JP3174492B2 - ウサギmmp−3に対するモノクローナル抗体及びそれを用いた免疫学的測定法 - Google Patents

ウサギmmp−3に対するモノクローナル抗体及びそれを用いた免疫学的測定法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗ウサギマトリッ
クスメタロプロテアーゼ−3(MMP−3;ストロムラ
イシン1)モノクローナル抗体、及びそのモノクローナ
ル抗体を用いた酵素免疫測定法ならびに該測定法に基づ
き、検体中に存在するウサギMMP−3を定量する方法
に関する。より好ましくはヒトMMP−3とは免疫的に
交差反応しない抗ウサギマトリックスメタロプロテアー
ゼ−3(MMP−3)モノクローナル抗体およびその用
途に関する。
【0002】
【従来の技術】慢性関節リウマチ(RA)、変形性関節
症(OA)等における軟骨損傷にマトリックスメタロプ
ロテアーゼ類(matrix metalloprot
einases;MMPs)が関与することが示唆され
ている(Okada et al.J.Biol.Ch
em.,261,14245−14255,1986,
Lab.Invest.,66,680−690,19
92)。中でもMMP−3は、軟骨基質のプロテオグリ
カンを分解するほか、プロMMP−1(コラゲナーゼ
1)の活性化を通して、コラーゲン分解を促進すること
で軟骨損傷に重要な役割を担うと考えられている。ウサ
ギプロMMP−3の分子量は51kDaであり、トリプ
シン、4−アミノフェニル酢酸第二水銀(APMA)等
で処理することにより、低分子の活性型MMP−3に変
換される(Chin et al.J.Biol.Ch
em.,260,12367−12376,198
5)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】我々はヒトMMP−3
の測定系を開発(特開平4−237499)したが、こ
こで用いる抗ヒトMMP−3モノクローナル抗体は他の
動物種由来のMMP−3と交差反応しないことから、ヒ
ト以外のMMP−3を測定することはできない。RA、
OA等の関節疾患の動物モデルにはウサギが頻用され
る。従って、ウサギMMP−3の測定系が望まれてい
た。これまで、ウサギMMP−3の測定系としては、抗
ヒトMMP−3モノクローナル抗体と抗ウサギMMP−
3ポリクローナル抗体を用いたMMP−3測定系(Mc
donnell et al. Arthritis
Rheum.,35,799−805,1992, H
utchinson et al.Arthritis
Rheum.,35,1227−1233,199
2)が報告されている。そのアッセイ系は、固相抗体に
抗ヒトMMP−3モノクローナル抗体を使用し、二次抗
体にヒツジ抗ウサギMMP−3ポリクローナル抗体とH
RP標識ロバ抗ヒツジポリクローナル抗体を用い発色さ
せている。この系では、一方の抗体を酵素標識していな
いため抗原抗体反応が3段階あり、動物種の異なるポリ
クローナル抗体と抗ヒトモノクローナル抗体を用いてい
ることから、より特異性の高い測定系が求められる。な
お、抗ウサギMMP−3モノクローナル抗体を得たとい
う報告はない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ウサギM
MP−3タンパクを定性的及び定量的に測定するには、
それを特異的に認識しうるモノクローナル抗体、すなわ
ちウサギMMP−3に対するモノクローナル抗体を得る
べきと考え、鋭意研究の結果、ウサギMMP−3に対す
るモノクローナル抗体を作成することに成功した。そし
てその結果、抗体として抗ウサギプロMMP−3モノク
ローナル抗体を用いたサンドイッチ酵素免疫測定(EI
A)法を確立し、ウサギOAモデルの関節液中ウサギプ
ロMMP−3濃度をより特異的に測定することを可能と
した。さらにこれらモノクローナル抗体は組織や細胞の
免疫学的染色のための試薬としても有用であることを見
いだした。
【0005】すなわち、本発明は、(1) ウサギマト
リックスメタロプロテアーゼ(MMP−3)と特異的に
免疫反応することを特徴とするモノクローナル抗体、
(2) ヒトMMP−3と免疫的に交差反応しないこと
を特徴とする(1)記載のモノクローナル抗体、(3)
ウサギプロMMP−3と特異的に免疫反応し、ウサギ
活性型MMP−3と免疫反応しないことを特徴とする
(1)又は(2)記載のモノクローナル抗体、(4)
ウサギMMP−3に特異的に免疫反応するモノクローナ
ル抗体であって、ウサギプロMMP−3に対して免疫反
応し且つウサギ活性型MMP−3に対しても免疫反応す
ることを特徴とする(1)又は(2)記載のモノクロー
ナル抗体、(5) ウサギMMP−3と特異的に免疫反
応するモノクローナル抗体を測定試薬として用いること
を特徴とするウサギMMP−3の測定方法、(6) ウ
サギプロMMP−3とウサギ活性型MMP−3とを分別
定量することを特徴とする(5)記載の方法、(7)
測定をサンドイッチ法により、酵素免疫学的に行うもの
であることを特徴とする(5)または(6)記載の方
法、および(8) ウサギMMP−3と特異的に免疫反
応するモノクローナル抗体を用いることを特徴とするウ
サギMMP−3を測定するための試薬を提供するもので
ある。
【0006】本発明のさらに具体的な態様では(9)
(a)対象抗原を含有する測定試料と(b)該対象抗原
と免疫学的に反応する固相抗体および(c)該対象抗原
と免疫学的に反応する標識抗体とを接触させることによ
り前記対象抗原(a)と前記抗体(b)と前記抗体
(c)とからなる複合体を形成させる工程を含む免疫学
的測定法であって、前記(b)の抗体と前記(c)の抗
体のいずれか一方が少なくともウサギMMP−3と特異
的に免疫反応するモノクローナル抗体であることを特徴
とする方法、(10)標識抗体の標識が酵素であること
を特徴とする(9)記載の方法、(11)前記(b)の
抗体と前記(c)の抗体の双方が、ウサギMMP−3と
特異的に免疫反応するモノクローナル抗体であることを
特徴とする(9)または(10)記載の方法、(12)
前記(b)の抗体と前記(c)の抗体の双方が、ウサギ
MMP−3と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体
であり、そのうち少なくとも一方はヒトMMP−3と免
疫的に交差反応しないものであることを特徴とする
(9)〜(11)のいずれか一記載の方法、(13)前
記(b)の抗体と前記(c)の抗体の双方が、ウサギM
MP−3と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体で
あり、そのうち少なくとも一方はウサギプロMMP−3
と特異的に免疫反応し且つウサギ活性型MMP−3と免
疫反応しないものであることを特徴とする(9)〜(1
2)のいずれか一記載の方法、(14)ウサギMMP−
3を定量測定するものであることを特徴とする(9)〜
(13)のいずれか一記載の方法、(15)前記(9)
〜(14)のいずれか一記載の方法に於いて用いるもの
であり、ウサギMMP−3と特異的に免疫反応するモノ
クローナル抗体を含有していることを特徴とするウサギ
MMP−3を測定するための試薬を提供する。特に本発
明に従えばウサギプロMMP−3のみと免疫反応するモ
ノクローナル抗体を測定試薬として用い、サンドイッチ
法により、酵素免疫学的にウサギMMP−3の測定を行
う方法及び試薬が提供される。酵素免疫測定法として
は、例えば、当該分野で広く知られた方法を制限無く適
用できるが、例えば、石川栄治監訳、P. TIJSSEN著、生
化学実験法・エンザイムイムノアッセイ、1989年、
株式会社東京化学同人などに記載の方法などが挙げられ
る。例えば、第一抗体固相法、二抗体法、エミット法
(Enzyme multiplied immunoassay technique; EMIT)、
エンザイムチャンネリングイムノアッセイ法、酵素活性
修飾物質イムノアッセイ法、リポソーム膜−酵素イムノ
アッセイ法、サンドイッチ法、イムノエンザイムメトリ
ックアッセイ法、酵素活性増強イムノアッセイ法などが
挙げられ、それらは競合法であっても、非競合法であっ
てもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるモノクローナ
ル抗体は、ケラー及びミルシュタイン(Kohler,
G.& Milstein,C.,Nature,25
6,495,1975)などにより開示されたミエロー
マ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノ
クローナル抗体であってもよいことはいうまでもない。
本発明で使用されるモノクローナル抗体は、次のような
工程で作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
【0008】1.免疫原性抗原の調製 抗原としては、例えばウサギ組織由来あるいは培養ウサ
ギ細胞株由来のMMP−3を挙げることができる。好ま
しくはウサギプロMMP−3を挙げることができる。例
えば、ウサギ子宮頚管細胞滑膜細胞やウサギHIG−8
2滑膜細胞の培養上清より、Ito et al.(C
omp.Biochem.Physiol.,99B,
381−385,1991)の方法を若干改変した方法
により精製して得られたものが挙げられる。精製されて
