JP3179887B2 - 皮膚メラニンの評価法 - Google Patents

皮膚メラニンの評価法

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JP3179887B2 JP25899992A JP25899992A JP3179887B2 JP 3179887 B2 JP3179887 B2 JP 3179887B2 JP 25899992 A JP25899992 A JP 25899992A JP 25899992 A JP25899992 A JP 25899992A JP 3179887 B2 JP3179887 B2 JP 3179887B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚の状態を評価する
ための皮膚メラニンの評価法に関するものであり、詳し
くは、化粧料、食品、医薬品の有効性評価や肌質の検査
などの分野に利用し得る評価法に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚の状態を良好に保つために使用され
る化粧料の販売にあたっては、ユーザーの皮膚の色やシ
ミの状態を的確に把握し、それに応じた化粧を指導すべ
きである。こうした考えの基に近年では、皮膚の状態を
観察又は測定するなどして肌色やシミの状態等を知るこ
とが重要な課題となってきた。
【0003】従来、これらの肌色やシミの状態を観察す
る方法としては、(1)皮膚の肌色を直接肉眼により観察
する方法、(2)実験動物の皮膚を切除し、表皮と真皮を
分離後、表皮を0.1%DOPA(DLーdihydroxyphen
ylalanine)で染色し、固定、脱水後、バルサム封入し
DOPA標本とし、DOPAメラノサイトの数を測定す
る方法、(3)測色色差計、分光測光器、光電色彩計等を
用いて皮膚の三刺激値、X、Y、Z、L、a、b等を測
定する方法、(4)紫外線映像を用いて、デジタル画像処
理によって色素沈着等による暗い領域を抽出し、色素沈
着の有無やその程度を測定する方法、等の方法が行われ
ている。
【0004】ところで、皮膚角質検査方法として、有機
溶剤に可溶な粘着物質を塗布してあるとともに、この粘
着性物質に皮膚角質層を付着せしめたテープを、あらか
じめ固着剤を塗布せしめた透明板に張り付け、次にこれ
を有機溶剤に浸漬した後、該テープを取り去ることによ
り実質的に角質層の一部を透明板上に固定し、必要によ
りこれを染色して作成された角質層標本により角質層の
状態を検査することを特徴とする角質層検査方法が開示
されている(特開昭63−113358)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法の
うち、(1)の方法は外見所見によるものであり、簡単で
便利ではあるが、主観的であり、データの客観性に欠け
る。また、(2)の方法は、皮膚を切除しなければならい
ので、かなりの苦痛を伴い、化粧料の販売に際して行う
ことは実際的でない。
【0006】(3)の方法は、肌色の測定を客観的に表現
できるが、色素だけが測定されるのではないので、皮膚
の色を測定できても、その結果が色素沈着によるもので
あるかを確定できない。
【0007】(4)の方法は、紫外線の反射率と、皮膚に
均一に存在するメラニン量とが比例することを利用して
おり、この方法では、TVカメラで厳密な条件で撮影し
た皮膚の紫外線映像を得るとともに画像の補正処理をす
る必要がある。しかし、これらの処理は、顔の立体構造
から生じる陰影や皮膚の凹凸を除去するものであり、メ
ラニンの性質に基づくものではないので、正確にメラニ
ン量を反映しているとは言いがたい。更に、大型機器を
必要とするため、手軽に評価できない。
【0008】また、上記皮膚角質検査方法は、鮮明で観
察しやすい標本を用いるので、角質層の検査を確実に行
うことができるが、メラニン量を測定することはできな
い。肌色、シミの状態を詳細に調べるためには、実際に
皮膚に存在するメラニンについての情報を得る必要があ
り、角質細胞に含まれるメラニンを観察することが最良
である。しかし、上述した方法では、皮膚を切除するこ
となくメラニンの量を正確かつ容易に測定することはで
きない。肌色やシミの原因と考えられるメラニンについ
