JP3171407B2 - サーマルヘッド用基板とその製造方法 - Google Patents

サーマルヘッド用基板とその製造方法

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JP3171407B2
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敬章 平岡
俊彦 青山
孝朗 穂積
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルヘッド用基板
とその製造方法に関するもので、特に大電力、高速タイ
プのサーマルヘッド用基板に好適に利用され得る。
【0002】
【従来の技術】一般に、サーマルヘッド用基板は、セラ
ミックス等からなる絶縁基板の表面に導体金属よりなる
コモン電極及びグレーズよりなる蓄熱層が形成されてい
るものであり、サーマルヘッドとして用いる場合には、
更にその蓄熱層上に発熱抵抗体及びその発熱抵抗体とコ
モン電極とを電気的に接続する配線が形成される。
【0003】そして、このようなサーマルヘッド用基板
は、絶縁基板上に、導体ペーストをコモン電極形状に印
刷し、焼成した後、ガラス粉末を主成分とするガラスペ
ーストをそのうえに塗布し、導体が変質しないように前
記導体ペーストの焼成温度よりも低い温度で焼成するこ
とによって、製造されていた。
【0004】ところで、従来、導体ペーストとしては、
導体抵抗をできるだけ低くする必要上、低抵抗であっ
て、しかも耐酸化性及び耐マイグレーション性に優れた
金Auを主成分とするものが採用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金を主成分と
する導体ペーストは、Auの融点(1063℃)との関
係で、焼成温度を1000℃未満にしなければならない
ことから、蓄熱層となるグレーズ材料にしても軟化点が
800℃以下のものを選択する必要があった。従って、
蓄熱層に高耐熱性が要求される大電力、高速タイプのサ
ーマルヘッドへの利用が困難であった。
【0006】本発明の目的は、グレーズ材料として軟化
点に関して制限を受けること無く、大電力、高速タイプ
のサーマルヘッドへの利用に適したサーマルヘッド用基
板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】その手段は、コモン電極
が絶縁基板上に焼き付けられた後、さらにグレーズが焼
き付けられ蓄熱層が形成されているサーマルヘッド用基
において、コモン電極が、白金Ptまたは白金Pt合
金よりなる導体で形成されており、前記導体中に前記グ
レーズよりも軟化点の低くないガラスが含まれているこ
とを特徴とするサーマルヘッド用基板にある。
【0008】本発明のサーマルヘッド用基板を製造する
適切な方法は、絶縁基板上に、白金Pt又は白金Pt合
金を主成分とする導体ペーストをコモン電極形状に印刷
し、1000℃以上の温度で焼成した後、ガラス粉末を
主成分とするガラスペーストをそのうえに塗布し、前記
導体ペーストの焼成温度よりも低い温度で焼成すること
を特徴とする。
【0009】この製造手段において、望ましいのは、導
体ペーストが、ガラスペースト中のガラス粉末よりも軟
化点の低くないガラス粉末を含有するものである。上記
各手段において、白金合金とは、例えば白金のほかに金
Au、銀Ag及びパラジウムPdのうちから選ばれる1
種以上を含有するようなものである。
【0010】
【作用】白金は、融点が1774℃と高いことから、1
000℃以上の温度で焼成しても融けることがなく、印
刷したパターンの形状を維持しつつ、絶縁基板上に焼き
付けられる。また、そのうえに塗布されるガラス粉末に
しても軟化点が800℃を越えるものであっても良い。
かくして得られるサーマルヘッド用基板は、グレーズの
耐熱性に優れたものとなる。
【0011】そして、導体ペーストの絶縁基板への焼き
付けを容易にするために、導体ペースト中にガラス粉末
を含有させておく。このガラス粉末としては、軟化点が
ガラスペースト中のガラス粉末の軟化点より低くないも
を用いる。ガラスペースト焼成時に、導体ペースト中
のガラスが軟化して、コモン電極の形状が変わるのを防
止するためである。
【0012】
【実施例】本発明サーマルヘッド用基板を図面の実施例
