JP3168835B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP3168835B2
JP3168835B2 JP16201194A JP16201194A JP3168835B2 JP 3168835 B2 JP3168835 B2 JP 3168835B2 JP 16201194 A JP16201194 A JP 16201194A JP 16201194 A JP16201194 A JP 16201194A JP 3168835 B2 JP3168835 B2 JP 3168835B2
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庄一郎 渡邊
祐之 村井
芳明 新田
豊次 杉本
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非水電解液二次電池に
関するものであり、特にその電池特性の改善に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、民生用電子機器のポータブル化、
コードレス化が急激に進んできている。現在、これら電
子機器の駆動用電源としての役割を、ニッケル−カドミ
ウム電池あるいは密閉型小型鉛蓄電池が担っているが、
ポータブル化、コードレス化が進展、定着するにしたが
い、駆動用電源となる二次電池の高エネルギー密度化、
小型軽量化の要望が強くなっており、近年は携帯電話用
の電源として注目されている。
【0003】このような通信機器は様々な環境下での使
用が想定され、幅広い温度条件下での電池の信頼性が要
求される。
【0004】特に小型の携帯電話の急速な市場の拡大と
共に、通話時間の長期化が望まれており、高エネルギー
密度を有する電池への要望は非常に大きいものとなって
いる。
【0005】このような状況から、高い充放電電圧を示
すリチウム複合遷移金属酸化物、例えばLiCoO2
正極活物質に用い、リチウムイオンの挿入、離脱を利用
した非水電解液二次電池が提案されている(例えば特開
昭63−59507号公報)。
【0006】このような電池は、長期間に渡りその特性
が維持される事が要望されるため、長期保存の加速試験
として高温での保存試験が行われる。
【0007】例えば60℃、20日間の保存試験は、常
温(20℃)における1年間の保存に相当する。
【0008】また、このような携帯機器は様々な環境下
での使用が想定されるため、その信頼性を確立するため
に様々の環境試験を行いその特性が評価される。
【0009】例えば冬期の使用を想定した低温(−20
℃〜0℃)充放電試験や、夏期の車内での使用を想定し
た高温保存試験(40℃〜80℃)がその例として挙げ
られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように電
池を充電状態において、高温における電池の保存試験を
行った場合、保存期間中に著しい自己放電を生じ、再充
電を行っても電池容量が著しく低下してしまうという問
題があった。
【0011】本発明者らは、十分検討を重ねた結果、こ
のような特性劣化は以下のことが原因であることを見出
した。
【0012】すなわち、高温充電保存の前後における正
極板の表面上をFTIRで分析を行うと、保存前では電
解液の成分以外の吸収は認められないが、保存後の正極
板上では電解液の成分以外の新たな吸収が認められた。
【0013】また、保存後の電解液の成分を分析する
と、酸化分解によって生成したと考えられる分解生成物
が数種類検出された。
【0014】これらの結果から、このような高電圧(3
〜4.2V)を有する電池では、電解液の溶媒として有
機溶媒が用いられるが、この有機溶媒が正極活物質の表
面上で、高温高電位下に置かれるために酸化分解され、
更にその分解生成物が正極表面上を被覆し、充放電に必
要な反応面積を著しく減少させていることが明らかにな
った。
【0015】このように正極活物質の充放電に必要な反
応面積が減少したため、電池の分極が大きくなり、電池
の放電容量が減少したものと考えられた。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、負極板と、一
般式LixMO2で表わされるリチウム複合酸化物を主た
る活物質とする正極とをセパレータを間に介在して構成
した極板群を備えた非水電解液二次電池において、正極
の合剤層中に酸化剤を添加したものである。
【0017】前記酸化剤はKMnO4、NaMnO4、K
2CrO4、Na2CrO4、CrO3、MnO2のいずれか
であることが好ましい。 また、これらの酸化剤の添加
量として重量比で10〜5000ppmであると更に好
ましい。
【0018】本発明の正極板は、LixMO2と酸化剤、
導電材、結着剤を混合し、正極極板を構成することによ
って得られる。
【0019】
【作用】本発明による正極に添加した酸化剤は、高温保
存時に正極活物質上で生成する有機物被膜を優先的に分
解する触媒として作用する。このため、活物質表面上の
被膜形成を防止することができる。
【0020】これにより高温での充電保存を行った後に
おいても、保存前と同様の充放電特性を維持することが
できた。
【0021】
【実施例】
(実施例1)以下、図面とともに本発明を具体的な実施
例に沿って説明する。
【0022】まず、正極板の作成について詳しく説明す
る。正極活物質LixMO2:0.05≦x≦1.10)
