JP3162629B2 - 自動車用動力伝達系の潤滑油流動規制装置 - Google Patents

自動車用動力伝達系の潤滑油流動規制装置

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JP3162629B2 JP19978696A JP19978696A JP3162629B2 JP 3162629 B2 JP3162629 B2 JP 3162629B2 JP 19978696 A JP19978696 A JP 19978696A JP 19978696 A JP19978696 A JP 19978696A JP 3162629 B2 JP3162629 B2 JP 3162629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力伝達装置を構
成するミッションハウジングの内部空間よりも、差動装
置を構成するデフハウジングの内部空間が低位置とされ
た自動車用動力伝達系に関し、より詳しくは、上記ミッ
ションハウジングの内部空間からデフハウジングの内部
空間に潤滑油が流入することを規制するようにした潤滑
油流動規制装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記自動車用動力伝達系には、従来、特
公平4‐2444号公報で示されるものがある。
【0003】これによれば、動力伝達装置が、その外殻
を構成するミッションハウジングと、このミッションハ
ウジングに内有されエンジンからの動力を入力すると共
に、この動力を変速して出力する歯車式変速機構とを備
えている。一方、左右車輪を互いに連動させる差動装置
が設けられ、この差動装置は、その外殻を構成して上記
ミッションハウジングのある水平方向における一部に取
り付けられるデフハウジングと、車幅方向に延びる軸心
回りに回転自在となるよう上記デフハウジングに支承さ
れ上記変速機構からの動力を入力するリングギヤとを備
えている。
【0004】そして、上記エンジンの動力は、上記変速
機構で変速されて差動装置に伝達され、この差動装置の
作用により、互いに等しいトルクの動力が左右各車輪に
伝達されて、自動車が走行させられるようになってい
る。
【0005】また、上記従来の技術では、上記ミッショ
ンハウジングの他部の内部空間が、これより低位置とさ
れた上記デフハウジングの内部空間に連通させられてい
る。
【0006】このため、この構成のままでは、上記ミッ
ションハウジングの上記一部を除く他部の内部空間で、
上記変速機構を潤滑する潤滑油が、上記デフハウジング
の内部空間に自然流下によって流入しがちとなり、よっ
て、上記ミッションハウジングの他部の内部空間では、
変速機構を潤滑するための潤滑油が不足しがちとなる一
方、デフハウジングの内部空間に溜る潤滑油の量が過多
となって、上記リングギヤによるこの潤滑油の撹拌抵抗
が過大となりがちである。
【0007】そこで、上記ミッションハウジングの他部
の内部空間の底部から、デフハウジングの内部空間への
潤滑油の流動を規制する流動規制板が設けられ、これに
より、上記ミッションハウジングからデフハウジングへ
の潤滑油の流入が規制されている。
【0008】また、上記変速機構において互いに噛合す
る一組のギヤと、上記デフハウジングの内部空間の底部
を、上記両ギヤの噛合部近傍で噛合が解除される側に連
通させる吸油管とでギヤポンプが構成され、このギヤポ
ンプによって、上記デフハウジングの内部空間の底部に
溜る潤滑油が上記ミッションハウジングの他部の内部空
間に供給されるようになっている。
【0009】即ち、上記流動規制板によりミッションハ
ウジングの他部の内部空間の底部からデフハウジングの
内部空間に潤滑油が流入するのが規制されることと、上
記ギヤポンプにより、上記デフハウジングの内部空間か
らミッションハウジングの他部の内部空間へ潤滑油が補
給されることとによって、上記ミッションハウジングの
他部の内部空間の底部に、常に潤滑油が溜められること
で、上記変速機構の潤滑が適正になされ、かつ、上記デ
フハウジングの内部空間に溜められる潤滑油の量が適正
とされて、リングギヤによるこの潤滑油の撹拌抵抗の増
大が抑制されるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
技術によれば、デフハウジングの内部空間の潤滑油を所
望の被潤滑部側に供給させるため、別途にギヤポンプの
特に吸油管が設けられており、このため、潤滑装置の構