て測定されなければ、皮膚の肌色、シミの状態を精密に
把握することは困難である。
【0009】本発明は、このような観点からなされたも
のであり、被検者に苦痛を与えることなく、皮膚メラニ
ンを評価できる方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を行った結果、角層(皮膚最外
層の角質細胞)を粘着物質を塗布したテープに採取し、
これを固着剤を塗布した透明板に貼付け、粘着物質を有
機溶剤で溶解させてテープを剥離し、角質細胞を固定し
た後染色して得られる標本を観察することにより、メラ
ニン量を測定し、さらに角質細胞の形態を知ることによ
り、皮膚の状態を簡便に評価できることを見出し、本発
明に至った。
【0011】すなわち本発明は、有機溶剤に可溶な粘着
物質を塗布したテープに、皮膚角層を貼着し、あらかじ
め固着剤を塗布した透明板に貼付け、前記有機溶剤で粘
着物質を溶解させてテープを剥離させ、角層を透明板に
固定し、この透明板に固定された各層の角質細胞をアン
モニウム銀液で処理し、定着液で銀を定着させてメラニ
ンを染色して得られる角質細胞標本を観察することを特
徴とする皮膚メラニンの評価法、及び、窓孔を有し、こ
の窓孔に対応するように有機溶剤に可溶な粘着物質を塗
布したテープを貼着したホルダーを用意し、このテープ
の粘着物質を塗布した面をホルダーごと皮膚表面に押し
付けて皮膚角層を粘着物質に移し取った後、テープを一
定の大きさに切断し、このテープをあらかじめ固着剤を
塗布した透明板に貼付け、前記有機溶剤で粘着物質を溶
解させてテープを剥離させ、角層を透明板に固定し、こ
の透明板に固定された各層の角質細胞をアンモニウム銀
液で処理し、定着液で銀を定着させてメラニンを染色し
て得られる角質細胞標本を観察することを特徴とする皮
膚メラニンの評価法である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】<1>粘着性物質を塗布したテープ 粘着性物質を塗布したテープは、このテープの粘着面を
皮膚に押し付け、テープを皮膚から剥して角層を採取す
るために使用するものである。
【0014】この粘着性物質は、有機溶剤に可溶である
樹脂又は高分子化合物が用いられ、例えば、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエー
テル、ポリブテン、アスファルト、及び、天然ゴム又は
その誘導体、SBR系ゴム、NBR系ゴム、ブタジエン
−ビニルピリジン系ゴム、ブチルゴム、クロロプレン系
ゴム、再生ゴム、シアノアクリレート系ゴム、アラビア
ゴム、トラガントゴム等のゴム質などが挙げられる。こ
れらは、1種又は2種以上よりなる混合物を単独あるい
は他の基材に含有させたものが用いられる。
【0015】上記の粘着物質のうちでも、天然ゴム又は
その誘導体、SBR系ゴム、NBR系ゴム、ブタジエン
−ビニルピリジン系ゴム、ブチルゴム、クロロプレン系
ゴム、再生ゴム、シアノアクリレート系ゴム、アラビア
ゴム、トラガントゴム等のゴム質はテープを剥がす際の
剥離性及び角質細胞を変化させないという点で好まし
い。 テープは、一般的又は工業的に使用されているも
のでよく、材質としては、例えば、セロファン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステ
ル、ふっ素樹脂等のプラスチック素材等が挙げられる。
また、形状としては、均一な厚みを有するものの他、細
孔を有するもの、網目状であるもの等も使用可能であ
る。
【0016】本発明には、このようなテープに前記粘着
物質を塗布したものを使用するが、粘着テープとして市
販されているもの、例えばセロハンテープ等もそのまま
使用することができる。
【0017】<2>有機溶剤 本発明に用いる有機溶剤は、前記粘着性物質を溶解させ
るために用いるものであり、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、エーテル、アセトン、クロ
ロホルム、ヘキサン、THF、酢酸エチル、o−キシレ
ン、m−キシレン、p−キシレン、メチルベンゼン、エ
チルベンゼン、プロピルベンゼン、ベンゼン、トルエ
ン、酢酸アミル等が挙げられ、これらの1種又は2種以
