JPH10156937A - 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフイルム - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフイルム

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JPH10156937A
JPH10156937A JP32149596A JP32149596A JPH10156937A JP H10156937 A JPH10156937 A JP H10156937A JP 32149596 A JP32149596 A JP 32149596A JP 32149596 A JP32149596 A JP 32149596A JP H10156937 A JPH10156937 A JP H10156937A
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polyester film
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達也 小川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐スクラッチ性、耐削れ性、走行耐久性、ス
リット性に優れ、かつ安価な製造コストで製造し得る、
特にビデオテープ用ベースフイルムとして有用な磁気記
録媒体用二軸配向ポリエステルフイルム。 【解決手段】 平均粒径が0.5〜0.7μmである炭
酸カルシウム粒子を0.3〜0.5重量%、平均粒径が
0.4〜0.6μmである球状シリカ粒子を0.05〜
0.15重量%、及び平均粒径が0.05〜0.3μm
でθ型酸化アルミニウム粒子を0.1〜0.3重量%含
有する二軸配向ポリエステルフイルムであって、下記式
(1)で定義されるΔnが0.030〜0.050であ
り、そしてフイルム幅方向のヤング率が600〜800
kg/mm2 であることを特徴とする磁気記録媒体用二
軸配向ポリエステルフイルム。 Δn=nTD−nMD …(1) (但し、nTDはフイルム幅方向の屈折率、nMDはフイル
ム長手方向の屈折率である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体用二軸
配向ポリエステルフイルムに関し、更に詳しくは耐スク
ラッチ性、耐削れ性、走行耐久性、スリット性に優れ、
かつ安価な製造コストで製造し得る、特にビデオテープ
用ベースフイルムとして有用な磁気記録媒体用二軸配向
ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフイルムに
代表される二軸配向ポリエステルフイルムは、その優れ
た物理的、化学的特性の故に、磁気記録媒体として広く
用いられている。
【0003】二軸配向ポリエステルフイルムにおいて
は、その滑り性や耐削れ性がフイルムの製造工程および
加工工程の作業の良否、さらにはその製品品質を左右す
る大きな要因となっている。
【0004】これらが不足すると、例えば二軸配向ポリ
エステルフイルム表面に磁性層を塗付し磁気テープとし
て用いる場合に、コーティングロールとフィルム表面と
の摩擦が激しく、削れ粉が発生したり、フイルム表面に
スクラッチが発生する。またVTRやデータカートリッ
ジ用として用いる場合にも、カセットに高速で巻き込む
工程が削れ粉や、スクラッチが発生し、ドロップアウト
(D/O)の原因となる。
【0005】特にVTR用途では、最近、コストダウン
を目的としてカセット内に固定されたガイドポストに、
表面を十分に仕上げてない金属ガイドやプラスチックガ
イドを用いる場合があるが、このようなガイドポストの
表面は極めて粗い。このため、従来のフイルムの易滑
性、削れ性を向上させる技術、例えば酸化ケイ素、二酸
化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオ
リン等の無機質微粒子を添加する方法(例えば、特開昭
54―57562号)、又は重合系内でカルシウム、リ
チウムあるいはリンを含む微粒子を析出せしめる方法
(例えば、特公昭52―32914号)を適用した、バ
ックコートを設けない磁気テープでは、カセットに高速
で巻き込む工程において削れ粉やスクラッチが発生し、
D/Oレベルがアップする。
【0006】このような問題に対して、モース硬度の高
い微細な粒子を添加し、傷付きを減少させる方法(例え
ば、特開平1―306220号、特開平2―18553
3号)が提案されている。しかし、この方法はコストダ
ウン用ガイドポストに対しては効果が認められるもの
の、従来より使用されてきた表面仕上げの良好な金属ガ
イドに対しては改善効果が不充分である。また表面仕上
げの良好な金属ガイドに対するスクラッチの発生に対し
ては、上記微細な粒子より、やや大きな不活性粒子を併
用して改善する方法もあるが、逆に削れ粉の発生という
弊害も見出されている。
【0007】また、生産性向上のため、加工工程の速度
は更に増大の傾向にあり、耐削れ性、スリット性等の加
工適性の向上は、以前にも増して強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、従来から
使用されている表面仕上げの良好な金属ガイドはもちろ
ん、新たに出てきた粗い金属ガイド、プラスチックガイ
ドの全てにわたって良好な耐削れ性、耐スクラッチ性を
有し、かつ易滑性、スリット性に優れた磁気記録媒体用