得られたウサギプロMMP−3を免疫抗原として用いる
ことができる。ウサギプロMMP−3は、さらに免疫原
性コンジュゲートなどにしてもよいが、そのまま適当な
アジュバントと混合して動物を免疫するのに使用でき
る。さらにウサギプロMMP−3は、それを断片化した
ものを適当な縮合剤を介して種々の担体タンパク質類と
結合させてハプテン−タンパク質の如き免疫原性コンジ
ュゲートとし、これを用いて特定の配列のみを認識でき
るモノクローナル抗体をデザインするのに用いることも
できる。例えば遺伝子組換え技術を適用し、天然の細胞
から分子クローニングにより得られたDNA配列あるい
は既に知られたゲノム配列から、酵素などを用いたり、
化学合成により得られたDNA配列または修飾DNA配
列を、微生物あるいは動物、植物、昆虫などで発現させ
て得られたリコビナント抗原や、それらの情報を利用し
液相法や固相法として知られたペプチド化学合成法によ
り得られたペプチドまたは改変ペプチドを用いることも
できる。
【0009】ペプチドの固相合成法は、一般的には自動
ペプチド合成装置により好適に行うことが出来、例えば
ミリジェン・バイオーチ社製(MilliGen/Bi
osearch)モデル9050、モデル9500、あ
るいはエクセル(Excell)、アプライド・バイオ
システムズ社製(Applied Biosystem
s)モデル430Aやモデル431A、デュポン社製
(DuPont)アールエイエムピーエス(RaMP
S)、国産化学株式会社製「コックさん」、アドバンス
ド・ケムテク社製(Advanced ChemTec
h)モデル350などを用いて行うことができる。ウサ
ギMMP−3のC末端領域、ウサギプロMMP−3のN
末端領域、あるいはそれら領域と実質的に同等の活性あ
るいは構造を有するペプチドを合成して免疫原性コンジ
ュゲートとし、これを用いて特定の配列のみを認識でき
るモノクローナル抗体を得ることができる。
【0010】担体タンパク質類と結合させるにあたって
は、担体タンパク質類はまず活性化されることができ
る。こうした活性化にあたり活性化結合基を導入するこ
とが挙げられる。活性化結合基としては、(1)活性化
エステルあるいは活性化カルボキシル基、例えばニトロ
フェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル
基、1−ベンゾトリアゾールエステル基、N−スクシン
イミドエステル基など、(2)活性化ジチオ基、例えば
2−ピリジルジチオ基などが挙げられる。担体タンパク
質類としては、キーホール・リンペット・ヘモシアニン
(KLH),牛血清アルブミン(BSA)、卵白アルブ
ミン、グロブリン、ポリリジンなどのポリペプタイド、
細菌菌体成分、例えばBCGなどが挙げられる。
【0011】2.免疫原性抗原による動物の免疫 動物を免疫するには、例えば村松繁、他編、実験生物学
講座14、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日
本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究
法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生
化学実験講座12、分子免疫学 III、抗原・抗体・補
体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じ
て行うことができる。抗原と共に用いられるアジュバン
トとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ
(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG、
リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカ
などが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどの
マウスをはじめとする動物を使用して行われる。抗原の
投与量は、例えばマウスに対して約1〜400μg/動
物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後
1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔
内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10
回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB
/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウス
とのF1マウスなどを用いることもできる。必要に応
じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫
の程度を確認できる。
【0012】3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)と
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えばP3−NS−1−Ag4−1(NS−
1,Eur. J. Immunol., 6, 511〜519, 1976)、SP2/
0−Ag14(SP2,Nature, 276, 269〜270, 1978
) 、マウスミエローマMOPC−21セルライン由来
のP3−X63−Ag8−U1(P3U1,Current to
pics in Microbiol. and Immunol., 81, 1〜7, 1978
)、P3−X63−Ag8(X63,Nature, 256, 49
5〜497, 1975 ) 、P3−X63−Ag8.653 (6
53,J. Immunol., 123, 1548〜1550, 1979) などを用
いることができる。8−アザグアニン耐性のマウスミエ
ローマ細胞株はダルベッコMEM培地(DMEM培
地)、RPMI−1640培地などの細胞培地に、例え
ばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛胎児血清
(FCS)などを加え、さらに8−アザグアニン(例え
ば5〜45μg/ml)を加えた培地で継代されるが、
細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細
胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結
保存株を約37℃で完全に解凍したのちRPMI−16
40培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で
培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよ
い。
【0013】4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、脾細胞
懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ節細胞を
得て、それを細胞融合に使用することもできる。こうし
て得られた脾細胞懸濁液と上記4.の工程に従い得られ
たミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地(MEM培
地)、DMEM培地、RPMI−1640培地などの細
胞培地中に置き、細胞融合剤、例えばポリエチレングリ
コールを添加する。細胞融合剤としては、この他各種当
該分野で知られたものを用いることができ、この様なも
のとしては不活性化したセンダイウイルス(HVJ:H
emagglutinating virus of
Japan)などが挙げられる。好ましくは、例えば3
0〜60%のポリエチレングリコールを0.5〜2ml
加えることができ、分子量が1,000〜8,000の
ポリエチレングリコールを用いることができ、さらに分
子量が1,000〜4,000のポリエチレングリコー
ルがより好ましく使用できる。融合培地中でのポリエチ
レングリコールの濃度は、例えば30〜60%となるよ
うにすることが好ましい。必要に応じ、例えばジメチル
スルホキシドなどを少量加え、融合を促進することもで
きる。融合に使用する脾細胞(リンパ球):ミエローマ
細胞株の割合は、例えば1:1〜20:1とすることが
挙げられるが、より好ましくは4:1〜10:1とする
ことができる。融合反応を1〜10分間行い、次にRP
MI−1640培地などの細胞培地を加える。融合反応
処理は複数回行うこともできる。融合反応処理後、遠心
などにより細胞を分離した後選択用培地に移す。
【0014】5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS含有MEM培地、R
PMI−1640培地などの培地、所謂HAT培地が挙
げられる。選択培地交換の方法は、一般的には培養プレ
ートに分注した容量と当容量を翌日加え、その後1〜3
日ごとにHAT培地で半量ずつ交換するというようにす
ることができるが、適宜これに変更を加えて行うことも
できる。また融合後8〜16日目には、アミノプテリン
を除いた、所謂HT培地で1〜4日ごとに培地交換をす
ることができる。フィーダーとして、例えばマウス胸腺
