JPH06261743A - 安定同位体標識酵母及びそのエキス並びに製造方法 - Google Patents

安定同位体標識酵母及びそのエキス並びに製造方法

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JPH06261743A
JPH06261743A JP5608793A JP5608793A JPH06261743A JP H06261743 A JPH06261743 A JP H06261743A JP 5608793 A JP5608793 A JP 5608793A JP 5608793 A JP5608793 A JP 5608793A JP H06261743 A JPH06261743 A JP H06261743A
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atoms
compound
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JP5608793A
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Munehiro Tejima
宗広 手島
Tsutomu Okada
務 岡田
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 13C、15Nなどの安定同位体で標識された酵
母及びそのエキスを提供することを目的とする。 【構成】 本発明の安定同位体標識酵母及びそのエキス
は、全炭素原子に占める13C原子の存在比及び/又は全
窒素原子に占める15N原子の存在比が95%以上である
ことを特徴としている。 【効果】 これを微生物培養用の培地に加えることによ
り、完全培地では培養が不可能か或いは目的物質の生産
性が低いために生産が不可能な安定同位体標識蛋白質や
核酸などの目的物質の生産が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、13Cと15Nのうちの一
方又は両方などの安定同位体で標識された酵母及び酵母
エキスに関するものである。これら安定同位体標識酵母
は酵母エキスの原料中間体や、安定同位体で標識された
アミノ酸、核酸、ビタミン等の原料の中間体として有用
である。また安定同位体標識酵母エキスは安定同位体で
標識された蛋白質、核酸、脂質などを微生物の培養によ
り得るための微生物培養用の培地成分としてきわめて有
用である。
【0002】
【従来の技術】蛋白質や核酸の構造や機能の解析を行う
方法の一つとして、目的の蛋白質や核酸を構成する炭素
原子、窒素原子を13C、15Nなどの安定同位体に置き換
えて標識し、これら安定同位体で標識された蛋白質や核
酸を核磁気共鳴スペクトル法などで解析する技術が注目
されている。この種の安定同位体を用いた解析法は適用
範囲が広く、微量試料で高精度の解析が可能であること
から、X線結晶解析法と並んで蛋白質や核酸の構造解析
や機能の解析を行う上で重要な技術である。これらの安
定同位体で標識した蛋白質や核酸は、13C標識グルコー
スや15N標識塩化アンモニウムなどの安定同位体で標識
された化合物を炭素源、窒素源とした培地を用い、組み
換え大腸菌などの目的の蛋白質や核酸を合成し得る微生
物を培養することによって合成される。
【0003】また、代謝などの研究に使用するトレーサ
として有用な13C、15Nなどの安定同位体で標識された
脂質、糖質、蛋白質、ビタミン類、その他の生理活性物
質などの生体内で重要な働きをしている生体内物質のう
ち、化学合成法などにより簡単に合成できないものに関
して、13C標識グルコースや15N標識塩化アンモニウム
などの安定同位体で標識された化合物を炭素源、窒素源
とした培地を用い、適宜な微生物を培養して目的の生体
内物質を合成する方法は重要な技術である。
【0004】これらの技術において用いられる培地とし
ては、炭素源や窒素源が全て安定同位体で標識されてい
ることが望ましく、また安定同位体で標識された化合物
の種類も限られているため、培地中の炭素源、窒素源と
してグルコース、アミノ酸、アンモニウム塩、硝酸塩な
