JP2019115646A - 消臭剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分に高い消臭力を有した消臭剤、特に魚臭及び糞尿臭に対して高い消臭力を有した消臭剤を提供すること。【解決手段】0.05〜5質量%の柿タンニンと有機酸及び/又は有機酸塩を含み、pH4.0〜5.5である水溶液状の消臭剤。本発明により、特には魚臭及び糞尿臭に対する消臭効果が高い消臭剤を提供することが可能となった。【選択図】なし

Description

本発明は柿タンニンを含む水溶液状の消臭剤に関する。詳しくは消臭効果が高く、特に魚臭や糞尿臭に対して消臭効果が高い水溶液状の消臭剤に関する。
柿タンニンは柿渋に含まれる成分で、柿渋とは渋柿の果汁を発酵させて作る液体である。柿渋には、防腐・防虫・防水効果があり、日本では平安時代から様々な用途で利用されてきた。代表的な利用法としては、木材建築の下地や塗料、和傘や魚網の塗料、衣服の染料などがある(非特許文献1)。最近では天然素材として再び脚光を浴びており、新たな用途開発が進んでいる。例えばシックハウス症候群を引き起こさない自然派の壁塗料や、さび止め、携帯電話からの金の回収にも使われている。更にノロウイルスなど様々なウイルスの不活化にも効果があることが報告されており、注目されている(非特許文献1)。このように様々な効果がある柿渋の成分が、本発明の構成要件である柿タンニンである。
柿タンニンはタンニンの一種で、タンニンは茶、ワインなどにも含まれ、その性質から水溶性のタンニン(ピロガロールタンニン)と縮合型のタンニン(カテコールタンニン)に分けられる。柿タンニンは縮合型タンニン(カテコールタンニン)の一種であるが、他の植物のタンニンと比較して非常に多くのフェノール性水酸基を持ち、極めて強い水素結合能を保持しており、更に分子量が大きく、諸説はあるものの、その平均分子量は13800と推定されている(非特許文献2)。この様に柿タンニンは他の植物のタンニンと一線を画した構造と性質を持っている。尚、柿に含まれる縮合型タンニン含有量の測定法は、バニリン塩酸塩法が知られている(非特許文献3)。
一方、魚臭は代表的な悪臭として挙げられ、主に生臭い魚臭の要因となるものは、トリメチルアミンである(非特許文献4)。トリメチルアミンは、魚の中に大量に含まれるトリメチルアミンオキサイドが、細菌により分解して発生する(非特許文献5)。魚が死んだ後、死後硬直が解けてくると、段々と細菌の活動が活発になり、細菌の持つ酵素によってトリメチルアミンが大量に生成されてくる。尚、トリメチルアミン尿症(魚臭症)は、摂取した食物を体内で消化分解した際に発生したトリメチルアミンが分解されず、汗や尿、呼気の中に排出されてしまう疾患であり、トリメチルアミンは腐敗した魚の臭いがするため、魚臭症、魚臭症候群とも呼ばれる(非特許文献6)。この疾患には大きな社会的問題があり、それは、外部への不快臭による被害である。患者には強い体臭以外は健康面での問題が発生しないため、今までは軽視されてきた。しかし近年、体臭が原因で患者が仕事を続けられなくなり、日常生活に支障をきたすことが大きな問題となってきている。この様な観点からも魚臭に対して高い消臭力を有した消臭剤の開発が望まれていた。
他方、一般的に大便の臭いは食物の残滓が腐敗して発すると思われがちだが、一緒になって放出される細菌類の排泄物によって臭いが放たれる。臭いの原因成分としてはインドール、スカトール及び硫化水素等が挙げられる。
また尿臭、所謂、小便は排泄直後には強い臭いは発生せず、バクテリアの作用により尿中の成分が分解されることによって生じる。バクテリアの持つ酵素、即ちウレアーゼの作用により、尿中に含まれる尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解される。アンモニアが生成するとpHが上昇して尿中のカルシウムイオンなどが炭酸塩、リン酸塩として析出し、尿石を形成する。そこで形成された尿石は多孔質であるため、様々なバクテリアが溜まり、そして増殖してアンモニアやトリメチルアミン等の成分からなる強烈な不快臭を放出することになる。
上述の糞尿臭の一般的な消臭方法として、消臭効果が期待される薬剤組成物を排便後に適用する方法が汎用されている。その薬剤の形態としては、スプレー等の溶液や固形状若しくは半固形状の消臭剤が市販されている。溶液状の消臭剤は界面活性剤や塩素系化合物を使用したものが多いが、充分な消臭性能は得られていないのが現状である。
一方、前述の柿タンニンの消臭効果は、様々な臭いに対して有効で、例えば、口臭に対する消臭効果も確認されている(特許文献3、非特許文献7)。更には柿タンニンを使った体臭の消臭技術(特許文献4)やトイレ臭の消臭技術(特許文献5)も知られている。しかし、高い消臭力、特に魚臭や糞便臭に対して充分な消臭力を持った柿タンニンの水溶液状の消臭剤に関する技術は知られていなかった。
