JP3167535B2 - 永久磁石式回転電機 - Google Patents

永久磁石式回転電機

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JP3167535B2
JP3167535B2 JP13843894A JP13843894A JP3167535B2 JP 3167535 B2 JP3167535 B2 JP 3167535B2 JP 13843894 A JP13843894 A JP 13843894A JP 13843894 A JP13843894 A JP 13843894A JP 3167535 B2 JP3167535 B2 JP 3167535B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、永久磁石による電機子
コイルの鎖交磁束量を効果的に調整することにより低速
から高速回転までの広範囲の運転を可能とし、かつ高力
率・高効率を実現し、さらに高速領域で弱め界磁制御が
動作しない故障が発生した場合においても過大な誘起電
圧を発生しない永久磁石式回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に永久磁石界磁方式の回転電機は
図9に示すような構成となっている。即ち、ステータ2
1は、ステータ鉄心22にスロット25があり、スロッ
ト25に電機子コイル23が配置されている。またロー
タ28は、界磁となる永久磁石26がロータ鉄心27の
外周表面に配置、固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】永久磁石式回転電機は
界磁に永久磁石を用いているため界磁磁束は一定であ
る。したがって、電機子コイルと鎖交する磁束量は一定
であり、ロータの回転数に比例して誘起電圧は大とな
り、回転電機の端子電圧も大となる。
【0004】一方、電気自動車等の電気推進システムや
コンプレッサ等に使用するモータは低速領域は定トルク
運転であるが、高速領域は定出力運転を行う。したがっ
て、定トルク領域では端子電圧は回転数にほぼ比例して
大きくなるが、定出力領域ではトルクは小となるため電
流も少なくてよいことから電圧は一定に近い値となるこ
とが望ましい。
【0005】しかし、上記のシステム等に永久磁石式回
転電機を適用すると高速回転領域では誘起電圧は回転数
に比例して高くなり、ついには誘起電圧がインバータの
電圧に一致して回転が不可能となる。高速回転を可能と
するには単純にインバータの電圧を大きくすればよい
が、インバータの皮相電力が大きくなり、インバータは
大型化し、また、効率も悪くなる。そこで界磁磁束と逆
方向に作用する電機子反作用のd軸成分の電機子電流を
流すことにより電機子コイルと鎖交する界磁磁束を低下
させる技術(弱め界磁)が適用される。しかし、永久磁
石の比透磁率は真空の比透磁率(1.0)に近い値
(1.1)であり、電機子側からロータの界磁をみると
磁気的空隙長は永久磁石厚みと機械的空隙長の和とな
り、非常に大きくなる。したがって、弱め界磁の効果を
得るにはd軸の電機子電流をかなり大きくしなければな
らず、効率上及び温度的に問題がある。また、永久磁石
自身にも電機子反作用により反磁界が直接に加わり、特
性が劣化する(減磁)おそれがある。また、耐高速回転
を向上させるため、ロータの表面に固定された永久磁石
が離散するのを防止するために非磁性のリングで永久磁
石を覆う技術がある。しかし、永久磁石からみると、非
磁性リングの厚みと機械的空隙長の和が磁気的空隙長と
なるため、一般の回転電機より磁気的空隙長は大とな
り、空隙磁束密度は低下して回転電機は大型化し、効率
は悪くなる。また、前記のシステム等において、高速領
域で界磁弱め制御が故障した場合、インバータのパワー
素子に回転電機の高い誘起電圧がかかり、パワー素子を
電気的に破壊するおそれがある。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、低速から高速回転までの広範囲の運転を可能とし、
かつ高力率、高効率を実現し、さらに高速領域で弱め界
磁制御が動作しない故障が発生した場合においても過大
な誘起電圧を発生することのない永久磁石式回転電機を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、第1に、磁性材のステータ鉄心にコイル
を巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロー
タ鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をお
いて配置され該永久磁石の表面上には磁性部材がそれぞ
れ配置されるとともに該磁性部材の各間にはアルニコ材
又はFeCrCo材の何れかからなる磁石が配置された
ロータとを有することを要旨とする。
【0008】第2に、磁性材のステータ鉄心にコイルを
巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロータ
鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおい
て配置され該永久磁石の表面上にはケイ素鋼板製の磁性
