JP3166160B2 - 新規な▲上1▼▲上3▼c標識アミノ酸及びその発酵的又は酵素的製造法 - Google Patents

新規な▲上1▼▲上3▼c標識アミノ酸及びその発酵的又は酵素的製造法

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JP3166160B2 JP03406790A JP3406790A JP3166160B2 JP 3166160 B2 JP3166160 B2 JP 3166160B2 JP 03406790 A JP03406790 A JP 03406790A JP 3406790 A JP3406790 A JP 3406790A JP 3166160 B2 JP3166160 B2 JP 3166160B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規な13C標識アミノ酸及び13C標識炭素源
を使用する13C標識アミノ酸の発酵的又は酵素的製造法
に関する。
(従来の技術と問題点) 13C標識アミノ酸は、蛋白・ペプチドの溶液中の、例
えばNMR法による構造研究用の試薬としての用途、生化
学における、例えばNMR法、マススペクトロメトリーに
よる代謝研究用の試薬としての用途、人・動物の、例え
ば、肝機能を検査するための呼気検査用の診断薬として
の用途等の用途を有する。そして、これらの用途には、
13C標識アミノ酸のなかでも相隣る2つの炭素原子が共
13Cであるものが特に望ましい場合が多い。
しかして、従来13C標識アミノ酸は化学的合成法によ
って製造された例はあるが、このような合成法による場
合は、アミノ酸の骨格炭素原子中、1位の炭素原子、す
なわち、カルボキシル基の炭素原子のみが13Cであるも
のは製造されるが(例えばMSD ISOTOPES社)、1位の
炭素原子以外の炭素原子の一部若しくは全てが13Cであ
るもの又は1位の炭素原子を含めて複数の炭素原子が13
Cであるもの(全ての炭素原子が13Cであるものは除
く。)の製造は極めて困難であって、このような13C標
識アミノ酸の容易な製造法の開発が待望されている。
(問題を解決するための手段) 本発明者は、炭素源として13C標識炭素源を使用する
アミノ酸発酵の研究の結果、炭素源分子の骨格炭素鎖は
発酵の代謝過程において個々の炭素原子にまで一旦は完
全に分解するとは限らず、例えば、酢酸を炭素源として
使用すると酢酸分子を構成するその炭素原子2個が代謝
過程において終始一体となって挙動すること及びグルコ
ースを炭素源として使用するとその骨格炭素鎖の一部を
構成する相連なる複数個の炭素原子が代謝過程において
一体となって挙動することを見出し、この知見に基いて
本発明を完成した。
因みに、アミノ酸の微生物による代謝過程は知られて
いるが(例えば、日本生化学会編「代謝マップ−経路と
調節−」(昭和55年東京化学同人発行)の第45頁にバリ
ン、ロイシン、イソロイシンの代謝(微生物)マップが
掲載されている。)、この代謝過程は極めて複雑であっ
て、このようなマップをみただけでは、上記した本発明
者による知見を読み取り得ることは到底できない。
以下、本発明について逐次説明する。
先ず、本発明の13C標識アミノ酸の製造法について説
明する。
この製造法は発酵法(ファーメンテーション法)又は
酵素法(エンチメーション法)によるので、従って、本
発明で製造できるアミノ酸、すなわち、本発明の対象ア
ミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニ
ン、スレオニン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、
オルニチン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジ
ン、トリプトファン、グルタミン、セリン、プロリン等
の発酵法又は酵素法によって製造可能なアミノ酸であ
る。このようなアミノ酸の製造法自体は、使用菌、酵素
源、培地、ファーメンテーション又はエンチメーション
の条件、ファーメンテーション又はエンチメーション終
了液からの目的アミノ酸の分離を含めて、炭素源として
13C標識炭素源を採用する他は、全て公知の方法による
ことができるので、この相違点のみを説明する。
炭素源として13C標識炭素源を採用するといっても、
炭素源自体はこれまた公知の炭素源でよく、ただこのよ
うな炭素源の少くとも一部の分子の炭素原子が少なくと
も1個が13Cである分子である必要があるのみである。
それで、これについて説明すると、このような炭素源
としては、例えば、13C標識酢酸と無標識酢酸との併
用、13C標識酢酸と無標識グルコースとの併用、13C標識
グルコースと無標識グルコースとの併用、13C標識グル
コースと無標識酢酸との併用を挙げることができる。13
C標識炭素源分子内の炭素原子は、上記のように少なく
