JP3171138B2 - 空冷吸収式冷凍装置 - Google Patents

空冷吸収式冷凍装置

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史朗 薬師寺
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  • Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、吸収器部分で生
じる吸収熱を空気流によって冷却放熱させるようにした
空冷吸収式冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に吸収式冷凍装置の吸収器では、冷
媒蒸気の吸収に加え、該吸収によって生じる吸収液の吸
収熱の除去を行うことが必要となる。そのため、一般に
水冷式又は空冷式の吸収器冷却手段が設けられるように
なっているが、水冷式の冷却手段を設けたものでは冷却
効率は高いものの、冷却塔を必要とするなどシステムが
複雑、大型化し、コストが高くなる欠点を有している。
【0003】このような事情から、最近では空冷式の吸
収器構造が色々提案されるようになっている。
【0004】その一つとして、例えばヘッダー部を介し
て上方から下方に冷媒蒸気とともに吸収液を流すストレ
ートな吸収伝熱管の外周部に多数枚の放熱フィンを設け
ることによって吸収器部分をクロスフィン型の熱交換器
構造に形成し、それらをファン等の送風手段の空気流上
流側から下流側方向に複数列並設することによって空冷
吸収器を構成し、上記ファン等の送風手段による空気流
によって吸収器自体を空気冷却するようにした空冷吸収
式冷凍装置がある。そして、その場合、上記空気流上流
側から下流側方向に並設された複数列の吸収伝熱管に
は、それぞれ低温再生器からの同一濃度、同一温度の吸
収液が吸収液分配容器を介して一過性で均等に供給する
ようになっていた。
【0005】しかし上述のように、複数列の各吸収伝熱
管4a〜4cの全てに対して吸収液を一過性に流すよう
にした場合、吸収伝熱管1本当りの溶液流量が少なく、
各吸収伝熱管の内壁面に均一に液膜を形成することが困
難であり、伝熱性能が悪くなる。また、複数列の各吸収
伝熱管に同一濃度、同一温度の吸収液を均等に分配する
ようにしているが、空気流下流側の列のものでは冷却空
気の温度が上昇し、吸収液との相対温度差が小さくなる
こととの関係で、熱交換効率が低下し、吸収効率が低下
する。
【0006】そこで、このような問題を解決するものと
して、例えば特公平7−21364号公報や特公平7−
21365号公報、特開昭64−84062号公報等に
示されるように、当該空冷吸収器の空気流下流側の吸収
伝熱管部分で一旦吸収作用が完了した溶液の一部を空気
流上流側次段の吸収伝熱管側に送液することにより、吸
収伝熱管1本当りの流量を増大させて吸収伝熱管内壁面
に適切かつ十分な液膜を形成するようにし、伝熱性能を
改善するようにしたものがある。
【0007】このように空気流下流側の吸収伝熱管から
の溶液を空気流上流側次段の吸収伝熱管に送液するよう
にすると、複数列の吸収伝熱管の空気流上流側から空気
流下流側にかけての冷却空気の温度上昇に対応して吸収
伝熱管内を流れる吸収液の濃度および温度を適切に分布
させることが一応可能となり、流される液量の増大によ
り各列の吸収伝熱管の伝熱性能が向上することは素よ
り、空気温度との関係で、効率的な熱交換を行わせるこ
とができるようになり、吸収効率、吸収性能が向上す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、そのように
構成した場合、吸収作用完了後の希溶液を高温再生器に
供給するための本来の溶液ポンプに加え、同溶液を次段
の吸収伝熱管側に送液するための溶液ポンプが別途必要
になり、複数台の溶液ポンプが不可欠となるので、構成
が複雑になってコストが高くなるとともに、装置小型化
のための制約が生じる問題がある。また、単に空気流上
流側次段のものに送液するようにしたのでは、各吸収伝