部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間に
はアルニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁石
が配置されたロータとを有することを要旨とする。
【0009】第3に、磁性材のステータ鉄心にコイルを
巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロータ
鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおい
て配置され該永久磁石の表面上にはFeCoV合金製の
磁性部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材の各
間にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる
磁石が配置されたロータとを有することを要旨とする。
【0010】第4に、磁性材のステータ鉄心にコイルを
巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロータ
鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおい
て配置され該永久磁石の表面上には磁性のステンレス材
製の磁性部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材
の各間にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかから
なる磁石が配置されたロータとを有することを要旨とす
る。
【0011】第5に、磁性材のステータ鉄心にコイルを
巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロータ
鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおい
て配置され該永久磁石の表面上には金属磁性粉末とその
絶縁及び結合を兼ねる樹脂コンパウンドを成形して得た
圧粉磁心材製の磁性部材がそれぞれ配置されるとともに
該磁性部材の各間にはアルニコ材又はFeCrCo材の
何れかからなる磁石が配置されたロータとを有すること
を要旨とする。
【0012】第6に、磁性材のステータ鉄心にコイルを
巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロータ
鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおい
て配置され該永久磁石の表面上にはフェライト製の磁性
部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間に
はアルニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁石
が配置されたロータとを有することを要旨とする。
【0013】第7に、磁性材のステータ鉄心にコイルを
巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロータ
鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおい
て配置され該永久磁石の表面上にはアモルファス磁性材
製の磁性部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材
の各間にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかから
なる磁石が配置されたロータとを有することを要旨とす
る。
【0014】第8に、前記磁性部材は薄板を積層して構
成してなることを要旨とする。第9に、円盤形状のステ
ータとロータが適宜の空隙をおいて対向配置されたアキ
シャルギャップ型の永久磁石式回転電機であって、磁性
材のステータ鉄心にコイルを巻回して電機子を構成する
ステータと、磁性材のロータ鉄心に主界磁用の複数の永
久磁石が周方向に等間隔をおいて配置され前記空隙側の
少なくとも前記永久磁石の表面には磁性部材が配置され
るとともに前記永久磁石の各間にはアルニコ材又はFe
CrCo材の何れかからなる磁石が配置されたロータと
を有することを要旨とする。
【0015】
【作用】上記構成において、第1に、電機子からロータ
をみたとき、ロータの主界磁用永久磁石の表面には磁性
部材があるので、磁気的空隙長は機械的空隙長と等しく
なり、電機子による電機子反作用磁界が強くなる。この
ため、電機子反作用による弱め界磁の効果が大きくな
る。また、磁性部材の各間に配置されたアルニコ又はF
eCrCoの磁石は、保持力が小さく、残留磁束密度が
非常に大きいので高速領域において弱め界磁制御を行っ
たとき、その磁界により容易に磁化される。これによ
り、界磁の磁気回路は、ロータ鉄心−主界磁の永久磁石
−ステータ鉄心の通常の磁気回路の他に、ロータ鉄心−
主界磁の永久磁石−磁性部材−極間のアルニコ等磁石か
らなる新たな磁気回路が形成される。このため、電機子
コイルと鎖交する磁束が減少して、この点においても弱
め界磁が効果的に作用する。したがって高速領域におい
て弱め界磁制御を行うことにより、回転電機の端子電圧
