JP3176602B2 - 酸化物カソードを備えた陰極線管およびその製造方法 - Google Patents

酸化物カソードを備えた陰極線管およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[技術分野] この発明は、酸化物カソードを備えた陰極線管およびそ
の製造方法に関し、特にカソードにおける電子放射物質
層およびその製造方法に特徴を有するものである。
【0002】[背景技術] 第14図は、例えば特開平8−77914号公報に示さ
れた従来の酸化物カソードの断面を模式的に示した図で
ある。図において、101はニッケルを主成分とし、例
えばシリコンおよびマグネシウムの還元剤を含む金属基
体である。金属基体101は、長い空洞の円筒形のスリ
ーブ102の底面をなし、円盤状である。103は金属
基体101上に被着された例えば、バリウム、ストロン
チウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物の針
状粒105を主構成物とする電子放射物質層である。1
04はスリーブ102内に設けられた電子放射物質から
熱電子を放出させるために加熱するフィラメントであ
る。この酸化物カソードは真空に保たれた陰極線管 (図
示せず) 内に設けられている。なお、第14図におい
て、電子放射物質層103の寸法 (直径と厚さ) に対し
て、針状粒105の寸法を約10倍に拡大して示してお
り、このため、針状粒105のうち、金属基体101に
接しているものを除いて、表面から全厚さの約1/10
を示している。
【0003】この陰極線管の酸化物カソード部分の製造
工程は次の通りである。
【0004】まず、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子を有
機溶媒に分散させスプレーに適した適当な粘度の分散液
(ペースト) とする。これをスプレーで金属基体101
に吹き付けて乾燥させる工程を何回か繰り返して、所定
の厚さ、例えば40μmから100μmとする。この酸
化物カソードを陰極線管内に設置し、陰極線管内を真空
に引きながら、外部から、あるいはフィラメント104
などで加熱し、まず、600℃程度までで有機溶媒など
を分解・蒸発させ、さらに900℃から1000℃程度
まで加熱することによって、炭酸塩を分解して酸化物と
し、電子を放出する電子放射物質層103とする。
【0005】このような電子放射物質になるアルカリ土
類金属炭酸塩の粒子は通常針状 (棒状) で第15図にそ
の1つを拡大して示す。第15図に示すように、アルカ
リ土類炭酸塩の粒子105の最も長い寸法を長さLμm
とし、その長さ方向に鉛直の断面で最も長い寸法の軸を
直径Dμmと定義し、以後球に近い形状の粒子にも同様
の定義を適用する。通常、この炭酸塩粒子として、平均
の長さLが4から15μm程度、平均の直径Dが0.4
から1.5μm程度のものを使用し、分解工程後の酸化
物もわずかに縮むが、ほぼこの形状を保つ。この粒子形
状と寸法、およびスプレーによる塗布によって適当な空
隙を作り、高い電子放射と長寿命が達成されている。前
記の特開平8−77914号公報にはこれに対して、炭
酸塩の粒子の一部を、球状あるいは樹枝状の粒子とする
ことによって、前記放射物質層の厚さの変化を減少さ
せ、長寿命化を図るための技術が開示されている。ま
た、特開昭59−191226号公報には炭酸塩のペー
ストを印刷によって被着することが示されている。
【0006】上記のようなスプレーを用いた製造方法
は、第14図に示すように電子放射物質層表面の凹凸が
大きくなり、このため、電子ビームがこの凹凸に従った
不規則な分布となる。これは、たとえば、電子放射物質
層表面に加わる電界が大きくない場合、凸の先端に電界
が集中し、その部分の電子放射が凹の部分より大きくな
ることによる。電子ビームの分布はガウス分布が良いと
され、不規則な分布になった場合には、シャドーマスク
のピッチと干渉して、モアレが出やすいという問題点が
ある。
【0007】また、電子放射層表面の凹凸が大きい場
合、電子の出射する方向が広がりやすく、このため、ど
うしてもビームが広がりやすく、解像度が低くなるとい
う問題点があった。一方、電子放射物質層表面の凹凸を
小さくするために、電子放射物質層となるアルカリ土類
金属炭酸塩を含むペーストを印刷によって、金属基体に
塗布する方法も考えられる。しかし、この方法では、第
14図に示すように電子放射物質層に適当な空隙ができ
ず、スプレー法を用いた製造方法に比較し、電子放射量
が少ないという問題点があった。
【0008】この発明は、上述のような課題を解決する
ためになされたもので、電子放射物質層の表面の凹凸を
小さくし、かつ、適当な空隙を作るような製造方法を提
供することによって、モアレが少ない、また、解像度が
高い陰極線管を得るものである。主として、電子放射物
質層を形状の異なる2つの粒子群で構成し、その形状と
割合を特定した製造方法を採用することで、高性能な陰
極線管を得るものである。
【0009】[発明の開示] この発明の第1の陰極線管の酸化物カソードは、ニッケ
ルを主成分とする金属基体上に、アルカリ土類金属酸化
物を含んだ電子放射物質層を備え、前記アルカリ土類金
属酸化物は形状が針状である第1群の粒子と、該第1群
の粒子と異なり塊状形状を有する第2群の粒子との混合
物から構成され、前記第2群の粒子の平均長さは、第1
群の粒子の平均長さの60%以下であり、かつ第2群の
粒子の平均直径は第1群の粒子の平均直径の1.5倍以
上であって、さらに前記電子放射物質層を構成するアル
カリ土類金属酸化物中の第1群の粒子の比率がアルカリ
土類金属酸化物の原子数比で50%から95%であるこ
とを特徴とするものである。
【0010】この発明の第2の陰極線管の酸化物カソー
ドは、第1の陰極線管の酸化物カソードにおいて、第2
群の粒子が、平均直径が7μm以下の球形状の粒子であ
ることを規定するものである。
【0011】この発明の第3の陰極線管の酸化物カソー
ドは、第1または第2の陰極線管の酸化物カソードにお
いて、第2群の粒子は、少なくともバリウムとストロン
チウムの酸化物からなり、該第2群の粒子の総バリウム
量は、第2群の粒子の総アルカリ土類金属量に対して、
原子比が30%以下であることを規定するものである。
【0012】この発明の第4の陰極線管の酸化物カソー
ドは、第1乃至第3の陰極線管の酸化物カソードにおい
て、金属基体の電子放射物質層が形成される面の形状が
r1 (mm) の直径を有する略円形であって、前記電子
放射物質層の平面形状がr2 (mm) の直径を有する略
円形であって、 r2≦r1−0.1 を満足することを規定するものである。
【0013】この発明の第5の陰極線管の酸化物カソー
ドは、第1乃至第4の陰極線管の酸化物カソードにおい
て、金属基体と電子放射物質層との間に、タングステン
またはモリブデンを主成分とする層をさらに備えたもの
である。
【0014】この発明の第1の陰極線管の製造方法は、
酸化物カソードの構体をなすニッケルを主成分とする金
属基体上に、電子放射物質となるアルカリ土類金属の炭
酸塩の粒子を含む印刷用ペーストを、印刷により被着さ
せる工程、前記工程で被着された印刷用ペーストを前記
金属基体上に固定させる乾燥工程、および酸化物カソー
ドを陰極線管に組み込んだ後、前記アルカリ土類金属の
炭酸塩を電子放射物質である酸化物にするための真空に
引きながら加熱する工程を含み、かつ、前記印刷用ペー
スト中のアルカリ土類金属の炭酸塩として、形状が針状
である第1群の粒子と、該第1群の粒子と異なり塊状形
状を有する第2群の粒子との混合物を含むものを用い、
該第2群の粒子の平均長さは、第1群の粒子の平均長さ
の60%以下であり、かつ、第2群の粒子の平均直径は
第1群の粒子の平均直径の1.5倍以上であって、さら
に前記電子放射物質層を構成するアルカリ土類金属酸化
物中の第1群の粒子の比率がアルカリ土類金属酸化物の
原子数比で50%から95%であることを特徴とするも
のである。
【0015】この発明の第2の陰極線管の製造方法は、
酸化物カソードの構体をなすニッケルを主成分とする金
属基体上に、電子放射物質となるアルカリ土類金属の炭
酸塩の粒子と、平均の直径が1μmから20μmの空孔
材粒子とを含む印刷用ペーストを、印刷により被着させ
る工程、前記工程で被着された印刷用ペーストを前記金
属基体上に固定させる乾燥工程、および酸化物カソード
を陰極線管に組み込んだ後、前記アルカリ土類金属の炭
酸塩を電子放射物質である酸化物にするために真空に引
きながら加熱し、該加熱時に前記空孔材粒子を除去する
工程を備えたものである。
【0016】この発明の第3の陰極線管の製造方法は、
第2の陰極線管の製造方法において、空孔材粒子のアル
カリ土類金属の炭酸塩に対する体積比を5%乃至30%
としたことを規定するものである。
【0017】この発明の第4の陰極線管の製造方法は、
第3の陰極線管の製造方法において、空孔材粒子をアク
リル系樹脂粉末としたことを規定するものである。
【0018】この発明の第5の陰極線管の製造方法は、
第2の陰極線管の製造方法において、印刷用ペースト中
のアルカリ土類金属の炭酸塩として、形状が針状である
第1群の粒子と、該第1群の粒子と異なり塊状形状を有
する第2群の粒子との混合物を含むものを用い、該第2
群の粒子の平均長さは、第1群の粒子の平均長さの60
%以下であり、かつ、第2群の粒子の平均直径は第1群
の粒子の平均直径の1.5倍以上であって、さらに電子
放射物質層を構成するアルカリ土類金属酸化物中の第1
群の粒子の比率がアリカリ土類金属酸化物の原子数比で
50%から95%であることを規定するものである。
【0019】この発明の第6の陰極線管の製造方法は、
第1乃至第5の陰極線管の製造方法において、印刷ペー
ストを印刷により被着させる工程を、スクリーン印刷に
より行うことを規定するものである。
【0020】この発明の第7の陰極線管の製造方法は、
第6の陰極線管の製造方法において、印刷用ペースト
は、ニトロセルロース溶液とエチルセルロース溶液の少
なくとも一方と、テレピネオールと、分散剤とを含み、
かつ、その粘度が2000cP〜10000cPであ
り、さらに、印刷用ペースト塗布時に用いるメッシュと
して120番〜500番のものを用い、乾燥工程後の印
刷用ペーストの被着厚さを、40μm〜150μmとな
るように塗布したものである。
【0021】この発明の第8の陰極線管の製造方法は、
第6または第7の陰極線管の製造方法において、金属基
体の電子放射物質層が形成される面の形状がr1 (m
m) の直径を有する略円形であって、スクリーン印刷の
マスクの開口部の形状がr2 (mm) の直径を有する略
円形であって、 r2≦r1−0.1 を満足することを規定するものである。
【0022】この発明の第9の陰極線管の製造方法は、
第1乃至第8の陰極線管の製造方法において、金属基体
の電子放射物質層を形成する面を凹状とすることを規定
するものである。
