JP3491044B2 - ポリオレフイン系極細繊維不織布の製造方法 - Google Patents
ポリオレフイン系極細繊維不織布の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系極細
繊維不織布、さらに詳しくは、フィルター用途に特に優
れたポリオレフィン系極細繊維不織布を安定して供給す
る方法に関する。 【0002】 【従来の技術】熱可塑性樹脂を加熱溶融後、ノズルのオ
リフィスから吐出させ、このオリフィスの開口端近傍か
ら加熱流体を噴射させて吐出溶融樹脂の流れに吹き当て
細化させて極細繊維群を形成する方法、即ちメルトブロ
ー法によって極細繊維不織布を製造する方法は、特公昭
43−20248号公報、特公昭44−12848号公
報、特公昭44−13210号公報、特公昭44−22
525号公報、特公昭44−25870号公報、特公昭
44−25872号公報等に開示されている。また、ポ
リオレフィン系のメルトブロー法については、特開昭5
0−46972号公報、特開昭54−134177号公
報に開示されている。これらの方法は、少なくとも1.
4の初期固有粘度を有する熱可塑性樹脂を押出機からノ
ズルのオリフィスに至るまでの間に、遊離基の存在下ま
たは非存在下で熱減成せしめて、ノズルオリフィス中に
おけるポリマーの固有粘度を0.6〜1.4、溶融粘度
を50〜300ポイズとするメルトブロー不織布の製造
方法である。これらの方法によると、ポリマーの熱劣化
が著しいため、押出機からノズルまでの間で溶融ポリマ
ーを幅方向に広げる際に幅方向で滞留時間差ができるた
め熱劣化程度が異なり、ポリマーの溶融粘度斑となり、
それにより不織布の幅方向の目付け分布が不均一になっ
たり、繊維径の分布が大きくなる、または、不織布の強
力が弱くなる等の品質上の問題点や、紡出後に切断され
た繊維が周囲に飛散する、いわゆるフライの発生を伴
う、ポリマーの熱劣化物によるノズル孔の開塞をおこす
等の操業上の問題点があった。これらに対し、特開昭6
3−6107号公報、特開平1−156561号公報で
は、メルトインデックスが70〜500g/10分であ
るポリオレフィン樹脂を用いノズルオリフィスでの溶融
粘度を50ポイズ以下とすることにより上記問題点を解
決しようとしている。しかし、これらの方法によると、
平均繊維径が1.5μm以下の、極細繊維不織布を得よ
うとすると、さらに大きく熱劣化させなければならず、
熱劣化にともなう上記問題点、とくにフライの発生が避
けられないため、安定して得られる最低平均繊維径はせ
いぜい1.5μmであった。特公平1−60564号公
報は、メルトインデックスが0.1〜20g/10分の
ポリオレフィンに分子量低減剤を加え、ペレタイズ工程
では未分解で、紡糸温度下で分解が起こるように設定す
る方法である。これによると、ペレタイズ工程でのカッ
ティング不良といった問題を伴わずに適当な分子量にま
で分解することができるが、ライン中で分解させる方法
であるため、ポリマー分配時に滞留時間差によって分解
の程度が異なるためにポリマーの溶融粘度斑となり、得
られた不織布の目付け変動率が増大することや、250
℃以上で紡糸しなければ分子量減成効果が現れないこと
により、極細繊維不織布製造時にはフライの発生が避け
られないという問題があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオレフ
ィン系極細繊維不織布の製造方法における従来の課題、
即ち、繊維径の細い不織布を得ようとするとノズルオリ
フィスにおけるポリマーの溶融粘度を低くする必要があ
る。そのためには、熱劣化によりポリマーの分子量を低
下させるか、またはノズル温度、即ちポリマー温度を高
