JP2784045B2 - 室温硬化性シリコーンゴム組成物 - Google Patents

室温硬化性シリコーンゴム組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は特定の炭酸カルシウムを配合することによっ
て、作業性に優れる上、高強度、高モジュラスで、更に
耐湿および耐温水性に優れた接着性のゴムとなる、複層
ガラスシール用の脱アルコール型室温硬化性シリコーン
ゴム組成物に関するものである。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
従来、常温で縮合反応によって硬化し、ゴム状弾性体
となるシリコーンゴム組成物は、一般にRTV(Room Temp
erature Vulcanizing)シリコーンゴムと呼ばれ、硬化
反応の簡便さや、硬化物が優れた耐熱性、耐寒性を有
し、温度の変化に伴う物性変化が少なく、更にオゾンや
紫外線による劣化が少ない等の特性に基づき、建築用シ
ーラントを始め、各種分野、用途に広く使用されてい
る。
この様なRTVシリコーンゴムは主として、基材として
のポリオルガノシロキサンと架橋剤と充填剤の各成分よ
りなる。これらは使用する架橋剤に基づく架橋反応の方
式、換言すれば縮合反応副生成物の違いにより種々に分
類される。
この中で、アルコールを副生成物とする脱アルコール
型RTVシリコーンゴムは、臭いや腐蝕性が無いため、ま
た硬化の際に気泡やクラックが発生しにくいため、従来
の現場施工に替わる工場内施工型の複層ガラス用シーラ
ント材として使用され、あるいは一般工業用接着シーラ
ント材として検討されている。しかしながら、これらは
強度およびモジュラスが低く、とりわけ高温多湿環境下
においては強度およびモジュラスが大幅に低下し、シー
ル性が劣化するという、当該シーラントに要求される接
着性および耐久性に劣る欠点がある。
また、充填剤としては、一般には乾式シリカ、湿式シ
リカ、珪藻土、石英粉末、炭酸カルシウム、アルミナな
どが使われている。シリカ類は最も多用される充填剤で
あり、これを使用したRTVシリコーンゴムは高強度のも
のが得られるが、オルガノポリシロキサン成分と混合し
た時の大きな増粘性のため、添加量は制限される。石英
粉末およびアルミナは、増粘性は少ないが、強度はそれ
程高いものは得られない。
また、炭酸カルシウムは天然系か合成系かにより、重
質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムに分類され、後
者は更に、膠質(コロイド)炭酸カルシウムと軽微性炭
酸カルシウムとに分類される。これらは粒子形や表面処
理の有無や違いにより多種のグレードがあり、そのグレ
ードにより充填剤として使用した場合の増粘性および強
度が異なるため、目的・用途に応じて適宜使い分けられ
る。このような炭酸カルシウムを脱アルコール型RTVシ
リコーンゴムに充填剤として使用した例として以下のも
のが開示されている。
即ち、平均粒子径10μm以下の粉末状炭酸カルシウム
を粉末状酸化鉄及び粉末状酸化チタンと組み合わせて、
複写機のトナー定着ロールの表面軽剥離性保持を改良し
た例(特開昭52−2439号公報)、平均粒子径が0.3μm
以下で空気透過法で測定した比表面積が3.0m2/g以上で
ある、実質的に表面無処理の炭酸カルシウムを使用し
て、流動性を調節でき、深部硬化性に優れ、硬化物が高
伸長性、低モジュラスの物性を有する接着性の改良され
たシーリング用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成
物の例(特公昭55−18454号公報)、及びBET法で測定し
た比表面積が1〜30m2/gであり、平均粒子径が0.3〜10
μmの紡錘状であり、かつ、有機ケイ素化合物で表面処
理された軽質炭酸カルシウムを使用し、特に優れた耐熱
性を有し、物性変化及び加熱減量を格段に改善した例
(特公昭61−23940号公報)などである。
しかしながら、従来の炭酸カルシウムでは、RTVシリ
コーンゴムに配合した場合、作業性と表面剥離性や接着
性などの特性は改善されるが、一方ゴム物性は低モジュ
ラス、高伸長性となり、高強度、高モジュラス、低伸長
性のゴム物性を有するものは得られなかった。
即ち、高強度、高モジュラス、低伸長性、接着性及び
耐久性が必要とされる複層ガラス用シーラント材用途に
有用な炭酸カルシウム配合の脱アルコール型RTVシリコ
ーンゴムは無かった。
〔発明の目的〕
本発明は、上記問題点を解消し、高強度、高モジュラ
ス、耐湿性および耐温水性に優れ、高温多湿環境下にお
いても物性低下の少ない、複層ガラス用シーラント材と
