JP3757679B2 - 消臭剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、消臭剤に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、種々の臭気に対して有効な消臭剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、悪臭、異臭等として発生する臭気としては、住宅内における便所の屎尿、台所の厨房、煙草、ペット等から発生する臭気や、工場の排煙等、多種多様な臭気がある。
特に、住宅内における臭気は、不快感、イライラ、頭痛等を引き起こす原因となっている。
【0003】
他方、冷暖房装置の作動時においては、住宅内が密室状態(密閉状態)に保たれることが多く、かつ、近年、省エネ等の観点から住宅の気密性(密閉性)も高まっており、臭気が屋外に排出せずに住宅内に滞溜し易いため、臭気の消臭対策が大きな問題となってきている。
このような臭気の消臭方法として、従来より次の4つの方法が知られている。
【0004】
(1)感覚的消臭法…芳香性物質(例えば、臭気製油、その他)の香気によって臭気をマスクして消臭する方法
(2)物理的消臭法…換気・拡散によって臭気を希釈、除去したり、シリカゲル、活性炭、その他の吸着材によって臭気を吸着したり、シクロデキストリン、その他の包摂化合物によって臭気物質を包摂したりして消臭する方法
(3)化学的消臭法…臭気物質と化学反応(例えば、中和、付加、縮合、酸化、その他)させて無臭化する方法。例えば、直火燃焼法や、オゾン、過マンガン酸カリウム、その他の酸化剤による酸化法
(4)生物的消臭法…腐敗を生起する微生物を滅殺して腐敗を防止し、臭気の発生を阻止する方法
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)の感覚的消臭法は、主に一般家庭で実施されている方法であるが、芳香性物質による臭気除去能力には限界があり、満足すべき消臭効果は期待し難く、また、芳香性物質の香気と臭気のバランスをとって消臭することは難しく、さらに、芳香性物質の香気は人によって好みがあり、時には他人に嫌悪感を催させることがあり、誰にでも快感を与えるとともに消臭効果も優れた一般的な消臭法であるとは言い難いという問題があった。
【0006】
(2)の物理的消臭法は、古くから実施されている方法であるが、換気・拡散のための特別の装置が必要であるとともに、換気・拡散によって室温が変動したりし、また、吸着剤の臭気吸着効果や包摂化合物の臭気包摂効果の持続性の点で満足すべきものであるとは言い難いとともに、飽和状態に到達すると臭気成分が放出するという問題があった。
【0007】
(3)の化学的消臭法は、多種多様な化学成分よりなる臭気物質と効果的に化学反応する薬剤の選定がきわめて困難であり、さらに、使用する薬剤の取り扱いに注意を要したり、薬剤が空気中で劣化したりすることがあり、一般的な消臭法であるとは言い難いという問題があった。
(4)の生物的消臭法は、一般の生活雰囲気中の臭気を消臭する目的で実施するのには適さず、また、実施に際して特別の装置が必要であるとともに、消臭効果の発現も遅いという問題があった。
【0008】
以上のような問題を解消するために、それ自身が無臭、かつ、安全であるとともに、消臭のための大がかりな特別の装置を必要としないという利点を有する天然の植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分を消臭剤として活用することが考えられており、今後の期待も大きい。
しかしながら、天然の植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分は、そのままでは消臭能力に限界があり、また、液状にして長時間放置すると、色相が変化したり、沈澱が生成したり、消臭力が劣化したりし、経時安定性が悪いという問題があった。
【0009】
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、上記天然の植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分を消臭剤として活用する場合の問題点を解消し、多種多様な臭気に対して優れた消臭効果を発揮し、また、液状にして長時間放置しても、色相が変化したり、沈澱が生成したり、消臭力が劣化したりすることがなく、経時安定性の優れた消臭剤を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、第1の発明は、植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分に、L−酒石酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸および乳酸よりなる群から選ばれた1種以上の有機酸のアルカリ塩と、グリオキシル酸と、グリセリン、プロピレングリコールおよびエチレングリコールよりなる群から選ばれた1種以上の湿潤剤とを、添加してなることを特徴とする消臭剤を提供する。