くすることが必要であり、その際、不織布の幅方向の目
付け分布が不均一になる、繊維径の分布が大きくなる、
不織布の強力が弱くなる等の品質上の問題点や、ブロー
中に切断された繊維が周囲に飛散する、いわゆるフライ
の発生を伴う、ポリマーの熱劣化物によるノズル孔の閉
塞をおこす等の操業上の問題点を解決し、フィルター用
途に特に優れたポリオレフィン系極細繊維不織布を安定
して供給しようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明は、熱可塑性樹
脂を加熱溶融後、ノズルのオリフィスから吐出させ、こ
のオリフィスの開口端近傍から加熱流体を噴射させて吐
出溶融樹脂の流れに吹き当て細化させて極細繊維不織布
を製造する方法において、前記熱可塑性樹脂として、温
度230℃、荷重2.160kgにおけるメルトインデ
ックスが500〜2000g/10分、極限粘度
(〔μ〕p )が0.5〜0.9であるポリオレフィン系
樹脂を用い、ノズル温度200〜285℃で極細繊維を
紡糸し、極限粘度低下(Δ〔μ〕=〔μ〕p −
〔μ〕f )が0.3以下となるように不織布を製造する
ことを特徴とするポリオレフィン系極細繊維不織布の製
造方法である。 【0005】以下本発明を詳細に説明する。本発明で使
用するポリオレフィン系樹脂はポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリブテン−1、等のポリオレフィン系樹脂単
独、またはそれらの共重合体、及び/またはブレンド物
であってもよい。 【0006】本発明で用いられる上記ポリオレフィン系
樹脂は、温度230℃、荷重2.160kgにおけるメ
ルトインデックスが500〜2000g/分、好ましく
は1000〜1500g/10分、極限粘度(〔μ〕p
)が0.5〜0.9、好ましくは0.6〜0.8であ
ることが必要である。メルトインデックスが500g/
10分未満であると、繊維径を細くするために、押出機
からノズルまでの温度を高温にして溶融粘度を調整しな
ければならず、従って紡出後の極細繊維形成過程が不安
定な状態となり、それにともない紡出後に繊維が切断さ
れるために起きると思われる繊維の飛散、いわゆるフラ
イが発生したり、得られた不織布の繊維径分布が広くな
ってしまったりするため好ましくない。メルトインデッ
クスが2000g/10分を越えると、溶融粘度が低く
なりすぎるため、ノズル幅方向への溶融ポリマーの分配
が不均一になることにより、得られた不織布に目付け斑
を生じたり、ポリマーの分子量が低すぎるため、不織布
強力が低すぎて実用上問題となるといった欠点があり好
ましくない。(〔μ〕p )が0.5未満であるとポリマ
ーの分子量が低すぎるため、不織布強力が低くなり、
0.9を越えると前述のように熱劣化を必要とし、それ
に伴う問題が生じるため好ましくない。また、不織布形
成後の繊維の極限粘度(〔μ〕f )が0.4〜0.8、
好ましくは0.5〜0.7であることが必要である。
(〔μ〕f )が0.4未満であると不織布強力が弱くな
り、0.8を越えるものでは、繊維径は太いものとな
り、フィルター用途などに用いたときに高性能を発現す
ることが出来ない。さらには、極限粘度低下(Δ〔μ〕
=〔μ〕p −〔μ〕f )は0.3以下であり、好ましく
は、0.2以下である。この条件を満足しないことは、
即ち、押出機からノズルまでの間でポリマーの熱劣化が
大きいことを意味しており、好ましくは、1.5μm以
下の極細繊維不織布を安定して製造することができな
い。ポリオレフィン系樹脂の分子量分布は特に限定はし
ないが、紡糸安定性の観点から狭い方が好ましく、Mw
/Mnで2〜5であることが好ましい。 【0007】本発明のメルトブロー法に用いる装置は、