どを用いる完全合成培地を用いて微生物を培養するのが
一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た完全合成培地で増殖が可能な微生物の種類は限られて
おり、大部分の微生物は培養することが不可能である。
また、このような完全合成培地での培養が可能であって
も、培養時に増殖速度の低下や、目的物質の生産性の低
下のために安定同位体で標識された目的物質の生産が事
実上不可能となる場合がしばしば起こる。
【0006】一方、一般的な微生物の培養においては、
完全合成培地での培養が不可能な場合や、目的物質の生
産性を上げる目的で培地中に酵母エキス、麦芽エキス、
肉エキスなどの天然物からの抽出物を培地に添加した半
合成培地が通常用いられている。これら天然物からの抽
出物質には核酸、アミノ酸、ビタミンなど様々な物質が
含まれており、これらの物質が微生物の増殖に必須な場
合が多い。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、完全培地では培養が不可能かまたは可
能であっても目的物質の生産性が低いために、その安定
同位体で標識された目的物質の生産が不可能な場合に培
地中に添加する、13C、15Nなどの安定同位体で標識さ
れた酵母エキスを提供することにある。またそれら酵母
エキスの原料中間体として、さらに安定同位体標識アミ
ノ酸、核酸、ビタミン等の原料中間体としての安定同位
体標識酵母を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の安定同位体標
識酵母は、全炭素原子に占める13C原子の存在比が95
%以上であることを特徴としている。
【0009】請求項2の安定同位体標識酵母は、全炭素
原子に占める13C原子の存在比及び/又は全窒素原子に
占める15N原子の存在比が95%以上であることを特徴
としている。
【0010】請求項3の安定同位体標識酵母エキスは、
全炭素原子に占める13C原子の存在比が95%以上であ
ることを特徴としている。
【0011】請求項4の安定同位体標識酵母エキスは、
全炭素原子に占める13C原子の存在比及び/又は全窒素
原子に占める15N原子の存在比が95%以上であること
を特徴としている。
【0012】また請求項5の安定同位体標識酵母の製造
方法は、13Cの化合物を原料として酵母を培養し、全炭
素原子に占める13C原子の存在比が95%以上である酵
母を製造することを特徴としている。この安定同位体標
識酵母の製造方法では請求項6にある通り、13Cの化合
物に13C-メタノールを用いるとともに、酵母としてメ
タノール資化性酵母を用いることができる。さらに、請
求項7にある通り、13Cの化合物に13C-酢酸を用いる
とともに、酵母として酢酸資化性酵母を用いることがで
きる。
【0013】また請求項8の安定同位体標識酵母の製造
方法は、13Cの化合物と15Nの化合物のうちの一方又は
両方を原料として酵母を培養し、全炭素原子に占める13
C原子の存在比及び/又は全窒素原子に占める15N原子
の存在比が95%以上である安定同位体標識酵母を製造
することを特徴としている。この安定同位体標識酵母の
製造方法では請求項9にある通り、13Cの化合物として
13C-メタノールを用い、15Nの化合物として15N-塩化
アンモニウムを用い、かつ酵母としてメタノール資化性
酵母を用いることができる。さらに、請求項10にある
通り、13Cの化合物として13C-酢酸を用い、15Nの化
合物として15N-塩化アンモニウムを用い、かつ酵母と
して酢酸資化性酵母を用いることができる。
【0014】また請求項11の安定同位体標識酵母エキ
スの製造方法は、13Cの化合物を原料として酵母を培養
し、ついで該培養で得られた安定同位体標識酵母から、
全炭素原子に占める13C原子の存在比が95%以上であ
る酵母エキスを製造することを特徴としている。この安
定同位体標識酵母エキスの製造方法では請求項12にあ
る通り、13Cの化合物に13C-メタノールを用いるとと
もに、酵母としてメタノール資化性酵母を用いることが
できる。さらに請求項13にある通り、13Cの化合物に
13C-酢酸を用いるとともに、酵母として酢酸資化性酵
母を用いることができる。
