JP4611498B2 - 消臭剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に家庭で飼育している犬・猫や、うさぎ、小鳥、ハムスターなどの小動物、及びその飼育環境から発生する様々な悪臭に対して、それ自体は強い芳香を持たずに優れた消臭効果を有し、かつ人体やペットに対して安全性の高い消臭剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、動物から発生する悪臭には、糞尿から発生するアンモニア、硫化水素、メルカプタン、硫化メチルなどの窒素や硫黄を含む有機化合物、あるいは蛋白質の分解産物や体臭から発生する酪酸、吉草酸などの低級脂肪酸がある。家庭で飼育しているペットやそのまわりから発生する悪臭は、ほとんどこれらの混合臭気である。
従来、これらの悪臭を消す方法としては、非常に強い芳香を有する物質を消臭剤として用い、その芳香によって悪臭をマスキングする方法が主に採られてきた。しかし、このような消臭剤は、悪臭の強度より強い芳香を使用するため、悪臭と混合後の全体の臭いの強さが、もとの強さよりも著しく強くなり、結果的に不快に感じられることがある。さらに、人間より鋭敏な臭覚を有するペットが消臭剤の臭いを嫌がることも多い。また、その他の悪臭を消す方法として、オゾンやグリオキザール、次亜塩素酸塩などによる化学反応を利用する方法もあるが、ペットや人体に対する安全性の面で制約が大きい。
従って、本発明は、主に家庭で飼育している犬・猫や、うさぎ、小鳥、ハムスターなどの小動物、及びその飼育環境から発生するあらゆる悪臭に対して、優れた消臭効果を有し、しかもそれ自体は強い芳香を持たず、かつ安全性の高い消臭剤組成物を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下のことを見出し、本発明を完成するに至った。
まず、本目的に合致する消臭基材について、主にペットやその周囲から発生する悪臭に対する消臭効果及び安全性等を考慮し、植物抽出物を選定した。
次に、植物抽出物の消臭機能を有効に発現できる消臭剤組成物の検討を行ったところ、以下の問題が生じた。悪臭は、消臭剤溶液中に溶け込むことで消臭基材と反応する。しかし、ペットやその周囲から発生する主な悪臭は酸性臭又はアルカリ性臭であり、これらが溶け込むと、その溶液のpHが酸性又はアルカリ性に傾くため、悪臭の消臭剤溶液への溶解度が低下し、結果として消臭効果の低下を招くことになった。
【0004】
そこで、植物抽出物を含有する消臭剤組成物において、特定の酸・アルカリで弱酸性領域に調整し、かつ特定の緩衝作用を持たせることで、悪臭が溶け込んだ際のpHの変化を抑制し、悪臭の溶解度の低下を緩和することによって、消臭基材である植物抽出物の効果を著しく高めることに成功したのである。すなわち、本発明によれば、(a)消臭基材としての植物抽出物、(b)クエン酸及び/又はその塩1.0〜5.0質量%、(c)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される1種以上の弱アルカリ剤0.6〜4.0質量%を含有するpH4.0〜5.5の消臭剤組成物であって、該組成物100gに対して1mol/Lアンモニア水溶液をpHが7.0になるまで添加したときの添加量が8.0g以上になるように緩衝能が調整されたことを特徴とする消臭剤組成物が提供される。
【0005】
【発明実施の形態】
本発明に使用される(a)成分の植物抽出物としては、消臭機能を有するものであれば特に制限されず、例えば、カタバミ、ドクダミ、ツガ、イチョウ、クロマツ、カラマツ、アカマツ、キリ、ヒイラギモクセイ、ライラック、キンモクセイ、フキ、ツワブキ、レンギョウ、クリ、ハンノキ、コナラ、ザクロ、イチジク、ゼンマイ、タニウツギ、カキノキ、オオバコ、ヨモギ、ヤマモミジ、サルスベリ、シロバナハギ、アセビ、シダ、ヤマナラシ、コバノトネリコ、甘蔗などから抽出されるエキスが挙げられる。これらの植物抽出物は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