また、第2の発明は、植物から抽出された抽出物1重量部に対して0.1〜500重量部のグリオキシル酸を添加してなる上記の消臭剤を、第3の発明は、pHを3〜5に調整した上記の消臭剤を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、以上のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の消臭剤において、消臭有効成分を抽出する植物としては、各種の植物が使用でき、特に限定されず、例えば、ドクダミ、イチョウ、クロマツ、キリ、ヒイラギモクセイ、ライラック、キンモクセイ、レンギョウ等が好ましく、その他のモクセイ科植物、マツ科植物等も広く使用することができる。
【0013】
上記植物から消臭有効成分を抽出する場合には、上記植物の葉、葉柄、実、茎、根、樹皮等の各器官から抽出された抽出物を消臭有効成分とするのであるが、その抽出方法は特に限定されず、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール類や、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類のような親水性有機溶媒の1種以上を上記植物の各器官に添加し、ソックスレー抽出器等を使用して消臭有効成分を熱抽出すれば良い。また、必要に応じて、抽出に先立って、その他の親水性有機溶媒、例えば、ヘキサン、石油エーテル等を使用して、前もって植物の臭気成分を溶出除去しておいても良い。また、水蒸気蒸留法によって、植物の臭気成分の除去と消臭有効成分の抽出を同時に行ってもよい。
【0014】
このようにして植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分に添加物を添加して消臭剤を得る場合には、例えば、上記抽出液から溶媒を留去または濃縮して液体または固形物にした後、所望の溶媒で希釈し、次いで、添加物を添加して消臭剤を得れば良い。
上記消臭有効成分に添加する添加物としては、L−酒石酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸および乳酸よりなる群から選ばれた1種以上の有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ塩と、グリオキシル酸と、グリセリン、プロピレングリコールおよびエチレングリコールよりなる群から選ばれた1種以上の湿潤剤とを使用する。
とを特徴とする消臭剤を提供する。
【0015】
以上のように、植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分に対して、上記特定の添加物を添加した理由は、次のとおりである。
前記有機酸のアルカリ塩を添加することにより、魚や肉の腐敗臭であるトリメチルアミン、その他のアミン類や、便所の屎尿から発生するトイレ臭であるアンモニア等の窒素系臭気に対する消臭力を増強することができる。また、有機酸のアルカリ塩の添加量は、特に限定されないが、消臭有効成分である、植物から抽出された抽出物1重量部に対して、0.1〜250重量部(複数の有機酸またはそのアルカリ塩を使用する場合には、それらの合計量)であることが好ましい。
【0016】
グリオキシル酸を添加することにより、卵や牛乳の腐敗臭である硫化水素や、野菜やゴミの腐敗臭であるメチルメルカプタン、その他のメルカプタン類等の硫黄系臭気に対する消臭力を増強することができる。そのうえ、消臭剤を液状にして長時間放置した場合における色相の変化、沈澱の生成、消臭剤の劣化等を抑制することができ、経時安定性の優れた消臭剤が得られる。また、グリオキシル酸の添加量は、特に限定されないが、植物から抽出された抽出物1重量部に対して、0.1〜500重量部であることが好ましい。
【0017】
前記湿潤剤を添加することにより、消臭剤の均一性が保持され、そのうえ、防腐効果が発揮される。また、湿潤剤の添加量は、特に限定されないが、植物から抽出された抽出物1重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましい。
また、このようにして得られた消臭剤に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性溶液や緩衝作用を有する液等を添加してpHを3〜5に調整すると、消臭剤の消臭効果をさらに高めることができる。
【0018】
この出願の発明にかかる消臭剤の使用形態については、特に限定される使用形態はないが、液剤やスプレー剤の形で使用したり、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等の多孔質担体に含浸、担持させて使用したり、粉末、錠剤、顆粒剤の形に成型して使用したりする等、目的、用途等に応じて適宜選択、決定して使用すれば良い。
【0019】
なお、この出願の発明においては、以上の実施形態によって限定されるものではなく、植物の種類、添加物の種類、消臭剤の配合等、詳細な仕様についても、目的、用途等に応じて適宜選択、決定すれば良い。
以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例1〜4)
レンギョウを使用して、50℃の水で4時間(または60℃の水で3時間)の抽出を行って得られた抽出液をロータリエバポレータ(または凍結乾燥機)で濃縮乾固することにより、固形状の抽出物を得た。得られた抽出物に、後記表1に示す組成になるように、水、有機酸のアルカリ塩、グリオキシル酸および湿潤剤(グリセリン)を加えて混合し、得られた水溶液に水酸化ナトリウムを加えて水溶液のpHを後記表1に示す所定の値に調製して消臭剤を得た。