上を混合又は併用して使用される。
【0018】<3>固着剤 本発明に用いる固着剤は、後述する透明板に皮膚角層を
固定するために使用されるものであり、角質細胞を変形
させないものであって、かつ、上記の有機溶剤に易溶で
ないものが使用される。
【0019】このような固着剤としては、公知の接着
剤、タンパク質等が挙げられる。特に、得られる角質細
胞標本をより鮮明なものにできるものとして、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセター
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル
エーテル等のポリビニル系接着剤、メラミン樹脂接着
剤、フェノール樹脂接着剤、レゾルシノール系接着剤、
キシレン樹脂接着剤、フラン樹脂接着剤、ポリイソシア
ネート樹脂接着剤、ポリエステル樹脂接着剤、ポリアミ
ド系接着剤、ポリブテン接着剤、エチレン共重合系接着
剤、熱可塑性ポリエステル接着剤、ポリエステルアクリ
レート接着剤、シリコーンゴム系接着剤、フェノール混
合系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系
接着剤、嫌気性ポリエステル接着剤、ポリベンツイミダ
ゾール系接着剤、ポリイミド系接着剤、メタロキサン系
接着剤、にかわ系接着剤、カゼイン系接着剤、セルロー
ス系接着剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以
上を混合して用いることができる。
【0020】これらの固着剤の内でも、染色した場合に
固着剤自体が染まりにくいという点で、ポリビニル系接
着剤が最も好ましい。
【0021】又、タンパク質としては、例えば、卵白ア
ルブミン、乳アルブミン、ミオーゲン、血清アルブミ
ン、グロビン、ロイコシン等のアルブミン類、血清グロ
ブリン、β−ラクトグロブリン、リゾチーム、ミオシ
ン、エデスチン、インシュリン、フィブリノーゲン、チ
ログロブリン等のグロブリン類、可溶性コラーゲン、エ
ラスチン、ケラチン、絹フィブロイン、スポンジン、ゴ
ルゴニン、ヒストン、プロタミン、卵白、ゼラチン、ペ
プトン、その他のペプチド、リンタンパク質、リポタン
パク質、糖タンパク質等が挙げられ、これらの1種又は
2種以上よりなる混合物を単独あるいは多価アルコール
等の他の基材に含有せしめたものが用いられる。
【0022】<4>透明板 透明板は、この上に前記固着剤を用いて、角層を採取し
た粘着性物質を塗布したテープを貼付け、粘着性物質を
有機溶剤で溶解させてテープを剥離させて、角層を固定
するものである。
【0023】透明板としては、透明で角質細胞標本の観
察を妨げず、且つ、有機溶剤に不溶又は難溶なものが使
用される。例えば、ガラス板、ポリメチルペンテン、ポ
リエチレン等の樹脂類の板が挙げられ、この中でも透明
性及び耐溶剤性の点からガラス板が好ましい。
【0024】本発明においては、この透明板には、前記
固着剤を塗布しておく。
【0025】<5>ホルダー ホルダーは、窓孔を有する板状体であり、この窓孔に対
応するように粘着物質を塗布したテープを貼着してお
く。このホルダーは、テープの粘着物質を塗布した面を
ホルダーごと皮膚表面に押し付けて角層を粘着物質に移
し取るためのものであり、角質細胞標本の作成に際し、
角層の採取を簡便にするために任意に用いられるもので
ある。
【0026】窓孔の周囲には、テープを一定の大きさに
切取りやすいように、目盛りを付しておくとよい。ま
た、使用前に粘着物に角質細胞以外のものが接着しない
ように、窓孔より大きな離型紙を、ホルダーの窓孔部分
に貼付し、さらにホルダー全体が汚染されないようにビ
ニール袋等に入れておくと、保存、運搬に便利である。
【0027】<6>角質細胞標本の作成法 まず、前記粘着物質を塗布したテープを皮膚に押し当
て、皮膚からテープを剥すことにより、角層を採取す
る。例えば、テープの粘着物質を塗布していない面を指
で押し付け、軽く2〜3回擦り、テープを皮膚に密着せ
しめ、ついで、テープを一定の力で一定の方向から剥が
す。
【0028】次に、このテープを、あらかじめ前記固着
剤を塗布した透明板に貼付ける。透明板にあらかじめ固
着剤を塗布してないと、粘着剤を溶解する際に、角層が
