JP3068956B2 - ポリエステルフイルム - Google Patents
ポリエステルフイルムInfo
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Description
関し、さらに詳しくは耐削れ性、耐スクラッチ性に優
れ、さらに種々のガイドに傷をつけない磁気記録媒体の
ベースフイルムとして有用なポリエステルフイルムに関
する。
代表される二軸配向ポリエステルフイルムはその優れた
物理的、化学的特性の故に、磁気記録媒体用として広く
用いられている。
は、その滑り性や耐削れ性がフイルムの製造工程および
加工工程の作業性の良否、さらにはその製品品質を左右
する大きな要因となっている。これらが不足すると、例
えば二軸配向ポリエステルフイルム表面に磁性層を塗布
し磁気テープとして用いる場合にコーティングロールと
フイルム表面との摩擦が激しく、削れ粉が発生したり、
フイルム表面にスクラッチが発生する。またVTRやデ
ータカートリッジ用として用いる場合にも、カセットに
高速で巻き込む工程で削れ粉やスクラッチが発生しD/
Oの原因となる。
的としてカセット内に固定されたガイドポストに、表面
を十分に仕上げていない金属ガイドやプラスチックガイ
ドを用いる場合があるが、該ガイドポストの表面は極め
て粗い。このため、従来のフイルムの易滑性、削れ性を
向上させる技術、例えば酸化ケイ素、二酸化チタン、炭
酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン等の無機
粒子を添加する方法(例えば、特開昭54―57562
号)、又は重合系内でカルシウム、リチウムあるいはリ
ンを含む微粒子を析出せしめる方法(例えば、特公昭5
2―32914号)を適用した、バックコートを設けな
い磁気テープでは、カセットに高速で巻き込む工程にお
いて削れ粉やスクラッチが発生し、D/Oレベルがアッ
プする。
い微細な粒子を添加し、傷付きを減少させる方法(例え
ば特開平1―306220号、特開平2―185533
号)が提案されているが、この方法ではコストダウン用
ガイドポストに対しては効果が認められるものの、従来
より使用されてきた表面仕上げの良好な金属ガイドに対
しては改善効果は不充分であった。また表面仕上げの良
好な金属ガイドに対するスクラッチの発生に対しては、
微細な粒子より、やや大きな不活性粒子を併用して改善
する方法もあるが、逆に削れ粉の発生という弊害も見出
されている。
情に鑑み、従来から使用されている表面仕上げの良好な
金属ガイドに対してはもちろんのこと、新たに出てきた
粗い金属ガイドやプラスチックガイドに対しても良好な
耐削れ性、耐スクラッチ性を有する磁気記録媒体用ポリ
エステルフイルムを開発すべく鋭意研究した結果、本発
明に到達した。
面積が50〜150m2 /gで、平均粒径が0.05〜
0.3μmの酸化アルミニウム粒子を0.05〜1重量
%含有し、さらに平均粒径が0.3μmを超え1.2μ
m以下の不活性粒子の1種以上を含有するポリエステル
フイルムであって、該酸化アルミニウム粒子がα型結晶
形態の酸化アルミニウムを3〜30重量%含んでいるこ
とを特徴とするポリエステルフイルムである。
ジカルボン酸を主たる酸成分とし、芳香族グリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルである。かか
るポリエステルは実質的に線状であり、そしてフイルム
形成性特に溶融成形によるフイルム形成性を有する。芳
香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,
6―ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジ
フェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジ
カルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラ
センジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族グリ
コールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチ
レングコリール、テトラメチレングリコール、ペンタメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメ
チレングリコール等の如き炭素数2〜10のポリメチレ
ングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールの如
き脂環族ジオール等を挙げることができる。
キレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレー
トを主たる構成成分とするものが好ましく用いられる。
チレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタ
レートをはじめとして、例えば全ジカルボン酸成分の8
0モル%以上がテレフタル酸及び/又は2,6―ナフタ
レンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モル