成部品が多くなって、その構成が複雑になっている。
【0011】本発明は、上記のような事情に注目してな
されたもので、ミッションハウジングの他部の内部空間
の底部よりも、デフハウジングの内部空間が低位置とさ
れて、上記ミッションハウジングの他部の内部空間の潤
滑油が上記デフハウジングの内部空間に自然流下式に流
入しがちである場合において、上記ミッションハウジン
グの他部の内部空間の潤滑油の量が不足しないようにす
る一方、デフハウジングの内部空間の潤滑油の量が過多
とならないようにし、かつ、この課題を達成するための
構成が、簡単となるようにすることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
の本発明の自動車用動力伝達系の潤滑油流動規制装置
は、動力伝達装置9が、その外殻を構成するミッション
ハウジング16と、このミッションハウジング16に内
有されエンジン6からの動力を入力すると共に、この動
力を変速して出力する歯車式変速機構26とを備え、一
方、左右車輪4,4を互いに連動させる差動装置11を
設け、この差動装置11が、その外殻を構成して上記ミ
ッションハウジング16のある水平方向における一部に
取り付けられるデフハウジング35と、車幅方向に延び
る軸心回りに回転自在となるよう上記デフハウジング3
5に支承され上記変速機構26からの動力を入力するリ
ングギヤ39とを備え、上記ミッションハウジング16
の他部の内部空間17が、これより低位置とされた上記
デフハウジング35の内部空間36に連通し、上下方向
に延びて上記両内部空間17,36を仕切り上記ミッシ
ョンハウジング16の他部の内部空間17から上記デフ
ハウジング35の内部空間36への潤滑油47の流動を
規制する流動規制板50を設けた場合において、上記リ
ングギヤ39の軸方向で上記流動規制板50の上縁部の
一部を上記リングギヤ39側に膨出させて、この膨出部
52を上記リングギヤ39の径方向でその歯部45の少
なくとも一部と互いに重なり合うよう位置させたもので
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
により説明する。
【0014】図1、2中、符号1は自動車で、矢印Fr
はこの自動車1の前方を示し、下記する左右とは、この
自動車1の車幅方向をいうものとする。
【0015】上記自動車1は、車体2と、この車体2を
走行路面3上に支持するそれぞれ左右一対の前、後側の
車輪4,4とを備えている。
【0016】上記車体2の前部にはエンジンルーム5が
形成され、このエンジンルーム5に内燃機関であるエン
ジン6が設けられている。このエンジン6のクランク軸
7は車幅方向に延び、つまり、このエンジン6は横置き
式とされている。また、このエンジン6の左右一側部に
クラッチ8と動力伝達装置9とが連設され、これらは車
幅方向に並設されている。更に、上記前側の左右車輪
4,4をそれぞれ自在継手軸10を介し互いに連動させ
る差動装置11が設けられている。
【0017】全図において、上記クラッチ8は、上記エ
ンジン6のクランクケース12に取り付けられたクラッ
チハウジング13と、このクラッチハウジング13に収
容されたクラッチ本体14とで構成されている。
【0018】上記動力伝達装置9は、その外殻を構成し
て上記クラッチハウジング13に取り付けられるミッシ
ョンハウジング16と、このミッションハウジング16
の内部空間17に収容される入力軸18および出力軸1
9とを備えている。上記入力軸18と出力軸19の各軸
心20,21は互いに平行に延び、かつ、ほぼ水平な車
幅方向に延びている。上記入力軸18はその軸心20回
りに回転自在となるよう上記ミッションハウジング16
に軸受23により支承され、上記入力軸18の上記エン
ジン6側の一端部は上記クラッチ本体14を介して上記
エンジン6のクランク軸7に連動連結されている。ま
た、上記出力軸19はその軸心21回りに回転自在とな
るよう上記ミッションハウジング16に軸受24により
支承されている。
【0019】上記入力軸18と上記出力軸19とを互い
に連動連結させる歯車式変速機構26が上記内部空間1
7に収容されている。上記変速機構26は上記出力軸1
9の上記エンジン6側の一端部に一体的に取り付けられ
た平歯車である出力ギヤ27を有している。また、運転
者の操作によって、上記変速機構26を変速動作可能と
させる変速操作手段29が設けられている。この変速操
作手段29は、変速機構26におけるギヤ同士を係脱自