熱管からの溶液が混合されるので、真に適切な濃度およ
び温度分布を得ることができない。
【0009】本願発明は、このような問題を解決するた
めになされたもので、空冷吸収器で一旦吸収作用が完了
した温度の低い溶液の一部を溶液ポンプの溶液吐出圧を
利用して空気流上流側の吸収伝熱管側に戻すようにする
ことによりポンプ台数を増やすことなく吸収伝熱管1本
当りの流量を増大させるとともに、空気流上流側吸収伝
熱管部分での空気との熱交換効率を向上させ得るように
した空冷吸収式冷凍装置を提供することを目的とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、該目的を達
成するために、次のような課題解決手段を備えて構成さ
れている。
【0011】すなわち、本願発明の空冷吸収式冷凍装置
は、例えば図1〜図6に示すように、低温再生器9から
供給される吸収液に冷媒蒸気を吸収させる複数列の吸収
伝熱管4a,4b,4cよりなる空冷吸収器4と、該空
冷吸収器4の上記複数列の吸収伝熱管4a,4b,4c
の並設方向に空気流を供給して冷却する送風手段20
と、上記空冷吸収器4からの吸収作用完了後の希溶液を
高温再生器1に供給する溶液ポンプ5と備えてなる空冷
吸収式冷凍装置に対し、上記溶液ポンプ5からの希溶液
の一部を上記溶液ポンプ5の吐出圧を利用して上記複数
列の吸収伝熱管4a,4b,4cの内の空気流上流側吸
収伝熱管4a,4bに還流させる希溶液還流手段21を
設けて構成されている。
【0012】したがって、該構成によれば、空気流上流
側から下流側方向に並設された複数列の吸収伝熱管4
a,4b,4cの各々に対する溶液供給量が還流量分だ
け増大し、均一な溶液分配が可能となるので、伝熱係数
が大きくなるとともに各吸収伝熱管内壁面全周の濡れ性
が大きく改善され、有効に伝熱性能が向上する。その結
果、空冷吸収器全体の吸収効率、吸収性能が向上する。
【0013】そして、該構成においては、特に上記希溶
液還流手段21が、希溶液の一部を空気流上流側の吸収
伝熱管4a,4bに還流させるように構成されているの
で、同空気流上流側の吸収伝熱管4a,4bに流される
吸収液の温度が低下し、同吸収伝熱管4a,4b部分で
の空気との熱交換効率が向上するとともに、又それより
も下流側の吸収伝熱管4c部分に流れる空気の温度上昇
度合が小さくなり、同下流側吸収伝熱管4c部分での熱
交換効率が向上するので、さらに空冷吸収器全体として
の吸収効率、吸収性能が高くなる。
【0014】この場合、当然吸収液は濃度が高い方が吸
収能力も高くなる。従って、上記のように希溶液を還流
させる場合、温度の低い希溶液を再生器からの濃度の高
い吸収液と混合させることなく空気流上流側にのみ還流
させることによって上記のような作用を実現し、他方空
気流下流側では再生器からの濃度の高い吸収液を流すこ
とによって、吸収効率、吸収性能を向上させることが好
ましい。
【0015】また、上記のように低温再生器9から供給
される吸収液に冷媒蒸気を吸収させる複数列の吸収伝熱
管4a,4b,4cよりなる空冷吸収器4と、該空冷吸
収器4の上記複数列の吸収伝熱管4a,4b,4cの並
設方向に空気流を供給して冷却する送風手段20と、上
記空冷吸収器4からの吸収作用完了後の希溶液を高温再
生器1に供給する溶液ポンプ5と備えてなる空冷吸収式
冷凍装置に対し、上記溶液ポンプ5からの希溶液の一部
を上記溶液ポンプ5の吐出圧を利用して上記複数列の吸
収伝熱管4a,4b,4cの内の空気流上流側吸収伝熱
管4a,4bに還流させる希溶液還流手段21を設けた
場合において、上記希溶液還流手段21が、希溶液の一
部を空気流最下流側の吸収伝熱管4cを除く空気流上流
側吸収伝熱管4a,4bに還流させるように構成されて
いる時には、上記空気流上流側吸収伝熱管4a,4bの
伝熱性能の向上に加えて、空気流最下流側の吸収伝熱管
4cを流れる吸収液の濃度、温度が高く維持されるの
で、その吸収性能、伝熱性能も向上し、空冷吸収器4全
体としての吸収効率、吸収性能が一層向上する。