細胞を使用することもでき、それが好ましい場合があ
る。ハイブリドーマの増殖のさかんな培養ウェルの培養
上清を、例えば放射免疫分析(RIA)、酵素免疫分析
(ELISA)、蛍光免疫分析(FIA)などの測定
系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)など
で、ウサギMMP−3あるいはその断片ペプタイドなど
を抗原として用いたり、あるいは標識抗マウス抗体を用
いて目的抗体を測定するなどして、スクリーニングした
り分離する。目的抗体を産生しているハイブリドーマを
クローニングする。クローニングは、寒天培地中でコロ
ニーをピック・アップするか、あるいは限界希釈法によ
りなされうる。限界希釈法でクローニングがより好まし
く行うことができる。クローニングは複数回行うことが
好ましい。
【0015】6.モノクローナル抗体の製造 得られたハイブリドーマ株は、FCS含有MEM培地、
RPMI−1640培地などの適当な増殖用培地中で培
養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体を得
ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイブリ
ドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミエロ
ーマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に
各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、例えばヌー
ド・マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖さ
せ、該動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を
回収して得ることが出来る。ハイブリドーマの移植に先
立ち、プリスタン(2,6,10,14−テトラメチル
ペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与した後、ハイ
ブリドーマを増殖させ、腹水を採取すればよい。腹水液
はそのまま、あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アン
モニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによる
ゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳
動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラ
フィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精
製してモノクローナル抗体として用いることができる。
好ましくは、モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫
安分画した後、DEAE−セファロースの如き、陰イオ
ン交換ゲル及びプロテインAカラムの如きアフィニティ
ーカラムなどで処理し精製分離処理できる。特に好まし
くは抗原又は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗
原タンパク質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識す
る部位など)を固定化したアフィニティー・クロマトグ
ラフィー、プロテインAを固定化したアフィニティー・
クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0016】こうして得られたモノクローナル抗体は、
市販のアイソタイプ特異的抗マウスIg抗体、例えばア
イソタイプ特異的ウサギ抗マウスIg抗体などを用いて
その抗体構成鎖の重鎖及び軽鎖のタイプについて調べる
ことができる。ウサギプロMMP−3抗原を特異的に認
識できるモノクローナル抗体としては、重鎖のタイプと
してγ鎖、特にはγ1 鎖、γ2a鎖、γ2b鎖などを持つも
の、αを持つもの、μ鎖を持つものが挙げられ、軽鎖の
タイプとしてκ鎖を持つものが挙げられる。ウサギMM
P−3抗原を特異的に認識できるモノクローナル抗体と
しては、重鎖のタイプとしてγ鎖、特にはγ1 鎖、γ2a
鎖、γ3 鎖などを持つもの、μ鎖を持つものが挙げら
れ、軽鎖のタイプとしてκ鎖を持つものが挙げられる。
【0017】またこうして大量に得られた抗体の配列を
決定したり、ハイブリドーマ株から得られた抗体をコー
ドする塩基配列を利用して、遺伝子組換え技術により抗
体を作製することも可能である。さらにこれら抗体をト
リプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理し
て、場合により還元して得られるFab、Fab’、F
(ab’)2 といった抗体フラグメントにして使用して
もよい。標識物を付与する抗体としては、IgG画分、
例えば抗体含有物を硫安分画した後、DEAE−セファ
ロースの如き、陰イオン交換ゲルで処理して得られるI
gG画分など、更にはペプシン消化後還元して得られる
特異的結合部Fab’などを用いることができる。これ
らの場合の標識物の例としては、下記するように酵素
(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼあるいは
β−D−ガラクトシダーゼなど)、化学物質、蛍光物質
あるいは放射性同位元素などがある。
【0018】本発明の測定は、イムノアッセイ、例えば
競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで
行うことができることは上記した通りであり、RIA、
ELISAなどを用いることができ、B−F分離を行っ
てもあるいは行わないでその測定を行うこともできる。
好ましくは酵素免疫測定法(EIA)であり、さらにサ
ンドイッチ型アッセイが挙げられる。さらにはまた標識
モノクローナル抗体試薬を用いた免疫細胞染色あるいは
免疫組織染色を行うことができる。測定は直接法でも間
接法でもよい。また間接法の変法、例えばPAP法(ペ
ルオキシダーゼ・アンチペルオキシダーゼ法)、ABC
法(アビジン・ビオチン・コンプレックス法)、プロテ
インA法などを用いることもできる。例えばサンドイッ
チ型アッセイでは、ウサギMMP−3に対する抗体の一
方を検出可能に標識化する。同じ抗原を認識できる他の
抗体を固相に固定化する。検体と標識化抗体及び固相化
抗体を必要に応じ順次反応させるためインキュベーショ
ン処理し、ここで非結合抗体を分離後、標識物を測定す
る。測定された標識の量は抗原、すなわちウサギMMP
−3の量と比例する。このアッセイでは、不溶化抗体
や、標識化抗体の添加の順序に応じてワンステップサン
ドイッチ型アッセイ、フォワード(forward)サンドイッ
チ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなどと
呼ばれる。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗原
の予備抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定工程の
中で適宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃度、温
度あるいはインキュベーション処理時間などのその他の
測定条件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質等の
要素に従い変えることができる。当業者は通常の実験法
を用いながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜選
定して測定を行うことが出来る。
【0019】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。
【0020】さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、
例えば試験管、タイタープレート、タイターウェル、ガ
ラスセル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセ
ル、ガラス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたり
あるいは細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたり
あるいは偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの
固体物質(物体)の表面などが挙げられる。これら担体
へは、抗体を結合させることができ、好ましくは本発明
で得られるウサギマトリックスメタロプロテアーゼ3に
対し特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させる
ことができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するも
のとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合
剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりす
る化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利
用した手法などにより行うことが出来る。
【0021】標識としては、酵素、酵素基質、酵素イン
ヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵
素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッセンス化合物、
発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒子、例えば金コ
ロイドなど、放射性物質などを挙げることができる。酵
素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸化酵素などの酸
化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキシル基、メチル
基、アシル基、リン酸基などを転移するのを触媒する転
移酵素、例えばエステル結合、グリコシド結合、エーテ
ル結合、ペプチド結合などを加水分解する加水分解酵
素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼなどを挙げるこ
とができる。酵素は複数の酵素を複合的に用いて検知に
利用することもできる。例えば酵素的サイクリングを利
用することもできる。
【0022】代表的な酵素標識としては、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β−D
−ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコース−6−フォスフェー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グル
コアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラー
ゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリ
ホスファターゼなどのアルカリ・フォスファターゼなど
が挙げられる。アルカリホスファターゼを用いた場合、
4−メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウン
ベリフェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなど
のリン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素
的サイクリング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン
誘導体などの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光
などにより測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ
系を利用したりすることもできる。カタラーゼを用いた
場合、過酸化水素と反応して酸素を生成するので、その
酸素を電極などで検知することもできる。電極としては
ガラス電極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電
極、高分子膜電極などであることもできる。酵素標識
は、ビオチン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトア
ビジン)に置き換えることも可能である。標識は、複数
の異なった種類の標識を使用することもできる。こうし
た場合、複数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、
そして同時にあるいは別々に行うことを可能にすること
もできる。
【0023】本発明においては、信号の形成に4−ヒド
ロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレンジアミン、テ
トラメチルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダ
ーゼ、ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニル
ガラクトシドなどとβ−D −ガラクトシダーゼ、グルコ
ース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の
組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾ
キノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合
物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェ
ノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの作用
により形成しうるものが使用できる。
【0024】蛍光物質あるいは化学ルミネッセンス化合
物としては、フルオレセインイソチオシアネート、例え
ばローダミンBイソチオシアネート、テトラメチルロー
ダミンイソチオシアネートなどのローダミン誘導体、ダ
ンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミ
ン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム塩、ルミフ
ェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどのルミノー
ル、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類キレート
化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。標識するに
は、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスル
フィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基
の反応などを利用して行うことができ、公知の方法ある
いは当該分野の当業者が容易になしうる方法、さらには
それらを修飾した方法の中から適宜選択して適用でき
る。また上記免疫原性コンジュゲート作製に使用される
ことのできる縮合剤、担体との結合に使用されることの
できる縮合剤などを用いることができる。
【0025】縮合剤としては、例えばグルタルアルデヒ
ド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソチオシアネート、N,N’−ポリメチレンビスヨ
ードアセトアミド、N,N’−エチレンビスマレイミ
ド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネー
ト、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミ
ジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(S
PDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミ
ドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(S
MCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マ
レイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレー
ト、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)ア
ミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−
マレイミドフェニル)ブチレート、N−(ε−マレイミ
ドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS),イ
ミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水
物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)プロピオン
イミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデー
ト、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N
−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテー
トなどが挙げられる。
【0026】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識したモノクローナル抗体試薬と、担体
に結合された抗体とを順次反応させることもできるし、
同時に反応させることもできる。試薬を加える順序は選