して有用な脱アルコール型の室温硬化性シリコーンゴム
組成物を提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
本発明者らは、脱アルコール型RTVシリコーンゴムの
特性向上について鋭意検討した結果、特定の炭酸カルシ
ウムを充填剤として用いることにより、優れた高強度、
高モジュラス性および接着性を有し、高湿あるいは温水
環境下においてもその特性を長期間持続できることを見
出し本発明を成すに至った。
即ち、本発明者らは、脱アルコール型RTVシリコーン
ゴム組成物に、BET比表面積が14.0〜20.0m2/gであり、
平均粒度(BET比表面積換算値)が0.05〜0.20μmの、
表面を樹脂酸の一種であるロジン酸で処理した膠質(コ
ロイド)炭酸カルシウムを充填剤として使用することに
より、良好な作業性を保持しつつこれまでに例を見ない
高強度、高モジュラス性および水耐久性を得ることがで
きた。これは従来の知見からは全く予想されなかった事
である。
即ち、本発明の室温硬化性シリコーンゴム組成物は、 (A)分子鎖末端がシラノール基で封鎖され、25℃にお
ける粘度が100〜100,000cStであるポリオルガノシロキ
サン 100重量部; (B)式R1Si(OR2(式中、R1は一価炭化水素基ま
たはOR2を、R2は一価炭化水素基を表す)で示されるア
ルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物
0.1〜30重量部; (C)BET比表面積が14.0〜20.0m2/gで平均粒度が0.05
〜0.20μmの、表面がロジン酸処理された膠質炭酸カル
シウム 10〜200重量部; および (D)硬化促進剤 0.01〜5重量部; から成ることを特徴とする。
本発明組成物の(A)成分であるポリオルガノシロキ
サンは、その両末端がシラノール基で封鎖された鎖状の
重合体である。また、(A)成分には、分岐状の重合体
が含有されていてもよい。
(A)成分の構造単位であるジオルガノシロキサン中
のケイ素原子に結合する有機基は同一もしくは異なって
いてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等のアルキル
基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル
基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、β−フェニ
ルエチル基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル
基;および3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロメ
チル基等の1価の置換炭化水素基等を挙げることができ
る。これらの中でも、合成の容易さからメチル基、ビニ
ル基またはフェニル基が好ましく、さらには、ケイ素原
子に結合する有機基がメチル基である場合が、他の有機
基の場合と比較して、原料中間体の合成が容易であり、
得られる重合体の重合度の高さに比べて粘度が最も低
く、また、硬化物であるゴム状弾性体の物性のバランス
に好影響を与えるため最も好ましい。このため、実質的
に全てがメチル基であることが最も好ましいが、硬化物
に耐熱性が要求される場合は、ケイ素原子に結合する有
機基のうち、一部がフェニル基であることが好ましい。
このようにメチル基以外の有機基を含有する場合におい
ても、上述した理由から重合体中の全有機基数の85%以
上がメチル基であることが好ましい。
また、このようなポリオルガノシロキサンは、その25
℃における粘度が100〜100,000cSt、好ましくは500〜5
0,000cStである。粘度が100cSt未満では硬化物に優れた
機械的性質を付与することが困難であり、また100,000c
Stを越えると粘度が高くなり過ぎて実用上作業性に劣る
ものとなるからである。
本発明の組成物の(B)成分であるアルコキシシラン
および/またはその部分加水分解縮合物は、組成物が硬
化して良好な弾性体となるために必要とされるものであ
って、アルコキシシランは一般式R1Si(OR2(式
中、R1,R2は前述のとおり)で表される。
一般式中、R1としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基等のアルキル基、フェニル基、ビニル基およびOR2
を挙げることができ、R2としては、OR2の加水分解性か
ら一般にメチル基およびエチル基を挙げることができ
る。
このような(B)成分としてケイ酸エチル、ケイ酸プ
