JP2009148326A - 尿臭生成抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】生活環境中においてアンモニアよりも尿臭への寄与の高い悪臭成分を突き止め、この発生に関わる酵素を阻害することによって、尿に由来する悪臭の生成を持続的に抑制できる剤の提供。
【解決手段】アリールサルファターゼ阻害剤を有効成分とする尿臭生成抑制剤、並びにこれを含有する環境衛生製品及びサニタリー製品、並びにゴバイシ又はその抽出物からなるアリールサルファターゼ阻害剤、並びにアリールサルファターゼ阻害剤を用いる尿臭生成抑制方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、尿臭生成抑制剤、尿臭生成抑制に適したアリールサルファターゼ阻害剤、及びこれらを含有する環境衛生製品及びサニタリー製品に関する。また、本発明はアリールサルファターゼ阻害剤を用いた尿臭生成抑制方法に関する。
近年、消費者の衛生志向の高まりから、見た目の汚ればかりでなく汚れの存在を想起させる臭気についても、その除去が強く望まれている。特に尿及び便に関しては存在を生活環境から切り離すことはできず、更に、その臭気は排泄物そのものを強く想起させることから人々に与える不快感は生活環境悪臭の中でもとりわけ大きい。トイレにおいては、便は水洗により容易に屋外に排出することができるが、尿に関しては少量が飛沫として便器の外に残り、その存在が目視で確認しづらいことから長期に渡ってその場に残り、悪臭の発生源となりやすい。また、下着やオムツ、軽失禁用品などのサニタリー製品も、尿が付着した状態で生活環境中に一定期間存在する場面があり、尿を由来とした悪臭の発生源となりうる。
このような尿由来悪臭に対して、例えば特許文献1ではポリフェノール類を消臭成分として含有する消臭剤組成物が提案されている。また特許文献2では香料化合物を用いた感覚的消臭技術が報告されている。
これらの技術はいずれも、既に発生した後の尿臭の強度を低減させるものであるが、通常、尿自体は排尿直後はほとんど不快臭を有してはおらず、微生物の作用によって不快臭を発するようになるものである。このため、微生物による尿臭生成を抑制することこそが、より根本的な尿臭の低減に繋がる。このような尿不快臭としては、菌体ウレアーゼの作用によって尿中尿素より生じるアンモニアが挙げられ、ウレアーゼ活性阻害剤を用いて尿臭(アンモニア臭)の発生を抑制することが提案されてきた(例えば特許文献3〜6参照)。
しかしながら、アンモニアは悪臭成分としては閾値が高い(高濃度でないと臭いを感じない)ため、水洗式の普及により排泄物が即時的に屋外へ排出されるようになった現在においては、家庭内においてアンモニア臭が強く感じられる場面は非常に稀である。このことから現在の生活環境において消費者が感じている尿臭とは、アンモニアとは別の、より閾値の低い悪臭成分であると考えられる。
特開2007-252543号公報 特開2005-296169号公報 特開2006-255290号公報 特開2004-91338号公報 特開平5-137774号公報 特開2006-192127号公報
本発明は、生活環境中においてアンモニアよりも尿臭への寄与の高い悪臭成分を突き止め、この発生に関わる酵素を阻害することによって、尿に由来する悪臭の生成を持続的に抑制できる剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、尿より発生する種々のフェノール系化合物が、尿臭への寄与の高い悪臭成分であることを見出した。更に、尿に菌体由来のアリールサルファターゼを作用させたところ、種々のフェノール系化合物が顕著に増加し、尿臭強度が飛躍的に増加したことから、アリールサルファターゼ阻害剤によって尿臭生成を抑制することを発想した。
そして本発明者らは、菌体のアリールサルファターゼに対して阻害効果を有する剤について種々に検討を重ね、特に、ゴバイシ抽出物に優れた阻害効果を見出した。更に本発明者らは、この阻害効果によって実際に不快な尿臭の発生を持続的かつ効果的に抑制することができ、尿が関連する製品に使用することにより、これら製品に対して尿臭生成抑制効果を付与できることを見出した。
すなわち本発明は、アリールサルファターゼ阻害剤を有効成分とする尿臭生成抑制剤、並びに当該尿臭生成抑制剤を含有する環境衛生製品及びサニタリー製品を提供するものである。
また本発明は、ゴバイシ又はその抽出物からなるアリールサルファターゼ阻害剤を提供するものである。
更に本発明は、アリールサルファターゼ阻害剤を用いる尿臭生成抑制方法を提供するものである。