前記植物抽出物の中で、甘蔗抽出物は目的とする消臭効果が高く、安全性にも優れるため、(a)成分に含まれていることが好ましい。甘蔗抽出物としては、例えば、三井製糖(株)製のMSX−245を使用することができる。
又、植物抽出物を複数種含む商品として、例えば、「スーパーピュリエールA−10」(松下電工化研(株)製)、「スメラル」(環境科学開発(株)製)、「パンシル」(リリース科学工業(株)製)などがあり、これらも好適に使用することができる。
植物抽出物の配合量としては、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。配合量が0.1質量%未満であると、消臭効果が充分に発揮されず好ましくない。
【0006】
本発明に使用される(b)成分の有機酸及び/又はその塩としては、特に制限されないが、ペット等に対する安全性を考慮して、食品添加物であるクエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、フマル酸、乳酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸等やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が好ましい。
有機酸及び/又はその塩の配合量としては、消臭力を充分に発揮する上で1.0〜5.0質量%が好ましく、2.0〜5.0質量%が特に好ましい。配合量が1.0質量%未満では十分な消臭効果が期待できない場合があり、5.0質量%を越えると低温での安定性が悪化する恐れがある。
【0007】
本発明に使用される(c)成分の弱アルカリ剤としては、特に制限されないが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン系化合物が好ましく、中でもトリエタノールアミンが好適である。弱アルカリ剤は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強アルカリ剤を配合した場合に比べて弱酸性領域でのpH緩衝作用が強く、特にアルカリ性臭に対して高い消臭性能を実現させる。
弱アルカリ剤の配合量としては、目的のpH及び緩衝能を満たす範囲の量で適宜配合される。
【0008】
本発明の消臭剤組成物は、(b)有機酸及び/又はその塩、(c)弱アルカリ剤によって弱酸性に、具体的にはpHの範囲が4.0〜5.5に調整され、かつ該消臭剤組成物100gに1mol/Lのアンモニア水溶液をpHが7.0になるまで添加したときの添加量が8.0g以上になるように緩衝能が調整される。pHが4.0未満となると、溶液の安定性に問題が生じやすく、さらにペットに誤って噴霧されたときは皮膚刺激を生じる場合がある。また、pHが5.5を越えると、十分な消臭性能を発揮できなくなる。また、上記のように緩衝能を調整することで、ペットの糞尿等から生じる様々な悪臭が消臭剤溶液中に溶け込んだ際のpHの変化を抑制し、悪臭の溶解度の低下を緩和することで、消臭基材である植物抽出物の効果を高めることができる。一般に、悪臭は酸性臭とアルカリ性臭に分けられ、これら悪臭が消臭剤溶液中に溶解することで消臭基材と反応して消臭される。その際、溶液の緩衝能が高いほど悪臭が溶解する量が多くなり、高い消臭効果を発揮できることになる。
【0009】
さらに、本発明の消臭剤組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて任意成分を配合することができる。任意成分としては、水、界面活性剤、ハイドロトロープ剤、殺菌剤、防腐剤、防カビ剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
さらにまた、香料や精油も任意成分として配合することができ、1−メントール、メントン、シンナミックアルデヒド、1,8−シネオール、α−ピネン、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、リモネン、カンファー、ラバンジュロールなどの香気成分や、シトロネラ油、シダーウッド油、スイートオレンジ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ローズ油、シナモン油、ペパーミント油、レモン油、ライム油、ひのき油、又はこれらの混合物などが好適であるが、これらに限定されるものではない。