としてLixCoO(0.05≦x≦1.10、以下
LiCoO2と称する)を用いた場合について説明す
る。
【0023】正極板は、まず正極活物質であるLiCo
2の粉末100重量部に、アセチレンブラック3重量
部、グラファイト粉末4重量部、フッソ樹脂系結着剤7
重量部を混合し、さらにKMnO4をLiCO2に対し重
量比で10、100、5000、20000ppmにな
るように混合した物を、カルボキシメチルセルロース水
溶液に懸濁させてペースト状にする。このペーストをア
ルミ箔の両面に塗着し、圧延後250℃で熱処理を行っ
て正極板5とした。
【0024】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiCoO2と酸化
剤(KMnO4)の混合体であることが確認できた。
【0025】図1に本実施例1で用いた円筒系電池の縦
断面図を示す。図1において1は耐有機電解液性のステ
ンレス鋼板を加工した電池ケース、2は安全弁を設けた
封口板、3は絶縁パッキングを示す。4は極板群であ
り、正極板5および負極板6がセパレータ7を介して複
数回渦巻状に巻回されてケース内に収納されている。そ
して上記正極板5からは正極リード5aが引き出されて
封口板2に接続され、負極板6からは負極リード6aが
引き出されて電池ケース1の底部に接続されている。8
は絶縁リングで極板群4の上下部にそれぞれ設けられて
いる。
【0026】以下、負極板6、電解液等について詳しく
説明する。負極板6は、コークスを加熱処理した炭素粉
100重量部に、フッ素樹脂系結着剤10重量部を混合
し、カルボキシメチルセルロース水溶液に懸濁させてペ
ースト状にした。そしてこのペーストを厚さ0.015
mmの銅箔の表面に塗着し、乾燥後0.2mmに圧延
し、幅37mm、長さ280mmの大きさに切り出して
負極板とした。
【0027】そして前記のとおり正、負極板それぞれに
リード5a,6aを取り付け、セパレータを介して渦巻
状に巻回し、直径13.8mm、高さ50mmの電池ケ
ース内に収納した。
【0028】電解液には炭酸エチレンと炭酸ジエチルの
等容積混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1モル/
lの割合で溶解したものを用いて極板群4に注入した
後、電池を密封口し、試験電池とした。
【0029】(実施例2)実施例2として、添加する添
加剤がNaMnO4である他は実施例1と同様に電池を
作成した。上記におけるNaMnO4の添加割合が1
0、100、5000、20000ppmの正極板を用
いて電池を作成した。
【0030】(実施例3)実施例3として、添加する添
加剤がK2CrO4である他は実施例1と同様に電池を作
成した。上記におけるK2CrO4の添加割合が10、1
00、5000、20000ppmの正極板を用いて電
池を作成した。
【0031】(実施例4)実施例4として、添加する添
加剤がNa2CrO4である他は実施例1と同様に電池を
作成した。上記におけるNa2CrO4の添加割合が1
0、100、5000、20000ppmの正極板を用
いて電池を作成した。
【0032】(実施例5)実施例5として、添加する添
加剤がCrO3である他は実施例1と同様に電池を作成
した。上記におけるCrO3の添加割合が10、10
0、5000、20000ppmの正極板を用いて電池
を作成した。
【0033】(実施例6)実施例6として、添加する添
加剤がMnO2である他は実施例1と同様に電池を作成
した。上記におけるMnO2の添加割合が10、10
0、5000、20000ppmの正極板を用いて電池
を作成した。
【0034】(実施例7)実施例7として、正極活物質
(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてLix
NiO2(0.05≦x≦1.10、以下LiNiO2
称する)を用いた場合について説明する。
【0035】正極活物質であるLiNiO2の粉末10
0重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量比で1
0、100、5000、20000ppmになるように
混合したものを、正極板5とした。
【0036】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiNiO2と酸化
剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0037】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例7とした。
【0038】(実施例8)実施例8として、添加する添
加剤がNaMnO4である他は実施例7と同様に電池を
作成した。上記におけるNaMnO4の添加割合が1
0、100、5000、20000ppmの正極板を用
いて電池を作成した。
【0039】(実施例9)実施例9として、添加する添
加剤がK2CrO4である他は実施例7と同様に電池を作
成した。上記におけるK2CrO4の添加割合が10、1
00、5000、20000ppmの正極板を用いて電
池を作成した。
【0040】(実施例10)実施例10として、添加す
る添加剤がNa2CrO4である他は実施例7と同様に電
池を作成した。上記におけるNa2CrO4の添加割合が
10、100、5000、20000ppmの正極板を
用いて電池を作成した。