本発明の尿臭生成抑制剤及びアリールサルファターゼ阻害剤は、尿臭を特徴付ける悪臭成分の発生を持続的に抑制できることから、優れた防臭効果を有する洗浄剤、消臭剤等の環境衛生製品、及びオムツ、軽失禁用品、生理用品等のサニタリー製品において有用である。
また、本発明におけるアリールサルファターゼ阻害剤は、上記の尿臭生成抑制剤の有効成分として特に有用であるが、これに限定されず、アリールサルファターゼの作用によって生じる他の様々な課題を解決する手段、例えば、揮発性ステロイドに由来する体臭の生成抑制剤、膀胱癌又は大腸癌の発生を低減させる薬剤又は食品としても用いることができる。
〔尿、尿臭〕
本発明において、尿とは、ヒト由来の尿に限定されるものではなく、ペット(犬、猫)や家畜等の哺乳動物由来の尿であってもよい。また本発明が生成抑制の対象とする尿臭とは、尿単独から発生する悪臭に限定されるものではなく、例えばオムツ内などにおいて尿と便が混合された状態から発生する悪臭など、尿に由来した悪臭の全てを含むものである。
〔アリールサルファターゼ阻害剤〕
アリールサルファターゼとは、フェノール類の硫酸モノエステル(硫酸抱合体)を加水分解する酵素をいい、微生物及び動物にその存在が知られている。体外に排出された尿の分解には微生物の関与が大きいため、本発明においては、細菌及び黴由来のアリールサルファターゼが重要である。具体的には、Aerobacter aerogenes、Pseudomonas aeruginosa、Citrobacter braakii、Proteus vulgaris、Aspergillus oryzae等由来のアリールサルファターゼが挙げられる。これらが尿に作用すると尿中の硫酸抱合体が分解され、種々のフェノール系化合物が遊離し、尿臭強度を飛躍的に増加させる。
上述のような菌体由来のアリールサルファターゼは、遊離シアン及びヒドラジンによって阻害されることが一般的に知られている。また、他の文献公知の菌体由来アリールサルファターゼ阻害剤としては、亜鉛イオン及びその塩、硫酸イオン及びその塩、アルキル硫酸塩などの界面活性剤が知られている。
また、本発明者らは種々に検討を重ねた結果、ゴバイシ抽出物に菌体由来のアリールサルファターゼに対する優れた阻害効果を見出した。従って、本発明においては、アリールサルファターゼ阻害剤として、前述の公知のアリールサルファターゼ阻害剤のほか、ゴバイシ又はその抽出物を用いることもできる。以下、本発明で用いるゴバイシ及びその抽出物について説明する。
ゴバイシとは、ウルシ科(Anacardiaceae)のヌルデRhus javanica L.の葉にヌルデノシロアブラムシが寄生してできた虫えい(虫コブ)を意味する。ゴバイシ抽出物は、ゴバイシ又はその粉砕物を、常温又は加温下にて溶媒抽出することにより得ることができる。抽出に際しては、ソックスレー抽出器等の抽出器具を用いることもできる。
抽出に用いる溶剤としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ピリジン類などが挙げられ、これらを単独で又は混合物として用いることができる。また、二酸化炭素等の超臨界流体を用いることもできる。
得られた各種溶剤抽出液は、そのまま使用することもでき、その希釈液若しくは濃縮液として、又は濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末状若しくはペースト状として用いることもできる。また、液々分配等の技術により、上記抽出物から不活性な夾雑物を除去して用いることもでき、本発明においてはこのようなものを用いることが好ましい。これらは必要により公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。
〔尿臭生成抑制剤,環境衛生製品,サニタリー製品〕
本発明において、以上のアリールサルファターゼ阻害剤は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて尿臭生成抑制剤として使用することができる。また、本発明の尿臭生成抑制剤及びアリールサルファターゼ阻害剤は、家庭用及び施設用などの環境衛生製品又はサニタリー製品中に有効量含有させることにより、尿に由来した悪臭に対して高い消臭・防臭効果を有する製品とすることができる。
本発明の尿臭生成抑制剤及びアリールサルファターゼ阻害剤によって制御可能な悪臭成分としてはフェノール、p-クレゾール、4-ビニル-2-メトキシ-フェノール、4-ビニルフェノール、2-メトキシ-1,3-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール等のフェノール系化合物が挙げられるが、これに限定されず、尿にアリールサルファターゼが作用することによって生じる揮発性成分であればよい。