在とさせ、もしくは、ギヤと、上記入力軸18もしくは
出力軸19とを係脱自在とさせる係合子30と、この係
合子30と係合して変速操作部31に与えられた操作力
を上記係合子30に伝え、これにより上記係脱動作をさ
せるシフトフォーク32とを備えている。
【0020】上記差動装置11は、その外殻を構成する
デフハウジング35を有している。このデフハウジング
35は、前記軸心20,21に沿った方向における上記
エンジン6側のミッションハウジング16の端部(ミッ
ションハウジング16のある水平方向の一部に相当す
る)の下部に取り付けられ、これらミッションハウジン
グ16の一部と、デフハウジング35の各内部空間1
7,36は互いに連通させられている。上記デフハウジ
ング35の内部空間36にデフケース37が収容され、
このデフケース37は、上記軸心20,21に平行な車
幅方向に延びる軸心38回りに回転自在となるよう上記
デフハウジング35に支承されている。上記軸心38上
で、上記デフケース37に平歯車であるリングギヤ39
が取り付けられ、このリングギヤ39は上記出力ギヤ2
7に噛合して、この出力ギヤ27から動力を伝達され、
もって、上記デフケース37と共に回転することとされ
ている。
【0021】上記軸心38に直交する軸心回りに回転自
在となるよう上記デフケース37に支承されるデフピニ
オン40が設けられている。また、このデフピニオン4
0に噛合して上記軸心38回りに回転自在となるよう上
記デフケース37に支承される左右一対のデフサイドギ
ヤ41,41が設けられ、これら各デフサイドギヤ41
に前記自在継手軸10を介して車輪4が連動連結されて
いる。
【0022】そして、上記エンジン6の動力は、クラン
ク軸7からクラッチ8を介して動力伝達装置9の入力軸
18に伝達され、ここから変速機構26により変速され
て出力軸19に伝達され、更に、この出力軸19から差
動装置11のリングギヤ39に伝達され、この差動装置
11の作用により、互いに等しいトルクの動力が上記各
自在継手軸10を介して左右各車輪4,4に伝達され、
これによって自動車1が走行路面3上を走行可能とされ
ている。
【0023】上記各軸受23,24、変速機構26、お
よび出力ギヤ27とリングギヤ39の各歯部44,45
同士の噛合部46等、被潤滑部側を潤滑油47で潤滑す
る潤滑装置48が設けられている。次に、この潤滑装置
48につき説明する。
【0024】上記エンジン6とは反対側のミッションハ
ウジング16の端部側(ミッションハウジング16のあ
る水平方向の上記一部を除く他部に相当する)の内部空
間17の底部には潤滑油47が溜められている。この潤
滑油47は上記変速機構26の各ギヤにより掻き上げら
れ、上記変速機構26の各部が潤滑される。
【0025】上記デフハウジング35の内部空間36の
底部には潤滑油47が溜められている。この潤滑油47
は上記リングギヤ39により掻き上げられて、このリン
グギヤ39と出力ギヤ27の噛合部46が潤滑される。
【0026】上記の場合、上記ミッションハウジング1
6の他部の内部空間17の底部よりも、上記デフハウジ
ング35の内部空間36の方が低位置とされ、かつ、こ
れら両内部空間17,36は互いに連通させられてい
る。
【0027】このため、この構成のままでは、上記ミッ
ションハウジング16の内部空間17の底部の潤滑油4
7は、上記デフハウジング35の内部空間36に自然流
下によって流入しがちとなる。そこで、上記ミッション
ハウジング16の内部空間17の底部から、上記デフハ
ウジング35の内部空間36への潤滑油47の流動を規
制する板金製の流動規制板50が設けられている(理解
を容易にするため、各図中、流動規制板50は梨地模様
で示してある)。この流動規制板50は上下方向に延び
て、上記ミッションハウジング16の他部の内部空間1
7と、デフハウジング35の内部空間36とを仕切って
おり、同上流動規制板50は上記ミッションハウジング
16の側部壁に対し締結具51によって着脱自在に締結
されている。
【0028】上記流動規制板50は、互いに噛合した出
力ギヤ27とリングギヤ39の各側面の近傍に位置して
いる。上記各軸心20,21,38の軸方向において、
上記流動規制板50の上縁部の一部が上記出力ギヤ27
とリングギヤ39側にプレス加工による折り曲げにより
膨出させられている。特に図4の側面視で示すように、
同上リングギヤ39の径方向で、この膨出部52は、上
記リングギヤ39の歯部45の少なくとも一部と互いに