現在、柿タンニンを含有した消臭剤は多数市販されており、魚臭や糞尿臭に対してもある程度の効果を示すことも既知である。しかしながら、これらの柿タンニンを含有した水溶液状の消臭剤は、単に柿タンニンの水溶液として提供された商品や、そこにミネラル成分を加えた商品(非特許文献8)である。そしてこれらの市販品は使用環境(例えば使用時の温度環境)によって効果にバラツキがあり、実際に消臭効果を充分に発揮できるものではなかった。
ポリフェノール誘導体に有機酸を加えて酸性側のpHとした消臭剤として、ポリフェノール誘導体(タンニン、ピロガロールタンニン及びカテコールタンニン)と有機酸及びその塩によりpHを3〜6とする技術が知られている(特許文献6)。しかし、当該発明の実施例にて具体的に効果が示されているポリフェノール誘導体の基原はチャ、紅茶、アマチャ、オウゴン、シソ及びオランダハッカのみであり、前述の如く、これらポリフェノール誘導体と比較して特異な構造を持つ柿タンニンについて同列に論じられるものでない。さらに、消臭の対象としているのはタバコの付着臭のみである。タバコ付着臭はアルデヒド、オレフィン、複素環化合物、芳香族化合物が多いことが知られている(非特許文献9)が、トリメチルアミンに代表される魚臭やインドール、アンモニアに代表される糞尿臭の消臭に消臭効果が発揮できるか不明であり、ましてや充分な消臭効果が得られるかは全く不明である。
特開昭61−87562号公報 特開2005−118230号公報 特開2006−298827号公報 特開2001−302483号公報 特開2015−047296号公報 特開2002−336338号公報
島本整、日本文化に根付いた柿渋の化学、化学と教育、Vol.64、No.7、P348−349(2016) 松尾友明ら、カキタンニンをめぐって、科学と生物、Vol.15、No.11、P732−736(1977) 横山慎一郎ら、水不溶性の柿(カキ)成分乾燥粉末中の縮合型タンニン含有量測定法,食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル(産技連/食品機能成分分析研究会 編)マニュアル参考様式Ver.1(2012年) 王璋ら、加熱で増える魚臭とトリメチルアミンの米発酵液による抑制、日本醸造協会誌、Vol.90(1995)No.7、P553−559(1995) 木村メイコら、0℃以下の温度におけるトリメチルアミン−N−オキシドの酵素的および非酵素的分解、日本水産学会誌、68(1)、P85−91(2002) 山崎浩史ら、アジアにおける魚臭症候群患者のトリメチルアミン代謝の変動要因、第18回日本薬物動態学会年会要旨集、セッションID:952B−2(2003)
Figure 2019115646
株式会社リアルメイト社 プレスリリース(2015年6月15日)URL:https://www.atpress.ne.jp/news/61885 森北浩通ら、タバコ付着臭の簡易的な臭気強度測定法、におい・かおり環境学会誌、38巻4号)P280−286(2007年)
上述の如く従来の柿タンニンを含有した液状の消臭剤は、充分な消臭効果、特に魚臭や糞尿臭に対して充分な消臭効果を発揮することが出来なかった。また、今以て治療方法が確立していないトリメチルアミン尿症(魚臭症)患者の方々のことを鑑みると、その精神的負担を軽減すべき製品の上市が待ち望まれている。即ち本発明の課題は、温度環境の変動に関わらず恒常的に充分に高い消臭力を有した消臭剤、特に魚臭や糞尿に対して高い消臭力と有した消臭剤を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、柿タンニンを含む水溶液に有機酸及び/又はその塩を添加してpHを4.0〜5.5の領域に調整することで、柿タンニンの消臭効果、特に魚臭や糞尿臭に対する消臭効果が画期的に増大することを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は以下のとおりである。
[1]a)0.05〜5質量%の柿タンニン及び、b)有機酸又は有機酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含有するpH4.0〜5.5である水溶液状の消臭剤。
[2]b)有機酸又は有機酸塩がクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸塩、リンゴ酸塩又は酒石酸塩からなる群から選ばれる上記[1]記載の消臭剤。
[3]上記[1]又は[2]記載の組成物を噴霧容器に充填してなるスプレー式消臭剤。
[4]消臭の対象とする臭いが魚臭である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の消臭剤。
[5]魚臭の原因物質がトリメチルアミンである上記[4]記載の消臭剤。
[6]消臭の対象とする臭いが糞尿臭である上記[1]〜[3]のいずれか1に記載の消臭剤。
[7]臭いの原因物質がアンモニアである上記[4]又は[6]記載の消臭剤。