とも1個が13Cである必要があるが、13C標識炭素源分子
内における13Cの数及び位置は、目的とする13C標識アミ
ノ酸が何であるかにより、炭素源分子の骨格炭素鎖はア
ミノ酸発酵の代謝過程においてその全部又は一部が一体
となって挙動する、という前記の本発明者による知見に
より決めることができる。例えば、炭素源として[1,2
13C2]酢酸を使用する場合、1及び2の両位の炭素原
子が13Cであるアミノ酸が相対的に多量に生成するの
で、このような13C標識アミノ酸を得たい場合はそのよ
うな標識酢酸を使用する。
ファーメンテーション終了液又はエンチメーション終
了液から分離したアミノ酸は、同じアミノ酸(例えば、
ロイシンとする)であっても、種々の13C標識アミノ酸
の混合物、例えばロイシンの場合は種々の13C標識ロイ
シンの混合物であるが、前述の13C標識アミノ酸の用途
には、このような混合物のままで供することができる。
因みに、13C標識アミノ酸分子内における13Cの位置はNM
R法によって決定でき、また13C標識アミノ酸混合物の13
Cに関する各異性体の割合もNMR法によって測定できる。
13C標識アミノ酸を発酵法又は酵素法で製造する場合
は、化学合成法で製造する場合に較べて、容易な操作で
しかも高収率に目的アミノ酸を製造できる他に、13C標
識アミノ酸分子内における13Cである炭素原子の位置と
数とが多様化するというきわめて重要な利点がある。
次に、1位の炭素原子(すなわち、カルボキシル基の
炭素原子)が通常の炭素原子(すなわち、12C)であっ
て、その他の炭素原子の1個以上が13Cである本発明の
新規なアミノ酸について説明する。
このようなアミノ酸の製造法自体は前記の通りなの
で、ここに付加すべき説明はない。因みに、カルボキシ
ル基の炭素原子のみが13Cであるアミノ酸は一般に公知
である。
以下、実施例により本発明を更に説明する。
実施例1(ロイシン(その1)) 下記の培地Aを500ml容フラスコに50ml張り込み、ロ
イシン発酵菌株ブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タム(Brevibacterium lactofermentum)AJ 3918(FERM
−P 2516)を斜面寒天培養から1白金耳接種し、31℃で
18時間振とう培養した(種培養)。
培地A グルコース 3% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm ビオチン 10μg/ サイアミン塩酸塩 200μg/ 尿素 0.3% DL−メチオニン 0.04% 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 2.2% pH=6.0(KOHによる) その後、1容ガラスジャーに下記培地Bを285ml張
り込み、上に得た種培養液15mlを接種し、NH3でpHを6.2
5に制御しながら31℃で24時間通気撹拌培養して湿潤菌
体32g得た。
培地B グルコース 10% 酢酸 0.5% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm DL−メチオニン 0.07% ビオチン 50μg/ サイアミン塩酸塩 300μg/ 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 2.2% pH=7.0(KOHによる) この菌体を生理食塩水にて2度洗浄した後、培地B
の、酢酸を13C標識酢酸([1,2−13C2]酢酸、すなわ
ち、炭素原子が全て13Cである酢酸)0.5%で置き換え、
グルコース濃度を0.5%に減じ、そして大豆タンパク塩
酸加水分解液濃縮物を除いた培地(培地B′)に該菌体
を戻し、NaOH中和を行いながら(pH=6.25)31℃で24時
間培養(発酵)を行なった。その結果、L−ロイシン
が、2.24g/蓄積していた。
この培養液を遠心分離機にて菌体を分離した後、イオ
ン交換樹脂法を用いて単離精製して538mgのL−ロイシ
ンを得た。
このL−ロイシンを分析したところ、1位の炭素原子
(カルボキシル基の炭素原子)と2位の炭素原子(α位
の炭素原子)との両者のみが共に13C標識されたL−ロ
イシンが75%であった。
前記培地において、炭素源として酢酸は13C無標識の
ものを使用し、グルコースは13C標識のものを使用して
発酵を行ったところ、1及び2の両位の炭素原子以外の
炭素原子が全て13C標識されたL−ロイシンが20%であ
った。
これらの結果から、L−ロイシン生成の代謝過程にお
いて、酢酸分子の両炭素原子は少なくとも一部の酢酸に
おいては一体となって挙動することが理解される。
実施例2(ロイシン(その2)) 種培養を実施例1におけると全く同様にして行なっ
た。
その後、1容ガラスジャーに下記培地Cを285ml張
り込み、上に得た種培養液を15ml接種し、NaOHでpHを6.