公知のものを基本とするが、ポリマーの熱劣化を抑制す
るために、ノズルオリフィスまでの滞留時間は10分以
内が好ましく、より好ましくは、5分以内である。ノズ
ルの温度は、必要な繊維径が得られる範囲でできるだけ
低い方が好ましく、例えばポリプロピレンの場合には2
85℃以下、より好ましくは255℃以下さらに好まし
くは250℃以下であることが好ましい。ノズル温度を
高くすることは、ポリマーの熱劣化を促進するだけでな
く、紡出後の不安定減少を増大させ、フライの発生につ
ながる。他方、実用上の観点から200℃以上、さらに
好ましくは225℃以上が好ましい。加熱流体は、過熱
蒸気、空気、窒素ガスなどが適している。加熱流体の温
度は、紡出後の不安定減少を抑制する目的から、溶融ポ
リマーの細化に充分な範囲内で、できるだけ低いことが
好ましく、例えばポリプロピレンの場合には、180℃
〜400℃、より好ましくは、200℃〜350℃であ
ると良い。加熱流体の圧力は低すぎると細化が不十分で
あり、高すぎるとフライを生じるため、0.5〜4.0
kg/cm2 であることが好ましい。 【0008】本発明により得られる不織布はメルトブロ
ー不織布の中でも極めて繊維径が細く、その分布もシャ
ープであるため、特にフィルター用途に最適である。ま
た、本発明の不織布は、必要に応じ、カレンダー加工、
エンボス加工、超音波加工などの後加工を行うことがで
きる。また、コロナ放電によりエレクトレット化して、
フィルターとしての補集効率を上げることもできる。 【0009】 【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明がこれら実施例によって制限されるも
のではない。 【0010】なお、本文に規定した、及び実施例中に用
いた主な特性値は以下の方法によるものである。 【0011】 平均繊維径(μm)、繊維径変動率(CV%) 不織布を走査型原子顕微鏡によって撮影し、2000倍
の拡大写真の中からランダムに、繊維200本を選択
し、その直径を測定し、200本の平均繊維径とした。
また、下式により繊維径変動率を求めた。 繊維径変動率(%)=(δn-1 /x)×100 但し、δn-1 は不偏分散である。 【0012】 不織布強力(g/cm) 不織布の縦方向、横方向それぞれ長さ14cm×幅2c
mのサンプルを5本とり、把持長2cmとしてテンシロ
ンにより伸長切断し、そのときの最大点応力を求め5点
の平均値を1cm幅換算して求める。 【0013】 目付け変動率(CV%) 不織布を幅方向に、幅2cm×長さ10cmのサンプル
をとり、それぞれの重量を測定し、平均値と標準偏差を
求め、下式により目付け変動率を求めた。 目付け変動率(%)=(δn-1 /x)×100 【0014】 極限粘度:[μ]p 、[μ]f (dl/g) 135℃、テトラリン溶媒中で測定した。 【0015】 捕集効率、圧力損失 JIS Z−8901試験用ダスト13種B法の0.3
μm平均のステアリン酸エアロゾルのダスト捕集効率測
定により求めた。 【0016】 【実施例】 実施例1 温度230℃、荷重2.160kgにおけるメルトイン
デックスが1000g/10分、(〔μ〕p )が0.7
5のポリプロピレン樹脂を用い、オリフィス径0.2m
mのノズルを使用し、ポリプロピレン樹脂の単孔吐出量
0.1g/分・孔、ノズル温度240℃、牽引流体温度
320℃、牽引流体圧力2.5kg/cm2 の条件でメ
ルトブロー法により極細繊維不織布を製造した。これら
の結果を表1に示した。得られた極細繊維不織布の平均
繊維径は1.0μmであり、繊維径変動率は25%であ
った。また、平均目付けは30g/m2 であり、目付け
変動率は3.0%と非常に均質なものであった。
(〔μ〕f )は0.55で、従って(Δ〔μ〕)は0.