【0041】(実施例11)実施例11として、添加す
る添加剤がCrO3である他は実施例7と同様に電池を
作成した。上記におけるCrO3の添加割合が10、1
00、5000、20000ppmの正極板を用いて電
池を作成した。
【0042】(実施例12)実施例12として、添加す
る添加剤がMnO2である他は実施例7と同様に電池を
作成した。上記におけるMnO2の添加割合が10、1
00、5000、20000ppmの正極板を用いて電
池を作成した。
【0043】(実施例13)実施例13として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xFeO2(0.05≦x≦1.10、以下LiFeO
2と称する)を用いた場合について説明する。
【0044】正極活物質であるLiFeO2の粉末10
0重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量比で1
0、100、5000、20000ppmになるように
混合したものを、正極板5とした。
【0045】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiFeO2と酸化
剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0046】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例13とした。
【0047】(実施例14)実施例14として、添加す
る添加剤がNaMnO4である他は実施例13と同様に
電池を作成した。上記におけるNaMnO4の添加割合
が10、100、5000、20000ppmの正極板
を用いて電池を作成した。
【0048】(実施例15)実施例15として、添加す
る添加剤がK2CrO4である他は実施例13と同様に電
池を作成した。上記におけるK2CrO4の添加割合が1
0、100、5000、20000ppmの正極板を用
いて電池を作成した。
【0049】(実施例16)実施例16として、添加す
る添加剤がNa2CrO4である他は実施例13と同様に
電池を作成した。上記におけるNa2CrO4の添加割合
が10、100、5000、20000ppmの正極板
を用いて電池を作成した。
【0050】(実施例17)実施例17として、添加す
る添加剤がCrO3である他は実施例13と同様に電池
を作成した。上記におけるCrO3の添加割合が10、
100、5000、20000ppmの正極板を用いて
電池を作成した。
【0051】(実施例18)実施例18として、添加す
る添加剤がMnO2である他は実施例13と同様に電池
を作成した。上記におけるMnO2の添加割合が10、
100、5000、20000ppmの正極板を用いて
電池を作成した。
【0052】(実施例19)実施例19として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xMnO2(0.05≦x≦1.10、以下LiMnO
2と称する)を用いた場合について説明する。
【0053】まず正極活物質であるLiMnO2の粉末
1p00重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量比
で10、100、5000、20000ppmになるよ
うに混合したものを、正極板5とした。
【0054】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiMnO2と酸化
剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0055】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例19とした。
【0056】(実施例20)実施例20として、添加す
る添加剤がNaMnO4である他は実施例19と同様に
電池を作成した。上記におけるNaMnO4の添加割合
が10、100、5000、20000ppmの正極板
を用いて電池を作成した。
【0057】(実施例21)実施例21として、添加す
る添加剤がK2CrO4である他は実施例19と同様に電
池を作成した。上記におけるK2CrO4の添加割合が1
0、100、5000、20000ppmの正極板を用
いて電池を作成した。
【0058】(実施例22)実施例22として、添加す
る添加剤がNa2CrO4である他は実施例19と同様に
電池を作成した。上記におけるNa2CrO4の添加割合
が10、100、5000、20000ppmの正極板
を用いて電池を作成した。
【0059】(実施例23)実施例23として、添加す
る添加剤CrOが3である他は実施例19と同様に電池
を作成した。上記におけるCrOが3の添加割合が1
0、100、5000、20000ppmの正極板を用
いて電池を作成した。
【0060】(実施例24)実施例24として、添加す
る添加剤がMnO2である他は実施例19と同様に電池
を作成した。上記におけるMnO2の添加割合が10、
100、5000、20000ppmの正極板を用いて
電池を作成した。
【0061】(実施例25)実施例25として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xCoO0.5Ni0.52(0.05≦x≦1.10、以
下LiCoNiO2と称する)を用いた場合について説
明する。