【0023】この発明の第10の陰極線管の製造方法
は、第1乃至第9の陰極線管の製造方法において、乾燥
工程後の印刷ペーストの外形状、あるいは電子放射物質
層の外形状を、電子を取り出す方向に向かって少なくと
も電子を取り出す部分を凸状にすることを規定するもの
である。
【0024】この発明の第11の陰極線管の製造方法
は、第10の陰極線管の製造方法において、金属基体の
電子放射物質層を形成する面を凸状にすることを規定す
るものである。
【0025】[発明を実施するための最良の形態] 実施例1 以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。第1
図はこの発明の実施例1による陰極線管の酸化物カソー
ドの部分を拡大した断面図であり、1は円盤状の金属基
体、2は金属基体を支持するスリーブ、3は金属基体1
上に被着されたアルカリ土類の酸化物粒子を主構成物と
する電子放射物質層、4は電子放射物質層を加熱するフ
ィラメントで、この酸化物カソードは真空に保たれた陰
極線管 (図示せず) 内に設けられている。電子放射物質
層を形成するアルカリ土類金属の酸化物の粒子は、針状
である第1の形状の粒子5と、球に近い第2の粒子6か
らなる。前者の第1の粒子の方が第2の粒子より多く、
第1の粒子の方が第2の粒子より、平均の長さLが大き
く、逆に平均の直径Dが小さい。この2種類の粒子の重
なりによって、適度な空隙と表面に孔ができ、このた
め、従来と同程度の電子放射量が得られる。一方、表面
に小さい孔が多くあるが、大きな凹凸はなく、モアレが
ほとんど観測されず、電子ビームの直径が小さくなって
解像度も上がった。なお、第1図において、電子放射物
質層3の寸法 (直径と厚さ) に対して、アルカリ土類金
属の酸化物の個々の粒子5、6の寸法を約10倍に拡大
して示しており、このため、粒子5、6のうち、金属基
体1に接しているものを除いて、表面から全厚さの約1
/10を示している。 (この後の酸化物カソードの断面
図も同じ条件で示しており、後述の空孔材粒子も同様に
10倍に拡大して示す。) また、電子放射量、モアレ、
電子ビームの具体的な評価方法、評価結果は実施例で詳
述する。
【0026】この陰極線管の製造方法は以下の通りであ
る。電子放射物質となるバリウム、ストロンチウム、カ
ルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩の粒子として、2
種類の粒径のものを使用している。第1の粒子の群は、
第2図に示すような、平均の長さLが4から15μm、
平均の直径Dが0.4から1.5μmで、その比L/D
が5〜20程度の針状のものである。第2の粒子の群
は、第3図に示すような、球に近いもので、長さLと直
径Dがほぼ等しく、その平均値が第1の粒子の群の平均
の長さLの60%以下で、平均の直径の1.5倍以上の
ものである。なお、上述したように、第1の粒子群、第
2の粒子群いずれに対しても、粒子の最も長い軸に沿っ
た長さをLとし、その軸に垂直な断面の最も大きな長さ
を直径Dと定義している。また、この場合の平均は寸法
の測定値をそのまま算術平均したものであり、体積平均
や表面積平均のように重み付けしたものではなく、以後
も寸法の平均は同じ定義のものとする。すなわち、対象
粒子群について、例えば、二次電子走査型顕微鏡で測定
したn個の粒子の測定寸法をそのまま算術平均したもの
である。たとえば、長さの平均をLaveとすると、Lave=
ΣL/nとなる。
【0027】バリウムとストロンチウムとカルシウムの
原子比は一例では0.5:0.4:0.1で2つの群の
粒子の比率とも等しい。これら別々に作られたアルカリ
土類金属炭酸塩の2群の粒子を混合する。この際、第1
群と第2群の粒子の割合は、第1群の粒子がそれぞれの
アルカリ土類金属の原子数比で50%から95%となる
ように混合する。さらに、アルカリ土類金属炭酸塩の
0.2〜5重量%の酸化スカンジウムの粒子と、さら
に、溶媒であるテレピネオールと、分散剤と、結合剤で
あるニトロセルロース溶液、または、エチルセルロース
溶液を混合し、粘度を2000〜10000cPに調整
して、印刷用ペーストとする。
【0028】この印刷用ペーストを酸化物カソードの金
属基体へスクリーン印刷する。このとき、スクリーン印
刷のスクリーンのメッシュを120番〜500番 (JI
S規格の番数) とする。また、スクリーンの印刷するマ
スクする部分に対する開口をほぼ円形にし、その直径r
2を金属基体の直径r1より0.1mm以上小さく (r
2≦r1−0.1) する。この後、乾燥させる。
【0029】なお、金属基体1の直径r1は第1図に示
すようにスリーブ2と金属基体1で構成される円筒の底
面の直径を示し、従って、スリーブ2の端面部分も含
む。乾燥後の印刷用ペーストの厚さは40〜150μm
である。これを陰極線管に組み込み、真空に排気する。
排気しながら、温度を上げ、まずテレピネオール、分散
剤の残っている成分、結合剤などの有機分を分解、蒸発
させる。さらにフィラメント4を用いて温度を上げ、炭
酸塩を分散させて、酸化物とし、電子放射物質層3が完
成する。電子放射物質層3は、完成後は、アルカリ土類
金属の酸化物とこの場合は酸化スカンジウムからなるこ
とになる。
【0030】また、上記乾燥工程は100〜140℃程
度の炉中で行うが、自然乾燥でも、また、次の排気工程
の一部に含ませても良く、要は、あまり急激に蒸発させ
て電子放射物質層にひび・亀裂などが入らない条件で液
体分がなくなり、固定されればよい。
【0031】上記工程において、アルカリ土類金属炭酸
塩の0.2〜5重量%の酸化スカンジウムの粒子は混合
しなくてもよいが、混合する方が、製造された陰極管の
性能が高い。
【0032】一方、上記のように、2種類の粒子を使わ
ず、針状の粒子のみを用いた従来の構造の場合、スクリ
ーン印刷したときの圧力によって粒子が金属基体1に沿
って寝る傾向がある。第4図に針状粒子のみを用いてス
クリーン印刷を用い製造した陰極管の断面図を示すが、
液体の有機分が蒸発、乾燥した後、その部分が空隙にな
らず炭酸塩の粒子相互間の距離が小さくなる。このた
め、空隙ができにくい。さらに、前述した従来例のよう
にスプレーを使用した場合は、炭酸塩分と液状の有機分
とが、圧力が加わらずにそのまま積み上げられるので、
液状の有機分が乾燥しても、第14図に示すように、炭
酸塩はそのままの位置関係を保ち、この結果空隙が多く
なる。この実施例1を示す第1図では、針状の粒子を主
にし、これより短く、かつ、太い第2群の粒子を混合さ
せるため、スクリーン印刷したときの圧力によっても針
状の第1の群の粒子が第2群の粒子があるため、金属基
体1に沿って寝る傾向が少なく、乾燥によってもそのま
まの位置関係をほぼ保ち、その結果空隙ができ、特に表
面に深くかつ細かい凹凸ができるため、電子放射量が従
来例と同等になった。
【0033】一方、スプレーを使用した従来例の場合
は、まったく炭酸塩の粒子の重なりが制御されず、しか
も、均一性、目詰まりなどを考慮すると、ペーストの粘
度を小さくしなければならないので、粒子が凝集しやす
く、第14図に示すようなランダムな数十μmレベルの
大きい、うねり状の凹凸ができ、これがモアレと電子ビ
ームの径の増大をもたらした。一方、この実施形態1に
おいては、凹凸はできるが、粒子の寸法程度の大きさで
あり、幅10μm以下程度のものであるため、モアレが
ほとんど現れず、また、電子ビームの径も細くなった。
【0034】スクリーン印刷によって空隙ができる条
件、すなわち、針状の粒子がそろって金属基体と平行に
寝ないようにする条件は、この2つの群の粒子の寸法条
件、比率等に左右されやすく、第2群の粒子の長さLの
平均が、針状の第1群の粒子の長さLの平均の60%以
下であり、かつ、第2群の粒子の直径Dの平均が、第1
群の粒子の直径Dの平均の1.5倍以上である。特に前
者の条件を満たさない場合には、電子放射量のばらつき
が大きくなる。
【0035】また、第1群の粒子が炭酸塩中のアルカリ
土類金属の原子数比で95%を越えても、3%程度第2
の粒子群があれば、寸法条件が上記の範囲ならほぼ針状
の粒子は金属基体と平行に寝ることは少ないが、密度に
ばらつきが大きくなりはじめ、電子放射量にもばらつき
がで始める。従って、安定した製造条件を維持するため
には針状の第1群の粒子の比率は95%以下がよい。こ
のような条件の2群の粒子を混合させるとスクリーン印
刷で空隙ができる理由は、結局、針状の粒子が、第2群
の粒子に支えられて、金属基体と平行な方向に倒れない
ことによると考えられる。
【0036】また、一般的に直径Dに対して長さLの比
率 (L/D) の大きい、針状の粒の方が電子放射特性が
よい。このため、第2の群の粒子の比率が大きくなると
電子放射量が減少し始める。第1の粒子群が50%以上
では電子放射量が特に大きくは減少しない。このL/D
が大きい方が電子放射特性がよい理由は、酸素原子数に
対してアルカリ土類金属原子数がやや多めの場合に電子
放射が良くなるが、ひとつの粒子に関してはバリウム原
子の供給が表面から起こるため、体積に対して表面積の
大きい、L/Dの大きい方が酸素原子に対してアルカリ
土類金属原子が多くなりやすいと考えられ、このため電
子放射特性がよくなると推測される。
【0037】長さLと直径Dの寸法について2群の分布
をとると、第5図に示すように、一部分で重なり合うこ
とがあり得るが、明確な2群に分かれるものである。第
5図において、第1群の粒子は○で、第2群の粒子は●
で示す。このような炭酸塩は一般的には硝酸バリウム、
硝酸ストロンチウム、硝酸カルシウムを水に溶解し、沈
殿剤を加えて、共沈させて作るが、粒子の形状、寸法
は、この沈殿剤の種類 (炭酸ナトリウム、炭酸アンモニ
ウムなど) 、その量、場合によってはpH調整用に他の
添加剤を加えるなどして制御でき、この2群の粒子は別
な条件で、別々に作ればよい。
【0038】上記のように第1群の粒子と第2群の粒子
の寸法は、主として、空隙ができる条件で規定される
が、第2群の粒子の方が電子放射量が小さくなる傾向が
あるため、第2群の粒子の平均直径が大きすぎる場合電
子ビームのむらとなりうるので、7μm程度より小さい
方が好ましい。
【0039】上記のように乾燥工程後の印刷用ペースト
の被着厚さを40μm〜150μmとすると寿命の点で
も電子放射量の点でもよい。一方、40μm以下の厚さ
では動作中のバリウムの蒸発により、電子放射物質層中
のバリウムの比率が減少して短寿命になり易く、また、
150μm程度以上で、電子放射量が減少しはじめる傾
向がある。後者の理由は以下の通りである。前述したよ
うに酸素原子に対してアルカリ土類金属原子がやや多め
の場合に電子放射が良くなるが、アルカリ土類金属原子
の比率が大きくなるのは、金属基体と電子放射物質層の
界面で、金属基体に含まれる還元剤であるシリコンなど
が酸化バリウムを還元し、金属バリウムを生成するため
である。このバリウム原子が電子放射物質中を拡散して