【0015】また請求項14の安定同位体標識酵母エキ
スの製造方法は、13Cの化合物と15Nの化合物のうちの
一方又は両方を原料として酵母を培養し、ついで該培養
で得られた安定同位体標識酵母から、全炭素原子に占め
13C原子の存在比及び/又は全窒素原子に占める15
原子の存在比が95%以上である酵母エキスを製造する
ことを特徴としている。この安定同位体標識酵母エキス
の製造方法では請求項15にある通り、13Cの化合物と
して13C-メタノールを用い、15Nの化合物として15N-
塩化アンモニウムを用い、かつ酵母としてメタノール資
化性酵母を用いることができる。さらに、請求項16に
ある通り、13Cの化合物として13C-酢酸を用い、15
の化合物として15N-塩化アンモニウムを用い、かつ酵
母として酢酸資化性酵母を用いることができる。
【0016】本発明に係る安定同位体標識酵母は、13
で標識された安定同位体標識酵母、15Nで標識された安
定同位体標識酵母、及び13Cと15Nの両方で標識された
安定同位体標識酵母であり、全炭素原子に占める13C原
子の存在比(以下、13C標識化率という)及び/又は全
窒素原子に占める15N原子の存在比(以下、15N標識化
率という)が95%以上であることを特徴としている。
この安定同位体標識酵母を得るには、13C標識の場合は
酵母培養用培地中の炭素源を全て13Cとし、15N標識の
場合は窒素源を15Nにして培養する。ここで用いられる
酵母としては特に限定されることなく、従来より周知で
ありかつ容易に入手が可能な酵母菌種、例えばパン酵
母、ビール酵母などが利用可能である。これら一般的な
酵母の培養においては、炭素源としてグルコース、窒素
源としては塩化アンモニウム等が用いられており、これ
ら炭素源、窒素源を13C、15Nにして、通常の培養条件
と同等で培養を行う。
【0017】しかし、13Cで完全に標識されたグルコー
ス等の炭素原子を複数個含む安定同位体化合物は高価で
あり、生産コストを考慮すると、それよりも安価な炭素
原子が1〜2個程度の化合物を炭素源として用いること
が望ましい。そこで、本発明の好適な実施態様では、酵
母培養用培地の炭素源に13Cで標識されたメタノール
(以下、13C-メタノールという)、又は13Cで標識さ
れた酢酸(以下、13C-酢酸という)を用い、窒素源に
15Nで標識された塩化アンモニウム(以下、15N-塩化
アンモニウムという)を用い、酵母としてメタノール資
化性酵母或いは酢酸資化性酵母を用いて培養する。
【0018】これらメタノール資化性酵母及び酢酸資化
性酵母としては、メタノール又は酢酸を唯一の炭素源と
して増殖する酵母であればよく、従来周知であり容易に
入手が可能なこれら酵母のうちから適宜選択して用いる
ことが可能である。例えばメタノール資化性酵母として
は、ピッチア・アンガスタ Pichia angusta(ATCC 2601
2, IFO 0799, IFO 1024, IFO 1475, IFO 1476)、キャ
ンディダ・ボイディニCandida boidinii(IAM 1226
9)、酢酸資化性酵母としては、キャンディダ・ウチリ
ス Candida utilis(IFO 0369)、キャンディダ・ルゴ
サ Candida rugosa(JF 101)、キャンディダ・トロピ
カリス Candida tropicalis(IFO 1647, IFO0589)、キ
ャンディダ・クルセイ Candida krusei(IFO 1395)等
が挙げられる。
【0019】これら酵母の培地としては、メタノール資
化性酵母の場合には、例えばメタノール2重量%、塩化
アンモニウム0.4重量%、リン酸二水素カリウム0.1
重量%、リン酸水素二カリウム0.1重量%、硫酸マグ
ネシウム0.05重量%、ビタミン混液1重量%が用い
られ、13Cで標識された酵母の場合はメタノールとして
13C-メタノールを、13C、15Nで標識された酵母エキ
スの場合はメタノールとして13C-メタノール、塩化ア
ンモニウムとして15N-塩化アンモニウムをそれぞれ用
いる。また酢酸資化性酵母の培地としては、例えば酢酸
0.5重量%、塩化アンモニウム0.25重量%、リン酸
二水素カリウム0.1重量%、リン酸水素二カリウム0.