ばれた担体系の型により異なる。感作されたプラスチッ
クなどのビーズを用いた場合には、酵素などで標識した
モノクローナル抗体試薬を測定すべき物質を含む検体試
料と共に最初適当な試験管中に一緒に入れ、その後該感
作されたプラスチックなどのビーズを加えることにより
測定を行うことができる。本発明の定量法においては、
免疫学的測定法が用いられるが、その際の固相の担体と
しては抗体等タンパク質を良く吸着するポリスチレン
製、ポリカーボナイト製、ポリプロピレン製あるいはポ
リビニル製のボール、マイクロプレート、スティック、
微粒子あるいは試験管等の種々の材料および形態を任意
に選択し使用することができる。測定にあたっては至適
pH、例えばpH約4〜9に保つように適当な緩衝液系
中で行うことができる。特に適切な緩衝剤としては、例
えばアセテート緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェ
ート緩衝剤、トリス緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝
剤、ボレート緩衝剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、
トリス−塩酸緩衝剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに
任意の割合で混合して用いることができる。抗体抗原反
応は約0℃〜60℃の間の温度で行うことが好ましい。
【0027】酵素などで標識されたモノクローナル抗体
試薬及び担体に結合せしめられた抗体試薬、さらには測
定すべき物質のインキュベーション処理は、平衡に達す
るまで行うことができるが、抗体抗原反応の平衡が達成
されるよりもずっと早い時点で固相と液相とを分離して
限定されたインキュベーション処理の後に反応を止める
ことができ、液相又は固相のいずれかにおける酵素など
の標識の存在の程度を測ることができる。測定操作は、
自動化された測定装置を用いて行うことが可能であり、
ルミネセンス・ディテクター、ホト・ディテクターなど
を使用して基質が酵素の作用で変換されて生ずる表示シ
グナルを検知して測定することもできる。抗体抗原反応
においては、それぞれ用いられる試薬、測定すべき物
質、さらには酵素などの標識を安定化したり、抗体抗原
反応自体を安定化するように適切な手段を講ずることが
できる。さらに、非特異的な反応を除去し、阻害的に働
く影響を減らしたり、あるいは測定反応を活性化したり
するため、タンパク質、安定化剤、界面活性化剤、キレ
ート化剤などをインキュベーション溶液中に加えること
もできる。当該分野で普通に採用されていたりあるいは
当業者に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッ
キング処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正
常血清タンパク質、アルブミン、スキムミルク、乳発酵
物質、コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができ
る。非特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの
方法は特に限定されず用いることが出来る。
【0028】本発明の測定方法で測定される試料として
は、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液などが使用しう
るが、好ましくは生物由来の流体試料、例えば血液、血
漿、、関節液、脳脊髄液、唾液、羊水、尿、その他の体
液、細胞培養液、組織培養液、生検検体、例えば細胞、
組織、臓器、腫瘍組織などが挙げられる。特に好ましく
は血漿、血清などが挙げられる。本発明の標識モノクロ
ーナル抗体試薬を用いた免疫細胞染色あるいは免疫組織
染色では、生検検体、例えば細胞、組織、臓器、腫瘍組
織などが好適に用いられ、それら試料は染色前に必要に
応じ固定化することができる。組織の固定化には当該分
野で広く使用されているものあるいはそれから誘導され
たものを使用できる。例えばペリオデイト−リジン−パ
ラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ブアン、ホ
ルマリン、パラホルムアルデヒド、ザンボニー、アクロ
レインなどが使用できる。またパラフィンなどで固定化
することもできる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、様々な実
施形態が可能であり、本発明は本明細書及び図面に開示
の思想に従ったものであるかぎり、すべての実施形態を
包含することは理解されるべきである。
【0030】実施例1 抗原の調製 (a)ウサギプロMMP−3の精製 1)子宮頚管細胞からの精製 ウサギプロMMP−3は、ウサギ子宮頚管細胞滑膜細胞
培養上清より、Itoet al.(Comp.Bio
chem.Physiol.,99B,381−38
5,1991)の方法を若干改変したもので精製した。
すなわち、単離した子宮頚管細胞を10%FBS、ペニ
シリンおよびストレプトマイシンを含むMEM培地中で
培養し、細胞がコンフルエントに達した後0.2%ラク
トアルブミン水解物、0.5ng/mlヒトリコンビナ
ントIL−1α含有MEM培地中で5日間培養した。培
養上清を0.1MNaCl,5mMCaCl2、0.5
%Chaps、0.02%NaN3含有30mMトリス
塩酸緩衝液,pH8.0で平衡化した、Vater e
t al.J.Biol.Chem.,258,937
4−9382,1983に記載のヒツジ抗ウサギプロM
MP−3(IgG)を結合したSepharose 4
B(1.5×3cm)カラムにチャージした。これを6
Murea、0.4MNaCl、0.05%Brij3
5含有50mMトリス−塩酸緩衝液,pH7.5で溶出
し、プロMMP−3溶出画分を限外ろ過膜(YM−1
0)で濃縮した。混入したアフィニティーカラム由来I
gGを除去するため、0.4MNaCl、0.05%B
rij35含有50mMトリス−塩酸緩衝液,pH7.
5で平衡化したUltrogel AcA−44(1.
5×110cm)にかけた。プロMMP−3溶出画分を
濃縮し、sodium dodecyl sulfat
epolyacrylamide gel elect
rophoresis(SDS/PAGE)後、イムノ
ブロッティングを行い51kDaの単一バンドを確認、
プロMMP−3を得た。
【0031】2)ウサギHIG−82滑膜細胞からの精
製 HIG−82細胞を1)と同様の方法で培養、培養上清
よりウサギプロMMP−3を精製し51kDaの単一標
品を得た。
【0032】実施例2 抗ウサギプロMMP−3モノクローナル抗体の調製 (a)抗体産生細胞の調製 6週令のBalb/c雌マウスに、初回免疫として実施
例1(a)に記載したウサギプロMMP−3 75μg
とフロイント完全アジュバントのエマルジョン0.25
mlを腹腔内に投与し、18日および54日後にウサギ
プロMMP−3(81μgを尾静脈より注入し追加免疫
した。最終免疫の3日後マウス脾臓を取り出し、脾細胞
を調製した。
【0033】(b)細胞融合 (1)以下の材料及び方法を用いる。 RPMI−1640培地:RPMI−1640(JRH
Biosiences製)に重炭酸ナトリウム(24
mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリン
Gカリウム(50U/ml)、硫酸ストレプトマイシン
(50μg/ml)及び硫酸アミカシン(100μg/
ml)を加え、ドライアイスでpH7.2にし、0.2
2μmミリポアフィルターで除菌ろ過する。NS−1培
地:上記RPMI−1640培地に除菌ろ過したFBS
(JRHBiosiences製)を15%(V/V)
の濃度に加える。PEG4000溶液:RPMI−16
40培地にポリエチレングリコール4000(PEG
4000,Merck and CO.,Inc.製)
50%(W/W)無血清溶液を調製する。 8−アザグ
アニン耐性ミエローマ細胞SP2(SP2/0−Ag1
4)との融合は、Selected Method i
nCellular Immunology(eds.
B.B.Mishelland S.M.Shiig
i)、W.H.Freeman abd Compan
y(1980)、351〜372に記載のOi and
Herzenberg法を若干改変して行った。
【0034】(2)前記(a)項で調製した有核脾臓細
胞(生細胞率100%)とミエローマ細胞(生細胞率1
00%)とを6:1の割合で融合した。脾臓細胞とミエ
ローマ細胞をそれぞれ前記RPMI−1640培地で洗
浄した。次に、融合させるためにそれぞれ同じ培地に懸
濁させた有核脾臓細胞6×108 とミエローマ細胞1×
108 を混合した。次に、1,000r.p.m.で1
0分間の遠心分離により細胞を沈澱させ上清を完全に吸
引除去した。沈澱した細胞に37℃に加温したPEG
4,000溶液3.3mlを穏やかに撹拌しながら1分
間で滴下し、1分間撹拌し細胞を再懸濁、分散させた。
次に37℃に加温したRPMI−1640培地3.3m
lを1分間で滴下した。この操作をさらに1回繰り返し
た後、同培地23.1mlを2〜3分間で常に撹拌しな
がら滴下し、細胞を分散させた。これを1,000r.