二軸配向ポリエステルフイルムを開発すべく鋭意研究し
た結果、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、平
均粒径が0.5〜0.7μmである炭酸カルシウム粒子
を0.3〜0.5重量%、平均粒径が0.4〜0.6μ
mである球状シリカ粒子を0.05〜0.15重量%、
及び平均粒径が0.05〜0.3μmでθ型酸化アルミ
ニウム粒子を0.1〜0.3重量%含有する二軸配向ポ
リエステルフイルムであって、下記式(1)で定義され
るΔnが0.030〜0.050であり、そしてフイル
ム幅方向のヤング率が600〜800kg/mm2 であ
ることを特徴とする磁気記録媒体用二軸配向ポリエステ
ルフイルムである。
【0010】
【数2】Δn=nTD−nMD …(1) (但し、nTDはフイルム幅方向の屈折率、nMDはフイル
ム長手方向の屈折率である。)
【0011】本発明におけるポリエステルとは、芳香族
ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルである。この
ポリエステルは実質的に線状であり、そしてフイルム形
成性、特に溶融成形によるフイルム形成性を有する。芳
香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタ
ンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニル
エーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アントラセンジカ
ルボン酸等をあげることができる。脂肪族グリコールと
しては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコール等の如き炭素数2〜10のポリメチレングリコ
ールあるいはシクロヘキサンジメタノールの如き脂環族
ジオール等を挙げることができる。
【0012】本発明において、ポリエステルとしてはア
ルキレンテレフタレートおよび/又はアルキレン―2,
6―ナフタレンジカルボキシレートを主たる構成成分と
するものが好ましい。
【0013】これらポリエステルのうちでも特にポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタ
レンジカルボキシレートをはじめとして、例えば全ジカ
ルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル酸および/
又は2,6―ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコ
ール成分の80モル%以上がエチレングリコールである
共重合体が好ましい。その際、全酸成分の20モル%以
下はテレフタル酸および/又は2,6―ナフタレンジカ
ルボン酸以外の前記芳香族ジカルボン酸であることがで
き、また例えばアジピン酸、セバチン酸等の如き脂肪族
ジカルボン酸:シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸
の如き脂環族ジカルボン酸等であることができる。ま
た、全グリコール成分の20モル%以下はエチレングリ
コール以外の前記グリコールであることができ、また例
えばハイドロキノン、レゾルシン、2,2―ビス(4―
ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き芳香族ジオー
ル:1,4―ジヒドロキシジメチレンベンゼンの如き芳
香族環を有する脂肪族ジオール;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等の如きポリアルキレングリコール(ポリオキ
シアルキレングリコール)等であることもできる。
【0014】また、本発明におけるポリエステルには、
例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω―
ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシ
カルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分および
オキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共
重合あるいは結合するものも包含される。
【0015】さらに本発明におけるポリエステルには、
実質的に線状である範囲の量、例えば全酸成分に対し2
モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポ
リヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエ
リスリトール等を共重合したものも包含される。
【0016】前記ポリエステルは、それ自体公知であ
り、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。
【0017】本発明における二軸配向ポリエステルフイ
ルムは、炭酸カルシウム粒子、球状シリカ粒子及びθ型
酸化アルミニウム粒子の3種類の粒子を同時に含有する
必要がある。これら3種類の粒子を同時に含有しない
と、表面仕上げの良好な金属ガイド、表面仕上げの粗り
金属ガイド、及びプラスチックガイドの全てにわたって
良好な耐スクラッチ性、耐削れ性を発現し得ない。
【0018】この炭酸カルシウム粒子は平均粒径が0.