20であり、ポリマーの熱劣化は比較的小さかった。こ
の極細繊維不織布の引張り強度は450g/cmと、比
較的高い強度を有していた。なお、このときの紡糸状態
は非常に安定しており、フライの発生は認められなかっ
た。この製造条件のままで20日間の連続操業を行った
が、20日後もなお安定であり、ノズル孔の閉塞も見ら
れなかった。さらにこの極細繊維不織布を用いてフィル
ター特性を評価したところ、捕集効率99.6%、圧力
損失10mmH2 Oを示し、非常に優れたものであっ
た。 【0017】 【表1】【0018】実施例2〜4、比較例1〜3 メルトインデックス、(〔μ〕p )の異なるポリプロピ
レン樹脂を用い、単孔吐出量、ノズル温度、牽引流体温
度、牽引流体圧力を種々変更し、他条件は実施例1と同
様にしてメルトブロー法により極細繊維不織布を製造し
た。それぞれの製造条件及び不織布特性を、表1に示し
た。表1から明らかなように、実施例2、3、4とも本
発明の条件を満足し、他方、比較例1はメルトインデッ
クスが小さく、またノズル温度が高いために繊維径変動
率(CV%)が大きくなり、フライの発生が多く、3日
をこえて連続操業が不可能であった。比較例2はメルト
インデックスが小さくノズル温度もそれほど高くないた
めに平均繊維径が太く、捕集効率が悪かった。比較例3
はメルトインデックスが高いために不織布の引張り強力
が低すぎ、目付け変動率が高く実用上問題があった。 【0019】 【発明の効果】本発明の製造方法により、メルトブロー
不織布の中でも極めて繊維径が細く、その分布もシャー
プなものが操業上の問題を伴うことなく得ることができ
る。このメルトブロー不織布はその極細特性を活かし、
特に高性能フィルター用途に用いることができる。
繊維不織布、さらに詳しくは、フィルター用途に特に優
れたポリオレフィン系極細繊維不織布を安定して供給す
る方法に関する。 【0002】 【従来の技術】熱可塑性樹脂を加熱溶融後、ノズルのオ
リフィスから吐出させ、このオリフィスの開口端近傍か
ら加熱流体を噴射させて吐出溶融樹脂の流れに吹き当て
細化させて極細繊維群を形成する方法、即ちメルトブロ
ー法によって極細繊維不織布を製造する方法は、特公昭
43−20248号公報、特公昭44−12848号公
報、特公昭44−13210号公報、特公昭44−22
525号公報、特公昭44−25870号公報、特公昭
44−25872号公報等に開示されている。また、ポ
リオレフィン系のメルトブロー法については、特開昭5
0−46972号公報、特開昭54−134177号公
報に開示されている。これらの方法は、少なくとも1.
4の初期固有粘度を有する熱可塑性樹脂を押出機からノ
ズルのオリフィスに至るまでの間に、遊離基の存在下ま
たは非存在下で熱減成せしめて、ノズルオリフィス中に
おけるポリマーの固有粘度を0.6〜1.4、溶融粘度
を50〜300ポイズとするメルトブロー不織布の製造
方法である。これらの方法によると、ポリマーの熱劣化
が著しいため、押出機からノズルまでの間で溶融ポリマ
ーを幅方向に広げる際に幅方向で滞留時間差ができるた
め熱劣化程度が異なり、ポリマーの溶融粘度斑となり、
それにより不織布の幅方向の目付け分布が不均一になっ
たり、繊維径の分布が大きくなる、または、不織布の強
力が弱くなる等の品質上の問題点や、紡出後に切断され
た繊維が周囲に飛散する、いわゆるフライの発生を伴
う、ポリマーの熱劣化物によるノズル孔の開塞をおこす
等の操業上の問題点があった。これらに対し、特開昭6
3−6107号公報、特開平1−156561号公報で
は、メルトインデックスが70〜500g/10分であ
るポリオレフィン樹脂を用いノズルオリフィスでの溶融
粘度を50ポイズ以下とすることにより上記問題点を解
決しようとしている。しかし、これらの方法によると、
平均繊維径が1.5μm以下の、極細繊維不織布を得よ
うとすると、さらに大きく熱劣化させなければならず、
熱劣化にともなう上記問題点、とくにフライの発生が避
けられないため、安定して得られる最低平均繊維径はせ
いぜい1.5μmであった。特公平1−60564号公
報は、メルトインデックスが0.1〜20g/10分の
ポリオレフィンに分子量低減剤を加え、ペレタイズ工程
では未分解で、紡糸温度下で分解が起こるように設定す