%以上がエチレングリコールである共重合体が好まし
い。その際全酸成分の20モル%以下はテレフタル酸及
び/又は2,6―ナフタレンジカルボン酸以外の上記芳
香族ジカルボン酸であることができ、また例えばアジピ
ン酸、セバチン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロ
ヘキサン―1,4―ジカルボン酸の如き脂環族ジカルボ
ン酸等であることができる。また、全グリコール成分の
20モル%以下は、エチレングリコール以外の上記グリ
コールであることができ、また例えばハイドロキノン、
レゾルシン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)
プロパン等の如き芳香族ジオール;1,4―ジヒドロキ
シジメチルベンゼンの如き芳香環を有する脂肪族ジオー
ル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル,ポリテトラメチレングリコール等の如きポリアルキ
レングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)等
であることもできる。
えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω―ヒ
ドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカ
ルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分およびオ
キシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重
合或は結合するものも包含される。
せる酸化アルミニウム粒子は、比表面積が50〜150
m2 /g、好ましくは50〜130m2 /gであり、か
つ平均粒径(二次粒子の平均粒径)が0.05〜0.3
μmであるものである。この比表面積が50m2 /未満
であると、一次粒子径が大きくなりすぎ、耐スクラッチ
性は良好であるが、削れ粉が発生しやすくなり、また、
ガイドを傷付けることが多くなる。他方、比表面積が1
50m2 /gを越えると、一次粒子径が小さくなりす
ぎ、もはや充分な突起を形成せず、耐スクラッチ性の効
果が無くなってしまう。また、平均粒径0.05μm未
満であると、粒子が細かくなりすぎてしまい、耐スクラ
ムツチ性、耐削れ粉性に必要な微細突起を形成しえなく
なり、他方0.3μmよりも大きいと、粒子の凝集が大
きすぎて削れ粉が発生しやすくなる。
晶形態がα型結晶形態のものを3〜30重量%含むもの
である必要がある。α型結晶形態の酸化アルミニウムの
割合が3重量%未満では耐スクラッチの向上効果が発現
されず、他方30重量%を超えると耐スクラッチ性は良
好であるが、削れ粉を発生しやすくなり、またガイドを
傷つけることが多くなり、好ましくない。前記酸化アル
ミニウム粒子におけるα型結晶形態以外の結晶形態とし
ては、θ型、δ型及びγ型の群から選ばれる1種以上の
結晶形態が好ましく挙げられる。
の粒子の混合物でもよく、また2種以上の結晶による複
合結晶形態のものまたはこれらの混合物でもよい。
ルミニウムアルコキシドを加水分解してアルミナ水和物
ゲルを生成させ、その後乾燥、焼成を行なう方法(アル
ミニウムオキシド法)、硫酸アルミニウム等を熱分解に
より酸基を分離し、焼成を行なう方法(酸法)、塩化ア
ルミニウム等を気化し、酸水素中で焼成分解を行なう方
法(気相法)等において、製造条件を選択することよ
り、α型の含有量及びθ,γ,δ型の組成比を種々にコ
ントロールして製造することができる。また、α型結晶
形態の酸化アルミニウム粒子と他の結晶形態の酸化アル
ミニウム粒子とを混合することで製造することができ
る。さらにまた、α型結晶形態の酸化アルミニウム粒子
と他の結晶形態の酸化アルミニウム粒子を夫々ポリエス
テルに添加することもできる。
加含有量は、ポリエステルに対し、0.05〜1重量%
である。この量が0.05重量%未満では、粒子の添加
効果が小さくなり、他方1重量%より多くなると、粒子
の重なりがみられ、削れ粉が発生しやすくなる。
ム粒子とともに平均粒径が0.3μmを超え1.2μm
以下の不活性粒子を添加含有させる。
不活性粒子が存在しないと、各種ガイドに対する摩擦係
数が高くなり、耐スクラッチ性、耐削れ粉性を悪化させ
るばかりでなく、二軸配向ポリエステルフイルムの製造
工程での取扱い性が難しくなり、また磁気記録媒体用ベ
ースフイルムとして使用した場合の走行性が悪化する、
ことによる。しかし、1.2μmより大きい不活性微粒
子を使用した場合には、表面平坦性の十分でないフイル
ムしか得られず、電磁変換特性等の点で好ましくない。
%、さらに0.01〜2重量%であることが好ましい。
この添加量が少なすぎると、摩擦係数が高くなり、該微
粒子の作用が十分でなく、他方多すぎると、ポリマー中
での分散性が十分でなく、耐削れ粉性が悪化する。
定されるものでなく、例えば炭酸カルシウム、二酸化ケ
イ素、酸化チタン、カオリン等の無機不活性粒子、シリ
コーン樹脂、架橋ポリスチレン等の有機不活性粒子、お