1重量%、硫酸マグネシウム0.05重量%が用いら
れ、13Cで標識された酵母の場合はメタノールとして13
C-メタノールを、13C、15Nで標識された酵母エキス
の場合はメタノールとして13C-メタノール、塩化アン
モニウムとして15N-塩化アンモニウムをそれぞれ用い
る。
【0020】この安定同位体標識酵母は、全炭素原子に
占める13C原子の存在比或いは全窒素原子に占める15
原子の存在比が95%以上と高く、上記安定同位体標識
酵母エキスを製造する中間体として用いられる。また、
この酵母には13C、15Nなどの安定同位体で標識された
蛋白質、アミノ酸、核酸、ビタミン等の種々の物質が含
有されているので、この酵母を分解して各成分を分離精
製することにより、安定同位体で標識された蛋白質、ア
ミノ酸、核酸、ビタミン等の種々の物質を、化学的合成
法よりも効率良く安価に生産することができる。
【0021】本発明に係る安定同位体標識酵母エキス
は、上述した安定同位体標識酵母から周知の酵母エキス
の製造法と同様の方法を用いて製造される。特に本発明
では、通常の原料に比べて高価な13C-メタノール、13
C-酢酸、15N-塩化アンモニウム等を用いて培養した安
定同位体標識酵母を用いるので、なるべくロスが無いよ
うなエキス化方法が望ましい。一般的な酵母エキスの製
造方法では、酵母の自己消化、塩酸等による加水分解、
酵素を添加した酵素分解などの方法が用いられ、本発明
の安定同位体標識酵母エキスの製造においてもこれらの
方法を適用してエキスの製造が可能である。これらの方
法によって安定同位体標識酵母を処理した酵母エキスを
含む溶液は、遠心分離等によって固形成分を分離した
後、必要に応じて凍結乾燥等で乾燥して粉末化し、安定
同位体標識酵母エキスとする。
【0022】この安定同位体標識酵母エキスは、13C標
識化率或いは15N標識化率が95%以上と高く、しかも
その成分は通常培養した同じ酵母から得られた酵母エキ
スと同じく、微生物の培養に好適な炭素源や窒素源を含
有しているので、これを微生物培養用の培地に加えるこ
とにより、完全培地では培養が不可能か或いは目的物質
の生産性が低いために生産が不可能であった安定同位体
標識蛋白質や核酸などの物質の生産が可能となる。
【0023】なお、本発明においては、安定同位体とし
13C、15Nの他に重水素、17O、18O、33S、34Sな
どの安定同位体で標識してもよい。また、安定同位体標
識酵母の培養の際、炭素源として13C-メタノール、13
C-酢酸以外に、13C-グルコースなどの13C標識糖類、
13C標識有機酸類などを用いることが可能であり、また
窒素源として15N-塩化アンモニウム以外に、別の15
アンモニウム塩類、15N-硝酸塩、15N,13C-尿素、15
N,13C-有機酸アンモニウム塩、15N,13C-アミノ酸な
どを用いることが可能である。
【0024】
【実施例】
(実施例1)13C-メタノール(13CH3OH:>99atom
%)0.5%、塩化アンモニウム0.4%、リン酸二水素
カリウム0.1重量%、リン酸水素二カリウム0.1重量
%、硫酸マグネシウム0.05重量%、ビタミン混液1
重量%を溶解した培地1Lにメタノール資化性酵母ハン
スネラ・ポリモルファ(IFO 1476)を25℃の温度下で
振とう培養した。培養中、培地中のメタノール濃度が
0.3〜0.7%となるように13C-メタノールを逐次添
加し、最終的に全量20gの13C-メタノールを使用し
た。
【0025】培地中の13C-メタノールが完全に消費さ
れたことを確認した後、酵母を集菌して凍結乾燥を行
い、約1.3gの乾燥酵母を得た。この乾燥酵母を電動
ミルで粉砕した後、滅菌水25mlに溶解後、塩酸でp
Hを2.0に調整し、ペプシン(活性度1:10,000、ペプ
シン1gに対し卵白アルブミン1万gを加水分解する)
0.1mgを添加し37℃で72時間反応させた。反応
後、懸濁液のpHを水酸化ナトリウムで8.0に調整
し、トリプシン(活性度1:250、トリプシン1gに対し
カゼイン250gを加水分解する)1mgを添加し、3
7℃で96時間反応させた。反応後、懸濁液を3000r.p.
m.で30分間遠心分離し、その上清を凍結乾燥し、約0.