【0016】また、上述の構成において、特に上記希溶
液還流手段21が、希溶液の一部を空気流最上流側の吸
収伝熱管4aに還流させるように構成されている場合に
は、各吸収伝熱管4a,4b,4cの溶液流量の増大に
よる伝熱係数の増大と濡れ性の改善による伝熱性能の向
上に加え、同空気流最上流側の吸収伝熱管4aに流され
る吸収液の温度が低下し、同吸収伝熱管4a部分での空
気との熱交換効率が向上する一方、又それよりも下流側
の吸収伝熱管4b,4c部分に流れる吸収液の濃度が高
く維持され、かつ空気の温度上昇度合が小さくなり、同
下流側吸収伝熱管4b,4c部分での吸収効率、熱交換
効率が向上するので、空冷吸収器4全体としての吸収効
率、吸収性能が高くなる。
【0017】また、本願発明の空冷吸収式冷凍装置で
は、上記各構成において、上記再生器からの吸収液が、
上記空気流最上流側の吸収伝熱管4aを除く、空気流下
流側吸収伝熱管4b,4cに供給されるように構成され
ている。
【0018】このように構成すると、空気流下流側吸収
伝熱管4b,4cを流れる吸収液の濃度を高く維持する
ことができるとともに流量を増大することができ、それ
らの吸収効率、熱交換効率が高くなって、空冷吸収器4
全体としての吸収効率、吸収性能が効果的に向上する。
【0019】また、本願発明の空冷吸収式冷凍装置で
は、以上のように、何れの場合においても、上記希溶液
還流手段21による希溶液の還流は、高温再生器1側へ
の溶液ポンプ5の希溶液吐出圧を利用して実現するよう
にしているので、新な溶液ポンプの設置を必要とせず、
構成が簡単で低コストかつ小型化に適したものとなる。
【0020】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の空冷吸収式冷凍
装置によると、空冷吸収器の吸収効率、吸収性能が向上
し、小型低コストで高性能の空冷吸収式冷凍装置を提供
し得るようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)図1は、本願発明の実施の形態1に係
る空冷吸収式冷凍装置の構成を示している。
【0022】この空冷吸収式冷凍装置においては、吸収
液として例えば臭化リチウム水溶液(LiBr水溶液)
が採用され、また冷媒(被吸収液)として水(H2O)
が採用されている。
【0023】図1において、先ず符号1は高温再生器で
あり、ガスバーナ等の加熱源を備えている。該高温再生
器1の上方には、揚液管2を介して連通された気液分離
器3が設けられている。上記高温再生器1においては、
臭化リチウム希溶液を加熱沸騰させて、揚液管2を介し
て上方に位置する気液分離器3に供給し、ここで冷媒蒸
気である水蒸気と吸収液である臭化リチウム中間濃溶液
(中間濃度吸収液)とに分離再生するようになってい
る。
【0024】上記高温再生器1に供給される臭化リチウ
ム希溶液は、後述する空冷吸収器4において吸収液であ
る臭化リチウム濃溶液に冷媒蒸気である水蒸気を吸収さ
せることによって得られ、低温溶液熱交換器7および高
温溶液熱交換器8を経て順次有効に予熱された後に高温
再生器1へ還流されるようになっている。
【0025】上記気液分離器3で気液分離された水蒸気
は、次に低温再生器9に送られて低温再生される。ま
た、上記気液分離器3において気液分離された上記臭化
リチウム中間濃溶液は、上記高温溶液熱交換器8におい
て空冷吸収器4からの臭化リチウム希溶液と熱交換され
た後にオリフィス11を介して上記低温再生器9へ供給
される。
【0026】そして、上記低温再生器9では、上記のよ
うにして気液分離器3、高温溶液熱交換器8から各々供
給された水蒸気と臭化リチウム中間濃溶液との間で相互
に熱交換させることにより、水蒸気を可及的に凝縮させ
るとともに臭化リチウム中間濃溶液中に含まれる残余水
分を蒸発させてさらに高濃度の臭化リチウム濃溶液を取
り出す。
【0027】次に、このようにして低温再生器9におい
て臭化リチウム中間濃溶液から蒸発された水蒸気は、オ
リフィス12を介して供給される水蒸気混合状態の凝縮
