０におい
て、メンテナンス要求信号を出力し、メンテナンス要求
灯１５を点滅させるか、表示部１６にメンテナンスを要
求するメッセージを表示する。このようにして、メンテ
ナンスが要求されたときには、速やかに各磁気ヘッド
４，１４を中心に、ネガフィルムの走行経路まで、クリ
ーニングしなければいけない。ステップ８は累積手段と
演算手段に対応し、ステップ９，１０は出力手段に対応
している。

【００１９】前記制御回路６のマイクロコンピュータに
は、下記の交換管理プログラムも内蔵している。この交
換管理プログラムの概略の作動を、図３を参照しつつ以
下に説明する。

【００２０】先ず、ステップ１１において、前記駆動モ
ータ８によって駆動ローラ９を間欠駆動して、前記ネガ
フィルム２をコマ送りする。ステップ１２においては、
ネガフィルム２の磁気記録部Ｍと、読み取り磁気ヘッド
４もしくは書込み磁気ヘッド１４との間でデータの読み
書きを行う。ステップ１３においては、前記駆動モータ
８に対する駆動信号の継続時間を積算する。ステップ１
４においては、通常の処理を行う。そして、ステップ１
５においては、当該ネガフィルム２における最終のコマ
まで以上の処理を繰り返す。ステップ１６においては、
前記ステップ１３において積算された継続時間から累積
通過量を算定し、予め設定された限界通過量と比較す
る。

【００２１】ステップ１７においては、前記累積通過量
が設定された限界通過量を越えたときにヘッド交換要求
信号を出力し、ヘッド交換要求灯１７を点滅させるか、
表示部１６にヘッド交換を要求するメッセージを表示す
る。このようにして、ヘッドの交換が要求されたときに
は、速やかに各磁気ヘッド４，１４を交換するととも
に、ネガフィルムの走行経路をクリーニングしなければ
いけない。ステップ１３は累積手段に対応し、ステップ
１６，１７は出力手段に対応している。

【００２２】なお、累積手段としては、前記駆動モータ
８に対する駆動信号の継続時間に限らず、処理したネガ
フィルムの本数から算出しても、ネガフィルムの張力を
検出して、その通過量を算出してもよい。読み取った磁
気情報が適切か否かを判定する情報判定手段としては、
パリティチェックやＣＲＣ等の手法を用いれば簡単であ
るが、更に、複雑な誤り訂正符号等を用いてもよい。

【００２３】以上の実施例において説明したように、読
み取りエラーの発生回数や発生割合等の客観的なデータ
に基づいて、制御回路６がしかるべきタイミングを判断
して、操作者に対してメンテナンスを要求するので、操
作者の経験の程度に限らず、適切な一定の判断基準に基
づいた適切なメンテナンスが可能となるという効果が得
られるのである。また、写真フィルムとの間の情報の読
み書きに用いる磁気ヘッドの交換のタイミングも、制御
回路６が判断して、操作者に対してヘッドの交換を要求
するので、操作者の経験の程度に限らず、適切な一定の
判断基準に基づいた適切なタイミングでのヘッドの交換
が可能となるという効果が得られるのである。なお、判
断基準となる限界回数、限界割合、限界通過量等は、装
置の設置された環境等に基づいて適宜設定することがで
きる。

【００２４】なお、前記メンテナンス要求信号は、ヘッ
ド回りのクリーニングを要求する信号であっても、また
は、ヘッドの交換を要求する信号であってもよい。ま
た、制御回路を構成するマイクロコンピュータとそのプ
ログラムで、情報判定手段，計数手段，出力手段，累積
手段，演算手段を構成したが、電子回路によるレジス
タ，カウンタ，引算回路，除算回路等によって構成する
ことも可能である。

【００２５】

【発明の効果】このようにして、請求項１の発明によれ
ば、累積処理量に対する読み取り不良の発生回数の割合
が設定された限界割合を越えたときにメンテナンス要求
信号を出力することにより、操作者は、ヘッド回りのク
リーニング等のメンテナンスの客観的なタイミングを知
ることができるので、個人差等によっては変動しない適
切なメンテナンスが行えるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる写真フィルム処理装置の実施例
としての写真焼付け装置を示した構成図である。

【図２】前記写真フィルム処理装置におけるメンテナン
ス管理プログラムのフローチャートである。

【図３】前記写真フィルム処理装置におけるヘッド交換
管理プログラムのフローチャートである。

【図４】磁気記録部を備えた写真フィルムの平面図であ
る。

【図５】読み書き手段と写真フィルムとの接触部分の拡
大図である。

【符号の説明】

１ 写真焼付け装置（写真フィルム処理装置） ２ ネガフィルム（写真フィルム） ４ 読み取り磁気ヘッド（読み書き手段） ６ 制御回路（情報判定手段，計数手段，出力手段，累
積手段，演算手段） １４ 書込み磁気ヘッド（読み書き手段） Ｍ 磁気記録部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気記録部を備えた写真フィルムを、後述
   する磁気情報に基づいて決定される制御信号に応じて露
   光が制御される写真焼付け装置において、 写真フィルムの磁気記録部に記録された磁気情報を読み
   取る情報読取手段と、 読み取り量もしくは読み取り時間を計測して累積処理量
   を記憶する累積手段と、 読み取り不良の発生の有無を判定する情報判定手段と、 読み取り不良の発生回数を計数する計数手段と、 前記累積処理量に対する読み取り不良の発生回数の割合
   を計算する演算手段と、 前記割合が設定された限界割合を越えたときにメンテナ
   ンス要求信号を出力する出力手段とを備えたことを特徴
   とする写真焼付け装置。