る方法である。これによると、ペレタイズ工程でのカッ
ティング不良といった問題を伴わずに適当な分子量にま
で分解することができるが、ライン中で分解させる方法
であるため、ポリマー分配時に滞留時間差によって分解
の程度が異なるためにポリマーの溶融粘度斑となり、得
られた不織布の目付け変動率が増大することや、250
℃以上で紡糸しなければ分子量減成効果が現れないこと
により、極細繊維不織布製造時にはフライの発生が避け
られないという問題があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオレフ
ィン系極細繊維不織布の製造方法における従来の課題、
即ち、繊維径の細い不織布を得ようとするとノズルオリ
フィスにおけるポリマーの溶融粘度を低くする必要があ
る。そのためには、熱劣化によりポリマーの分子量を低
下させるか、またはノズル温度、即ちポリマー温度を高
くすることが必要であり、その際、不織布の幅方向の目
付け分布が不均一になる、繊維径の分布が大きくなる、
不織布の強力が弱くなる等の品質上の問題点や、ブロー
中に切断された繊維が周囲に飛散する、いわゆるフライ
の発生を伴う、ポリマーの熱劣化物によるノズル孔の閉
塞をおこす等の操業上の問題点を解決し、フィルター用
途に特に優れたポリオレフィン系極細繊維不織布を安定
して供給しようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明は、熱可塑性樹
脂を加熱溶融後、ノズルのオリフィスから吐出させ、こ
のオリフィスの開口端近傍から加熱流体を噴射させて吐
出溶融樹脂の流れに吹き当て細化させて極細繊維不織布
を製造する方法において、前記熱可塑性樹脂として、温
度230℃、荷重2.160kgにおけるメルトインデ
ックスが500〜2000g/10分、極限粘度
(〔μ〕p )が0.5〜0.9であるポリオレフィン系
樹脂を用い、ノズル温度200〜285℃で極細繊維を
紡糸し、極限粘度低下(Δ〔μ〕=〔μ〕p −
〔μ〕f )が0.3以下となるように不織布を製造する
ことを特徴とするポリオレフィン系極細繊維不織布の製
造方法である。 【0005】以下本発明を詳細に説明する。本発明で使
用するポリオレフィン系樹脂はポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリブテン−1、等のポリオレフィン系樹脂単
独、またはそれらの共重合体、及び/またはブレンド物
であってもよい。 【0006】本発明で用いられる上記ポリオレフィン系
樹脂は、温度230℃、荷重2.160kgにおけるメ
ルトインデックスが500〜2000g/分、好ましく
は1000〜1500g/10分、極限粘度(〔μ〕p
)が0.5〜0.9、好ましくは0.6〜0.8であ
ることが必要である。メルトインデックスが500g/
10分未満であると、繊維径を細くするために、押出機
からノズルまでの温度を高温にして溶融粘度を調整しな
ければならず、従って紡出後の極細繊維形成過程が不安
定な状態となり、それにともない紡出後に繊維が切断さ
れるために起きると思われる繊維の飛散、いわゆるフラ
イが発生したり、得られた不織布の繊維径分布が広くな
ってしまったりするため好ましくない。メルトインデッ
クスが2000g/10分を越えると、溶融粘度が低く
なりすぎるため、ノズル幅方向への溶融ポリマーの分配
が不均一になることにより、得られた不織布に目付け斑
を生じたり、ポリマーの分子量が低すぎるため、不織布
強力が低すぎて実用上問題となるといった欠点があり好
ましくない。(〔μ〕p )が0.5未満であるとポリマ
ーの分子量が低すぎるため、不織布強力が低くなり、
0.9を越えると前述のように熱劣化を必要とし、それ
に伴う問題が生じるため好ましくない。また、不織布形
成後の繊維の極限粘度(〔μ〕f )が0.4〜0.8、
好ましくは0.5〜0.7であることが必要である。
(〔μ〕f )が0.4未満であると不織布強力が弱くな
り、0.8を越えるものでは、繊維径は太いものとな
り、フィルター用途などに用いたときに高性能を発現す
ることが出来ない。さらには、極限粘度低下(Δ〔μ〕
=〔μ〕p −〔μ〕f )は0.3以下であり、好ましく