ロピルなどのアルキルオルソシリケートおよびその部分
加水分解物であるポリアルキルシリケート、メチルトリ
エトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど
のアルコキシシランおよびその部分加水分解シロキサン
などが例示される。更にこれらのほか下記分子式で示さ
れるカーボンファンクショナルシランとしてよく知られ
ている一群のアルコキシシランおよびこれらの部分加水
分解シロキサンもまた本発明においては有効に使用する
ことができる。なお、以下の記載においてMeはメチル
基、Etはエチル基をそれぞれ示す。
(B)成分の配合量は(A)成分100重量部に対して
0.1〜30重量部である。(B)成分が0.1重量部未満では
組成物の硬化が遅く、30重量部を超えると硬化後の物性
が低下するので好ましくない。
本発明の組成物の(C)成分は本発明の特長を組成物
に付与する重要な成分であり、BET比表面積が14.0〜20.
0m2/g、平均粒度が0.05〜0.20μmで粒子表面がロジン
酸で処理された膠質炭酸カルシウムである。平均粒度が
0.05μm未満では粘度が高くなりすぎて実用上作業性に
劣り、0.20μmを越えると硬化物に優れた機械的性質を
付与することができない。BET比表面積についても14.0m
2/g未満では硬化物に優れた機械的性質を付与すること
ができず、20.0m2/gを越えると粘度が高くなり過ぎて実
用上作業性に劣る。更に炭酸カルシウムとしては膠質系
であり、表面がロジン酸で処理されたものが最も高モジ
ュラスのゴム硬化物を与え、耐温湿及び耐温水性が保持
される。
このような炭酸カルシウムとしてはホモカルD、ホモ
カルDM、白艶華TDD、白艶華IGV(以上白石工業(株)
製、商品名)が挙げられる。
(C)成分の配合量は(A)成分100重量部に対して1
00〜200重量部であり、好ましくは50〜150重量部であ
る。10重量部未満では硬化物に優れた機械的性質を付与
することができず、200重量部を越えると粘度が高くな
り過ぎて実用上作業性に劣る。
本発明の組成物の(D)成分である硬化促進剤として
は、オクタン酸鉄、オクタン酸亜鉛、オクタン酸スズ、
オクタン酸コバルト、オクタン酸マンガン、オクタン酸
鉛、ナフテン酸スズ、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸
鉛、オレイン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等のカルボン酸
金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオ
クトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ
オレエート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチ
ルスズ、ジブチルスズジメトキシド等の有機スズ化合
物;テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネー
ト、テトラオクチルチタネート等の有機チタン酸エステ
ル;ジイソプロポキシ(アセチルアセトナト)チタン、
ジイソプロピルビス(エチルアセトアセタト)チタン、
1,3−プロピレンジオキシビス(アセチルアセトナト)
チタン、1,3−プロピレンジオキシビス(エチルアセト
アセタト)チタン等のチタンキシレート化合物等の有機
金属化合物を挙げることができる。
(D)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対し
て0.01〜5重量部である。0.01重量部未満では触媒効果
が得られず、5重量部を越えて配合してもそれ以上の効
果は得られないばかりか、硬化物の耐熱性に悪影響を及
ぼすので好ましくない。
本発明組成物には、(A)〜(D)成分以外にも、必
要に応じて充填剤として、例えば、珪藻土、(C)成分
に属さない炭酸カルシウム、粉砕石英、煙霧質シリカ:
顔料として、例えば、ベンガラ、二酸化チタン、亜鉛
華、群青等を添加することができる。また、目的に応じ
て本発明の効果を損なわない範囲で接着促進剤として他
の公知のポリオルガノシロキサンを併用することもでき
る。
〔発明の効果〕
本発明の組成物は、硬化状態において優れた高強度、
高モジュラスを示し、長期間温湿あるいは温水下に保存
した場合でもその特性が低下しないため、複層ガラス用
シール材などに利用した場合、優れたシール性を発揮し
有用である。
〔実施例〕
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳述