水とともに空冷凝縮器10に送られ、確実に凝縮液化さ
れて凝縮水となり、さらに蒸発器13の凝縮水散布装置
部分へ供給される。また、一方上記記低温再生器9から
取り出された臭化リチウム濃溶液は、上記低温溶液熱交
換器7において空冷吸収器4からの臭化リチウム希溶液
と熱交換した後に空冷吸収器4の空気流下流側第2,第
3の吸収伝熱管4b,4cに対応した2組の吸収液分配
口を有する第2の吸収液分配装置15b部分に供給され
る。
【0028】この空冷吸収器4は、例えば吸収液が垂直
に流される第1〜第3の複数本複数列の吸収伝熱管4
a,4b,4cと、該第1〜第3の吸収伝熱管4a,4
b,4c各々の外周部に設けられた多数枚の伝熱フィン
F,F・・・と、上記第1〜第3の吸収伝熱管4a,4
b,4cの上部に設けられ、それら第1の吸収伝熱管4
aと第2,第3の吸収伝熱管4b,4cの各々に吸収液
を分配する第1,第2の吸収液分配装置15a,15b
と、冷却風供給用の送風ファン20とを備えて構成され
ている。
【0029】蒸発器13は、利用側熱交換器14を含む
二次側冷媒サイクルを循環する冷媒(例えば、R407
C)と上記空冷凝縮器10から送られてくる凝縮水とを
相互に熱交換させるものであり、冷房運転時の冷熱源と
なる。
【0030】そして、上記空冷吸収器4では、上記第
2,第3の吸収伝熱管4b,4c部分で、上記第2の吸
収液分配装置15bを介して供給される臭化リチウム濃
溶液に対して、また空気流上流側第1の吸収伝熱管4a
部分で、同第1の吸収伝熱管4aに対応する1組の吸収
液分配口を有した第1の吸収液分配装置15aを介して
供給される後述の還流希溶液に対して、それぞれ上記蒸
発器13で蒸発した水蒸気を吸収させることによって上
述のように臭化リチウム希溶液を形成する。この臭化リ
チウム希溶液は、一旦下部ヘッダ16内に留められた
後、溶液ポンプ5により逆止弁6を介して前述したよう
に低温溶液熱交換器7および高温溶液熱交換器8を経て
高温再生器1に戻されて高温再生されるとともに、その
一部が希溶液還流手段である希溶液還流路21を介して
上記のように第1の吸収液分配装置15aに還流され
る。
【0031】以上のように、本実施の形態の空冷吸収式
冷凍装置は、低温再生器9から供給される吸収液に冷媒
蒸気を吸収させる第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4
a,4b,4cよりなる空冷吸収器4と、該空冷吸収器
4の上記第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4a,4b,
4cの並設方向に空気流を供給して冷却する送風手段2
0と、上記空冷吸収器4からの吸収作用完了後の希溶液
を高温再生器1に供給する溶液ポンプ5と備えてなる空
冷吸収式冷凍装置に対し、上記溶液ポンプ5からの希溶
液の一部を上記溶液ポンプ5の希溶液吐出圧を利用して
上記第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4a,4b,4c
の内の空気流最上流側第1の吸収伝熱管4aに還流させ
る希溶液還流路21を設けて構成されている。
【0032】したがって、該構成によれば、空気流上流
側から下流側方向に並設された第1〜第3の複数列の吸
収伝熱管4a,4b,4cの各々に体する溶液供給量が
還流量分だけ増大し、均一な溶液分配が可能となるの
で、その伝熱係数が増大するとともに吸収伝熱管内壁面
全周の濡れ性が大きく改善され、伝熱性能が有効に向上
する。その結果、空冷吸収器4全体の熱交換効率が良く
なって吸収効率、吸収性能が高くなる。
【0033】この場合、当然吸収液は濃度が高い方が吸
収能力も高くなる。従って、上記のように希溶液を還流
させる場合、温度の低い希溶液を低温再生器9からの濃
度の高い吸収液と混合させることなく空気流上流側にの
み還流させることによって上記のような作用を実現し、
他方空気流下流側では低温再生器9からの濃度の高い吸
収液のみを流すことによって、吸収効率、吸収性能を向
上させることが好ましい。
