JP3168587B2 - 電解コンデンサ用電極箔およびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用電極箔およびその製造方法

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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/04Electrodes or formation of dielectric layers thereon
    • H01G9/048Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by their structure

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解コンデンサ用電極
箔およびその製造方法に関する。更に詳しくは、電解コ
ンデンサの小型大容量化に寄与する電極の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサ用電極としては、一般に
アルミニウム箔にエッチングを施して表面積を拡大した
ものが用いられている。電極の表面積を拡大すること
は、コンデンサの静電容量を増加させるために必須であ
り、小型大容量化への要求から更に電極の表面積を拡大
することが求められている。しかしエッチングによるア
ルミニウム箔の表面積拡大は、アルミニウム箔の強度の
低下などから限界に近付いている。
【0003】これに対して特開昭56−29669号公
報では、30度以上、好ましくは80〜85度の入射角
で基体にアルミニウムやタンタルなどの弁金属の蒸気を
入射させて多孔質金属膜を作成し、表面積が拡大した電
解コンデンサ電極箔を得ることが提案されている。また
特開昭59−167009号公報では、アルミニウム箔
などの基体上にアルミニウム、タンタル、チタン、ニオ
ブ、ジルコニウムなどの弁金属を不活性ガス中で蒸着し
て多孔質膜を形成し、電極の表面積を拡大すると共に誘
電率を増加させることが提案されている。これらの技術
は電解コンデンサの見掛けの単位面積当りの静電容量の
増加に大きな効果がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術には未だ以下のような課題があった。 (1)充分な表面積拡大効果を得るためには該弁金属膜
の厚みを1〜20μmと大きくする必要があり、生産性
の点で問題があったほか、アルミニウム以外の弁金属は
高融点材料であるため上記のような比較的厚い膜を形成
しようとすると、蒸着時に基体が熱ダメ−ジを受けて平
坦性が損なわれやすい。 (2)弁金属を不活性ガス中で蒸着する方法では真空槽
内の圧力を高くしたほうが同じ膜厚でも大きな表面積す
なわち大きな静電容量が得られるが、一方、真空槽内の
圧力を高くすると膜付着速度が減少していく問題があ
る。特に直進型電子ビ−ムガンを使うような大型生産機
においては蒸発源と基体とをあまり近くできないので、
真空槽内の圧力上昇に伴う膜付着速度の減少は著しく、
大幅な生産性の低下をきたす。
【0005】本発明は上記ごとき従来技術の諸欠点に鑑
み創案されたもので、その目的とするところは、静電容
量の増加に効果が大きくかつ製造時の熱ダメ−ジの恐れ
がなく生産性に優れた電解コンデンサ用電極箔およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は以
下の構成により達成される。
【0007】基体と該基体の少なくとも片面に形成され
た金属薄膜からなる電解コンデンサ用電極箔であって、
該金属薄膜はカラム構造の集合体からなり、かつ該各カ
ラムが基体側より金属薄膜表面側で先細に形成されて
り、該各カラムが基体側では該基体表面に対して略垂直
であり、かつ金属薄膜表面側では該基体に対して傾斜し
いることを特徴とする電解コンデンサ用電極箔および
円筒状ドラム表面に沿って走行する基体の少なくとも片
面に金属の蒸気を差し向け、薄膜を形成する電解コンデ
ンサ用電極箔の製造方法であって、該蒸気の該基体への
最終入射角が−90〜−45度の範囲にあり、該蒸気の