が低くなって力率、効率の良い運転が可能となる。
【0016】また、低、中速領域においては、電機子に
流すトルク電流によりアルニコ等磁石が容易に磁化さ
れ、その磁束が主界磁の永久磁石の磁束に加わる。これ
により電機子コイルと鎖交する磁束が増加し、少ない電
機子電流により大きなトルクが発生して力率、効率が向
上する。
【0017】さらに、弱め界磁を行う高速領域で弱め界
磁制御が動作不能の状態となった場合でも、アルニコ等
磁石は依然として磁化された状態であるため急に磁束が
大きくなることが抑えられて過大な誘起電圧の発生が防
止される。
【0018】第2に、永久磁石の表面に配置する磁性部
材は、ケイ素鋼板で容易に実現することが可能である。
第3に、永久磁石の表面に配置する磁性部材をFeCo
V合金製とすることにより、FeCoV合金は2.3
[T]の高飽和磁束密度の磁気特性を持つので、ケイ素
鋼板の場合よりも弱め界磁用の電機子電流を大きくする
ことができる。したがって、弱め界磁を大きくしたい場
合や磁性部材の厚みを小にしたい場合に効果的となる。
【0019】第4に、永久磁石の表面に配置する磁性部
材は、磁性のステンレス材を用いても容易に実現可能で
ある。第5、第6に、永久磁石の表面に配置する磁性部
材として圧粉磁心材又はフェライト材を用いた場合、こ
れらの磁性部材は高周波においても磁束密度の低下(透
磁率の低下)が僅かであり、積層化することなく一体物
でも渦電流を低減することが可能となる。したがって、
圧粉磁心材、フェライト材を用いた場合は簡素な構成で
特性の良い回転電機を得ることが可能となる。
【0020】第7に、永久磁石の表面に配置する磁性部
材は、アモルファス磁性材を用いても容易に実現可能で
ある。第8に、一層の高効率が要求される場合、ロータ
が高速で回転する場合、多極の回転電機の場合、又は電
機子スロットが開口スロットの場合は、主界磁の永久磁
石表面に配置する磁性部材は薄板を積層した構成とする
ことにより渦電流を低減することが可能となる。
【0021】第9に、円盤形状のステータとロータが適
宜の空隙をおいて対向配置されたアキシャルギャップ型
の永久磁石式回転電機においても、前記空隙側における
少なくとも永久磁石の表面に磁性部材を配置し、永久磁
石の各間にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかか
らなる磁石を配置することにより、前記第1の発明と同
様に、低速から高速回転までの広範囲の運転が可能とな
り、かつ高力率、高効率が実現される。また高速領域で
弱め界磁制御が動作しない故障が発生した場合において
も過大な誘起電圧の発生が抑えられる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1乃至図6は、本発明の第1実施例を示す図で
ある。まず、図1を用いて、永久磁石式回転電機の構成
を説明する。ステータ1にはケイ素鋼板を積層したステ
ータ鉄心2があり、スロット5と歯4が交互に形成され
ている。ステータ鉄心2の歯4に電機子コイル3が巻回
されて電機子が構成されている。また、ロータ8におけ
るロータ鉄心7はS45Cの磁性材製で円筒形状となっ
ており、その円周表面に異極の関係である4個のNdF
eBの希土類永久磁石6が等間隔をおいて配置されてい
る。永久磁石6は回転電機の主界磁となる。そして永久
磁石6の空隙側表面に磁性部材9が配置され、その磁性
部材9の各間(界磁の磁極間)にアルニコ磁石10が配
置されている。磁性部材9の材質としては、ケイ素鋼
板、FeCoV合金、磁性のステンレス材、金属磁性粉
末とその絶縁及び結合を兼ねる樹脂コンパウンドを成形
して得られた圧粉磁心材、フェライト、又はアモルファ
ス磁性材の何れかが用いられる。ケイ素鋼板、磁性のス
テンレス材、アモルファス磁性材等は0.5mm厚程度の
薄い板を積層して構成したものが用いられる。また、磁
性部材9の各間に配置する磁石は、アルニコ磁石に代え
てFeCrCo磁石も用いられる。
【0023】次に、上述のように構成された永久磁石式
回転電機の作用を説明する。本実施例では、電機子から
ロータ8をみたときロータ8の界磁の外周には磁性部材
9があるため磁気的空隙長は機械的空隙長と等しくな
り、電機子による電機子反作用磁界は強くなる。このた
め、電機子反作用による弱め界磁の効果が大きく、高速
回転領域を拡大することが可能となる。また、図4に示
すように、界磁の極間に配置されたアルニコ磁石10は
保磁力が58[kA/m]と小さく、希土類永久磁石6の保
磁力の1/10〜1/20程度であるが、残留磁束密度
が1.35[T]と非常に大である。このため、電機子
反作用磁界をうけると簡単にその磁界方向に磁化され、
大きな磁束を発生する。また、界磁の極間に配置する磁
石としてアルニコ磁石に代えてFeCrCo磁石を用い
たとき、FeCrCo磁石は保磁力が46[kA/m]と小
さく、希土類磁石の保磁力の1/10〜1/20程度で
あるが、残留磁束密度が1.40[T]程度と非常に大
であり、アルニコ磁石と同様の作用が得られる。
【0024】次いで、高速領域と低速・中速領域とに分
けてその作用を説明する。高速領域で定出力運転を行う
には、回転電機の誘起電圧は高くなるため界磁磁束を減
少させる弱め界磁制御を行うことにより力率・効率の良