重なり合うように位置させられ、また、同上膨出部52
は、上記出力ギヤ27の歯部44の少なくとも一部とも
互いに重なり合うよう位置させられている。
【0029】図3〜9において、上記出力軸19の内部
には、その軸心21上に第1油路55が形成され、この
第1油路55は図示しないが変速機構26の各被潤滑部
に油孔を通して連通している。上記第1油路55のエン
ジン6側の端部には油導入パイプ56(理解を容易にす
るため、各図中、梨地模様で示してある)の一端部が嵌
入され、この油導入パイプ56の他端部は、上記ミッシ
ョンハウジング16に形成された第2油路57によっ
て、上記ミッションハウジング16の内部空間17に連
通させられている。この場合、上記第2油路57の上記
内部空間17側の端部開口は、上記膨出部52の上部の
近傍に位置させられている。
【0030】上記出力ギヤ27とリングギヤ39の各歯
部44,45の外周面のうち、互いの噛合部46の手前
側の各外周面に、それぞれ上記ミッションハウジング1
6および/もしくはデフハウジング35の内面の一部が
接近させられている。
【0031】より具体的には、上記出力ギヤ27の歯部
44の外周面における上記噛合部46の手前側、つま
り、上記出力ギヤ27の回転方向(図5〜7中、矢印
A)で、上記噛合部46よりも後方の外周面に、上記ミ
ッションハウジング16の内面の一部が接近させられ、
この内面の一部が円弧凹状の第1案内面59とされてい
る。なお、上記出力ギヤ27の外周面と第1案内面59
との間の隙間は詳図しないが、例えば、数mm以下とさ
れている。
【0032】また、上記リングギヤ39の歯部45の外
周面における上記噛合部46の手前側、つまり、上記リ
ングギヤ39の回転方向(図5〜7中、矢印B)で、上
記噛合部46よりも後方の外周面に、上記デフハウジン
グ35の内面の一部が接近させられ、この内面の一部が
円弧凹状の第2案内面60とされている。なお、上記リ
ングギヤ39の外周面と第2案内面60との間の隙間は
詳図しないが、例えば、数mm以下とされている。
【0033】一端部が上記噛合部46に向って開口し、
他端部が上記膨出部52の上部と、上記第2油路57の
上記内部空間17側の端部開口とに向って開口する油路
である第3油路62が設けられ、この第3油路62は上
記ミッションハウジング16に形成されている。この場
合、上記出力ギヤ27の軸心に沿った視線でみて(図5
〜7)、上記第3油路62は、上記第1案内面59を基
準として上記出力ギヤ27とは反対側に設けられてい
て、上記第3油路62が上記第1案内面59に溝状に形
成されることが回避されている。また、上記第3油路6
2は上記第1案内面59に沿うよう前記軸心21をほぼ
中心として円弧状に延びている。
【0034】上記動力伝達装置9から差動装置11への
動力伝達時に、互いに噛合した出力ギヤ27とリングギ
ヤ39とが回転するとき(図5〜7中、矢印A、B)、
上記出力ギヤ27の各歯部44間に保持された潤滑油4
7が、上記歯部44間から流出しようとすることは、上
記ミッションハウジング16に形成された上記第1案内
面59によって抑制される。一方、上記デフハウジング
35の内部空間36の底部に溜った潤滑油47は、上記
リングギヤ39における各歯部45の間に次々と保持さ
れながら掻き上げられ、この保持された潤滑油47が、
上記歯部45間から流出しようとすることは、上記デフ
ハウジング35に形成された第2案内面60によって抑
制される。
【0035】そして、上記各歯部44,45間に保持さ
れた潤滑油47は、上記両ギヤ27,39の噛合部46
で上記各歯部44,45間から両ギヤ27,39の接線
方向に向って強制的に押し出され、この押し出しにより
加圧された潤滑油47は上記第3油路62を通って、後
述する被潤滑部側に供給される。
【0036】即ち、上記出力ギヤ27、リングギヤ3
9、ミッションハウジング16の第1案内面59、デフ
ハウジング35の第2案内面60、および第3油路62
によって、一種の「ギヤポンプ」が構成され、この際、
上記出力ギヤ27とリングギヤ39はローターに相当
し、上記第1、第2案内面59,60はポンプケースに
相当し、上記第3油路62は吐出口に相当している。
【0037】上記した「ギヤポンプ」における前記噛合
部46から押し出されるように流出した潤滑油47の一
部は、その圧力や慣性力で上記第3油路62を通り抜
け、この第3油路62の前記他端部の開口から排出され
たときに、その排出時の慣性力で、上記膨出部52の上