5〜0.7μmの範囲内にあり、かつその含有量が0.
3〜0.5重量%の範囲内にある必要がある。炭酸カル
シウム粒子の平均粒径および含有量が上記範囲より小さ
いと、フイルムの滑り性が悪く、VTR中での走行が不
安定となる。他方、上記範囲より大きいと、耐削れ性が
悪化する。炭酸カルシウムケ粒子の平均粒径は0.55
〜0.65μmの範囲内にあることがより好ましく、ま
た含有量は0.35〜0.45重量%の範囲内にあるこ
とがより好ましい。
【0019】前記球状シリカ粒子は平均粒径が0.4〜
0.6μmの範囲内にあり、かつその含有量が0.05
〜0.15重量%の範囲内にある必要がある。球状シリ
カ粒子の平均粒径および含有量が上記範囲より小さい
と、走行耐久性に対する改善効果が不充分であるため好
ましくない。他方、上記範囲より大きいと、金属ガイド
に対する走行耐久性改善効果は認められるが、樹脂ガイ
ドに対する走行耐久性が悪化するので好ましくない。こ
れは樹脂ガイドの場合軟質であるため、球状シリカ粒子
によるシャープな形状の突起が多過ぎると、該突起が樹
脂ガイドにくい込んでしまうためと思われるが、走行時
摩擦係数の低減効果が不充分であるためである。球状シ
リカ粒子の平均粒径は0.4〜0.5μmの範囲内にあ
ることがより好ましく、また含有量が0.08〜0.1
2重量%の範囲内にあることがより好ましい。
【0020】前記θ型酸化アルミニウム粒子は平均粒径
が0.05〜0.3の範囲内にあり、かつその含有量が
0.1〜0.3重量%の範囲内にある必要がある。θ型
酸化アルミニウム粒子の平均粒径および含有量が上記範
囲より小さいと、耐スクラッチ性の改善効果が不充分で
あり、好ましくない。他方、上記範囲より大きいと、耐
スクラッチ性の改善効果が不充分であったり、耐削れ性
が悪化したりするので好ましくない。θ型酸化アルミニ
ウム粒子の平均粒径は0.1〜0.2μmの範囲内にあ
ることがより好ましく、また含有量は0.15〜0.2
5重量%の範囲内にあることがより好ましい。
【0021】本発明においてはフイルルム中のθ型酸化
アルミニウム粒子はその平均凝集度が2〜20の範囲内
にあると、耐スクラッチ性改善効果がより顕著であり、
好ましい。この平均凝集度は、耐スクラッチ性の改善効
果の点で、2〜15の範囲内にあることがより好まし
く、2〜10の範囲内にあることが更に好ましく、2以
上5未満の範囲内にあることがもっとも好ましい。
【0022】本発明の二軸配向ポリエステルフイルム
は、さらにΔnが0.030〜0.050の範囲内にあ
りかつ幅方向のヤング率が600〜800kg/mm2
の範囲内にある必要がある。Δnおよび幅方向ヤング率
が上記範囲より小さいと、スリット時、スリット端面で
のヒゲやかえりを生じやすく、規制ガイドにこすられた
ときの白粉の発生が大きくなる。他方、上記範囲より大
きいと、テープ加工工程において切断が生じ易くなり、
また幅方向の熱収縮率が高くなるため、テープ加工の際
の乾燥工程でしわを生じ易くなる等の問題が生じるので
好ましくない。Δnは0.035〜0.045の範囲内
にあることがより好ましく、また幅方向ヤング率は65
0〜750kg/mm2 の範囲内にあることがより好ま
しい。
【0023】本発明の二軸配向ポリエステルフイルム
は、フイルム表面の中心線平均粗さRaが15〜25n
m、更には18〜22nmであることが好ましい。この
中心線平均粗さRaが15nm未満では、表面が平坦す
ぎるため、滑り性、走行耐久性に対する改善効果が小さ
く、他方25nmより大きいと表面が粗すぎるため、磁
気テープとしたときの電磁変換特性が悪化するので好ま
しくない。
【0024】本発明の二軸配向ポリエステルフイルム
は、上述のように単層フイルムとしても優れた特性を有
するが、他のフイルム層との積層構造をとることによ
り、更に平坦性にも優れ、かつ安価な製造コストで製造
し得る二軸配向積層ポリエステルフイルムとなる。
【0025】本発明においてポリエステルフイルムが積
層構造をとる場合、前述の二軸配向ポリエステルフイル
ムをA層とし、他のポリエステルフイルムB層の少なく
とも片面に積層する構造をとる。積層形態としてはA層
/B層の2層構造、A層/B層/A層の3層構造である