【0062】まず正極活物質であるLiCoNiO2
粉末100重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量
比で10、100、5000、20000ppmになる
ように混合したものを、正極板5とした。
【0063】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiCoNiO2
酸化剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0064】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例25とした。
【0065】(実施例26)実施例26として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xCoO0.5Mn0.52(0.05≦x≦1.10、以
下LiCoNiO2と称する)を用いた場合について説
明する。
【0066】まず正極活物質であるLiCoMnO2
粉末100重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量
比で10、100、5000、20000ppmになる
ように混合したものを、正極板5とした。
【0067】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiCoMnO2
酸化剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0068】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例26とした。
【0069】(実施例27)実施例27として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xCo0.5Fe0.52(0.05≦x≦1.10、以下
LiCoNiO2と称する)を用いた場合について説明
する。
【0070】まず正極活物質であるLiCoFeO2
粉末100重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量
比で10、100、5000、20000ppmになる
ように混合したものを、正極板5とした。
【0071】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiCoFeO2
酸化剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0072】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例27とした。
【0073】(実施例28)実施例28として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xNi0.5Mn0.52(0.05≦x≦1.10、以下
LiNiMnO2と称する)を用いた場合について説明
する。
【0074】まず正極活物質であるLiNiMnO2
粉末100重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量
比で10、100、5000、20000ppmになる
ように混合したものを、正極板5とした。
【0075】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiNiMnO2
酸化剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0076】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例28とした。
【0077】(実施例29)実施例29として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xNi0.5Fe0.52(0.05≦x≦1.10、以下
LiNiFeO2と称する)を用いた場合について説明
する。
【0078】まず正極活物質であるLiNiFeO2
粉末100重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量
比で10、100、5000、20000ppmになる
ように混合したものを、正極板5とした。
【0079】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiNiFeO2
酸化剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0080】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例29とした。
【0081】(実施例30)実施例30として、正極活
物質(LixMO2:0.05≦x≦1.10)としてL
xMn0.5Fe0.52(0.05≦x≦1.10、以下
LiMnFeO2と称する)を用いた場合について説明
する。
【0082】まず正極活物質であるLiMnFeO2
粉末100重量部に対し、酸化剤(KMnO4)を重量
比で10、100、5000、20000ppmになる
ように混合したものを、正極板5とした。
【0083】X線回折により構造を確認した結果、上記
の本発明方法で合成された活物質はLiMnFeO2
酸化剤(KMnO4)の混合体である事が確認できた。