9gの13C標識酵母エキスを得た。
【0026】蒸留水に13C標識酵母エキス0.5%、13
6-グルコース(136126:>99atom%)1%を溶
解した培地50mlに大腸菌 Escherichia coli(ATCC
29417)を植種し、37℃の温度下で振とう培養した。
波長600nmで測定した濁度から、大腸菌の比増殖速
度は約1.4(h-1)であり、同じ菌株を大腸菌の完全
培地であるLB培地で培養した際の比増殖速度約1.5
(h-1)と比べて遜色がなかった。得られた大腸菌は凍
結乾燥後、元素分析計により菌体内の炭素源を全て二酸
化炭素ガスに変換し、その二酸化炭素ガスを質量分析計
で測定し、13C標識化率を測定した。その結果、大腸菌
13C標識化率は約95%であった。
【0027】(実施例2)132標識酢酸ナトリウム(
13CH3 13COONa:>99atom%)0.5重量%、15
標識塩化アンモニウム(15NH4Cl:99atom%)0.2
5重量%、リン酸二水素カリウム0.1重量%、リン酸
水素二カリウム0.1重量%、硫酸マグネシウム0.05
重量%を溶解した培地1Lに酢酸資化性酵母キャンディ
ダ・ウチリス(IFO 0369)を28℃の温度下で振とう培
養した。培養後、酵母を集菌して凍結乾燥を行い、約
1.5gの乾燥酵母を得た。この乾燥酵母を電動ミルで
粉砕した後、滅菌水25mlに溶解後、塩酸でpHを
2.0に調整し、ペプシン(活性度1:10,000)0.1mg
を添加し37℃で72時間反応させた。反応後、懸濁液
のpHを水酸化ナトリウムで8.0に調整し、トリプシ
ン(活性度1:250)1mgを添加し、37℃で96時間
反応させた。反応後、懸濁液を3000r.p.m.で30分間遠心
分離し、その上清を凍結乾燥し、約1.0gの1 315
標識酵母エキスを得た。
【0028】蒸留水に、1315N標識酵母エキス0.5
%、136-グルコース(136126:>99atom%)1
%を溶解した培地50mlに大腸菌 Escherichia coli
(ATCC29417)を植種し、37℃の温度下で振とう培養
した。波長600nmで測定した濁度から、大腸菌の比
増殖速度は約1.4(h-1)であり、同じ菌株を大腸菌
の完全培地であるLB培地で培養した際の比増殖速度約
1.5(h-1)と比べて遜色がなかった。得られた大腸
菌は凍結乾燥後、元素分析計により菌体内の炭素源を全
て二酸化炭素ガスに、また窒素源を全て窒素ガスに変換
した。これら二酸化炭素ガスおよび窒素ガスを質量分析
計で測定した結果、大腸菌の13C標識化率は約97%で
あり、15N標識化率は約98%であった。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は次のよう
な優れた効果を奏する。本発明の安定同位体標識酵母
は、13C標識化率及び/又は15N標識化率が95%以上
と高く、後述する安定同位体標識酵母エキスを製造する
中間体として用いられる。また、この酵母には13C、15
Nなどの安定同位体で標識された蛋白質、アミノ酸、核
酸、ビタミン等の種々の物質が含有されているので、こ
の酵母を分解して各成分を分離精製することにより、安
定同位体で標識された蛋白質、アミノ酸、核酸、ビタミ
ン等の種々の物質を効率良く安価に生産することができ
る。
【0030】また、本発明に係る安定同位体標識酵母エ
キスは、13C標識化率及び/又は15N標識化率が95%
以上と高く、しかもその成分は通常培養した同じ酵母か
ら得られた酵母エキスと同じく、微生物の培養に好適な
炭素源や窒素源を含有しているので、これを微生物培養
用の培地に加えることにより、完全培地では培養が不可
能か或いは目的物質の生産性が低いために生産が不可能
であった安定同位体標識蛋白質や核酸などの物質の生産
が可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:84)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも13Cで標識された安定同位体
    標識酵母であって、全炭素原子に占める13C原子の存在
    比が95%以上であることを特徴とする安定同位体標識
    酵母。
  2. 【請求項2】 13Cと15Nのうちの一方又は両方で標識
    された安定同位体標識酵母であって、全炭素原子に占め
    13C原子の存在比及び/又は全窒素原子に占める15