p.m.で7分間遠心分離し上清を完全に吸引除去し
た。次にこの沈澱細胞に37℃に加温したNS−1培地
33mlを速やかに加え、大きい細胞塊を注意深くピペ
ッティングで分散させた。さらに同培地66mlを加え
て希釈しポリスチレン製96穴マイクロウエル(岩城硝
子製)にウエルあたり6×105 個/0.1mlの細胞
を加えた。このマイクロウエルを7%炭酸ガス/93%
空気中で温度37℃、湿度100%以下で培養した。
【0035】(c)選択培地によるハイブリドーマの選
択的増殖 (1)使用する培地は以下のとおりである。 HAT培地:前記(c)項で述べたNS−1培地にさら
にヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン
(0.4μM)及びチミジン(16μM)を加える。 HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT
培地と同一組成のものである。 (2)前記(b)項の培養開始翌日(1日目)、細胞に
ピペットでHAT培地2滴(0.1ml)を加えた。
2,3,5,8日目に培地の半分を新しいHT培地に置
き換えた。15日目にハイブリドーマの充分な生育が観
察された全ウエルについて、次項(d)記載のELIS
Aにより陽性ウエルを調べた。次に、フィーダーとして
107 個のマウス胸腺細胞を含むHT培地1mlをポリ
スチレン製24穴セルウエル(住友ベークライト製)の
各ウエルに加え、上記で検出された各陽性ハイブリドー
マの充分生育した時点でELISAにより陽性を再確認
し、それぞれについて次項(e)記載の限界希釈法によ
るクローニングを行った。
【0036】(d)ELISAによるウサギプロMMP
−3抗体産生ハイブリドーマの検索 Anal.Biochem.,104,205〜21
4,1980に記載のRennard et al.の
方法を若干改変した方法を用いて行った。前記実施例1
(a)で精製したウサギプロMMP−3 50ng/ウ
エルで96穴マイクロタイトレーションプレート(Fl
ow Lab.製)をコートした。これに、前記(c)
で得られたハイブリドーマ生育ウエルの上清の一部を加
えて、室温で約1時間静置した。2次抗体として西洋ワ
サビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗マウス免疫
グロブリン(Cappel Lab.製)を加え、さら
に室温で約1時間静置した。次に基質である過酸化水素
とo−フェニレンジアミンを加えて発色の程度をマイク
ロプレートリーダー(MRP−A4、東ソー製)を用い
て492nmの吸光度で測定した。
【0037】(e)クローニング 前記(c)の操作後、各ウエル中には2種以上のハイブ
リドーマが生育している可能性があるので、限界希釈法
によりクローニングを行いモノクローナル抗体産生ハイ
ブリドーマを取得する。NS−1培地1ml当りフィー
ダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含むクローニン
グ培地を調製し、96穴マイクロウエルの36ウエル、
36ウエル、24ウエル当りにそれぞれ5個、1個及び
0.5個のハイブリドーマを加える。5日目に全ウエル
に約0.1mlのNS−1培地を追加した。11日目に
ハイブリドーマの充分な生育が認められ、それらについ
てELISAを行った。テストした全ウエルが陽性でな
い場合、抗体陽性ウエル中のコロニー数を確認し、ウエ
ル中に1コロニーが確認されたウエルを1個選び、再ク
ローニングする。最終的にウサギプロMMP−3に対す
るモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ6株が得られ
た。
【0038】(f)ハイブリドーマによるモノクローナ
ル抗体の大量産生 ハイブリドーマの増殖は常法によって行う。すなわち、
得られた各ハイブリドーマをNS−1培地などの適当な
培養液で培養し、その培養上清から10〜100μg/
mlの濃度のモノクローナル抗体を得ることができる。
一方、大量に抗体を得るためには脾臓細胞とミエローマ
細胞の由来マウスと同系のマウス(BALB/c)に1
匹あたり0.5mlの腫瘍形成促進剤プリスタン(Al
drich Chem.製)を腹腔内投与する。1〜3
週間後に、各ハイブリドーマ1×107 個を同じく腹腔
内投与し、さらに、その1〜2週間後に、4〜7mg/
mlのモノクローナル抗体を含む腹水を得ることができ
る。
【0039】(g)モノクローナル抗体のアイソタイプ 前述したELISA法に従って、ウサギプロMMP−3
をコートしたマイクロタイトレーションプレートに各モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマの培養上清を加え
た。0.05%Tween 20含有PBSで洗浄した
後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウスIgG抗体(Z
ymed.Lab.製)を加えた。0.05%Twee
n 20含有PBSによる洗浄後、HRP標識ヤギ抗ウ
サギIgG(H+L)抗体を加え、基質として過酸化水
素及び2,2’−アジノージ(3−エチルベンゾリン
酸)を用いて検出した。その結果得られたウサギプロM
MP−3に対するモノクローナル抗体のうち、4クロー
ンはIgG1/κを産生し、残り2クローンはIgG2
b/κ型モノクローナル抗体を分泌した(表1)。
【0040】
【表1】
【0041】(h)モノクローナル抗体の精製 前記(f)項で得られたIgG1抗体含有各腹水を40%
飽和硫酸アンモニウム分画後、プロテインA−セルロフ
ァインカラムにより精製した。なお得られたモノクロー
ナル抗体のうち、クローン番号148−1A3、137
−2F3の産生ハイブリドーマは、それぞれ工業技術院
生命工学工業技術研究所に受託され(受託番号 FER
M P−15248,FERM P−15249)てい
る。
【0042】実施例3 抗ウサギプロMMP−3モノク
ローナル抗体の選択 前記実施例1(a)で得られたウサギプロMMP−3と
前記実施例2(h)で得られた6株の精製各モノクロー
ナル抗体との反応性を調べた。実施例1(a)で調製し
たウサギMMP−3をSDS−PAGEにかけた後、細
胞工学1&2,1061−1068,1983に記載の
田部の方法に従ってウエスタンブロッティングを行い、
各モノクローンの培養上清と反応後、HRP標識ヤギ抗
マウス免疫グロブリン(Cappel Lab.製)を
用い間接法によりイムノブロッティングを行った。又、
他のMMPsとの交差反応性を調べるためにヒト新生児
線維芽細胞(NB1RGB)から精製したヒトプロMM
P−3(K.Obata at al.,Clin.C
him.Acta,211,59−72,1992)を
用い上記のイムノブロッティングを行った。これらのウ
サギプロMMP−3モノクローナル抗体(クローン13
7−2F3、148−1A3、148−2E10、14
8−3D7、149−1F3、149−3F5)は、ヒ
トプロMMP−3とは反応せずウサギプロMMP−3に
対して特異的に反応した。なお、同様に実施例5(c)