は、0.2以下である。この条件を満足しないことは、
即ち、押出機からノズルまでの間でポリマーの熱劣化が
大きいことを意味しており、好ましくは、1.5μm以
下の極細繊維不織布を安定して製造することができな
い。ポリオレフィン系樹脂の分子量分布は特に限定はし
ないが、紡糸安定性の観点から狭い方が好ましく、Mw
/Mnで2〜5であることが好ましい。 【0007】本発明のメルトブロー法に用いる装置は、
公知のものを基本とするが、ポリマーの熱劣化を抑制す
るために、ノズルオリフィスまでの滞留時間は10分以
内が好ましく、より好ましくは、5分以内である。ノズ
ルの温度は、必要な繊維径が得られる範囲でできるだけ
低い方が好ましく、例えばポリプロピレンの場合には2
85℃以下、より好ましくは255℃以下さらに好まし
くは250℃以下であることが好ましい。ノズル温度を
高くすることは、ポリマーの熱劣化を促進するだけでな
く、紡出後の不安定減少を増大させ、フライの発生につ
ながる。他方、実用上の観点から200℃以上、さらに
好ましくは225℃以上が好ましい。加熱流体は、過熱
蒸気、空気、窒素ガスなどが適している。加熱流体の温
度は、紡出後の不安定減少を抑制する目的から、溶融ポ
リマーの細化に充分な範囲内で、できるだけ低いことが
好ましく、例えばポリプロピレンの場合には、180℃
〜400℃、より好ましくは、200℃〜350℃であ
ると良い。加熱流体の圧力は低すぎると細化が不十分で
あり、高すぎるとフライを生じるため、0.5〜4.0
kg/cm2 であることが好ましい。 【0008】本発明により得られる不織布はメルトブロ
ー不織布の中でも極めて繊維径が細く、その分布もシャ
ープであるため、特にフィルター用途に最適である。ま
た、本発明の不織布は、必要に応じ、カレンダー加工、
エンボス加工、超音波加工などの後加工を行うことがで
きる。また、コロナ放電によりエレクトレット化して、
フィルターとしての補集効率を上げることもできる。 【0009】 【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明がこれら実施例によって制限されるも
のではない。 【0010】なお、本文に規定した、及び実施例中に用
いた主な特性値は以下の方法によるものである。 【0011】 平均繊維径(μm)、繊維径変動率(CV%) 不織布を走査型原子顕微鏡によって撮影し、2000倍
の拡大写真の中からランダムに、繊維200本を選択
し、その直径を測定し、200本の平均繊維径とした。
また、下式により繊維径変動率を求めた。 繊維径変動率(%)=(δn-1 /x)×100 但し、δn-1 は不偏分散である。 【0012】 不織布強力(g/cm) 不織布の縦方向、横方向それぞれ長さ14cm×幅2c
mのサンプルを5本とり、把持長2cmとしてテンシロ
ンにより伸長切断し、そのときの最大点応力を求め5点
の平均値を1cm幅換算して求める。 【0013】 目付け変動率(CV%) 不織布を幅方向に、幅2cm×長さ10cmのサンプル
をとり、それぞれの重量を測定し、平均値と標準偏差を
求め、下式により目付け変動率を求めた。 目付け変動率(%)=(δn-1 /x)×100 【0014】 極限粘度:[μ]p 、[μ]f (dl/g) 135℃、テトラリン溶媒中で測定した。 【0015】 捕集効率、圧力損失 JIS Z−8901試験用ダスト13種B法の0.3
μm平均のステアリン酸エアロゾルのダスト捕集効率測
定により求めた。 【0016】 【実施例】 実施例1 温度230℃、荷重2.160kgにおけるメルトイン
デックスが1000g/10分、(〔μ〕p )が0.7
5のポリプロピレン樹脂を用い、オリフィス径0.2m
mのノズルを使用し、ポリプロピレン樹脂の単孔吐出量
0.1g/分・孔、ノズル温度240℃、牽引流体温度
320℃、牽引流体圧力2.5kg/cm2 の条件でメ
ルトブロー法により極細繊維不織布を製造した。これら
の結果を表1に示した。得られた極細繊維不織布の平均
繊維径は1.0μmであり、繊維径変動率は25%であ
った。また、平均目付けは30g/m2 であり、目付け
変動率は3.0%と非常に均質なものであった。
(〔μ〕f )は0.55で、従って(Δ〔μ〕)は0.