【0021】
【表1】
Figure 0003757679
【0022】
(比較例1)
実施例1において、グルオキシル酸を添加しない以外は実施例1と同様にして、消臭剤を得た。
(比較例2)
実施例2において、L−酒石酸ナトリウムを添加しない以外は実施例2と同様にして、消臭剤を得た。
(比較例3)
実施例3において、クエン酸ナトリウムおよびグリオキシル酸を添加しないようにした以外は実施例3と同様にして、消臭剤を得た。
【0023】
前記実施例1〜4および比較例1〜3で得られた消臭剤は、以下のようにして消臭力試験を行った。
前記実施例1〜4および比較例1〜3で得られた消臭剤をそれぞれ水で10倍に希釈し、1l容三角フラスコに5ml入れ、さらに、それらの容器にアンモニアガス、トリメチルアミンガス、硫化水素ガス、メチルメルカプタンガスを後記表2に示す濃度になるように入れて密栓した。次に、それらの試験体は30分後にガス検知管を用いて残存ガス濃度を測定し、次式により消臭率を算定した。
【0024】
【数1】
Figure 0003757679
【0025】
【表2】
Figure 0003757679
【0026】
消臭率の算定結果は、表3に示すとおりである。
【0027】
【表3】
Figure 0003757679
【0028】
表3にみられるように、実施例1〜4にかかる消臭剤は、アンモニアについては90%以上、トリメチルアミンについては80%以上、硫化水素については70%以上、メチルメルカプタンについては60%以上の消臭率を達成している。これに対し、比較例1〜3にかかる消臭剤は、実施例1〜4にかかる消臭剤に比べて消臭力が劣っている。
【0029】
すなわち、グリオキシル酸が添加されていない比較例1にかかる消臭剤、有機酸のアルカリ塩が添加されていない比較例2にかかる消臭剤、グリオキシル酸および有機酸のアルカリ塩のいずれも添加されていない比較例3にかかる消臭剤はすべてアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタンの臭気に対する消臭率が低下しており、特に、硫化水素、メチルメルカプタンといった硫黄系臭気に対する消臭率はかなり低下している。
【0030】
さらに、実施例および比較例にかかる消臭剤の状態を観察したところ、実施例1〜4にかかる消臭剤のいずれについても液の色相の変化や沈殿の生成が見られず、経時安定性が優れていた。これに対し、比較例1〜3にかかる消臭剤については、その液の色相等に変化が見られた。
このように、この発明にかかる消臭剤は、3タイプの添加物のうちいずれかが欠けると、消臭力および経時安定性が低下することがわかる。
(実施例5)
実施例1で調整した消臭剤を多孔質担体(ゼオライト)に所定量含浸、担持させて吸着消臭剤を得た。また、比較のため、ブランク試験体として、消臭剤を含浸、担持させていないゼオライト単独のものを、比較例4として準備した。
【0031】
前記実施例5で得られた消臭剤および比較例4のブランク試験体は、以下のようにして消臭力試験を行った。
前記実施例5で得られた消臭剤および比較例4のブランク試験体5gをそれぞれ1l容三角フラスコに入れ、さらに、それらの容器にアンモニアガス、トリメチルアミンガス、硫化水素ガス、メチルメルカプタンガスを前記表2に示す濃度になるように入れて密栓した。次に、それらの試験体は30分後にガス検知管を用いて残存ガス濃度を測定し、前述の式により消臭率を算定した。
【0032】
消臭率の算定結果は、表4に示すとおりである。
【0033】
【表4】
Figure 0003757679
【0034】
表4にみるように、実施例5にかかる消臭剤は、アンモニアおよびトリメチルアミンについては90%以上、硫化水素およびメチルメルカプタンについては60%以上の消臭率を達成している。これに対し、比較例4にかかるブランク試験体は、実施例5にかかる消臭剤に比べて消臭力が劣っている。特に、硫化水素、メチルメルカプタンといった硫黄系臭気については殆んど性能の発現が見られない。
【0035】
すなわち、ゼオライトよりなる多孔質担体を例にとった場合、本来消臭性能のない多孔質担体に消臭剤を含浸、担持させたことにより、特に、硫化水素やメチルメルカプタンの悪臭ガスに対する除去性能を付与したことがわかる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明の消臭剤は、多種多様な臭気に対して優れた消臭効果を発揮し、また、液状にして長時間放置しても、色相が変化したり、沈澱が生成したり、消臭力が劣化したりすることがなく、経時安定性が優れている。

Claims (3)

  1. 植物から抽出された抽出物よりなる消臭有効成分に、L−酒石酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸および乳酸よりなる群から選ばれた1種以上の有機酸のアルカリ塩と、グリオキシル酸と、グリセリン、プロピレングリコールおよびエチレングリコールよりなる群から選ばれた1種以上の湿潤剤とを、添加してなることを特徴とする消臭剤。
  2. 植物から抽出された抽出物1重量部に対して0.1〜500重量部のグレオキシル酸を添加してなる請求項1の消臭剤。
  3. pHを3〜5に調整した請求項1または2の消臭剤。
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