JP3167427B2 - ポリエステルフイルム - Google Patents

ポリエステルフイルム

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JP3167427B2 JP16906292A JP16906292A JP3167427B2 JP 3167427 B2 JP3167427 B2 JP 3167427B2 JP 16906292 A JP16906292 A JP 16906292A JP 16906292 A JP16906292 A JP 16906292A JP 3167427 B2 JP3167427 B2 JP 3167427B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルフイルムに
関し、さらに詳しくは耐削れ性、耐スクラッチ性に優
れ、特に磁気記録媒体のベースフイルムとして有用なポ
リエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフイルムに
代表される二軸配向ポリエステルフイルムは、その優れ
た物理的、化学的特性の故に、種々の用途、特に磁気記
録媒体用として用いられている。
【0003】二軸配向ポリエステルフイルムにおいて
は、その滑り性や耐削れ性がフイルムの製造工程及び加
工工程の作業性の良否、更にはその製品品質を左右する
大きな要因となっている。これらが不足すると、例えば
二軸配向ポリエステルフイルム表面に磁性層を塗布し磁
気テープとして用いる場合に、コーティングロールとフ
イルム表面との摩擦が激しく、削れ粉が発生したり、フ
イルム表面にスクラッチが発生する。また、VTRやデ
ータカートリッジ用として用いる場合にも、カセットに
高速で巻き込む工程で削れ粉やスクラッチが発生し、ド
ロップアウトの原因となる。
【0004】特にVTR用途では最近コストダウンを目
的として、カセット内に固定されたガイドポストに、表
面仕上げの不充分な金属ガイドやプラスチックガイドを
用いる場合があり、該ガイドポストの表面は極めて粗
い。
【0005】このため、従来のフイルムの易滑性、削れ
性を向上させる技術、例えば酸化ケイ素、二酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン等
の無機粒子を添加する方法(例えば、特開昭54―57
562号)、又は重合系内でカルシウム、リチウムある
いはリンを含む微粒子を析出せしめる方法(例えば、特
公昭52―32914号)を適用した、バックコートを
設けない磁気テープでは、カセットに高速で巻き込む工
程において削れ粉やスクラッチが発生し、ドロップアウ
トレベルがアップする。
【0006】このような問題に対して、空隙率の大きい
多孔質のアルミナ、シリカ、チタニア粒子を添加して傷
つきを減少させる方法(例えば、特開昭62―4345
0号)、モース硬度の高い微細な粒子を添加して傷つき
を減少させる方法(特開平1―306220号、特開平
2―185533号)が提案されているが、例えばシリ
カでは更に高速にて処理を行なうとその効果が減少し、
他方、アルミナは耐スクラッチ性の効果は充分である
が、硬度が高いためプラスチックガイドを傷つけ、削れ
粉を生じることがあり、特にアスペクト比の小さい塊状
形状等を有するものは、その問題が顕著である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記実
情に鑑み、表面の粗い金属ガイドやプラスチックガイド
に対しても良好な耐削れ性、耐スクラッチ性を有する、
磁気記録媒体用ポリエステルフイルムを製造すべく鋭意
研究した結果、本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ポリエ
ステル中に、アスペクト比が3〜20の範囲にありかつ
平均粒径が0.05〜3μmの範囲にある板状酸化アル
ミニウム微粒子を0.05〜2重量%含有することを特
徴とするポリエステルフイルムである。
【0009】本発明におけるポリエステルとは、芳香族
ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルである。かか
るポリエステルは実質的に線状であり、そしてフイルム
形成性、特に溶融成形によるフイルム形成性を有する。
【0010】芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジ
フェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン
酸等を挙げることができる。
【0011】脂肪族グリコールとしては、例えばエチレ
ングリコール、トリメチレングコリール、テトラメチレ
ングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、デカメチレングリコール等の如き炭素