25に制御しながら31℃で24時間通気撹拌培養して湿潤菌
体を32g得た。
培地C グルコース 10% 酢酸 0.5% 尿素 0.1% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm DL−メチオニン 0.07% ビオチン 50μg/ サイアミン塩酸塩 300μg/ 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 2.2% pH=7.0(KOHによる) この菌体を生理食塩水にて2度洗浄した後、培地C
の、酢酸を実施例1で使用したと同じ13C標識酢酸0.25
%で置き換え、グルコース濃度を0.75%に変え、大豆タ
ンパク塩酸加水分解液濃縮物を除いた培地(培地C′)
に該菌体を戻し、NaOH中和を行いながら(pH=6.25)31
℃で24時間培養(発酵)を行った。その結果、L−ロイ
シンが3.01g/蓄積していた。
この培養液を実施例1におけると同様に処理して722m
gのL−ロイシンを得た。
このL−ロイシンの分析結果は、1及び2の両位の炭
素原子のみが同時に13C標識されたL−ロイシンが50%
であった。
前記培地において、炭素源として酢酸は13C無標識の
ものを使用し、グルコースは13C標識のものを使用して
発酵を行ったところ1及び2の両位の炭素原子以外の炭
素原子が全て13C標識されたL−ロイシンは45%であっ
た。
実施例3(バリン(その1)) 下記の培地Dを、500ml容フラスコに50ml張り込み、
バリン発酵菌株ブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タム(Brevibacterium lactofermentum)AJ 3450(FER
M−P1963)を1白金耳接種し、31℃で13時間振とう培養
した(種培養)。
培地D グルコース 3% 尿素 0.3% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm DL−メチオニン 0.01% ビオチン 10μg/ サイアミン塩酸塩 200μg/ 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 4% pH=6.5(KOHによる) その後、1容ガラスジャーに下記培地Eを285ml張
り込み、上に得た種培養液を15ml接種し、NH3でpHを6.5
に制御しながら31℃で48時間通気撹拌培養して湿潤菌体
を23g得た。
培地E グルコース 13% 酢酸 0.3% 硫酸アンモニウム 2% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm DL−メチオニン 0.06% ビオチン 50μg/ サイアミン塩酸塩 200μg/ 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 3% pH=6.5(KOHによる) この菌体を生理食塩水にて2度洗浄した後、培地E
の、グルコース13%と酢酸0.3%を13C標識酢酸0.5%及
び無標識グリコース0.5%で置き換え、大豆タンパク塩
酸加水分解液濃縮物を除いた培地(培地E′)に該菌体
を戻し、NaOH中和を行いながら(pH=6.5)31℃で48時
間培養を行った。その結果、L−バリンが1.7g/蓄積
していた。
この培養液を実施例1におけると同様に処理して510m
gのL−バリンを得た。
このL−バリンを分析したところ、1位の炭素原子カ
ルボキシル基の炭素原子)と2位の炭素原子(α位の炭
素原子)との両者のみが共に13C標識されたL−バリン
が24%であった。また、3位の炭素原子(β位の炭素原
子)と4位の炭素原子(γ位の炭素原子)との両者のみ
が共に13C標識されたL−バリンが24%であった。また
全ての炭素原子が無標識のL−バリンが29%であった。
実施例4(ロイシン(その3)) 実施例1におけると同様にして、A及びB両培地を使
用して培養して得たブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタムAJ3918の菌体を生理食塩水にて2度洗浄した
後、培地Bのグルコースを99%13C[U−13C]標識した
グルコースを重量比35%含むグルコース20gで置き換
え、さらに大豆タンパク塩酸加水分解液濃縮物を除いた
培地(培地B″)に該菌体を戻し、NH3中和を行いなが
らpH7.0、31℃で38時間培養(発酵)した。その結果、
L−ロイシンガ17.4g/蓄積していた。
この培養液から菌体を遠心分離により除き、イオン交
換樹脂法を用いて単離精製した3660mgのL−ロイシンを
得た。
このL−ロイシンの13C−NMRスペクトルを測定したと
ころ、グルコースを炭素源とする生合成経路を反映した
不均一な13C分布を持つことがわかった。すなわち、こ
のNMR法スペクトルの回析の結果、得られたL−ロイシ