本発明によれば、温度の変動に関わらず恒常的に消臭効果の高い、特に魚臭及び糞尿臭に対して消臭効果の高い水溶液状の消臭剤を提供できる。
本発明の形態は水をベースとした液状の溶液であり、例えばトリガーボトル等の噴霧容器に充填して使用される。
本発明で使用する柿タンニンは、柿の搾汁液から抽出してもよいが、不純物の存在等を考慮すると、加工原料を使用することが好ましい。例えば、パンシルシリーズ(リリース科学工業株式会社)を使用することができる。柿タンニンの最終濃度は、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。柿タンニンの最終濃度が、0.05質量%より低いと充分な消臭力を示すことができず、5質量%より高いと粘度が上がり、液状の消臭剤としての機能を損なうことになる。尚、柿タンニンの定量は、縮合型タンニンの定量法であるバニリン塩酸塩法(非特許文献3)で行うことがきる。
有機酸は、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸が挙げられる。有機酸塩はこれら有機酸のナトリウム等のアルカリ金属塩や、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。これら有機酸や有機塩の濃度及び組成比は、pH4.0〜5.5の領域でpH緩衝能を有する濃度や組成比であれば、特に制限はない。
消臭剤のpHは4.0〜5.5が好ましく、4.5〜5.0がより好ましい。pHが5.5より高いと魚臭や糞尿臭に対する充分な消臭効果が得られず、pHが4.0より低いと万一、人体の粘膜部位へ当該消臭剤が付着した場合の安全性や衣服へ使用した場合の変色等の懸念がある上、充分な消臭効果も得られない。
本発明の消臭剤には、浸透圧の調整(等張化剤)として無機塩、例えば塩化ナトリウムを加えてもよい。その際の無機塩の濃度は、浸透圧調整の目的を達する量であればよい。また、保存効力を付与するため1〜30質量%の1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール及び/又はエタノール等のアルコール類を加えてもよい。また、他の消臭素材として茶タンニン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン類及び/又は両性界面活性剤等と組み合わせて使用することも可能である。
魚臭は直接的な魚の腐敗臭だけでなく、魚臭に擬せられる臭いも含まれる。例えば、トリメチルアミン症(魚臭症)による口臭や体臭が含まれる。体臭に使用するのであれば、汗腺の多い腋窩に対して、本発明の消臭剤の効果が特に期待される。糞尿臭を消臭する場合は、トイレの便器、使用済みのオムツ等に適用され、更には犬や猫等のペットが排出した糞尿にも高い消臭効果がある。
本発明の水溶液状の消臭剤は、水に柿タンニン、有機酸、有機酸塩を添加して調製してもよいし、あらかじめ調製した有機酸や有機酸塩を含むpH緩衝液に柿タンニンを添加してもよい。いずれにしても、最終的にpHが所定の範囲になるようにして、消臭剤を製造する。
製造した液状の消臭剤は、例えばトリガーボトルに充填して、臭いの発生源へ霧状にスプレーして使用したり、布やスポンジなどに染み込ませて、臭いの発生源を拭くなどして使用してもよい。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各実施例及び比較例には消臭・除菌剤の調製方法を記載し、各検体の評価方法、即ち消臭力試験及び官能評価試験については、後で記載する。また、各消臭剤における各成分の組成及びpHを表1にまとめた。
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)5g(柿タンニンとして0.25gに相当)、クエン酸一水和物0.26g及び塩化ナトリウム0.9gを精製水適量に溶かした。そこに1,2−ペンタンジオール2g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは4.7であった。
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)5g(柿タンニンとして0.25gに相当)及びクエン酸一水和物0.26gを精製水適量に溶かした。そこに1,3−ブチレングリコール2g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは4.9であった。
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)1g(柿タンニンとして0.05gに相当)、クエン酸一水和物0.16g、クエン酸三ナトリウム二水和物0.14g及び塩化ナトリウム1.8gを精製水適量に溶かした。そこに1,3−ブチレングリコール2g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは5.4であった。