数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘ
キサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げるこ
とができる。
【0012】本発明においては、ポリエステルとして、
アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタ
レートを主たる構成成分とするものが好ましく用いられ
る。
【0013】かかるポリエステルのうちでも、特にポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフ
タレートをはじめとして、例えば全ジカルボン酸成分の
80モル%以上がテレフタル酸及び/又は2,6―ナフ
タレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モ
ル%以上がエチレングリコールである共重合体が好まし
い。
【0014】その際、全酸成分の20モル%以下はテレ
フタル酸及び/又は2,6―ナフタレンジカルボン酸以
外の上記芳香族ジカルボン酸であることができ、また例
えばアジピン酸、セバチン酸等の如き脂肪族ジカルボン
酸、シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸の如き脂環
族ジカルボン酸等であることができる。
【0015】また、全グリコール成分の20モル%以下
はエチレングリコール以外の上記グリコールであること
ができ、また例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,
2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き
芳香族ジオール;1,4―ジヒドロキシジメチルベンゼ
ンの如き芳香環を有する脂肪族ジオール;ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール,ポリテトラメ
チレングリコール等の如きポリアルキレングリコール
(ポリオキシアルキレングリコール)等であることもで
きる。
【0016】また、本発明におけるポリエステルには、
例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω―
ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシ
カルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分および
オキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共
重合或は結合するものも包含される。
【0017】さらに、本発明におけるポリエステルには
実質的に線状である範囲の量、例えば全酸成分に対し2
モル%以下の量で、三官能以上のポリカルボン酸又はポ
リヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエ
ルスリトール等を共重合したものも包含される。
【0018】上記ポリエステルはそれ自体公知であり、
かつそれ自体公知の方法で製造することができる。上記
ポリエステルとしては、o―クロロフェノール中の溶液
として35℃で測定して求めた固有粘度が約0.4〜約
0.9のものが好ましい。
【0019】本発明においてポリエステルに添加含有さ
せる板状酸化アルミニウム粒子は、アスペクト比が3〜
20の範囲、好ましくは8〜15の範囲にあり、そして
平均粒径が0.05〜3μmの範囲、好ましくは0.1
〜1μmの範囲にあるものである。
【0020】このアスペクト比が3より小さいと、粉体
形状が塊状にちかくなり、粒子に起因するフイルム表面
での突起もシャープ化し、スクラッチ性は良好である
が、削れ粉が発生しやすくなる。他方、アスペクト比が
20より大きくなると、粒子の層状構造が強固となり、
そのためポリマー中での分散性が悪くなり、フイルム表
面が粗くなるとともに削れ粉が発生しやすくなる。但
し、本発明の目的を疎外しなければ、前述のアスペクト
比以外の形状の粒子が混入しても構わない。
【0021】また、該微粒子の平均粒径が0.05μm
未満であると、該微粒子が細かくなりすぎてしまい、耐
スクラッチ性、耐削れ粉性に必要な微細突起を形成しえ
なくなり、他方3μmより大きいと、フイルム表面が粗
くなり削れ粉を発生しやすくなる。
【0022】本発明における板状酸化アルミニウム微粒
子は、例えば熱分解法(水酸化アルミニウムにフラック
スを添加して熱処理)、水熱合成法(水酸化アルミニウ
ムの水スラリーをオートクレーブで熱処理)により合成
することができるが、他の方法で合成されたものでよ
く、合成法により特に限定されるものではない。もっと
も、該板状酸化アルミニウム微粒子は、主たる結晶形態
がα型、γ型、δ型、θ型から選ばれる1種、またはこ