ンは炭素源として培地中に添加した非標識および13C標
識グルコース由来の炭素数2を持つ3個の構造単位(ブ
ロック)から構成されていることが判明した。この3個
のブロックは(1)[Co,Cα];(2)[Cβ,C
δ];(3)[Cγ,Cδ]である。
ここにCoはカルボキシル基の炭素原子を意味し、Cα
は2位の炭素原子を意味し、その他の位置の炭素原子に
ついては下記構造式を参照のこと。
標識グルコース起源のブロック内は85%に及ぶ高い13
C標識率を持つが、任意の2つのブロックが同時に13C標
識グルコースに由来するブロックとなる確率は、統計的
に予想される限り、約35%の値である。指摘するまでも
ないが、標識ブロックが同一分子に複数含まれる確率
は、標識グルコースの混合比(本実施例では35%)を変
化させることにより容易に制御可能である。
以下の実施例においては、このようにして得られる生
合成経路を反映して不均一に13C標識されたアミノ酸を3
5%13C“ブロック標識”アミノ酸と呼ぶことにする。即
ち、本実施例でえられたL−ロイシンは35%13Cブロッ
ク標識L−ロイシンである。
13Cブロック標識ロイシンの最も重要な特徴は、2個
のプロキラルメチル基を立体選択的に標識することが可
能な点である。Cδ及びCδはそれぞれpro−S及
びpro−Rメチル基炭素に相当する。ブロック標識の結
果、pro−Rメチル基炭素のNMRジクナルは強いダブレッ
トを、pro−Sメチル基炭素のそれは強いシングレット
として現れ、容易に区別がつく。このような立体的選択
的に標識されたロイシンは有機合成化学的方法によって
は合成が極めて困難であったが、本発明の方法により安
価、簡便、多量調整技術が確立することになり、蛋白質
のNMRスペクトル中のロイシン残基のメチルシグナルの
立体特異的帰属、ロイシン側鎖シグナルの一括帰属など
NMRによる蛋白質の立体構造の決定技術に欠くことので
きない重要な用途をもつ。
実施例5(ロイシン等(その1)) 実施例1におけると同様にして、A及びB両培地を使
用して培養して得たブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタムAJ3918の菌体を生理食塩水にて2度洗浄した
後、培地Bのグルコースを99%13C[1−13C]標識した
グルコース20gで置き換え、さらに大豆タンパク塩酸加
水分解液濃縮物を除いた培地(培地B)該菌体を戻
し、NH3中和を行いながらpH7.0、31℃で38時間培養(発
酵)した。その結果、L−ロイシンが20.5g/蓄積して
いた。
この培養液から菌体を遠心分離により除き、イオン交
換樹脂法を用いて単離精製して4840mgのL−ロイシンを
得た。
このL−ロイシンの13C−NMRスペクトルを測定したと
ころ、13C標識位置はCα,Cδ及びCδの3個所に
限られていることがわかった。標識率は約50%程度であ
ったが、このような位置選択的標識ロイシンを化学合成
的に調製することは極めて困難であり、その点本発明の
方法は際立った利点がある。
同様な実験をL−バリン、L−イソロイシンについて
行ったが、バリン、イソロイシンともにCγとCγ
のみに高濃度(約50%)の13C標識が見出された。
ここに、L−バリン及びL−ロイシンの炭素原子の位
置については下記構造式を参照のこと。
当然のことながら、1位の炭素以外に13C標識された
グルコース類を用いれば、他の特定部位を標識したアミ
ノ酸類が調製可能である。また、次の実施例に述べるア
ミノ酸類についても同様な手法が適用可能である。
実施例6(ロイシ等(その2)) 実施例1におけると同様にして、A及びB両培地を使
用して培養して得たブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタムAJ3918の菌体を生理食塩水にて2度洗浄した
後、培地Bのグルコースを36%13C[U−13C]20gで置
き換え、さらに大豆タンパク塩酸加水分解液濃縮物を除
いた培地(培地B′)に該菌体を戻し、NH3中和を行
いながらpH7.0,31℃で38時間培養(発酵)した。その結
果、L−ロイシンが17.4g/蓄積していた。
この培養液から菌体を遠心分離により除き、イオン交
換樹脂法を用いて単離精製して4070mgのL−ロイシンを
得た。
このL−ロイシンの13C−NMRスペクトルを測定したと
ころ、36%[U−13C]L−ロイシンが生成しているこ
とが判明した。
従来は均一に13C標識したロイシンは標識蛋白質の加
水分解物からの分離によるしかなかったが、本発明の方
法ではロイシン以外にもバリン、イソロイシン、アラニ
ン、グルタン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、オ
ルニチリン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルア
ラニン、チロシン、スレオニンなどグルコースなど標識
した糖源から微生物発酵が可能なアミノ酸であれば、そ
の均一13C標識体を必要な量だけ調製することが可能な
点が、特に選れている。
実施例7(プロリン等) 下記の培地Fを500ml容フラスコに50ml張り込み、プ
ロリン発酵菌株ブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タム(Brevibacterium lactofermentum)AJ 11225(FE
RMP−4370)を斜面寒天培養から1白金耳接種し、30℃
で18時間振とう培養した(種培養)。
培地F グルコース 2% 硫安 1.0% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm MN++ 2ppm ビオチン 50μg/ サイアミン塩酸塩 200μg/ 尿素 0.25% 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 2.2% pH=7.0(KOHによる) その後、1容ガラスジャーに下記培地Gを270ml張
り込み、上に得た種培養液30mlを接種し、NH3でpHを7.0
に制御しながら30℃で24時間通気撹拌培養して湿潤菌体
14g得た。
培地G グルコース 10% 硫安 6% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm MN++ 2ppm DL−メチオニン 0.07% ビオチン 450μg/ サイアミン塩酸塩 1000μg/ 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 0.2ml/dl pH=7.0(KOHによる) この菌体を生理食塩水にて2度洗浄した後、培地Gの
グルコース(100g/)をグルコース(5g/)と99%13
C[2−13C]酢酸(5g/)の糖酢混合物に変え、さら
に大豆タンパク塩酸加水分解液濃縮物を除いた培地(培
地G′)に該菌体を戻し、NH3中和を行いながらpH7.0,3
0℃で16時間培養(発酵)した。その結果、L−プロリ
ンが2.8g/蓄積していた。
この培養液から菌体を遠心分離により除き、イオン交
換樹脂法を用いて、単離精製して700mgのL−プロリン
を得た。
このL−プロリンを13C−NMRスペクトルにより分析し
たところ、Cα,Cβ及びCγに顕著な13Cの分布が見ら
れ、特にCγは強く標識されていた。このようなCγの
標識体はNMRスペクトルによりタンパク質中のプロリン
を含んだペプチド結合のシス・トランス決定に有用であ
る。
ここに、プロリンの炭素原子の位置については下記構
造式参照のこと。
一方、上の実験で99%13C[2−13C]酢酸(5g/)
を[1−13C]酢酸で置き換えることにより、CδとCo
のみを高度に標識したL−プロリンを調製することも容
易である。また、酢酸あるいはグルコースと[1,2−13C
2]酢酸を混合した酢酸培地又は糖酢酸培地で置き換え
ることにより、13Cブロック標識L−プロリンを生成さ
せることができた。この場合ブロック構成は(1)[C
o];(2)[Cα,Cβ];(3)[Cγ,Cδ]及び
(1)[Co,Cα];(2)[Cβ];(3)[Cγ,C
δ]の2通りであり、両者は同じ確率で起こっていた。
このような酢酸のみ或いは酢酸とグルコースの混合物
(糖酢酸培地)を利用するブロック標識法はL−ロイシ
ンの[Co,Cα]が酢酸起源(アセチルCoA)であること
を利用する標識法(実施例1)を除けば酢酸を高い効率
で資化しアミノ酸に変換しうるアミノ酸発酵系のみ適用
が限られる。これらのアミノ酸はグルタン酸、グルタミ
ン、リジン、アルギニン、オルニチリン、スレオニン、
プロリンの7種類である。これらのアミノ酸の位置特異
13C標識体、均一標識体或いはブロック標識体を比較
的安価な原料である13C標識酢酸源を用いて得る本発明
方法は経済性が極めて優れている。
実施例8(イソロイシン) 下記の培地Hを500ml容フラスコに50ml張り込み、イ
ソロイシン発酵菌株ブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタム(Brevibacterium lactofermentum)AJ 3689
(FERMP−2436)を斜面寒天培養から1白金耳接種し、3
1℃で18時間振とう培養した(種培養)。
培地H グルコース 3% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm ビオチン 200μg/ サイアミン塩酸塩 300μg/ 酢酸アンモニウム 0.3% 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素3%) 6% pH=8.0(NaOHによる) その後、1容ガラスジャーに下記培地Iを285ml張