項で記載した方法でウサギプロMMP−3抗体(標識抗
体;クローン137−2F3、固相抗体;148−1A
3)を用いてヒトMMP−3との交差反応性を調べた。
ウサギプロMMP−3の320ng/ml及び40ng
/mlのA492の値を100%として、各々のA492値を
示した場合、ヒトMMP−3との交差反応性は認められ
なかった(表2)。
【0043】
【表2】
【0044】実施例4 抗ウサギプロMMP−3モノク
ローナル抗体を用いた免疫染色 ウサギ膝関節軟骨組織をEDTAにより脱灰後、ペリオ
デイト−リジン−パラホルムアルデヒド固定し、パラフ
ィン切片を作製した。脱パラフィンしたこれら組織切片
中の内因性HRPを過酸化水素でブロックした後、実施
例2(h)項で得られたそれぞれの抗ウサギプロMMP
−3モノクローナル抗体(クローン148−1A3)と
反応させた、。次に、その切片をPBSで充分洗浄しビ
オチン化ウマ抗マウスIgG(H+L)と反応させた
後、さらにアビジン−ビオチン−HRP複合体(Vec
tor Lab.製)と反応させた。上記のようにして
得られた切片を、PBSで洗浄した後、基質としてジア
ミノベンチジン及び過酸化水素を用いて発色させたとこ
ろ、ウサギプロMMP−3は軟骨細胞中に染色された。
【0045】実施例5 ウサギプロMMP−3の定量法 (a)酵素標識抗体(Fab’−HRPの複合体)の調
製 (1)Fab’画分の調製 実施例2(h)項で得られた各精製モノクローナル抗体
(IgG)を0.1M酢酸緩衝液(pH4.2)に溶解
し、その溶液を以下述べるようにしてペプシンで消化し
た。すなわち、上記IgGに対して2%(w/w)のペ
プシンを加え、37℃、24時間消化した。さらにその
消化物に、2Mトリス溶液を加えてpH7.0に調製す
ることによって反応を停止させ、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で平衡化したウルトロゲルAcA44カ
ラムを用いたゲルろ過により、F(ab’)2画分を分
取した。次に、このF(ab’)2画分を5mMEDT
A含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)中で透析
し、最終濃度10mMとなるようにアミノエタンチオー
ルを加え37℃で90分間還元した後、5mM EDT
A含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化し
たウルトロゲルAcA44カラムを用いてゲルろ過し、
Fab’画分を分取した。
【0046】(2)マレイミド標識HRP画分の調製 上記(1)項の操作とは別に、以下に述べるようにして
HRPにマレイミドを標識した。すなわち、HRPを1
0mg/mlの量で0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)に溶解し、そのHRPに対して、25倍モル量のN
−(ε−マレイミドカプロイロキシ)−サクシミド(E
MCS)をDMF溶液として加え、30分間反応させ
た。これを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡
化したSephadex G−50カラムでゲルろ過
し、マレイミド標識HRP画分を分取した。
【0047】(3)Fab’−HRP複合体画分の調製 前記(1)項で調製した画分中のFab’に対して、上
記(2)項で得られた画分中のマレイミド標識HRPと
して等モルになるように両画分を混合し、さらにFa
b’及びマレイミド標識HRPの最終濃度が100μM
となるように、5mM EDTA含有0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.0)で希釈した。この混合液を4℃、2
0時間反応後、Fab’の10倍モル量のN−エチルマ
レイミドで未反応のチオール基をブロックした。これを
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したウル
トロゲルAcA44カラムを用いてゲルろ過し、Fa
b’−HRP複合体画分を分取後、0.1%BSA及び
0.001%クロルヘキシジンを添加し、4℃で保存し
た。
【0048】(b)モノクローナル抗体結合担体の調製 J.Immunoassay,4,209〜327,1
983に記載のIshikawa et al.の方法
に従って、実施例2(h)項で得られた精製モノクロー
ナル抗体を0.1%アジ化ナトリウム含有0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.5)に溶解しその濃度を100μg
/mlに調製した。このモノクローナル抗体を96穴マ
イクロプレートにウエル当り100μlずつ加え、4
℃、24時間静置した。次にモノクローナル抗体溶液を
除去し、1%BSA,0.1M塩化ナトリウム含有10
mMリン酸緩衝液(pH7.0,緩衝液A)を各ウエル
に300μlずつ加え、4℃で保存した。使用時0.0
5%Tween 20及び0.1M塩化ナトリウム含有
10mMリン酸緩衝液(pH7.0洗浄緩衝液)で3回
洗浄した。
【0049】(c)サンドイッチEIA法 精製ウサギプロMMP−3(標準試料)あるいはウサギ
プロMMP−3を含む検体45μlを緩衝液A105μ
lと混合後、その100μlを前記抗体固相化プレート
に添加し室温で1時間反応させ、洗浄緩衝液で3回洗浄
した。次に、前記(a)で調製した酵素標識抗体を25
0ng/mlとなるように洗浄緩衝液で希釈し100μ
lを上記プレートに添加し室温で1時間反応させ、洗浄
緩衝液で3回洗浄した。次に、0.02%過酸化水素含
有20mMクエン酸−リン酸緩衝液(pH4.9)に溶
解したo−フェニレンジアミンをウエル当り100μl
加え、室温で30分間反応させた後、2N硫酸100μ
lを添加し反応を停止させた。この反応混液のA492を
マイクロプレートリーダーを用いて測定し、検量線より
検体中のウサギプロMMP−3濃度を算出した。モノク
ローナル抗体(クローン148−1A3)を固相に、モ
ノクローナル抗体(クローン137−2F3)を標識用
抗体(Fab’−HRP)として用いて得られた検量線
を図1に示した。ウサギプロMMP−3標準試料の濃度
の上昇に伴ってA492は直線的に増加しており、定量感
度(ゼロ点の吸光度+2SD)は4.7ng/ml(1
40pg/アッセイ)であり、定量範囲は17〜106
7ng/ml(0.5〜32ng/アッセイ)であっ
た。一方、ウサギプロMMP−3(640ng/ml)
をAPMA処理により活性化すると、本測定法によるウ
サギプロMMP−3の反応性は経時的に減少し、240
分インキュベートしたサンプルでは全く検出されなくな
った(図2)。
【0050】(d)添加回収試験 前記(c)項に記載した方法において以下のように添加
回収試験を行った。ウサギ半月板切除モデル関節液A
(ウサギプロMMP−3、84ng/ml)、B(ウサ
ギプロMMP−3、108ng/ml)各45μlに標
準試料液(20、40、80、160ng/ml)各4
5μlを添加したものを検体とし、60μlの緩衝液A
を加えた。この混合液を抗体結合プレートに100μl
