JP3172189B2 - 溶融紡糸された高強度ポリエチレン繊維 - Google Patents
溶融紡糸された高強度ポリエチレン繊維Info
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Description
エチレン繊維に関する。
口金を用いて紡糸するという方法である。紡糸口金で
は、流動状態で運ばれてくる重合体が孔を通して押し出
され、形成された繊維が延伸される。このようにして繊
維は細くなり、繊維の長手方向に分子鎖の配向が起こ
る。繊維の製造に使用される重合体を流動状態にする方
法に応じて、溶液紡糸繊維、ゲル紡糸繊維および溶融紡
糸繊維などがある。
の両繊維用原料として使用される。繊維の工業的生産と
いう見地からは、このような方法にはコストが高くなる
という欠点がある。第一に、前記方法による繊維製造に
おいては本来必要ではない薬品(溶媒、潤滑剤)を使用
する必要があり、その添加および繊維からの回収は余計
なコストを発生させる。第二に、繊維製造工程において
本来必要ではない薬品が存在することは生産能力を低下
させる。現在のところ、炭素繊維と比肩し得る程度ある
いはそれ以上の強度を有する繊維をゲル紡糸法によって
製造することができるが、この種の繊維の製造コストが
高いことが、この繊維の工業規模でのより広い利用を阻
んでいる。
るので、上記の方法に比べて溶融紡糸はより単純であ
る。これによって、本来必要ではない薬品の使用に関連
する余計なコストや欠点を避けることができる。溶融紡
糸によって、十分に高い生産率でポリエチレン繊維を生
産することも可能である。
て、高強度ポリエチレン繊維を製造する方法を開発する
研究が盛んに行われている。得られた繊維の品質および
強度に関する性質に、非常に多くの因子が影響を与え
る。そのような因子の中でも、とりわけ、原料としての
ポリエチレンの性質、温度などの紡糸条件、紡糸孔の大
きさと形状、そして特に延伸に用いられる条件を挙げる
ことができる。繊維原料の性質の中でも、分子量が特に
重要であるように思われていた。
よび1568964号に言及しておく。前者の公報による方法
では、重量平均分子量が50000〜200000であるポリエチ
レンが繊維状に押し出される。押し出された繊維は100
〜120℃の温度に1分あたり1〜15℃の割合で冷却さ
れ、次いで、急速に冷却される。その後、融点よりも少
なくとも40℃低い温度にて、延伸倍率18で繊維は延伸さ
れる。しかしながら、この方法によると、冷却段階が遅
い故に紡糸が非常に遅くなってしまう。そのために、こ
の特許に開示されている紡糸速度は4〜5m/分でしかな
い。しかも、その方法によって得られた繊維の強度はあ
まり高くない。後者の英国特許では、重量平均分子量が
150000以上であって、数平均分子量に対する重量平均分
子量の割合が5より大きいポリエチレンが使用されてい
る。
ることができ、該特許では、少なくとも20000の数平均
分子量および125000より小さい重量平均分子量を有する
ポリエチレンを220〜335℃の温度で押し出し、溶融状態
の繊維を冷却し、得られた繊維を30m/分以上の速度で延
伸し、その後、115〜132℃の温度で繊維を20:1以上の延
伸倍率で熱延伸する。この方法が目的とするところは、
少なくとも12g/den(10.6cN/dtex)の強度を有する繊維
を得ることである。
関する情報は非常に混乱していて不完全である。影響を
与える因子のほんのいくつかしか一般には知られていな
い。例えば、繊維原料の分子量を増加させることによっ
て、基本的に、高強度の繊維が得られることが知られて
いる。同様に、延伸によってより強度の大きな繊維が得
られることが知られている。延伸を行うときの条件を様
々に設定することによって繊維強度を増加させる試みも
なされてきた。
維を製造するのが目的であった場合には、公知の溶液で
は望む結果が得られなかった。繊維の分子量を無制限に
増加させることはできない。それによって、溶融紡糸が
行えなくなってしまうからである。繊維の延伸にも限界
がある。過度の延伸を行えば、必ず、繊維の一部または
全部の性質を損ねるからである。
は、繊維原料の性質に一定の制限を設ければよいことが
見いだされた。それによって、通常の延伸を行っても、
従来技術によって製造された繊維を明らかに越える強度
を有する繊維を得ることができる。繊維原料(これは一
定の方法で選定されなければならないが)のこれらの性
質とは、重量平均分子量、数平均分子量および、特に、
両者の割合、換言すれば、分子量分布を反映する、繊維
原料として使用されるポリエチレンのポリマー分散性、
並びに繊維の密度である。
る。該繊維は、紡糸口金によって高い密度を有するポリ
エチレンを溶融紡糸し、紡糸口金の孔から出てきた繊維
を冷却し、得られた繊維を50〜150℃の温度で延伸する
ことによって製造される。本発明による繊維は、溶融紡
糸に供されるポリエチレンがエチレンのホモポリマーで
あって、 ・重量平均分子量Mwが125000〜175000g/molであるこ
と、 ・数平均分子量Mnが26000〜33000g/molであること、 ・ポリマー分散性(Mw/Mn)が5未満であること、およ
び ・密度が955g/dm3より大きいこと、 という条件を満たすと共に、延伸段階(drawing step)
における延伸の度合い(stretching degree)が少なく
とも400%であるということによって特徴づけられる。
量平均分子量Mwが125000g/molよりも大きいエチレンホ
モポリマーを溶融紡糸することによって製造される。分
子量が上記より小さいポリエチレンを使用すると、他の
条件と関わりなく、得られる繊維の強度は最大値よりも
小さいものとなる。一方、重量平均分子量が175000g/mo