ゆき、表面近くの粒子に達して電子放射する。従って電
子放射物質層が厚くなると表面近くの粒子に金属基体の
界面部分からバリウム原子が到達しにくくなり、電子放
射量が減少しはじめるものと考えられる。
【0040】特に厚さの上限の150μmはこれを大き
く越えた場合に製造上また、電子放射量の減少の観点で
問題となる。
【0041】重ね印刷を行うと重ねた界面部分がうまく
なじまず、電子放射量が少なくなる傾向があり、また、
先に印刷した部分と金属基体の間で剥離しやすくなる。
さらに、薄い層に印刷した方が密度が高くなる傾向もあ
り、電子放射特性が悪くなる方向である。このため、通
常の印刷厚さより厚い、上記の厚さを一度の印刷で行う
ことが好ましい。
【0042】上記のようにこの実施形態では、印刷用ペ
ーストを、上記のようにニトロセルロース溶液とエチル
セルロース溶液の少なくとも一方と、テレピネオール
と、分散剤とを含み、かつ、その粘度が2000cP〜
10000cP (センチポアズ) となるように調整する
が、これは、一度で上記の厚さに、かつ均一に、しかも
剥離しないように印刷する条件である。この範囲より粘
度が小さいと、厚くしにくく、しかも中央が厚く、周辺
部が薄くなり膜厚分布が大きくなりやすい。また、この
範囲より粘度が大きいと、スクリーンから印刷用ペース
トがぬけにくくなってきて、印刷面の特に周辺部に欠け
ができやすい。また、粘度が大きいと空隙ができにく
く、電子放射量が少なくなる傾向がある。陰極線管にお
いて、酸化物カソードから電子を取り出す範囲は次に電
子が通過する第1グリッドに開口された0.2〜0.6
mm程度の電子通過孔の範囲程度であり、本来はこの範
囲だけ、印刷の厚さの条件を満たせばよく、上述した印
刷厚さに厳密な均一性は要求されない。しかし、このよ
うに電子放射物質層の厚さを均一にしておくと第1グリ
ッドと酸化物カソードの組立精度の裕度を大きくでき、
製造上好ましいものとなる。
【0043】また、印刷のスクリーンのメッシュを12
0番〜500番としているが、これはこれより細かいと
印刷用ペーストが抜け難く、また、これより荒いとメッ
シュのあとが印刷面に残りやすく、凹凸として残ってモ
アレの原因やビーム径増大の原因になりやすい。
【0044】また、スクリーンのマスクする部分に対す
る開口をほぼ円にし、その直径r2を金属基体の直径r
1より0.1mm以上小さくしている。これは、スクリ
ーンのぬけた印刷用ペーストの縁部分は若干広がるが、
その端が金属基体の側面部であるスリーブ2の側面にま
で達すると、印刷時の圧力で多量に側面側に移動し、周
辺部の厚さが減少して、厚さに分布ができ、この広がる
範囲は直径で0.1mm以下で、この範囲以下にすれば
このような厚さの不均一ができずに好ましいという理由
による。
【0045】上記実施例1において、電子放射物質層を
形成する印刷工程としてスクリーン印刷法を用いた例に
ついて説明したが、印刷方法はスクリーン印刷に限るも
のではない。他の印刷方法でも電子放射物質層の表面を
平坦にすることが可能で、また、他の印刷方法でも電子
放射量、寿命に同様な課題があり、上記実施例中に示し
た印刷ペースト中のアルカリ土類金属炭酸塩の粒子の条
件がこの課題に対する解決策として有効である。
【0046】印刷工程に用いられる印刷方法としては、
凸版印刷、平板印刷、凹版印刷および孔版印刷等があ
る。特にペーストの厚さを制御しやすい方式として、凹
版印刷、メッシュを用いないマスクのみのメッシュレス
孔版印刷、あるいは、これらの方式でいったん平板のゴ
ム板等に印刷した後、金属基体に転写する間接印刷 (転
写方式) などが有効である。
【0047】なお、上記実施例に記載した、例えば印刷
ペースト中のバインダー (ニトロセルロース等) 、溶媒
(テレピネオール等) 、分散剤の組成や粘度、メッシュ
の条件はスクリーン印刷の条件であって、他の印刷方式
では、異なる。例えば、凹版印刷、メッシュレス孔版印
刷、転写方式では印刷ペーストの粘度は、スクリーン印
刷の場合より高めに設定する必要があるが、他の条件に
よっては高めに設定しても、スクリーン印刷より欠け等
で形が崩れにくい場合がある。また、粘度を高く設定し
た場合、金属基体との被着性が悪くなる場合があり、バ
インダーを多めに調合すると被着性が良い場合がある。
これらのバインダー、溶媒、分散剤の種類・組成の調整
は上記スクリーン印刷用ペーストをもとに、各印刷法に
適した条件で行えばよい。
【0048】実施例2 以下、本発明の別の実施を、図について説明する。第6
図はこの発明の実施例2による陰極線管の酸化物カソー
ドの一部を拡大した断面図であり、第7図は第6図の陰
極線管を製造するために、電子放射物質層となる印刷用
ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥した後の
同じ位置の断面図である。第7図に示すように電子放射
物質層となる層3は、主に、アルカリ土類金属の炭酸塩
である粒子5と、空孔材粒子7で構成されている。陰極
線管が完成した後は、第6図に示すように空孔材粒子7
は分解、蒸発し残っていないが、その空孔材粒子の存在
した位置は空隙になる。すなわち、適度な空隙と特に表
面に孔ができる。このため、従来例と同程度の電子放射
量が得られる。一方、表面に小さい孔が多くあるが、大
きな凹凸はなく、モアレがほとんど観測されず、電子ビ
ームの直径が小さくなって解像度も上がった。
【0049】本実施例による陰極線管の製造方法は以下
の通りである。電子放射物質となるバリウム、ストロン
チウム、カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩の粒子
は、一例では針状の粒子をもちい、平均の長さLが4か
ら15μm、平均の直径Dが0.4から1.5μmで、
その比L/Dが20〜5程度の針状のものである。この
アルカリ土類金属炭酸塩に対する体積比で、5%から3
0%の、平均の粒子直径が1μmから20μmの粒子
で、600℃あるいはそれ以下でほぼ完全に分解・蒸発
する空孔材粒子と、炭酸塩とを含む、印刷用ペーストを
作る。この空孔材粒子7は一例ではアクリル系樹脂粉末
であり、一例では500℃で完全に蒸発する。印刷用ペ
ーストの他の構成物および粘度、印刷条件などは実施例
1と同様である。印刷用ペーストを作り、印刷した後、
酸化物カソードを一例では約100〜140℃で乾燥す
る。この乾燥工程が終了するまで空孔材は固体のままで
ある。また、この乾燥後の印刷用ペーストの厚さは40
〜150μmである。
【0050】これを陰極線管に組み込み、真空に排気す
る。排気しながら、温度を上げ、まずテレピネオール、
分散剤の残っている部分、結合剤などの有機分を分解、
蒸発させ、除去する。フィラメント4あるいはその他の
加熱手段で600℃あるいはそれ以下の空孔材粒子が分
解・蒸発する温度、この例では500℃まで上げ、空孔
材粒子を分解・蒸発させる。この空孔材粒子の蒸発によ
って、アルカリ土類金属の炭酸塩粒子の重なり・構成は
ほとんど影響を受けず、空孔材粒子のぬけた位置はその
まま空隙として残る。
【0051】その後、さらにフィラメント4を用いて昇
温し、炭酸塩を分散させて、酸化物とし、電子放射物質
層3を完成させる。炭酸塩から酸化物になることによっ
て、わずかに収縮するが、その粒子の重なり・構成はそ
のままで空孔材粒子のぬけた位置は完成後も空隙として
残る。また、上記乾燥工程は一定温度の炉中で行うが、
自然乾燥でも、また、次の排気工程の一部に含ませても
良く、望ましくは、あまり急激に蒸発させて電子放射物
質層にひび・亀裂などが入らない条件で液体分がなくな
り、固定され、この固定されるまでに空孔材粒子が固体
のままなら良い。
【0052】空孔材粒子はアクリル樹脂粉末に限定する
ものではなく、印刷後の低温の乾燥工程後までそのまま
粒として残り、その後、600℃あるいはそれ以下の真
空中加熱で完全に分解して除去される粒子であればよ
い。乾燥工程までは、ペーストを塗布した層内の構成が
変化しやすく、それまでに粒子が溶けたり、液化した
り、分解・蒸発して、その形を保たない場合、粒子が支
えている構成が変化して空孔材粒子を入れた効果がなく
なる。
【0053】また、空孔材粒子が600℃を越えても分
解・蒸発を続け、除去できない場合、次に述べるように
電子放射量が小さくなる。アルカリ土類金属の炭酸塩は
約600℃で炭酸塩から酸化物に分解を始める。一般に
この分解時に真空度が十分低くないと焼結して電子放射
量が小さくなるが、このときに空孔材粒子の分解・蒸発
によるガスがあるとこの現象が起こる。また、できたア
ルカリ土類金属の酸化物が、空孔材粒子の分解したガス
と反応し、酸化物以外の例えば水酸化物などになるとそ
の部分は電子放射をほとんどしなくなる。従って、空孔
材粒子は600℃に達するまでに分解・蒸発が終わって
いる必要がある。さらに必須ではないが、空孔材粒子の
分解・蒸発による発生ガスの悪影響をさけるためには空
孔材粒子が完全に分解・蒸発する温度で数十分程度昇温
を止めると効果的である。
【0054】従来例のスプレーで電子放射物質を塗布す
る方式の場合、空孔材粒子を用いると、電子放射量のば
らつきが大きくなり、また、寿命試験中に電子放射をグ
リッドで遮断する電圧(黒表示するための必要電圧に相
当し、以下カットオフ電圧と呼ぶ)が大きく変動するこ
とが多い。この理由は、スプレーで作られた炭酸塩粒子
の構造が針状粒子のもともと不安定な組立を基にしてい
るため、空孔材粒子による空隙ができると、完成時にそ
の構造がつぶれて電子放射量のばらつきになり、また、
長時間動作させていると、電子放射物質層のバリウムが
蒸発してゆき、動作中に突然潰れることによって、カッ
トオフ電圧が急激に変動することによる。
【0055】これに対して、電子放射物質層を形成する
手段として印刷を用いる場合、空孔材粒子を用いても、
あまり、電子放射量のばらつきは大きくなく、また、寿
命試験中の急激なカットオフ電圧の変動もほとんど見ら
れなかった。この理由は、印刷時にしっかり金属基体に
アルカリ土類金属炭酸塩粒子が押さえつけられるので、
空孔材粒子による空隙があいても炭酸塩粒子が形作る構
造が安定なため、完成時につぶれたり、多少バリウムが
蒸発してもつぶれたりすることはないことによる。
【0056】しかし、この空孔材粒子をもちいたこの実
施例2の方式は、2種類の炭酸塩粒子を用いた実施例1
に比較すると、電子放射量はやや良いが、ばらつきも若
干大きい。これは、印刷によっても、空孔材粒子の蒸発
した後の電子放射物質粒子による構造がやや不安定であ
ることによると考えられる。
【0057】上記空孔材粒子は印刷用ペースト中におい
てアルカリ土類金属炭酸塩に対する体積比で、5%から
30%である必要がある。5%以上でないと空孔材粒子
を入れた効果が小さく、電子放射量が小さい。空孔材粒
子を用いた場合、上述したように電子放射量にばらつき
が大きいが、特に、30%以上では空孔材を分解・蒸発
させた後、そのぬけた後がそのままの空孔とならずにつ