する。なお、実施例および比較例中「部」は全て重量部
を表す。
実施例1 分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度5,000c
Stのポリジメチルシロキサン100部にフェニルトリメト
キシシラン2部、BET比表面積16.0m2/g、平均粒度0.10
のロジン酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム「白艶
華TDD」(白石工業(株)製、商品名)100部、ジブチル
スズジラウレート0.1部およびγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン0.5部を混合し、脱泡処理して本
発明の組成物を得た。
次にJIS A 5758 5・12項に準じてフロートガラス上に
この組成物を塗布した。その後このものを20℃,55%RH
の雰囲気中で7日間、更に30℃で7日間放置し硬化させ
て硬化試験体を調製した。この試験体について50mm/分
の速度で引張接着試験(初期)を行うとともに、これを
80℃の温水中に7日間,14日間浸漬後に同様の引張試験
を行った。結果を第1表に示す。
比較例1〜3 実施例1で用いた炭酸カルシウムに代えて第1表に示
す充填剤を第1表に示す配合量で用いた以外は実施例1
と同様にして比較用の組成物を得た。
この組成物を用いて実施例1と同様な引張接着試験を
行った。結果を第1表に示す。
実施例2 分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度30,000
cStのポリジメチルシロキサン100部にエチルポリシリケ
ート1.5部、BET比表面積18.0m2/g、平均粒度0.12のロジ
ン酸で表面処理された膠質炭酸カルシウム「ホモカル
D」(白石工業(株)製、商品名)80部、ジオクチルス
ズジラウレート0.1部を混合して本発明の組成物を得
た。
次に、この組成物を用い実施例1と同様な方法で硬化
試験体を調製した。この試験体を用いて初期と50℃、95
%RHの温湿中に100日間放置後の引張接着試験を行っ
た。結果を第2表に示す。
比較例4〜6 実施例2で用いた炭酸カルシウムに代えて第2表に示
す本発明に属さない炭酸カルシウムを用いた以外は実施
例2と同様にして比較用の組成物を得た。
この組成物を用いて、実施例2と同様な引張接着試験
を行った。結果を第2表に示す。
実施例3 分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度80,000
cStのポリジメチルシロキサン100部に、メチルトリメト
キシシラン2部、BET比表面積19.5m2/g、平均粒度0.08
μmのロジン酸処理膠質炭酸カルシウム「白艶華IGV」
(白石工業製、(株)商品名)120部、ジブチルスズジ
アセテート0.1部を混合して、脱泡処理して本発明の組
成物を得た。
次に、この組成物を用い実施例1と同様な方法で硬化
試験体を調製した。この試験体を用いて、初期と60℃温
水中に200日間放置後引張接着試験を行ったところ、初
期、50%モジュラス11.2kgf/cm2、最大引張応力17.4kgf
/cm2、伸び80%、60℃温水200日浸漬後の50%モジュラ
ス10.8kgf/cm2、最大引張応力15.9kgf/cm2、伸び90%と
高い物性を示した。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 83/04 C08K 5/54 C08K 3/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)分子鎖末端がシラノール基で封鎖さ
    れ、25℃における粘度が100〜100,000cStであるポリオ
    ルガノシロキサン 100重量部; (B)式R1Si(OR2(式中、R1は一価炭化水素基ま
    たはOR2を、R2は一価炭化水素基を表す)で示されるア
    ルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物
    0.1〜30重量部; (C)BET比表面積が14.0〜20.0m2/gで平均粒度が0.05
    〜0.20μmの、表面がロジン酸処理された膠質炭酸カル
    シウム 10〜200重量部; および (D)硬化促進剤 0.01〜5重量部; から成ることを特徴とする室温硬化性シリコーンゴム組
    成物。
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