JP4158231B2 - サーマルヘッド用絶縁基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラープリンタ等の印刷部の主要構成であるサーマルヘッドに用いられるサーマルヘッド用絶縁基板の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術としては、本件出願人による関連技術の特許出願として、特願平9−186021号(従来例1)、特願平10−155591号(従来例2)の特許出願が出願されている。
以下、この従来例について、夫々の概略を説明する。
【0003】
(1)従来例1(特願平9−186021号)の基本的な請求項1は、
Crを10〜30重量%、Alを0.1〜6重量%含む鉄合金からなる金属基板と、この金属基板の表面に形成された共通電極部となる突起と、この金属基板の表面に形成されたアルミニウム酸化物に富む酸化被膜と、この酸化被膜上に形成された結晶性ガラス層と、この結晶性ガラス層上に形成されたグレーズガラス層とを具備したサーマルヘッド用絶縁基板において、前記結晶性ガラス及びグレーズガラスの熱膨張率が、前記金属基板の熱膨張率よりも小さくなるようにしたサーマルヘッド用絶縁金属基板である。
【0004】
また、請求項2に記載のものでは、結晶性ガラスの焼成温度をその融点よりも10℃以上低くし、かつ、上記グレーズガラスの軟化点が前記結晶性ガラスの軟化点より50℃以上低くなるようにしたサーマルヘッド用絶縁金属基板である。
【0005】
共通電極部となる突起を有する絶縁基板として、金属基板を用いるようにすると、電気伝導性の点で有効であり、従来例1に示したもの以前から用いられていた。
しかし、従来例1以前のものでは、金属基板表面の共通電極部となる突起を加工形成する際、加工歪みが発生し、後工程の加熱により基板の反りが生じるという問題があった。
【0006】
そこで、従来例1の請求項1に記載したように、ガラス層の熱膨張係数を金属基板の熱膨張係数よりも小さく設定することで、加工表面に残留した応力を相殺し、基板を平坦化することができるようになった。
【0007】
一方、従来例1以前の絶縁基板では、金属基板上面に形成したガラス層の表面には、微細な欠陥が見られ、この微細な表面欠陥は薄膜パターンの断線の原因になっていた。
【0008】
そこで、従来例1の請求項2に記載したように、第1層を結晶性ガラス、第2層をそれよりも軟化点が50℃以上低いグレーズガラスの2層構造とすることで、耐ヒートショック性を損なうことなく表面欠陥を減少できた。
【0009】
このように、サーマルヘッド用基板に従来例1に記載したような絶縁基板を用いるようにすると、基板の反りがなくなり、表面欠陥が減少し、薄膜パターンの断線をなくすことができる。
【0010】
(2)従来例2(特願平10−155591号)の基本的な請求項1は、
鉄合金からなる金属基板と、この金属基板の表面に形成された共通電極部となる突起と、この金属基板の表面に形成された鉄酸化物を含まない酸化物層と、この酸化物層上に形成されたガラス層とを具備したサーマルヘッド用絶縁基板において、鉄合金組成が、Crを1〜10重量%含む鉄合金であるように構成したサーマルヘッド用絶縁金属基板である。
このようにすることにより、サーマルヘッド用絶縁基板の固有抵抗値が小さくなり、サーマルヘッド駆動時における消費電力を低減することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来例1及び2に示した絶縁基板の製造工程において、スパッター、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)での成膜中に絶縁基板が高温にさらされるために、基板は熱変形し、冷却後に、成膜した薄膜の剥離が生じるという問題が生じた。
【0012】
また、金属基板ではチョコレートブレークが困難なために、多数個取りが難しく、生産性が低いという問題がある。
本発明は、上記課題(問題点)を解決し、成膜した薄膜の冷却後の剥離を防止し、成膜工程での歩留まりと生産性を向上させたサーマルヘッド用絶縁基板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルヘッド用絶縁基板では、上記課題を解決するために、請求項1に記載のものでは、セラミック基板の表面に厚膜プロセスで形成された共通電極用突起と、この突起を頂点としてセラミック基板上に形成された凸状のグレーズガラス層とを備えた構成とした。
このように、絶縁基板の基材をセラミック基板とし、厚膜技術で基板表面に共通電極用突起を形成することで、スパッター、CVD等の成膜中に発生する高温による基板の熱変形を抑制し、成膜パターンの剥離を防止することができる。
また、絶縁基板の基材がセラミックであるために、チョコレートブレークが容易で多数個取りが可能になり、サーマルヘッド用絶縁基板の生産性が向上する。
【0014】
また、上記共通電極用突起を頂点とする凸状のグレーズガラス層において、下部が結晶化ガラス層で、上部が非晶質ガラス層であるように構成した。