ぶれてしまう率が高く、また、全体的の完成した電子放
射物質層が崩れやすく、電子放射量のばらつきが大きく
なる。従って、5%から30%の範囲内では、若干ばら
つきがみられる程度で十分効果がある。
【0058】また、平均の粒子直径が1μmより小さい
と空隙の大きさが十分でなく、入れた効果が小さい。ま
た、平均の粒子直径が20μmより大きいと表面位置で
空孔材粒子がぬけたあとに相当する電子ビームの分布の
不均一ができ、モアレが起こる場合がある。平均の粒子
直径が1μmから20μmの範囲内なら、このようなこ
とがなく、十分効果がみられる。
【0059】なお、ここでは空孔材粒子の粒子直径Dと
は、その粒子の最も長い軸方向に対して垂直な断面内で
最も大きい長さをいう。平均の粒子直径は、粒子の群内
の粒子直径の算術平均である。これらの定義は電子放射
物質層になるアルカリ土類金属炭酸塩の粒子の寸法の定
義、平均の定義と同様である。
【0060】また、ここでは、一例として、球形の空孔
材粒子を用いたが、球形である必要はなく、この寸法条
件を満たせば、同様に効果がある。
【0061】実施例3 第8図はこの発明の実施例3による陰極線管の酸化物カ
ソードの一部を拡大した断面図であり、第9図は第8図
の陰極線管を製造するために、電子放射物質層となる印
刷用ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥した
後の同じ位置の断面図である。第9図に示すように電子
放射物質層となる層3は、主に、アルカリ土類金属の炭
酸塩である粒子5、6と、空孔材粒子7で構成されてい
る。このうちアルカリ土類金属の炭酸塩は第1群の粒子
5である通常の針状粒子と、この第1群の粒子より、平
均の長さLが小さく、平均の直径Dが大きい第2群の粒
子6からなる。本実施例は実施例1の陰極線管の製造に
際し、空孔材粒子を付加したものに相当する。陰極線管
が完成した後は、第8図に示すように空孔材粒子7は分
解、蒸発し残っていないが、その空孔材粒子の存在した
位置は空隙になる。また、空孔材粒子7と第2群の粒子
6のため、第1群の粒子相互間の重なりがさらに減少す
る。このため、従来と同程度の電子放射量が得られ、さ
らに、実施例2に比較し、電子放射量のばらつきが小さ
くなり、電子放射量も若干増加している。一方、表面に
小さい孔が多くあるが、大きな凹凸はなく、モアレがほ
とんど観測されず、電子ビームの直径が小さくなって解
像度も上がった。
【0062】このように空孔材粒子を用い、さらに、炭
酸塩として2群の粒子を用いた場合、いずれか一方のみ
用いた場合より、電子放射特性が良くなる。この理由は
以下のように考えられる。炭酸塩として2種類の粒子を
用いた場合、空孔材粒子を用いるのに比較すると、電子
放射物質層の空隙は小さくなるが、一方、空孔材粒子を
用いた場合、空孔材粒子がぬけた後の電子放射物質層の
構造がやや不安定で、これに球に近い粒子があると電子
放射物質層の構造が安定になって、その結果、電子放射
量のばらつきが小さくなり、これに対応して、電子放射
量も増加すると考えられる。
【0063】この陰極線管の製造方法は、以下の通りで
ある。電子放射物質となるバリウム、ストロンチウム、
カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩の粒子として、
2種類の粒形のものを使用し、第1群の粒子は、平均の
長さLが4から15μm、平均の直径Dが0.4から
1.5μmの針状のものである。第2群の粒子は、その
平均値が第1群の粒子の平均の長さLの60%以下で、
平均の直径の1.5倍以上の短く太いものである。これ
らの別々に作られたアルカリ土類金属炭酸塩の2群の粒
子を、第1群の粒子がアルカリ土類金属の原子数比で5
0%から95%となるように混合して、この他は実施例
2と同様に印刷用ペーストを作り、このあとの工程も上
記実施例2と同様にして陰極線管を製造する。
【0064】実施例4 上記実施例1、3においては、バリウムとストロンチウ
ムとカルシウムの原子比は一例では0.5:0.4:
0.1で2つの群の粒子の比率とも等しくし、別々に作
られた第1群と第2群の粒子を、第1群の粒子がそれぞ
れのアルカリ土類金属の原子数比で50%から95%と
なるように混合する例について示した。このバリウム、
ストロンチウム、カルシウムの比率は製造される陰極線
管の電子放射効率により決定された割合で、この割合を
それぞれ2つの群の粒子に分配したものである。
【0065】本実施例については、上記バリウム、スト
ロンチウム、カルシウムの全体の比率は維持されるよう
に、バリウムの第1群と第2群の比率を最適化したもの
である。第2群の粒子は少なくともバリウムとストロン
チウムの炭酸塩からなり、そのアルカリ土類金属中のバ
リウムの原子比を30%以下とする。第1群の粒子につ
いては、そのアルカリ土類金属中のバリウムの原子比が
40%から70%となるようにする。
【0066】第1群の粒子のバリウムの比率がその下限
値以下では仕事関数が増加し、そのため明らかに電子放
射量が低下する。第2群の粒子の電子放射は元来小さ
く、さらに小さくても全体の電子放射量にはほとんど影
響しないと考えられ、また、後述するように第2群の粒
子表面に第1群の粒子表面からバリウムが拡散する現象
もあり、実際、差はみられなかった。一方、実施例1あ
るいは実施例2、実施例3においては、カットオフ電圧
が変動し、制御電源の動作条件を固定しておくと明るさ
が変動するという問題が生じる。第10図はこの発明の
実施例4における動作時間とカットオフ電圧の変化の関
係を示す図である。この実施例4においては、カットオ
フ電圧の経時変化が小さくなる。この理由は、第2の粒
子群のバリウムが少なくなったため焼結が起こり難くな
り、このため、電子放射物質層の構造の経時変化が少な
くなって、カットオフ電圧の経時変化も小さくなったと
考えられる。
【0067】実施例5 上記実施例1〜4においては、金属基体1の表面に直接
印刷法でアルカリ土類金属の炭酸塩の層を形成していた
が、本実施例では、アルカリ土類金属の炭酸塩の層を形
成する前に金属基体の表面にタングステンあるいはモリ
ブデンを主成分とする膜を電子ビーム蒸着あるいは印刷
などで厚さ0.1μmから2μmで形成する。この後、
膜形成時の酸化を還元するため、水素中で900℃から
1000℃で加熱処理しても良い。この金属基体を用
い、上記のいずれかの実施例に準じてアルカリ土類金属
の炭酸塩の層を形成する。
【0068】実施例1から4に示すアルカリ土類金属の
炭酸塩の層を金属基体1上にスクリーン印刷で形成した
場合、製造工程の条件裕度等に起因して、基体金属1と
電子放射物質層3との被着性が十分確保できない場合が
生じる。このような場合、陰極線管の動作中に電子放射
物質層が基体1から浮き、あるいは、剥離してしまい、
カットオフ電圧が急変し、さらに電子放射量も急激に減
少するという問題が生じる。これに対して、この実施形
態では被着性を向上させ、このような電子放射物質層が
浮いた、あるいは剥離を防止するもので、カットオフ変
動を生ずるような問題がなくなる。この理由は、金属基
体に上記のような薄いタングステンあるいはモリブデン
を主成分とする層を設けると、タングステンあるいはモ
リブデンが金属基体を構成するニッケルと相互拡散し、
それにより、表面に凹凸ができる。この凹部に印刷用ペ
ーストが印刷の圧力で押し込まれ、被着性が良くなった
と考えられる。
【0069】この金属基体に被膜する材料は主成分がタ
ングステンあるいはモリブデンであれば良く、例えば、
ニッケルを数十%含んでいても良く、また、タングステ
ンとモリブデン両者を含んでいても良い。
【0070】なお、上記実施例2〜5において、印刷ペ
ーストの塗布方法としてスクリーン印刷を用いた例につ
いて説明したが、実施例1に記載したように、他の印刷
方式を用いても同様な効果がある。
【0071】実施例6 第11図は、この発明の実施形態6による陰極線管の酸
化物カソードの一部を拡大した断面図である。上記実施
例1〜5においては、一例では金属基体の電子放射物質
層3を形成する面は平面であったが、本実施例では、凹
状になり、中央部がくぼんでいる。一例では金属基体直
径15mmの円盤で中央部が周辺部に対して0.3mm
低くなっている。電子放射物質層3の前面には電子を引
き出す電位分布を作り出し、その中央にあけられた電子
通過孔10、11から電子を引き出す第1グリッド8と
第2グリッド9が設けられている。この2個のグリッド
の更に前面には図示されていないが、電子ビームを形成
するためのいくつかのグリッドが設けられており、これ
らのグリッドの構成は実施形態1〜5では、説明しなか
ったが、同様に構成されている。この第11図のように
電子放射物質層3は中央部で厚く周辺部で薄くなってい
るが、表面は、平面状になっている。第1グリッドの電
子通過孔10の位置での第1グリッド8と電子放射物質
層3との距離が電子を引き出す電界を決めるので、電子
放射量に影響し、その結果、電子放射物質層3の表面が
平面状でなく、例えば中央部が凸状になっていると、電
子放射物質層3と第1グリッドの水平方向の位置を正確
に合わせなければならなくなる。一方、電子放射物質層
3がこの実施例6のように平面状になっている場合、電
子放射物質層3と第1グリッドの垂直方向の距離だけ正
確に合わせれば、電子を引き出す電界は一定になり、電
子放射物質層3と第1グリッドの孔との水平方向の位置
をそれほど正確に合わせなくてもよい。このため製造が
簡単になる。実施例1〜5においては、このように電子
放射物質層3の表面を平面状にすることは可能で、印刷
ペーストの粘度を上げればよい。しかしながら、印刷ペ
ーストの粘度を上げると印刷面の欠け等が増加する傾向
がある。一方、印刷ペースト粘度が小さい場合、表面張
力によって、中央が盛り上がる傾向がある。この実施例
6においては、金属基体1表面の中央部を窪ませること
によって、粘度が小さい場合でも電子放射物質層3の表
面を平面状にすることができる。
【0072】この電子放射物質層3がほぼ平面になる条
件は、金属基体1のくぼみ量 (中央部と周辺部の高さの
差) と粘度で決まり、例えば、くぼみ量が大きいと粘度
を小さくする必要があり、条件を見いだすのは比較的容
易である。しかしながら、粘度が小さいとばらつきが大
きくなり、制御がしにくくなる。このため、粘度は10
00cP以上が好ましく、これに対応して、くぼみ量も
0.1mm以下にする必要がある。また、くぼみ量以上
に電子放射物質層3を厚くする必要があり、くぼみ量
0.15mm (150μm) を越えると電子放射物質層
3の厚さが150μmを越えることになって、電子放射
量が減少し始め、好ましくない。また、粘度が大きい
と、電子放射物質層の中央部の厚さが周辺部に対して大
きくならず、このように金属基体の中央を凹にする必要
がなくなる。この上限の粘度は6000cP程度であ
る。
【0073】また、金属基体の中央部より周辺部を高く
することによって、印刷ペーストの水平方向の流れ、あ