該基体への初期入射角が−30〜30度の範囲にあっ
て、かつ該蒸気の基体への入射領域へ基体走行方向上流
側および/または下流側より不活性ガスを差し向けるこ
とを特徴とする電解コンデンサ用電極箔の製造方法。
【0008】本発明で言う金属薄膜は、アルミニウム、
チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ハフニウム
のいわゆる弁金属の一群から選ばれたいずれか一つの金
属またはこれらの合金からなることが好ましいが、クロ
ム、ニクロム、銀なども採用できる。これらの中でもチ
タンは、静電容量の増加に効果が大きく最も好ましい。
アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオ
ブおよびハフニウムの群から選ばれたいずれか一つの金
属または合金薄膜の純度は、漏れ電流を小さくするため
に99.8%以上、さらに好ましくは99.9%以上で
あることが望ましい。
【0009】本発明で言うカラム構造について、図1を
用いて説明する。図1は本発明のカラム構造の集合体を
模式的に示したものであり、薄膜の厚さ方向に伸びた柱
状の粒子の集合体である。図1においてaは基体、bは
金属薄膜を構成するカラムの一つであり、cはカラムの
半径方向の中心をつないだ中心線である。該カラムは基
体側より金属薄膜表面側で細いことが、静電容量を大き
くする上で重要である。すなわち、図1に示すごとくカ
ラムの中心線cに垂直な面でのカラムの直径が、基体側
より金属薄膜表面側で小さいことが重要である。該カラ
ムの金属薄膜表面側での直径が基体側での直径の5分の
4以下であることが好ましく、4分の3以下であること
が更に好ましい。
【0010】該中心線cはカラムの該金属薄膜表面では
該基体表面に対して傾斜していること、もしくはカラム
の基体側では基体aの表面に対して略垂直であり、かつ
金属薄膜表面では該基体表面に対して傾斜していること
が、カラムとカラムの間を明瞭に分離し、静電容量を大
きくするうえで好ましい。ここで言う略垂直とは、カラ
ムの中心線cと基体aの表面が80〜90度の範囲で交
わっていることを指す。ここで言う基体表面に対して傾
斜しているとは、図1においてカラムの中心線cの金属
薄膜表面側における接線dと基体表面のなす角γが75
度より小さいことを指す。角γは65度より小さいこと
が更に好ましい。基体表面がエッチングなどの処理によ
り、カラム径と同程度のオ−ダ−の凹凸があり、基体表
面が直線で抽出できない場合は、基体の厚さ方向の中心
線を平行移動して基体表面の代用とする。
【0011】なお、上述の図1に示した例では各カラム
がそれぞれ分離された構造をもつ場合について説明した
が、勿論これらの構造のものに限定されない。例えば各
カラムの集合体が部分的に分離されておらず、例えば基
体側においてある厚さの範囲で一体構造をとっていても
良い。本発明においてはカラムが基体側より表面側で先
細に形成されていることが重要であるので、上記のよう
な複合的な構造をとるときには、一体構造の部分を除外
して明瞭に個々のカラムが分離認識される部分における
カラムの直径および傾きをみればよい。
【0012】本発明におけるカラムの直径および傾きは
以下のように定義される。試料を超薄切片に切り出し、
透過型電子顕微鏡にて金属薄膜すなわちカラムの集合体
の断面を観察する。すなわち、カラム集合体の表面から
該カラム集合体の厚さの8分の1の深さの位置で測った
該カラムの太さを該カラムの表面側での直径とし、8分
の7の深さの位置で測った該カラムの太さを該カラムの
基体側での直径とする。この直径はカラムの半径方向の
中心を結んだ中心線に対して垂直方向で測定する。該カ
ラム集合体表面側でのカラムの傾きは、該カラム集合体
の厚さの8分の1の深さの位置でカラムの中心線の接線
として引き出された延長線と基体表面のなす角で表し、
基体側でのカラムの傾きは、該カラム集合体の表面から
該カラム集合体の厚さの8分の7の深さの位置でカラム
の中心線の接線として引き出された延長線と基体表面の
なす角で表す。切り出した超薄切片には切断位置によっ
て最大径が現れているカラムとそうでないカラムとがあ
