JP3177634B2

JP3177634B2 - 消臭剤及び消臭方法

Info

Publication number: JP3177634B2
Application number: JP06727296A
Authority: JP
Inventors: 慶人高橋; 智久小谷; 幹雄外村
Original assignee: 通商産業省基礎産業局長
Priority date: 1996-02-27
Filing date: 1996-02-27
Publication date: 2001-06-18
Anticipated expiration: 2016-02-27
Also published as: JPH09225015A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、畜産廃棄物やペッ
トの糞便から発生する悪臭をはじめ、様々な生活環境中
（台所、トイレ、下駄箱等）で生ずる不快臭に対し優れ
た消臭効果を有する消臭剤及び消臭方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】豚糞、牛糞、鶏糞等の畜産廃棄物、ペッ
ト等の糞便から発生する悪臭物質としては主に低級脂肪
酸、アンモニア及び硫黄化合物が挙げられる。この中で
も近年、プロピオン酸、ｎ−酪酸、ｎ−吉草酸、ｉ−吉
草酸の４種の低級脂肪酸が新たに悪臭防止法指定物質と
され問題となってきている。

【０００３】また台所、トイレ、下駄箱等の生活環境中
においても上述したような種々の悪臭が存在している
が、その中でも低級脂肪酸は特に不快な臭いを感ずる悪
臭物質である。これらの悪臭を軽減ないし防止するため
に従来より様々な消臭方法が提案されてきている。

【０００４】例えば悪臭を香料でマスキングする方法、
活性炭等の吸着作用を利用して悪臭成分を除去する方
法、酸、アルカリ等を用いて悪臭成分を中和する方法或
いは触媒による酸化還元作用で悪臭成分を分解する方法
等が挙げられるが、これらの方法は有効期間が短期間で
あったり、限られた悪臭物質に対してのみの作用であっ
たり、また大規模な装置を必要とするなどの欠点を有し
ており、必ずしも満足のできる効果は得られていない。

【０００５】特に低級脂肪酸に関してはいずれも消臭力
が不十分であり、優れた消臭力を有する消臭剤の開発が
求められている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、臭気源
中の低級脂肪酸をエステル化することにより、低級脂肪
酸量を低減すると同時に、生成した低級脂肪酸エステル
の芳香により臭気源中の他の悪臭成分がマスキングさ
れ、優れた消臭効果が発揮されると考え、鋭意検討した
結果、リパーゼがアルコールと低級脂肪酸を基質として
低級脂肪酸エステルを合成することを利用した生化学的
方法が安全性、簡便性及び持続性において最も優れてい
ることを見出し、本発明を完成したものであって、その
目的とするところは、畜産廃棄物やペットの糞便から発
生する悪臭をはじめ、様々な生活環境中（台所、トイ
レ、下駄箱等）で生ずる不快臭に対し優れた消臭効果を
有する消臭剤及び消臭方法を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的は、低級脂肪
酸エステル化活性を有するリパーゼ及びアルコールを含
有することを特徴とする消臭剤、並びに低級脂肪酸エス
テル化活性を有するリパーゼ及びアルコールを使用する
ことを特徴とする消臭方法によって達成される。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の構成について詳細
に説明する。

【０００９】本発明に用いられるリパーゼとしては、動
物、植物及び微生物を問わず、自然界に存在する生物が
産生し、低級脂肪酸エステル化活性を有するリパーゼか
ら広く選ぶことができる。具体的には、酵母の一種であ
るカンジダ(Candida) 属の微生物が産生するリパーゼ等
が挙げられる。その中でも特にカンジダ・シリンドラセ
ア(Candida cylindracea)の産生するリパーゼが、低級
脂肪酸エステル化活性がより高い点で好ましい。

【００１０】本発明において使用するアルコールとして
は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルア
ルコール等が挙げられる。

【００１１】本発明の消臭剤においては、リパーゼの含
有量としては、用途に応じて任意に選択されるが、組成
物総量に対して０．００１〜１０重量％が好ましく、特
に０．１〜１重量％が好ましい。