るいは、回り込みは防止され、印刷の水平方向の位置精
度を厳密にする必要がなくなるという効果がある。この
効果に対しては、印刷用ペーストの粘度はあまり関係し
ない。
【0074】金属基体1のくぼみの形状は、前者の電子
放射物質層の表面を平面にする効果に対しては、球面に
近い形がよいが、軸対象で中央部が深く、周辺部にゆく
に従って浅くなるような形状なら効果がある。一方、後
者の印刷ペーストの水平方向の流れ、あるいは回り込み
を防止する効果に対しては、周辺部が中央部に対して高
くなっていればよく、中央部から周辺部近傍までほとん
ど平面でも十分効果がある。
【0075】実施例7 第12図は、この発明の実施例7による陰極線管の酸化
物カソードの一部を拡大した断面図である。金属基体1
の電子放射物質層3を形成する面は平面であり、電子放
射物質層3の表面が第1グリッド8の電子通過孔10に
向かって中央部が凸になっている。このように電子放射
物質層3の表面を凸状にするために、印刷ペーストの粘
度を小さく、一例では1000〜6000cPになるよ
うに調整し、印刷している。
【0076】このように電子放射する面が第1グリッド
8の電子通過孔10に対して凸状にしたため、電子ビー
ムの径が小さくなり、画質が向上した。電子放射する面
を凸状にすると電子ビームの径が小さくなることは特開
昭63−187528号公報等に明らかにされている。
この理由は、概略以下のように考えられる。すなわち、
電子通過孔10を通過する電子のうち、電子通過孔10
の中心線から離れた位置から放射された電子はビームの
周辺部を構成し、その部分は電子レンズの周辺部を通る
ため収差を受けやすく、広がりやすい。電子放射する面
を凸形状にすると電子通過孔10の中心線近傍より、中
心線から離れた位置の方が電子放射面と第1グリッド8
との距離が大きいため、電子放射しにくい。従って、電
子ビームを広げる原因となる周辺部の電子放射量の比率
が減少するため、電子ビームの径が小さくなる。また、
特開昭63−187528号公報においては、金属基体
を精度良く凸形状に加工する必要があり、これに対し
て、この発明の実施例7においては、金属基体を凸状に
加工する必要がなく、印刷条件の調整だけで、凸状の電
子放射する面を形成することができる。
【0077】第12図に示すように、第1グリッド8の
面と電子放射する位置の距離について、電子通過孔10
の中心線上の距離Loと、電子通過孔10の周での距離
Lsの差をdL (Ls−Lo) とする。このように電子
ビームの径を小さくする効果は、電子放射する面の凸状
態が大きい方 (dLが大きい方) が大きいが、dLが小
さくても効果はあり、たとえば、0.01mm程度でも
数%ビーム径が小さくなる。このように電子放射する面
の中央を凸状にするためには上記したように印刷ペース
トの粘度を小さくすれば良く、6000cP以下で凸状
になり始め、これ以上だとほとんど平坦で凸状にはなら
ない。粘度を小さくすればdLは大きくなるが、100
0cP以下になると形状にばらつきが大きく、例えば凸
の中心を金属基体の中心に位置させることが難しくな
り、凸の中心と第1グリッドの中心を合わせるのが難し
くなる。
【0078】また、凸の中心である金属基体の中心と第
1グリッドの中心がずれているとビームの分布が歪にな
り、モアレが起こりやすくなって、ビーム径も大きくな
る。この凸の中心と第1グリッドの中心のずれが第1グ
リッドの電子通過孔10の直径の20%以下であれば、
電子ビームの径が小さくなる効果はみられる。このよう
に電子放射物質層と第1グリッドの電子通過孔10の相
互の水平方向の位置あわせを正確に行う必要があるが、
たとえば、煩雑ではあるが光学的に位置合わせすること
は可能である。
【0079】実施例8 第13図は、この発明の実施例8による陰極線管の酸化
物カソードの一部を拡大した断面図である。金属基体1
の電子放射物質層3は形成する面は凸状に加工されてお
り、さらに電子放射物質層3は、中央部が厚く、周辺部
が薄くなっており、電子放射物質層3の表面が第1グリ
ッド8の電子通過孔10に向かって中央部が大きく凸状
になっている。金属基体1を凸状にするには、例えば、
金属基体1は適当な微量成分を含むニッケルの板を打ち
抜いて円盤状にするが、この打ち抜き治具の一方を凸状
に、他方を凹状にすればよく、ばらつきを小さくするの
は難しいが、治具のばらつき、磨耗条件を考慮して打ち
抜き条件を細かく制御すれば可能である。一方、電子放
射物質層3の中央部を厚くするのは実施例7と同様に印
刷条件を制御すればできる。例えば、印刷ペーストの粘
度を小さく、1000〜6000cPになるように調整
すればよい。
【0080】このように電子放射する面が第1グリッド
8の電子通過孔10に対して大きく凸状にした (曲率を
さらに小さくした) ため、実施例7と比較しても、さら
に電子ビームの径が小さくなり、画質が向上した。この
ように電子放射する面の凸の曲率を小さくするほど、電
子ビームの径は小さくなり、より高画質になる。この理
由は、実施例7での凸の効果の理由と同様であり、電子
放射について、凸の曲線を小さくすることによって中心
線から離れた位置の電界が小さくなってゆき、電子ビー
ムの径を大きくする要因である中心線から離れた位置か
らの電子放射がさらに小さくなることによると考えられ
る。
【0081】このように金属基体1と電子放射物質層3
の両方で凸状にすることにより、曲率を小さくすること
が可能である。金属基体1のみで曲率を小さくする場
合、曲率が小さくなるに従い、曲率のばらつきが大きく
なる。また、電子放射物質層3については印刷条件で凸
を大きくするのには限界がある。従って、この両者を組
み合わせるとこによって、小さな曲率の電子を放射する
面を精度良く形成させることができる。
【0082】実施例1〜13、比較例1〜7 本実施例は実施例1で説明したものをより具体的に示し
たものである。電子放射物質となるアルカリ土類金属炭
酸塩の粒子として、2つの群の粒子を用い、その平均の
長さLと平均の直径D、および、2群の粒子の混合比
(アルカリ土類金属の原子数比率で第1群の率) を表1
に示す。いずれもアルカリ土類金属はバリウムとストロ
ンチウムとカルシウムからなり、その原子比は0.5:
0.4:0.1である。これにアルカリ土類金属炭酸塩
に対して3重量%の酸化スカンジウムの粒子を加え、こ
の混合粉末100gに対し、分散剤を3〜5g、酢酸ブ
チル溶液の5%ニトロセルロース溶液を3.3g、テレ
ピネオールを40〜60gを加え、混合しながら粘度
を、主に分散剤とテレピネオールの添加量で調整して、
ほぼ4000cPにし、印刷用ペーストとする。
【0083】金属基体は、主成分がニッケルでシリコン
を0.08重量%、マグネシウムを0.04重量%を含
み、直径r1が1.6mm、厚さが80μmである。印
刷用のスクリーンのメッシュは250番、マスクの開口
径r2は14mmである。印刷後、110℃大気中で3
0分乾燥させ、そのときの電子放射物質になる層の厚さ
は約80μmとなった。この後、酸化物カソードは陰極
線管であるモニタ用17インチカラーブラウン管に組み
込み、所定の工程の後、電子放射量、モアレ、電子ビー
ム径の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0084】電子放射特性は通常の動作条件では最も過
酷な条件である白表示において評価しても、差が明白で
ないため、その白表示をさせた状態で、フィラメント4
の印加電圧を下げて電子放射物質層の温度を低下させ、
そのときの電子放射量の減少から電子放射特性を評価し
た。フィラメントの印加電圧が定格値から減少させてい
くと、最初は電子放射量は変化せず、ある印加電圧に達
すると急に低下する特性を持っている。表1では、通常
の動作条件でのフィラメントの印加電圧 (定格値) に対
する、電子放射量の70%になるフィラメントの印加電
圧の比率Pを電子放射量の評価値としている (値が小さ
い程良い) 。この比率Pは、その酸化物カソードの電子
放射量の余裕を表すことになり、例えば、これから寿命
特性の推定が可能で、また、電子放射特性を反映してい
る。モアレは、従来例のカソードを搭載した同様なモニ
タ用17インチブラウン管と同じ表示をして目視で比較
し、非常に良い場合◎、良い場合○、同程度の場合△と
して表1に示した。また、ビーム径については、点を表
示させ、その位置を偏向ヨークに流す電流でわずかにず
らしながら輝度分布を測定し、電子ビーム分布を得た。
この電子ビームの分布の半値幅を上記の従来例のカソー
ドを搭載したブラウン管と比較し、その比率を電子ビー
ム径として表1に示した。なお、この値は小さい程良好
であることを示す。
【0085】
【表1】
【0086】上記表1の、特に、実施例1〜5、比較例
1〜4から、炭酸塩の第1群の粒子比率が50%から9
5%の範囲であれば、電子放射量が従来例並で、モア
レ、電子ビーム径とも改良されていることがわかる。第
2の粒子群との混合比率との関係で比較すると、電子放
射しやすい第1群の粒子比率が小さいと電子放射量が少
なくなり (値が大きくなる) 、大きいと、電子放射物質
層の空隙が少なくなる場合があるため、やや電子放射量
が小さくなるとともにばらつきが大きくなる。
【0087】また、実施例6〜8あるいは実施例9〜1
1、比較例5から第2群の粒子の直径Dが小さいと電子
放射物質層の空隙が少なくなって電子放射量が少なくな
り、第1群の粒子の直径Dの1.5倍以上になっている
必要があることがわかる。また、実施例6〜8、比較例
6から第2群の粒子の長さLが、第1群の粒子の長さL
に近づくと電子放射物質層の空隙が少なくなって電子放
射量が少なくなり、第1群の粒子の長さLの60%以下
になっている必要があることがわかる。なお、第2群の
粒子の直径Dが小さい場合と長さLが大きい場合、電子
放射物質層の空隙が少なくなっている様子、第1群の粒
子の比率が大きい場合、電子放射物質層の空隙が少ない
重なりになることを、走査型電子顕微鏡で確認した。
【0088】さらに、実施例12〜13、比較例7から
第2群の粒子の直径Dが大きくなると電子放射の少ない
第2群の粒子のあとができ、電子放射分布にむらができ
てきて、モアレがでやすく、また、電子ビーム径も太く
なり、第2群の粒子径は7μm以下である必要があるこ
とがわかる。第2群の粒子と電子ビームのむらとの関係
は、カソード表面での電子ビームの分布と、表面の走査
型電子顕微鏡による第2群の粒子の分布が一致している
ことで確かめられた。ただ、第2群の粒子径が7μmを
越えていてもモアレ、電子ビーム径とも従来例よりは良
く、本願発明の効果が確認できた。
【0089】実施例14〜24、比較例8〜12 本実施例は実施例2で説明したものをより具体的に示し
たものである。電子放射物質となるアルカリ土類金属炭
酸塩は、アルカリ土類金属がバリウムとストロンチウム
とカルシウムからなり、その原子比は0.5:0.4:
0.1であり、平均長さLが5μm、平均直径Dが0.