り込み、上に得た種培養液15mlを接種し、NH3でpHを7.3
に制御しながら31℃で24時間通気撹拌培養して湿潤菌体
14g得た。
培地I グルコース 10% 硫酸アンモニウム 1.5% KH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.04% Fe++ 2ppm Mn++ 2ppm ビオチン 50μg/ サイアミン塩酸塩 3000μg/ 大豆タンパク塩酸加水分解液 濃縮物(総窒素4.2%) 1.2% pH=4.2(KOHによる) この菌体を生理食塩水にて2度洗浄した後、培地Iの
中のグルコースを99%13C標識体を重量比33%含むグル
コース20gで置き換え、さらに大豆タンパク塩酸加水分
解液濃縮物を除いた培地(培地I′)に該菌体を戻し、
NH3中和を行いながらpH7.3、31℃で38時間培養(発酵)
した。その結果、L−イソロイシンが1.3g/蓄積して
いた。
この培養液から菌体を遠心分離により除き、イオン交
換樹脂法を用いて単離精製して3500mgのL−イソロイシ
ンを得た。このL−イソロイシンを13C−NMRスペクトル
により分析したところ、実施例5で説明したように、13
C標識グルコースに由来する13C標識されたブロックから
構成される13Cブロック標識体であることが判明した。
L−イソロイシンの場合も、L−ロイシンの場合と同様
に、3つのグルコースから由来する独立な3ブロックが
見出された。(1)[Co,Cα,Cγ];(2)[Cβ,C
γ];(3)[Cδ]。同一グルコース由来の複数の
炭素を持つブロック(ブロック(1)及び(2))にお
いては85%程度の高濃度に13C標識されたブロックが約3
5%程度含まれていることが明らかである。このブロッ
13C標識L−イソロイシンに関しても蛋白質NMRなど広
範な用途が見出され得る。
実施例9(バリン(その2)) 実施例3におけると同様にして、D及びE両培地を使
用して培養して得たブレビバクテリウム・ラクトフエル
メンタムAJ 3450の菌体を生理食塩水にて2度洗浄した
後、培地E中のグルコースを炭素原子が全て13Cである
グルコースを非標識グルコースに約35%の割合で混合し
たもの10gで置き換え、さらに大豆タンパク塩酸加水分
解液濃縮物を除いた培地(培地E″)に該菌体を戻し、
NH3中和を行いながらpH6.5、31℃で38時間培養(発酵)
した。その結果、L−バリンが17.3g/蓄積していた。
この培養液から菌体を遠心分離により除き、イオン交
換樹脂法を用いて単離精製して4240mgのL−バリンを得
た。
このL−バリンを13C−NMRスペクトルにより分析した
ところ、実施例5で説明したように、13C標識グルコー
スに由来する、13C標識された独立な2ブロックから構
成されるブロック標識体であることが判明した。L−バ
リンの場合もL−ロイシン、L−イソロイシンの場合と
同様に、2つのグルコースから由来する独立な2ブロッ
クが見出された:(1)[Co,Cα,Cγ];(2)[C
β,Cγ]。Cγ及びCγはそれぞれプロキラルな
メチルシグナルであり、pro−S及びpro−Rに相当す
る。同一グルコース由来の複数の炭素を持つこれら2つ
のブロックにおいては、85%程度の高濃度13C標識され
たブロックが約35%程度含まれていることが明らかであ
る。このブロック13C標識L−バリンに関しても最も信
頼性のおけるメチル基シグナルの立体的帰属を始め、蛋
白質NMRなどに大きな用途が拓けている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/04 - 13/24 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】13Cで標識されたアミノ酸の製造法であっ
    て、 (イ)二種以上の異なる炭素源を含む培地中に、アミノ
    酸生産能を有する微生物を培養すること、または (ロ)アミノ酸生産能を有する微生物の菌体を、二種以
    上の異なる炭素源を少なくとも含む溶液中に懸濁してア
    ミノ酸を生成せしめる条件下におくこと、 を含み、 上記二種以上の異なる炭素源は、いずれも二個以上の炭
    素原子を有し、上記二種以上の異なる炭素源の少なくと
    も一種の炭素源は隣接する二つの炭素原子が13Cであ
    り、上記13Cで標識されたアミノ酸が、隣接する二つの
    炭素原子において13Cを有する、上記製造法。
  2. 【請求項2】上記二種以上の異なる炭素源が、酢酸とグ
    ルコースである請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】上記二種以上の異なる炭素源の少なくとも
    一種の炭素源が、酢酸である請求項1に記載の製造法。
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