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)10g(柿タンニンとして0.5gに相当)、クエン酸一水和物0.13g及びDL−リンゴ酸0.13gを精製水適量に溶かした。そこに1,2−ペンタンジオール2g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは4.8であった。
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)80g(柿タンニンとして4gに相当)、酒石酸0.5g及び酒石酸カリウムナトリウム四水和物0.1gを精製水適量に溶かした。そこに1,2−ペンタンジオール2g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは4.5であった。
[比較例1]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)5g(柿タンニンとして0.25gに相当)をとり、以下クエン酸一水和物を添加しないこと以外は実施例1と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは5.9であった。
[比較例2]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)5g(柿タンニンとして0.25gに相当)をとり、以下クエン酸一水和物を添加しないこと以外は実施例2と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは6.3であった。
[比較例3]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)1g(柿タンニンとして0.05gに相当)をとり、以下クエン酸一水和物及びクエン酸三ナトリウム二水和物0.14gを添加しないこと以外は実施例3と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは6.7であった。
[比較例4]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)10g(柿タンニンとして0.5gに相当)をとり、以下クエン酸一水和物及びDL−リンゴ酸を添加しないこと以外は実施例4と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは6.6であった。
[比較例5]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)80g(柿タンニンとして4gに相当)をとり、以下酒石酸及び酒石酸カリウムナトリウム四水和物を添加しないこと以外は実施例5と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは6.5であった。
[比較例6]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)5g(柿タンニンとして0.25gに相当)、クエン酸一水和物0.8g及び塩化ナトリウム0.9gを精製水適量に溶かした。そこに1,2−ペンタンジオール2g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは3.8であった。
[比較例7]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)5g(柿タンニンとして0.25gに相当)、クエン酸一水和物1.1g及び塩化ナトリウム0.9gを精製水適量に溶かした。そこに1,2−ペンタンジオール2.0g及び精製水適量を加えて全量を100gとした後、高密度ポリエチレン製トリガーボトルに充填して消臭剤とした。この内容液のpHは3.6であった。
[比較例8]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)を加えないこと以外は実施例3と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは5.0であった。
[比較例9]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)の代わりにフラボノイド−B(第一化成産業株式会社)(茶抽出物(固形分10%))1.25gをとり、以下実施例1と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは4.5であった。
[比較例10]
パンシルCOS−17(リリース科学工業株式会社)の代わりにCAVASOL W7HP(株式会社シクロケム)(ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(トウモロコシ由来))2gをとり、以下実施例1と同様に操作し、消臭剤とした。この内容液のpHは4.5であった。