ことが好ましいが、3層構造の方がポリエステルフイル
ムの製造工程で発生する屑フイルムを回収し、ポリエス
テルフイルムB層に使用または配合し、再利用すること
ができるので製造コストの面でより好ましい。
【0026】ポリエステルフイルムB層を構成するホリ
エステルとしては、前述のポリエステルフイルムA層を
構成するポリエステルとして説明、例示したものと同じ
ことが説明、例示されるが、ポリエステルフイルムA層
と同じものであることが好ましい。
【0027】本発明の積層フイルムにおいては、ポリエ
ステルフイルムB層は、不活性粒子を含有していなくて
もよいが、B層中に平均粒径0.4μm以上の不活性粒
子、例えば前記の炭酸カルシウム粒子、球状シリカ粒子
等を、この含有量(CB )が下記式を満足する割合で含
有させると、ポリエステルフイルムの製造工程で生じる
屑フイルムを回収してB層内に使用できるので好まし
い。
【0028】
【数3】
【0029】[但し、CA はポリエステルフイルムA層
中の炭酸カルシウム粒子、球状シリカ粒子の総含有量
(重量%)、CB はポリエステルフイルムB層中の平均
粒径0.04μm以上の不活性粒子の含有量(重量%) dA はポリエステルフイルムA層の総厚み(μm)、d
B はポリエステルフイルムB層の厚み(μm)、Rは
0.3〜0.07の数値である。]
【0030】上記式においてR(値)が0.7を超えた
り、0.3未満であると、回収フイルムを使用したとき
のポリエステルフイルムB層の平均粒径が0.4μm以
上の不活性粒子の含有量の変動が大きくなり、その結果
ポリエステルフイルムA層の表面の粗さも変動が大きく
なるので、好ましくない。好ましいR(値)は0.4〜
0.6である。また平均粒径が0.4μm未満の小粒径
不活性粒子は、ポリエステルB層に含有されていてもポ
リエステルフイルムA層の表面へ与える影響は小さい。
【0031】さらに、積層フイルムにおけるポリエステ
ルフイルムA層の厚みは0.5〜2.0μmである。こ
の厚みが2.0μmより大きいと単層フイルムと変わら
ない特性となり、他方0.50μm未満であると粒子が
脱落しやすく、耐削れ性が悪くなり、また平坦になりす
ぎるため走行性も悪化するので好ましくない。
【0032】本発明の二軸配向ポリエステルフイルム
は、基本的には従来から知られている、あるいは当業界
に蓄積されている方法で得ることができる。例えば、先
ず未延伸フイルムを製造し、次いで該フイルムを二軸配
向させることで得ることができる。未延伸フイルムは、
例えば、融点(Tm:℃)〜(Tm+70)℃の温度で
ポリエステルをフイルム状に溶融押出し、急冷固化して
固有粘度0.35〜0.9dl/gの未延伸フイルムと
して得ることができる。
【0033】この未延伸フイルムは、更に従来から蓄積
された二軸配向フイルムの製造法に準じて、二軸配向フ
イルムとすることができる。例えば、未延伸フイルムを
一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(T
g+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラ
ス転移温度)で2.5〜7.0倍の倍率で延伸し、次い
で上記延伸方向と直角方向(一段目延伸が縦方向の場合
には、二段目延伸は横方向となる)にTg(℃)〜(T
g+70)℃の温度で2.5〜7.0倍の倍率で延伸す
ることで製造できる。この場合、各方向の延伸倍率は前
記した倍率の内から所望のヤング率を得る倍率を選択す
ることが好ましく、また面積延伸倍率として9〜32
倍、更には12〜32倍の範囲から選択するのが好まし
い。延伸手段は同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれで
も良い。更に、二軸配向フイルムは、(Tg+70)℃
〜Tm(℃)の温度で熱固定することができる。例えば
ポリエチレンテレフタレートフイルムについては190
〜230℃で熱固定することが好ましい。熱固定時間
は、例えば1〜60秒である。
【0034】また、積層フイルムの場合は、先ず積層未
延伸フイルムを製造し、次いで該積層未延伸フイルムを