透明板より剥離してしまう。
【0029】又、透明板に、角層を保持したテープを貼
付ける際には、テープ幅を3〜10mm程度に切断して
おくことが好ましい。テープ幅をこの範囲にすると、有
機溶剤の浸透性がよく、取扱上便利である。
【0030】続いて、テープを貼付けた透明板を、前記
有機溶剤で処理して、テープに付着している粘着性物質
を溶解させ、テープを透明板から剥離させる。この操作
は、例えば、テープを貼付けた透明板を有機溶剤に2〜
4時間浸漬させることにより行う。テープを剥離させた
後に、残った粘着性物質を除去するために、透明板を新
たな有機溶剤に浸漬するとよい。
【0031】このようにして角質細胞を透明板に固定し
た後に、角質細胞を染色する。この染色には、肌色の原
因であるメラニンを染色するものが好ましい。例えば、
銀還元性物質であるメラニンを黒褐色に染めるアンモニ
ア銀液を用いて染色し、チオ硫酸ナトリウム等で銀を定
着させる。
【0032】さらに、角質細胞の形態及び核の存在をは
っきり確認するために、ヘマトキシリン液に浸漬して核
を青藍色〜淡青藍色に染色し、流水による水洗後、エオ
ジン液にて角質細胞の全体を赤く染色するなど、複数の
染色を行ってもよい。
【0033】このようにして作成された角質細胞標本
は、バルサム封入若しくは紫外線効果性樹脂封入等を行
うと、標本の保存等に便利である。また、前述のホルダ
ーを使用する場合には、ホルダーごとテープの粘着物質
を塗布した面を皮膚表面に押し当て、ホルダーの枠をて
ことして利用してテープを一定の力で一定の方向から剥
がすとよい。こうすることにより、角層を一定の厚さで
テープ上に採取することができる。
【0034】この後、テープを切り取り、上記と同様に
処理すればよい。
【0035】<7>皮膚メラニンの評価法 上記の様にして得られた角質細胞標本を用いて、角層に
含まれるメラニン色素の量及び質を測定する。例えば、
角層標本を光学顕微鏡により観察し、あるいは、角層標
本をビデオスコープを用いてモニターに写し出し、角質
細胞に含まれているメラニンの量、形態、大きさ、均一
性、均質性、集合度等を調べる。必要に応じて、角質細
胞の形態、大きさ、均一性、均質性、集合度、核の有無
等を測定する。こうして、肌の状態、肌性、肌質、肌
色、シミの状態等を評価することができる。
【0036】一般に、紫外線などにより皮膚がダメージ
を受けると、メラニンが生成して皮膚が黒くなる。ま
た、本来皮膚表層の細胞は核を有しないが、ダメージを
受けると核を保持する細胞が出現することが知られてい
る。これらの関係は明らかにされていないが、メラニン
の評価のみでなく、上述した角質細胞の形態、核の有無
等を観察することにより、一層皮膚の状態を的確に評価
することができると考えられる。
【0037】また、ビデオスコープを用いた場合には、
更に、角質細胞の面積、周長、偏平率等を測定すること
ができ、角質細胞とメラニンとの関係が明らかになり、
肌の老化度、皮膚の年令等を調べることができる。
【0038】
【作用】粘着物を塗布したテープを皮膚に押し当て、テ
ープを皮膚から剥離すると、皮膚角層がテープ上に移し
取られる。この際にホルダーを用いると、操作が迅速、
かつ容易となり、角層の採取を定量的に行うことがで
き、さらに、標本の保存、運搬にも便利となる。
【0039】角層を採取したテープを、あらかじめ固着
剤を塗布した透明板に貼付け、有機溶剤に浸漬すると、
粘着物質が有機溶剤で溶解され、テープは透明板から剥
離する。一方、粘着物質に貼着していた角層は、固着剤
により透明板に固定される。
【0040】透明板に固定された角層中のメラニンは、
銀染色により黒褐色に染色される。こうして作成された
角質細胞標本を、光学顕微鏡あるいはビデオスコープを
用いて観察することにより、角質細胞のメラニン量等を
評価することができ、さらに角質細胞の形態を調べるこ
とにより、皮膚の状態を評価することができる。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。尚、本
実施例ではホルダーを使用したが、ホルダーを使用しな
くても同様に標本を作成し、皮膚の状態を評価すること
ができる。
【0042】2.6cm×7.6cmの長方形形状であ
り、端部に2.0cm×3.5cmの長方形の窓孔2を