加え、前記(c)項に記載した方法と同様にしてウサギ
プロMMP−3濃度を測定し回収率を算出した。標準ウ
サギプロMMP−3の平均回収率は関節液Aを用いた場
合97±7.9(S.D.)%であり、関節液Bを用い
た場合102±11(S.D.)%であった(表3)。
このことより、本測定系は、特異的にウサギプロMMP
−3を認識していることが示唆される。
【0051】
【表2】
【0052】実施例6 ウサギ活性化型MMP−3と抗
ウサギプロMMP−3モノクローナル抗体との反応性 前記実施例で得られたウサギプロMMP−3(51kD
a)を2mM APMA(Aldrich社製)で37
℃、15分間反応させることにより39,35,27お
よび25kDaの活性型MMP−3に変換することがS
DS−PAGEにより認められた。そこでこの反応液を
SDS−PAGEに供した後、抗ウサギプロMMP−3
モノクローナル抗体(クローン137−2F3、148
−1A3、148−2E10、148−3D7、149
−1F3、149−3F5)を用いてウエスタンブロッ
ティングを行った。モノクローナル抗体(クローン14
8−1A3、148−2E10、148−3D7、14
9−1F3、149−3F5)はウサギプロMMP−3
及び活性化型MMP−3を認識したが、モノクローナル
抗体(クローン137−2F3)はウサギプロMMP−
3(51kDa)のみを認識した(図3)。
【0053】実施例7 サンドイッチEIA法によるウ
サギ関節液中プロMMP−3濃度の測定 前記実施例5(c)項に記載した2ステップサンドイッ
チEIA法により検体としてウサギ変形性関節症モデル
関節液中のプロMMP−3濃度を測定した(図4)。健
常ウサギ関節液(n=18)中プロMMP−3中濃度は
検出感度(4.7ng/ml)以下であった。一方、ウ
サギ変形性関節症モデル関節液(n=18)中濃度は1
11±9.3(S.D.)ng/mlであり、健常ウサ
ギ群に比べ高値を示した。
【0054】
【発明の効果】本発明に従えば、2種類の抗ウサギプロ
MMP−3に対するモノクローナル抗体を用いて2ステ
ップサンドイッチEIA法が提供される。本EIA法は
ヒトMMP−3やアフィニティカラムでウサギMMP−
3を除去したウサギ頚管細胞培養上清(他のMMPsを
含む)と全く交差反応を示さない。本測定法の反応時間
は、例えば、150分で、定量感度と定量範囲はそれぞ
れ4.7ng/mlと17〜1067ng/mlを与え
る。また、再現性試験、希釈試験、添加回収試験におい
ても、良好な結果が得られる。本EIAアッセイ法は簡
便で再現性が高い点で、従来のアッセイ法より優れてい
ると考えられる。本アッセイ法ではAPMAにより活性
化されたウサギMMP−3は検出されないことからウサ
ギプロMMP−3の測定系として特に有用である。MM
P−3はOAやRA患者の血清、関節液中でその濃度の
有意な上昇が知られている(Manicourt et
al.Arthritis Rheum.,37,1
774−1783,1994等)。また、OAに関して
は多くの動物モデル(Colombo et al.A
rthritis Rheum.,26,875−86
6,1983等)があり、関節軟骨でのMMP−3の産
生が示唆されている。本発明に従い、本測定系を用いて
ウサギOAモデル関節液中のプロMMP−3濃度を測定
したところ、正常ウサギ(定量感度4.7ng/ml以
下)に比べ高値(111±9.3ng/ml)を示し
た。同時に行った関節軟骨の免疫染色では、OAウサギ
の軟骨細胞に陽性反応が認められた。ウサギMMP−3
に対するサンドイッチEIA系を確立、本アッセイ法で
ウサギOAモデルの関節液とウサギ頸管細胞培養上清中
のプロMMP−3濃度の定量が可能となった。ウサギを
用いた基礎的医学研究や医薬品開発に本アッセイ法は有
用な手段になると考えられる。さらにこれらモノクロー
ナル抗体は組織や細胞の免疫学的染色のための試薬とし
ても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウサギプロMMP−3の2ステップサンドイッ
チEIA法による標準曲線を示すグラフである。
【図2】ウサギプロMMP−3をAPMAで活性化した
時の経時的な反応性を示すグラフである。
【図3】各モノクローナル抗体のウサギMMP−3での
イムノブロッティングの結果を示す図である。
【図4】健常ウサギとウサギ変形性関節症関節液中のプ
ロMMP−3測定結果を示すグラフである。
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 国沢 智巳 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品 工業株式会社内 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品 工業株式会社内 (72)発明者 森 陽 東京都八王子市南陽台二丁目4番6号 (56)参考文献 Comp.Biochem.Phys iol.,99B(2)(1991),p. 381−385 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 21/08 C12N 15/00 - 15/90 BIOSIS(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウサギマトリックスメタロプロテアーゼ
    (MMP−3)と特異的に免疫反応し、ヒトMMP−3
    と免疫的に交差反応しないことを特徴とするモノクロー
    ナル抗体。
  2. 【請求項2】 ウサギプロMMP−3と特異的に免疫反
    応し、ウサギ活性型MMP−3と免疫反応しないことを
    特徴とする請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 ウサギMMP−3に特異的に免疫反応す
    るモノクローナル抗体であって、ウサギプロMMP−3
    に対して免疫反応し且つウサギ活性型MMP−3に対し
    ても免疫反応することを特徴とする請求項1記載のモノ
    クローナル抗体。
  4. 【請求項4】 ウサギMMP−3と特異的に免疫反応
    し、ヒトMMP−3と免疫的に交差反応しないことを特
    徴とするモノクローナル抗体を測定試薬として用いるこ
    とを特徴とするウサギMMP−3の測定方法。
  5. 【請求項5】 ウサギプロMMP−3とウサギ活性型M
    MP−3とを分別定量することを特徴とする請求項
    載の方法。
  6. 【請求項6】 測定をサンドイッチ法により、酵素免疫
    学的に行うものであることを特徴とする請求項または
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 ウサギMMP−3と特異的に免疫反応
    し、ヒトMMP−3と免疫的に交差反応しないことを特
    徴とするモノクローナル抗体を用いることを特徴とする
    ウサギMMP−3を測定するための試薬。
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