縁を越えてその内部に送り込まれ、この潤滑油47は、
上記流動規制板50の膨出部52に案内されて、被潤滑
部側である変速機構26を内有したミッションハウジン
グ16の他部の内部空間17に供給される(図4、7、
8中、(C)付記)。
【0038】上記の場合、前記したように、各軸心2
0,21,38の軸方向において、リングギヤ39の歯
部45と膨出部52とは同じところに位置させられてい
て、同上リングギヤ39の径方向で、上記歯部45と膨
出部52とは互いに重なり合うよう位置させられている
ため、上記リングギヤ39の接線方向に向って押し出さ
れた潤滑油47は、上記軸方向への送りが不要とされ
て、その慣性力(遠心力)で上記膨出部52の内部に向
って直線的に送られ、よって、上記潤滑油47は上記膨
出部52の内部に、より円滑に流入させられる。
【0039】ここで、上記ミッションハウジング16の
他部の内部空間17における潤滑油47は、上記内部空
間17よりも低位置の上記デフハウジング35の内部空
間36に流入して、上記ミッションハウジング16の内
部空間17には潤滑油47が不足しがちであり、その一
方、デフハウジング35の内部空間36の潤滑油47は
過多となりがちであるが、これは、前記流動規制板50
による潤滑油47の流動規制と、上記「ギヤポンプ」に
よるデフハウジング35の内部空間36からミッション
ハウジング16の内部空間17への潤滑油47の補給と
によって防止される。
【0040】この結果、上記ミッションハウジング16
の他部の内部空間17の潤滑油47によって、変速機構
26が適正に潤滑される。また、上記デフハウジング3
5の内部空間36の潤滑油47が上記ミッションハウジ
ング16の内部空間17に供給されることから、上記デ
フハウジング35の内部空間36で潤滑油47が過多に
なるということは防止されて、リングギヤ39によるこ
の潤滑油47の撹拌抵抗が過大になるということが防止
される。
【0041】また、前記したように、「ギヤポンプ」に
おける噛合部46から押し出されて上記したように第3
油路62を通り排出された潤滑油47は、その勢いで、
上記第2油路57に送り込まれ、ここから上記油導入パ
イプ56、第1油路55を順次通って、被潤滑部である
前記軸受24や変速機構26に供給され(図4、7中、
(D)付記)、この潤滑油47によって、上記軸受24
や変速機構26が潤滑される。
【0042】なお、以上は図示の例によるが、前記した
第1、第2案内面59,60は、共にミッションハウジ
ング16の内面で形成してもよく、もしくは、共にデフ
ハウジング35の内面で形成してもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明は、動力伝達装置が、その外殻を
構成するミッションハウジングと、このミッションハウ
ジングに内有されエンジンからの動力を入力すると共
に、この動力を変速して出力する歯車式変速機構とを備
え、一方、左右車輪を互いに連動させる差動装置を設
け、この差動装置が、その外殻を構成して上記ミッショ
ンハウジングのある水平方向における一部に取り付けら
れるデフハウジングと、車幅方向に延びる軸心回りに回
転自在となるよう上記デフハウジングに支承され上記変
速機構からの動力を入力するリングギヤとを備え、上記
ミッションハウジングの他部の内部空間が、これより低
位置とされた上記デフハウジングの内部空間に連通し、
上下方向に延びて上記両内部空間を仕切り上記ミッショ
ンハウジングの他部の内部空間から上記デフハウジング
の内部空間への潤滑油の流動を規制する流動規制板を設
けた自動車用動力伝達系の潤滑油流動規制装置におい
て、上記リングギヤの軸方向で上記流動規制板の上縁部
の一部を上記リングギヤ側に膨出させて、この膨出部を
上記リングギヤの径方向でその歯部の少なくとも一部と
互いに重なり合うよう位置させてあり、次の効果があ
る。
【0044】即ち、上記動力伝達装置から差動装置への
動力伝達時には、上記デフハウジングの他部の内部空間
の底部に溜った潤滑油は、上記リングギヤにおける各歯
部間に保持されながら掻き上げられ、この潤滑油は上方
に達するに従い上記歯部間からその接線方向や径方向の
外方に向って、その遠心力等で勢いよく流出させられ
る。
【0045】この際、上記したように、上記リングギヤ
の歯部の少なくとも一部と互いに重なり合うように、上
記膨出部が位置しているため、上記リングギヤの上部に
おける各歯部間からその接線方向や径方向の外方に向っ