上述の方法と同様の方法で二軸配向させることで得るこ
とができる。
【0035】この積層未延伸フイルムは、従来から蓄積
された積層フイルムの製造法で製造することができる。
例えば、表面を形成するフイルム層(ポリエステルA
層)と、芯層を形成するフイルム層(ポリエステルB
層)とを、溶融状態又は冷却固化された状態で積層する
方法を用いることができる。さらに具体的には、例えば
共押出、エクストルージョンラミネート等の方法で製造
できる。
【0036】本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは
特定の3種類の粒子を同時に含有し、Δnおよび幅方向
ヤング率を特定範囲としているため、あらゆるガイドポ
ストに対して良好な耐スクラッチ性、耐削れ性を有し、
かつ滑り性、スリット性に優れ、更に好ましくは積層構
造をとることにより、安価な製造コストで製造し得る、
磁気記録媒体用として極めて有用なものである。
【0037】なお、本発明における種々の物性値および
特性は以下の如く測定されたものであり、かつ定義され
る。
【0038】(1)粒子の平均粒径(DP) 島津製作所製CP―50型セントリフュグル パーティ
クル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle S
ize Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲
線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲
線から、50マスパーセントに相当する粒径を読み取
り、この値を上記平均粒径とする(Book「粒度測定技
術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜24
7参照)。
【0039】(2)粒子の平均凝集度 粒子を含有したフイルムを断面方向に厚さ100nmの
徴薄切片とし、透過電子顕微鏡(例えば日本電子製JE
M―1200EX)を用いて、10万倍程度の倍率で粒
子を観察すると、これ以上粒子を分割できない最小の粒
子(一次粒子)を観察できる。この観察写真より100
個の粒子について、特に凝集粒子(二次粒子)について
はいくつの一次粒子からできているか数え、一次粒子の
総和を測定した粒子の数で割った値を平均凝集度とす
る。
【0040】(3)屈折率 ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈
折率計を用いて測定する。接触液にはヨウ化メチレンを
用い、25℃、65%RHにて測定する。フイルムの二
軸方向の屈折率を求め、これより下記式にて(3)nを
求める。
【0041】
【数4】Δn=nTD−nMD
【0042】(4)ヤング率 フイルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度100mm/分にインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張り、得られた荷重―伸び曲線の立上り
部の接線よりヤング率を計算する。
【0043】(5)フイルムの表面粗さ(Ra) 中心線平均粗さ(Ra)としてJIS B0601で定
義される値であり、本発明では(株)小坂研究所の触針
式表面粗さ計(SURFCORDER SE-30C )を用いて測定す
る。測定条件等は次の通りである。 (a)触針先端半径:2μm (b)測定圧力 :30mg (c)カットオフ :0.25mm (d)測定長 :2.5mm (e)データのまとめ方:同一試料について6回繰り返
し測定し最も大きい値を1つ除き、残りの5つのデータ
の平均値で表示する。
【0044】(6)カレンダー削れ性 ベースフイルムの走行面の削れ性を3段のミニスーパー
カレンダーを使用して評価する。カレンダーはナイロン
ロールとスチールロールの3段カレンダーであり、処理
温度は80℃、フイルムにかかる線圧は200kg/c
m、フイルムスピードは100m/分で走行させる。走
行フイルムを全長4000m走行させた時点でカレンダ