よび重合触媒による内部析出粒子等を用いることができ
る。
ば、融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で
ポリエステルを溶融押出して固有粘度0.35〜0.9
dl/gの未延伸フイルムを得、該未延伸フイルムを一
軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg
+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス
転移温度)で2.5〜5.0倍の倍率で延伸し、次いで
上記延伸方向と直角方向(一段目延伸が縦方向の場合に
は、二段目延伸は横方向となる)にTg(℃)−(Tg
+70)℃の温度で2.5〜5.0倍の倍率で延伸する
ことで製造できる。この場合、面積延伸倍率は9〜22
倍、更には12〜22倍にするのが好ましい。延伸手段
は同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでも良い。
70)℃〜Tm(℃)の温度で熱固定することができ
る。例えばポリエチレンテレフタレートフイルムについ
ては190〜230℃で熱固定することが好ましい。熱
固定時間は例えば1〜60秒である。
性、耐スクラッチ性に優れる理由は明らかでないが、恐
らく、含有されるα型結晶形態の粒子またはα型結晶形
態を含む複合結晶形態粒子が、α型結晶形態を含まない
他の酸化アルミニウム粒子より粒径が大きく、硬度も高
く、フイルム表面上に強い突起を形成し、この突起がα
型結晶形態を含まない他の酸化アルミニウム粒子により
形成された比較的小さな突起中に適度に散在し、相互作
用により(α型結晶形態による突起がアンカーとなる
等)全体として突起が安定するため、と考えられる。
上げの良好な金属ガイド、表面仕上げの十分でない金属
ガイドおよびプラスチックガイドの全てにわたって耐ス
クラッチ性、耐削れ性に優れ、特に磁気記録媒体のベー
スフイルムとして特に有用である。
に説明する。また実施例での各特性値は、下記の方法に
よる。
クル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle S
ize Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲
線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲
線から、50マスパーセントに相当する粒径を読み取
り、この値を上記平均粒径とする(Book「粒度測定技
術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜24
7参照)。
し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JFC―
1100型イオンエッチング装置)を用いてフイルム表
面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件
は、ベルジャー内に試料を設置し、約10-3Torrの
真空状態まで真空度を上げ、電圧0.25kV、電流1
2.5mAにて約10分間イオンエッチングを実施す
る。更に同装置にて、フイルム表面に金スパッターを施
し、走査型電子顕微鏡にて50,000〜10,000
倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス
500にて少なくとも100個の粒子の等価球径分布を
求め、その重量積算50%の点より算出する。
法により比表面積を測定する。
形態の含有割合 理学電気社製ロークフレックスRV―200型X線回折
装置を用いて測定するる。α型結晶形態100%の酸化
アルミニウム(比表面積=100m2 /g)とα型結晶
形態100%の酸化アルミニウム(比表面積=20m2
/g)を用いる。
80g―α型20g;γ型60g―α型40g;γ型4
0g―α型60g;γ型20g―α型80g;γ型0g
―α型100g;の6水準について良く混合し、3gサ
ンプリングして2θ=70〜20°について測定し、α
型結晶形態固有の2θ=57.5°のピークの高さと、
α型結晶形態の重量比をプロットし、検量線を作成す
る。各サンプルのα型酸化アルミニウムの含有量は、上
記の測定条件と同様に測定し2θ=57.5°のピーク
の高さから、検量線を用いて算出する。
図1中、1は巻出しリール、2はテンションコントロー
ラー、3,5,6,8,9および11はフリーローラ
ー、4はテンション検出機(入口)、7はステンレス鋼
SUS304製の固定棒(外径5mmφ,表面粗Ra=
0.02μm)、10はテンション検出機(出口)、1
2はガイドローラー、13は巻取りリールをそれぞれ示
す。
2インチに裁断したフイルムを7の固定棒に角度θ=
(152/180)πラジアン(152°)で接触させ
て毎分200cmの速さで移動(摩擦)させる。入口テ
ンションT1 が35gとなるようにテンションコントロ
ーラー2を調整した時の出口テンション(T2 :g)を
フイルムが90m走行したのちに出口テンション検出機
で検出し、次式で走行摩擦係数μkを算出する。 μk=(2.303/θ)log(T2 /T1 )=0.