このように、下部を結晶ガラス層とすれば、焼成後、セラミック化するための軟化点が上昇する。これにより上部のグレーズガラス層の焼成温度を高く設定することが可能となり、グレーズガラス層の表面粗さを小さくすることができ、これは後の成膜工程での剥離を解消する上で一層効果的である。
【0015】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の形成工程が、厚膜印刷工程、乾燥工程、焼成工程、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程、レジスト除去工程の順となるように構成した。
製作工程をこのように構成することにより、先ず、セラミック基板焼成後に突起を形成する側の表面にスピンコーターによりレジストを塗布する。または、フィルム状のドライレジスト膜を用いることも可能である。そして、所望の幅にフォトリソグラフィーでパターンニングする。次に、ウェットエッチング若しくはドライエッチングにより、共通電極を所望の突起形状に加工した後、レジスト層を剥離する。以上の工程により実際に、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を形成できる。
【0016】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の形成工程が、厚膜印刷工程、乾燥工程、焼成工程、フォトリソグラフィー工程、ショットブラスト工程、レジスト除去工程の順となるように構成した。
製作工程をこのように構成することにより、セラミック基板焼成後に突起を形成する側の表面にスピンコーターによりレジストを塗布する。または、フィルム状のドライレジスト膜を用いることも可能である。そして、所望の幅にフォトリソグラフィーでパターンニングする。次に、ショットブラストで余分な金属部分を除去し、共通電極を所望の突起形状に加工した後、レジスト層を剥離することにより、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を形成できる。
【0017】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の形成工程が、厚膜印刷工程、乾燥工程、焼成工程、切削工程の順となるように構成した。
製作工程をこのように構成することにより、セラミック基板焼成後に、ダイヤモンドトリューがコーティングされた円盤状の外周刃により余分な金属部分を除去し、共通電極を所望の突起形状に加工した後、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を形成できる。
【0018】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の形状が、高さが5〜150μm、幅が10〜100μmであるように構成した。
共通電極用突起の高さを5μm以上とすることにより、共通電極用突起の盛り上がりが小さくなり、プラテンローラとの接触面積が大きくなり、サーマルヘッドの抑え圧が大きくなりすぎて、プリント速度が低下する事態を防止することができる。
また、共通電極用突起の高さを150μm以下とすることにより、後の成膜工程で必要となるレジスト形成が難しくなり、エッチング中の破断が増加する事態を防止することができる。
更に、共通電極用突起の幅も上記範囲が実用可能なレンジである。
【0019】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の上部表面に溝を設けるように構成した。
この溝は、基板表面上に形成した突起を共通電極として使用するプレヒートサーマルヘッド、ダブルラインサーマルヘッド、ドットシフトサーマルヘッドにおいて、共通電極用突起直上での熱伝導を遮断し、これによりエネルギー効率の低下を防止したサーマルヘッドとすることができる。
【0020】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の主成分が、Au、Ag、Niの中から選択された少なくとも1つであるように構成した。
これらの金属微粉を用いることにより、共通電極の酸化を抑制し、電気伝導性が良くなる。
【0021】
請求項に記載のサーマルヘッド用絶縁基板は、上記共通電極用突起の形成工程において、厚膜の焼成工程を減圧下で行うように構成した。
このようにすると、金属微粉が焼成温度で収縮し、その真密度が100%に近づき、共通電極用突起のエッチング特性、機械特性が良くなり、所望の形状に仕上げることが容易となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のサーマルヘッド用絶縁基板の一実施の形態を図1乃至図4を用いて説明する。
図1は、本実施の形態のサーマルヘッド用絶縁基板を使用したダブルヒートラインサーマルヘッドの外観構成を示す一部を切り欠いて示した斜視図である。
図2は、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を示す縦断側面図である。
図3は、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板の製造の一工程を示す縦断側面図である。