有するホルダー1(図1)に、窓孔2に対応するように
4.0cm×2.5cmのセロハンテープ3(市販の粘
着性セロハンテープを切断したもの)を貼着したものを
用意する。ホルダー1の窓孔2の枠には、1mm毎に目
盛り4が付してある。
【0043】このホルダー1ごと粘着テープ2の粘着面
を、シミのある皮膚の部分に押し当て、指で押し付け軽
く2〜3回擦り、テープ3を皮膚に密着させ、ホルダー
1の枠をてことして利用し、一定の力で一定の方向から
剥がす。ついで、枠に付してある目盛り4を目安とし
て、テープを5.0mm×4.0mmの大きさにカッタ
ー及びはさみを用いて切断し、この切断片を、あらかじ
めポリ酢酸ビニル系接着剤を均一に塗布したスライドグ
ラスに貼付ける。
【0044】次に、このスライドグラスをキシレンに3
時間浸漬し、スライドグラスからセロハンテープが剥離
したのを確認してから、新たなキシレンに30分浸漬
し、さらに新たなキシレンに30分浸漬する。3時間の
浸漬でセロハンテープが剥離しない場合は、自然に剥離
するまで、キシレンに浸漬する。
【0045】その後、スライドグラスを取り出し、付着
しているキシレンを熱をかけずに乾燥させた後、メラニ
ンの染色を行う。蒸留水で3分間の浸漬を4回繰り返
し、室温で暗所にてアンモニア銀液に2〜4時間浸漬す
るか、あるいは37℃で暗所にてアンモニア銀液に1時
間浸漬し、再び蒸留水中に3分間の浸漬を3回繰り返し
た後、酢酸加ハイポ(チオ硫酸ナトリウム0.5gを蒸
留水100mlに溶解し、0.5%酢酸を0.5ml加
えたもの)に3分間浸漬して銀を定着し、流水で3分間
水洗いする。
【0046】さらに、角質細胞の形態及び核の存在をは
っきり確認するために、ヘマトキシリン液で20分間浸
漬し核を青藍色〜淡青藍に染色し、流水による水洗後、
エオジン液にて角質細胞の全体を赤く染色し、乾燥後、
常法により透徹後バルサム封入して角質細胞標本を得
る。こうして得られる標本の顕微鏡写真の一例を図2
(A)に示す。また、比較例として、ヘマトキシリン−
エオジン染色のみを行ったものを図2(B)に示す。こ
れらの写真から明らかなように、本発明の皮膚メラニン
の評価法に用いる角質細胞標本を用いると、メラニンが
鮮明に観察されることがわかる。尚、写真にとる場合に
は、カラーフィルムを用いると、細胞の形態等がより鮮
明になるので好ましい。
【0047】このようにして得られた角質細胞標本を光
学顕微鏡により観察し、色素沈着部位と、そのすぐ外側
の非沈着部位の角質細胞に含まれる黒褐色の顆粒量の程
度を5段階にスコアー化し、無作為に選んだ100個の
細胞をカウントし、これを3箇所観察し、合計300個
の細胞をスコアー化し、得られたスコアーの平均値をMe
lanin Index(M.I.)として評価した。
【0048】一方、各標本の(標本を採集した被検者の
同部位)色を表すL値を測定した。L値が高いと明るい
ことを意味する。分光測色計(ミノルタカメラCM−1
000)の測定ヘッドを肌に接触し、明度指数(L値)
を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0049】
【表1】 この結果から明らかなように、色素沈着部の角質細胞
は、非色素沈着部に比べて、強度のM.I.を認めた。ま
た、異なる複数の実験結果から、M.I.とL値とは高い相
関(r=0.84)を示すことがわかった。
【0050】さらに、角質細胞に含まれる黒褐色の顆粒
の形、大きさ、均一性、均質性、集合度等から肌色、シ
ミの状態等を調べた。得られた角質細胞標本は、従来に
ない鮮明な標本であり、第2図に見られる如く、角質細
胞が明瞭に観察されるとともに、その中に含まれる黒褐
色のメラニン顆粒の状態を詳細に観察できるので皮膚の
色の変化や老化によるシミの発生状態等を調べることが
できた。
【0051】
【発明の効果】本発明により、被験者に苦痛を与えるこ
となく、皮膚角質のメラニンを評価することができる。
また、本発明に用いる皮膚角質標本は保存性がよく、簡
単で均一に角層を採取することができる。
【0052】また、1サンプルより数種の染色が行え、
鮮明な観察ができるので、角質細胞に含まれるメラニン
色素の測定が可能となり、さらに角質細胞の形態等を調
べることができ、肌色やシミの検査等皮膚の状態の評価