【0034】そして、該構成においては、特に上記のよ
うに希溶液還流路21が、希溶液の一部を空気流最上流
側第1の吸収伝熱管4aにのみ還流させるように構成さ
れていることから、同空気流最上流側第1の吸収伝熱管
4aに流される吸収液の温度が低下し熱交換効率が向上
し、吸収効率が向上するとともに、それよりも下流側の
第2,第3の吸収伝熱管4b,4c部分に流れる吸収液
の濃度が高く維持され、かつ冷却空気の温度上昇度合が
小さくなり、同下流側第2,第3の吸収伝熱管4b,4
c部分の吸収効率、熱交換効率も向上するので、さらに
空冷吸収器4全体としての吸収効率、吸収性能が高くな
る。
【0035】さらに、それらの結果、空気流上流側第1
の吸収伝熱管4aから空気流下流側第2,第3の吸収伝
熱管4b,4c部分を流れる吸収液の濃度および温度分
布は、冷却空気の温度上昇度合に対応して高くなる適切
なものとなり、第1〜第3の各吸収伝熱管4a,4b,
4cそれぞれの伝熱性能、熱交換効率、吸収効率が向上
し、空冷吸収器4全体としての吸収効率、吸収性能が効
果的に向上する。
【0036】また、以上の構成では、上記希溶液還流路
21による希溶液の還流は、高温再生器1側への溶液ポ
ンプ5の希溶液吐出圧を利用して実現するようにしてい
るので、新な溶液ポンプの設置を必要とせず、構成が簡
単で低コストかつ小型化の可能なものとなる。
【0037】以上の結果、本実施の形態の空冷吸収式冷
凍装置によると、空冷吸収器の吸収性能が向上し、小型
低コストで高性能の空冷吸収式冷凍装置を提供し得るよ
うになる。
【0038】(実施の形態2)次に、図2は本願発明の
実施の形態2に係る空冷吸収式冷凍装置の要部の構成を
示している。
【0039】この実施の形態のものでは、前述の実施の
形態1のもののように低温再生器9から供給される吸収
液に冷媒蒸気を吸収させる第1〜第3の複数列の吸収伝
熱管4a,4b,4cよりなる空冷吸収器4と、該空冷
吸収器4の上記第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4a,
4b,4cの並設方向に空気流を供給して冷却する送風
ファン20と、上記空冷吸収器4からの吸収作用完了後
の希溶液を高温再生器1に供給する溶液ポンプ5と備え
てなる空冷吸収式冷凍装置に対し、上記溶液ポンプ5か
らの希溶液の一部を上記第1〜第3の複数列の吸収伝熱
管4a,4b,4c側に還流させる希溶液還流路21を
設けた場合において、特に上記希溶液還流路21の下流
側が空気流上流側第1,第2の吸収伝熱管4a,4bの
両方に対応して設けられた2組の吸収液分配口を有する
第1の吸収液分配装置15aに連通され、上記溶液ポン
プ5から吐出される希溶液の一部が空気流最下流側の第
3の吸収伝熱管4cを除く当該空気流上流側第1,第2
の吸収伝熱管4a,4bに還流されるように構成されて
いる。
【0040】従って、該構成では、空気流上流側第1,
第2の吸収伝熱管4a,4bから空気流下流側第3の吸
収伝熱管4c部分を流れる吸収液の濃度および温度分布
は、冷却空気の温度上昇度合に対応して高くなる適切な
ものとなり、各吸収伝熱管4a,4b,4cそれぞれの
伝熱性能、熱交換効率、吸収効率が向上し、空冷吸収器
4全体としての吸収効率、吸収性能が向上する。また、
該構成の場合、特に空気流最下流側の吸収伝熱管の伝熱
性能が向上し、冷却空気との熱交換効率が向上して、空
冷吸収器4全体としての吸収効率、吸収性能が向上す
る。
【0041】また、本願実施の形態の空冷吸収式冷凍装
置でも、前述の実施の形態1のものと同じように、上記
希溶液還流路21による希溶液の還流は、高温再生器1
側への溶液ポンプ5の希溶液吐出圧を利用して実現する
ようにしているので、新な溶液ポンプの設置を必要とせ
ず、構成が簡単かつ低コストで、小型化に適したものと
なる。
【0042】(実施の形態3)次に、図3は、本願発明
の実施の形態3に係る空冷吸収式冷凍装置の要部の構成
を示している。
【0043】この実施の形態のものでは、前述の実施の
形態1のように低温再生器9から供給される吸収液に冷