れらの2種以上からなる複合結晶形態のものが好まし
い。そして、本発明の目的を疎外しなければ不純物(例
えば、その他の結晶形態物、アルモルファス、合成時の
フラックス残渣、ベーマイト等)を含有していても構わ
ない。
【0023】本発明において、かかる板状酸化アルミニ
ウム微粒子のポリエステルへの添加含有量は0.05〜
2重量%である。この添加量が0.05重量%未満で
は、該微粒子の添加効果が小さくなり、耐スクラッチ性
に効果がなく、他方2重量%を越えると、粒子の分散が
悪くなり、削れ粉が発生しやすくなる。
【0024】本発明においてはかかる板状酸化アルミニ
ウム粒子とともに、本発明の目的を疎外しない程度の他
の不活性粒子を用いてもよい。この不活性粒子はその種
類について特に限定されるものではなく、例えば炭酸カ
ルシウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、硫酸バリウム、
カオリン、ゼオライト等の如き無機不活性粒子、シリコ
ーン樹脂、架橋ポリスチレン等の如き有機不活性粒子、
およびポリエステル重合触媒による内部析出粒子等を用
いることができる。
【0025】本発明のポリエステルフイルムは、例えば
ポリエステルを融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)
℃の温度で溶融押出し、急冷固化して固有粘度0.35
〜0.9dl/gの未延伸フイルムとし、該未延伸フイ
ルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)
〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステル
のガラス転移温度)で2.5〜5.0倍の倍率で延伸
し、次いで上記延伸方向と直角方向(一段目延伸が縦方
向の場合には、二段目延伸は横方向となる)にTg
(℃)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜5.0倍の
倍率で延伸することで製造できる。この場合、面積延伸
倍率は9〜22倍、更には12〜22倍にするのが好ま
しい。延伸手段は同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれ
でもよい。更に得られたフイルムは、(Tg+70)℃
〜Tm(℃)の温度で熱固定することができる。例えば
ポリエチレンテレフタレートフイルムについては190
〜230℃で熱固定することが好ましい。熱固定時間は
例えば1〜60秒である。
【0026】本発明のポリエステルフイルムが耐スクラ
ッチ性、耐削れ性に優れる理由は明らかでないが、おそ
らくモース硬度の高い酸化アルミニウム微粒子を添加す
ることにより耐スクラッチ性を向上させ、更に粉体形状
をアスペクト比3〜20の板状とすることにより、フイ
ルム表面での突起形状を台形状のなだらかものとし、塊
状形状の粒子に比べポリエステルフイルムへの親和性
(接着性)も向上し、削れ粉も減少するものと推測す
る。
【0027】本発明のポリエステルフイルムは、耐削れ
性、耐スクラッチ性に優れ、特に磁気記録媒体のベース
フイルムとして特に有用である。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例での各特性値は、下記の方法
による。
【0029】(1)粒子の平均粒径 1)粒体の場合 島津製作所(株)製遠心沈降式粒度計(SACP―4L型:C
ENTRIFUGAL PARTICLESIZE ANALYZER)を用いて測定す
る。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子
とその存在量との積算曲線から、50マス%に相当する
粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とする(Book
「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁
242〜247参照)。
【0030】2)フイルム中の粒子の場合 試料フイルム小片を日立製作所(株)製、走査型電子顕
微鏡(S―570型)用試料台に固定し、日本電子(株)製
スパッターリング装置(JFC―1100型イオンエッチング
装置)を用いてフイルム表面に下記条件にてイオンエッ
チング処理を施す。条件は、ベルジャー内に試料を設置
し、約10-3Torrの真空状態まで真空度を上げ、電圧
0.25KV、電流12.5mAにて約10分間イオン
エッチングを実施する。更に同装置にて、フイルム表面
に金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡にて10,0
00〜50,000倍で観察し、日本レギュレーター
(株)製ルーゼックス500にて少なくとも100個の
粒子の等価球径分布を求め、その重量積算50%の点よ
