JP3164746B2 - 変色の少ない防カビ性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

変色の少ない防カビ性オルガノポリシロキサン組成物

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JP3164746B2 JP02782695A JP2782695A JP3164746B2 JP 3164746 B2 JP3164746 B2 JP 3164746B2 JP 02782695 A JP02782695 A JP 02782695A JP 2782695 A JP2782695 A JP 2782695A JP 3164746 B2 JP3164746 B2 JP 3164746B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシーリング材などに使用
される防カビ性に優れ、且つ耐熱、耐紫外線性などの耐
候性に優れたオルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】湿気により架橋するRTVシリコーンゴ
ムはその取り扱いが容易な上に耐候性、電気特性に優れ
るため、建材用のシーリング材、電気電子分野での接着
剤など様々な分野で応用されている。特に水回りにおい
て、各種の被着体に良好に接着する上に耐候性にも優れ
るRTVシリコーンゴムは汎用されている。一方、近年
住宅の建設技術が向上するとともに気密性も向上し、カ
ビなどの微生物にとって住宅内の水回りは格好の生息域
となっている。特にカビは、RTVシリコーンゴム内部
にまで菌糸を挿入し、ふき取りはもとより薬剤による除
去も困難になり、外観を損ねることが多い。この解決策
としては、抗菌性の薬剤をシーリング材中に混練するこ
とで解決することが可能である。特にシリコーンシーリ
ング材では抗菌性、安全性の面よりベンズイミダゾール
系化合物、ジンクピリチオンなどが多く使用されてい
る。しかし、これらの化合物を含んだシーリング材は加
熱および紫外線被ばくにより黄変するという問題があ
り、従って確実に全てのカビに効力を発揮するまで添加
量を増やせないという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】発明者等はこのような
背景をふまえ、抗菌性に優れ、且つ耐熱性、耐紫外線性
等の耐候性にも優れた、変色しない防カビ性シーリング
材の開発を試みたところ、ある種の防カビ剤を使用する
ことによりこれらの目的を達成することができることを
見出した。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は下記
(1)、(2)、(3)よりなる変色の少ない防カビ性
オルガノポリシロキサン組成物である。 (1)下記一般式(化)で示される、オルガノポリシ
ロキサン 100重量部、
【化2】 (ここでR1は炭素数1〜10の非置換の一価の炭化水素基
またはこれらの基の水素原子が部分的にハロゲン原子な
どで置換された基であり、且つR1は互いに同一であって
も異種の基であってもよい、nは10以上の整数、Xは水
酸基または加水分解性基を表し、1≦a≦3である。) (2)下記一般式で示される加水分解可能な基を有する
シラン化合物およびまたはその部分加水分解物 0.1〜
30重量部、 R1 bSiX(4-b)[R1、Xは上記(1)と同じ基を表し、0
≦b≦1.9 である。] (3)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α
−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−ト
リアゾール−1−イル−エタノール(一般名テブコナゾ
ール)0.1 〜5重量部。
【0005】(1)のオルガノポリシロキサンの一般式
(化1)中、R1は炭素数1〜10の置換または非置換の一
価の炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などのシ
クロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル
基;フェニル基、トリル基などのアリール基あるはこれ
らの基の水素原子が部分的にハロゲン原子などで置換さ
れた基である。このR1は同一の基であっても異種の基で
あってもよく、またこの式中のnはこのジオルガノポリ
シロキサンの25℃における粘度が25〜500,000cStの範
囲、好ましくは 1,000〜100,000cStの範囲であることか
ら10以上の整数とされる。Xは、水酸基もしくは加水分
解性基を表わしており、加水分解性基の例としてはアル
コキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アミノ
基、アミド基、アミノキシ基あるいはアルケニルオキシ
基などがあげられる。またaは、平均して1≦a≦3
範囲の数を表す。
【0006】(2)の一般式中のR1、Xは(1)と同様
の基を表す。また、bの値は平均して0≦b≦1.9 の値
を有し、複数の加水分解性シランを混合使用してもかま
わない。加水分解性シランの例としては、メチルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリ
エトキシシランなどのアルコキシシラン;メチルトリス
(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチ
ルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチル
エチルケトオキシム)シラン、テトラ(メチルエチルケ
トオキシム)シランなどのケトオキシムシラン;ビニル
トリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、
フェニルトリアセトキシシランなどのアシルオキシシラ
ン;フェニルトリス(N−メチルアセトアミド)シラ
ン、ビニルトリス(N−メチルアセトアミド)シランな
どのアミドシラン;ビニルトリス(N−ブチルアミノ)
シラン、フェニルトリス(N,N−ジエチルアミノ)シ
ランなどのアミノシラン;メチルトリス(N,N−ジメ
チルアミノキシ)シラン、ビニルトリス(N,N−ジエ
チルアミノキシ)シランなどのアミノキシシラン;ビニ
ルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリイソブテノ
キシシラン、フェニルトリシクロヘキサノキシシランな
どのアルケニルオキシシランなどが挙げられる。上記化
合物は(1)の 100重量部に対して 0.1〜30重量部の範
囲で使用されるものであり、0.1 未満では十分な架橋が
得られず、目的とするゴム弾性を有する組成物となら
ず、30を超えると機械特性に劣るものとなる。好ましく
は、1〜15重量部の範囲である。
【0007】(3)のα−[2−(4−クロロフェニ
ル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H
−1,2,4−トリアゾール−1−イル−エタノール
(一般名テブコナゾール)は本発明において重要な構成
要素で、本発明の組成物に耐熱性および耐紫外線性、防
カビ性を付与するために添加するものである。添加量は
(1)の100 重量部に対して0.1 〜5重量部の範囲であ
り、特に 0.3〜1重量部の範囲が好ましい。0.1 重量部
未満では上記の効果が不十分であり、5重量部を超えて
添加してもその効果は変わらないし、耐変色性が損なわ
れる危険もある。
【0008】また本発明には、上記成分以外に一般に知
られている充填剤、添加剤、触媒などを使用しても差し
支えない。充填剤としては、粉砕シリカ、煙霧状シリ
カ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、湿式シリカなどが挙げ
られる。添加剤としては、チクソ性向上剤としてのポリ
エーテル、接着助剤としてγ−アミノプロピルトリエト
キシシランなどのアミノシラン類、γ−グリシジルプロ
ピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン類などが
あげられる。触媒としては、有機錫化合物、アルコキシ
チタンなどが挙げられる。また耐変色性を損なわない程
度であれば、他の防カビ剤を併用してもかまわない。
【0009】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。 (実施例1) 25℃における粘度が 20,000cStの末端がシラノールで封
鎖されたポリジメチルシロキサン 100重量部に、表面を
ジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10重量
部、ブコナゾール 0.5重量部を加え混合機で混合した
後、メチルトリブタノキシシラン8重量部、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン1重量部、ジブチル錫ジオ
クテート 0.1重量部を加えて、減圧下で完全に混合しサ
ンプル1を得た。 (実施例2) 25℃における粘度が 20,000cStの末端がシラノールで封
鎖されたポリジメチルシロキサン 100重量部に、表面を
ジメチルジクロルシランで処理した煙霧状シリカ10重量
部、ブコナゾール 1.5重量部を加え混合機で混合した
後、メチルトリブタノキシシラン8重量部、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン1重量部、ジブチル錫ジオ
クテート0.1 重量部を加えて、減圧下で完全に混合しサ
ンプル2を得た。 (実施例3)
25℃における粘度が 20,000cStの末
端がシラノールで封鎖されたポリジメチルシロキサン 1
00重量部に、表面をジメチルジクロルシランで処理した
煙霧状シリカ10重量部、ブコナゾール1重量部を加え
混合機で混合した後、メチルトリメトキシシラン8重量
部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1重量部、
ジブチル錫ジオクテート0.1 重量部を加えて、減圧下で
完全に混合しサンプル3を得た。た煙霧状シリカ10重量
部、ジンクピリチオン0.5 重量部を加え混合機で混合し
た後、メチルトリブタノキシシラン8重量部、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン1重量部、ジブチル錫ジ
オクテート 0.1重量部を加えて、減圧下で完全に混合し
サンプル5を得た。
【0010】(比較例1)25℃における粘度が 20,000c