ーのトップローラーに附着する汚れでベースフイルムの
削れ性を評価する。 <5段階判定> 1級:ナイロンロールの汚れ全くなし 2級:ナイロンロールの汚れほとんどなし 3級:ナイロンロールの汚れ少しあるが、からぶきで簡
単にとれる 4級:ナイロンロールの汚れがからぶきでとれにくく、
アセトン等の溶媒でふきとれる 5級:ナイロンロールがひどく汚れ、溶媒でもなかなか
とれにくい
【0045】(7)ブレード削れ性 温度20℃、湿度60%の環境で、幅1/2インチに裁
断したフイルムにブレード(米国GKI製工業用カミソ
リ試験機用ブレード)の刃先を垂直にあて、更に2mm
押し込んで接触させて毎分100mの速さ、入口テンシ
ョンT1 =50gで走行(摩擦)させる。フイルムが1
00m走行した後ブレードに付着した削れ粉量を評価す
る。 <判定> ◎:ブレード刃先に付着する削れ粉付着幅が0.5mm
未満 ○:ブレード刃先に付着する削れ粉付着幅が0.5mm
以上1.0mm未満 △:ブレード刃先に付着する削れ粉付着幅が1.0mm
以上2.0mm未満 ×:ブレード刃先に付着する削れ粉付着幅が2.0mm
以上
【0046】(8)高速走行スクラッチ性、削れ性 図1に示した装置を用いて下記のようにして測定する。
図1中、1は巻出しリール、2はテンションコントロー
ラー、3、5、6、8、9および11はフリーローラ
ー、4はテンション検出機(入口)、7は固定棒、10
はテンション検出機(出口)、12はガイドローラー、
13は巻取りリールをそれぞれ示す。
【0047】温度20℃、湿度60%の環境で、巾1/
2インチに裁断したフイルムを7の固定棒に角度θ=6
0°で接触させて、毎分300mの速さで、入口張力が
50gとなるようにして200m走行させる。走行後に
固定棒上7に付着した削れ粉および走行後フイルムのス
クラッチを評価する。
【0048】このとき固定棒として、SUS304製で
表面を十分に仕上げた6φのテープガイド(表面粗さR
a=0.015μm)を使った場合をA法、SUS焼結
板を円柱形に曲げた表面仕上げが不充分な6φのテープ
ガイド(表面粗さRa=0.15μm)を使った場合を
B法、カーボンブラック含有ポリアセタールの6φのテ
ープガイドを使った場合をC法とする。
【0049】<削れ粉判定> ◎:削れ粉が全く見られない ○:うっすらと削れ粉が見られる △:削れ粉の存在が一見して判る ×:削れ粉がひどく付着している <スクラッチ判定> ◎:スクラッチが全く見られない ○:1〜5本のスクラッチが見られる △:6〜15本のスクラッチが見られる ×:16本以上のスクラッチが見られる
【0050】(9)低速繰り返し走行摩擦係数(μ
k)、スクラッチ性 図1に示した装置を用いて下記のようにして測定する。
温度20℃、湿度60%の環境で、磁気テープの非磁性
面を7の固定棒に角度θ=(152/180)πラジア
ン(152°)で接触させて毎分200cmの速さで移
動(摩擦)させる。入口テンションT1 が50gとなる
ようにテンションコントローラー2を調整した時の出口
テンション(T2 :g)をフイルムが50往復走行した
のちに出口テンション検出機で検出し、次式で走行摩擦
係数μkを算出する。
【0051】
【数5】 μk=(2.303/θ)log(T2 /T1 ) =0.868log(T2 /35)
【0052】走行摩擦係数(μk)が0.25以上であ
ると、VTR中で繰り返し走行させた場合、走行が不安
定となるため、この値以上のものを走行耐久性不良と判
定する。
【0053】このとき固定棒として、SUS304製で
表面を十分に仕上げた6φのテープガイド(表面粗さR
a=0.015μm)を使った場合をA法、SUS焼結
板を円柱形に曲げた表面仕上げが不充分な6φのテープ
ガイド(表面粗さRa=0.15μm)を使った場合を
B法、カーボンブラック含有ポリアセタールの6φのテ
ープガイドを使った場合をC法とする。
【0054】また、スクラッチ性は走行後テープの非磁
性面スクラッチについて、下記基準により判定する。 <スクラッチ判定> ◎:スクラッチが全く見られない ○:1〜5本のスクラッチが見られる △:6〜15本のスクラッチが見られる ×:16本以上のスクラッチが見られる