媒蒸気を吸収させる第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4
a,4b,4cよりなる空冷吸収器4と、該空冷吸収器
4の上記第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4a,4b,
4cの並設方向に空気流を供給して冷却する送風ファン
20と、上記空冷吸収器4からの吸収作用完了後の希溶
液を高温再生器1に供給する溶液ポンプ5とを備えてな
る空冷吸収式冷凍装置に対し、上記溶液ポンプ5からの
希溶液の一部を上記第1〜第3の複数列の吸収伝熱管4
a,4b,4c側に還流させる希溶液還流路21を設け
た場合において、特に上記低温再生器9からの吸収液を
空気流下流側第2,第3の吸収伝熱管4b,4cに対応
した2組の吸収液分配口を有する第2の吸収液分配装置
15bを介して当該空気流下流側第2,第3の吸収伝熱
管4b,4cに供給するようになす一方、上記希溶液還
流路21の下流側が空気流上流側第1,第2の吸収伝熱
管4a,4bに対応して設けられた2組の吸収液分配口
を有する第1の吸収液分配装置15aに連通され、上記
溶液ポンプ5から吐出される希溶液の一部が、その吐出
圧を利用して空気流最下流側の第3の吸収伝熱管4cを
除く空気流上流側第1,第2の吸収伝熱管4a,4bに
還流されるように構成されている。
【0044】従って、該構成では、上記空気流上流側第
1の吸収伝熱管4aから空気流下流側第2,第3の吸収
伝熱管4b,4c部分を流れる吸収液の濃度および温度
分布は、冷却空気の温度上昇度合に対応して高くなる適
切なものとなり、各吸収伝熱管4a,4b,4cそれぞ
れの伝熱性能、熱交換効率、吸収効率が向上し、空冷吸
収器全体としての吸収効率、吸収性能が向上する。
【0045】また、本実施の形態の空冷吸収式冷凍装置
でも、前述の実施の形態1のものと同じように、上記希
溶液還流路21による希溶液の還流は、高温再生器1側
への溶液ポンプ5の吐出圧を利用して実現するようにし
ているので、新な溶液ポンプの設置を必要とせず、構成
が簡単となる。
【0046】(実施の形態4)次に、図4は本願発明の
実施の形態4に係る空冷吸収式冷凍装置の要部の構成を
示している。
【0047】この実施の形態のものでは、図示のように
吸収伝熱管を2列構成とし、前述の実施の形態1のよう
に低温再生器9から供給される吸収液に冷媒蒸気を吸収
させる第1,第2の複数列の吸収伝熱管4a,4bより
なる空冷吸収器4と、該空冷吸収器4の上記第1,第2
の複数列の吸収伝熱管4a,4bの並設方向に空気流を
供給して冷却する送風ファン20と、上記空冷吸収器4
からの吸収作用完了後の希溶液を高温再生器1に供給す
る溶液ポンプ5と備えてなる空冷吸収式冷凍装置に対
し、上記溶液ポンプ5からの希溶液の一部を上記第1,
第2の複数列の吸収伝熱管4a,4b側に還流させる希
溶液還流路21を設けた場合において、特に上記低温再
生器9からの吸収液を空気流下流側第2の吸収伝熱管4
bのみに対応した1組の吸収液分配口を有する第2の吸
収液分配装置15bを介して当該空気流下流側第2の吸
収伝熱管4bに供給するようになす一方、上記希溶液還
流路21の下流側が第1の吸収伝熱管4aのみに対応し
て吸収液分配口が設けられた第1の吸収液分配装置15
aに連通され、上記溶液ポンプ5から吐出される希溶液
の一部が、その吐出圧を利用して空気流最下流側の第2
の吸収伝熱管4bを除く空気流上流側第1の吸収伝熱管
4aのみに還流されるように構成されている。
【0048】従って、該構成では、特に、空気流最下流
側第2の吸収伝熱管の伝熱性能が向上し、冷却空気との
熱交換効率が向上して、空冷吸収器4全体としての吸収
効率、吸収性能が向上する。
【0049】また空気流上流側第1の吸収伝熱管4aか
ら空気流下流側第2の吸収伝熱管4b部分を流れる吸収
液の濃度および温度分布は、冷却空気の温度上昇度合に
対応して高くなる適切なものとなり、各吸収伝熱管4
a,4bそれぞれの伝熱性能、熱交換効率、吸収効率が