7μmの針状粒子である。これにアルカリ土類金属炭酸
塩に対して3重量%の酸化スカンジウム粉末を加え、さ
らに空孔材粒子として、球状で表2に示す平均直径Dの
アクリル系樹脂粉末であるポリメチルメタアクリレイト
をアルカリ土類金属炭酸塩に対して表2に示す体積比率
で混合した。実施例24のみ、空孔材粒子がほぼ円柱状
で、平均直径Dが3μm、平均長さLが15μmであ
る。この混合粉末100gに対して、分散剤を3〜5
g、酢酸ブチル溶媒の5%ニトロセルロース溶液を3.
0g、テレピネオールを40〜60gを加え、混合しな
がら粘度を、主に分散剤とテレピネオールの添加量で調
整して、ほぼ5000cPにし、印刷用ペーストとす
る。
【0090】比較例12のみ、印刷せず、スプレー法に
より、電子放射物質層を形成した。ペーストはスプレー
法に適した、上記のものとは異なるものであった。
【0091】金属基体、印刷用のスクリーン、マスクは
実施例1と同様であった。印刷後、110℃大気中で3
0分乾燥させ、そのときの電子放射物質になる層の厚さ
は約80μmとなった。なお、上記のペースト化工程か
ら乾燥工程まで空孔材粒子はそのままの粒子状態を保っ
ていた。ここまでの工程で問題のない酸化物カソードは
陰極線管であるモニタ用17インチカラーブラウン管に
組み込み、拡散ポンプで真空に引きながら、まず炉で全
体を380℃まで上げた後、電磁誘導でカソード近傍
(電子銃部分) を加熱し、カソードの温度を約500℃
に30分保つ。この工程で空孔材粒子はほぼ完全に蒸発
する。その後、フィラメントに通電して、カソードのみ
温度を上げ、最高温度が約1000℃になる所定の温度
パターンでアルカリ土類金属の炭酸塩を酸化物に分解し
て電子放射物質層を完成させる。この他の所定の工程の
後、電子放射特量、モアレ、電子ビーム径の測定を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
【0093】上記表2の、特に、実施例14〜17、比
較例8〜9から、空孔材粒子の比率が炭酸塩に対して5
体積%から30体積%の範囲であれば、電子放射量が従
来例並で、モアレ、電子ビーム径とも改良されているこ
とがわかる。空孔材粒子の比率がこれより小さいと電子
放射量が少なくなり、空孔材粒子の比率が大きいと電子
放射量がやや少なくなるとともに、ばらつきが大きくな
る。
【0094】さらに、実施例18〜23、比較例10〜
11から、空孔材粒子の平均の直径Dが小さいと空隙の
大きさが小さくなって、電子放射量が少なくなり、ま
た、平均の直径Dが大きいと、空孔材粒子のぬけたあと
に対応して電子ビームの分布が不均一になり、従来例と
同程度モアレのでる場合があり、また電子ビームの径も
あまり小さくならない。これらの例から、空孔材粒子の
平均の直径Dは1μm〜20μmであればよいことがわ
かる。また、これらの電子放射物質の表面状態と電子ビ
ームの分布は、走査型電子顕微鏡と電子ビーム分布測定
装置で確認している。
【0095】また、実施例24は円柱状の空孔材粒子を
用いた例であるが、平均の直径Dが同程度の球状の空孔
材粒子を用いた場合とほとんど同じ特性を示しており、
空孔材粒子は球状でなくても同様な効果を持つことがわ
かる。
【0096】比較例12から、ペーストに空孔材粒子を
含み、かつ、スプレー法を用いた場合、電子放射特性に
ばらつきが大きいことがわかる。また、寿命試験を行っ
た結果、カットオフ電圧が大きく変動する場合があっ
た。これらは、空孔材粒子とスプレー法を組み合わせる
と、電子放射物質層の構造が不安定であることによる。
【0097】実施例25〜34 本実施例は実施例3で説明したものをより具体的に示し
たものである。電子放射物質となるアルカリ土類金属炭
酸塩の粒子として、2つの群の粒子を用い、第1群は平
均の長さ5μm、平均の直径0.7μmの針状の粒子
で、第2群の粒子の寸法と、2群の粒子の混合比を表3
に示す。いずれもアルカリ土類金属はバリウムとストロ
ンチウムとカルシウムからなり、その原子比は0.5:
0.4:0.1である。これにアルカリ土類金属炭酸塩
に対して3%の酸化スカンジウムの粒子を加え、さら
に、空孔材粒子として、球状で表3に示す平均直径Dの
アクリル系樹脂粉末であるポリメチルメタアクリレイト
をアルカリ土類金属炭酸塩に対して表3に示す体積比率
で混合した。実施例35については酸化スカンジウムは
加えなかった。この混合粉末100gに対して、分散剤
を3〜5g、酢酸ブチル溶媒の5%ニトロセルロース溶
液を3.5g、テレピネオールを40〜60gを加え、
混合しながら粘度を、主に分散剤とテレピネオールの添
加量で調整して、ほぼ5500cPにし、印刷用ペース
トとする。金属基体、印刷用のスクリーン、マスクは実
施例1〜24と同様であり、その後の工程は実施例14
〜24と同等であった。完成したモニタ用17インチカ
ラーブラウン管について電子放射特量、モアレ、電子ビ
ーム径の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】上記表3から、空孔材粒子と第2群の粒子
によって、第1の粒子相互間の重なりがさらに減少した
ため、電子放射量が表1に示す従来例と同程度あるいは
それ以上の電子放射量が得られ、さらに、空孔材粒子あ
るいは第2の粒子群のいずれかを用いていない実施例1
〜24に比較して、全般的に電子放射量が若干増加する
とともに、特にばらつきが小さくなっていることがわか
る。また、酸化スカンジウムを含まない実施例35につ
いても、ほとんど同様な効果があることがわかる。な
お、酸化スカンジウムを含むと、寿命特性は向上するこ
とが別途確認されている。
【0100】実施例36〜37 本実施例は実施例4で説明したものをより具体的に示し
たものである。電子放射物質となるアルカリ土類金属炭
酸塩の粒子として、2つの群の粒子を用い、第1群は平
均の長さ5μm、平均の直径0.7μmの針状の粒子
で、第2群は実施例36、37とも平均の直径Dが約2
μmのほぼ球状の粒子とし、アルカリ土類金属炭酸塩中
の第1群の粒子の比率をアルカリ土類金属の原子数比で
75%とした。2群ともアルカリ土類金属はバリウムと
ストロンチウムとカルシウムからなり、第1群の粒子の
原子比は0.5:0.4:0.1で、第2群の原子比
は、実施例36では0.3:0.6:0.1、実施例3
7では0.15:0.75:0.1である。これにアル
カリ土類金属炭酸塩に対して3%の酸化スカンジウムの
粒子を加え、さらに、空孔材粒子として、球状で平均直
径5μmのアクリル系樹脂粉末であるポリメチルメタア
クリレイトをアルカリ土類金属炭酸塩に対して20体積
%の比率で混合した。以上の仕様は、第2の粒子群の組
成比以外は実施例26と同様であり、これ以外の仕様・
工程も実施例26と同様である。このモニタ用17イン
チカラーブラウン管の完成後、まず、電子放射量、モア
レ、電子ビーム径の測定を行った。その結果を表4に示
す。
【0101】
【表4】
【0102】上記表4から、実施例26の方が電子放射
量がやや良いが、いずれも従来例 (表1) と比較すると
電子放射量が同程度でモアレ、電子ビーム径とも良いこ
とがわかる。この実施例26、36、37の寿命試験を
行った。このときのカットオフ電圧の変動を第10図に
示す。図中、実施例26、36、37をそれぞれ、A、
B、Cで示す。この図から第2群の粒子のバリウムの比
率を30%以下にするとカットオフ電圧の変動を小さく
できることがわかる。この寿命試験後、走査型電子顕微
鏡で表面を観察したが、実施例36と37は実施例26
に比較し焼結が進んでいないことが確認された。
【0103】また、オージェ分析装置に実施例37と同
じ仕様のカソードをいれ、真空中で加熱してアルカリ土
類金属炭酸塩から酸化物に分解させた後、約750℃で
動作させながら、第2群の粒子表面の組成変化を調べ
た。その結果、1時間程度で第1群の粒子に近い比率ま
でバリウムが増加していることがわかった。このことか
らもともと、第2群の粒子は電子放射量が少ないこと
と、この第1群の粒子からの拡散による表面バリウムの
増加が、実施例36、37の電子放射量が実施例26と
あまり変わらない理由であると推測される。なお、オー
ジェ分析装置内のカソードをさらに約100時間動作さ
せた後、アルゴンイオンで表面をエッチングしながら組
成を調べたところ、内部はあまりバリウムが増加してい
ないことがわかった。従って、表面を除いたバリウムの
少ない部分で焼結による変形を抑えていると考えられ
る。
【0104】実施例38〜41 本実施例は実施例5で説明したものをより具体的に示し
たものである。金属基体1は、主成分がニッケルでシリ
コンが0.08重量%、マグネシウムが0.04重量%
を含み、直径r1が1.6mm、厚さが80μmのもの
を用い、実施例38は、この表面の中央部直径1.3m
mの範囲に厚さ0.4μmのタングステン膜をつけた。
実施例39は、金属基体表面の中央部直径1.3mmの
範囲に厚さ0.9μmのタングステン膜をつけた。実施
例40は、金属基体表面に厚さ0.9μmのタングステ
ン膜の7コの直径0.3mmの円形パターンを、ピッチ
0.4mmで中央の1コを6コで囲むように配置した。
実施例41は、金属基体表面の中央部直径1.3mmの
範囲に厚さ0.4mmのモリブデン膜をつけた。いずれ
も膜は電子ビーム蒸着によって形成した。これら実施例
38〜41は、いずれも印刷用ペースト、この後の製造
方法は従来例26と同様である。
【0105】この陰極線管の電子放射特性、モアレ、電
子ビーム径は上記表4に示すように実施例26と同等で
有意差はなかった。
【0106】一方、金属基体にタングステン蒸着してい
ない実施例26などの本発明の実施例においては、その
ままでは、寿命試験中に数%の割合でカットオフ電圧が
急激に変動し、しかも電子放射量も減少する場合があっ
た。この現象を起こしたカソードの表面を観察したとこ
ろ、電子放射物質層が金属基体から離れて、浮いていた