るため、走査型電子顕微鏡によって試料表面から平均の
カラムの太さを測定して、その太さにおおむね合致した
カラムを任意の位置の透過型電子顕微鏡像中から選び出
し、それらのカラムの太さおよび傾きの平均をとって評
価する。
【0013】該カラムの直径は、該カラム集合体の膜厚
の2分の1の深さの位置で0.005〜0.2μmであ
ることがカラム間の空隙が明瞭に認識され、また該カラ
ム集合体の表面積が大きくなり静電容量が大きくなるの
で好ましく、0.01〜0.15μmであることが更に
好ましい。
【0014】基体の熱ダメ−ジを抑制するためと低コス
ト化を図るために、金属薄膜の膜厚は薄い方が良く、一
方、静電容量を増大させるためには膜厚が厚い方が良い
ので、0.03〜0.5μmの範囲から選ばれることが
好ましく、0.05〜0.4μmの範囲から選ばれるこ
とが更に好ましい。
【0015】本発明で使用される基体としては、アルミ
ニウム箔の他、アルミニウム合金箔やアルミニウム以外
の金属箔、プラスチックフィルム、紙なども用いること
ができるが、漏れ電流が小さい点や機械的強度が高い点
から、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔またはプラ
スチックフィルムの採用が好ましい。これらの金属箔に
は、表面積を増やす点ではエッチングやサンドブラスト
などにより粗面化処理が施されていることが好ましく、
工程を省略して生産性を上げる点では製造された状態の
平坦なままであることが好ましい。該金属箔の厚さは、
機械的強度と占有体積の関係から10〜100μmの範
囲が好ましい。
【0016】該プラスチックフィルムのプラスチックと
してはポリエチレンテレフタレ−ト、ポリカ−ボネ−ト
などのポリエステル類、ポリプロピレンなどのポリオレ
フィン類、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリレ
ンスルフィド類、ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、
ポリエ−テルケトン類およびポリイミド類などが挙げら
れるが、電気的特性や価格の点でポリエチレンテレフタ
レ−トおよびポリプロピレンが好ましい。機械的安定性
や強度の点で、これらのプラスチックは二軸延伸されて
フィルム化されていることが好ましい。該プラスチック
フィルムの厚さは、機械的強度と占有体積の関係から1
〜50μmの範囲が好ましい。
【0017】本発明の金属薄膜が、プラスチックフィル
ムなどの非導電性基体の片面にだけ形成される場合は、
これらの膜が形成される方とは反対の面が金属化されて
いる必要がある。プラスチックフィルムの金属化は蒸着
やスパッタによる金属膜の形成でなされる。該金属膜は
導電性が高いほど誘電損失が小さくなり好ましいので、
アルミニウム膜または亜鉛膜であることが好ましい。ま
た該金属膜の厚さは、厚いほど導電性が良好になり一方
薄いほどセルフヒ−リングしやすいので、0.03〜
0.15μmの範囲が好ましい。該非導電性基体は金属
化に先立ち、易接着化処理などの前処理が行われても良
い。チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ハフニ
ウムは導電性が高くないので、これらの金属または合金
膜が非導電性基体上に形成される場合は、それに先立っ
て該非導電性基体が金属化されていることが誘電損失を
小さくできる点で好ましい。
【0018】次に本発明の製造方法について説明する。
本発明で言う円筒状ドラムとは、長尺基体を走行させる
走行系の一部であって、該基体上に蒸着方式により薄膜
を形成する際に該基体を裏面から支持、冷却するための
ホルダ−である。基体は、円筒状ドラムの曲面に密着し
て該ドラムと共に移動する。
【0019】本発明においては、このような円筒状ドラ
ム表面に沿って走行する基体の片側に金属の蒸気を差し
向け薄膜を形成するが、その際、基体への入射蒸気の入
射角が制御される。以下図2を用いて蒸気の基体への入
射角について説明する。
【0020】1は円筒状ドラム、2は蒸発源、3および
4は蒸発源からの蒸気流が所定の入射角で基体に入射す