【0055】なお、磁気テープの製造法は次のとおり行
なう。γ―Fe2 3 100重量部(以下、単に「部」
と記す)と下記の組成物をボールミルで12時間混練分
散する。 ポリエステルウレタン 12部 塩化ビニル―酢酸ビニル― 無水マレイン酸共重合体 10部 α―アルミナ 5部 カーボンブラック 1部 酢酸ブチル 70部 メチルエチルケトン 35部 シクロヘキサノン 100部 分散後更に 脂肪酸:オレイン酸 1部 脂肪酸:パルミチン酸 1部 脂肪酸エステル(アミルステアレート) 1部 を添加してなお10〜30分混練した。更に、トリイソ
シアネート化合物の25%酢酸エチル溶液7部を加え、
1時間高速剪断分散して磁性塗布液を調整する。
【0056】得られる塗布液をポリエステルフイルム上
に乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布する。次いで
直流磁場中で配向処理した後、100℃で乾燥する。乾
燥後、カレンダリング処理を施して1/2インチ幅にス
リットして、磁気テープを得る。
【0057】(10)スリット性 磁気テープの端面を走査型電子顕微鏡を用いて、100
0倍の倍率で観察し、端面の状態によって判定する。 <判定> ○:端面にヒゲ、バリ、伸び状の物が認められず、きれ
いである ×:端面にヒゲ、バリ、伸び状の物が認められ、汚い
【0058】(11)電磁変換特性 VHS方式VTR(日本ビクター(株)製BR640
0)を改造し、4MHzの正弦波をアンプを通して記録
再生ヘッドに入力し、磁気テープに記録した後再生し、
その再生信号をスペクトラムアナライザーに入力する。
キャリア信号4MHzから0.1MHz離れたところに
生ずるノイズを測定し、キャリアとノイズの比(C/
N)をdB単位で表わす。この方法を用いて前述の磁気
テープを測定し、比較例1で得られたものを基準(±0
dB)として、この磁気テープとの差をもって電磁変換
特性とする。
【0059】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0060】[実施例1〜2、比較例1〜11]ジメチ
ルテレフタレートとエチレングリコールとを、エステル
交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化
アンチモンを、安定剤として亜燐酸を、更に滑剤として
表1に示す添加粒子を添加して、常法により重合し、固
有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.56の
ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0061】このポリエチレンテレフタレートのペレッ
トを170℃、3時間乾燥後押出機ホッパーに供給し、
溶融温度280〜300℃で溶解し、この溶解ポリマー
を1mmのスリット状ダイを通して表面仕上げ0.3s
程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出し、厚
み200μmの未延伸フイルムを得た。
【0062】このようにして得られた未延伸フイルムを
75℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で15m
m上方より800℃の表面温度のIRヒーター3本にて
加熱して3.2倍に延伸し、急冷し、続いてステンター
に供給し、120℃にて横方向に4.3倍に延伸した。
得られた二軸配向フイルムを205℃の温度で5秒間熱
固定し、厚み14μmの熱固定二軸配向ポリエステルフ
イルムを得た。
【0063】
【表1】
【0064】[実施例3、比較例13]実施例1と同じ
不活性粒子の使用、及び製造方法でポリエステルフイル
ムA層用のポリエチレンテレフタレートを得た。またポ
リエステルフイルムB層用としては、いずれも粒子を添
加させずに実施例1と同じ製造方法でポリエチレンテレ
フタレートを得た。
【0065】これらポリエチレンテレフレタレートのペ
レットを170℃で3時間乾燥後2台の押出機ホッパー
に供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、マルチ