向上し、空冷吸収器全体としての吸収効率、吸収性能が
さらに向上する。
【0050】また、本願実施の形態の空冷吸収式冷凍装
置でも、前述の実施の形態1のものと同じように、上記
希溶液還流路21による希溶液の還流は、高温再生器1
側への溶液ポンプ5の吐出圧を利用して実現するように
しているので、新な溶液ポンプの設置を必要とせず、構
成が簡単となる。
【0051】(実施の形態5)次に、図5は本願発明の
実施の形態5に係る空冷吸収式冷凍装置の要部の構成を
示している。
【0052】この実施の形態のものでは、やはり吸収伝
熱管を2列構成とし、前述の実施の形態1のように低温
再生器9から供給される吸収液に冷媒蒸気を吸収させる
第1,第2の複数列の吸収伝熱管4a,4bよりなる空
冷吸収器4と、該空冷吸収器4の上記第1,第2の複数
列の吸収伝熱管4a,4bの並設方向に空気流を供給し
て冷却する送風ファン20と、上記空冷吸収器4からの
吸収作用完了後の希溶液を高温再生器1に供給する溶液
ポンプ5と備えてなる空冷吸収式冷凍装置に対し、上記
溶液ポンプ5からの希溶液の一部を上記第1,第2の複
数列の吸収伝熱管4a,4b側に還流させる希溶液還流
路21を設けた場合において、特に上記低温再生器9か
らの吸収液を空気流下流側第2の吸収伝熱管4bに対応
した1組の吸収液分配口を有する第2の吸収液分配装置
15bを介して当該空気流下流側第2の吸収伝熱管4b
に供給するようになす一方、上記希溶液還流路21の下
流側が第1の吸収伝熱管4aに対応して設けられた1組
の吸収液分配口を有する第1の吸収液分配装置15aに
連通され、上記溶液ポンプ5から吐出される希溶液の一
部が空気流最下流側の第2の吸収伝熱管4bを除く空気
流上流側第1の吸収伝熱管4aのみに還流されるように
構成されている。
【0053】従って、該構成では、特に、空気流最下流
側第2の吸収伝熱管4bの伝熱性能が向上し、冷却空気
との熱交換効率が向上して、空冷吸収器4全体としての
吸収性能が向上する。また空気流上流側第1の吸収伝熱
管4aから空気流下流側第2の吸収伝熱管4b部分を流
れる吸収液の濃度および温度分布は、冷却空気の温度上
昇度合に対応して高くなる適切なものとなり、各吸収伝
熱管4a,4bそれぞれの伝熱性能、熱交換効率、吸収
効率が向上し、空冷吸収器全体としての吸収効率、吸収
性能が向上する。
【0054】また、本願実施の形態の空冷吸収式冷凍装
置でも、前述の実施の形態1のものと同じように、上記
希溶液還流路21による希溶液の還流は、高温再生器1
側への溶液ポンプ5の吐出圧を利用して実現するように
しているので、新な溶液ポンプの設置を必要とせず、構
成が簡単となる。
【0055】(実施の形態6)次に、図6は本願発明の
実施の形態6に係る空冷吸収式冷凍装置の要部の構成を
示している。
【0056】この実施の形態のものでは、吸収伝熱管を
2列構成とし、低温再生器9から供給される吸収液に冷
媒蒸気を吸収させる第1,第2の複数列の吸収伝熱管4
a,4bよりなる空冷吸収器4と、該空冷吸収器4の上
記第1,第2の複数列の吸収伝熱管4a,4bの並設方
向に空気流を供給して冷却する送風ファン20と、上記
空冷吸収器4からの吸収作用完了後の希溶液を高温再生
器1に供給する溶液ポンプ5と備えてなる空冷吸収式冷
凍装置に対し、上記溶液ポンプ5からの希溶液の一部を
上記第1,第2の複数列の吸収伝熱管4a,4b側に還
流させる希溶液還流路21を設けた場合において、特に
上記低温再生器9からの濃度の高い吸収液を空気流下流
側第2の吸収伝熱管4bにのみ対応した1組の吸収液分
配口を有する第2の吸収液分配装置15bを介して当該
空気流下流側第2の吸収伝熱管4bに供給するようにな
す一方、上記希溶液還流路21の下流側が第1の吸収伝
熱管4aと第2の吸収伝熱管4bの両方に対応して設け
られた2組の吸収液分配口を有する第1の吸収液分配装
置15aに連通され、上記溶液ポンプ5から吐出される
希溶液の一部が空気流最上流側の第1の吸収伝熱管4b
と空気流下流側第2の吸収伝熱管4bの両方に還流され