(環境衛生製品)
環境衛生製品の例としては、洗浄剤、消臭剤、繊維用洗剤、拭き取りシート等が挙げられる。また、いくつかの使用方法を併用することも可能である。本発明の環境衛生製品は、トイレ床面、壁面、便器、汚物入れ、介護施設内、衣類、下着、寝具などの尿由来悪臭の発生しやすい箇所に適用することにより、尿臭の発生を制御することができる。
消臭剤として使用する場合、アリールサルファターゼ阻害剤の含有量は一般的に0.001〜10重量%とするのが好ましく、更には0.01〜5重量%とするのが好ましい。
本発明の環境衛生製品は、これに通常に用いられる各種成分、例えば油分、界面活性剤、アルコール類、キレート剤、pH調製剤、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料、植物エキス等のほか、消臭基剤、保湿剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸化防止剤、溶剤、金属塩及び金属イオン類等の成分を任意に組み合わせて配合して製剤化することができる。
(サニタリー製品)
サニタリー製品の例としては、軽失禁用品、使い捨て紙オムツ、生理用品等が挙げられる。本発明のサニタリー製品は、付着した尿より経時的に生じる尿由来悪臭の発生を制御することができる。
紙オムツに使用する場合、アリールサルファターゼ阻害剤は表面台紙又は吸収層上部に含浸させて用いることが好ましく、より好ましくは吸収層上部に含浸させて用いることが好ましい。また含浸量は、適用面に対して0.05〜50g/m2とするのが好ましく、更には0.5〜20g/m2とするのが好ましい。
本発明のサニタリー製品は、これに通常に用いられる各種成分、例えば油分、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、pH調製剤、平滑剤、抗菌剤、防黴剤、防腐剤、色素類、香料、植物エキス等のほか消臭基剤、薬効剤、溶剤、金属塩及び金属イオン類等の成分を任意に組み合わせて配合することができる。
(消臭基剤)
本発明の尿臭生成抑制剤を、環境衛生製品又はサニタリー製品に用いる場合、これに一般に知られている消臭基剤を組み合わせて用いることができる。
上記の消臭基剤の例としては、
酸化鉄、硫酸鉄、塩化鉄、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化銀、酸化銅等の金属化合物;
リン酸、クエン酸、コハク酸等の酸と、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)等の塩基との組み合わせからなるpH緩衝効果を有する酸ないしはその塩;
乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸等のカルボン酸類;
ウンデシレン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール亜鉛等の脂肪酸金属類;
カテキン、ポリフェノール、緑茶抽出物、マッシュルームエキス、木酢液、竹酢液等の植物抽出物系の消臭剤;
鉄、銅等の金属のクロロフィリンナトリウム錯体、鉄、銅、コバルト等の金属のフタロシアニン錯体、鉄、銅、コバルト等の金属のテトラスルホン酸フタロシアニン錯体、その他、二酸化チタン、可視光応答型二酸化チタン(窒素ドープ型など)などの触媒型消臭剤;
α-、β-、又はγ-シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の悪臭の保留効果があるとされるアルキレングリコール類;
ミリスチン酸エステル類、パルミチン酸エステル類、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、クエン酸エステル類等の悪臭の保留効果があるとされるエステル油剤;
多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン、キトサン等の天然の多孔質ポリマー;
活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質;
銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト、銀担持多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の金属担持多孔質