い運転が可能となる。本実施例では回転電機の端子電圧
を低下させるため電機子のd軸電流による弱め界磁を行
ったとき、保磁力が小であるアルニコ磁石10はd軸電
流が作る磁界により容易に磁化される。これより、界磁
の磁気回路はロータ鉄心7−主界磁のNdFeBの永久
磁石6−ステータ鉄心2からなる通常の磁気回路の他
に、図に示すようにロータ鉄心7−主界磁のNdFeB
の永久磁石6−ケイ素鋼板等の磁性部材9−極間のアル
ニコ磁石10からなる新しい磁気回路が形成される。つ
まり、主界磁のNdFeBの永久磁石6の磁束の一部が
上記の新しい磁気回路を通ることにより、電機子コイル
3と鎖交する磁束は減少して弱め界磁が効果的に作用
し、力率、効率が向上する。同時に、電機子反作用によ
るNdFeBの永久磁石6の減磁は以下の作用により防
ぐことになる。d軸電流による電機子反作用を受ける
と、永久磁石6の一部の磁束、磁路はステータ鉄心2か
らアルニコ磁石10に移るため、永久磁石の動作特性を
決めるパーミアンス係数の大きな低下が抑えられて過大
な電機子反作用下においてもNdFeBの永久磁石6は
磁気的に安定する。したがって、永久磁石6は電機子反
作用による減磁を避けることができる。さらに、弱め界
磁を行う高速領域で弱め界磁制御が動作不能の状態とな
った場合でも、アルニコ磁石10は依然と磁化された状
態であるため界磁弱め制御が不能時に急に磁束が大きく
なり過大な回転電機の誘起電圧によりインバータ駆動回
路のパワー素子を破壊することを避けることができる。
【0025】低速・中速領域で大きなトルクを必要とす
る場合、界磁磁束を増加すると効率の良い運転が可能と
なる。電機子のd軸電流は殆んど零として、トルクを発
生させるためトルク電流となるq軸電流を流す。同時に
極間のアルニコ磁石10はq軸電流により磁化され、図
3に示すように主界磁の永久磁石6の磁束とアルニコ磁
石10の磁束が加わり、かつ、主界磁の永久磁石6の磁
束の周方向に漏れる磁束は殆んど無くなるため電機子コ
イルと鎖交する磁束は増加する。特に、アルニコ磁石1
0の残留磁束密度は1.35[T]とNdFeB磁石と
同等の値を有するためアルニコ磁石10の発生する磁束
量も大である。したがって、少ない電機子電流により大
きなトルクを発生することになり、力率、効率が向上す
る。
【0026】上記のような作用において、主界磁の永久
磁石6表面に設ける磁性部材9にFeCoV合金を適用
した場合、FeCoV合金は2.3[T]の高飽和磁束
密度の磁気特性を有するため、ケイ素鋼板の磁性部材よ
り大きなd軸電流を流すことができる。したがって、弱
め界磁を大きくしたい場合、磁性部材9の厚みを小にし
たい場合に効果が大である。
【0027】高効率が要求される場合、ロータが高速で
回転する場合、多極の回転電機の場合、又は電機子スロ
ットが開口スロットの場合は、主界磁の永久磁石6表面
に設ける磁性部材9は薄い板を積層した構成とすること
により渦電流を低減することができる。例えば0.5mm
厚のケイ素鋼板を軸方向に積層して溶接して構成した磁
性部材9をNdFeBの永久磁石6の空隙側表面に配置
した場合、渦電流を大幅に低減することができる。ま
た、主界磁の永久磁石6表面に設ける磁性部材9に圧粉
磁心材、フェライト材を適用した場合、これらの磁性部
材は高周波においても磁束密度の低下(透磁率の低下)
がわずかであり、積層せずに一体物でも渦電流を低減す
ることができる。したがって、圧粉磁心材、フェライト
材を適用すると簡素な構成で特性の良い回転電機が得ら
れる。図5には、この圧粉磁心材の磁気特性を示し、図
6には、ケイ素鋼板、圧粉磁心材及びフェライト材の高
周波における磁気特性を示す。
【0028】図7には、上記第1実施例の変形例を示
す。この変形例では、主界磁の永久磁石6がロータ鉄心
7aの表面部に埋め込まれるように設けられている。作
用は、上記第1実施例とほぼ同様であるが、この変形例
によればロータ8を小型に構成することができる。
【0029】上述したように、本実施例によれば、永久
磁石6による電機子コイルの鎖交磁束量を効果的に調整
することができるため、低速から高速回転までの広範囲
の運転を可能とし、かつ高力率、高効率を実現し、さら
に高速領域で弱め界磁制御が動作しない故障が発生した
場合においても過大な誘起電圧を発生することがない。
【0030】図8には、本発明の第2実施例を示す。本
実施例はアキシャルギャップタイプの回転電機に適用し
たものである。円盤形状のステータにおけるステータ鉄
心に電機子コイル13が巻回されて電機子が構成されて
いる。同様に円盤形状のロータ18における空隙側の主
界磁の永久磁石16表面に磁性部材19が配置され、永
久磁石16の極間にはアルニコ磁石20が配置されてい
る。17はロータ鉄心である。作用、効果は、第1実施
例である上述のラジアルギャップタイプの回転電機と同
様である。
【0031】なお、上述の各実施例では永久磁石式回転
界磁の回転電機について述べたが、直流モータに代表さ
れるステータ側を永久磁石界磁とし、ロータを回転電機
子としても上記とほぼ同様の作用、効果が得られる。ま
た、本実施例では永久磁石式回転電機について述べたが
永久磁石式のリニアモータでも同様に可能である。さら
に、界磁極表面と電機子表面間の磁束漏れによる出力低
下よりも、トルク脈動の低減を優先する場合は、一般の