るように構成されている。
【0057】このように構成すると、上述の場合と同様
の作用に加え、空気流下流側第2の吸収伝熱管4bを流
れる吸収液の濃度を略十分に高く維持することができる
とともに、特にその流量を増大することができ、それに
よる伝熱係数の増大によって同第2の吸収伝熱管4bの
吸収効率、熱交換効率を高くすることができるので、空
冷吸収器4全体としての吸収効率、吸収性能が効果的に
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る空冷吸収式冷凍
装置の装置全体の構成を示す図である。
【図2】本願発明の実施の形態2に係る空冷吸収式冷凍
装置の要部の構成を示す図である。
【図3】本願発明の実施の形態3に係る空冷吸収式冷凍
装置の要部の構成を示す図である。
【図4】本願発明の実施の形態4に係る空冷吸収式冷凍
装置の要部の構成を示す図である。
【図5】本願発明の実施の形態5に係る空冷吸収式冷凍
装置の要部の構成を示す図である。
【図6】本願発明の実施の形態6に係る空冷吸収式冷凍
装置の要部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1は高温再生器、2は揚液管、3は気液分離器、4は空
冷吸収器、4aは第1の吸収伝熱管、4bは第2の吸収
伝熱管、4cは第3の吸収伝熱管、5は溶液ポンプ、9
は低温再生器、10は空冷凝縮器、13は蒸発器、15
aは第1の吸収液分配装置、15bは第2の吸収液分配
装置、21は希溶液還流路である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−201463(JP,A) 特開 平10−122686(JP,A) 特開 平2−267477(JP,A) 特開 平2−21167(JP,A) 特開 昭64−84062(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 15/00 303 F25B 15/00 F25B 37/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生器から供給される吸収液に冷媒蒸気
    を吸収させる複数列の吸収伝熱管(4a),(4b),
    (4c)よりなる空冷吸収器(4)と、該空冷吸収器
    (4)の上記複数列の吸収伝熱管(4a),(4b),
    (4c)の並設方向に空気流を供給して冷却する送風手
    段(20)と、上記空冷吸収器(4)からの吸収作用完
    了後の希溶液を高温再生器(1)に供給する溶液ポンプ
    (5)と備えてなる空冷吸収式冷凍装置において、上記
    溶液ポンプ(5)からの希溶液の一部を上記溶液ポンプ
    (5)の吐出圧を利用して上記複数列の吸収伝熱管(4
    a),(4b),(4c)の内の空気流上流側吸収伝熱
    管(4a),(4b)に還流させる希溶液還流手段(2
    1)を設けたことを特徴とする空冷吸収式冷凍装置。
  2. 【請求項2】 希溶液還流手段(21)は、希溶液の一
    部を空気流最下流側の吸収伝熱管(4c)を除く空気流
    上流側吸収伝熱管(4a),(4b)に還流させるよう
    に構成されていることを特徴とする請求項1記載の空冷
    吸収式冷凍装置。
  3. 【請求項3】 希溶液還流手段(21)は、希溶液の一
    部を空気流最上流側の吸収伝熱管(4a)に還流させる
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    空冷吸収式冷凍装置。
  4. 【請求項4】 再生器からの吸収液は、空気流最上流側
    の吸収伝熱管(4a)を除く、空気流下流側吸収伝熱管
    (4b),(4c)に供給されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の空冷吸収式
    冷凍装置。
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