【0084】上記方法で得られた正極板を用い、実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例30とした。
【0085】(比較例1)比較例1として、酸化剤を添
加せずに実施例1と同様にして電池を作成した。
【0086】(比較例2)比較例2として、添加剤がM
23である他は実施例1と同様にして電池を作成し
た。
【0087】上記における添加物の添加割合は同様に1
0、100、5000、20000ppmとした。
【0088】(比較例3)比較例3として、添加剤がF
23である他は実施例1と同様にして電池を作成し
た。
【0089】上記における添加物の添加割合は同様に1
0、100、5000、20000ppmとした。
【0090】(比較例4)比較例4として、添加剤がN
iOである他は実施例1と同様にして電池を作成した。
【0091】上記における添加物の添加割合は同様に1
0、100、5000、20000ppmとした。
【0092】このようにして作成した電池を20℃、充
電終止電圧4.1V、放電終止電圧3.0V、100m
Aで充放電を行い、放電容量を確認した後、充電状態に
おいて60℃で20日間保存を行った。
【0093】保存後の電池を100mAで数サイクル充
放電を行った後、500mAで高率放電試験を行い、保
存後の容量維持率を(数1)から算出した。
【0094】
【数1】
【0095】本実施例および比較例の結果を図2〜30
に示した。この試験結果から、本発明による酸化剤を添
加した正極活物質を使用した電池(図2〜26)は、比
較例1における酸化剤を添加しない電池(図2〜26
○印)に比べ、保存後の容量維持率が向上していること
が認められる。
【0096】更に添加量が100〜5000ppm以上
の電池では更に著しく保存特性が向上していることがわ
かる。
【0097】酸化剤の添加量が20000ppmを越え
ても保存後の容量維持率は無添加である比較例1に比べ
向上が認められたが、電池活物質そのものの重量が減少
するため、電池の放電容量が小さくなるので好ましくな
い。
【0098】このため、本発明における酸化剤の添加量
は、10〜5000ppmである事が好ましい。
【0099】更に比較例2〜4として他の金属酸化物
(Mn23、Fe23、NiO)を添加して作成した電
池(図27〜30)では、本発明の場合に認められた保
存特性の向上は全く認められなかった。
【0100】このように本発明における酸化剤を添加し
た電池の保存特性が向上したのは、以下の理由による。
【0101】本発明による正極に酸化剤を添加した電池
(実施例1〜24)の保存後の正極表面をFTIRによ
り分析を行うと、保存後においても比較例1〜4の場合
にみられる電解液成分以外の吸収ピークは検出されず、
正極活物質上に有機物皮膜が被覆していない事が確認で
きた。
【0102】保存後の電解液を分析したところ、比較例
1における酸化剤を添加しない場合と同様に電解液の分
解生成物が検出されたため、正極表面上での酸化分解は
ある程度起こっている物と考えられる。
【0103】この結果より本発明における酸化剤は保存
時に電解液の分解生成物として生成付着する有機物皮膜
を優先的に分解する触媒として作用しているものと考え
られる。
【0104】このため、活物質表面上の皮膜形成を防止
する事ができ、保存後においても高率放電時の分極が小
さくなり、高い容量維持率が実現できたものである。
【0105】これにより高温での充電保存を行った後に
おいても、保存前と同様の充放電特性を維持できた。
【0106】しかし、他の金属酸化物を添加した比較例
2〜4で示した電池(図28〜30)については、本発
明における効果は全く認められなかった。
【0107】これらの結果から、正極活物質の合剤層中
に酸化剤を添加する事により電池の保存特性を著しく向
上させる事ができた。
【0108】図2〜27に示したように酸化剤の添加量
が10〜5000ppmであれば更に好ましい。
【0109】上記実施例25〜30においては、Lix
MO2(LixMO2:0.05≦x≦1.10)におけ
るMがCo、Ni、Fe、Mnの元素のうち選択された
2種の混合物である場合の混合比を1対1としている
が、この混合比はいくらであっても、添加剤の触媒効果
に変化はないので同様の効果が得られる。
【0110】更に、本実施例25〜30においてLix
MO2(LixMO2:0.05≦x≦1.10)におけ
るMがCo、Ni、Fe、Mnの元素のうち選択された
2種の混合物である場合の添加する酸化剤としてKMn
4を用いたが、本発明における他の酸化剤(NaMn
4、K2CrO4、Na2CrO4、CrO3、MnO2
いずれか)であっても同様の効果が得られる事を確認し
た。
【0111】また、上記実施例においては円筒型の電池
を用いて評価を行ったが、角型など電池形状が異なって
も同様の効果が得られる。
【0112】更に、上記実施例において負極には炭素質
材料を用いたが、本発明における効果は正極板表面上に
おいて作用するため、リチウム金属や、リチウム合金等
他の負極材料を用いても同様の効果が得られる。
【0113】また、上記実施例において電解質として六
フッ化リン酸リチウムを使用したが、他のリチウム含有
塩、例えば過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウ
ム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、六フッ化