巻線形界磁の同期機にも適用可能である。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、各請求項記載の発
明によれば、それぞれ次のような効果を奏する。請求項
1記載の発明によれば、磁性材のステータ鉄心にコイル
を巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロー
タ鉄心の周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をお
いて配置され該永久磁石の表面上には磁性部材がそれぞ
れ配置されるとともに該磁性部材の各間にはアルニコ材
又はFeCrCo材の何れかからなる磁石が配置された
ロータとを具備させたため、高速領域では弱め界磁制御
により電機子コイルと鎖交する磁束を効果的に減少させ
て回転電機の端子電圧を低下させることができ、低・中
速回転領域では弱め界磁の効果により電機子コイルと鎖
交する磁束量を増加させて高効率で大トルクを発生させ
ることができる。したがって、低速から高速回転までの
広範囲で運転可能で、かつ、高力率、高効率を実現する
ことができる。また、高速領域で運転中に弱め界磁制御
が動作しない故障が発生した場合でも、アルニコ材又は
FeCrCo材からなる磁石は磁化された状態を保ち得
ることから急に磁束が大になることが抑えられて過大な
誘起電圧の発生を防止することができる。
【0033】請求項2記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材を具体的にケイ素鋼板製とした
ため、上記請求項1記載の発明の効果を容易、確実に実
現することができる。
【0034】請求項3記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材を具体的にFeCoV合金製と
したため、FeCoV合金は高飽和磁束密度の磁気特性
を持つことから、ケイ素鋼板等の場合よりも弱め界磁用
の電機子電流を大きくすることができて弱め界磁を大き
くしたい場合や磁性部材の厚みを小さくしたい場合に一
層優れた効果を奏する。
【0035】請求項4記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材を具体的に磁性のステンレス材
製としたため、前記請求項1記載の発明の効果を容易、
確実に実現することができる。
【0036】請求項5記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材を具体的に圧粉磁心材製とした
ため、圧粉磁心材は高周波においても磁束密度の低下
(透磁率の低下)が僅かであり、積層化することなく一
体物でも渦電流を低減することができるので、簡素な構
成で特性の良い永久磁石式回転電機を実現することがで
きる。
【0037】請求項6記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材を具体的にフェライト製とした
ため、上記請求項5記載の発明の効果と同様の効果が得
られる。
【0038】請求項7記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材を具体的にアモルファス磁性材
製としたため、前記請求項1記載の発明の効果を容易、
確実に実現することができる。
【0039】請求項8記載の発明によれば、永久磁石の
表面に配置する磁性部材は薄板を積層した構成としたた
め、渦電流を低減することができて一層の高効率が要求
される場合、ロータが高速で回転する場合、多極の回転
電機の場合、又は電機子スロットが開口スロット等の場
合において良好な特性の永久磁石式回転電機を実現する
ことができる。
【0040】請求項9記載の発明によれば、円盤形状の
ステータとロータが適宜の空隙をおいて対向配置された
アキシャルギャップ型の永久磁石式回転電機であって、
磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回して電機子を構成
するステータと、磁性材のロータ鉄心に主界磁用の複数
の永久磁石が周方向に等間隔をおいて配置され前記空隙
側の少なくとも前記永久磁石の表面には磁性部材が配置
されるとともに前記永久磁石の各間にはアルニコ材又は
FeCrCo材の何れかからなる磁石が配置されたロー
タとを具備させたため、アキシャルギャップ型の永久磁
石式回転電機においても、前記請求項1記載の発明の効
果とほぼ同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る永久磁石式回転電機の第1実施例
を示す要部断面図である。
【図2】上記第1実施例において弱め界磁制御であるd
軸電機子電流を電機子コイルに流したときの磁束線を示
す図である。
【図3】上記第1実施例においてq軸電機子電流のみを
電機子コイルに流して強め界磁制御を行ったときの磁束
線を示す図である。
【図4】上記第1実施例において磁性部材となるアルニ
コ磁石と主界磁となるNdFeB希土類磁石の磁気特性
を示す図である。
【図5】上記第1実施例における圧粉磁心材の磁気特性
を示す図である。
【図6】上記第1実施例におけるケイ素鋼板、圧粉磁心
材、フェライト材の周波数に対する磁気特性を示す図で
ある。
【図7】上記第1実施例の変形例を示す要部断面図であ