図4は、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を用いたサーマルヘッドの一部を切り欠いて示した平面図である。
【0023】
図1に示すサーマルヘッド20において、21は、例えば厚さが0.8mmのセラミック基板としてのアルミナ基板である。このアルミナ基板21の表面には長尺状の共通電極用突起22が突出形成されている。
この共通電極用突起22の高さは、50μmとされている。
【0024】
24aは、図2に示す共通電極用突起22より同図左側のアルミナ基板21の左表面に形成された第1のグレーズガラスであり、その共通電極用突起22近傍の部分は、盛り上がりが形成されており、盛り上がり部24a1とされている。
24bは、共通電極用突起22より同図右側のアルミナ基板21の右表面に形成された第2のグレーズガラスであり、その共通電極用突起22近傍の部分は、盛り上がりが形成されており、盛り上がり部24a2とされている。
【0025】
25は、発熱抵抗体であり、第1のグレーズガラス24aから共通電極用突起22を介して第2のグレーズガラス24bまでに亙る各表面に形成されている。
この発熱抵抗体25は、1ドットに対応して設けられており、実際には一定間隔をおいて複数設けられている。
この発熱抵抗体25において、共通電極用突起22の表面22aに当接する部分は該表面22aと電気的に接合されている。
【0026】
26aは、第1のグレーズガラス24aの表面に形成された第1の個別電極であり、その一端部は発熱抵抗体25aの一端部と電気的に接合されている。
この第1の個別電極26aの他端は、図4に示す第1のコントロールIC12aの端子に接続されている。
なお、ここで、図2と図4に示した構成の対応関係を補足説明すると、図4の8aと8bは、図2の第1と第2の発熱抵抗体25a、25bに、9aと9bは同じく第1と第2の個別電極26a、26bに対応し、図4の10は、図2に示す共通電極27である。
【0027】
図2において、26bは、第2のグレーズガラス24bの表面に形成された第2の個別電極であり、その一端部は発熱抵抗体25bの一端部と電気的に接合されている。
この第2の個別電極26bの他端部は、図4に示す第2のコントロールIC12bの端子に接続される。
【0028】
27は、図1に示す共通電極用突起22に沿って配置された共通電極であり、その裏面が図2に示す発熱抵抗体25の表面に電気的に接合され、かつ設置されている。
即ち、図2に示す発熱抵抗体25においては、第1の個別電極26a及び共通電極27と接合していない部分が、実際に発熱抵抗体として作用し、以下、この部分を第1の発熱抵抗体25aと称する。
【0029】
また、発熱抵抗体25においては、第2の個別電極26b及び共通電極27と接合していない部分が、実際に発熱抵抗体として作用し、以下、この部分を第2の発熱抵抗体25bと称する。
即ち、図1に示すサーマルヘッド20は、複数の第1の発熱抵抗体25a・・・25a、及び、複数の第2の発熱抵抗体25b・・・25bを有している。
図2に示す28は、第1の個別電極26a等の表面全体を覆う保護層である。
なお、図1においては、上記保護層28の図示が省略されている。
【0030】
次に、本実施の形態による共通電極用突起22を有する絶縁基板の製造方法について、図3を参照して説明する。
初めに、図3に示すアルミナ基板21は、n−プロピルブロマイドのような有機溶剤により、脱脂洗浄された後、スクラバーにより洗浄される。
これにより、アルミナ基板21の表面及び裏面に夫々付着していたゴミ等が除去される。
【0031】
次に、アルミナ基板21は、臭化メチルの洗浄液中に浸された後、超音波洗浄される。
これにより、アルミナ基板21の表面及び裏面における微小な凹凸部に吸着されていたゴミが除去される。
【0032】
その後、所望の開口幅を有するメタルマスク、又は、スクリーンマスクを使用し、金属微粉と有機物を混練した印刷ペーストをアルミナ基板21の表面に印刷塗布することで共通電極用突起を形成する。
金属微粉としては、酸化し難く、電気伝導性の良い、Au、Ag、Niを主成分とする合金、又は、これらの内の単体金属が望ましい。
印刷終了後、アルミナ基板21の表面平坦化のために10分程度レベリングを行い、その後150℃、20分間の大気乾燥を行う。
【0033】
次に、焼却炉にて大気中300℃の加熱を行うことで、印刷ペースト中の有機物をバーンアウトする。
続いて金属微粉が焼結し、高密度化する温度(大気中600℃程度)で焼成する。この焼成工程の雰囲気環境としては、水素雰囲気、更には減圧雰囲気でも良く、このようにすると共通電極用突起の更なる高密度化が期待できる。
【0034】
次に、図3に示す共通電極用突起22より、同図左側の、アルミナ基板21の左表面には、グレーズガラスペースト24b1が20μmの厚さでスクリーン印刷される。
これと同様にして、共通電極用突起22より、同図右側の、アルミナ基板21の右表面には、グレーズガラスペースト24b2が20μmの厚さでスクリーン印刷される。
ここで、上述した第1のグレーズガラスペースト24b1及び第2のグレーズガラスペースト24b2とは、溶剤と非晶質ガラスの粉末との混合物をいう。