等が挙げられる。これらの消臭基剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(有機溶剤)
更に、本発明のアリールサルファターゼ阻害剤を環境衛生製品又はサニタリー製品に用いる場合、水溶性の有機溶剤とともに用いることがより好ましい。
上記の水溶性の有機溶剤の例としては、
エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類;
エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;
エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル類
等が挙げられる。
参考例1 除菌尿及び腐敗尿の臭気官能評価
(1)サンプルの調製
腐敗尿はヒト尿サンプルを採取後、除菌操作を行わずにγ線滅菌済み容器に分注し、室温にて7日間保管したものを用いた。また、採取直後にフィルターを用いて除菌したヒト尿サンプル(除菌尿)についても、同様に7日間室温にて保管した。
(2) 臭気官能評価
除菌尿及び腐敗尿は保管に用いた容器のままビン口での臭気評価に供した。また、臭気官能評価は6名のパネラーが悪臭防止法のマニュアルに基づいて6段階臭気強度表示法によって行った。即ち評価スコアは「0」無臭、「1」やっと感知できるニオイ(検知閾値)、「2」尿臭であることはわかるが弱いニオイ(認知閾値)、「3」楽に尿臭であると感じられるニオイ、「4」強い尿臭、「5」強烈な尿臭を示す。臭気強度の判定は0.5刻みで行い、その平均値を0.5刻みに丸めたものを評価結果とした。図1に除菌尿及び腐敗尿の臭気官能評価の結果を示した。
この結果より、尿中に増殖する菌体が尿臭強度を増加させることが確認された。
参考例2 アリールサルファターゼ添加による尿からの揮発性化合物の生成
(1) 測定サンプルの調製
γ線滅菌済み容器中に、採取後すぐに0.2μmのフィルター(ミリポア社製、マイレックスGV)にて除菌操作を行ったヒト尿サンプル9.9mLを入れ、続いて2.5 units/mLに調整したAerobacter aerogenes 由来アリールサルファターゼType H-1(シグマ社より購入)水溶液0.1mLを添加混合し、25℃恒温槽に静置して22時間反応させた。酵素液の代わりに滅菌イオン交換水0.1mLを添加したものを初期尿サンプルとして同様に22時間恒温槽中に静置した。
反応終了後、反応液9mLに内部標準としてベンジルベンゾエート エタノール溶液を添加し、ジエチルエーテル10mLを用いて2回抽出を行った。抽出液は合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥を行った。乾燥後、固形物をろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して測定サンプルとした。
(2) 揮発性化合物の測定
測定にはガスクロマトグラフ質量分析計を用いた。検出された揮発性化合物の生成量は内部標準に対するピークエリア比として算出した。この結果を表1に示す。
Figure 2009148326
この結果より、アリールサルファターゼの作用によって尿から種々のフェノール系化合物が生成することが確認された。
参考例3 アリールサルファターゼ添加による尿臭の発生
(1) 評価サンプルの調製
γ線滅菌済み容器中に、採取後すぐに0.2μmのフィルターにて除菌操作を行ったヒト尿サンプル900μLを入れ、続いて0.38 units/mLに調製したアリールサルファターゼ水溶液 100μLを添加混合し、37℃恒温槽に静置して6時間反応させた。酵素液の代わりに滅菌イオン交換水100μLを添加したものを初期尿サンプルとし、同様に6時間恒温槽中に静置した。各サンプルについて、それぞれ等量を匂い紙先端に滴下し、これを評価サンプルとした。
(2) 臭気官能評価
臭気官能評価は6名のパネラーが参考例1の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価結果を図2に示した。
この結果より、アリールサルファターゼの作用によって生じる揮発性成分は尿臭強度を顕著に増加させることが確認された。
実施例1 植物抽出物によるアリールサルファターゼの活性阻害
(1) 植物抽出物
植物抽出物は表2に示す市販品を用いた。
Figure 2009148326
(2) サンプルの調製