ヒ酸リチウムなどでも同様の効果が得られた。
【0114】さらに、上記実施例では電解液として炭酸
エチレンと炭酸ジエチレンの混合溶媒を用いたが、他の
非水溶媒例えば、プロピレンカーボネートなどの環状エ
ステル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメ
トキシエタンなどの鎖状エーテル、プロピオン酸メチル
などの鎖状エステルなどの非水溶媒や、これらの多元系
混合溶媒を用いても同様の効果が得られた。
【0115】
【発明の効果】本発明による酸化剤(KMnO4、Na
MnO4、K2CrO4、Na2CrO4、CrO3、MnO
2のいずれか)を正極活物質合剤層中に添加した電池は、
保存後の放電特性が良好で、長期信頼性に優れた非水電
解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例および比較例における円筒型電池の縦
断面図
【図2】本実施例1および比較例1における保存特性を
示す図
【図3】本実施例2および比較例1における保存特性を
示す図
【図4】本実施例3よび比較例1における保存特性を示
す図
【図5】本実施例4および比較例1における保存特性を
示す図
【図6】本実施例5および比較例1における保存特性を
示す図
【図7】本実施例6および比較例1における保存特性を
示す図
【図8】本実施例7および比較例1における保存特性を
示す図
【図9】本実施例8および比較例1における保存特性を
示す図
【図10】本実施例9および比較例1における保存特性
を示す図
【図11】本実施例10および比較例1における保存特
性を示す図
【図12】本実施例11および比較例1における保存特
性を示す図
【図13】本実施例12および比較例1における保存特
性を示す図
【図14】本実施例13および比較例1における保存特
性を示す図
【図15】本実施例14および比較例1における保存特
性を示す図
【図16】本実施例15および比較例1における保存特
性を示す図
【図17】本実施例16および比較例1における保存特
性を示す図
【図18】本実施例17および比較例1における保存特
性を示す図
【図19】本実施例18および比較例1における保存特
性を示す図
【図20】本実施例19および比較例1における保存特
性を示す図
【図21】本実施例20および比較例1における保存特
性を示す図
【図22】本実施例21および比較例1における保存特
性を示す図
【図23】本実施例22および比較例1における保存特
性を示す図
【図24】本実施例23および比較例1における保存特
性を示す図
【図25】本実施例24および比較例1における保存特
性を示す図
【図26】本実施例25および比較例1における保存特
性を示す図
【図27】本実施例26および比較例1における保存特
性を示す図
【図28】本実施例27および比較例1における保存特
性を示す図
【図29】本実施例28および比較例1における保存特
性を示す図
【図30】本実施例29および比較例1における保存特
性を示す図
【図31】本実施例30および比較例1における保存特
性を示す図
【図32】比較例1、2における保存特性を示す図
【図33】比較例1、3における保存特性を示す図
【図34】比較例1、4における保存特性を示す図
【符号の説明】
1 電池ケース 2 封口板 3 絶縁パッキング 4 極板群 5 正極板 5a 正極リード 6 負極板 6a 負極リード 7 セパレータ 8 絶縁リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 豊次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−85890(JP,A) 特開 平4−355056(JP,A) 特開 平4−355065(JP,A) 特開 平5−6779(JP,A) 特開 平5−343066(JP,A) 特開 平7−134985(JP,A) 特開 平2−144855(JP,A) 特開 平2−299153(JP,A) 特開 平4−355056(JP,A) 特開 平7−288127(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 4/02 H01M 4/58 H01M 4/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極板と、金属集電体の表面に一般式L
    xMO2(但し0.05≦x≦1.10、MはCo、N
    i、Fe、Mnのいずれかもしくはこれらの元素のうち
    選択された2種類の混合物)の粉末を主たる活物質とし
    た正極活物質層を形成した正極板と、この負極板と正極
    板との間にセパレータを介在してなる非水電解液二次電
    池において、前記正極活物質の合剤層中にMnO4
    NaMnO4、K2CrO4、Na2CrO4、CrO3、M
    nO2の群のうちのいずれかからなる酸化剤を添加した
    ことを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】 前記酸化剤の添加量がLixMO2の粉末
    に対し、重量比で10〜5000ppmである請求項1
    記載の非水電解液二次電池。
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