そして、上述した第1のグレーズガラスペースト24b1及び第2のグレーズガラスペースト24b2のスクリーン印刷が終了すると、これらの表面はレベリングにより平坦化される。
【0035】
次に、レベリングにより平坦化された印刷基板を真空容器中にて1Pa以下の真空度で15分以上放置することで、ペーストが含有している空気をスクリーン印刷表面より放出させる。
次に、グレーズガラスペースト24b1、24b2を、炉内において比較的低温の140℃に加熱するというプリベーキング処理が行われる。
140℃でプリベーキングをするのは、ガラスペーストに含まれる溶剤を突沸することなく徐々に揮発させるためである。
【0036】
このプリベーキング処理が終了すると、アルミナ基板21を炉外に取り出し、上記140℃から室温まで自然冷却する。
次いで、アルミナ基板21は800℃で10分間焼成された後、室温になるまで自然冷却される。
次に、スクリーン印刷により、図3に示す共通電極用突起22の両側部及び共通電極用突起22の両側のグレーズガラス層の各表面に第1のグレーズガラスペースト24c1及び第2のグレーズガラスペースト24c2の表面が整えられる。
本グレーズガラスは、先のグレーズガラス層より融点が約100℃低い。
【0037】
次に、グレーズガラスペースト24c1、24c2等が140℃において、上記同様にプリベーキング処理され、グレーズガラスペーストペースト24c1、24c2等に含まれる溶剤が徐々に揮発される。
このプレベーキング処理後、アルミナ基板21は、700℃の温度とされた炉内において、10分間の焼成処理が施される。
これにより、グレーズガラスペースト24c1とその下のグレーズガラスとが一体となり、この結果、図4に示す盛り上がり部24a1を有する第1のグレーズガラス24aが形成される。
【0038】
また、これと同時に、グレーズガラスペースト24c2とその下のグレーズガラスとが一体となり、この結果、図に示す盛り上がり部24a2を有する第2のグレーズガラス24bが形成される。
ここで必要に応じて、図3に示す共通電極用突起22を含む表面Hが研磨される。これにより、余分なグレーズガラス及び共通電極用突起22の表面酸化膜が除去される。
【0039】
上述した実施の形態によれば、絶縁基板の基材をセラミック基板であるアルミナ基板とし、厚膜技術で基板表面に共通電極用の突起を形成することで、スパッター、CVD等の成膜中に発生する高温にる基板の熱変形を抑制し、成膜パターンの剥離を防止することができる。
また、絶縁基板の基材がセラミックであるために、チョコレートブレークが容易で多数個取りが可能になり、サーマルヘッド用絶縁基板の生産性が向上する。
更に、ガラス絶縁層の第1層をグレーズガラス、第2層を第1層より融点が50℃以上低いグレーズガラスとすると共に、ガラスペースト塗布後に脱泡処理を行い、第1層の焼成温度を溶融温度よりも数10℃低くすることで剥離強度、耐エッチング性を低下させることなく表面欠陥が解消できる。
【0040】
また、共通電極用突起の上部表面に、1〜2μm程度の溝を設けるようにすると、この溝は、基板表面上に形成した突起を共通電極として使用するプレヒートサーマルヘッド、ダブルラインサーマルヘッド、ドットシフトサーマルヘッドにおいて、共通電極用突起直上での熱伝導を遮断し、これによりエネルギー効率の低下を防止したサーマルヘッドとすることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明のサーマルヘッド用絶縁基板は、上述のように構成したために以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載したように、絶縁基板の基材をセラミック基板とし、厚膜技術で基板表面に共通電極用突起を形成することで、スパッター、CVD等の成膜中に発生する高温による基板の熱変形を抑制し、成膜パターンの剥離を防止することができる。
(2)また、絶縁基板の基材がセラミックであるために、チョコレートブレークが容易で多数個取りが可能になり、サーマルヘッド用絶縁基板の生産性が向上する。
【0042】
(3)また、セラミック基板に接する下部を結晶ガラス層としているため、焼成後、セラミック化するための軟化点が上昇する。これにより上部のグレーズガラス層の焼成温度を高く設定することが可能となり、グレーズガラス層の表面粗さを小さくすることができ、これは後の成膜工程での剥離を解消する上で一層効果的である。
【0043】
(4)請求項に記載したように構成すると、先ず、セラミック基板焼成後に突起を形成する側の表面にスピンコーターによりレジストを塗布する。または、フィルム状のドライレジスト膜を用いることも可能である。そして、所望の幅にフォトリソグラフィーでパターンニングする。次に、ウェットエッチング若しくはドライエッチングにより、共通電極を所望の突起形状に加工した後、レジスト層を剥離する。以上の工程により実際に、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を形成できる。
【0044】