lを越えて大きくなると、紡糸が困難になり、本発明に
よる結果が得られない。
チレンの数平均分子量も特定の非常に狭い範囲内になく
てはならない。即ち、本発明によるMnは26000〜33000g/
molの範囲内である。また、重量平均分子量と数平均分
子量とを、上記の範囲内で自由に選択してもならず、本
発明による両者の割合は一定の範囲内になくてはならな
い。即ち、ポリマー分散性(Mw/Mn)は5を越えてはな
らず、好ましくは2〜5の間である。
るポリエチレンにおいて第3に重要なパラメータは密度
である。密度が955g/dm3よりも小さいと、他の性質が規
定の範囲内で選択されていても高強度を達成することが
できない。すなわち、ポリエチレンの密度は少なくとも
955g/dm3でなければならず、好ましくは958g/dm3以上で
ある。
ポリエチレン繊維は少なくとも400%以上に延伸されな
くてはならない。延伸は2段階以上で行うのが好まし
い。最終的な延伸は400〜2500%でなければならず、好
ましくは、700〜2500%である。延伸は、例えば、繊維
を1対以上のロールの間に送り込むことによって行なう
ことができる。ロールのスピードを制御することによっ
て、望ましい延伸度が達成される。延伸に際しては、延
伸温度をできるだけ均一に保つために、表面温度が50〜
150℃であるロールを使用するのが好ましい。
出機はスクリューの直径が30mmで、長さ対直径の比(L/
D)が20:1であった。押出機の能力は6kg/hであった。押
出機から出てくる溶融したポリエチレンを、供給ポンプ
によって、直径が1mmで37孔を有する紡糸口金に送り込
んだ。各々の孔の長さ/直径比は4であった。
かれる。冷却管を通過した繊維束はリバースロールから
延伸ロールへ送られる。延伸ロールは回転速度を可変し
得、加熱可能な3対のロールによって構成されている。
最初の延伸は前記3対のロールによって行われた。第二
の延伸も同じロールを使用して行った。
ィテル(titre)をデシテックス(1 dtex=長さ10000m
当たりの繊維の重量をgで表したもの)、伸びをパーセ
ントで、および靭性(cN/dtex)を、引き落としギャッ
プを10mm、引張速度を40mm/minとしてDIN53861に従って
測定した。
に従って調製したチーグラー・ナッタ触媒を使用してエ
チレンを重合することによって、エチレン単独重合体を
製造した。トリエチルアルミニウム(以下、「TEA」と
記載することがある)を共触媒として使用した。重合条
件は以下の通りである。
した。延伸条件および繊維の性質を表1に示す。
が、最初の延伸の後に、既に、US特許4228118に開示さ
れているのに近い強度が得られている。
℃で繊維を紡糸し、延伸した。延伸条件および結果を表
2に示す。
に従って調製したチーグラー・ナッタ触媒を使用してエ
チレンを重合することによって、エチレン単独重合体を
製造した。トリエチルアルミニウム(以下、「TEA」と
記載することがある)を共触媒として使用した。重合条
件は以下の通りである。
した。延伸条件および繊維の性質を表3に示す。
用いて紡糸温度285℃で繊維を紡糸し、延伸した。延伸
条件および結果を表4に示す。
製)から例1と同様にしてポリエチレン繊維を紡糸・延
伸した。重合体の性質は次の通りであった。
温度190℃で繊維を紡糸・延伸した。条件および結果を
表5に示す。
チレンを使用すると、本発明による繊維の対応する各評
価項目における値よりもはるかに小さな強度しか得られ
ないことが、この結果よりわかる。
例1と同様にしてポリエチレン繊維を紡糸・延伸した。
重合体の性質は次の通りであった。
温度190℃で繊維を紡糸・延伸した。条件および結果を
表6に示す。
と、本発明による繊維の対応する各評価項目における強
度値よりも、得られた繊維の強度がはるかに小さくなる
ことが、この結果よりわかる。
出願901895号に従って調製したチーグラー・ナッタ触媒
を使用してエチレンを重合することによって、エチレン
単独重合体を製造した。トリエチルアルミニウム(以
下、「TEA」と記載することがある)を共触媒として使
用した。重合条件は以下の通りである。
置を用いて繊維を紡糸し延伸した。この例では、繊維は
1回だけ延伸した。延伸条件および繊維の性質を表7に
示す。
Claims (5)
- 【請求項1】高密度を有するポリエチレンを紡糸口金を
介して溶融紡糸し、紡糸口金から出てくる繊維を冷却
し、得られた繊維を50〜150℃で延伸することによって
製造される高強度ポリエチレン繊維において、溶融紡糸
に供せられるポリエチレンがエチレンの単独重合体であ
って、 ・重量平均分子量Mwが125000〜175000g/molであるこ
と、 ・数平均分子量Mnが26000〜33000g/molであること、 ・ポリマー分散性(Mw/Mn)が5未満であること、およ
び ・密度が955g/dm3より大きいこと、 という条件を満たすと共に、延伸段階における延伸の度
合いが少なくとも400%であること。 - 【請求項2】繊維の延伸が2段階以上で行われることを
特徴とする請求項1に記載のポリエチレン繊維。 - 【請求項3】前記延伸が表面温度が50〜150℃であるロ
ールを使用して行われることを特徴とする請求項1また
は2に記載のポリエチレン繊維。 - 【請求項4】延伸段階で繊維が400〜2500%に延伸され
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポ
リエチレン繊維。 - 【請求項5】ポリマー分散性が2〜5であることを特徴
とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエチレン繊
維。
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