るよう制限するためのマスクである。また図2は基体走
行方向に平行でかつ円筒状ドラムの曲面に垂直な断面を
模式的に表したものである。ドラムは矢視の如くマスク
3からマスク4の方向に回転する。
【0021】蒸発源の中心5とマスク4の基体走行方向
上流端6を結ぶ直線7がドラム(基体)に入射する点8
でドラム面に法線9を立てる。法線9と直線7がなす角
αが最終入射角である。角度は該法線に対し基体走行方
向上流側を負値とし、基体走行方向下流側を正値とす
る。最終入射角αは、本発明の電解コンデンサ用電極箔
の静電容量を大きくするために、−90〜−45度の範
囲であることが重要である。最終入射角の絶対値が大き
すぎると、不活性ガスの供給方法によってはかえって静
電容量の低下をきたすことがあるので、最終入射角は−
85〜−60度の範囲であることが更に好ましい。
【0022】蒸発源の中心5とマスク3の基体走行方向
下流端10を結ぶ直線11がドラムに入射する点12で
ドラム面に法線13を立てる。法線13と直線11がな
す角βが初期入射角である。マスク3、ドラム1および
蒸発源2の位置関係によって、初期入射角はドラム面に
立てた法線に対して基体走行方向の上流側である場合と
下流側である場合がある。すなわち負値である場合と正
値である場合とがある。本発明の電解コンデンサ用電極
箔の静電容量を大きくするためには、該初期入射角は負
値で絶対値が大きいことが望ましい。一方、蒸気の入射
領域を広くして膜付着速度を上げ、かつ材料使用効率を
上げるためには、該初期入射角は負値で小さいか更には
正値で大きいことが望ましい。したがって、該初期入射
角は−30〜30度の範囲にあることが好ましい。該初
期入射角が0度に近いときには、形成される金属薄膜は
基体側では各カラムが分離されておらず一体構造を取
り、表面側ではカラム構造が明瞭に現れるような複合的
な構造を取ることがある。
【0023】本発明の蒸気の基体への入射領域とは、図
2においてマスク3とマスク4に制限された蒸発源から
の蒸気流が基体へ入射するドラム上の範囲を言う。
【0024】マスク3および4とドラム1との距離は、
蒸気流のマスク後方への回り込みによる初期入射角と最
終入射角の不明瞭化、基体と薄膜の接着性の低下、薄膜
の表面構造の不明瞭化を防ぐためには短いほうが良く、
蒸気の基体への入射領域に差し向ける不活性ガスを滞留
させるためには長いほうが良いので、マスク端6および
10とドラムの距離は5mmから100mmの範囲であ
ることが好ましく、10mmから60mmの範囲である
ことが更に好ましい。
【0025】本発明では蒸気の基体への入射領域に不活
性ガスが供給されるが、その際、該不活性ガスは、基体
走行方向上流側または下流側から、あるいは基体走行方
向上流側と下流側の双方から同時に不活性ガスを差し向
けることが重要である。生産性向上や熱ダメ−ジを回避
するなどの目的で金属薄膜の膜厚を例えば0.2μm未
満に薄く制限した上でなるべく大きな静電容量を得るた
めには、蒸気の基体への入射領域へ基体走行方向下流側
から不活性ガスを差し向けるか、もしくは基体走行方向
上流側および下流側から、同時に不活性ガスを差し向け
ることが好ましい。
【0026】蒸気の基体への入射領域は、差し向けられ
る不活性ガスを有効に滞留させるために、マスク3の基
体走行方向下流端10とマスク4の基体走行方向上流端
の間の開口部を除いて略密閉構造であることが好まし
い。すなわち蒸気の基体への入射領域は、マスク3およ
び4で下方が遮断され、ドラム1で上方が遮断され、更
に図2には示されていないマスクとドラムの間を塞ぐ隔
壁で側面が遮断されていることが好ましい。不活性ガス
は該略密閉構造部分へノズルで基体走行方向上流側およ
び/または下流側から蒸気の基体への入射領域に向けて
供給される。
【0027】該ノズルは、噴出する不活性ガスにある程
度の方向性を持たせて、蒸気の基体への入射領域に差し
向けるために、ノズル長さがノズル径の3倍以上である
ことが好ましい。また該ノズルはドラム幅方向に複数個
設けられることが形成される薄膜の幅方向の均一性を向
上させるために好ましい。
【0028】本発明で用いられる不活性ガスには、アル
ゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウムなどの希ガスのほ
か、窒素や水素も採用することができる。中でもアルゴ
ン、窒素の採用が取り扱いやすさと安価な点で好まし
い。また不活性ガスに少量の酸素を添加することは、薄
膜の微細構造の粒径を細かくして、静電容量を増加させ
る効果があるので好ましい。
【0029】本発明の電解コンデンサ用電極箔の製造方
法の一例を以下に示すがこれに限定されるものではな
い。図3は、長尺基体走行系を備えた真空蒸着装置の概
略図である。真空槽14内に巻出し軸15、円筒状の冷
却ドラム16、巻取り軸17から成る長尺基体走行系が
設置されている。該基体走行系に所定厚みのアルミニウ
ム箔基体18を設置する。真空槽14は、巻出し軸、巻
取り軸が収められた上槽19と蒸発源21が収められた
下槽20とに隔壁22、23およびマスク24、25で
分離されており、排気口26および27よりそれぞれ真
空排気される。基体走行方向上流側のマスク24は、蒸
発源からの蒸気の基体への初期入射角が、好ましくは−
30〜30度の範囲の所定の角度になるように設置され
る。基体走行方向下流側のマスク25は蒸発源からの蒸
気の基体への最終入射角が−90〜−45度の範囲の所
定の角度になるよう設置される。下槽内を5×10-5
orr以下に排気し、バルブ28を開きノズル29を通
して隔壁22、23、マスク24、25および冷却ドラ
ム16に囲まれた蒸気入射領域へ基体走行方向下流側か
らアルゴンガスを差し向け、下槽内圧力を1×10-4
1×10-2Torrの範囲の所定の圧力に調整する。蒸
発源は電子ビ−ム加熱器で、チタンのインゴット30が
充填されている。
【0030】基体を走行させつつ、チタンのインゴット
を溶融蒸発させて、基体上に所定の付着速度で所定の厚
さのチタン膜を付着させる。かくして電解コンデンサ用
電極箔を得る。
【0031】アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タ
ンタル、ニオブ、ハフニウムなどの金属の蒸発源として
は誘導加熱器、抵抗加熱器、レ−ザ−加熱器なども採用
できるが、高速に高融点金属を蒸発させるために電子ビ
−ム加熱器を採用することが好ましい。これらの蒸発源
と基体の間に高周波電力を放射するなどしてイオンプレ
−ティングを行うことは適宜許される。またこれらの蒸
発源はドラムの真下にある必要はなく、材料使用効率な
どの点から好適な位置を適宜選んで良い。
【0032】
【特性の測定方法、評価方法】
(1)静電容量の測定方法 試料を50mm×50mmの大きさに切り出し、被測定
面だけが露出するようにホルダ−に取り付ける。10重
量%硼酸アンモニウム水溶液を電解液として、試料ホル
ダ−とカ−ボン板(日本カ−ボン(株)製EG−NP
L)を30mm間隔で対抗させた。試料とカ−ボン板を
電極として、LCRメ−タ−(安藤電気(株)製AG−
4311)にて1kHzのときの静電容量を測定した。
測定された値を25(cm2 )で除して単位面積当たり
の静電容量とした。
【0033】(2)金属薄膜断面の観察 試料を超薄切片に切り出し、透過型電子顕微鏡(日本電
子(株)製JEM−1200EX)にて金属薄膜の断面
を40万倍にて観察した。観察されたカラム集合体の表
面から該カラム集合体の厚さの8分の1の深さの位置で
測った該カラムの太さを該カラムの薄膜表面側での直径
とし、該カラム集合体の厚さの8分の7の深さの位置で
測った該カラムの太さを該カラムの基体側での直径とし
た。表面でのカラムの傾きは、該カラム集合体の表面か
ら該カラム集合体の厚さの8分の1の深さの位置でカラ
ムの中心線の接線として引き出された延長線と基体表面
のなす角で表し、基体側でのカラムの傾きは、該カラム
集合体の厚さの8分の7の深さの位置でカラムの中心線
の接線として引き出された延長線と基体表面のなす角で
表した。
【0034】電界放射型走査電子顕微鏡(日立制作所
(株)製S−800)によって試料表面を5万倍にて観
察した。顕微鏡像の任意の位置から隣接した20個のカ
ラムを選び、これらの平均としてカラムの太さを算出す
る。該カラムの太さにおおむね合致した太さの(±50