【００１２】またアルコールの含有量についても用途に
応じて任意に選択されるが、通常０．０１〜９９．９９
９重量％が好ましい。

【００１３】本発明の消臭剤の形態としては、液状、固
形状、粒状、粉末状等が挙げられるが、特にこれらの形
態に限るものではない。通常は使用上の利点から液状の
消臭剤として使用することが多いが、例えば多孔性の担
体にリパーゼを担持させ、更にアルコールを含浸させた
ような粒状の消臭剤としても使用できる。

【００１４】また、本発明の消臭剤には、一つの組成物
中にリパーゼとアルコールを含有するものの他、リパー
ゼとアルコールをそれぞれ独立の形態からなる２剤型と
し、使用時に同時に用いるものも含まれる。

【００１５】本発明の消臭剤を２剤型にする場合、リパ
ーゼ含有組成物中のリパーゼの含有量としては、組成物
総量に対して０．００１〜２０重量％が好ましく、０．
２〜２重量％が特に好ましい。また、アルコール含有組
成物中のアルコール含有量としては０．０２〜１００重
量％が好ましい。

【００１６】本発明の消臭方法に使用される際のリパー
ゼ含有組成物の形態としては、液状、固形状、粒状、粉
末状等特に限られたものではない。また、アルコール含
有組成物の形態としては、液状、またはセラミック、紙
等に含浸させた形態等が挙げられる。

【００１７】本発明の消臭剤には上述の有効成分の他
に、これらの有効成分を変質させるものや有効成分の活
性を著しく阻害するものでない限り、適宜添加物を選択
して配合してもよい。例えば、液状の消臭剤として使用
する場合、噴霧用としてジクロロフルオロメタン等のガ
ス、グリセリン等の増粘剤、固形状の消臭剤として使用
する場合、ゼオライト、活性炭等の担体、更には色素、
香料等が挙げられる。

【００１８】また、本発明の消臭剤には、従来使用され
ている殺菌剤、芳香剤、吸着剤、酸化還元剤等公知の消
臭剤の１種又は２種以上を同時に配合することもでき
る。

【００１９】本発明の消臭剤の使用方法としては、家
畜、ペットの糞便等の臭気源や台所、トイレ、下駄箱、
排水溝、下水槽等、悪臭を除去したい場所に対して、直
接散布、噴霧、または投下したりすればよい。

【００２０】本発明の消臭方法としては、上記消臭剤に
よる直接散布、噴霧、投下の他に、リパーゼ含有組成物
とアルコール含有組成物の２剤型をそれぞれ別個に、順
次散布、噴霧、投下してもよい。ればよい。

【００２１】本発明の消臭方法において、２剤型の消臭
剤を用いる際の、リパーゼ含有組成物とアルコール含有
組成物の処理比としては、消臭対象により適宜選択でき
特に限定されるものではないが、例えば液状のもので
は、リパーゼ含有組成物とアルコール含有組成物の体積
比が２：１〜１：２が好ましい。

【００２２】

【作用】本発明の消臭方法によれば、臭気源に含まれる
低級脂肪酸をリパーゼの低級脂肪酸エステル化活性によ
り、芳香を有する低級脂肪酸エステルに変換し、臭気源
中の低級脂肪酸量を低減させることができる。また持続
的に生成する低級脂肪酸エステルの有する芳香により、
臭気源より発生する他の悪臭成分を長時間マスキング
し、効果的な消臭を行うことができる。

【００２３】以下、比較例、実施例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。尚、実施例の説明に先立ち、本発明の消臭剤
による、臭気源である低級脂肪酸のエステル化の試験例
を以下に示す。

【００２４】試験例（低級脂肪酸エステル化活性の測
定）内容量20mlのサンプルバイアルに 2.4mlの 100mMリン酸
緩衝液(pH6.9) を入れ、これにエタノール 0.3mlと低級
脂肪酸（プロピオン酸またはｎ−酪酸）を 0.2ml加え混
合した。

【００２５】これに同じリン酸緩衝液で3mg/mlに調製し
たカンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)由
来のリパーゼ0.1ml を添加したのち密封し30℃で18時間
静置した。