に基づいて説明する。図1は、実施例にかかわるサーマ
ルヘッド用基板の断面図である。図において、サーマル
ヘッド用基板1は、アルミナセラミックスからなる絶縁
基板2、絶縁基板2上に白金Pt導体にて形成されたコ
モン電極3、並びにこのコモン電極3の一部と絶縁基板
2の一部とを覆うようにグレーズにて形成された蓄熱層
4とで構成されている。尚、サーマルヘッド用基板1
は、蓄熱層4上に発熱抵抗体R及び接続配線Lが形成さ
れてサーマルヘッドとして用いられる。
【0013】このようなサーマルヘッド用基板1を製造
する方法の例を次に説明する。まず、アルミナ粉末96
重量%及び残部焼結助剤となるセラミックス粉末を秤量
し、秤量物に有機質バインダー、溶剤等を混合し、泥し
ょうとし、ドクターブレードにてグリーンシートに成形
する。成形体を1500℃で焼成して絶縁基板2を得、
絶縁基板2上に、白金Ptに軟化点950℃のCaO−
BaO−Al23−SiO2系非晶質ガラス粉末、エチ
ルセルロース系バインダー、可塑剤及び有機溶媒を添加
して調製した導体ペーストをコモン電極形状に印刷し、
1300℃で10分間焼成して厚さ10μmのコモン電
極3を形成した。更に、上記非晶質ガラス粉末を主成分
とするガラスペーストをそのうえに塗布し、1200℃
で20分間焼成することによって、厚さ50μmの蓄熱
層4を形成した。
【0014】こうして製造されたサーマルヘッド用基板
1において、コモン電極3の導体抵抗は、50mΩであ
った。また、絶縁基板2に対するコモン電極3の接着強
度を評価するために、周波数28kHzの超音波洗浄機
にサーマルヘッド用基板1を入れて6分間純水で洗浄し
たところ、コモン電極3は、剥離しなかった。
【0015】比較のために、絶縁基板2上に、金Auに
軟化点720℃のSiO2−PbO系非晶質ガラス粉
末、エチルセルロース系バインダー、可塑剤及び有機溶
媒を添加して調製した導体ペーストをコモン電極形状に
印刷し、900℃で10分間焼成して厚さ10μmのコ
モン電極を形成した。更に、同じ非晶質ガラス粉末を主
成分とするガラスペーストをそのうえに塗布し、850
℃で10分間焼成することによって、厚さ50μmの蓄
熱層を形成した。
【0016】こうして製造されたサーマルヘッド用基板
(比較品)において、コモン電極の導体抵抗は、5mΩ
であった。また、絶縁基板2に対するコモン電極の接着
強度を評価するために、周波数28kHzの超音波洗浄
機にサーマルヘッド用基板を入れて6分間純水で洗浄し
たところ、コモン電極は、剥離しなかった。
【0017】
【発明の効果】蓄熱層となるグレーズの耐熱性に優れて
いるから、大電力、高速タイプのサーマルヘッドに適用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のサーマルヘッド用基板の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド用基板 2 絶縁基板 3 コモン電極 4 蓄熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−299060(JP,A) 特開 平2−273251(JP,A) 特開 平3−161357(JP,A) 特開 平4−169249(JP,A) 特開 平1−226355(JP,A) 特開 昭55−86195(JP,A) 特開 平4−247968(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/335 - 2/345

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コモン電極が絶縁基板上に焼き付けられた
    後、さらにグレーズが焼き付けられ蓄熱層が形成されて
    いるサーマルヘッド用基板において、コモン電極が、白
    金Ptまたは白金Pt合金よりなる導体で形成されて
    り、前記導体中に前記グレーズよりも軟化点の低くない
    ガラスが含まれていることを特徴とするサーマルヘッド
    用基板。
  2. 【請求項2】前記グレーズ及び導体に含まれるガラス
    は、非晶質である請求項1に記載のサーマルヘッド用基
    板。
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