%)カラムを透過型電子顕微鏡像中の任意の位置から1
0個以上選び出し、カラムの太さおよび傾きを平均をと
って評価した。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されない。 実施例1 図3の長尺基体走行系を備えた真空蒸着装置に厚さ22
μmの長尺のアルミニウム箔基体を装着した。マスク2
4および25を調節して、初期入射角が0度、最終入射
角が−52度になるようにした。またマスク開口部端部
とドラムの距離は30mmとした。電子ビ−ム加熱器2
1にチタンのインゴット30を充填した後、真空槽14
内を排気口26および27より真空排気して隔壁22、
23、マスク24、25および冷却ドラム16でしきら
れた下槽20内圧力を5×10-5Torr以下にした。
次にバルブ31およびノズル32を通して蒸気の基体へ
の入射領域に向けてアルゴンガスを供給し、下槽内圧力
を7×10-4Torrに調整した。基体を走行させなが
らチタンのインゴットを溶融蒸発させてアルミニウム箔
上に2.5μm/分の蒸着速度で厚さ0.1、0.2、
0.3μmのチタン蒸着膜を形成した。チタン膜を形成
する際、冷却ドラム16は−20℃に冷却した。
【0036】かくして得た電解コンデンサ用電極箔に
は、熱による変形はほとんどなく平坦性は良好であっ
た。また断面を観察したところ、チタン膜は基体側にお
いて膜厚の約半分の厚さの部分はカラムが個々に分離認
識されない一体構造であり、一方表面側においてはカラ
ムの集合体構造であった。カラムの中心線は、基体側で
は基体表面に対して85度で交わり略垂直であって径が
太く、チタン膜表面側での基体表面に対する傾き角γは
60度で径が細かった。チタン膜表面側でのカラムの直
径は、基体表面側でのカラムの直径の約4分の3であっ
た。該電解コンデンサ用電極箔を10%硼酸アンモニウ
ム水溶液を電解液として静電容量を測定した結果を図4
に示した。チタン膜厚が大きくなるにつれて静電容量は
増加した。膜厚が0.3μmのとき102μF/cm2
と非常に大きな値が得られた。基体のアルミニウム箔の
みの場合、静電容量は3μF/cm2 であった。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】実施例 図3の真空装置において、バルブ28およびノズル29
を通して蒸気の基体への入射領域に向けて基体走行方向
下流側からアルゴンガスを供給したこと以外は実施例1
と同様にして電解コンデンサ用電極箔を作成した。
【0041】かくして得た電解コンデンサ用電極箔に
は、熱による変形はほとんどなく平坦性は良好であっ
た。断面を観察したところ、チタン膜は実施例1とおお
むね同様の構造であったが、カラムとカラムの隙間が特
にチタン膜表面側において実施例1のチタン膜よりやや
拡がり、個々のカラムが更に明瞭に認識された。
【0042】該電解コンデンサ用電極箔の静電容量を測
定した結果を図4に示した。膜厚が0.1μm以下のと
き実施例1より大きな静電容量が得られた。
【0043】実施例 バルブ28、31およびノズル29、32を通して蒸気
の基体への入射領域に向けて基体走行方向上流側および
下流側からアルゴンガスを供給したこと以外は実施例1
と同様にして電解コンデンサ用電極箔を作成した。ノズ
ル29と32とから噴出させるアルゴンガスの量はバル
ブ28と31とを調整して同量になるようにした。
【0044】かくして得た電解コンデンサ用電極箔に
は、熱による変形はほとんどなく平坦性は良好であっ
た。断面を観察したところ、チタン膜は実施例3と同様
なカラムの集合体であった。静電容量は膜厚が0.1、
0.2、0.3μmのときそれぞれ52、65、79μ
F/cm2 であり、実施例3に近い値が得られた。
【0045】比較例1 図3の真空蒸着装置において、マスク24、25を調整
して初期入射角を23度とし、最終入射角を−23度と
したこととバルブ28およびノズル29を通して蒸気の
基体への入射領域に向けて基体走行方向下流側からアル
ゴンガスを供給したこと以外は実施例1と同様にして電
解コンデンサ用電極箔を作成した。
【0046】かくして得た電解コンデンサ用電極箔は、