り算出する。
【0031】(2)粉体のアスペクト比(板状粒子にお
ける面の板径/板厚) 1)粒体の場合 粉体5〜20mgを精製メタノール100mlに分散さ
せ、懸濁液を調整した後、座標型電子顕微鏡用試料台上
にスポイドで懸濁液を1滴おとし、すみやかに乾燥させ
る。次にエリオニックス製、座標型電子顕微鏡(EMM―3
000型)にて、分散させた粒子につき10,000〜5
0,000倍で観察し、少なくとも50個以上の粒子の
長径(板経)と厚み(板厚)を測定、その比(板経/板
厚)を平均した値をアスペクト比とする。
【0032】2)フイルム中の粒子の場合 測定する粒子を含み縦、横の少なくともどちらかの方向
に3.2倍以上延伸したフイルムをミクロトームでスラ
イスし、切片を日立製作所製、透明型電子顕微鏡(TEM
H―800型)で2〜3万倍で観察する。その切片に見える
少なくとも30個以上の粒子の長径(板径)と厚み(板
厚)を測定し、その比(板径/板厚)を平均した値をア
スペクト比とする。
【0033】(3)フイルムの走行摩擦係数(μk) 図1に示した装置を用いて下記のようにして測定する。
図1中、1は巻出しリール、2はテンションコントロー
ラー、3,5,6,8,9および11はフリーローラ
ー、4はテンション検出機(入口)、7はステンレス鋼
SUS304製の固定棒(外径5mmφ,表面粗Ra=0.0
2μm)、10はテンション検出機(出口)、12はガ
イドローラー、13は巻取りリールをそれぞれ示す。
【0034】温度20℃、湿度60%の環境で幅1/2
インチにスリットしたフイルムを7の固定棒に角度θ=
(152/180)πラジアン(152°)で接触させ
て毎分200cmの速さで移動(摩擦)させる。入口テ
ンションT1が35gとなるようにテンションコントロ
ーラー2を調整した時の出口テンション(T2:g)を
フイルムが90m走行したのちに出口テンション検出機
で検出し、次式で走行摩擦係数μkを算出する。
【0035】
【数1】 μk=(2.303/θ)log(T2/T1) =0.868log(T2/35)
【0036】(4)フイルム表面の平坦性 Ra(中心線平均粗さ)をJIS B 0601に準じて測定す
る。東京精密社(株)製の触針式表面粗さ計(SURFCOM
3B)を用い、針の半径2μm,荷重0.07gの条件下
にチャート(フイルム表面粗さ曲線)をかかせ、得られ
るフイルム表面粗さ曲線から、その中心線の方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線を
X軸とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線Y=f
(x)で表わしたとき、次の式で与えられる値(Ra:
μm)をフイルム表面の平坦性として定義する。
【0037】
【数2】
【0038】本発明では、基準長を0.25mmとして
8個測定し、値の大きい方から3個除いた5個の平均値
としてRaを表わす。
【0039】(5)耐スクラッチ性、削れ性 走行摩擦係数μkの測定に使用した図1と同様の装置に
おいて、磁気テープを使用し、巻き付け角度を30度と
して毎分300mの速さで入口張力が50gとなるよう
にして200m走行させる。走行後に固定棒上7に付着
した削れ粉及びび走行後テープのスクラッチを評価す
る。このとき固定棒として、SUS焼結板を円柱形に曲
げた表面仕上げが不十分な6mmφのテープガイド(表
面粗さRa=0.15μm)を使った場合A法、カーボ
ンブラック含有ポリアセタール製の6mmφのテープガ
イドを使った場合をB法とする。
【0040】<削れ粉判定> ◎:削れ粉が全く見られない ○:うっすらと削れ粉が見られる △:削れ粉の存在が一見して判る ×:削れ粉がひどく付着している
【0041】<スクラッチ判定> ◎:スクラッチが全く見られない ○:1〜5本のスクラッチが見られる △:6〜15本のスクラッチが見られる ×:16本以上のスクラッチが見られる
【0042】[実施例1〜13及び比較例1〜12] ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エ
ステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として
三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を、更に滑剤
として表1〜4に示す粒子を添加して常法により重合
し、固有粘度(o―クロロフェノール、35℃)0.6
2のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0043】このポリエチレンテレフタレートのペレッ
トを170℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給
し、溶融温度280〜300℃で溶融し、この溶融ポリ
マーを1mmのスリット状ダイを通して表面仕上げ0.