[比較例11]
消臭剤の他社市販品A(ロット番号634424B00405、2017年3月に埼玉県蓮田市内のコンビニエンスストアーにて購入、表示成分:トウモロコシ由来消臭成分、除菌成分(有機系))
[比較例12]
消臭・抗菌剤の他社市販品B(ロット番号WO243376、2017年3月に埼玉県蓮田市内のコンビニエンスストアーにて購入、表示成分:両性界面活性剤、緑茶エキス、除菌剤、香料、エタノール)
表1は実施例1〜5及び比較例1〜12の組成を示した表である。
Figure 2019115646
[試験例1]消臭力試験(トリメチルアミン)
実施例1〜5及び比較例1〜12の消臭剤につき試験を実施した。室温23℃環境下、容量約3Lのセパラブルフラスコ(筒型タイプ、口径φ120mm、胴径φ130mm、高さ300mm)にセパラブルカバー(平面摺合タイプ、二つ口、ツバ内径φ120mm、ツバ外径150mm、高さ122mm)を乗せ、フラスコ内にトリメチルアミンガス(以下、TMAガスと略す)を約130〜140ppmになる様に発生・充満させた。アミン類検知管No.180(株式会社ガステック)を用いて上述のTMAガス濃度を測定した後、上部ポートより検体(実施例及び比較例の消臭剤)を1.25mL注入して静置した。1時間静置した後、アミン類検知管No.180(株式会社ガステック)を用いてTMAガス濃度を測定して、下記計算式によりTMAガスの消臭率を求めた。
TMAガスの消臭率(%)=100−{(1時間静置後のTMAガス濃度)/(検体注入前のTMAガス濃度)×100}
消臭力の判定は消臭率70%以上を「適合」とし、70%未満を「不適」と判定した。
試験結果を表2に記載した。
表2は実施例1〜5及び比較例1〜12の消臭力試験結果(トリメチルアミン)を示した表である。
Figure 2019115646
表2から明らかな様に柿タンニンを含有していない比較例8〜10の消臭率は40%未満であり、また柿タンニンを配合した場合でもpHが4.0〜5.5の範囲外である比較例1〜7の消臭率は47.2%〜65.5%と充分な消臭力を示さなかった。他社市販品A(比較例11)及びB(比較例12)の消臭率も51.9%及び38.1%を示し、充分な消臭力がないことが解った。総じて比較例の判定は全て「不適」であった。一方、pHを有機酸及び/又は有機酸塩により4.0〜5.5の範囲内に調整した本発明の実施例1〜5の消臭率は何れも75%以上と良好な消臭力を示し、判定基準に「適合」した。
[試験例2]消臭力試験(アンモニア)
実施例1〜5及び比較例1〜12の消臭剤につき試験を実施した。室温23℃環境下、容量約3Lのセパラブルフラスコ(筒型タイプ、口径φ120mm、胴径φ130mm、高さ300mm)にセパラブルカバー(平面摺合タイプ、二つ口、ツバ内径φ120mm、ツバ外径150mm、高さ122mm)を乗せ、フラスコ内にアンモニアガス(以下、AMMガスと略す)を約60〜70ppmになる様に発生・充満させた。アンモニア検知管No.3La(株式会社ガステック)を用いて上述のAMMガス濃度を測定した後、上部ポートより検体(実施例及び比較例の消臭剤)を5mL注入して静置した。1時間静置した後、アンモニア検知管No.3La(株式会社ガステック)を用いてAMMガス濃度を測定して、下記計算式によりAMMガスの消臭率を求めた。
AMMガスの消臭率(%)=100−{(1時間静置後のAMMガス濃度)/(検体注入前のAMMガス濃度)×100}
消臭力の判定は消臭率85%以上を「適合」とし、85%未満を「不適」と判定した。
試験結果を表3に記載した。
表3は実施例1〜5及び比較例1〜12の消臭力試験結果(アンモニア)を示した表である。
Figure 2019115646
表3から明らかな様に柿タンニンを含有していない比較例8〜10の消臭率は30%未満であり、また柿タンニンを配合した場合でもpHが4.0〜5.5の範囲外である比較例1〜7の消臭率は69.8%〜78.5%と充分な消臭力を示さなかった。他社市販品A(比較例11)及びB(比較例12)の消臭率も43.0%及び83.0%を示し、充分な消臭力がないことが解った。総じて比較例の判定は全て「不適」であった。一方、有機酸及び/又は有機酸塩によりpHを4.0〜5.5の範囲内に調整した本発明の実施例1〜5の消臭率は何れも85%以上と良好な消臭力を示し、判定基準に「適合」した。
[試験例3]消臭力試験(トリメチルアミンの消臭率に及ぼす温度の影響)
実施例1について前術の消臭力試験(トリメチルアミン)と同様の方法で、様々な温度条件下、TMAの1時間後の消臭率を測定した。
表4は実施例1の消臭力試験結果(温度の影響)を示した表である。
Figure 2019115646
表4より明らかな様に、いずれの温度でもTMAの消臭率はほぼ変わらず、実施例1の発明は温度の変動に関わらず恒常的に消臭効果が高いことが示された。