り、さらには剥離が生じていることがわかった。このた
め、印刷し、乾燥した後、全数を一定風量の空気を吹き
かける被着性テストを行い、電子放射物質層になる層が
剥離しないもののみ用いるようにした。このため、上記
のような寿命試験中に電子放射物質層が浮いてカットオ
フ電圧が急激に変動するものはなくなったが、被着性テ
ストを行わなければならないこと、乾燥工程後に10%
程度の不良がでることなどの問題があった。これに対し
て、この実施例38は被着性テストで剥離を生ずるもの
はほとんどなかった。このため、ロットごとの抜き取り
検査のみでも良く、また、さらに条件を最適化すれば被
着性テストそのものを抜くことができると考えられ、さ
らに不良率も減少する。
【0107】この実施例で被着性が向上した理由は、金
属基体表面が、タングステンまたはモリブデンとニッケ
ルの相互拡散により、凹凸ができ、そこに印刷した電子
放射物質が入り込み、被着性が良くなることが考えられ
るが、実際、このカソードを樹脂に埋め込んで断面を削
りだし、走査型電子顕微鏡で観察したところ、金属基体
の凹凸、およびそこに入り込んだ電子放射物質が観測さ
れ、その効果が裏付けられた。
【0108】本発明の酸化物カソードを備えた陰極線管
は、ニッケルを主成分とする金属基体上に、アルカリ土
類金属酸化物を含んだ電子放射物質層を備え、前記アル
カリ土類金属酸化物は形状が針状である第1群の粒子
と、該第1群の粒子と異なり塊状形状を有する第2群の
粒子との混合物から構成され、前記第2群の粒子の平均
長さは、第1群の粒子の平均長さの60%であり、かつ
第2群の粒子の平均直径は第1群の粒子の平均直径の
1.5倍以上であって、さらに前記電子放射物質層を構
成するアルカリ土類金属酸化物中の第1群の粒子の比率
がアルカリ土類金属酸化物の原子数比で50%から95
%である構成を有するので、アルカリ土類金属酸化物の
結晶粒がランダムに重なり合うようになって電子放射物
質層に空隙ができるため、十分な電子放射量を得ること
ができる。
【0109】カソードの電子放射物質層になる層を印刷
によって形成したため、表面の大きな凹凸がなくなった
ため、電子放射分布が均一になって、モアレの発生を抑
制し、また、電子ビームの径が小さい解像度の高い陰極
線管となる。
【0110】また、第2群の粒子が、平均直径が7μm
以下の球形状の粒子であるので、電子放射の少ない第2
群の粒子のあとが電子ビーム分布に現れないようになる
ため、モアレの発生を抑制し、電子ビーム径を小さくす
ることができる。
【0111】また、第2群の粒子は、少なくともバリウ
ムとストロンチウムの炭酸塩からなり、該第2群の粒子
の総バリウム量は、第2群の粒子の総アルカリ土類金属
量に対して、原子比が30%以下であるので、製造工程
を経ても変形が減るため、カットオフ電圧の変化を少な
くできる。
【0112】また、金属基体の電子放射物質層が形成さ
れる面の形状がr1 (mm) の直径を有する略円形であ
って、前記電子放射物質層の平面形状がr2 (mm) の
直径を有する略円形であって、 r2≦r1−0.1 を満足するので、電子放射物質全体の形状を抑制でき、
厚さを一定にでき、特性のバラツキを小さくできる。
【0113】さらに、金属基体と電子放射物質層との間
に、タングステンまたはモリブデンを主成分とする層を
備えたので、電子放射物質層と金属基体との被着性が良
くなるため、カットオフ電圧の変動が小さくなって、寿
命特性が良くなる。
【0114】本発明の第1の酸化物カソードを備えた陰
極線管の製造方法は、酸化物カソードの構体をなすニッ
ケルを主成分とする金属基体上に、電子放射物質となる
アルカリ土類金属の炭酸塩の粒子を含む印刷用ペースト
を、印刷により被着させる工程、前記工程で被着された
印刷用ペーストを前記金属基体上に固定させる乾燥工
程、および酸化物カソードを陰極線管に組み込んだ後、
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を電子放射物質である酸
化物にするための真空に引きながら加熱する工程を含
み、かつ、前記印刷用ペースト中のアルカリ土類金属の
炭酸塩として、形状が針状である第1群の粒子と、該第
1群の粒子と異なり塊状形状を有する第2群の粒子との
混合物を含むものを用い、該第2群の粒子の平均長さ
は、第1群の粒子の平均長さの60%以下であり、か
つ、第2群の粒子の平均直径は第1群の粒子の平均直径
1.5倍以上であって、さらに前記電子放射物質層を
構成するアルカリ土類金属酸化物中の第1群の粒子の比
率がアルカリ土類金属酸化物の原子数比で50%から9
5%であることを特徴とするので、表面の大きな凹凸が
なくなったため、電子放射分布が均一になって、モアレ
の発生が抑制され、また、電子ビームの径が小さい解像
度の高い陰極線管となる。さらにアルカリ土類金属酸化
物の結晶粒がランダムに重なり合うようになって電子放
射物質層に空隙ができるため、十分な電子放射量を得る
ことができる。
【0115】本発明の第2の酸化物カソードを備えた陰
極線管の製造方法は、酸化物カソードの構体をなすニッ
ケルを主成分とする金属基体上に、電子放射物質となる
アルカリ土類金属の炭酸塩の粒子と、平均の直径が1μ
mから20μmの空孔材粒子とを含む印刷用ペースト
を、印刷により被着させる工程、前記工程で被着された
印刷用ペーストを前記金属基体上に固定させる乾燥工
程、および酸化物カソードを陰極線管に組み込んだ後、
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を電子放射物質である酸
化物にするために真空に引きながら加熱し、該加熱時に
前記空孔材粒子を除去する工程を備えたので、電子放射
物質層中の空孔材粒子が蒸発したあとが空隙になるた
め、十分な電子放射量を得ることができる。
【0116】また、空孔材粒子のアルカリ土類金属の炭
酸塩に対する体積比を5%乃至30%としたので、十分
な電子放射量を得ることができるとともに、そのばらつ
きを抑えることができる。
【0117】また、空孔材粒子をアクリル系樹脂粉末と
したので、確実に乾燥工程が終了するまでその形を保
ち、かつ、600℃になるまでに完全に蒸発させること
ができるため、電子放射物質層に有効な空隙を形成する
ことができる。
【0118】さらに、印刷用ペースト中のアルカリ土類
金属の炭酸塩として、形状が針状である第1群の粒子
と、該第1群の粒子と異なり塊状形状を有する第2群の
粒子との混合物を含むものを用い、該第2群の粒子の平
均長さは、第1群の粒子の平均長さの60%以下であ
り、かつ、第2群の粒子の平均直径は第1群の粒子の平
均直径の1.5倍以上であって、さらに電子放射物質層
を構成するアルカリ土類金属酸化物中の第1群の粒子の
比率がアルカリ土類金属酸化物の原子数比で50%から
95%であることを規定したので、電子放射物質中の空
孔材粒子が蒸発したあとが空隙になり、アルカリ土類金
属酸化物の結晶粒がランダムに重なり合うようになって
空隙を形成するとともに、空隙を支えるようになるため
に、さらに十分な電子放射量を得、また電子放射量のば
らつきを減らすことができる。
【0119】本発明の第1および第2の酸化物カソード
を備えた陰極線管の製造方法は、印刷方法としてスクリ
ーン印刷を用い、印刷用ペーストが、ニトロセルロース
溶液とエチルセルロース溶液の少なくとも一方と、テレ
ピネオールと、分散剤とを含み、かつ、その粘度が20
00cP〜10000cPであり、さらに、印刷用ペー
スト塗布時に用いるメッシュとして120番〜500番
のものを用い、乾燥工程後の印刷用ペーストの被着厚さ
を、40μm〜150μmとなるように塗布したので、
均一な厚さの印刷を不良率が小さい条件で行うことがで
きる。
【0120】また、金属基体の電子放射物質層が形成さ
れる面の形状がr1 (mm) の直径を有する略円形であ
って、スクリーン印刷のマスクの開口部の形状がr2
(mm) の直径を有する略円形であって、 r2≦r1−0.1 を満足することを規定したので、一定厚さの印刷ができ
る。
【0121】また、金属基体の電子放射物質層を形成す
る面を凹状とすることによって、印刷ペーストの粘度を
小さくしても電子を放射する面を平坦にすることができ
るため、印刷時の不良を軽減することができ、かつ、カ
ソードと第1グリッドの電子通過孔との位置合わせを簡
単に行うことができる。
【0122】また、乾燥工程後の印刷ペーストの外形
状、あるいは、電子放射物質層の外形状を電子を取り出
す方向に向かって少なくとも電子を取り出す部分を凸状
にすることによって、簡単に電子ビームの径を小さくす
ることができる。
【0123】また、さらに電子放射物質層を形成する面
を凸状とすることによって、電子ビームの径を精度良
く、さらに小さくすることができる。
【0124】[産業上の利用可能性] この発明による陰極線管は、テレビジョン受信装置通の
ディスプレイ用ブラウン管や各種の撮像管、送信管、放
電管等への適用が可能である。 [図面の簡単な説明]
【図1】この発明の実施例1を示す酸化物カソードの部
分の拡大断面図である。
【図2】この発明の実施例1における酸化物カソードの
電子放射物質になるアルカリ土類金属の炭酸塩の第1群
の粒子を示す拡大図である。
【図3】この発明の実施例1における酸化物カソードの
電子放射物質になるアルカリ土類金属の炭酸塩の第2群
の粒子を示す拡大図である。
【図4】比較例1の酸化物カソード部分を示す拡大断面
図である。
【図5】この発明の実施例1における酸化物カソードの
電子放射物質になるアルカリ土類金属の炭酸塩の第1群
の粒子と第2群の粒子について、その長さLと直径Dの
分布を示す図である。
【図6】この発明の実施例2を示す酸化物カソードの部
分の拡大断面図である。
【図7】この発明の実施例2における乾燥工程後の酸化
物カソード部分拡大断面図である。
【図8】この発明の実施例3を示す酸化物カソードの部
分の拡大断面図である。