3s程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出
し、急冷して200μmの未延伸フイルムを得た。この
ようにして得られた未延伸フイルムを75℃にて予熱
し、更に低速、高速のロール間で15mm上方より90
0℃の表面温度のIRヒーター1本にて加熱して3.6
倍に延伸し、続いてステンターに供給し、105℃にて
横方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸延伸フイル
ムを205℃の温度で5秒間熱固定し、厚み14μmの
熱固定二軸配向フイルムを得た。
【0044】このフイルムの特性を表1〜4に示す。
【0045】(1)なお、表中の酸化アルミニウム微粒
子は下記方法で製造した。 (A) 平均粒径0.50μm、アスペクト比8の板状酸
化アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて0.4μmに粒度調整
してから、純水を加えてスラリー濃度20重量%のスラ
リーとし、次いでリン酸アンモニウム(結晶抑制剤)を
アルミナ水和物1モルに対して5.0×10-3モルの割
合で加えた後、小型オートクレーブに充填し、340℃
に加熱かつ50.7×105Paの圧力を加えて水熱処
理を2時間行った。処理後の生成物を水洗、濾過、加熱
乾燥して平均粒径0.50μm、アスペクト比8、結晶
形態α+θ+δ型の板状酸化アルミニウム粉末を得た。 (B) 平均粒径0.50μm、アスペクト比12の板状
酸化アルミニウム リン酸アンモニウムの添加量を0.018モル(アルミ
ナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上記(A)と同
様にして平均粒径0.50μm、アスペクト比12、結
晶形態α+θ+δ型の板状酸化アルミニウム粉末を得た。 (C) 平均粒径0.50μm、アスペクト比15の板状
酸化アルミニウム リン酸アンモニウムの添加量を0.021モル(アルミ
ナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上記(A)と同
様にして平均粒径0.50μm、アスペクト比15、結
晶形態α+θ+δ型の板状酸化アルミニウム粉末を得た。 (D) 平均粒径0.10μm、アスペクト比12の板状
酸化アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて0.1μmに粒度調整
し、かつリン酸アンモニウムの添加量を0.015モル
(アルミナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上記
(A)と同様にして平均粒径0.10μm、アスペクト比
12、結晶形態α+θ+δ型の板状酸化アルミニウム粉末
を得た。 (E) 平均粒径1.00μm、アスペクト比12の板状酸
化アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて0.92μmに粒度調
整し、かつリン酸アンモニウムの添加量を0.018モ
ル(アルミナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上
記(A)と同様にして平均粒径1.00μm、アスペクト比
12、結晶形態α+θ+δ型の板状酸化アルミニウム粉末
を得た。 (F) 平均粒径0.12μm、アスペクト比12の板状
酸化アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて0.1μmに粒度調整
し、かつリン酸アンモニウムの添加量を0.016モル
(アルミナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上記
(A)と同様にして平均粒径1.00μm、アスペクト比1
2、結晶形態α+θ+δ型の板状酸化アルミニウム粉末を
得た。 (G) 平均粒径0.12μm、アスペクト比25の酸化
アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて0.08μmに粒度調
整し、かつリン酸アンモニウムの添加量を0.035モ
ル(アルミナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上
記(A)とほぼ同様に行なって平均粒径0.12μm、アス
ペクト比25、結晶形態α+θ型の板状酸化アルミニウ
ム粉末を得た。 (H) 平均粒径0.02μm、アスペクト比12の酸化
アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて0.02μmに粒度調