て勢いよく流出する潤滑油を上記膨出部の内部に送り込
むことは、上記リングギヤの軸方向への送りを不要とし
て、潤滑油の遠心力を利用したり、自然流下を利用する
ことにより、容易にでき、つまり、上記デフハウジング
の内部空間の潤滑油は、上記リングギヤにより上記膨出
部の内部に、より確実に送り込まれ、この膨出部に案内
されて、ミッションハウジングの他部の内部空間に供給
される。
【0046】この結果、上記ミッションハウジングの他
部の内部空間の潤滑油によって、変速機構が適正に潤滑
される。また、上記デフハウジングの内部空間の潤滑油
が上記ミッションハウジングの内部空間に供給されるこ
とから、上記デフハウジングの内部空間で潤滑油が過多
になるということは防止されて、リングギヤによるこの
潤滑油の撹拌抵抗が過大になるということが防止され
る。
【0047】そして、前記したように、デフハウジング
の内部空間の潤滑油を上記ミッションハウジングの他部
の内部空間に供給させるための構成は、既設の流動規制
板に単に膨出部をプレス加工等により成形するというこ
とで達成されるのであり、よって、ミッションハウジン
グの他部の内部空間の潤滑油の量が不足しないようにす
る一方、デフハウジングの内部空間の潤滑油の量が過多
とならないようにするための構成は、簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の正面線図である。
【図2】自動車前部の側面線図である。
【図3】図1の部分拡大断面図である。
【図4】図3の部分拡大断面図である。
【図5】図2の部分拡大断面図である。
【図6】図5において、流動規制板の一部を破断した図
である。
【図7】図6の部分拡大断面図である。
【図8】図7の8‐8線矢視断面図である。
【図9】斜視展開図である。
【符号の説明】
1 自動車 4 車輪 6 エンジン 9 動力伝達装置 11 差動装置 16 ミッションハウジング 17 内部空間 18 入力軸 19 出力軸 20 軸心 21 軸心 26 変速機構 27 出力ギヤ 35 デフハウジング 36 内部空間 38 軸心 39 リングギヤ 44 歯部 45 歯部 46 噛合部 47 潤滑油 48 潤滑装置 50 流動規制板 52 膨出部 59 第1案内面 60 第2案内面 62 第3油路(油路)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−176823(JP,A) 特開 昭54−52265(JP,A) 特開 昭59−140962(JP,A) 実開 平2−65751(JP,U) 実開 平1−180060(JP,U) 実開 平2−146260(JP,U) 実開 平5−76845(JP,U) 実開 平4−27252(JP,U) 特公 平4−2444(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 57/00 - 57/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力伝達装置が、その外殻を構成するミ
    ッションハウジングと、このミッションハウジングに内
    有されエンジンからの動力を入力すると共に、この動力
    を変速して出力する歯車式変速機構とを備え、一方、左
    右車輪を互いに連動させる差動装置を設け、この差動装
    置が、その外殻を構成して上記ミッションハウジングの
    ある水平方向における一部に取り付けられるデフハウジ
    ングと、車幅方向に延びる軸心回りに回転自在となるよ
    う上記デフハウジングに支承され上記変速機構からの動
    力を入力するリングギヤとを備え、上記ミッションハウ
    ジングの他部の内部空間が、これより低位置とされた上
    記デフハウジングの内部空間に連通し、上下方向に延び
    て上記両内部空間を仕切り上記ミッションハウジングの
    他部の内部空間から上記デフハウジングの内部空間への
    潤滑油の流動を規制する流動規制板を設けた自動車用動
    力伝達系の潤滑油流動規制装置において、 上記リングギヤの軸方向で上記流動規制板の上縁部の一
    部を上記リングギヤ側に膨出させて、この膨出部を上記
    リングギヤの径方向でその歯部の少なくとも一部と互い
    に重なり合うよう位置させた自動車用動力伝達系の潤滑
    油流動規制装置。
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