図4に示すようにチタン膜厚の増加と共に静電容量も増
加していったが、膜厚が0.3μmのときでも27μF
/cm2 と比較的小さな静電容量しか得られなかった。
【0047】断面を観察したところ、図5に模式的に示
したごとくチタン膜はカラムの集合体であったが、カラ
ムの太さは基体側からチタン膜表面までほぼ同じであっ
た。またカラムはやや湾曲していたが、基体表面側では
基体表面に87度で交わっており、チタン膜表面でも傾
きは86度であった。図5においてaは基体、eはカラ
ムである。
【0048】比較例2 蒸気の基体への入射領域に向けてアルゴンガスを供給し
なかったこと以外は実施例1と同様にして電解コンデン
サ用電極箔を作成した。
【0049】かくして得た電解コンデンサ用電極箔は、
図4に示すように、膜厚が0.3μmのときでも38μ
F/cm2 と比較的小さな値しか得られなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明は、基体上に金属薄膜を形成した
静電容量の大きな電解コンデンサ用電極箔であって、該
金属薄膜に特定の構造を持たせたことにより、より薄い
膜厚でありながら大きな静電容量をもつ電解コンデンサ
用電極箔を提供するものである。さらには本発明では所
定の静電容量を得るために必要な不活性ガスの供給量を
小さくできるので、槽内圧力の上昇に伴う膜付着速度の
低下を小さく押さえることができる。これらによって本
発明は生産性の向上や基体の熱ダメ−ジ防止に著しい効
果があったものである。また静電容量を大きくするだけ
でなく誘電損失を小さくする効果や陽極酸化したときに
静電容量が急激に低下することを防止する効果もあっ
た。大気中保管時の経時変化による静電容量の低下の抑
制効果も見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属薄膜の断面の一例である。
【図2】本発明の製造方法における初期入射角と、最終
入射角の説明図である。
【図3】本発明の電解コンデンサ用電極箔を製造するた
めの真空蒸着装置の一例である。
【図4】本発明の電解コンデンサ用電極箔および比較例
の電解コンデンサ用電極箔のチタン膜厚と静電容量の関
係を示す図である。
【図5】比較例の金属薄膜の断面の一例である。
【符号の説明】
a:基体 b:カラム c:カラムの中心線 e:カラム α:最終入射角 β:初期入射角 2:蒸発源 3および4:金属蒸気を遮蔽するためのマスク 18:基体 21:蒸発源 28および31:ガス供給用バルブ 29および32:ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/055

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体と該基体の少なくとも片面に形成され
    た金属薄膜からなる電解コンデンサ用電極箔であって、
    該金属薄膜はカラム構造の集合体からなり、かつ該各カ
    ラムが基体側より金属薄膜表面側で先細に形成されて
    り、該各カラムが基体側では該基体表面に対して略垂直
    であり、かつ金属薄膜表面側では該基体に対して傾斜し
    いることを特徴とする電解コンデンサ用電極箔。
  2. 【請求項2】円筒状ドラム表面に沿って走行する基体の
    少なくとも片面に金属の蒸気を差し向け、薄膜を形成す
    る電解コンデンサ用電極箔の製造方法であって、該蒸気
    の該基体への最終入射角が−90〜−45度の範囲に
    り、該蒸気の該基体への初期入射角が−30〜30度の
    範囲にあって、かつ該蒸気の基体への入射領域へ基体走
    行方向上流側および/または下流側より不活性ガスを差
    し向けることを特徴とする電解コンデンサ用電極箔の製
    造方法。
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JP5440290B2 (ja) * 2010-03-16 2014-03-12 パナソニック株式会社 電極箔およびコンデンサ
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