Stの末端がシラノールで封鎖されたポリジメチルシロキ
サン100 重量部に、表面をジメチルジクロルシランで処
理した煙霧状シリカ10重量部、2−(4−チアゾリル)
−ベンズイミダゾール 0.5重量部を加え混合機で混合し
た後、メチルトリメトキシシラン8重量部、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン1重量部、ジブチル錫ジオ
クテート 0.1重量部を加えて、減圧下で完全に混合しサ
ンプル4を得た。 (比較例2)25℃における粘度が 20,000cStの末端がシ
ラノールで封鎖されたポリジメチルシロキサン100 重量
部に、表面をジメチルジクロルシランで処理した煙霧状
シリカ10重量部、ジンクピリチオン0.5 重量部を加え混
合機で混合した後、メチルトリブタノキシムシラン8重
量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1重量
部、ジブチル錫ジオクテート 0.1重量部を加えて、減圧
下で完全に混合しサンプル5を得た。
【0011】(比較例3) ブコナゾール添加量を0.08重量部とした以外は実施例
1とまったく同様の方法でサンプル6を得た。 (比較例4) ブコナゾール添加量を6重量部とした以外は実施例1
とまったく同様の方法でサンプル7を得た。上記各実施
例及び比較例における各サンプルの構成について表1に
まとめて掲げた。なお表中の数字は重量部を表す。
【0012】上記各実施例及び比較例におけるサンプル
1〜7について各々試験用試料を調製し、下記の方法で
変色試験及び防カビ性試験を行い結果を表2に示した。 試験方法 (変色試験)得られたサンプルを2mm厚のシートに成形
し20±2℃、55±10%RHの雰囲気で一週間硬化させ、
このシートを用いて下記の変色試験を行った。 1 熱変色試験 成形硬化させたシートをミノルタカメラ社製色差計CR
−300 で初期の色差を測定した後、90℃の循環式乾燥器
中に 500時間放置した。養生したサンプルの色差を測定
し黄変度合い(△b)を確認した。(△bの値が大きい
ほど変色が激しい。) 2 紫外線変色試験 成形硬化させたシートをミノルタカメラ社製色差計CR
−300 で初期の色差を測定した後、医療用殺菌灯を用
い、殺菌灯から試料までの距離が10cmになるよう調整
し、24時間紫外線を照射して劣化させた。養生したサン
プルの色差を測定し黄変度合い(△b)を確認した。 (防カビ性試験)変色試験に使用したものと同じ試験サ
ンプルを使用し、JIS Z 2911に従って測定した。防カビ
性の評価は下記の方法に従った。 評価方法(防カビ性のランクを下記のように定義し
た。) 防カビ性1:試料または試験片に一定量接種したカビの
菌糸の発育部分の面積が全面積の1/3 を超える場合。 防カビ性2:試料または試験片に一定量接種したカビの
菌糸の発育部分の面積が全面積の1/3 を超えない場合。 防カビ性3:試料または試験片に一定量接種したカビの
菌糸の発育が認められない場合。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】(表2)の結果から本発明の組成物を原料
として作製したシートは、防カビ性は従来の組成物を原
料として作製したシートと同等であり、その上耐熱性、
耐紫外線性などの耐候性においては従来品より格段に優
れていることがわかる。
【0016】
【発明の効果】本発明により防カビ性シーリング材など
に使用すると優れた防カビ性、耐熱性、耐紫外線性を与
えるオルガノポリシロキサン組成物を得ることができ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/3472 C08K 5/3472 C09K 3/10 C09K 3/10 G (72)発明者 井上 凱夫 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/04 C08K 5/3472

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)、(2)、(3)よりなる変
    色の少ない防カビ性オルガノポリシロキサン組成物。 (1)下記一般式(化1)で示されるオルガノポリシロ
    キサン100 重量部、 【化1】 (ここでR1は炭素数1〜10の非置換の一価の炭化水素基
    またはこれらの基の水素原子が部分的にハロゲン原子な
    どで置換された基であり、且つR1は互いに同一であって
    も異種の基であってもよい、nは10以上の整数、Xは水
    酸基または加水分解性基を表し、1≦a≦3である。) (2)下記一般式で示される加水分解可能な基を有する
    シラン化合物およびまたはその部分加水分解物
    0.1〜30重量部、R1 bSiX
    (4-b)[R1、Xは上記(1)と同じ基を表し、0≦b≦
    1.9 である。] (3)α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α
    −(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−ト
    リアゾール−1−イル−エタノール(一般名テブコナゾ
    ール) 0.1 〜5重量部。
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