(5)請求項に記載したように構成すると、セラミック基板焼成後に突起を形成する側の表面にスピンコーターによりレジストを塗布する。または、フィルム状のドライレジスト膜を用いることも可能である。そして、所望の幅にフォトリソグラフィーでパターンニングする。次に、ショットブラストで余分な金属部分を除去し、共通電極を所望の突起形状に加工した後、レジスト層を剥離することにより、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を形成できる。
【0045】
(6)請求項に記載したように構成することにより、セラミック基板焼成後に、ダイヤモンドトリューがコーティングされた円盤状の外周刃により余分な金属部分を除去し、共通電極を所望の突起形状に加工した後、本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を形成できる。
【0046】
(7)請求項に記載したように、共通電極用突起の高さを5μm以上とすることにより、共通電極用突起の盛り上がりが小さくなり、プラテンローラとの接触面積が大きくなり、サーマルヘッドの抑え圧が大きくなりすぎて、プリント速度が低下する事態を防止することができる。
(8)また、共通電極用突起の高さを150μm以下とすることにより、後の成膜工程で必要となるレジスト形成が難しくなり、エッチング中の破断が増加する事態を防止することができる。
【0047】
(9)請求項に記載したように、共通電極用突起の上部表面に溝を設けるように構成すると、この溝は共通電極用突起直上での熱伝導を遮断し、これによりエネルギー効率の低下を防止したサーマルヘッドとすることができる。
【0048】
(10)請求項に記載したように、共通電極用突起の主成分が、Au、Ag、Niの中から選択された少なくとも1つであるように構成すると、共通電極の酸化を抑制し、電気伝導性が良くなる。
【0049】
(11)請求項に記載したように、共通電極用突起の形成工程において、厚膜の焼成工程を減圧下で行うように構成すると、金属微粉が焼成温度で収縮し、その真密度が100%に近づき、共通電極用突起のエッチング特性、機械特性が良くなり、所望の形状に仕上げることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を用いたサーマルヘッドを示す一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図2】本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を示す縦断側面図である。
【図3】本発明のサーマルヘッド用絶縁基板の製造の一工程を示す縦断側面図である。
【図4】本発明のサーマルヘッド用絶縁基板を用いたサーマルヘッドの一部を切り欠いて示した平面図である。
【符号の説明】
20:サーマルヘッド
21:アルミナ基板(セラミック基板)
22:共通電極用突起
24a、24b:グレーズガラス

Claims (8)

  1. セラミック基板の表面に厚膜プロセスで形成された共通電極用突起と、
    この突起を頂点として上記セラミック基板上に形成された凸状のグレーズガラス層とを備え、
    上記グレーズガラス層は、上記セラミック基板に接する下部が結晶化ガラス層で、上部が非晶質ガラス層であることを特徴とするサーマルヘッド用絶縁基板。
  2. 上記共通電極用突起の形成工程が、
    厚膜印刷工程、乾燥工程、焼成工程、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程、レジスト除去工程の順となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
  3. 上記共通電極用突起の形成工程が、
    厚膜印刷工程、乾燥工程、焼成工程、フォトリソグラフィー工程、ショットブラスト工程、レジスト除去工程の順となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
  4. 上記共通電極用突起の形成工程が、
    厚膜印刷工程、乾燥工程、焼成工程、切削工程の順となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
  5. 上記共通電極用突起の形状が、高さが5〜150μm、幅が10〜100μmとなるように形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
  6. 上記共通電極用突起の上部表面に溝を設けるようにしたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
  7. 上記共通電極用突起の主成分が、Au、Ag、Niの中から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
  8. 上記共通電極用突起の形成工程において、
    厚膜の焼成工程を減圧下で行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のサーマルヘッド用絶縁基板。
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