【図9】この発明の実施例3における乾燥工程後の酸化
物カソード部分拡大断面図である。
【図10】この発明の実施例4における動作時間とカッ
トオフ電圧の変化の関係を示す図である。
【図11】この発明の実施例6を示す酸化物カソードの
部分の拡大断面図である。
【図12】この発明の実施例7を示す酸化物カソードの
部分の拡大断面図である。
【図13】この発明の実施例8を示す酸化物カソードの
部分の拡大断面図である。
【図14】従来の酸化物カソードの部分の例を示す拡大
断面図である。
【図15】従来の酸化物カソードに用いられていた電子
放射物質用アルカリ土類金属の炭酸塩の粒子の一例を説
明するための拡大模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新庄 孝 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 寺本 浩行 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 大平 卓也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−213218(JP,A) 特開 昭59−191226(JP,A) 特開 昭56−97939(JP,A) 特開 平8−77914(JP,A) 特開 昭54−129867(JP,A) 特開 平3−257735(JP,A) 特開 平5−205610(JP,A) 特開 昭58−85243(JP,A) 特開 昭53−85148(JP,A) 特開 平4−174937(JP,A) 実開 昭55−60648(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/28 H01J 9/04 H01J 29/04

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを主成分とする金属基体上に、
    アルカリ土類金属酸化物を含んだ電子放射物質層を備
    え、前記アルカリ土類金属酸化物は形状が針状である第
    1群の粒子と、該第1群の粒子と異なり塊状形状を有す
    る第2群の粒子との混合物から構成され、前記第2群の
    粒子の平均長さは、第1群の粒子の平均長さの60%以
    下であり、かつ第2群の粒子の平均直径は第1群の粒子
    の平均直径の1.5倍以上であって、さらに前記電子放
    射物質層を構成するアルカリ土類金属酸化物中の第1群
    の粒子の比率がアルカリ土類金属酸化物の原子数比で5
    0%から95%であることを特徴とする酸化物カソード
    を備えた陰極線管。
  2. 【請求項2】 第2群の粒子は、平均直径が7μm以下
    の球形状の粒子であることを特徴とする請求の範囲第1
    項に記載の酸化物カソードを備えた陰極線管。
  3. 【請求項3】 第2群の粒子は、少なくともバリウムと
    ストロンチウムの酸化物からなり、該第2群の粒子の総
    バリウム量は、第2群の粒子の総アルカリ土類金属量に
    対して、原子比が30%以下であることを特徴とする請
    求の範囲第1項に記載の酸化物カソードを備えた陰極線
    管。
  4. 【請求項4】 金属基体の電子放射物質層が形成される
    面の形状がr1 (mm) の直径を有する略円形であっ
    て、前記電子放射物質層の平面形状がr2 (mm) の直
    径を有する略円形であって、 r2≦r1−0.1 を満足することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の
    酸化物カソードを備えた陰極線管。
  5. 【請求項5】 金属基体と電子放射物質層との間に、タ
    ングステンまたはモリブデンを主成分とする層をさらに
    備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の酸化
    物カソードを備えた陰極線管。
  6. 【請求項6】 金属基体の電子放射物質層が形成される
    面の断面形状を凹状としたことを特徴とする請求の範囲
    第1項に記載の酸化物カソードを備えた陰極線管。
  7. 【請求項7】 金属基体の電子放射物質層が形成される
    面の断面形状を凸状としたことを特徴とする請求の範囲
    第1項に記載の酸化物カソードを備えた陰極線管。
  8. 【請求項8】 酸化物カソードの構体をなすニッケルを
    主成分とする金属基体上に、電子放射物質となるアルカ
    リ土類金属の炭酸塩の粒子を含む印刷用ペーストを、印
    刷により被着させる工程、前記工程で被着された印刷用
    ペーストを前記金属基体上に固定させる乾燥工程、およ
    び酸化物カソードを陰極線管に組み込んだ後、前記アル
    カリ土類金属の炭酸塩を電子放射物質である酸化物にす
    るための真空に引きながら加熱する工程を含み、かつ、
    前記印刷用ペースト中のアルカリ土類金属の炭酸塩とし
    て、形状が針状である第1群の粒子と、該第1群の粒子
    と異なり塊状形状を有する第2群の粒子との混合物を含
    むものを用い、該第2群の粒子の平均長さは、第1群の
    粒子の平均長さの60%以下であり、かつ、第2群の粒
    子の平均直径は第1群の粒子の平均直径の1.5倍以上
    であって、さらに前記電子放射物質層を構成するアルカ
    リ土類金属酸化物中の第1群の粒子の比率がアルカリ土
    類金属酸化物の原子数比で50%から95%であること
    を特徴とする酸化物カソードを備えた陰極線管の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 酸化物カソードの構体をなすニッケルを
    主成分とする金属基体上に、電子放射物質となるアルカ
    リ土類金属の炭酸塩の粒子と、平均の直径が1μmから
    20μmの空孔材粒子とを含む印刷用ペーストを、印刷
    により被着させる工程、前記工程で被着された印刷用ペ
    ーストを前記金属基体上に固定させる乾燥工程、および
    酸化物カソードを陰極線管に組み込んだ後、前記アルカ
    リ土類金属の炭酸塩を電子放射物質である酸化物にする
    ために真空に引きながら加熱し、該加熱時に前記空孔材
    粒子を除去する工程を備えたことを特徴とする酸化物カ
    ソードを備えた陰極線管の製造方法。
  10. 【請求項10】 空孔材粒子のアルカリ土類金属の炭酸
    塩に対する体積比を5%乃至30%としたことを特徴と
    する請求の範囲第9項に記載の酸化物カソードを備えた
    陰極線管の製造方法。
  11. 【請求項11】 空孔材粒子をアクリル系樹脂粉末とし
    たことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の酸化物
    カソードを備えた陰極線管の製造方法。
  12. 【請求項12】 印刷用ペースト中のアルカリ土類金属
    の炭酸塩として、形状が針状である第1群の粒子と、該
    第1群の粒子と異なり塊状形状を有する第2群の粒子と
    の混合物を含むものを用い、該第2群の粒子の平均長さ
    は、第1群の粒子の平均長さの60%以下であり、か
    つ、第2群の粒子の平均直径は第1群の粒子の平均直径
    1.5倍以上であって、さらに電子放射物質層を構成
    するアルカリ土類金属酸化物中の第1群の粒子の比率が
    アルカリ土類金属酸化物の原子数比で50%から95%
    であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の酸化
    物カソードを備えた陰極線管の製造方法。
  13. 【請求項13】 印刷用ペーストを印刷により被着させ
    る工程を、スクリーン印刷により行うことを特徴とする
    請求の範囲第8項に記載の酸化物カソードを備えた陰極
    線管の製造方法。
  14. 【請求項14】 印刷用ペーストは、ニトロセルロース
    溶液とエチルセルロース溶液の少なくとも一方と、テレ
    ピネオールと、分散剤とを含み、かつ、その粘度が20
    00cP〜10000cPであり、さらに、印刷用ペー
    スト塗布時に用いるメッシュとして120番〜500番
    のものを用い、乾燥工程後の印刷用ペーストの被着厚さ
    を、40μm〜150μmとなるように塗布したことを
    特徴とする請求の範囲第13項に記載の酸化物カソード
    を備えた陰極線管の製造方法。
  15. 【請求項15】 金属基体の電子放射物質層が形成され
    る面の形状がr1 (mm) の直径を有する略円形であっ
    て、スクリーン印刷のマスクの開口部の形状が、r2
    (mm) の直径を有する略円形であって、 r2≦r1−0.1 を満足することを特徴とする請求の範囲第13項に記載
    の酸化物カソードを備えた陰極線管の製造方法。
  16. 【請求項16】 金属基体の電子放射物質層が形成する
    面を凹状としたことを特徴とする請求の範囲第8項に記
    載の酸化物カソードを備えた陰極線管の製造方法。
  17. 【請求項17】 乾燥工程後の印刷ペーストの外形状、
    あるいは、電子放射物質層の外形状を電子を取り出す方
    向に向かって少なくとも電子を取り出す部分を凸状にし
    たことを特徴とする請求の範囲第8項に記載の酸化物カ
    ソードを備えた陰極線管の製造方法。
  18. 【請求項18】 上記金属基体の電子放射物質層を形成
    する面を凸状としたことを特徴とする請求の範囲第17
    項に記載の酸化物カソードを備えた陰極線管の製造方
    法。
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