に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホルダーの一例を示す斜視図。
【図2】角質細胞標本の光学顕微鏡写真(倍率約350
倍)。
【符号の説明】
1.ホルダー 2.窓孔 3.粘着物質を塗布したテープ 4.目盛り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橿淵 暢夫 神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内 (72)発明者 金田 泰雄 神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−106558(JP,A) 特開 昭59−43358(JP,A) Jae Y.Ro et al,Ar ch Pathol Lab Med, Vol.111,P.53−57(1987) 坂井貴子「金属冠装着歯周囲の着色歯 肉に関する臨床病理学的研究」歯科基礎 医学会雑誌28,p297−315(1986) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/50 A61B 5/00 A61B 5/107 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤に可溶な粘着物質を塗布したテ
    ープに、皮膚角層を貼着し、あらかじめ固着剤を塗布し
    た透明板に貼付け、前記有機溶剤で粘着物質を溶解させ
    てテープを剥離させ、角層を透明板に固定し、この透明
    板に固定された各層の角質細胞をアンモニウム銀液で処
    理し、定着液で銀を定着させてメラニンを染色し、更に
    ヘマトキシリン液で核を染色後、エオジン液で角質細胞
    を染色して得られる角質細胞標本を観察することを特徴
    とする皮膚メラニンの評価法。
  2. 【請求項2】 前記粘着物質は、天然ゴム又はその誘導
    体、SRB系ゴム、NBR系ゴム、ブタジエンビニルピ
    リジン系ゴム、ブチルゴム、クロロプレン系ゴム、再生
    ゴム、シアノアクリレート系ゴム、アラビアゴム、トラ
    ガントゴムから選ばれ、前記有機溶媒は、メタノール、
    エタノール、プロパノール、ブタノール、エーテル、ア
    セトン、クロロホルム、ヘキサン、THF、酢酸エチ
    ル、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メチ
    ルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ベン
    ゼン、トルエン、酢酸アミルから選ばれることを特徴と
    する請求項1記載の皮膚メラニンの評価法。
  3. 【請求項3】 前記固着剤がポリビニル系接着剤、ポリ
    ビニル系接着剤、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂
    接着剤、レゾルシノール系接着剤、キシレン樹脂接着
    剤、フラン樹脂接着剤、ポリイソシアネート樹脂接着
    剤、ポリエステル樹脂接着剤、ポリアミド系接着剤、ポ
    リブテン接着剤、エチレン共重合系接着剤、熱可塑性ポ
    リエステル接着剤、ポリエステルアクリレート接着剤、
    シリコーンゴム系接着剤、フェノール混合系接着剤、エ
    ポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、嫌気性
    ポリエステル接着剤、ポリベンツイミダゾール系接着
    剤、ポリイミド系接着剤、メタロキサン系接着剤、にか
    わ系接着剤、カゼイン系接着剤、セルロース系接着剤か
    ら選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚
    メラニンの評価法。
  4. 【請求項4】 透明板がガラス板であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚メラニンの
    評価法。
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