整し、かつリン酸アンモニウムの添加量を0.01モル
(アルミナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上記
(A)とほぼ同様に行なって平均粒径0.02μm、アスペ
クト比12、結晶形態α+θ型の板状酸化アルミニウム
粉末を得た。 (I) 平均粒径3.50μm、アスペクト比12の酸化
アルミニウム アルミナ水和物をボールミルにて3.2μmに粒度調整
し、かつリン酸アンモニウムの添加量を0.018モル
(アルミナ水和物1モルに対し)に変更する以外は上記
(A)とほぼ同様に行なって平均粒径3.50μm、アス
ペクト比12、結晶形態α+θ型の板状酸化アルミニウ
ム粉末を得た。 (J) 平均粒径0.12μmの塊状酸化アルミニウム バイコウスキー社製の酸化アルミニウムCR-140LSを加熱
処理した後、乾式粉砕機で処理して平均粒径0.12μ
m、アスペクト比1、結晶形態α+θ型の塊状酸化アル
ミニウムを得た。
【0046】(2) また、他の不活性粒子として下記
銘柄のものを使用した。 (K) 真球状シリカ:日産化学(株)、真球状シリカ(PST
−5) (L) ゼオライト:水澤化学(株)、ゼオライト(シルト
ンB) (M) カオリン:ENGELHARD社、カオリン粒子
(ASP) (N) SI微粒子:東芝シリコーン(株)、シリコーン樹脂
粒子(トスパール105) (O) PS微粒子:日本ゼオン(株)、架橋ポリスチレン微
粒子(ニポール) (P) CaCO3 :白石工業(株)、炭酸カルシウム粒子(ブ
リリアント)
【0047】一方、γ―Fe23100重量部(以下、
単に「部」と記す)と下記の組成物をボールミルで12
時間混練分散した。
【0048】 ポリエステルポリウレタン(東洋紡(株):バイロンUR8300) 12部 塩化ビニル―酢酸ビニル―無水マレイン酸共重合体 (積水化学工業(株):エスレックA) 10部 α―アルミナ(住友化学(株):HIT55) 5部 カーボンブラック(キャボット社:コンダクテックスSC) 1部 酢酸ブチル 70部 メチルエチルケトン 35部 シクロヘキサン 100部
【0049】 分散後更に 脂肪酸 オレイン酸 1部 パルミチン酸 1部 脂肪酸エステル(アミルステアレート) 1部 を添加して、さらに15〜30分間混練した。その後ト
リイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株):
コロネートL)の25%酢酸エチル溶液7部を加え、1
時間高速剪断分散して磁性塗布液を調整した。
【0050】得られた塗布液を前述の厚み14μmの熱
固定二軸配向フイルム上に乾燥後の膜厚が3.5μmと
なるように塗布した。
【0051】次いで直流磁場中で配向処理した後、10
0℃で乾燥した。その後、カレンダリング処理を施して
1/2インチ幅にスリットして厚み17.5μmの磁気
テープを得た。この磁気テープの特性を表1〜4に示
す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】表1〜4の結果から明らかなように、板状
酸化アルミニウム微粒子を用いた場合、磁気記録媒体用
のベースフイルムとして有用な、耐削れ性、耐スクラッ
チ性に優れたポリエステルフイルムが得られる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、耐削れ性、耐スクラッ
チ性に優れ、特に磁気記録媒体のベースフイルムとして
有用なポリエステルフイルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行摩擦係数(μk)を測定する装置の概略図
である。
【符号の説明】
1 巻出しリール 2 テンションコントローラー 4 テンション検出機(入口) 7 固定棒 10 テンション検出機(出口) 13 巻取りリール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−1236(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル中に、アスペクト比が3〜
    20の範囲にありかつ平均粒径が0.05〜3μmの範
    囲にある板状酸化アルミニウム微粒子を0.05〜2重
    量%含有することを特徴とするポリエステルフイルム。
  2. 【請求項2】 板状酸化アルミニウム微粒子の主たる結
    晶形態がα型、γ型、δ型及びθ型から選ばれる1種、
    または2種以上の複合結晶形態である請求項1記載のポ
    リエステルフイルム。
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