20であり、ポリマーの熱劣化は比較的小さかった。こ
の極細繊維不織布の引張り強度は450g/cmと、比
較的高い強度を有していた。なお、このときの紡糸状態
は非常に安定しており、フライの発生は認められなかっ
た。この製造条件のままで20日間の連続操業を行った
が、20日後もなお安定であり、ノズル孔の閉塞も見ら
れなかった。さらにこの極細繊維不織布を用いてフィル
ター特性を評価したところ、捕集効率99.6%、圧力
損失10mmH2 Oを示し、非常に優れたものであっ
た。 【0017】 【表1】【0018】実施例2〜4、比較例1〜3 メルトインデックス、(〔μ〕p )の異なるポリプロピ
レン樹脂を用い、単孔吐出量、ノズル温度、牽引流体温
度、牽引流体圧力を種々変更し、他条件は実施例1と同
様にしてメルトブロー法により極細繊維不織布を製造し
た。それぞれの製造条件及び不織布特性を、表1に示し
た。表1から明らかなように、実施例2、3、4とも本
発明の条件を満足し、他方、比較例1はメルトインデッ
クスが小さく、またノズル温度が高いために繊維径変動
率(CV%)が大きくなり、フライの発生が多く、3日
をこえて連続操業が不可能であった。比較例2はメルト
インデックスが小さくノズル温度もそれほど高くないた
めに平均繊維径が太く、捕集効率が悪かった。比較例3
はメルトインデックスが高いために不織布の引張り強力
が低すぎ、目付け変動率が高く実用上問題があった。 【0019】 【発明の効果】本発明の製造方法により、メルトブロー
不織布の中でも極めて繊維径が細く、その分布もシャー
プなものが操業上の問題を伴うことなく得ることができ
る。このメルトブロー不織布はその極細特性を活かし、
特に高性能フィルター用途に用いることができる。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平1−234214(JP,A)
特開 平1−62213(JP,A)
特開 平2−175694(JP,A)
特開 平3−80190(JP,A)
実開 昭61−148612(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B29C 33/38,45/37
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱可塑性樹脂を加熱溶融後、ノズルのオ
リフィスから吐出させ、このオリフィスの開口端近傍か
ら加熱流体を噴射させて吐出溶融樹脂の流れに吹き当て
細化させて極細繊維不織布を製造する方法において、前
記熱可塑性樹脂として、温度230℃、荷重2.160
kgにおけるメルトインデックスが500〜2000g
/10分、極限粘度(〔μ〕p )が0.5〜0.9であ
るポリオレフィン系樹脂を用い、ノズル温度200〜2
85℃で極細繊維を紡糸し、極限粘度低下(Δ〔μ〕=
〔μ〕 p −〔μ〕 f )が0.3以下となるように不織布
を製造することを特徴とするポリオレフィン系極細繊維
不織布の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28361191A JP3491044B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | ポリオレフイン系極細繊維不織布の製造方法 |
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JPH0625958A JPH0625958A (ja) | 1994-02-01 |
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JP7236797B2 (ja) * | 2017-02-24 | 2023-03-10 | サンアロマー株式会社 | ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 |
-
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- 1991-10-02 JP JP28361191A patent/JP3491044B2/ja not_active Expired - Fee Related
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