る。
【図8】本発明の第2実施例を一部切欠いて示す要部斜
視図である。
【図9】従来の永久磁石式回転電機の部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ステータ 2 ステータ鉄心 3 電機子コイル 6 主界磁の永久磁石 7,7a ロータ鉄心 8 ロータ 9 磁性部材 10 アルニコ又はFeCrCoからなる極間の磁石

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上には磁性部材がそれぞれ配置さ
    れるとともに該磁性部材の各間にはアルニコ材又はFe
    CrCo材の何れかからなる磁石が配置されたロータと
    を有することを特徴とする永久磁石式回転電機。
  2. 【請求項2】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上にはケイ素鋼板製の磁性部材が
    それぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間にはアル
    ニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁石が配置
    されたロータとを有することを特徴とする永久磁石式回
    転電機。
  3. 【請求項3】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上にはFeCoV合金製の磁性部
    材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間には
    アルニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁石が
    配置されたロータとを有することを特徴とする永久磁石
    式回転電機。
  4. 【請求項4】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上には磁性のステンレス材製の磁
    性部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間
    にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁
    石が配置されたロータとを有することを特徴とする永久
    磁石式回転電機。
  5. 【請求項5】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上には金属磁性粉末とその絶縁及
    び結合を兼ねる樹脂コンパウンドを成形して得た圧粉磁
    心材製の磁性部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性
    部材の各間にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れか
    からなる磁石が配置されたロータとを有することを特徴
    とする永久磁石式回転電機。
  6. 【請求項6】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上にはフェライト製の磁性部材が
    それぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間にはアル
    ニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁石が配置
    されたロータとを有することを特徴とする永久磁石式回
    転電機。
  7. 【請求項7】 磁性材のステータ鉄心にコイルを巻回し
    て電機子を構成するステータと、磁性材のロータ鉄心の
    周面に主界磁用の複数の永久磁石が等間隔をおいて配置
    され該永久磁石の表面上にはアモルファス磁性材製の磁
    性部材がそれぞれ配置されるとともに該磁性部材の各間
    にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかからなる磁
    石が配置されたロータとを有することを特徴とする永久
    磁石式回転電機。
  8. 【請求項8】 前記磁性部材は薄板を積層して構成して
    なることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の
    永久磁石式回転電機。
  9. 【請求項9】 円盤形状のステータとロータが適宜の空
    隙をおいて対向配置されたアキシャルギャップ型の永久
    磁石式回転電機であって、磁性材のステータ鉄心にコイ
    ルを巻回して電機子を構成するステータと、磁性材のロ
    ータ鉄心に主界磁用の複数の永久磁石が周方向に等間隔
    をおいて配置され前記空隙側の少なくとも前記永久磁石
    の表面には磁性部材が配置されるとともに前記永久磁石
    の各間にはアルニコ材又はFeCrCo材の何れかから
    なる磁石が配置されたロータとを有することを特徴とす
    る永久磁石式回転電機。
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