[試験例4]官能試験(魚臭の官能評価)
良く訓練された評価パネラー5名が実施例及び比較例の消臭剤の魚臭に対する効果を以下の評価基準によって評価し、5名の評点の平均値によって消臭効果の程度を判定した。試験は生魚(鯖)の表面を拭いた木綿製の布片(5cm×5cm)に各消臭剤約1.5mLを均等に噴霧して風乾した後、その布片の臭い(魚臭)を各パネラーが評価した。
評価基準
評点3:魚臭を認めない
評点2:僅かに魚臭を認めた
評点1:魚臭を認めた
評点0:強い魚臭を認めた
消臭効果の判定
◎ :5名の評点の平均値が2.3以上〜3.0未満
○ :5名の評点の平均値が1.5以上〜2.3未満
△ :5名の評点の平均値が0.8以上〜1.5未満
× :5名の評点の平均値が0〜0.8未満
表5は実施例1〜5及び比較例1〜12の官能試験結果(魚臭)を示した表である。
Figure 2019115646
表5から明らかな様に柿タンニンを含有していない比較例8〜10の魚臭に対する消臭効果の判定はいずれも×であり、また柿タンニンを配合した場合でもpHが4.0〜5.5の範囲外である比較例1〜7及び他社市販品(比較例11及び12)の判定は△〜○となり魚臭が残存していた。一方、有機酸及び/又は有機酸塩によりpHを4.0〜5.5の範囲内に調整した本発明の実施例1〜5の魚臭に対する消臭効果はほぼ完ぺきであり、判定は◎であった。官能評価に於いても本発明の魚臭に対する消臭効果が高いことが示された。
[試験例5]官能試験(ペットの糞尿臭の官能評価)
良く訓練された評価パネラー5名が実施例及び比較例の消臭剤のペットの糞尿臭に対する効果を以下の評価基準によって評価し、5名の評点の平均値によって消臭効果の程度を判定した。試験は市販のペット用紙オムツ(商品名;ユニチャームペット紙オムツSサイズ;ユニ・チャーム株式会社)を小型シェットランド犬に装着させ、糞尿を排便したのを確認した後に取り外して、各消臭剤約5mLを入念に噴霧した後、その紙オムツの臭い(糞尿臭)を各パネラーが評価した。
評価基準
評点3:糞尿臭を認めない
評点2:僅かに糞尿臭を認めた
評点1:糞尿臭を認めた
評点0:強い糞尿臭を認めた
消臭効果の判定
◎ :5名の評点の平均値が2.3以上〜3.0未満
○ :5名の評点の平均値が1.5以上〜2.3未満
△ :5名の評点の平均値が0.8以上〜1.5未満
× :5名の評点の平均値が0〜0.8未満
表6は実施例1〜5及び比較例1〜12の官能試験結果(糞尿臭)を示した表である。
Figure 2019115646
表6から明らかな様に柿タンニンを含有していない比較例8〜10の糞尿臭に対する消臭効果の判定はいずれも×であり、また柿タンニンを配合した場合でもpHが4.0〜5.5の範囲外である比較例1〜7及び他社市販品(比較例11及び12)の判定は△〜○となり糞尿臭が残存していた。一方、有機酸及び/又は有機酸塩によりpHを4.0〜5.5の範囲内に調整した本発明の実施例1〜5の糞尿臭に対する消臭効果は、判定が◎であった。官能評価に於いても本発明の糞尿臭に対する消臭効果が高いことが示された。
上述の試験例1〜5の結果を鑑み、理化学的試験(試験例1〜3)に於いて本発明の消臭剤はトリメチルアミン及びアンモニアに対する消臭効果が恒常的に高いことが示された。更に官能的試験(試験例4及び5)に於いては、本発明の消臭剤は魚臭及び糞尿臭に対する消臭効果が高いことが確認された。
本発明により消臭効果が高い、特には魚臭や糞尿臭に対して消臭効果の高い消臭剤を提供することが可能となった。本発明の消臭剤は、今まで消臭効果が不充分であった魚釣りをした後や生魚を調理した後の手、布やまな板等に付着した魚臭の消臭、並びに排便後のトイレやオムツ、ペットの排泄物等の糞尿臭の消臭剤として有用である。更にトリメチルアミン症(魚臭症)患者の方々の口臭や体臭の緩和に役立つ消臭剤として利用される可能性が示唆された。

Claims (7)

  1. a)0.05〜5質量%の柿タンニンと、b)有機酸又は有機酸塩からなる群から選ばれる1種以上を含有するpH4.0〜5.5である水溶液状の消臭剤。
  2. b)有機酸又は有機酸塩がクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸塩、リンゴ酸塩又は酒石酸塩からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の消臭剤。
  3. 請求項1又は2記載の組成物を噴霧容器に充填してなるスプレー式消臭剤。
  4. 消臭の対象とする臭いが魚臭である請求項1〜3のいずれか1項記載の消臭剤。
  5. 魚臭の原因物質がトリメチルアミンである請求項4記載の消臭剤。
  6. 消臭の対象とする臭いが糞尿臭である請求項1〜3のいずれか1項記載の消臭剤。
  7. 臭いの原因物質がアンモニアである請求項4又は6記載の消臭剤。
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