マニホールド型共押出ダイを用いてB層の両側にA層を
積層させ、表面仕上げ0.3s程度、表面温度20℃の
回転冷却ドラム上に押出し、厚み200μmの未延伸積
層フイルムを得た。
【0066】このようにして得られた未延伸積層フイル
ムを実施例1と同じ方法で延伸、熱固定し、厚み14μ
mの熱固定二軸配向積層ポリエステルフイルムを得た。
【0067】各層の厚みについては、2台の押出機の吐
出量を変えることにより調整した。また各層の厚みにつ
いては、蛍光X線法、及びフイルムを薄片に切り出し、
透過型電子顕微鏡にて境界面を捜す方法を併用して求め
た。
【0068】[比較例12]横方向の延伸を3.6倍と
すること以外は実施例1と同じ方法で厚み14μmの熱
固定二軸配向ポリエステルフイルムを得た。このように
して得られたフイルムの特性を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2から明らかなように本発明によるもの
は、優れた電磁変換特性を示しつつ、削れ性、スリット
性に優れ、更に各種テープガイドに対するスクラッチ
性、削れ性、走行耐久性にも優れており、総合的に極め
て優れた特性を示している。
【0071】
【発明の効果】本発明の二軸配向ポリエステルフイルム
は、表面仕上げの良好な金属ガイド、粗悪な金属ガイ
ト、及びプラスチックガイドの全てにわたって良好な耐
スクラッチ性、耐削れ性を有し、かつ良好なスリット
性、滑り性を有しており、更に安価な製造コストで製造
もし得る、磁気記録媒体用として極めて総合的に優れた
特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行摩擦係数測定装置の概略図である。
【符号の説明】
1 巻出しリール 2 テンションコントローラー 3,5,6,8,9,11 フリーローラー 4 テンション検出器(入口) 7 固定棒 10 テンション検出器(出口) 12 ガイドローラー 13 巻取りリール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 67/02 C08L 67/02 G11B 5/704 G11B 5/704 // B29K 67:00 105:16 B29L 7:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.5〜0.7μmである炭
    酸カルシウム粒子を0.3〜0.5重量%、平均粒径が
    0.4〜0.6μmである球状シリカ粒子を0.05〜
    0.15重量%、及び平均粒径が0.05〜0.3μm
    でθ型酸化アルミニウム粒子を0.1〜0.3重量%含
    有する二軸配向ポリエステルフイルムであって、下記式
    (1)で定義されるΔnが0.030〜0.050であ
    り、そしてフイルム幅方向のヤング率が600〜800
    kg/mm2 であることを特徴とする磁気記録媒体用二
    軸配向ポリエステルフイルム。 【数1】Δn=nTD−nMD …(1) (但し、nTDはフイルム幅方向の屈折率、nMDはフイル
    ム長手方向の屈折率である。)
  2. 【請求項2】 θ型酸化アルミニウム粒子の平均凝集度
    が2〜20である請求項1に記載の磁気記録媒体用二軸
    配向ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 フィルム表面の中心線平均粗さRaが1
    5〜25nmである請求項1又は2に記載の磁気記録媒
    体用二軸配向ポリエステルフイルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムB層の少なくとも
    片面に請求項1〜3のいずれかに記載のフイルムをポリ
    エステルフイルムA層として積層し、かつポリエステル
    フイルムA層の厚みが0.5〜2.0μmであることを
    特徴とする磁気記録媒体用二軸配向積層ポリエステルフ
    イルム。
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