    原子の存在比が95%以上であることを特徴とする安定
    同位体標識酵母。
  3. 【請求項3】 少なくとも13Cで標識された安定同位体
    標識酵母エキスであって、全炭素原子に占める13C原子
    の存在比が95%以上であることを特徴とする安定同位
    体標識酵母エキス。
  4. 【請求項4】 13Cと15Nのうちの一方又は両方で標識
    された安定同位体標識酵母エキスであって、全炭素原子
    に占める13C原子の存在比及び/又は全窒素原子に占め
    15N原子の存在比が95%以上であることを特徴とす
    る安定同位体標識酵母エキス。
  5. 【請求項5】 13Cの化合物を原料として酵母を培養
    し、全炭素原子に占める13C原子の存在比が95%以上
    である安定同位体標識酵母を製造することを特徴とする
    安定同位体標識酵母の製造方法。
  6. 【請求項6】 13Cの化合物に13C-メタノールを用い
    るとともに、酵母としてメタノール資化性酵母を用いる
    ことを特徴とする請求項5記載の安定同位体標識酵母の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 13Cの化合物に13C-酢酸を用いるとと
    もに、酵母として酢酸資化性酵母を用いることを特徴と
    する請求項5記載の安定同位体標識酵母の製造方法。
  8. 【請求項8】 13Cの化合物と15Nの化合物のうちの一
    方又は両方を原料として酵母を培養し、全炭素原子に占
    める13C原子の存在比及び/又は全窒素原子に占める15
    N原子の存在比が95%以上である安定同位体標識酵母
    を製造することを特徴とする安定同位体標識酵母の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 13Cの化合物として13C-メタノールを
    用い、15Nの化合物として15N-塩化アンモニウムを用
    い、かつ酵母としてメタノール資化性酵母を用いること
    を特徴とする請求項8記載の安定同位体標識酵母の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 13Cの化合物として13C-酢酸を用
    い、15Nの化合物として15N-塩化アンモニウムを用
    い、かつ酵母として酢酸資化性酵母を用いることを特徴
    とする請求項8記載の安定同位体標識酵母の製造方法。
  11. 【請求項11】 13Cの化合物を原料として酵母を培養
    し、ついで該培養で得られた安定同位体標識酵母から、
    全炭素原子に占める13C原子の存在比が95%以上であ
    る酵母エキスを製造することを特徴とする安定同位体標
    識酵母エキスの製造方法。
  12. 【請求項12】 13Cの化合物に13C-メタノールを用
    いるとともに、酵母としてメタノール資化性酵母を用い
    ることを特徴とする請求項11記載の安定同位体標識酵
    母エキスの製造方法。
  13. 【請求項13】 13Cの化合物に13C-酢酸を用いると
    ともに、酵母として酢酸資化性酵母を用いることを特徴
    とする請求項11記載の安定同位体標識酵母エキスの製
    造方法。
  14. 【請求項14】 13Cの化合物と15Nの化合物のうちの
    一方又は両方を原料として酵母を培養し、ついで該培養
    で得られた安定同位体標識酵母から、全炭素原子に占め
    13C原子の存在比及び/又は全窒素原子に占める15
    原子の存在比が95%以上である酵母エキスを製造する
    ことを特徴とする安定同位体標識酵母エキスの製造方
    法。
  15. 【請求項15】 13Cの化合物として13C-メタノール
    を用い、15Nの化合物として15N-塩化アンモニウムを
    用い、かつ酵母としてメタノール資化性酵母を用いるこ
    とを特徴とする請求項14記載の安定同位体標識酵母エ
    キスの製造方法。
  16. 【請求項16】 13Cの化合物として13C-酢酸を用
    い、15Nの化合物として15N-塩化アンモニウムを用
    い、かつ酵母として酢酸資化性酵母を用いることを特徴
    とする請求項14記載の安定同位体標識酵母エキスの製
    造方法。
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