868log(T2 /35)
て測定する東京精密社(株)製の触針式表面粗さ計(SU
RFCOM3B )を用いて、針の半径2μm,荷重0.07g
の条件下にチャート(フイルム表面粗さ曲線)をかか
せ、得られるフイルム表面粗さ曲線からその中心線の方
向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の
中心線をX軸とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲
線Y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられる値
(Ra:μm)をフイルム表面の平坦性として定義す
る。
8個測定し、値の大きい方から3個除いた5個の平均値
としてRaを表わす。
いて、巻き付け角度を30度として毎分300mの速さ
で入口張力が50gとなるようにして下記に示す長さ走
行させる。走行後に固定棒上7に付着した削れ粉および
走行後テープのスクラッチを評価する。このとき固定棒
として、SUS304製で表面を十分に仕上げた6mm
φのテープガイド(表面粗さRa=0.015μm)を
使った場合A法(300m走行)、SUS焼結板を円柱
形に曲げた表面仕上げ不十分な6mmφのテープガイド
(表面粗さRa=0.15μm)を使った場合をB法
(200m走行)、カーボンブラック含有ポリアセター
ル製の6mmφのテープガイドを使った場合をC法(2
00m走行)とする。
レートとエチレングリコールとを、エステル交換触媒と
して酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモン
を、安定剤として亜燐酸を、更に滑剤として表1,2に
示す粒子を添加して、常法により重合し、固有粘度(オ
ルソクロロフェノール、35℃)0.62のポリエチレ
ンテレフタレートを得た。
トを170℃で3時間乾燥後押出機ホッパーに供給し、
溶融温度280〜300℃で溶融し、この溶融ポリマー
を1mmのスリット状ダイを通して表面仕上げ0.3s
程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出し、2
00μmの未延伸フイルムを得た。
75℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で15m
m上方より900℃の表面温度のIRヒーター1本にて
加熱して3.6倍に延伸し、急冷し、続いてステンター
に供給し、105℃にて横方向に3.9倍に延伸した。
得られた二軸配向フイルムを205℃の温度で5秒間熱
固定し、厚み14μmの熱固定二軸配向フイルムを得
た。
単に「部」と記す)と下記の組成物をボールミルで12
時間混練分散した。
シアネート化合物の25%酢酸エチル溶液7部を加え、
1時間高速剪断分散して磁性塗布液を調整した。
リエステルフイルム上に乾燥膜厚が3.5μmとなるよ
うに塗布した。
0℃で乾燥した。乾燥後、カレンダリング処理を施して
1/2インチ巾にスリットして厚み17.5μmの磁気
テープを得た。
形態がα型の酸化アルミニウムを含む酸化アルミニウム
粒子を用いた場合、磁気記録媒体のベースフイルムとし
て有用な、耐削れ性、耐スクラッチ性に優れたポリエス
テルフイルムが得られる。
属ガイド、表面仕上げの十分でない金属ガイドおよびプ
ラスチックガイドすべてにわたって耐スクラッチ性、耐
削れ性に優れ、特に磁気記録媒体のベースフイルムとし
て特に有用なフイルムを提供することができる。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 比表面積が50〜150m2 /gで、平
均粒径が0.05〜0.3μmの酸化アルミニウム粒子
を0.05〜1重量%含有し、さらに平均粒径0.3μ
mを超え1.2μm以下の不活性粒子の1種以上を含有
するポリエステルフイルムであって、該酸化アルミニウ
ム粒子がα型結晶形態の酸化アルミニウムを3〜30重
量%含んでいることを特徴とするポリエステルフイル
ム。 - 【請求項2】 酸化アルミニウムの結晶形態でα型以外
の結晶形態がθ型、δ型及びγ型の群から選ばれる1種
以上である請求項1記載のポリエステルフイルム。 - 【請求項3】 不活性粒子の含有量が0.005〜5重
量%である請求項1記載のポリエステルフイルム。
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