【００２６】この後サンプルバイアルのヘッドスペース
部を 0.8ml採取し、ガスクロマトグラフでヘッドスペー
ス中の低級脂肪酸エステル（プロピオン酸エチルまたは
ｎ−酪酸エチル）濃度を測定した。

【００２７】またガスクロマトグラフ分析後にサンプル
バイアルの栓をとり、嗅覚によりバイアル内臭気を検査
し、表１に示す基準に従い臭気強度を判定した。それら
の結果を表２に示す。

【００２８】

【表１】

【００２９】

【表２】

【００３０】表２の結果から明らかなように、本発明の
方法により、低級脂肪酸が低級脂肪酸エステルに変換さ
れ、過剰量の低級脂肪酸に対しても消臭効果のあらわれ
ることを確認した。従って、動物の糞便や生ゴミ等の臭
気源に対する消臭効果が期待できる。

【００３１】実施例１表３に示す処方の液状消臭剤を調製した。

【００３２】

【表３】

【００３３】上記の液状消臭剤約５０ｍｌをブタの糞便
２００ｇに対し散布し、１時間後、３時間後及び１２時
間後の芳香及び不快臭を表１に示す判定基準でＡ〜Ｅの
５名のパネルにより評価した。

【００３４】この他に上記実施例１の消臭剤からリパー
ゼを除き、代わりに香料（ペパーミント、ユーカリ油、
メントール、チモール）を加えたもの（比較例１）を調
製し、同様にしてブタ糞便臭に対する試験を行った。結
果を表４に示す。

【００３５】

【表４】

【００３６】表４の結果から明らかなように、本発明の
消臭剤は糞便臭に対して優れた消臭効果を有する。

【００３７】実施例２表５に示す処方の噴霧式消臭剤を調製した。

【００３８】

【表５】

【００３９】上記実施例２の消臭剤をエアゾール容器に
充填し、家庭台所生ゴミ（水分含量８０〜９５パーセン
ト）に対して約１０秒間噴霧した。噴霧１時間後、３時
間後及び１２時間後の芳香及び不快臭を表１に示す判定
基準でＡ〜Ｅ５名のパネルにより評価した。

【００４０】この他に上記実施例２よりリパーゼを除
き、代わりに香料（ペパーミント、チモール、ユーカリ
油、メントール）を加えたもの（比較例２）を調製し、
実施例２と同様にして家庭台所生ゴミに対する試験を行
った。結果を表６に示した。

【００４１】

【表６】

【００４２】表６の結果から明らかなように、本発明の
消臭剤は生ゴミ臭に対して優れた消臭効果を有する。

【００４３】

【発明の効果】以上の通り、本発明により、畜産廃棄物
やペットの糞便から発生する悪臭をはじめ、様々な生活
環境中（台所、トイレ、下駄箱等）で生ずる不快臭に対
し優れた消臭効果を有する消臭剤及び消臭方法を提供で
きることは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭48−88233（ＪＰ，Ａ) 特開昭49−132286（ＪＰ，Ａ) 特開平３−198784（ＪＰ，Ａ) 実公昭42−21520（ＪＰ，Ｙ１) ＢｉｏｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙＬｅｔｔｅｒｓ，Ｖｏｌ．12，Ｎｏ．８，ｐ. 581−586（1990) ＪｏｕｒｎａｌｏｆＦｏｏｄＳｃｉｅｎｃｅ，Ｖｏｌ．55，Ｎｏ．６, ｐ．1679−1682（1990) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61L 9/00 - 9/22 C12P 7/62 ＣＡ（ＳＴＮ) ＪＩＣＳＴファイル（ＪＯＩＳ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】低級脂肪酸エステル化活性を有するリパ
ーゼ及びアルコールを含有することを特徴とする消臭
剤。
【請求項２】低級脂肪酸エステル化活性を有するリパ
ーゼ及びアルコールを使用することを特徴とする消臭方
法。
【請求項３】リパーゼが、カンジダ(Candida) 属の微
生物が生産するリパーゼである請求項１記載の消臭剤。
【請求項４】リパーゼが、カンジダ(Candida) 属の微
生物が生産するリパーゼである請求項２記載の消臭方
法。