γ線滅菌済み容器中にて2mM p-ニトロフェニルサルフェイト(PNPS)水溶液100μL、0.5Mリン酸バッファー(pH7.1)40μL、イオン交換水38μL、植物抽出物2μLを混合し、続いて0.38units/mLに調整したアリールサルファターゼ水溶液20μLを加えて37℃恒温槽中で1時間酵素反応を行った。また、各植物抽出物に換えてイオン交換水を加えたものをコントロールとし、各サンプル及びコントロールごとに酵素液に換えてイオン交換水を加えたものをブランクとして、それぞれ同様に1時間反応を行った。
上記反応液に2重量%トリクロロ酢酸水溶液を添加して反応を停止させ、これを1Mグリシン-水酸化ナトリウムバッファー(pH10.4)を用いて希釈し、波長400nmにおける吸光度を測定した。得られた測定値より、次式に従ってアリールサルファターゼの相対活性阻害率を求め、表3に示した。
Figure 2009148326
Figure 2009148326
この結果より、ゴバイシ抽出物は他の植物抽出物に比べて優れたアリールサルファターゼ阻害活性を有することがわかる。
実施例4 ゴバイシ抽出物による尿臭の生成抑制
(1) サンプルの調製
γ線滅菌済み容器中に、採取後すぐに0.2μmのフィルターにて除菌操作を行ったヒト尿サンプル900μL、ゴバイシ抽出物10μLを加え、続いて0.38unit/mLに調整したアリールサルファターゼ水溶液100μLを添加混合し、37℃恒温槽に静置して6時間反応させた。また、除菌尿サンプル900μLにイオン交換水10μL及び酵素液 100μLを加えて混合したものをコントロール、除菌尿サンプル900μLにイオン交換水110μLを加え混合したものをブランクとして、それぞれ同様に6時間反応させた。
(2) 官能評価による尿臭抑制の確認
臭気官能評価は6名のパネラーが参考例1の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価結果を図3に示した。
この結果より、ゴバイシ抽出物は非常に優れた尿臭生成抑制効果を有していることがわかる。
参考例4 ゴバイシ抽出物による尿臭の消臭効果
(1) サンプルの調製
実施例4の(1)に示した手法に基づいて、除菌尿900μLにアリールサルファターゼ水溶液100μLを添加し、37℃恒温槽中にて6時間反応させることによって尿臭を十分に発生させたサンプルを二つ調製した。その後、一方にはゴバイシ抽出物10μLを添加し、もう一方には対照として、イオン交換水10μLを添加した。また、除菌尿900μLにイオン交換水110μLを添加して同様の操作を行ったものを初期尿サンプルとした。各サンプルについて、室温下で1時間静置した後、それぞれ等量を匂い紙先端に滴下し、これを評価サンプルとした。
(2) 官能評価によるゴバイシ抽出物の消臭効果の確認
臭気官能評価は6名のパネラーが参考例1の(2)に示した6段階臭気強度表示法に基づいて行った。評価結果を図4に示した。
この結果より、本発明のゴバイシ抽出物は既に発生した尿臭に対してはほとんど消臭効果を示さないことがわかる。
実施例5 スプレー型消臭剤組成物
下に示す組成の本発明に係るアリールサルファターゼ阻害剤を配合した消臭剤組成物を調製し、トリガースプレー容器に入れ、スプレー型消臭剤組成物とした。
(重量%)
ゴバイシ抽出物 1
メチル-β-シクロデキストリン 0.5
エタノール 5
水 残量
実施例6 使い捨ておむつ
下に示す組成の本発明に係るアリールサルファターゼ阻害剤を配合した尿臭生成抑制剤組成物を調製した。これを使い捨ておむつ用表面台紙にスプレーし、乾燥後、その台紙を用いて使い捨ておむつを作製した。台紙にスプレーした尿臭生成抑制剤の量は20g/m2台紙である。
(重量%)
ゴバイシ抽出物 10
ジプロピレングリコール 5
エタノール 残量
除菌尿及び腐敗尿(未除菌尿)の臭気官能評価の結果を示す図である(参考例1)。 アリールサルファターゼの作用による尿臭の発生を示す図である(参考例3)。 ゴバイシ抽出物による尿臭の生成抑制効果を示す図である(実施例4)。 発生した尿臭に対するゴバイシ抽出物の消臭効果確認試験の結果を示す図である(参考例4)。

Claims (6)

  1. アリールサルファターゼ阻害剤を有効成分とする尿臭生成抑制剤。
  2. アリールサルファターゼ阻害剤としてゴバイシ又はその抽出物を用いる請求項1記載の尿臭生成抑制剤。
  3. 請求項1又は2記載の尿臭生成抑制剤を有効量含有する環境衛生製品。
  4. 請求項1又は2記載の尿臭生成抑制剤を有効量含有するサニタリー製品。
  5. ゴバイシ又はその抽出物からなるアリールサルファターゼ阻害剤。
  6. アリールサルファターゼ阻害剤を用いる尿臭生成抑制方法。
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