なお、これら任意成分は通常の消臭剤に使用されるものならばどのようなものでもよく、特に限定されるものではない。
【0010】
消臭剤組成物の使用形態は、特に制限されず、例えば、スプレー、液剤、担体への含浸、粉末、錠剤、顆粒剤などに成形し、各種剤型を用途に応じて多岐にわたって選択することができ、その製造方法も各用途及び剤型に応じて常用される成分を用いて製造することができる。これらの中でも、スプレータイプは、悪臭の発生する場所や物、ペットなどに簡便かつ均一に作用させることができる点で好適である。
【0011】
本発明の消臭剤組成物は、主にペットやその飼育環境において好適に使用されるが、必ずしもそれに限定されることはなく、トイレ、リビングルーム、寝室、台所、玄関、サニタリー用品、排泄物、タバコ、ペット、オムツ、衣類、エアコン、生ゴミ、冷蔵庫、靴、下駄箱、ゴミ箱など、あらゆる悪臭に対して優れた消臭効果を発揮する。
【0012】
【実施例】
本発明の消臭剤組成物について、実施例を用いて説明する。
本発明の消臭効果を確認するため、アンモニア、エチルメルカプタン、イソ吉草酸の消臭試験、及び家庭で飼っている犬が使用している敷き物(カーペット)を用いた消臭試験を行った。これらの試験方法の詳細は次の通りである。
(1)pH7.0にするのに必要なアンモニア量の測定方法
200mLのビーカーに試料100gを入れ、1mol/Lアンモニア水溶液を徐々に滴下していき、pHが7.0になるまでに要したアンモニア水溶液量(g)を測定する。
(2)アンモニアの消臭試験方法
1Lのガラス瓶容器に試料10mLを入れ、1質量%のアンモニア水溶液を1mL注入し、10分間放置後に熟練パネラー10名による官能評価を行って平均をとった。なお、評価基準は悪臭防止法の6段階臭気強度表示法に準じた。
【0013】
(3)エチルメルカプタンの消臭試験方法
1Lのガラス瓶容器に試料10mLを入れ、0.1質量%のエチルメルカプタンエタノール溶液を1mL注入し、1時間放置後に熟練パネラー10名による官能評価を行って平均をとった。なお、評価基準は悪臭防止法の6段階臭気強度表示法に準じた。
(4)イソ吉草酸の消臭試験方法
1Lのガラス瓶容器に試料10mLを入れ,1質量%のイソ吉草酸水溶液を100μL注入し、1時間放置後に熟練パネラー10名による官能評価を行って平均をとった。なお、評価基準は悪臭防止法の6段階臭気強度表示法に準じた。
〔6段階臭気強度表示法による評価基準〕
0;無臭
1;やっと感知できる臭い
2;何のにおいであるかわかる弱い臭い
3;楽に感知できる臭い
4;強い臭い
5;強烈な臭い
【0014】
(5)室内犬が使用した敷き物における消臭試験
家庭で飼っている犬が使用している敷き物(カーペット10×10cm)に、試料を3回噴霧(約2.5g)し、拭き取った後の敷き物に残った臭いについて官能評価を行った。
〔官能評価基準〕
◎;完全に臭いが消えた
○;かなり臭いが消えた
△;わずかに臭いが消えた
×;消臭されていない
(6)溶液の安定性試験
配合した溶液の外観について評価した。
○;異物がなく、透明である。
×;異物があり、不均一、不透明である。
【0015】
【表1】
Claims (3)
- (a)消臭基材としての植物抽出物、(b)クエン酸及び/又はその塩1.0〜5.0質量%、(c)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される1種以上の弱アルカリ剤0.6〜4.0質量%を含有するpH4.0〜5.5の消臭剤組成物であって、該組成物100gに対して1mol/Lアンモニア水溶液をpHが7.0になるまで添加したときの添加量が8.0g以上になるように緩衝能が調整されたことを特徴とする消臭剤組成物。
- 弱アルカリ剤がトリエタノールアミンである請求項1に記載の消臭剤組成物。
- 植物抽出物に甘蔗抽出物が含まれる請求項1〜2に記載の消臭剤組成物。
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